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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】気密端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/16 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
H01R9/16 101
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018247933
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020107575
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】300078431
【氏名又は名称】ショット日本株式会社
(72)【発明者】
【氏名】清水 友仁
(72)【発明者】
【氏名】本田 浩喜
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】前川 祐輔
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-048988(JP,U)
【文献】特開2010-135615(JP,A)
【文献】実開昭52-142681(JP,U)
【文献】特開2012-186969(JP,A)
【文献】特開平03-273844(JP,A)
【文献】実開昭53-001685(JP,U)
【文献】特開平10-214646(JP,A)
【文献】特開昭62-271975(JP,A)
【文献】特開平04-209485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部と円筒部と、前記円筒部の外周から斜め外方に広がるフランジ部および3個の開口部を一体に有するアイレットと、このアイレットの前記開口部に絶縁ガラスによって気密封着したリードとを有し、前記絶縁ガラスのうちインナ側の絶縁ガラスは、前記アイレットの前記開口部から前記リードの周壁部をリード端に向けて延在させたガラス先端までの直線距離よりも長く延在させており、かつ前記インナ側の前記絶縁ガラスの表面形状は、前記絶縁ガラスの断面輪郭が前記アイレットの開口部側に窪んでスムーズな円弧を描いた弧状に成形し、前記アイレットからの圧縮応力を45度未満の浅い角度で、かつ弧状曲線からなる懸垂曲面で受け止め、前記アイレットと前記リードとの間の耐電圧を確保しながら、前記アイレットの開口端部領域の圧縮応力を懸垂曲面に分散しガラスクラックを抑止できるようにした気密端子。
【請求項2】
天板部と円筒部と、前記円筒部の外周から斜め外方に広がるフランジ部および3個の開口部を一体に有するアイレットと、このアイレットの前記開口部に絶縁ガラスによって気密封着したリードとを有し、前記絶縁ガラスのうちインナ側の絶縁ガラスおよびアウタ側の絶縁ガラスは、前記アイレットの前記開口部から前記リードの周壁部をリード端に向けて延在させたガラス先端までの直線距離よりも長く延在させており、かつ前記インナ側の絶縁ガラスおよび前記アウタ側の絶縁ガラスの表面形状は、前記絶縁ガラスの断面輪郭が前記アイレットの開口部側に窪んでスムーズな円弧を描いた弧状に成形し、前記アイレットからの圧縮応力を45度未満の浅い角度で、かつ弧状曲線からなる懸垂曲面で受け止め、前記アイレットと前記リードとの間の耐電圧を確保しながら、前記アイレットの開口端部領域の圧縮応力を懸垂曲面に分散しガラスクラックを抑止できるようにした気密端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密端子に関する。
【背景技術】
【0002】
気密端子は、アイレットまたはアイレットの挿通孔にガラスを介してリードを気密に封着したもので、気密容器内に収容された電気機器や素子に電流を供給したり、電気機器や素子から信号を外部に導出したりする場合に用いられる。例えば、特開平10-214646号公報(特許文献1)に記載されるように、冷蔵庫やエアコンなどの冷媒コンプレッサに用いられる気密端子は、天板部、この天板部の外周端から下方に向かって延びる開口部(筒状部)、この開口部の下端から斜め外方に広がったフランジ部、及び天板部から内方側に向かって延びるリード封着孔を形成する3個の小開口部を備えたアイレットが用いられている。そして、このアイレットのリード封着孔にそれぞれ封着用ガラスを介して封着されたリードが気密封着される。
【0003】
一般にアイレットとリードを絶縁ガラスで封着するGTMS(Glass-to-Metal-Seal)タイプの気密端子は、整合封止型と圧縮封止型の2種類に大別されている。気密封止の信頼性を確保すためには、アイレットおよびリードの金属材と絶縁ガラスの熱膨張係数を適正に選択することが重要である。このため、封止用の絶縁ガラスは、アイレットとリードの素材、要求温度プロファイルおよびその熱膨張係数によって選定されている。整合封止の場合、アイレットと絶縁ガラスの熱膨張係数が可能な限り一致するように封止素材は選定される。一方、冷蔵庫、エアコンなどの冷媒コンプレッサ(圧縮機)に用いられる気密端子においては、コンプレッサが冷媒を充填した耐圧容器の中に配置されるため、これに電気供給する気密端子は、高耐圧、高耐電圧が要求され、専ら圧縮封止型の気密端子が用いられる。圧縮封止型気密端子は、鋼製のアイレットによって絶縁ガラスおよびリードを圧縮するように意図的に熱膨張係数が異なるようにアイレットの材料と絶縁ガラスの材料を組み合わせて選定されている。従来、圧縮機用の気密端子の絶縁ガラスは、図8に示されるように、耐電圧を確保する必要から、アイレット内径端からリード露出部までの沿面距離が極力大きく取れるように(a)釣鐘型ないし(b)円錐型にリードに這わせて肉厚に盛り付けされていた。特にモータ駆動部を有する耐圧容器のインナ側(内側)リードの絶縁ガラスには、金属部材の摺動部などから生じた微細な金属粉などが経年付着することもあり、耐トラッキング性を向上させる意味でも沿面距離を大きく取ることが好ましいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:特開平10-214646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した冷凍機の圧縮機などに用いられる気密端子は、粘りと伸びを調和させて適切な機械的強度を持たせる必要から、金属材料をアイレットとして低炭素鋼またはステンレス鋼を使用したアイレットや鉄-クロム合金材を使用したリードが使用されることが多い。前述のようにアイレットが、いわゆる焼嵌め効果によって絶縁ガラスおよびリードを強く圧縮するため、アイレットの開口部の縁辺からリードにかけて絶縁ガラスにクラックが発生し易くなる。絶縁ガラスへのクラック発生は、これが外界から水分などを招き入れる経路となり、アイレットとリード間の絶縁を損なうことにつながるので好ましくない。
【0006】
本発明は、アイレットから受ける圧縮応力を絶縁ガラスにおいて分散できるように改良された気密端子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、アイレットに設けた開口部にリードを貫通させて、さらにアイレットとリードとを絶縁ガラスにより気密封着し電気絶縁した気密端子であって、少なくとも耐圧容器のインナ側(内側)の絶縁ガラスは、アイレット開口部の内璧端からリード周壁部まで延在させており、かつ少なくともインナ側の絶縁ガラスの表面形状がカテナリー状フィレット、すなわち絶縁ガラスの断面がアイレットの開口部側に窪んだ弧状になるように成形した気密端子が提供される。リードに盛り付ける絶縁ガラスの表面は、状来よりリードに近い位置で、よりリード周壁に沿った形状で必要最小限の厚みに成形されて盛り付けられる。絶縁ガラスの表面をカテナリー状フィレットに成形することでアイレットから受ける圧縮応力を円弧状曲面に分散することできる。
【0008】
従来は、図8に示すように、絶縁ガラス86、96をアイレット85、95に設けた開口部(筒状部)84、94からリード87、97の周壁部まで延在させて、リード87、97の周壁からアイレット85、95までの沿面距離を極力大きく取れるように絶縁ガラス86、96を、図8(a)の釣鐘型ないし図8(b)の円錐型にリード壁面からできるだけ大きく張り出すように厚く盛り付けていた。アイレット85、95の圧縮応力(白抜きの矢印)は、開口部84、94を締め付けるように付加されるので、開口部84、94端部の絶縁ガラス86、96には、上記圧縮応力と反対方向に剪断応力(ドットハッチングの矢印)が発生する(図8(a)参照)。従来の気密端子は、開口端部の絶縁ガラスの盛り付け量が最も厚くなっている。しかし、従来の絶縁ガラスの表面形状では、開口部84、94の径中心方向に圧縮する圧縮応力を、絶縁ガラスが図8(a)の釣鐘型で垂直に、図8(b)の円錐型で直線45度の傾斜面で受け止めていたので、構造的に弱くアイレットの開口端から平衡にクラックが発生しやすかった。
【0009】
本発明の絶縁ガラスは、図7の(a)、(b)および(c)に示すように、絶縁ガラスをアイレットの開口部の内璧端からリード周壁部まで延在させて、耐電圧に必要な沿面距離を確保しつつ、絶縁ガラスの露出面をカテナリー状フィレット、すなわちガラス断面輪郭がアイレットの開口部側に窪んだ弧状に成形したことで、アイレットからの圧縮応力を45度未満の浅い角度で、かつ弧状曲線からなる懸垂曲面(カテナリー曲面)で受け止めることができる。これにより、アイレットとリード間の高耐電圧を確保しながら、アイレット開口端部領域の圧縮応力(白抜きの矢印)によるガラスクラック89、99を抑止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、気密端子のガラスクラックを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る実施例1の気密端子10の平面図である。
図2】本発明に係る実施例1の気密端子10の側面図および図1のA-A線に沿った部分断面図である。
図3】本発明に係る実施例1の気密端子10の下面図である。
図4】本発明に係る実施例2の気密端子20の平面図である。
図5】本発明に係る実施例2の気密端子20の側面図および図4のA-A線に沿った部分断面図である。
図6】本発明に係る実施例2の気密端子20の下面図である。
図7】本発明に係る気密端子の絶縁ガラスの形状を説明する部分断面図であり、実施例の形状を(a)、(b)および(c)に、比較例の形状を(d)に示す。
図8】従来の気密端子における絶縁ガラスの形状を示した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の気密端子は、鋼材からなるアイレットに設けた開口部に鉄系合金材または銅芯鉄系合金材のリードを貫通させて、さらにアイレットとリードとを絶縁ガラスによって気密封着し電気絶縁した気密端子であって、少なくともインナ側の絶縁ガラスは、アイレットの貫通孔からリードに延在させており、かつ少なくともインナ側の絶縁ガラスの表面形状は、カテナリー状フィレットすなわち絶縁ガラスの断面輪郭がアイレットの開口部側に窪んだ弧状になるように成形されている。アイレットは、絶縁ガラスとリードとを圧縮封止でき耐圧容器等と溶接できれば何れの材料も利用でき、特に限定されないが、例えば炭素鋼またはステンレス鋼が好適である。リード材は、ガラスとの封着性に優れ導電性の部材であれば何れの材料も利用でき、特に限定されないが、例えば鉄クロム合金材または銅芯鉄クロム合金材が好適である。絶縁ガラス材は、アイレットとリードとを電気絶縁し気密封着できれば何れのガラス材料も利用でき、特に限定されないが、例えばソーダライムガラス、ソーダバリウムガラスなどが好適である。アイレットの開口部にリードを挿通し、絶縁ガラスにより気密封着してアイレットとリードを電気的に絶縁する。
【実施例
【0013】
本発明に係る実施例1の気密端子10は、図1ないし図3に示されるように、炭素鋼からなるアイレット15に設けた開口部(筒状部)14に鉄クロム合金のリード17を貫通させて、さらにアイレット15とリード17とをソーダバリウムガラスの絶縁ガラス16によって気密封着し電気絶縁した気密端子であって、インナ側の絶縁ガラス16aは、アイレット15の開口部14からリード17の周壁部に向けて所定の長さに渡って延在させており、かつインナ側の絶縁ガラス16aの表面形状はカテナリー状フィレット、すなわちガラス断面輪郭が開口部14の側に弓形に窪んでスムーズな円弧を描いた弧状になるように成形された冷凍機の圧縮機用の圧縮封止型気密端子である。
【0014】
実施例1の気密端子10は、天板部11と円筒部12と、円筒部12の外周から斜め外方に広がるフランジ部13および3個の開口部(筒状部)14を一体に有する炭素鋼のアイレット15と、アイレット15の開口部14にソーダバリウムガラスの絶縁ガラス16によって気密封着した鉄-クロム合金のリード17とを有し、インナ側の絶縁ガラス16aは、アイレット15の開口部14からリード17の周壁部に向けて所定の長さに渡って延在させており、かつインナ側の絶縁ガラス16aの表面形状はカテナリー状フィレットになるように成形されている。インナ側の絶縁ガラス16aは、図2および図3に示すように、アイレット15の開口部14からリード17に延在させて、高耐電圧に必要な沿面距離を確保しつつ、絶縁ガラス16aの表面形状をカテナリー状フィレットに成形したことで、アイレット15からの圧縮応力を45度未満の浅い角度かつ曲線断面で受け止め、開口部14側に弓形に窪んだ弧状曲面に分散して反らすことができる。これにより、アイレット15とリード17間の沿面距離を確保して、開口端部領域のガラスクラックを抑止し絶縁抵抗の低下を防止することができる。耐圧容器のアウタ側(外側)の絶縁ガラス16bは、リード17への絶縁ガラスの延在部を有さないが、絶縁ゴム被覆18を設けている。
【0015】
本発明に係る実施例2の気密端子20は、図4ないし図6に示されるように、炭素鋼からなるアイレット25に設けた開口部(筒状部)24に鉄クロム合金のリード27を貫通させて、さらにアイレット25とリード27とをソーダバリウムガラスの絶縁ガラス26によって気密封着し電気絶縁した気密端子であって、インナ側の絶縁ガラス26aおよびアウタ側の絶縁ガラス26bは、アイレット25の開口部24からリード27の周壁部に向けて所定の長さに渡って延在させており、かつインナ側の絶縁ガラス26aおよびアウタ側の絶縁ガラス26bの表面形状は、カテナリー状フィレット、すなわちガラス断面輪郭が開口部24の側に弓形に窪んでスムーズな円弧を描いた弧状になるように成形された冷凍機の圧縮機用の圧縮封止型気密端子である。
【0016】
実施例2の気密端子20は、天板部21と円筒部22と、円筒部22の外周から斜め外方に広がるフランジ部23および3個の開口部(筒状部)24を一体に有する炭素鋼のアイレット25と、アイレット25の開口部24にソーダバリウムガラスの絶縁ガラス26によって気密封着した鉄-クロム合金のリード27とを有し、インナ側の絶縁ガラス26aおよびアウタ側の絶縁ガラス26bは、アイレット25の開口部24からリード27の周壁部に向けて所定の長さに渡って延在させており、かつインナ側の絶縁ガラス26aおよびアウタ側の絶縁ガラス26bの表面形状はカテナリー状フィレットになるように成形されている。インナ側の絶縁ガラス26aおよびアウタ側の絶縁ガラス26bは、図4ないし図6に示すように、アイレット25の開口部24からリード27に延在させて、高耐電圧に必要な沿面距離を確保しつつ、絶縁ガラス26a、26bの表面形状をカテナリー状フィレットに成形したことで、アイレット25からの圧縮応力を45度未満の浅い角度かつ曲線断面で受け止め、開口部24の側に弓形に窪んだ弧状曲面に分散して反らすことができる。これにより、アイレット25とリード27間の沿面距離を確保して、開口端部領域のガラスクラックを抑止し絶縁抵抗の低下を防止することができる。
【0017】
本発明に係る気密端子の絶縁ガラスの形状は、図7の(a)、(b)および(c)に示すように、少なくとも耐圧容器のインナ側(内側)の絶縁ガラスは、アイレット開口部の内璧端からリード周壁部まで延在させており、かつ少なくともインナ側の絶縁ガラスの表面形状がカテナリー状フィレット、すなわち絶縁ガラスの断面がアイレットの開口部側に窪んだ弧状になるように成形する。絶縁ガラスは、開口部の内璧端からリードの周壁部に向けて所定の長さに渡って延在させる。絶縁ガラスは、アイレットの開口部の内璧面のみに接するように封着するのがよい。絶縁ガラスの露出表面は、アイレット開口部の内璧端からリードの所定周壁部にかけてガラス断面輪郭が開口部の側に窪んだ弧状の懸垂曲面となるよう成形される。このときアイレット開口部の内璧端と接する絶縁ガラスの端面は、天板部71の平面に対して傾斜角45度未満で封着するのがよい。例えば絶縁ガラスの形状は、図7の(a)、(b)および(c)に示す実施例のように成形する。図7の実施例(a)の絶縁ガラスの形状は、アイレット開口部の内璧の内側から、天板平面に対して一旦水平面を描いてからリード壁面まで封着されている。図7の実施例(b)の絶縁ガラスの形状は、アイレット開口部の内璧端(エッジ)から一旦開口部の内側に凹んでJ字を描いてリード壁面まで封着されている。図7の実施例(c)の絶縁ガラスの形状は、アイレット開口部の内璧端(エッジ)から一旦天板平面に対して傾斜角45度未満で水平面を描いてからリード壁面を這い上がるように封着されている。
【0018】
図7においてアイレット75の圧縮応力700は、開口部を締め付けるように付加されるので、絶縁ガラス76には、圧縮応力と反対方向に剪断応力701が発生する(図7(a)参照)。図7の(a)、(b)および(c)に示す実施例の絶縁ガラス形状は、絶縁ガラス76をアイレットの開口部の内璧端702からリード周壁部703まで延在させて、耐電圧に必要な沿面距離を確保しつつ、絶縁ガラスの露出面をカテナリー状フィレット、すなわちガラス断面輪郭がアイレットの開口部側に窪んでスムーズな円弧を描いた弧状に成形したことで、アイレット75からの圧縮応力700を45度未満の浅い角度で、かつ弧状曲線からなる懸垂曲面(カテナリー曲面)で受け止めることができる。これにより、アイレット75とリード77間の耐電圧を確保しながら、アイレット開口端部領域の圧縮応力700を懸垂曲面に分散しガラスクラックを抑止する。
【0019】
これに対して図7の(d)に示す比較例の絶縁ガラスの形状は、アイレット開口部の内璧端702よりガラスが図の下側に垂れるようにはみ出た部分fがあり、絶縁ガラス76が天板71平面に対してほぼ垂直(天板平面に対し傾斜角45度以上)に封着されており、アイレット75からの圧縮応力700を、従来の気密端子と同様に垂直に受け止めてしまうため、開口端からリードまで平行にクラックが発生しやすい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、高耐圧性、高絶縁性が要求される気密端子に使用でき、特に冷凍機の圧縮機用の気密端子に利用できる。
【符号の説明】
【0021】
気密端子10、20、天板部11、21、71、円筒部12、22、フランジ部13、23、開口部(筒状部)14、24、84、94、アイレット15、25、75、85、95、リード17、27、77、87、97、絶縁ガラス16、26、76、86、96、インナ側の絶縁ガラス16a、26a、アウタ側の絶縁ガラス16b、26b、絶縁ゴム被覆18、圧縮応力700、剪断応力701、アイレット内璧端702、リード周壁部703、はみ出た部分f、ガラスクラック89、99。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8