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特許7132125ニューロペプチドS受容体(NPSR)アゴニスト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】ニューロペプチドS受容体(NPSR)アゴニスト
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/023 20060101AFI20220830BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 31/215 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 31/235 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 31/445 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220830BHJP
   C07K 7/08 20060101ALN20220830BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20220830BHJP
【FI】
C07K5/023
A61K31/165 ZNA
A61K31/215
A61K31/235
A61K31/445
A61K31/55
A61K38/05
A61P3/04
A61P25/00 101
A61P25/18
A61P25/20
A61P25/22
A61P25/28
A61P25/30
A61P43/00 111
A61P43/00 121
C07K7/08
C07K14/705
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2018549269
(86)(22)【出願日】2017-03-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-30
(86)【国際出願番号】 US2017023762
(87)【国際公開番号】W WO2017176461
(87)【国際公開日】2017-10-12
【審査請求日】2020-03-18
(31)【優先権主張番号】62/318,042
(32)【優先日】2016-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507021506
【氏名又は名称】リサーチ トライアングル インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】スコット ラニヨン
(72)【発明者】
【氏名】カーラ ハッスラー
(72)【発明者】
【氏名】クレッグ シナー
(72)【発明者】
【氏名】サンジュ ナラヤナン
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500293(JP,A)
【文献】国際公開第2010/044441(WO,A1)
【文献】特表2015-505297(JP,A)
【文献】国際公開第01/052900(WO,A1)
【文献】Protein Science,2003年,Vol.12, No.2,p.278-287
【文献】Anal. Chem.,2000年,Vol.72, No.21,p.5201-5205
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iにより表される化合物および医薬的に許容されるその塩から選択される、ニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニスト。
【化1】
(式中、Rは、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシ、フェネチル、C-Cアルキルシクロアルキル、-NHC(O)フェニル、多環式複素環、または分岐もしくは非分岐のC-Cアルキルから選択され;
は、ベンジルであり;
は、H、ベンジルまたはリシン側鎖であり;
は、
(a)1個のC(O)NH基で置換された5員飽和環、
(b)1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環もしくは芳香族環、または
(c)C-Cアミドアルキルであり;
は、H、またはC-Cアルキルである)
【請求項2】
が、フェネチルであり;
が、1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環であり、
とRが、Hである、請求項1に記載のニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニスト。
【請求項3】
が、フェニルまたはベンジルである、請求項1に記載のニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニスト。
【請求項4】
が、-NHC(O)フェニルであり;
が、C-Cアミドアルキルであり、
が、Hである、請求項1に記載のニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニスト。
【請求項5】
が、-NHC(O)フェニルであり;
が、1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環であり、
が、メチルである、請求項1に記載のニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニスト。
【請求項6】
が、フェネチルであり;
が、1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環である、請求項1に記載のニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニスト。
【請求項7】
が、C-Cアルキルシクロアルキルまたは分岐もしくは非分岐のC-Cアルキルであり;
が、1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環であり;
とRが、Hである、請求項1に記載のニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニスト。
【請求項8】
が、CHCH-シクロヘキシルまたはイソペンチルである、請求項7に記載のニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニスト。
【請求項9】
が、フェネチルであり;
が、Hまたはリシン側鎖であり;
が、
(a)1個のC(O)NH基で置換された5員飽和環、または
(b)1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環もしくは芳香族環である、請求項1に記載のニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニスト。
【請求項10】
以下の構造または医薬的に許容されるその塩である、ニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニスト。
【化2】
【請求項11】
以下の構造または医薬的に許容されるその塩である、ニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニスト。
【化3】
【請求項12】
以下の構造または医薬的に許容されるその塩である、ニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニスト。
【化4】
【請求項13】
式IIにより表される化合物および医薬的に許容されるその塩から選択される、ニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニスト。
【化5】
(式中、R1’は、フェニルであり;
2’は、ベンジルであり;
A、A’およびA”は、-NH-または-O-から独立して選択され、ただし、A、A’およびA”のうち少なくとも1つは、-O-であり;
は、Hであり;
4’は、1個のC(O)NH基で置換された5員飽和環または1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環もしくは芳香族環である)
【請求項14】
式IIのR4’が、1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環である、請求項13に記載のニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニスト。
【請求項15】
請求項1に記載のニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニストと医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項16】
ニューロペプチドS受容体活性の活性化が治療上有益である状態または障害を有する対象を治療するための請求項1に記載のニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニストの使用であって、
前記状態または障害を有する前記対象に、治療有効量の前記ニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニストを投与することを含み、
ニューロペプチドS受容体活性の活性化が治療上有益である前記状態または前記障害が、薬物乱用、ナルコレプシー、不眠症、肥満、認知低下、痴呆、アルツハイマー病、パニック障害、全般性不安、PTSD、恐怖症、統合失調症からなる群から選択される、使用(ただし、前記対象はヒトを除く。)。
【請求項17】
有効量の第2の治療上有効な薬剤を投与することをさらに含む、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
請求項10に記載の化合物と医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項19】
請求項11に記載の化合物と医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項20】
請求項12に記載の化合物と医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項21】
請求項13に記載の化合物と医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項22】
ニューロペプチドS受容体活性の活性化が治療上有益である状態または障害を有する対象を治療するための請求項13に記載のニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニストの使用であって、
前記状態または障害を有する前記対象に、治療有効量の前記ニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニストを投与することを含み、
ニューロペプチドS受容体活性の活性化が治療上有益である前記状態または前記障害が、薬物乱用、ナルコレプシー、不眠症、肥満、認知低下、痴呆、アルツハイマー病、パニック障害、全般性不安、PTSD、恐怖症、統合失調症からなる群から選択される、使用(ただし、前記対象はヒトを除く。)。
【請求項23】
有効量の第2の治療上有効な薬剤を投与することをさらに含む、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
ニューロペプチドS受容体活性の活性化が治療上有益である状態または障害を有する対象を治療するための請求項10に記載のニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニストの使用であって、
前記状態または障害を有する前記対象に、治療有効量の前記ニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニストを投与することを含み、
ニューロペプチドS受容体活性の活性化が治療上有益である前記状態または前記障害が、薬物乱用、ナルコレプシー、不眠症、肥満、認知低下、痴呆、アルツハイマー病、パニック障害、全般性不安、PTSD、恐怖症、統合失調症からなる群から選択される、使用(ただし、前記対象はヒトを除く。)。
【請求項25】
有効量の第2の治療上有効な薬剤を投与することをさらに含む、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
ニューロペプチドS受容体活性の活性化が治療上有益である状態または障害を有する対象を治療するための請求項11に記載のニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニストの使用であって、
前記状態または障害を有する前記対象に、治療有効量の前記ニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニストを投与することを含み、
ニューロペプチドS受容体活性の活性化が治療上有益である前記状態または前記障害が、薬物乱用、ナルコレプシー、不眠症、肥満、認知低下、痴呆、アルツハイマー病、パニック障害、全般性不安、PTSD、恐怖症、統合失調症からなる群から選択される、使用(ただし、前記対象はヒトを除く。)。
【請求項27】
有効量の第2の治療上有効な薬剤を投与することをさらに含む、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
ニューロペプチドS受容体活性の活性化が治療上有益である状態または障害を有する対象を治療するための請求項12に記載のニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニストの使用であって、
前記状態または障害を有する前記対象に、治療有効量の前記ニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニストを投与することを含み、
ニューロペプチドS受容体活性の活性化が治療上有益である前記状態または前記障害が、薬物乱用、ナルコレプシー、不眠症、肥満、認知低下、痴呆、アルツハイマー病、パニック障害、全般性不安、PTSD、恐怖症、統合失調症からなる群から選択される、使用(ただし、前記対象はヒトを除く。)。
【請求項29】
有効量の第2の治療上有効な薬剤を投与することをさらに含む、請求項28に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2016年4月4日に出願された米国仮出願第62/318,042号の優先権を主張する。そのような関連する仮出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、様々な疾患、症候群および状態の治療において使用され得る、ニューロペプチドS受容体に特異的な化合物に関する。本開示はさらに、ニューロペプチドS受容体の機能を選択的に調節して、ニューロペプチド受容体によって影響を受ける状態または障害に影響を及ぼし得る薬物療法を提供するための方法、化合物および組成物に関する。
【関連技術の説明】
【0003】
ニューロペプチドS(NPS)は、現在ではニューロペプチドS受容体(NPSR)と呼ばれる、以前のオーファンGタンパク質結合受容体GPR154の内因性リガンドである。ニューロペプチドSは、同族のGqまたはGs共役型GPCR受容体システムの活性化を通じてアゴニストとして機能する20アミノ酸ペプチドである。
【0004】
選択的ニューロペプチドS受容体活性化により、ニューロペプチドSは、覚醒、ストレスおよび不安、運動活動、食物摂取、記憶過程ならびに薬物乱用を含む、いくつかの生物学的機能を調節する。
【0005】
NPSの影響を受けると考えられる生物学的活性を考慮して、当技術分野では、NPSの望ましい効果の活性化をもたらす化合物および組成物を探している。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、ニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニストに関する。別の態様では、本開示は、式IまたはIIのNPSRアゴニストおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0007】
ニューロペプチドS受容体アゴニストは、式IまたはIIの1つのニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニストまたは医薬的に許容されるその塩から選択され得る:
【化1】
式中、Rは、H、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシ、C-Cアリールアルキル、C-Cアルキルシクロアルキル、-NHC(O)フェニル、多環式複素環、または分岐もしくは非分岐のC-Cアルキルから選択され;
は、H、ベンジル、またはC-Cアリールアルケニルから選択され;またはRとRは、結合してフェニルを形成し;ただし、RとRは、両方ともHではなく;
は、Hまたはリシン側鎖であり;
は、1個の-C(O)NH基で置換された5員飽和環または1個の-C(O)NH基で置換された6員飽和環もしくは芳香族環、1個の-C(O)NH基で置換された複素環アルキル、1個の-C(O)NH基で置換された架橋二環式環系、環状イミド、または-CH(Ph)-CH-C(O)NHであり、ただし、R-NHC(O)フェニルである場合、Rは1個の-C(O)NH基で置換された5員飽和環または1個の-C(O)NH基で置換された6員飽和環もしくは芳香族環でないか、またはRは、C-Cアルキルであり;
は、H、C-Cアルキル、またはベンジルであり;
1’は、フェニルであり;
2’は、ベンジルであり;
A、A’およびA”は、-NH-または-O-から独立して選択され、ただし、A、A’およびA”のうち少なくとも1つは、-O-であり;
4’は、1個の-C(O)NH基で置換された5員飽和環または1個の-C(O)NH基で置換された6員飽和環もしくは芳香族環である。
【0008】
さらなる態様では、本開示は、ニューロペプチドS受容体活性の調節が治療上有益である状態又は障害を有する対象を治療する方法に関し、前記状態または障害を有するまたは前記状態または障害に影響されやすい前記対象に、治療的に有効量の式IまたはIIの化合物を投与することを含む。
【0009】
本開示の他の態様、特徴および実施形態は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。
【本開示の詳細な説明およびその好ましい実施形態】
【0010】
本開示は、ニューロペプチドS受容体アゴニストに関する。本開示のアゴニストは、ニューロペプチドSレセプターに対して親和性および活性を示す類似体を含む。したがって、本開示による分子は、ニューロペプチドS受容体の調節によって媒介される障害、症候群および状態の処置において有用であり得る。
【0011】
ヒトニューロペプチドS(hNPS)は、一次配列SFRNGVGTGMKKTSFQRAKS(配列番号1)を有する20残基ペプチドである。ニューロペプチドS受容体における構造-機能の関係の研究は、NPSのNH2末端第3、特に残基Phe-2、Arg-3、Asn-4およびVal-6がNPSRの活性化に必要かつ十分であることを示している。Bernierら、J.Biol. Chem., 281(34):24704-24712(2006)。この研究によれば、C末端14残基(ペプチド1-6)の除去はペプチドの効力に限定された効果を有するが、Ser-1(ペプチド2-20)の除去は機能に有害であり、最初の2つ(ペプチド3-20)または3つ(ペプチド4-20)のNH-末端残基の除去は、ほとんど不活性なペプチドを生じる。この研究はさらに、最初の6つの残基、特に残基Phe-2、Arg-3、Asn-4およびVal-6が受容体活性化に必要であるが、残基Gly-7は決定的に存在し、ペプチドの固有の活性を調節する。
【0012】
別の研究によると、hNPSの効果は、フラグメントhNPS-(1-10)によって模倣され、Phe-2、Arg-3およびAsn-4が、生物学的活性にとって決定的に重要であり、配列Thr8-Gly9-Met10は、受容体活性化にとって重要である。Rothら、J.Biol. Chem.,281(30):20809-20816(2006)。この研究は、配列1-10が全長hNPSと同様の効力および有効性でhNPSRを活性化することができる最小のフラグメントであると結論付けた。
【0013】
これらの研究を考慮して、他の研究者が、ヒトニューロペプチドSの3位および4位(Camardaら, Biog. & Med. Chem. 16:8841-8845 (2008))、2位(Camardaら, J. Med Chem. 51:655-658 (2008))および5位(Guerriniら, J. Med. Chem. 52:524-529, 4068-4071 (2009))での構造活性研究を含む、より長いペプチドhNPSにおける様々なアミノ酸の変化の影響を研究した。
【0014】
薬物としてのペプチドの使用は、とりわけ、胃腸管および血清におけるタンパク質分解に対する低い代謝安定性、胃腸管から血液への輸送不良および中枢神経系への不十分な浸透などの因子によって制限され得る。完全なニューロペプチドSリガンドを薬物として使用する際の問題を考慮して、本開示は、ニューロペプチドS受容体において活性を提供する小分子化合物を提供する。NPSRの開示されるアゴニストが、切断ペプチド構造がhNPSRを活性化することができないことを示した以前の研究にもかかわらず、NPS受容体に対して有効な効力および選択性を有することが予想外に見出された。さらに、開示されるアゴニストは、減少した歩行運動刺激を示す、より選択的な治療選択肢を可能にするように、シグナル伝達経路を活性化すると考えられる。
【0015】
本開示の一態様によれば、式IまたはIIの1つのニューロペプチドS(NPS)受容体アゴニスト、または医薬的に許容されるその塩が提供される:
【化2】
式中、Rは、H、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシ、C-Cアリールアルキル、C-Cアルキルシクロアルキル、-NHC(O)フェニル、多環式複素環、または分岐もしくは非分岐のC-Cアルキルから選択され;
は、H、ベンジル、またはC-Cアリールアルケニルから選択され;またはRとRは、結合してフェニルを形成し;ただし、RとRは、両方ともHではなく;
は、Hまたはリシン側鎖であり;
は、1個のC(O)NH基で置換された5員飽和環または1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環もしくは芳香族環、1個のC(O)NH基で置換された複素環アルキル、1個のC(O)NH基で置換された架橋二環式環系、環状イミド、またはCH(Ph)-CH-C(O)NHであり、ただし、R-NHC(O)フェニルである場合、Rは1個のC(O)NH基で置換された5員飽和環または1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環もしくは芳香族環でないか、またはRは、C-Cアルキルであり;
は、H、C-Cアルキル、またはベンジルであり;
1’は、フェニルであり;
2’は、ベンジルであり;
A、A’およびA”は、-NH-または-O-から独立して選択され、ただし、A、A’およびA”のうち少なくとも1つは、-O-であり;
4’は、1個のC(O)NH基で置換された5員飽和環または1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環もしくは芳香族環である。
【0016】
用語は、それらの受け入れられた意味の範囲内で使用される。以下の定義は、定義された用語を明確にするためのものであり、限定するものではない。
【0017】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「and」、および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0018】
本明細書で使用されるように、炭素数範囲、例えばC-C12アルキル中の同定は、その範囲内の成分炭素数部分の各々を含むように意図され、その結果、記載された範囲の各介在炭素数および任意の他の記載または介在炭素数値が含まれ、特定の炭素数範囲内の炭素数のサブ範囲は、独立して本発明の範囲内のより小さい炭素数範囲に含まれてもよく、ある炭素数を具体的に除く炭素数の範囲は本発明に含まれ、特定の範囲御炭素数の限界の一方または両方を除くサブ範囲もまた本開示に含まれる。
【0019】
従って、C-C12アルキルは、直鎖とイソプロピルおよびtert-ブチルなどの分岐基のタイプを含む、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル及びドデシルを包含することを意図している。従って、置換基部分に広く適用できるような炭素数範囲、例えばC-C12またはC-Cの特定は、本開示の特定の実施形態において、炭素数範囲をさらに制限することを可能にし、より広範な置換基部分内の炭素数範囲を有する部分のサブグループとして定義される。例として、例えばC-C12アルキルは、C-Cアルキル、C-Cアルキル、C-Cアルキル、C-Cアルキル、または広い炭素数範囲内の任意の他のサブ範囲などのサブ範囲を包含するために、本開示の特定の実施形態においてより限定的に特定することができる。したがって、例えば、C-Cの範囲は、より広い範囲におけるC-C、C-C、C-C、C-Cなどの下位範囲の指定を含むものである。
【0020】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和の分岐、直鎖または環状アルキル基を指す。
【0021】
「アリールアルキル」、「ヒドロキシアルキル」、「シクロアルキルアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」または「アリールアルケニル」のように、用語「アルキル」または「アルケニル」が第2の基と共に接尾辞として使用される場合、第2の基は、アルキル基を介して分子の残りに結合される。
【0022】
「シクロアルキル」は、任意に置換された非芳香族環状炭化水素環を指す。他に示さない限り、シクロアルキルは3~8個の炭素原子からなる。例示的な「シクロアルキル」基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルキル基は、例えば、ハロゲンまたはC-Cアルキルで、置換されていてもよくまたは非置換であってもよい。
【0023】
「複素環」は、環構造の一部として1個以上のヘテロ原子(例えば、O、N、S)を含み、環内に2~7個の炭素原子を有する飽和または不飽和の環状基を指す。実施形態において、複素環は、フェニルなどのアリール基に縮合していてもよい。このような実施形態では、複素環は2つ以上のアリール基に縮合していてもよい。多環式複素環は、2つより多い環式環、例えば3つの環式環を有する環式基を指す。複素環または多環式複素環は、例えば、ハロゲン、カルボニルまたはC-Cアルキルで置換されていてもよく、または非置換であってもよい。
【0024】
「ヘテロアリール」は、環構造の一部として1個以上のヘテロ原子(例えばO、N、S)を含み、環内に2~7個の炭素原子を有する不飽和芳香族の環状基を指す。ヘテロアリール基は、フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、ピロロ、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリルなどを含むことができる。ヘテロアリール基は、例えば、ハロゲン、またはC-Cアルキルで置換されていてもよく、または非置換であってもよい。
【0025】
本明細書で使用される「アリール」は、ベンゼンまたは6~10個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環式基であるベンゼン誘導体に由来する炭化水素を含む。アリールは、単環または多環を有していてもよい。一例はフェニル基である。アリール基は、例えば、ハロゲン、またはC-Cアルキルで置換されていてもよく、または非置換であってもよい。
【0026】
「アリールアルキル」は、アリール置換アルキル基を指す。アリールアルキル基には、ベンジルおよびフェネチルが含まれる。
【0027】
「アルキルシクロアルキル」は、シクロアルキル置換アルキル基を意味する。
【0028】
本開示の化合物は、特定の実施形態において、本明細書に記載されたその様々な仕様および例示に関連して、特定の置換基、基、部分または構造を除いた条件または制限によってさらに特定され得る。したがって、本開示は、制限的に定義された組成物、例えばRがC~C12アルキルであり、ただし、Rが特定の分子成分であり、iが特定の炭素数である場合、RがCiアルキルでない組成物を企図する。置換基は、任意の様式で互いに選択され、組み合わされて、式Iまたは式IIの化合物をもたらすことができる。
【0029】
キラル中心が存在する場合、構造の立体化学は、他に指示がない限り、RおよびS立体配置の両方を含む。
【0030】
種々の記載された特徴、態様及び実施形態に関して本明細書に記載された開示は、特に、そのような特徴、態様及び実施形態の一部又は全部を含むように構成されることができる。その要素および構成要素は、本開示の様々なさらなる実装を構成するために集約される。開示は、本開示の範囲内にある様々な順列および組み合わせのそのような特徴、態様および実施形態を意図する。したがって、本開示は、これらの特定の特徴、態様および実施形態、またはそれらの選択された1つまたは複数のそのような組合せおよび置換のいずれかを含む、またはそれらから本質的になるものとして指定されてもよい。
【0031】
本開示の一態様では、ニューロペプチドS受容体は、式Iにより表される化合物から選択される、または医薬的に許容されるその塩である:
【化3】
式中、Rは、H、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシ、C-Cアリールアルキル、C-Cアルキルシクロアルキル、-NHC(O)フェニル、多環式複素環、または分岐もしくは非分岐のC-Cアルキルから選択され;
は、H、ベンジル、またはC-Cアリールアルケニルから選択され;またはRとRは、結合してフェニルを形成し;ただし、RとRは、両方ともHではなく;
は、H、ベンジルまたはリシン側鎖であり;
は、1個のC(O)NH基で置換された5員飽和環または1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環もしくは芳香族環、1個のC(O)NH基で置換された複素環アルキル、C-Cアミドアルキル、1個のC(O)NH基で置換された架橋二環式環系、環状イミド、またはCH(Ph)-CH-C(O)NHであり、ただし、R-NHC(O)フェニルである場合、Rは1個のC(O)NH基で置換された5員飽和環または1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環もしくは芳香族環でないか、またはRは、C-Cアルキルであり;
は、H、C-Cアルキル、またはベンジルである。
【0032】
非限定的な実施形態では、アリールおよび複素環は置換されていないか、または既に置換されている場合、さらに置換されない。他の非限定的な実施形態では、複素環は窒素を含む5または6員環である。例として、複素環は、複素環基の窒素を介してアルキル鎖に結合していてもよい。さらなる例として、ヘテロシクロアルキル基中のアルキルはC-Cアルキルである。
【0033】
他の非限定的な実施形態において、Rは、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシまたはフェネチルであり;Rはベンジルであり;Rは、1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環である。このような実施形態では、RおよびRはHであってもよい。
【0034】
他の非限定的な実施形態において、Rはフェニルまたはベンジルであり、Rはベンジルである。
【0035】
他の非限定的な実施形態において、Rは、-NHC(O)フェニルであり、Rは、ベンジルであり、Rは、C-Cアミドアルキルであり、より好ましくは-CH(CH)CHC(O)NHまたは-CH(Ph)-CH-C(O)NHなどのカルボキサミド基であり;Rは、Hまたはベンジルである。
【0036】
他の非限定的な実施形態において、Rは、-NHC(O)フェニルであり、Rは、ベンジルであり、Rは、1個のC(O)NHで置換された6員飽和環(すなわちシクロヘキサン)であり、Rはメチルである。そのような実施形態では、Rは、Hであってもよい。
【0037】
他の非限定的な実施形態では、Rは、Hまたはフェネチルであり、Rは、C-Cアリールアルケニルであり、Rは、1個のC(O)NHで置換された6員飽和環である。
【0038】
他の非限定的な実施形態において、Rは、C-C-アルキルシクロアルキル、より好ましくはCHCH-シクロヘキシル、または分岐もしくは非分岐のC-C-アルキル、より好ましくはイソペンチルであり、Rは、ベンジルであり、Rは、1個のC(O)NHで置換された6員飽和環である。このような実施形態では、RおよびRは、Hであってもよい。
【0039】
他の非限定的な実施形態において、Rは、フェネチルであり、Rは、ベンジルであり、Rは、Hまたはリシン側鎖であり、Rは、1個のC(O)NH基で置換された5員飽和環(すなわちシクロペンタン)、または1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環もしくは芳香族環、1個のC(O)NH基で置換されたヘテロシクロアルキル、または1個のC(O)NH基で置換された架橋二環系である。一例として、その二環系は、ビシクロ[2.2.2]オクタンまたはビシクロ[2.2.1]ヘプタンであってもよい。
【0040】
非限定的な実施形態では、環状イミドはスクシンイミドである。
【0041】
他の非限定的な実施形態において、多環式複素環は、アリール基に縮合した複素環である。特定の実施形態において、多環式複素環は、以下の式によって表される:
【化4】
【0042】
代表的な式IのニューロペプチドS受容体アゴニストとしては、以下が挙げられる:
【0043】
【化5】
【化6】
【0044】
【化7】
【0045】
【化8】
【0046】
【化9】
【0047】
【化10】
【0048】
【化11】
【0049】
本開示の別の態様では、ニューロペプチドS受容体は、式IIで表される化合物から選択される、または医薬的に許容されるその塩である。
【化12】
式中、R1’は、フェニルであり;
2’は、ベンジルであり;
A、A’およびA”は、-NH-または-O-から独立して選択され、ただし、A、A’およびA”のうち少なくとも1つは、-O-であり;
は、H、ベンジルまたはリシン側鎖であり;
4’は、1個のC(O)NH基で置換された5員飽和環または1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環もしくは芳香族環である。
【0050】
非限定的な実施形態において、式IIのR4’は、1個のC(O)NH基で置換された6員飽和環(すなわち、シクロヘキサン)である。
【0051】
代表的な式IIのニューロペプチドS受容体アゴニストとしては、以下が挙げられる:
【0052】
【化13】
【化14】
【0053】
本開示の化合物は、NPS受容体に対する完全アゴニスト活性および部分アゴニスト活性を有する。EC50値は14~3544nMの範囲である。
【0054】
ニューロペプチドS受容体は、野生型NPS Asn107、NPS Asn107lleおよびNPS C-Altを含む少なくとも3つの既知のアイソフォームを有する。各変異体は潜在的に機能的差異を有し得るため、各アイソフォームのアゴニスト感受性を評価した。[125I]Tyr10-NPSの放射性リガンド結合は、受容体変異体の間で変更されなかった。しかしながら、Asn107よりもIle107変異体では、カルシウムフラックスを用いた機能的感度の5~10倍の増強が観察された。機能的アッセイにおいて、hNPSは、NPSR-C-Altにおいて最も弱かった(107I変異体に対して30倍低い)。
【0055】
in situハイブリダイゼーションは、NPS受容体mRNAがCNS全体にわたって広く発現されることを示した。特に、視床、視床下部、皮質、海馬および扁桃体において高レベルのNPS受容体mRNAが同定された。しかしながら、ヒトNPS前駆体mRNAは、脳幹の座髄(LC)においてかなり発現され、アミノ酸Arg Lysに隣接する特異的切断部位で89AAシグナルペプチドから切断される。LCにおけるmRNA局在化のために、NPSは、興奮、不安、またはその両方において役割を果たすと仮定された。NPSの覚醒および抗不安促進特性は、その後、ストレス誘発低体温を用いて確認されている。これらの特性を考慮すると、NPS受容体系は、非鎮静抗不安薬の標的として有用であり得る。
【0056】
他の研究は、睡眠-覚醒サイクルにおけるNPSの役割についての証拠を見出し、通常の就寝時間とNPS N107I SNPとの間の特定の関連性が発見された。したがって、NPSの薬物療法は、不眠症またはナルコレプシーに罹患している患者にとって有益であり得る。
【0057】
NPSR mRNAは、endopiriform cortex/核および海馬台などの、学習および記憶を調節することで知られている海馬の領域において非常に高いレベルで発現される。したがって、NPSは記憶および記憶の統合に関与している可能性がある。NPS投与は、新規認識アッセイにおいて用量依存的にパフォーマンスを改善し、記憶における生化学的役割を確認した。
【0058】
NPSはまた、嫌悪記憶の統合における同時減少に加えて、急性抗不安様作用の誘発にも関与している。NPSは、恐怖学習を抑止するのではなく、恐怖表現を緩和することに関与していることが判明した。従って、NPS受容体の活性化は、不安を緩和する上で二重の役割を果たすことが見出された。NPSが不安に与える急性効果に加えて、嫌悪記憶の消滅を促進する重要な役割が確認されている。したがって、本開示のNPSアゴニスト化合物および組成物は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの不安および不安関連障害を効果的に治療するために有用であり得る。
【0059】
本開示の一態様では、ニューロペプチドS受容体によって調節される様々な障害および状態を治療する方法が提供される。本開示のNPS受容体アゴニストは、薬物乱用、ナルコレプシー、不眠症、肥満、認知低下、痴呆、アルツハイマー病、パニック障害、全般性不安、PTSD、恐怖症、統合失調症に対して、および例えば、薬物中毒、摂食障害および賭博などの、認知行動療法における任意の種類の休止プログラムとして、有用であり得る。
【0060】
用語「有効量」は、例えば研究者または臨床医が求めている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する薬物または医薬品の量を意味する。用語「治療有効量」は、そのような量を受けていない対応する対象と比較して、疾患、障害、または副作用の改善された治療、治癒、予防または改善、または疾患または障害の進行速度の低下に至る任意の量を意味する。この用語はまた、その範囲内で、正常な生理学的機能を高めるのに有効な量を含む。
【0061】
本開示の1つの態様では、本開示の化合物および組成物は、他の薬物または薬剤と組み合わせて、またはNPS受容体によって調節される状態および障害のタイプの治療に有用な様々な心理療法と組み合わせて使用されてもよい。本開示の化合物および組成物とともに使用することができる薬物または薬剤は、ハロペリドールおよびアリピペラゾールなどの典型的および/または非定型の抗精神病薬またはフルオキセチンおよびセルトラリンなどのモノアミン再取り込み阻害剤を含み得る。
【0062】
本開示の別の態様では、ニューロペプチドS受容体活性の調節が治療上有益である状態又は障害を有する対象を治療する方法が提供され、当該方法は、前記状態または障害を有するまたは前記状態または障害に影響されやすい前記対象に、ニューロペプチドS受容体に対する選択的結合を示し、かつニューロペプチドS受容体に対する機能的アゴニスト活性を示す化合物の有効量を投与することを含む。
【0063】
本開示の一態様では、ニューロペプチドS受容体活性の調節が治療上有益である状態または障害を有する対象を治療するための方法が提供され、当該方法は、前記状態または障害を有するまたは前記状態または障害に影響されやすい前記対象に、ニューロペプチドS受容体における選択的結合および機能的アゴニスト活性を示す式IまたはIIの1つの化合物の有効量を投与することを含む。NPS受容体選択性は、示される受容体における結合親和性またはNPS機能アッセイにおけるそれらの選択性に基づいて決定され得る。
【0064】
実施形態では、投与される化合物は、上記式の任意の化合物の医薬的に許容される塩である。この態様では、式IまたはIIの化合物のいずれかを医薬的に許容される担体と組み合わせてもよい。
【0065】
本開示の化合物の塩は、当業者に公知の方法によって製造することができる。酸は、無機酸または有機酸であってもよい。適切な酸としては、例えば、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酢酸およびギ酸が挙げられる。
【0066】
様々な投与技術を利用することができ、それらの中でも、皮下注射、静脈内注射、腹腔内注射、脳内注射および脳室内注射、カテーテル挿入などの経口、経皮または非経口の技術を利用することができる。このような投与方法は、当業者に周知である。薬物送達システムおよび投与様式の一般的な議論については、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第4版、第8巻、445~475頁を参照されたい。
【0067】
化合物の平均量は、化合物の結合特性(すなわち、結合の親和性、開始および持続時間)に応じて変わることがあり、特に、有資格医師の推奨および処方に基づくべきである。
【0068】
本開示の治療方法を実施する上で有用な治療組成物は、医薬的に許容される賦形剤(担体)および本明細書に記載の活性成分としての本開示の化合物の1つ以上を混合して含み得る。
【0069】
本開示のNPS受容体アゴニストは、様々な方法によって投与してもよい。したがって、経口経路によって活性である本発明の製品は、溶液、懸濁液、エマルション、錠剤(舌下および口腔内の錠剤を含む)、軟ゼラチンカプセル(軟ゼラチンカプセルに使用される溶液を含む)、水性もしくは油性懸濁液、エマルション、丸剤、トローチ剤、トローチ剤、錠剤、シロップ剤またはエリキシル剤などで投与されてもよい。非経口投与に有効な本発明の製品は、デポ注射、Silastic(商標)および生分解性インプラントを含むインプラント、皮膚パッチ、スキンクリーム、または筋肉内および静脈内注射によって投与することができる。
【0070】
組成物は、医薬組成物の製造のための当該分野で公知の任意の方法に従って調製することができ、そのような組成物は、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される1種以上の薬剤を含み得る。錠剤の製造に適した無毒性の医薬的に許容される賦形剤との混合物中に有効成分を含有する錠剤が許容される。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの、不活性希釈剤;トウモロコシデンプン、またはアルギン酸などの顆粒化剤および崩壊剤;デンプン、ゼラチンまたはアカシアなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの潤滑剤でもよい。錠剤はコーティングされていなくてもよく、または胃腸管における崩壊および吸着を遅くし、それにより長期間にわたって持続作用を提供するための既知の技術によってコーティングしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を、単独でまたはワックスと共に使用することができる。
【0071】
経口使用のための製剤は、硬質ゼラチンカプセルとして提供されてもよく、そこでは活性成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合されており、または経口使用のための製剤は、軟質ゼラチンカプセルとして提供されてもよく、そこでは活性成分が水またはピーナッツ油、流動パラフィンまたはオリーブ油などの油媒体と混合されている。
【0072】
本開示の水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に活性物質を含有する。そのような賦形剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムなどの懸濁化剤、および天然リン脂質(例えばレシチン)などの分散剤または湿潤剤、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が挙げられる。水性懸濁液はまた、p-ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピルなどの1つ以上の保存剤、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤およびスクロース、アスパルテームまたはサッカリンなどの1つ以上の甘味剤を含むことができる。当該分野で知られているように、眼科用製剤は、浸透圧について調整される。
【0073】
油性懸濁液は、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油などの植物油、または液体パラフィンなどの鉱油中に活性成分を懸濁させることによって製剤化してもよい。油性懸濁液は、蜜蝋、硬質パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含有してもよい。口当たりのよい経口製剤を提供するために甘味剤を添加してもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存してもよい。
【0074】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した本開示の分散性粉末および顆粒は、分散剤、懸濁剤および/または湿潤剤および1種以上の防腐剤と混合した有効成分から調剤化してもよい。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、上に開示したものによって例示される。さらなる賦形剤、例えば甘味剤、香味剤および着色剤もまた存在してもよい。
【0075】
本開示の医薬組成物はまた、水中油型エマルションの形態であってもよい。油相は、オリーブ油またはラッカセイ油などの植物油、流動パラフィンなどの鉱油、またはこれらの混合物であってもよい。適切な乳化剤は、アラビアゴムおよびトラガカントゴムなどの天然ガム、大豆レシチンなどの天然リン脂質、ソルビタンモノオレエートなどの脂肪酸およびヘキシトール水和物から誘導されるエステルまたは部分エステル、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのこれらの部分エステルおよびエチレンオキシドの縮合生成物である。エマルションはまた、甘味剤および香味剤を含有してもよい。
【0076】
シロップおよびエリキシルは、グリセロール、ソルビトールまたはスクロースなどの甘味剤と製剤化してもよい。そのような製剤はまた、粘滑剤、保存剤、香味剤または着色剤を含んでもよい。
【0077】
本開示の医薬組成物は、滅菌注射可能水性または油性懸濁液など滅菌注射可能製剤の形態であってもよい。この懸濁液は、上記の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、公知の技術に従って調製してもよい。滅菌注射可能製剤はまた、1,3-ブタンジオールの溶液などの非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射可能溶液または懸濁液であってもよい。使用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水およびリンガー溶液、等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発性油は、慣例的に、溶媒または懸濁媒体として使用してもよい。この目的のために、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む任意の低刺激性固定油を使用してもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸も注射剤の調製に使用してもよい。滅菌は、例えば、無菌ろ過または放射線照射などの当業者に公知の従来の方法によって行うことができる。
【0078】
最適な安定性のpHを達成するために、水性製剤(すなわち、水中油型エマルション、シロップ剤、エリキシル剤および注射可能製剤)を製剤化してもよい。最適pHの決定は、当業者に公知の従来の方法によって行うことができる。適切な緩衝液もまた、製剤のpHを維持するために使用してもよい。
【0079】
本開示の化合物は、薬物の直腸投与のために坐剤の形態で投与してもよい。これらの組成物は、薬物を、常温では固体であるが、直腸温度で液体であり、そのため、直腸内で溶解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができる。このような材料の非限定的な例は、カカオバターおよびポリエチレングリコールである。
【0080】
それらはまた、坐剤、通気、粉末およびエアロゾル製剤を含む鼻腔内、眼内、膣内および直腸内経路によって投与してもよい。
【0081】
好ましくは、局所経路によって投与される本開示の製品は、アプリケータスティック、溶液、懸濁液、エマルション、ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、ゼリー、ペイント、粉末およびエアロゾルとして投与してもよい。
【0082】
本開示の利点および特徴は、以下の実施例を参照してさらに説明されるが、これは、本開示の範囲を限定するものではなく、その特定の用途における本開示の一実施形態の例示として解釈されるべきである。
【実施例
【0083】
実施例:
【0084】
スキーム1:トランス 2-(2-(2-ベンジル-4-フェニルブタンアミド)アセトアミド)シクロヘキサンカルボキサミド(R06039-644)の合成
【化15】
スキーム1:試薬および条件:(a)メチルアクリレート、DABCO、MeOH、0℃、48時間、87%;(b)塩化アセチル、ピリジン、0℃、1.5時間;92% (c)塩化ベンジルマグネシウム(1Mエーテル溶液)、ジエチルエーテル、-40℃~-5℃、3時間;77% (d)10%Pd/C、MeOH、45psi、4時間、94%;(e)LiOH、MeOH、THF、HO、室温、3時間;(f)グリシンtert-ブチルエステルヒドロクロリド、BOP、Et3N、室温、3時間、76%。;(g)TFA、CHCl、室温、4時間;76%;(h)エチルトランス-2-アミノ-1-シクロヘキサン、EDC、HCl、CHCl、室温、16時間、60%;(i)LiOH、THF、MeOH、HO、室温、3時間;28%;(j)THF中の0.5M NH、BOP、EtN、室温、3時間、76%。
【0085】
スキーム2.R06039-641中間体の合成。
【化16】
スキーム2:試薬および条件:(a)臭化ベンジル、AgO、CHCN、60℃、16時間、65%;(b)6N HCl、1,4-ジオキサン、60℃、24時間;58%
【0086】
実験項:
【0087】
アミノ酸のための略語およびペプチドの指定は、J. Biol. Chem. 1972, 247, 977-983中のIUPAC-IUB Commission of Biochemical Nomenclatureの規則に従う。他に指示がない限り、アミノ酸記号はL-立体配置を示す。以下の追加の略語を使用する:aq、水性;Boc、tert-ブチルオキシカルボニル;tBu、tert-ブチル;DCM、ジクロロメタン;DIEA、N、N-ジイソプロピルエチルアミン;DMF、N、N-ジメチルホルムアミド;Fmoc、9-フルオレニルメトキシカルボニル;ESI MS、電子スプレーイオン化質量分析;eqiv、当量;Fmoc-トランス-ACHC、Fmoc-トランス-(1R/S,2R/S)-2-アミノシクロシクロヘキサンカルボン酸;ELSD、電子光散乱 ESI-MS、電子スプレー質量分析;h、時間;HOBt、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール;HBTU、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;meq、モル当量;Mtt、モノメトキシトリフェニルメチル;NMR、核磁気共鳴分光法;RP-HPLC、逆相高速液体クロマトグラフィー;rt、室温;TFA、トリフルオロ酢酸;TFE、トリフルオロエタノール;TIPS、トリス-イソ-プロピルシラン;Trt、トリフェニルメチル(トリチル);tR、保持時間。
【0088】
一般:すべての標準試薬は市販されていた。化合物は、Prostar 210二重ポンプ、Prostar 335ダイオードUV検出器およびSEDEX75(SEDERE、Olivet、France)ELSD検出器を備えたAgilent-Varian HPLCシステムによって精製した。HPLC溶媒系は、二成分であり、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を含有する水および溶媒B(5%水および0.1%TFAを含有するアセトニトリル)である。セミ分取Synergy Hydro(登録商標)RP 80A C18カラム(4μm 250×21.2mmカラム;Phenomenex)を用いて、最終化合物を20分間かけて5%~50%Bの直線勾配を用いて15mL/分で精製した。吸光度を220nmでモニターした。最終化合物の純度は、分析用Synergy Hydro(登録商標)RP80A C18(4μm 250×4.60mmカラム;Phenomenex)を用いて、1mL/分の流速で20分かけて5%~95%溶媒Bの直線勾配で決定した。吸光度を220nmでモニターした。Perkin Elmer(San Jose、California)のPE Sciex API 150 EX LC/MSシステムを用いて、最終化合物の分子イオンを決定した。H NMRスペクトルをBruker Avance 300 Spectrospin機器で300MHzで記録し、以下のように報告した:ppmでの化学シフトd(多重度、結合定数(Hz)、および積分)。多重度を説明するために以下の略語を用いた:s=シングレット、d=ダブレット、m=マルチプレット、br=ブロード、dd=ダブレットのダブレット。
【0089】
合成:材料。Nα-Fmoc保護アミノ酸、HBTUおよびHOBtは、AAPPTEC(Louisville、KY)およびChem-Impex International Inc.(Wooddale、IL)から購入した。トリチル樹脂はAnaSpec(Fremont、CA)から購入した。Rink樹脂は、Chem-Impex(Wood Dale、IL)から購入した。ペプチド合成溶媒、試薬、およびHPLC用のCHCNは、商業的供給元から入手し、さらに精製することなく使用した。NPS類似体の合成は、ペプチド合成装置(AAPPTEC Focus XC、AAPPTEC)によって段階的に固相樹脂法で部分的または完全に行った。Nα-Fmoc-AA1-OH(AA1:Fmoc-トランス-ACHC、Nα-Fmoc-(S)-シアノアラニン、Nα-Fmoc-(S)-β-テトラゾララニン、Nα-Fmoc-Nε-Boc-(S)-リシンまたはNβ-Fmoc-(S)-3-アミノ-3-フェニルプロパン酸)を、90分間、ペプチドカップリングによってRink樹脂(0.52meq/g)にカップリングさせるか、DIEA(NMP中2M)によってトリチル樹脂(0.1g、0.9meq/g)にカップリングさせた。以下の保護アミノ酸を次いで段階的に添加した:Nα-Fmoc-AA2-OH(AA2:Fmoc-Gly-OH、Nα-Fmoc-Nε-Boc-(S)-リシン、Nα-Fmoc-Nε-Mtt-(S)-リシン、またはNα-Fmoc-Phe-OH)。各カップリング反応は、DIEA(0.8mL、NMP中2M)の存在下、3倍過剰のアミノ酸をHBTUおよびHOBt(1.5mL、それぞれDMF中0.5M)と用いて行った。DMF中の20%ピペリジン溶液で保護ペプチド樹脂を処理することにより(1×5分、1×10分)、Nα-Fmoc保護基を除去した。
【0090】
ペプチド樹脂をDMFで3回洗浄し、次のカップリング工程を段階的に開始した。すべての反応はN雰囲気下で行った。ペプチド樹脂をDMF(3回)で洗浄し、各カップリング工程後にその脱保護手順を繰り返した。上記のようにしてN末端Fmoc基を除去し、樹脂をDMF(3回)およびDCM(3回)で洗浄し、ペプチドを酢酸/TFE/DCM(1:1:8、10mL)を用いて20分かけて、または1.5時間かけてTFA/TIPS/HO(95:2.5:2.5)を用いて1.5時間かけて、またはTFA/DCM(1:1、5mL)を用いて0.5時間かけて放出した。樹脂をろ過により除去し、冷たい無水エチルエーテルで沈殿させることにより粗ペプチドを回収し、白色粉末を得た。これをそのまままたは15.0mL/分の流速で、0.5%水性TFA中のCHCNの勾配(別段の指示がない限り、30分で5~90%)を用いたセミ分取RP-HPLCにより精製して使用した。適切なHPLC画分を凍結乾燥することによって生成物を得た。分析用RP-HPLCは、>90%の純度を示し、分子量はESI-MSによって確認した。
【0091】
R06039-584の合成
【化17】
【0092】
N-((S)-1-((S)-6-アミノ-1-((R)-3-メチルピペラジン-1-イル)-1-オキソヘキサン-2-イルアミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)ベンズアミドTFA塩(R06039-584)
【0093】
AAPPTEC Focusペプチド合成装置を用いて、DIEA(NMP中2M)を用いて90分間でNα-Fmoc-Nε-Boc-(S)-リシンをトリチル樹脂(200mg、0.9meq/g)にカップリングさせた。樹脂上のアミノ酸をDMF(5×10mL)で洗浄し、Nα-Fmoc保護基をDMF中20%ピペリジン溶液(1×5分、1×10分)で除去し、続いてDMF洗浄(3回)した。窒素雰囲気下、DIEA(0.8mL、NMP中2M)の存在下、HBTUおよびHOBt(1.5mL、それぞれDMF中0.5M)と3倍過剰のアミノ酸を用いて、Nα-Fmoc-Phe-OHを45分かけて添加した。DMF中の20%ピペリジン溶液(1×5分、1×10分)で保護ペプチド樹脂を処理することにより、Nα-Fmoc保護基を除去した。ペプチド樹脂をDMFで3回洗浄し、次いで、窒素雰囲気下、DIEA(0.8mL、NMP中2M)の存在下で、HBTUおよびHOBt(1.5mL、それぞれDMF中0.5M)を用いて安息香酸(3当量)と結合した。ペプチド樹脂をDMF(3回)およびDCM(3回)で洗浄し、ペプチドを酢酸/TFE/DCM(1:1:8、10mL)を用いて1時間かけて樹脂から放出させた。樹脂をろ過によって除去し、冷たい無水エチルエーテルで沈殿させることにより粗ペプチドを回収して、(3S,6S)-3-ベンジル-14,14-ジメチル-1,4,12-トリオキソ-1-フェニル-13-オキサ-2,5,11-トリアザペンタデカン-6-カルボン酸(ベンゾイル-(S)-フェニルアラニン-Nε-Boc-(S)-リシン)TFA塩(ベンゾイル-(S)-フェニルアラニン-Nε-Boc-(S)-リシン、89mg、93%)を白色粉末として得た。この物質を、さらに精製することなく、その後の溶液相カップリングにおいて使用した。
【0094】
(3S,6S)-3-ベンジル-14,14-ジメチル-1,4,12-トリオキソ-1-フェニル-13-オキサ-2,5,11-トリアザペンタデカン-6-カルボン酸TFA塩(ベンゾイル-(S)-フェニルアラニン-Nε-Boc-(S)-リシン)(50mg、0.1mmol)、HBTU(57mg、0.15mmol)、HOBt(23mg、0.15mmol)、および(R)-Boc-2-メチルピペラジン(40mg、0.2mmol)の溶液に、DIPEA(70mL、0.4mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、メタノール(2mL)に再溶解し、0℃に冷却した。ジエチルエーテル中のHClの1N溶液(1.5mL、1.5mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌し、濃縮乾固させた。残留物を、15.0mL/分の流速で、0.5%水性TFA(20分で5~95%)中のCHCNの勾配を使用してセミ分取RP-HPLCによって精製した。所望の生成物をTFA塩(R06039-584:13.3mg、28%)として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) d ppm 1.12-1.42 (m, 5H), 1.43-1.77 (m, 6H), 2.76 (d, J=7.54 Hz, 1H), 2.89-3.15 (m, 3H), 3.18-3.39 (m, 2H), 3.91 (d, J=16.20 Hz, 1H), 4.15 (d, J=12.81 Hz, 2H), 4.40 (d, J=12.06 Hz, 1H), 4.69 (d, J=10.55 Hz, 2H), 7.11-7.57 (m, 8H), 7.69 (br. s., 2H), 7.73-7.84 (m, 2H), 8.47 (br. s., 1H), 8.59 (dd, J=13.37, 8.10 Hz, 1H), 8.88 (br. s., 1H), 9.11 (br. s., 1H);ESI MS m/z:C2737の計算値479.61、実測値480.4(M+H);HPLC(Synergy Hydro、20分)t=11.89分(>99.9%)。
【0095】
R06039-636(1S,2S)-2-ヒドロキシシクロヘキサンカルボキサミドの合成。
【0096】
(1R,2S)-2-ヒドロキシシクロヘキサンカルボニトリル(250mg、2mmol)を濃塩酸(4mL)に入れ、55℃で2.5時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、次いで0℃に冷却した。水酸化ナトリウム溶液(10N、3.5mL)を添加し、続いて飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加して、溶液のpHを8~9に調整した。次いで、溶液をジクロロメタン/THF(70:30)の混合物で数回抽出した。有機層を合わせ、溶媒を減圧下で除去した。残渣をジクロロメタン/THF(70:30)の混合物に取り、30分間撹拌し、ろ過した。濾液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残渣を真空乾燥して、(1S,2S)-2-ヒドロキシシクロヘキサンカルボキサミドを白色固体として得て(166mg、58.0%)、これをさらに精製することなく使用した。1H NMR (300 MHz, METHANOL-d6) d ppm 1.11-1.57 (m, 4H), 1.64-1.82 (m, 2H), 1.87 (d, J=13.00 Hz, 1H), 1.93-2.06 (m, 1H), 2.07-2.22 (m, 1H), 3.54-3.78 (m, 1H), 4.46-4.79 (m, 1H).
【0097】
(1S,2S)-2-カルバモイルシクロヘキシル-2-[(2S)-3-フェニル-2-(フェニルホルムアミド)プロパンアミド]アセテート(R06039-636)
【化18】
【0098】
N-(フェニルカルボニル)-L-フェニルアラニルグリシン(95mg;0.291mmol)、(1S,2S)-2-ヒドロキシシクロヘキサンカルボキサミド(34mg、0.237mmol)およびDCC(60mg、0.291mmol)をジクロロメタン5mL)に溶解し、その混合物を氷浴中で0℃に冷却した。DMAP(30mg、0.246mmol)を加え、混合物を0℃で1時間撹拌した。溶液を室温に温め、一晩撹拌した。溶液をろ過し、続いて、沈殿物をエーテル/ジクロロメタン(50/50)で十分に洗浄し、真空乾燥して白色固体(16mg)を得た。濾液から溶媒を除去し、残渣をジクロロメタンに溶解した。次いで、溶液を0.1N HClで洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、20×20cmプレート、1000ミクロン、THF)によって精製した。次いで、精製した物質をジクロロメタンに溶解し、ヘキサンで沈殿させた。得られた固体を真空乾燥して、R06039-636(33mg;合計49mg;45.7%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) d ppm 0.99-1.49 (m, 4H), 1.53-1.73 (m, 2H), 1.80 (d, J=11.11 Hz, 1H), 1.95 (d, J=9.04 Hz, 1H), 2.21-2.39 (m, 1H), 2.92-3.07 (m, 1H), 3.08-3.22 (m, 1H), 3.64-3.96 (m, 2H), 4.65-4.89 (m, 2H), 6.78 (s, 1H), 7.09-7.20 (m, 1H), 7.21-7.30 (m, 2H), 7.31-7.55 (m, 6H), 7.72-7.84 (m, 2H), 8.51 (t, J=5.84 Hz, 1H), 8.62 (d, J=8.48 Hz, 1H)。ESI MS m/z:C2529の計算値451.51、実測値452.5(M+H)
【0099】
(S)-1-(2-((1R/S,2S/R)-2-カルバモイルシクロヘキシルアミノ)-2-オキソエチルアミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イルベンゾエート(R06039-637)
【化19】
【0100】
Fmoc-トランス-(1R/S,2R/S)-2-アミノシクロシクロヘキサンカルボン酸を、AAPPTEC Focusペプチド合成装置を用いてペプチドカップリングによってRink樹脂(0.52meq/g)にカップリングさせた。Rink樹脂(130mg)をDMF(5×10mL)で洗浄し、Nα-Fmoc保護基をDMF中20%ピペリジン溶液(1×5分、1×10分)と、次いでDMF洗浄(3回)で除去した。次いで、以下の保護アミノ酸を段階的に添加した:Nα-Fmoc-AA2-OH(AA2:Nα-Fmoc-Gly-OH、Nα-Fmoc-Phe-OH)。各カップリング反応は、窒素雰囲気下、DIEA(0.8mL、NMP中2M)の存在下、HBTUおよびHOBt(1.5mL、それぞれDMF中0.5M)と3倍過剰のアミノ酸を用いて45分間かけて行った。DMF中の20%ピペリジン溶液(1×5分、1×10分)で保護ペプチド樹脂を処理することにより、Nα-Fmoc保護基を除去した。ペプチド樹脂をDMFで3回洗浄し、窒素雰囲気下でCHCl(3×10分)で振とうすることにより調節した。塩化ベンゾイル(178mL、1.53mmol)およびNEt(428mL、3.07mmol)をCHCl(10mL)中の上記アミノ酸樹脂の懸濁液に、順次添加した。混合物を窒素雰囲気下で2時間振とうした。ペプチド樹脂をDCMで(3回)洗浄し、ペプチドを0.5時間かけてTFA/DCM(1:1、10mL)を用いて樹脂から放出させた。樹脂をろ過により除去し、粗ペプチドを冷たい無水エチルエーテルでの沈殿で回収し、流速15.0mL/分で0.5%水性TFA中のCHCNの勾配(30分で5~95%)を使用するセミ分取用RP-HPLCにより精製した。所望の生成物(R06039-637)を白色固体のTFA塩として得た(6.7mg、19%)。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6)d ppm 0.95-1.51 (m, 6H), 1.64 (d, J=9.80 Hz, 2H), 1.77 (d, J=11.30 Hz, 2H), 2.03-2.22 (m, 1H), 3.02-3.31 (m, 2H), 3.53-3.88 (m, 3H), 5.31-5.46 (m, 1H), 6.71 (br. s., 1H), 7.01 (d, J=7.91 Hz, 1H), 7.16-7.45 (m, 4H), 7.46-7.71 (m, 4H), 7.89-7.99 (m, 1H), 8.46 (dt, J=14.03, 5.42 Hz, 1H);ESI MS m/z:C2529の計算値451.52,実測値452.4(M+H);HPLC(Synergy Hydro,20分)、t=16.64
【0101】
R06039-639の合成
【0102】
2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル N-(フェニルカルボニル)-L-フェニルアラニナート。
N-ベンゾイル-L-フェニルアラニン(500mg、1.86mmol)を酢酸エチル(20mL)に入れ、トリエチルアミン(197mg、1.95mmol)を加え、その混合物を10分間撹拌した。tert-ブチルブロモアセテート(234mg、1.20mmol)を加え、その混合物を42時間撹拌した。この時間の終わりに、固体をろ過により除去し、エーテル(50mL)で洗浄した。濾液を合わせ、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を真空乾燥して、2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル N-(フェニルカルボニル)-L-フェニルアラニナートを白色固体(386mg、83.9%)として得た。1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 1.49 (s, 9H), 3.28 (d, J=6.22 Hz, 1H), 3.39 (d, J=5.65 Hz, 1H), 4.46-4.73 (m, 2H), 5.17 (d, J=7.72 Hz, 1H), 6.43-6.60 (m, 1H), 7.16-7.35 (m, 5H), 7.35-7.56 (m, 3H), 7.63-7.74 (m, 2H).
【0103】
{[N-(フェニルカルボニル)-L-フェニルアラニル]オキシ}酢酸。
2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル N-(フェニルカルボニル)-L-フェニルアラニナート(330mg、0.861mmol)を乾燥ジクロロメタン(16mL)に入れ、TFA(4mL)を加え、その混合物を室温で2.5時間撹拌した。この時間の終わりに、溶媒を蒸発させ、残渣をジクロロメタンで3回洗浄した。得られた固体を真空乾燥して、{[N-(フェニルカルボニル)-L-フェニルアラニル]オキシ}酢酸を無色の樹脂(245mg、86.9%)として得た。1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 3.13-3.48 (m, 2H), 4.59-4.87 (m, 2H), 5.17 (q, J=6.72 Hz, 1H), 6.90 (d, J=7.72 Hz, 1H), 7.13-7.32 (m, 4H), 7.32-7.42 (m, 2H), 7.43-7.54 (m, 1H), 7.62 (d, J=7.35 Hz, 2H), 10.58 (br. s., 2H)。
【0104】
[(2-カルバモイルシクロヘキシル)カルバモイル]メチル-(2S)-3-フェニル-2-(フェニルホルムアミド)プロパノエート(R06039-639)
【化20】
【0105】
最初にAAPPTEC Focusペプチド合成装置を用いて、Fmoc-トランス-(1R/S,2R/S)-2-アミノシクロシクロヘキサンカルボン酸をペプチドカップリングによってRink樹脂(0.52meq/g)にカップリングさせた。得られたリンク樹脂(130mg、0.0767mmol)をDMF(5×10mL)で洗浄し、Nα-Fmoc保護基をDMF中20%ピペリジン溶液(1×5分、1×10分)で除去し、続いてDMFで洗浄した(3回)。次いで、DIEA(0.8mL、NMP中2M)の存在下、45分かけて、HBTUおよびHOBt(1.5mL、それぞれDMF中0.5M)を用いて、樹脂を{[N-(フェニルカルボニル)-L-フェニルアラニル]オキシ}酢酸(200mg、0.611mmol)とカップリングさせた。次いでペプチド樹脂をジクロロメタン(3回)およびメタノール(3回)で洗浄し、TFA/ジクロロメタン(1:2、18mL)の混合物で1.5時間撹拌することによってペプチドを樹脂から放出させた。樹脂混合物をろ過し、真空下で溶媒を濾液から除去した。濾液残渣をジクロロメタンで数回洗浄し、次いで分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、20×20cmプレート、1000ミクロン、98%ETOAC/2%メタノール)で精製して、R06039-639をTFA塩(12.3mg;28.3%)として得た。1H NMR (300 MHz, METHANOL -d4) d ppm 1.11-1.45 (m, 5H), 1.55 (d, J=12.62 Hz, 1H), 1.76 (d, J=10.55 Hz, 2H), 1.90 (br. s., 2H), 2.41 (d, J=10.93 Hz, 1H), 3.12-3.43 (m, 2H), 3.96 (br. s., 1H), 4.31-4.48 (m, 1H), 4.54-4.83 (m, 2H), 7.11-7.36 (m, 5H), 7.38-7.61 (m, 3 H), 7.66-7.88 (m, 2H)。ESI MS m/z:C2529の計算値451.51,実測値452.5(M+H)
【0106】
R06039-641の合成
【0107】
ベンジル(S)-2-(ベンジルオキシ)-3-フェニルプロパノエート(15)
L-(-)-3-フェニル酢酸(14)(1g、6.02mmol)を20mLの乾燥アセトニトリルに溶解した。これに、Ag2O(5.6g、24.07mmol)、モレキュラーシーブ4Å(0.5g)、続いて臭化ベンジル(2.8mL、24.07mmol)を室温でゆっくり添加した。この混合物を60℃で16時間撹拌した。固体をろ過し、濾液を濃縮して粗混合物を得た。その粗生成物をシリカフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン)で精製して、ベンジル(S)-2-(ベンジルオキシ)-3-フェニルプロパノアートを無色液体(1.3g、65%)として得た。1HNMR (CDCl3 , 300 MHz) δ 3.05-3.08 (m, 2H), 4.17 (t, J=6.00 Hz, 1H), 4.36 (d, J=12.00 Hz, 1H), 4.63 (d, J=12.00 Hz, 1H), 5.14 (s, 2H), 7.12-7.44 (m, 15H)。MS m/z:C2322の計算値346.42[M],実測値369.4[M+Na]
【0108】
(S)-2-(ベンジルオキシ)-3-フェニルプロパン酸(16)
ベンジル(S)-2-(ベンジルオキシ)-3-フェニルプロパノエート(15)(0.400g、1.15mmol)を6N HClおよび1,4-ジオキサン(3mL)と混合した。この混合物を60℃で24時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、生成物をCHClで抽出した。続いて、有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン)で精製して、(S)-2-(ベンジルオキシ)-3-フェニルプロパン酸を無色の泡(0.17g、87%)として得た。1HNMR (CDCl3 , 500 MHz) δ 3.02-3.23 (m, 2 H), 4.22 (t, J=6.00 Hz, 1 H), 4.44 (d, J=12.00 Hz, 1 H), 4.63 (d, J=12.00 Hz, 1 H), 7.15-7.65 (m, 8 H), 8.12 (d, J=9.00 Hz, 2 H)。MS m/z:C1616の計算値256.30[M],実測値255.6[M-1]
【0109】
トランス-2-(2-((S)-2-(ベンジルオキシ)-3-フェニルプロパンアミド)アセトアミド)シクロヘキサンカルボキサミド(R06039-641)
【化21】
【0110】
(S)-2-(ベンジルオキシ)-3-フェニルプロパン酸(16)を用い、スキーム1に記載の手順に従って表題化合物R06039-641を得た(8mg、69%);白色固体。1HNMR (MeOH-d4, 300 MHz) δ 1.21-1.62 (m, 5H), 1.78 (d, J=10.93 Hz, 2H), 1.89-1.99 (m, 2H), 2.27 (t, J=11.11 Hz, 1H), 2.93 (ddd, J=14.03, 8.57, 3.01 Hz, 1H), 3.07-3.13 (m, 2H), 3.65-3.85 (m, 1H), 3.86-4.01 (m, 2H), 4.07 (dd, J=8.29, 3.77 Hz, 1H), 4.39 (dd, J=11.87, 3.96 Hz, 1H), 4.63 (dd, J=11.68, 7.16 Hz, 1H), 7.07-7.38 (m, 10H), 7.77 (bs, 1H), 8.09 (br. s., 1H)。MS m/z:C2531の計算値437.53[M],実測値438.4[M+H]
【0111】
R06039-642の合成
【0112】
tert-ブチル{3-[(2S)-2-カルバモイルピペリジン-1-イル]プロピル}カルバメート。
ピペリジン-2-カルボキサミド(108mg、0.843mmol)およびtert-ブチル N-(3-ブロモプロピル)カルバメート(200mg、0.840mmol)をDMFに溶解した。炭酸カリウム(350mg、2.53mmol)を加え、その混合物を室温で一晩、続いて50℃で1.5時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、20×20cmプレート、1000ミクロン、50%CMA80/50%ジクロロメタン)で精製して、tert-ブチル{3-[(2S)-2-カルバモイルピペリジン-1-イル]プロピル}カルバメートを白色の膜(75mg、31.3%)として得た。1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 1.27 (d, J=12.06 Hz, 1H), 1.38-1.82 (m, 14H), 1.82-2.05 (m, 3H), 2.17 (s, 1H), 2.66 (dd, J=10.64, 3.49 Hz, 2H), 3.01-3.32 (m, 3H), 4.54-5.11 (m, 1H), 5.33-5.79 (m, 1H), 6.37-6.94 (m, 1H)。ESI MS m/z:C1427の計算値285.38,実測値286.6(M+H)
【0113】
(2S)-1-(3-アミノプロピル)ピペリジン-2-カルボキサミド。
tert-ブチル{3-[(2S)-2-カルバモイルピペリジン-1-イル]プロピル}カルバメート(150mg、0.526mmol)を6M HClに溶解し、1.25時間撹拌した。この時間の終わりに、溶媒を窒素の遅い流れで除去した。THF(5mL)を残渣に加え、真空下、室温で一晩蒸発させた。得られた生成物、(2S)-1-(3-アミノプロピル)ピペリジン-2-カルボキサミド(0.526mmol)をさらに精製することなく以下で使用した。ESI MS m/z:C19Oの計算値185.27,実測値186.1(M+H)
【0114】
(2S)-1-{3-[(2S)-3-フェニル-2-(フェニルホルムアミド)プロパンアミド]プロピル}ピペリジン-2-カルボキサミド(R06039-642)
【化22】
【0115】
N-(フェニルカルボニル)-L-フェニルアラニン(177mg、0.657mmol)、HBTU(249mg、0.657mmol)、HOBT(89mg、0.659mmol)およびDIEA(750mg、5.80mmol)をDMF(2mL)に溶解し、室温で30分間撹拌した。DMF(4mL)中の(2S)-1-(3-アミノプロピル)ピペリジン-2-カルボキサミド(0.526mmol)の溶液を加え、その混合物を室温で一晩、窒素下で撹拌した。酢酸エチルを加え、その溶液を水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残渣を、はじめに分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、20×20cmプレート、1000ミクロン、40%CMA80/60%ジクロロメタン)で精製した。続いて、セミ分取用RP-HPLC(0.5%水性TFA中CHCN、30分で5%~50%、10分で95%まで、50%で5分間保持の勾配、流速15mL/分)によって精製して、R06039-642を白色固体として得た(19.7mg;8.6%)。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) d ppm 1.43 (d, J=9.61 Hz, 1H), 1.53-1.92 (m, 6H), 2.06 (d, J=13.19 Hz, 1H), 2.77-3.29 (m, 7H), 3.43 (d, J=11.49 Hz, 1H), 3.63-3.82 (m, 1H), 4.53-4.69 (m, 1H), 7.08-7.21 (m, 1H), 7.22-7.58 (m, 7H), 7.70-7.87 (m, 3H), 8.05-8.37 (m, 2H), 8.63 (d, J=8.29 Hz, 1H)。ESI MS m/z:C2532の計算値436.55,実測値437.5(M+H)
【0116】
R06039-644の合成、スキーム1。
【0117】
メチル 2-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)アクリレート(2)
ベンズアルデヒド(1)(3.0g、28.27mmol)、メチルアクリレート(14.15g、141.35mmol)およびDABCO(3.17g、28.27mmol)をMeOH(15mL)と混合した。その混合物を0℃で48時間撹拌した。メタノールを減圧下で蒸発させた。残渣をEtOAcで希釈し、0.1N HCl(2×100mL)および飽和NaHCO水溶液で洗浄した。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。粗生成物をシリカフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン)で精製してメチル 2-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)アクリレートを無色液体(4.7g、87%)として得た。1HNMR (CDCl3 , 300 MHz) δ 3.05 (dd, J=5.65, 1.32 Hz, 1H), 3.72 (s, 3H), 5.56 (d, J=5.46 Hz, 1H), 5.83 (t, J=1.22 Hz, 1H), 6.31-6.37 (m, 1H), 7.12-7.50 (m, 5H)。MS m/z:C1112の計算値192.21[M],実測値215.1[M+Na]
【0118】
メチル 2-(アセトキシ(フェニル)メチル)アクリレート(3)
乾燥CHCl中のメチル 2-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)アクリレート(2)(0.5g、2.60mmol)の混合物にピリジン(0.27mL、3.38mmol)を加え、続いて塩化アセチル(0.24mL、3.38mmol)を0℃で滴下した。その混合物を0℃で1.5時間撹拌した。反応混合物をCHClで希釈し、1N HCl(50mL)で洗浄した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。粗生成物をシリカフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン)で精製して、表題の生成物を無色液体(0.56g、92%)として得た。1HNMR (CDCl3 , 300 MHz) δ 2.11 (s, 3H), 3.72 (s, 3H), 5.87 (s, 1H), 6.40 (s, 1H), 6.68 (s, 1H), 7.25-7.30 (m, 1H), 7.21-7.52 (m, 5H)。C1314の計算値234.25[M],実測値235.3[M+H]
【0119】
メチル(E)-2-ベンジリデン-4-フェニルブタノエート(4)
無水ジエチルエーテル(25mL)中のメチル 2-(アセトキシ(フェニル)メチル)アクリレート(3)(1.6g、6.78mol)の撹拌溶液にベンジルマグネシウムブロミド(エーテル中1M)(8.14mL、8.16mmol)を-40℃に冷却しながらゆっくりと加えた。得られた溶液を-40℃で1時間撹拌した。溶液を-5℃にゆっくりと加温し、この温度で2時間撹拌した。その後、溶液を飽和NHCl水溶液(25mL)でクエンチして、水(100mL)を添加した。水層をEtOAc(3×100mL)で抽出した。次いで、合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)で精製して、メチル(E)-2-ベンジリデン-4-フェニルブタノエートを無色油(1.4g、77%)として得た。1HNMR (CDCl3 , 300 MHz) δ 2.81-2.88 (m, 4H), 3.83 (s, 3H), 7.13-7.24 (m, 3H), 7.26-7.42 (m, 7H), 7.72 (s, 1H)。C1818の計算値266.33[M],実測値267.2[M+H]
【0120】
メチル 2-ベンジル-4-フェニルブタノエート(5)
メチル(E)-2-ベンジリデン-4-フェニルブタノエート(4)(0.800g、3.00mol)およびMeOH(40mL)中の10%Pd/C(260g)の混合物を45psiで4時間水素化した。その混合物をセライトパッドでろ過し、濃縮して粗メチル 2-ベンジル-4-フェニルブタノエートを無色油(0.76g、94%)として得た。1HNMR (CDCl3 , 300 MHz) δ 1.75-1.86 (m, 1H), 1.92-2.08 (m, 1H), 2.49-2.84 (m, 4H), 2.89-3.06 (m, 1H), 3.61 (s, 3H), 7.10-7.16 (m, 4H), 7.17-7.23 (m, 2H), 7.23-7.31 (m, 4H)。C1820の計算値268.35[M],実測値269.2[M+H]
【0121】
2-ベンジル-4-フェニルブタン酸(6)
水3.0mL中の水酸化リチウム一水和物(0.260g、6.15mmol)を、MeOH(8mL)およびTHF(2mL)中のメチル 2-ベンジル-4-フェニルブタノエート(5)(0.550g、2.05mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌し、次いで容量の約半分まで濃縮した。残渣を水(pH9)で希釈し、次いでエーテル(2×30mL)で抽出した。水層を1N HClを用いてpH2まで酸性化し、CHCl(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、次いでNaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させて2-ベンジル-4-フェニルブタン酸を油(0.380g、73%)として得た。1HNMR (CDCl3 , 300 MHz) δ 1.74-1.91 (m, 1H), 1.92-2.10 (m, 1H), 2.53-2.88 (m, 4H), 2.94-3.11 (m, 1H), 6.98-7.38 (m, 10H)。C1718の計算値254.32[M],実測値253.3[M-H]
【0122】
tert-ブチル(2-ベンジル-4-フェニルブタノイル)グリシネート(7)
2-ベンジル-4-フェニルブタン酸(6)(100mg、0.39mmol)をTHF(6mL)に溶解した。この溶液に、BOP(191mg、0.43mmol)およびトリエチルアミン(0.16mL、1.18mmol)を添加した。得られた混合物を室温で15分間撹拌した。グリシンtert-ブチルエステルヒドロクロリド(72mg、0.43mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。THFを真空で蒸発させ、水を残渣に加え、水層をCHCl(3×25mL)で抽出した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、次いでNaSOで乾燥させた。溶媒を真空中で蒸発させて、粗残留物を得た。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:Hex)で精製して、tert-ブチル(2-ベンジル-4-フェニルブタノイル)グリシネートを白色固体(0.11mg、76%)として得た。1HNMR (CDCl3 , 300 MHz) δ 1.45 (s, 9H), 1.72-1.87 (m, 1H), 1.99-2.13 (m, 1H), 2.31-2.41 (m, 1H), 2.50-2.62 (m, 1H), 2.66-2.78 (m, 2H), 2.91-2.99 (m, 1H), 3.71 (dd, J=18.46, 4.52 Hz, 1H), 3.96 (dd, J=18.37, 5.37 Hz, 1H), 5.65 (br. s., 1H), 7.08-7.26 (m, 9H), 7.29 (s, 1H)。C2329NOの計算値367.48[M],実測値368.4[M+H]
【0123】
エチルトランス-2-(2-(2-ベンジル-4-フェニルブタンアミド)アセトアミド)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(8)
【0124】
トリフルオロ酢酸(0.8mL)を、CHCl(2.0mL)中のtert-ブチル(2-ベンジル-4-フェニルブタノイル)グリシネート(7)(100mg、0.27mmol)の溶液に滴下した。その反応混合物を室温で4時間撹拌し、次いで溶媒を減圧下で蒸発させ、乾燥させて、(2-ベンジル-4-フェニルブタノイル)グリシンを無色の泡(90mg、85%)として得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0125】
(2-ベンジル-4-フェニルブタノイル)グリシン(50mg、0.16mmol)をDCM(8mL)に溶解した。この溶液に、EDC・HCl(40mg、0.20mmol)、トリエチルアミン(0.22mL、1.60mmol)およびエチルトランス-2-アミノ-1-シクロヘキサン(33mg、0.16mmol)を添加した。得られた混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物をCHClで希釈し、水およびブラインで洗浄した。有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、ろ過した。濾液を真空中で蒸発させて粗残留物を得て、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:Hex)で精製してトランス-2-(2-(2-ベンジル-4-フェニルブタンアミド)アセトアミド)シクロヘキサン-1-カルボキシレートを無色の泡(45mg、60%)として得た。1HNMR (CDCl3 , 300 MHz) δ 1.20 (t, J=6.0 Hz, 3H), 1.09-1.28 (m, 3H), 1.67-1.83 (d, J=11.49 Hz, 3H), 1.88-2.11 (m, 3H), 2.32-2.45 (m, 1H), 2.49-2.82 (m, 3H), 2.87-2.99 (m, 1H), 3.58-3.87 (m, 3H), 3.95 (d, J=7.72 Hz, 1H), 4.00-4.17 (m, 2H), 5.76 (br. s., 1H), 5.90 (br. s., 1H), 7.05-7.22 (m, 6H), 7.22-7.32 (m, 4H)。C2836の計算値464.60[M],実測値365.5[M+H]
【0126】
トランス-2-(2-(2-ベンジル-4-フェニルブタンアミド)アセトアミド)シクロヘキサンカルボキサミド(R06039-644)
【0127】
1.5mLの水中の水酸化リチウム一水和物(8.1mg、0.19mmol)を、MeOH(6mL)およびTHF(1mL)中のエチルトランス-2-(2-(2-ベンジル-4-フェニルブタンアミド)アセトアミド)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(8)(30mg、0.06mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次いで容量の約半分まで濃縮した。残渣を水(pH9)で希釈し、次いでエーテル(2×25mL)で抽出した。水層を1N HClを用いてpH2まで酸性化し、CHCl(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、次いでNaSOで乾燥させ、ろ過した。溶媒を真空中で蒸発させて、トランス-2-(2-(2-ベンジル-4-フェニルブタンアミド)アセトアミド)シクロヘキサンカルボン酸を白色固体(23mg、28%)として得て、これをさらに精製することなく使用した。トランス-2-(2-(2-ベンジル-4-フェニルブタンアミド)アセトアミド)シクロヘキサンカルボン酸(20mg、0.04mmol)をTHF(5mL)に溶解した。この溶液に、BOP(18mg、0.04mmol)およびトリエチルアミン(0.040mL、0.14mmol)を添加した。得られた混合物を室温で15分間撹拌した。反応混合物に、THF(0.2mL、0.14mmol)中の0.5M NHをゆっくり加え、室温で3時間撹拌した。THFを真空で蒸発させ、水を残渣に加え、水層をCHCl(3×25mL)で抽出した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、次いでNaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させて粗残留物を得た。その残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(MeOH:CHCl)で精製して、R06039-644を白色固体(15mg、76%)として得た。1HNMR (MeOH-d4, 500 MHz) δ 1.18-1.38 (m, 3H), 1.47-156 (m, 1H), 1.70-1.76 (m, 3H), 1.90-1.98 (m, 3H), 2.18-2.26 (m, 1H),2.52-2.69 (m, 1H), 2.73 (dd, J=6.50 Hz, J=6.00 Hz, 1H), 2.87-2.93 (m, 1H), 3.44-3.54 (m, 2H), 3.65-3.74 (m, 2H), 3.81-3.91 (m, 1H), 7.12-7.18 (m, 6H), 7.21-7.26 (m, 4H)。MSm/z:C2633の計算値435.56[M],実測値436.8[M+H]
【0128】
(1R/S,2S/R)-2-(2-シンナムアミドアセトアミド)シクロヘキサンカルボキサミド(R06039-655)
【化23】
【0129】
Fmoc-トランス-(1R/S,2R/S)-2-アミノシクロシクロヘキサンカルボン酸を、AAPPTEC Focusペプチド合成装置を用いてペプチドカップリングによってRink樹脂(0.52meq/g)にカップリングさせた。Rink樹脂(130mg)をDMF(5×10mL)で洗浄し、Nα-Fmoc保護基をDMF中20%ピペリジン溶液(1×5分、1×10分)で除去し、続いてDMF洗浄(3回)した。Nα-Fmoc-Gly-OHを3倍過剰で加え、窒素雰囲気下、DIEA(0.8mL、NMP中2M)の存在下、45分間かけてHBTUおよびHOBt(1.5mL、それぞれDMF中0.5M)とカップリングさせた。DMF中の20%ピペリジン溶液(1×5分、1×10分)で保護ペプチド樹脂を処理することにより、Nα-Fmoc保護基を除去した。ペプチド樹脂をDMFで3回洗浄し、窒素雰囲気下でCHCl(3×10分)で振とうすることにより調節した。ペプチド樹脂をDMFで3回洗浄し、次いで窒素雰囲気下、DIEA(0.8mL、NMP中2M)の存在下で45分かけて、HBTUおよびHOBt(1.5mL、それぞれDMF中0.5M)を用いてトランス-ケイ皮酸(3当量)とカップリングさせた。ペプチド樹脂をDMF(3回)およびDCM(3回)で洗浄し、TFA/DCM(1:1、10mL)を用いて0.5時間かけてペプチドを樹脂から放出させた。その樹脂をろ過によって除去し、粗ペプチドを冷たい無水エチルエーテルを用いた沈殿によって回収し、15.0mL/分の流速で0.5%水性TFA中のCHCNの勾配(30分で5~95%)を用いてセミ分取用RP-HPLCにより精製した。所望の生成物R06039-655を白色固体として得た(14.4mg、56%)。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) d ppm 1.03-1.48 (m, 4H), 1.58-1.87 (m, 4H), 2.14 (td, J=11.40, 3.58 Hz, 1H), 3.64-3.87 (m, 3H), 6.05-6.05 (m, 0H), 6.66-6.76 (m, 2H), 6.79 (s, 1H), 6.99 (s, 1H), 7.33-7.47 (m, 4H), 7.57 (dd, J=7.91, 1.51 Hz, 2H), 7.70 (d, J=8.67 Hz, 1H), 8.26 (t, J=5.65 Hz, 1H); ESI MS m/z:C1823の計算値329.40,実測値352.2(M+Na),330.3(M+H);HPLC (Synergy Hydro,20分) t=13.33分(>99.9%)。
【0130】
(1R/S,2S/R)-2-(2-(2-ベンジル-3-フェニルプロパンアミド)アセトアミド)シクロヘキサンカルボキサミド(R06039-656)
【化24】
【0131】
Fmoc-トランス-(1R/S,2R/S)-2-アミノシクロシクロヘキサンカルボン酸を、AAPPTEC Focusペプチド合成装置を用いてペプチドカップリングによってRink樹脂(0.52meq/g)にカップリングさせた。Rink樹脂(130mg)をDMF(5×10mL)で洗浄し、DMF中20%ピペリジン溶液(1×5分、1×10分)でNα-Fmoc保護基を除去し、続いてDMF洗浄(3回)した。Nα-Fmoc-Gly-OHを3倍過剰で加え、DIEA(0.8mL、NMP中2M)の存在下、窒素雰囲気下で45分間かけてHBTUおよびHOBt(1.5mL、それぞれDMF中0.5M)とカップリングさせた。DMF中の20%ピペリジン溶液(1×5分、1×10分)で保護ペプチド樹脂を処理することにより、Nα-Fmoc保護基を除去した。ペプチド樹脂をDMFで3回洗浄し、窒素雰囲気下でCHCl(3×10分)で振とうすることによって調節した。ペプチド樹脂をDMFで3回洗浄した後、DIEA(0.8mL、NMP中2M)の存在下、窒素雰囲気下で45分間かけてHBTUおよびHOBt(1.5mL、DMF中の各0.5M)とジベンジル酢酸(3当量)とカップリングさせた。ペプチド樹脂をDMF(3回)およびDCM(3回)で洗浄し、TFA/DCM(1:1、10mL)を用いて0.5時間かけてペプチドを樹脂から放出させた。樹脂をろ過で除去し、粗ペプチドを冷たい無水エチルエーテルで沈殿させて回収し、15.0mL/分の流速で0.5%水性TFA中のCHCNの勾配(30分で5~95%)を用いてセミ分取用RP-HPLCで精製した。所望の生成物R06039-656を白色固体(12.5mg、39%)として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) d ppm 0.93-1.46 (m, 6 H), 1.55-1.81 (m, 3 H), 2.07 (dd, J=11.02, 7.82 Hz, 1 H), 2.78-2.98 (m, 3 H), 3.43 (dd, J=16.11, 5.37 Hz, 2 H), 3.51-3.76 (m, 3 H), 6.69 (br. s., 1 H), 6.97 (br. s., 1 H), 7.10-7.30 (m, 10 H), 7.40 (d, J=8.29 Hz, 1 H), 8.02 (t, J=5.46 Hz, 1 H);ESI MS m/z:C2531の計算値421.45,実測値422.3(M+H);HPLC (Synergy Hydro,20分) t=15.59分(>99.9%)。
【0132】
(1R/S,2S/R)-2-(2-(2,3-ジフェニルプロパンアミド)アセトアミド)シクロヘキサンカルボキサミド(R06039-657)
【化25】
【0133】
Fmoc-トランス-(1R/S,2R/S)-2-アミノシクロシクロヘキサンカルボン酸を、AAPPTEC Focusペプチド合成装置を用いてペプチドカップリングによってRink樹脂(0.52meq/g)にカップリングさせた。Rink樹脂(130mg)をDMF(5×10mL)で洗浄し、DMF中20%ピペリジン溶液(1×5分、1×10分)でNα-Fmoc保護基を除去し、続いてDMF洗浄(3回)した。Nα-Fmoc-Gly-OHを3倍過剰で加え、DIEA(0.8mL、NMP中2M)の存在下、窒素雰囲気下で45分間かけてHBTUおよびHOBt(1.5mL、それぞれDMF中0.5M)でカップリングさせた。DMF中の20%ピペリジン溶液(1×5分、1×10分)で保護ペプチド樹脂を処理することにより、Nα-Fmoc保護基を除去した。ペプチド樹脂をDMFで3回洗浄し、窒素雰囲気下、CHCl(3×10分)で振とうすることにより調節した。ペプチド樹脂をDMFで3回洗浄し、次いでDIEA(0.8mL、NMP中2M)の存在下、窒素雰囲気下45分かけてHBTUおよびHOBt(1.5mL、それぞれDMF中0.5M)とベンジルフェニル酢酸(3当量)とカップリングさせた。ペプチド樹脂をDMF(3回)およびDCM(3回)で洗浄し、TFA/DCM(1:1、10mL)を用いて0.5時間かけてペプチドを樹脂から放出させた。樹脂をろ過で除去し、粗ペプチドを冷たい無水エチルエーテルで沈殿させて回収し、15.0mL/分の流速で0.5%水性TFA中のCHCNの勾配(30分で5~95%)を用いてセミ分取用RP-HPLCで精製した。所望の生成物R06039-657を白色固体(10mg、32%)として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) d ppm 1.24 (br. s., 6H), 1.51-1.82 (m, 3H), 2.04 (br. s., 1H), 2.93 (d, J=7.35 Hz, 2H), 3.40-3.75 (m, 3H), 3.94 (s, 1H), 6.68 (br. s., 1H), 6.96 (br. s., 1H), 7.06-7.47 (m, 10H), 8.19 (d, J=5.09 Hz, 1H);ESI MS m/z:C2429の計算値407.51,実測値408.6(M+H);HPLC(Synergy Hydro,20分)t=15.96分(90%)。
【0134】
3-{N-ベンジル-2-[(2S)-3-フェニル-2-(フェニルホルムアミド)プロパンアミド]アセトアミド}ブタンアミド(R06039-658)
【化26】
【0135】
N-(フェニルカルボニル)-L-フェニルアラニルグリシン(156mg;0.478mmol)をTHF(5mL)に溶解した。BOP(317mg、0.717mmol)およびトリエチルアミン(242mg、2.39mmol)を加え、その混合物を10分間撹拌した。続いて、3-(ベンジルアミノ)ブタンアミド(110mg、0.572mmol)を加え、その溶液を窒素下で室温で一晩撹拌した。水を加え、混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、20×20cmプレート、1000ミクロン、第1プレート 30%CMA80/70%ジクロロメタン、第2プレート 35%CMA80/65%ジクロロメタン)で2回精製してR06039-658を白色固体(36mg、15.1%)として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) d ppm 1.06 (d, J=6.40 Hz, 3H), 2.16-2.47 (m, 2H), 2.89-3.08 (m, 1H), 3.10-3.26 (m, 1H), 3.89 (br. s., 1H), 4.17-4.68 (m, 4H), 4.78 (d, J=8.10 Hz, 1H), 6.71-6.98 (m, 1H), 7.07-7.57 (m, 14H), 7.78 (d, J=7.16 Hz, 2H), 8.06-8.25 (m, 1H), 8.51-8.77 (m, 1H)。ESI MS m/z:C2932の計算値500.59,実測値501.7(M+H)(1 - Sandhu, S. S.; Singh, J.; Sharma, S. J. Indian Chem. Soc. 1989, 66(2), 104; 2 - Zilkha, A; Rivlin, J. J. Org. Chem. 1958, 23, 95.)
【0136】
N-((S)-1-(2-(((1R/S,2S/R)-2-カルバモイルシクロヘキシル)(メチル)アミノ)-2-オキソエチルアミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)ベンズアミド(R06039-662)
【化27】
【0137】
Fmoc-トランス-(1R/S,2R/S)-2-アミノシクロシクロヘキサンカルボン酸を、AAPPTEC Focusペプチド合成装置を用いてペプチドカップリングによってRink樹脂(0.52meq/g)にカップリングさせた。Rink樹脂(130mg)をDMF(5×10mL)で洗浄し、DMF中20%ピペリジン溶液(1×5分、1×10分)でNα-Fmoc保護基を除去し、続いてDMF(3回)およびTHF(3回)で洗浄した。樹脂上のアミノ酸をTHF(5mL)に懸濁し、ホルムアルデヒド(37%水溶液、5mL)を添加した。懸濁液を2時間振とうし、ドレインし、ホルムアルデヒド(37%水溶液、5mL)で再充填し、1時間振とうし、ドレインし、THF(1mL)で満たした。酢酸/水(1:1、1mL)の混合物を加え、5分間振とうした。NaCNBH(1N、1mL)の溶液を加え、その懸濁液を3時間振とうした。反応混合物をドレインし、水(3回)、次いでDMF(3回)で洗浄した。次いで、以下の保護アミノ酸を段階的に添加した:Nα-Fmoc-AA2-OH(AA2:Nα-Fmoc-Gly-OH、Nα-Fmoc-Phe-OH)。各カップリング反応は、DIEA(0.8mL、NMP中2M)の存在下、窒素雰囲気下で45分かけて3倍過剰のアミノ酸とHBTUおよびHOBt(1.5mL、それぞれDMF中0.5M)を用いて行った。DMF中の20%ピペリジン溶液(1×5分、1×10分)で保護ペプチド樹脂を処理することにより、Nα-Fmoc保護基を除去した。ペプチド樹脂をDMFで3回洗浄し、窒素雰囲気下でCHCl(3×10分)で振とうすることにより調節した。ペプチド樹脂をDMFで3回洗浄し、次いで、DIEA(0.8mL、NMP中2M)の存在下で、窒素雰囲気下で、45分かけて安息香酸(3当量)とHBTUおよびHOBt(1.5mL、それぞれDMF中0.5M)とカップリングさせた。ペプチド樹脂をDCM(3回)で洗浄し、0.5時間かけてTFA/DCM(1:1、10mL)を用いて樹脂からペプチドを放出させた。樹脂をろ過で除去し、粗ペプチドを冷たい無水エチルエーテルで沈殿させて回収し、15.0mL/分の流速で0.5%水性TFA中のCHCNの勾配(30分で5~95%)を用いてセミ分取用RP-HPLCで精製した。所望の生成物R06039-662を白色固体(2.1mg、6%)として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) d ppm 1.32-1.86 (m, 8H), 2.66-2.77 (m, 3H), 2.90-3.04 (m, 1H), 3.09-3.23 (m, 1H), 3.67 (br. s., 2H), 4.11 (t, J=4.90 Hz, 1H), 4.76 (tt, J=7.68, 4.10 Hz, 1H), 6.81 (br. s., 1H), 7.07-7.29 (m, 3H), 7.32-7.55 (m, 6H), 7.77 (d, J=7.72 Hz, 2H), 7.94-8.09 (m, 1H), 8.66 (d, J=8.85 Hz, 1H);ESI MS m/z:C2429の計算値464.57,実測値465.4(M+H);HPLC (Synergy Hydro,20分)t=15.16分(>99.9%)。
【0138】
N-((S)-1-(2-((S)-3-アミノ-3-オキソ-1-フェニルプロピルアミノ)-2-オキソエチルアミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)ベンズアミド(R06039-663)
【化28】
【0139】
AβPTECFocusペプチド合成装置を用いてNβ-Fmoc-(R)-3-アミノ-3-フェニルプロパン酸(250mg)をペプチドカップリングによってRink樹脂(0.52meq/g)にカップリングさせた。Rink樹脂(130mg)をDMF(5×10mL)で洗浄し、DMF中20%ピペリジン溶液(1×5分、1×10分)でNα-Fmoc保護基を除去し、次いでDMF洗浄(3回)した。次いで、以下の保護アミノ酸を段階的に添加した:Nα-Fmoc-AA2-OH(AA2:Nα-Fmoc-Gly-OH、Nα-Fmoc-Phe-OH)。各カップリング反応は、3倍過剰のアミノ酸を用いてDIEA(0.8mL、NMP中2M)の存在下、窒素雰囲気下で45分かけてHBTUおよびHOBt(1.5mL、それぞれDMF中0.5M)を用いて行った。DMF中の20%ピペリジン溶液(1×5分、1×10分)で保護ペプチド樹脂を処理することにより、Nα-Fmoc保護基を除去した。ペプチド樹脂をDMFで3回洗浄し、窒素雰囲気下でCHCl(3×10分)で振とうすることにより調節した。ペプチド樹脂をDMFで3回洗浄し、次いで、DIEA(0.8mL、NMP中2M)の存在下で、窒素雰囲気下で45分かけて、HBTUおよびHOBt(1.5mL、それぞれDMF中0.5M)を用いて安息香酸(3当量)とカップリングさせた。ペプチド樹脂をDCM(3回)で洗浄し、0.5時間かけてTFA/DCM(1:1、10mL)を用いて樹脂からペプチドを放出させた。樹脂をろ過で除去し、粗ペプチドを真空中、冷たい無水エチルエーテルで沈殿させて回収した。所望の生成物R06039-663を白色固体(20mg、89%)として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) d ppm 3.04 (d, J=10.55 Hz, 3H), 3.16 (br. s., 1H), 3.75 (d, J=5.65 Hz, 2H), 4.67 (br. s., 1H), 5.22 (d, J=8.29 Hz, 1H), 6.81 (br. s., 1H), 7.09-7.56 (m, 14H), 7.79 (d, J=6.97 Hz, 2H), 8.29-8.45 (m, 2H), 8.67 (d, J=8.10 Hz, 1H)。ESI MS m/z:C2728の計算値472.54,実測値473.3(M+H);HPLC (Synergy Hydro,20分) t=15.63分(>98%)。
【0140】
R06039-675の合成
【0141】
(E)-2-ベンジリデン-4-フェニルブタン酸。
1.5mLの水中の水酸化リチウム一水和物(0.118g、2.81mmol)をMeOH(10mL)およびTHF(1mL)中のメチル(E)-2-ベンジリデン-4-フェニルブタノエート(4)(0.300g、1.12mmol)の溶液に添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次いで容量の約半分まで濃縮した。残渣を水(pH9)で希釈し、次いでエーテル(2×25mL)で抽出した。水層を1N HClを用いてpH2まで酸性化し、CHCl(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、次いでNaSOで乾燥させた。溶媒を真空中で蒸発させて、(E)-2-ベンジリデン-4-フェニルブタン酸を白色固体(0.27g、96%)として得た。1HNMR (CDCl3 , 300 MHz) δ 2.81-2.96 (m, 4H), 7.16-7.25 (m, 3H), 7.26-7.43 (m, 7H), 7.83-7.93 (m, 1H), 11.51 (br. s., 1H)。C1716の計算値252.31[M],実測値251.4[M-H]
【0142】
トランス-2-(2-((E)-2-ベンジリデン-4-フェニルブタンアミド)アセトアミド)シクロヘキサンカルボキサミド(R06039-675)
【化29】
【0143】
R06039-644の方法と類似の方法で表題の化合物を調製して、R06039-675を白色固体として得た(8mg、79%)。1HNMR (CDCl3 , 300 MHz) δ 1.07-1.54 (m, 5H), 1.70-1.85 (m, 3H), 1.94-2.08 (m, 2H), 2.20-2.36 (m, 1H), 2.77-2.90 (m, 3H), 3.35-4.10 (m, 3H), 5.76 (br. s., 1H), 6.21 (br. s., 1H), 6.80 (d, J=8.29 Hz, 1H), 6.97 (br. s., 1H), 7.09-7.42 (m, 10H)。MS m/z:C2631の計算値433.54[M],実測値434.4[M+H]
【0144】
トランス-2-(2-(2-ベンジル-4-シクロヘキシルブタンアミド)アセトアミド)シクロヘキサンカルボキサミド(R06039-682)
【化30】
【0145】
スキーム1に記載の手順を用いて表題化合物(R06039-682)を合成して、白色固体(7mg、82%)を得た。1HNMR (DMSO-d6 , 300 MHz) δ0.68-0.91 (m, 2H), 0.99-1.84 (m, 10H), 1.35-1.53 (m, 2H), 1.54-170 (m, 8H), 1.70-1.84 (m, 2H), 1.94-2.15 (m, 2H), 2.75-2.90 (br. s., 1 H), 3.54-3.75 (m, 2H), 6.70 (br. s., 1H), 7.00 (br. s., 1H), 7.11-7.29 (m, 4H), 7.42 (d, J=5.65 Hz, 1H), 7.99 (d, J=6.22 Hz, 1H)。MS m/z:C2639の計算値441.61[M],実測値442.7[M+H]
【0146】
トランス-2-(2-(2-ベンジル-5-メチルヘキサンアミド)アセトアミド)シクロヘキサンカルボキサミド(R06039-686)
【化31】
【0147】
スキーム1に記載の手順を用いて表題化合物(R06039-686)を合成して、白色固体(11mg、70%)を得た。1HNMR (DMSO-d6 , 300 MHz) δ0.78 (t, J=6.69 Hz, 6H), 1.00-1.15 (m, 4H), 1.18-1.31 (m, 3H), 1.34-1.54 (m, 3H), 1.56-1.69 (m, 2H), 1.70-1.84 (m, 2H), 2.09 (br. s., 1H), 2.75-2.87 (br. s., 1H), 3.56 (br. s., 1H), 3.62-3.79 (m, 2H), 6.70 (br. s., 1H), 7.01 (br. s., 1H), 7.11-7.30 (m, 5H), 7.45 (br. s., 1H), 7.98 (br. s., 1H)。MS m/z:C2335の計算値401.54[M],実測値402.4[M+H]
【0148】
R06039-691の合成
【0149】
3-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボン酸。
【0150】
ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3-ジカルボン酸無水物(1.0g、6.09mmol)を無水テトラヒドロフラン(3mL)に溶解し、0℃に冷却した。次いで、ナトリウムメトキシド溶液(0.5M、16.8mL、8.42mmol)を10分かけて滴下した。次いで、溶液を室温で20時間撹拌した。ナトリウムメトキシドの第2部分(8.4mL;4.21mmol)を加え、混合物を7時間還流した。溶液を室温に冷却し、さらに13時間撹拌した。反応容積を約半分に減らし、混合物を冷たい2N HCl(50mL)に注いだ。得られた溶液をクロロホルムで数回抽出し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣を真空乾燥して、3-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボン酸をオフホワイトの固体(1.04g、88.2%)として得た。1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 1.03-1.22 (m, 1H), 1.31 (s, 1H), 1.41-1.58 (m, 1H), 1.59-1.72 (m, 1H), 2.77-3.12 (m, 3H), 3.21 (d, J=2.26 Hz, 1H), 3.73 (s, 3H), 6.22 (s, 1H), 6.33-6.43 (m, 1H)。
【0151】
メチル 3-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシラート。
【0152】
3-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボン酸(1.03g、4.9mmol)をトルエン(15mL)に溶解した。ジフェニルホスホリルアジド(1.48g、5.38mmol)およびトリエチルアミン(544mg、5.38mmol)を加え、混合物を90℃で2.5時間加熱した。次いで、ベンジルアルコール(530mg、4.9mmol)を加え、混合物を90℃で2.5日間加熱した。混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(100mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で数回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(40%酢酸エチル/60%ヘキサン)で精製して、メチル 3-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシラートを無色の液体(840mg、54.4%)として得た。1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.97-1.15 (m, 1H), 1.19-1.36 (m, 1H), 1.63 (s, 2H), 2.07-2.19 (m, 1H), 2.63-2.78 (m, 1H), 2.79-2.94 (m, 1H), 3.73 (s, 3H), 4.23-4.38 (m, 1H), 4.51-4.65 (m, 1H), 4.98-5.16 (m, 2H), 6.10-6.23 (m, 1H), 6.39-6.52 (m, 1H), 7.27-7.43 (m, 5H)。
【0153】
3-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボン酸。
【0154】
メチル 3-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(790mg、2.51mmol)をTHF/MeOH/HO(1:1:1、30mL)の混合物に溶解した。水酸化リチウム(525mg、12.51mmol)を加え、混合物を室温で18時間、続いて50℃で2.5時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を水に再溶解した。溶液をクロロホルムで数回抽出し、有機層を捨てた。次いで、水層を6N HClでpH1に酸性化した。次いで、水層をTHF/DCM(7:3)の混合物で数回抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、2時間真空乾燥して、3-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボン酸を粘着性の白色泡(710mg、94.0%)として得て、さらに精製することなく使用した。1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.96-1.19 (m, 1H), 1.20-1.40 (m, 1H), 1.46-1.81 (m, 2H), 2.10-2.26 (m, 1H), 2.58-2.79 (m, 1H), 2.85-3.03 (m, 1H), 4.05-4.29 (m, 1H), 4.73-4.93 (m, 1H), 5.08 (d, J=5.65 Hz, 2H), 6.09-6.33 (m, 1H), 6.40-6.60 (m, 1H), 7.34 (s, 5H)。
【0155】
ベンジル(3-カルバモイルビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-イル)カルバメート。
【0156】
3-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボン酸(1.17g、3.88mmol)をアセトニトリル(60mL)に溶解した。アセトニトリル(20mL)中の炭酸水素アンモニウム(460mg、5.82mmol)、BOCO(1.27g、5.82mmol)およびピリジン(154mg、1.95mmol)の混合物を加え、混合した混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を水に懸濁させた。懸濁液を数分間超音波処理し、次いで数分間撹拌した。残渣をろ過により除去し、水でよく洗浄し、真空乾燥してベンジル(3-カルバモイルビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-イル)カルバメートを白色固体(803mg、68.9%)として得て、これをさらに精製することなく使用した。1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.94-1.16 (m, 1H), 1.19-1.40 (m, 1H), 1.71 (s, 2H), 1.96-2.17 (m, 1H), 2.54-2.76 (m, 1H), 2.94-3.19 (m, 1H), 3.90-4.14 (m, 1H), 4.78-4.98 (m, 1H), 5.10 (s, 2H), 5.32-5.64 (m, 1H), 6.06-6.26 (m, 1H), 6.38-6.63 (m, 1H), 7.35 (s, 5H), 7.50-7.77 (m, 1H)。
【0157】
3-アミノビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキサミド。
【0158】
ベンジル(3-カルバモイルビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-イル)カルバメート(205mg、0.683mmol)をメタノール(50mL)に入れ、窒素でパージした。次いで、炭素担持パラジウム(10%、70mg)およびトリエチルアミン(10滴)を添加し、混合物を45psiの水素下で19時間振とうした。触媒をろ過により除去し、濾液を減圧下で蒸発させた。残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、20×20cmプレート、1000ミクロン、CMA80)で精製して、3-アミノビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキサミドを白色固体(96mg、83.5%)として得た。1H NMR (300 MHz, METHANOL-d4) d ppm 1.14-1.81 (m, 12H), 2.01 (d, J=6.59 Hz, 1H), 3.16-3.22 (m, 1H)。ESI MS m/z:C16Oの計算値168.24,実測値169.3(M+H)
【0159】
3-[2-(2-ベンジル-4-フェニルブタンアミド)アセトアミド]ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキサミド(R06039-691)
【化32】
【0160】
3-アミノビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキサミド(96mg、0.571mmol)、N-(2-ベンジル-4-フェニルブタノイル)グリシン(99mg、0.318mmol)およびトリエチルアミン(257mg、2.54mmol)をジクロロメタン(20mL)に入れた。EDC・HCl(109mg、0.569mmol)およびHOBt(77mg、0.570mmol)を加え、混合物を窒素下で室温で18時間撹拌した。この時間の終わりに、溶液を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。次いで、水層をジクロロメタンで逆抽出し、有機層を合わせた。得られた溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、20×20cmプレート、1000ミクロン、50%CMA80/50%ジクロロメタン)で2回精製してR06039-691を白色固体(44.0mg;30%)として得た。1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 1.28-1.92 (m, 10 H), 1.95-2.25 (m, 3 H), 2.37-3.03 (m, 5 H), 3.55-3.94 (m, 2 H), 4.07-4.32 (m, 1 H), 5.39-5.65 (m, 1 H), 6.45-6.73 (m, 1 H), 6.94-7.43 (m, 12 H)。ESI MS m/z:C2835の計算値461.60,実測値462.6(M+H)
【0161】
R06039-692の合成
【0162】
3-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-カルボン酸。
【0163】
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸無水物(1.0g、6.09mmol)を無水テトラヒドロフラン(3mL)に溶解し、0℃に冷却した。次いで、ナトリウムメトキシド溶液(0.5M、18.27mL、9.14mmol)を15分かけて滴下した。次いで、溶液を室温に温め、2時間撹拌した。ナトリウムメトキシドの第2部分(9.14mL、4.57mmol)を加え、混合物を6.5時間還流させた。溶液を室温に冷却し、さらに14時間撹拌した。反応容量を約2分の1に減少させ、混合物を冷たい2N HCl(50mL)に注いだ。得られた溶液をクロロホルムで数回抽出し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣を真空乾燥して、3-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-カルボン酸を白色固体(926mg、77.5%)として得た。1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 1.48 (dd, J=8.76, 1.41 Hz, 1H), 1.63 (d, J=8.85 Hz, 1H), 2.66 (d, J=3.20 Hz, 1H), 3.14 (br. s., 1H), 3.30 (br. s., 1H), 3.43 (t, J=4.14 Hz, 1H), 3.67-3.84 (m, 3H), 6.14 (dd, J=5.46, 2.64 Hz, 1H), 6.29 (dd, J=5.37, 3.11 Hz, 1H)。
【0164】
メチル 3-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-カルボキシラート。
【0165】
3-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-カルボン酸(880mg、4.49mmol)をトルエン(15mL)に溶解した。ジフェニルホスホリルアジド(1.3g、4.94mmol)およびトリエチルアミン(500mg、4.94mmol)を加え、混合物を90℃で2時間加熱した。次いで、ベンジルアルコール(485mg、4.49mmol)を添加し、混合物を90℃で2日間加熱し、続いて室温で18時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で数回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(35%酢酸エチル/55%ヘキサン)で精製して、メチル 3-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-カルボキシラートを無色の液体(930mg、68.8%)として得た。1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 1.42-1.57 (m, 1H), 1.77-1.86 (m, 1H), 1.92 (br. s., 1H), 2.87-3.14 (m, 2H), 3.73 (s, 3H), 4.41-4.65 (m, 2H), 5.08 (br. s., 2H), 6.09-6.24 (m, 1H), 6.33-6.49 (m, 1H), 7.27-7.43 (m, 5H)。
【0166】
3-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-カルボン酸。
【0167】
メチル 3-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-カルボキシラート(910mg、3.02mmol)をTHF/MeOH/HO(1:1:1、30mL)に溶解した。水酸化リチウム(600mg、14.3mmol)を加え、混合物を室温で18時間、続いて50℃で2.5時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を水に再溶解した。溶液をクロロホルムで数回抽出し、有機層を捨てた。次いで、水層を6N HClでpH1に酸性化した。次いで、水層をTHF/DCM(7:3)の混合物で数回抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、2.5時間真空乾燥して、3-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-カルボン酸を白色固体(855mg、98.5%)として得て、さらに精製せずに使用した。1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 1.55-1.70 (m, 1H), 1.75-1.90 (m, 1H), 2.05-2.15 (m, 1H), 3.03 (br. s., 1H), 3.90-4.00 (m, 1H), 4.12-4.32 (m, 1H), 4.73-5.01 (m, 1H), 5.05-5.20 (m, 2H), 6.01-6.28 (m, 1H), 6.44 (d, J=3.20 Hz, 1H), 7.18-7.45 (m, 5H)。
【0168】
ベンジル(3-カルバモイルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-イル)カルバメート。
【0169】
3-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-カルボン酸(850mg、2.96mmol)をアセトニトリル(60mL)に溶解した。アセトニトリル(20mL)中の炭酸水素アンモニウム(351mg、4.44mmol)、BOCO(968mg、4.44mmol)およびピリジン(117mg、1.48mmol)の混合物を加え、混合した混合物を室温で17時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を水に懸濁させた。懸濁液を数分間超音波処理し、次いで数分間撹拌した。残渣をろ過により除去し、水でよく洗浄し、真空乾燥してベンジル(3-カルバモイルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-イル)カルバメートを白色固体(600mg、70.8%)として得て、これをさらに精製せずに使用した。1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 1.58 (s, 2H), 2.00 (br. s., 1H), 2.97 (br. s., 1H), 3.38 (br. s., 1H), 4.16-4.40 (m, 1H), 4.77 (d, J=6.78 Hz, 1H), 5.09 (q, J=12.06 Hz, 2H), 5.36-5.69 (m, 1H), 6.15 (dd, J=5.56, 2.54 Hz, 1H), 6.46 (dd, J=5.37, 3.11 Hz, 1H), 7.36 (s, 5H), 7.75-8.15 (m, 1H)。
【0170】
3-アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキサミド。
【0171】
ベンジル(3-カルバモイルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-イル)カルバメート(225mg、0.786mmol)をメタノール(75mL)に入れ、窒素でパージした。炭素担持パラジウム(10%、100mg)およびトリエチルアミン(10滴)を加え、混合物を45psiで水素下で5時間振とうした。触媒をろ過により除去し、濾液を減圧下で蒸発させた。残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、20×20cmプレート、1000ミクロン、CMA80)で精製して、3-アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキサミドを白色固体(95mg、78.5%)として得た。1H NMR (300 MHz, METHANOL-d4) d ppm 1.16-1.52 (m, 3H), 1.53-1.82 (m, 4H), 2.20 (br. s., 1H), 2.25-2.41 (m, 1H), 3.25-3.49 (m, 1H)。
【0172】
3-[2-(2-ベンジル-4-フェニルブタンアミド)アセトアミド]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキサミド(R06039-692)
【化33】
【0173】
3-アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキサミド(91mg;0.590mmol)、N-(2-ベンジル-4-フェニルブタノイル)グリシン(106mg、0.340mmol)およびトリエチルアミン(276mg、2.73mmol)をジクロロメタン(25mL)に入れた。EDC・HCl(113mg、0.590mmol)およびHOBt(80mg、0.592mmol)を加え、混合物を窒素下で室温で18時間撹拌した。この時間の終わりに、溶液を飽和塩化ナトリウム水溶液で抽出した。水層をジクロロメタンで逆抽出し、有機層を合わせた。溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、20×20cmプレート、1000ミクロン、50%CMA80/50%ジクロロメタン)で2回精製してR06039-692を白色固体(44.4mg;29.1%)として得た。1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 1.14-1.95 (m, 9H), 1.95-2.18 (m, 1H), 2.26-3.04 (m, 6H), 3.54-3.97 (m, 2H), 4.01-4.22 (m, 1H), 5.24-5.53 (m, 1H), 6.21-6.48 (m, 1H), 6.94-7.39 (m, 10H), 7.64-7.93 (m, 1H)。ESI MS m/z:C2733の計算値447.57,実測値448.8(M+H)
【0174】
R06039-693、694、695の合成
【0175】
-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-(2-カルバモイルシクロヘキシル)-L-リシンアミド。
【0176】
(2S)-2-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-6-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサン酸(321mg、0.844mmol)およびHATU(400mg、1.05mmol)をDMF(10mL)に溶解し、10分間撹拌した。次いで、DMF(2mL)中の2-アミノシクロヘキサンカルボキサミド(150mg、1.06mmol)を加え、混合物をさらに10分間撹拌した後、DIEA(273mg、2.11mmol)を添加した。この溶液を室温で一晩撹拌した。飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)を加え、混合物を30分間撹拌した。混合物を酢酸エチルで数回抽出し、有機層を合わせた。合わせた有機層中に形成された沈殿物を濾別し、酢酸エチルで十分に洗浄した。この固体を一晩真空乾燥して、N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-(2-カルバモイルシクロヘキシル)-L-リシンアミド(280mg、65.7%)を得た。1H NMR (300 MHz, METHANOL-d4) d ppm 1.17-2.00 (m, 24H), 2.28 (d, J=11.87 Hz, 1H), 2.92-3.16 (m, 2H), 4.00 (d, J=7.35 Hz, 2H), 5.09 (br. s., 2H), 6.47-6.70 (m, 1H), 7.20-7.47 (m, 5H)。ESI MS m/z:C2640の計算値504.62,実測値505.5(M+H)
【0177】
-(tert-ブトキシカルボニル)-N-(2-カルバモイルシクロヘキシル)-L-リシンアミド。
【0178】
-[(ベンジルオキシ)カルボニル]-N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-(2-カルバモイルシクロヘキシル)-L-リシンアミド(270mg、0.535mmol)をメタノール(100mL)に入れ、窒素でパージした。炭素担持パラジウム(10%、100mg)およびトリエチルアミン(10滴)を加え、混合物を45psiで水素下で17時間振とうした。触媒をろ過により除去し、濾液を減圧下で蒸発させて、N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-(2-カルバモイルシクロヘキシル)-L-リシンアミドを白色固体(175mg、88.4%)として得て、これをさらに精製せずに使用した。1H NMR (300 MHz, METHANOL-d4) d ppm 1.18-1.67 (m, 24H), 1.78 (d, J=10.17 Hz, 3H), 1.94 (d, J=9.80 Hz, 2H), 2.30 (d, J=7.35 Hz, 1H), 2.93-3.20 (m, 3H), 3.81-4.13 (m, 1H)。
【0179】
2-[(2S)-6-アミノ-2-(2-ベンジル-4-フェニルブタンアミド)ヘキサンアミド]シクロヘキサン-1-カルボキサミド(R06039-693,694,695)
【0180】
2-ベンジル-4-フェニルブタン酸(96mg、0.378mmol)およびHATU(180mg、0.474mmol)をDMF(5mL)に溶解し、10分間撹拌した。DMF(5mL)中のN-(tert-ブトキシカルボニル)-N-(2-カルバモイルシクロヘキシル)-L-リシンアミド(175mg、0.472mmol)を加え、混合物を10分間撹拌した。続いてDIEA(122mg、0.944mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。飽和塩化ナトリウム水溶液(25mL)を加え、混合物を10分間撹拌した。得られた沈殿物をろ過により除去し、水で十分に洗浄し、真空乾燥して黄色固体を得た。次いで、固体を分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、20×20cmプレート、1000ミクロン、50%CMA80/50%ジクロロメタン)で精製して、N-(2-ベンジル-4-フェニルブタノイル)-N-(tert-ブトキシカルボニル)-N-(2-カルバモイルシクロヘキシル)-L-リシンアミドを白色固体(55mg;24.0%)として得た。ESI MS m/z:C3550の計算値606.80、実測値629.9(M+Na)。上記物質(50mg;0.082mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解した。TFA(1.5mL)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をジクロロメタンで数回洗浄した。この残渣を少量のジクロロメタンに溶解し、ヘキサンで沈殿させた。固体をろ過し、真空乾燥させて、表題化合物をTFA塩(40.5mg、4つの異性体の混合物、79.19%)として得た。R06039-693:1H NMR (300 MHz, METHANOL-d4) d ppm 0.64-0.97 (m, 2H), 0.99-1.98 (m, 18H), 2.02-2.28 (m, 1H), 2.32-2.94 (m, 7H), 3.58-3.90 (m, 1H), 3.95-4.27 (m, 1H), 6.80-7.34 (m, 10H)。ESI MS m/z:C3042の計算値506.68,実測値507.4(M+H)
【0181】
上記固体(20mg)を分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、20×20cmプレート、1000ミクロン、CMA80)でさらに精製して、2つの主要画分を得た。画分1(極性がより低く、5mg、2つの異性体の混合物)、R06039-694:1H NMR (300 MHz, METHANOL-d4) d ppm 0.51-0.95 (m, 2H), 0.98-1.96 (m, 18H), 2.00-2.29 (m, 1H), 2.67 (s, 7H), 3.58-3.86 (m, 1H), 3.94-4.28 (m, 1H), 6.89-7.26 (m, 10H)。ESI MS m/z:C3042の計算値506.68,実測値507.4(M+H)。画分2(より極性、7mg、2つの異性体の混合物)、R06039-695:1H NMR (300 MHz, METHANOL-d4) d ppm 0.61-0.97 (m, 2 H), 0.98-1.93 (m, 18 H), 1.99-2.25 (m, 1 H), 2.67 (s, 7 H), 3.63-3.93 (m, 1 H), 3.94-4.23 (m, 1 H), 6.89-7.25 (m, 10 H)。ESI MS m/z:C3042の計算値506.68,実測値507.4(M+H)
【0182】
R06039-696、697、698の合成
【0183】
ベンジル-{(1S)-5-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1-[(3-カルバモイルビシクロ[2.2.2]オクタ-2-イル)カルバモイル]ペンチル}カルバメート。
【0184】
(2S)-2-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-6-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサン酸(215mg、0.565mmol)およびHATU(269mg、0.707mmol)をDMF(10mL)に溶解し、10分間撹拌した。次いで、DMF(2mL)中の3-アミノビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキサミド(119mg、0.707mmol)を添加し、混合物をさらに10分間撹拌した後、DIEA(182mg、1.41mmol)を加えた。この溶液を室温で一晩撹拌した。飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)を加え、混合物を10分間撹拌した。次いで、反応混合物をろ過して、粘着性で薄いピンク色の残渣が残った。この物質をジクロロメタンに溶解し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残渣を真空乾燥し、ベンジル{(1S)-5-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1-[(3-カルバモイルビシクロ[2.2.2]オクタ-2-イル)カルバモイル]ペンチル}カルバメートを薄いピンク色の泡(240mg、80.0%)として得て、さらに精製せずに使用した。1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 1.09-1.92 (m, 24H), 1.93-2.40 (m, 2H), 2.97-3.21 (m, 2H), 3.99-4.33 (m, 2H), 4.71-4.94 (m, 1H), 5.07 (d, J=5.46 Hz, 2H), 5.61-5.82 (m, 1H), 5.85-6.10 (m, 1H), 7.00-7.54 (m, 7H)。ESI MS m/z:C2842の計算値530.66,実測値531.6(M+H)
【0185】
tert-ブチル{(5S)-5-アミノ-6-[(3-カルバモイルビシクロ[2.2.2]オクタ-2-イル)アミノ]-6-オキソヘキシル}カルバメート。
【0186】
ベンジル{(1S)-5-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1-[(3-カルバモイルビシクロ[2.2.2]オクタ-2-イル)カルバモイル]ペンチル}カルバメート(240mg、0.452mmol)をメタノール(100mL)に入れ、窒素でパージした。炭素担持パラジウム(10%、100mg)およびトリエチルアミン(15滴)を加え、混合物を45psiで水素下で5時間振とうした。触媒をろ過により除去し、溶媒を真空下で濾液から除去した。残渣を少量のジクロロメタンに取り、ヘキサンで沈殿させた。次いで、この混合物全体を蒸発させ、真空乾燥して、tert-ブチル{(5S)-5-アミノ-6-[(3-カルバモイルビシクロ[2.2.2]オクタ-2-イル)アミノ]-6-オキソヘキシル}カルバメートを白色固体(175mg、97.6%)として得た。1H NMR (300 MHz, METHANOL-d4) d ppm 1.25-1.84 (m, 26 H), 1.85-2.03 (m, 1 H), 2.31-2.48 (m, 1 H), 3.04 (t, J=6.88 Hz, 2 H), 3.48-3.66 (m, 1 H), 4.32-4.52 (m, 1 H)。ESI MS m/z:C2036の計算値396.52,実測値397.6(M+H)
【0187】
3-[(2S)-6-アミノ-2-(2-ベンジル-4-フェニルブタンアミド)ヘキサンアミド]ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキサミド(R06039-696,697,698)
【0188】
2-ベンジル-4-フェニルブタン酸(90mg、0.354mmol)およびHATU(168mg、0.442mmol)をDMF(6mL)に溶解し、15分間撹拌した。DMF(4mL)中のtert-ブチル{(5S)-5-アミノ-6-[(3-カルバモイルビシクロ[2.2.2]オクタ-2-イル)アミノ]-6-オキソヘキシル}カルバメート(175mg;0.441mmol)を加え、混合物を10分間撹拌した。続いてDIEA(114mg、0.88mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。飽和塩化ナトリウム水溶液(25mL)を加え、混合物を30分間撹拌した。得られた粘着性の沈殿物をろ過により除去し、水で十分に洗浄した。この残渣をジクロロメタン-THF(70/30,30mL)に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣を少量のジクロロメタンに溶解した。ヘキサンを加え、得られた固体をろ過により除去した。次いで、固体を分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、20×20cmプレート、1000ミクロン、50%CMA80/50%ジクロロメタン)で精製して、tert-ブチル{(5S)-5-[(2-ベンジル-4-フェニルブタノイル)アミノ]-6-[(3-カルバモイルビシクロ[2.2.2]オクタ-2-イル)アミノ]-6-オキソヘキシル}カルバメートを白色固体(109mg;48.7%)として得た。ESI MS m/z:C3752の計算値632.83、実測値634.0(M+H)。上記物質(103mg;0.163mmol)をジクロロメタン(6mL)に溶解した。TFA(2mL)を加え、混合物を室温で3.5時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をジクロロメタンで数回洗浄した。この残渣をジクロロメタン-THF(70/30,30mL)に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、固体をジクロロメタンで粉砕して、表題化合物を白色固体(35.1mg、4つの異性体の混合物、40.5%)として得た。R06039-696:1H NMR (300 MHz, METHANOL-d4) d ppm 0.83-1.13 (m, 1H), 1.25-2.05 (m, 18H), 2.30-2.47 (m, 1H), 2.80 (s, 8H), 4.14-4.43 (m, 2H), 7.04-7.36 (m, 10H)。ESI MS m/z:C3244の計算値532.72,実測値533.3(M+H)。上記の粉砕からの濾液を蒸発させ、分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、20×20cmプレート、1000ミクロン、CMA80)で精製して、2つの主要画分を得た。画分1(極性がより低い、15.2mg、2つの異性体の混合物、17.5%)、R06039-697:1H NMR (300 MHz, METHANOL-d4) d ppm 0.80 (s, 2H), 1.07-1.72 (m, 18H), 1.74-1.94 (m, 2H), 2.13-2.30 (m, 1H), 2.32-2.90 (m, 7H), 4.01-4.32 (m, 2H), 6.82-7.27 (m, 10H)。ESI MS m/z:C3244の計算値532.72,実測値533.1(M+H)。画分2(より極性、17.1mg、2つの異性体の混合物、19.7%)、R06039-698:1H NMR (300 MHz, METHANOL-d4) d ppm 0.79 (d, J=7.16 Hz, 2H), 1.08-1.70 (m, 18H), 1.79 (br. s., 2H), 2.12-2.29 (m, 1H), 2.33-2.89 (m, 7H), 4.21 (d, J=6.97 Hz, 2H), 6.92-7.22 (m, 10H)。ESI MS m/z:C3244の計算値532.72,実測値533.5(M+H)
【0189】
R06039-715の合成
【0190】
メチル(6-オキソ-6,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,e]アゼピン-5-イル)アセテート。
【0191】
5,11-ジヒドロ-6H-ジベンゾ[b,e]アゼピン-6-オン(300mg、1.43mmol)をDMF(10mL)に溶解し、氷浴で冷却した。水素化ナトリウム(60%、75mg、1.88mmol)を加え、混合物を0℃で10分間、次いで室温で30分間撹拌した。混合物を再び0℃に冷却し、メチルブロモアセテート(548mg、3.58mmol)を数分間かけて加えた。0℃で30分間撹拌した後、混合物を室温に温め、一晩撹拌した。混合物を氷水に注ぎ、ジクロロメタンで数回抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(60%酢酸エチル/40%ヘキサン)で精製して、メチル(6-オキソ-6,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,e]アゼピン-5-イル)アセテートを無色固体(401mg、99.5%)として得た。1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 3.44-3.67 (m, 1H), 3.81 (s, 3H), 4.31-4.54 (m, 1H), 4.60-4.91 (m, 2H), 7.01-7.46 (m, 7H), 7.80 (dd, J=7.63, 1.22 Hz, 1H)。ESI MS m/z:C1715NOの計算値281.31,実測値282.3(M+H)
【0192】
(6-オキソ-6,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,e]アゼピン-5-イル)酢酸。
THF/MeOH/HO(1:1:1、24mL)の混合物にメチル(6-オキソ-6,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,e]アゼピン-5-イル)アセテート(391mg、1.39mmol)を溶解させた。水酸化リチウム(292mg、6.96mmol)を加え、混合物を室温で2.5時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を水に再溶解した。次いで、溶液を6N HClでpH1に酸性化した。次いで、混合物をクロロホルムで数回抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。残留物を少量のジクロロメタンに取り、ヘキサンで沈殿させた。次いで、この混合物全体を蒸発させ、真空乾燥して、(6-オキソ-6,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,e]アゼピン-5-イル)酢酸を白色固体(305mg、82.2%)として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) d ppm 3.75 (d, J=13.00 Hz, 1H), 4.27 (d, J=12.81 Hz, 1H), 4.45-4.87 (m, 2H), 7.04-7.51 (m, 7H), 7.60 (d, J=7.35 Hz, 1H), 12.87 (br. s., 1H)。ESI MS m/z:C1613NOの計算値267.28,実測値268.3(M+H)
【0193】
2-[2-(2-{10-オキソ-9-アザトリシクロ[9.4.0.0^{3,8}]ペンタデカ-1(11),3(8),4,6,12,14-ヘキサエン-9-イル}アセトアミド)アセトアミド]シクロヘキサン-1-カルボキサミド(R06039-715)
【化34】
【0194】
(6-オキソ-6,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,e]アゼピン-5-イル)酢酸(55mg、0.206mmol)およびHATU(98mg、0.258mmol)をDMF(3)に加え、10分間撹拌した。DIEA(66mg、0.514mmol)を添加し、混合物をさらに10分間撹拌した後、DMF(3mL)中の2-(グリシルアミノ)シクロヘキサンカルボキサミド(51mg、0.256mmol)を添加した。この溶液を室温で一晩撹拌した。飽和塩化ナトリウム水溶液(25mL)を加え、混合物を30分間撹拌した。得られた沈殿物をろ過により除去し、水で十分に洗浄した。この固体をジクロロメタン-メタノール混合物で粉砕し、真空乾燥してR06039-715をオフホワイトの固体(49.0mg、51.3%)として得た。粉砕濾液の蒸発により、第2の収穫物(14.5mg)が得られた。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) d ppm 0.92-1.50 (m, 4H), 1.51-1.89 (m, 4H), 2.04-2.24 (m, 1H), 3.56-3.83 (m, 4H), 4.18-4.41 (m, 1H), 4.63 (br. s., 1H), 6.70 (br. s., 1H), 6.87-7.03 (m, 1H), 7.05-7.47 (m, 6H), 7.60 (d, J=7.16 Hz, 2H), 8.45 (br. s., 1H)。ESI MS m/z:C2528の計算値448.51,実測値449.6(M+H)
【0195】
EC50の機能的決定:NPS受容体での機能的アゴニストの同定は、無差別Gqタンパク質Gα16を安定に発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞株であるRD-HGA16細胞(Molecular Devices)を利用して行った。RD-HGA16細胞を操作して、NPS受容体を安定に過剰発現させた。2つのヒトNPS受容体バリアント(NPS Ile107およびAsn107)のうちの1つを安定に発現する2つの個々の細胞株を作製した。細胞にカルシウム感受性色素(Molecular Devices)を37℃で1時間負荷し、化合物を、FlexStation蛍光プレートリーダーを用いた内部カルシウム貯蔵の動員のマーカーとして増加した蛍光強度によって測定した固有の活性について別個の実験でアッセイした。試験化合物のEC50を決定するために、化合物を8点の全対数または半対数濃度曲線として2回測定した。各化合物を少なくとも3回の独立した実験で試験した。3パラメータロジスティック方程式を、EC50値を計算するために、Prism Software(Windowsの場合v5、GraphPad Software; San Diego、CA)を用いて濃度応答データに適合させた。データは、少なくとも3回の独立した実験からの平均±SEMを表す。表1は、式Iまたは式IIの特定の化合物についてのEC50を列挙する。
【表1】
【0196】
本発明は、本発明の特定の態様、特徴および例示的な実施形態を参照して本明細書に記載されてきたが、本発明の有用性はこれに限定されるものではなく、むしろ多数の他の変形 本明細書の記載に基づいて、本開示の分野の当業者に自明であるように、変更、代替および代替の実施形態を含む。 対応して、以下に請求される主題は、その精神および範囲内において、そのような変形、修正および代替の実施形態のすべてを含むものとして広く解釈され、解釈されることが意図される。
【配列表】
0007132125000001.app