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▶ コニカ ミノルタ ラボラトリー ユー.エス.エー.,インコーポレイテッドの特許一覧

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  • 特許-透明相関金属電極を形成するための方法 図1
  • 特許-透明相関金属電極を形成するための方法 図2A
  • 特許-透明相関金属電極を形成するための方法 図2B
  • 特許-透明相関金属電極を形成するための方法 図3
  • 特許-透明相関金属電極を形成するための方法 図4
  • 特許-透明相関金属電極を形成するための方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】透明相関金属電極を形成するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/28 20060101AFI20220830BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20220830BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20220830BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220830BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220830BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220830BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20220830BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20220830BHJP
   G06F 3/041 20060101ALN20220830BHJP
【FI】
H01L21/28 301R
H01B13/00 503B
H01L21/28 B
H01L21/285 S
H05B33/02
H05B33/10
H05B33/14 A
H05B33/26 Z
H05B33/28
G06F3/041 640
G06F3/041 660
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018561679
(86)(22)【出願日】2017-05-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 US2017033830
(87)【国際公開番号】W WO2017205285
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-03-18
(31)【優先権主張番号】62/340,253
(32)【優先日】2016-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507031918
【氏名又は名称】コニカ ミノルタ ラボラトリー ユー.エス.エー.,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天野 純
【審査官】早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-106935(JP,A)
【文献】国際公開第2016/019327(WO,A1)
【文献】特表2011-513846(JP,A)
【文献】特開2004-134677(JP,A)
【文献】特開2010-219207(JP,A)
【文献】Lei Zhang et al.,"Correlated metals as transparent conductors",Nature Materials,2015年12月14日,vol. 15,p.204-210
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205-21/3215
H01L 21/768
H01L 23/52
H01L 23/522-23/532
H01L 21/28-21/288
H01L 21/44-21/445
H01L 29/40-29/51
H01L 21/336
H01L 29/786
H01L 27/28-27/32
H01L 51/00-51/56
H05B 33/00-33/28
H01B 13/00
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10nm~100nmの厚さを有する相関金属膜を可撓性透明基板に積層する工程、
紫外光パルスにより前記相関金属膜を焼鈍する工程、並びに
前記積層する工程及び前記焼鈍する工程において前記可撓性透明基板の温度を80℃未満に維持する工程を含み、
前記焼鈍する工程では、前記相関金属膜の第1の領域が第1の所定のシート抵抗値を有するまで前記第1の領域を焼鈍し、さらに前記相関金属膜の第2の領域が第2の所定のシート抵抗値を有するまで前記第2の領域を焼鈍し、
前記第1の領域は、第1の所定の形状を有し、
前記第2の領域は、第2の所定の形状を有し、
前記第1の所定のシート抵抗値は10Ω/□よりも低く、
前記第2の所定のシート抵抗値は1~100Ω/□であり、
前記第1の所定のシート抵抗値と前記第2の所定のシート抵抗値は異なる値であり、
前記第1の所定のシート抵抗値及び前記第2の所定のシート抵抗値を、前記紫外光パルスの出力値及び/又は焼鈍持続時間を調節することで調整する、可撓性透明導電性電極層を製造する方法。
【請求項2】
前記相関金属膜を前記可撓性透明基板に積層する前記工程にロールツーロール積層処理を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記相関金属膜はABOの形態であり、Aは第IIA族材料の単体又は混合物であり、Bは第VB族材料の単体又は混合物である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記相関金属膜はSrVO又はCaVOである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
有機発光ダイオード層を前記可撓性透明導電性電極層に積層して可撓性有機発光ダイオード照明パネルを製造する工程をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記相関金属膜及び可撓性透明基板は、タッチスクリーン装置、又はセンサーに含まれる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記相関金属膜は10nm~50nmの厚さを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
可撓性透明導電性電極(TCE)層は、広範な用途、例えば携帯電話、携帯情報端末(PDA)、デジタルカメラ、及び個人娯楽用手持ち式端末などの大容量小画面装置に用いられる。TCE層の抵抗値は、TCEの具体的な用途を決定する。可撓性透明導電性電極層の薄くて柔軟な性質により、そのような小画面装置は可撓性で折りたたみ可能、又は着用可能にもなる。
【0002】
そのような装置は、多くの場合、具体的な用途に応じて様々な形状及び/又はシート抵抗値の可撓性透明導電性電極層を必要とする。しかし、用途の範囲は所望の形状及びシート抵抗値を有する可撓性透明導電性電極層を形成する際の困難により限定されてしまう。
【0003】
例えば、可撓性透明導電性電極層は、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、OLED)照明パネルに用いることができる。OLED照明パネルは様々な用途を有する。具体的な用途に応じて、特定の形状及び/又はシート抵抗値の可撓性透明導電性電極層を製造する必要があるかもしれない。OLED照明パネルを形成する従来技術は、有機半導体材料の標準的積層法とフォトリソグラフィーを用い、従来技術のフォトリソグラフ工程の複雑な特徴のため、OLED照明パネルの形状の選択肢は限られている。その結果、OLED照明パネルの用途の範囲は限られている。所望の形状及び/又はシート抵抗値のTCE層を製造し、所望の形状及び/又はシート抵抗値のTCE層の上にOLED層を形成することで、広範な用途に所望の形状のOLED照明パネルを得ることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般に、一側面では、本発明の1つ以上の実施形態は、可撓性透明導電性電極層を製造する方法に関する。この方法は、10nm~100nmの厚さを有する相関金属膜を可撓性透明基板に積層する工程、紫外光パルスにより相関金属膜を焼鈍する工程、並びに上記積層する工程及び焼鈍する工程において可撓性透明基板の温度を80℃未満に維持する工程を含む。実施形態によっては、相関金属膜が10nm~50nmの厚さを有していることが好ましい。
【0005】
別の側面では、1つ以上の実施形態は、可撓性透明基板に設けられ、10nm~100nmを有する焼鈍済み相関金属膜を含む装置に関する。実施形態によっては、相関金属膜が10nm~50nmの厚さを有していることが好ましい。相関金属膜は、可撓性透明基板の温度が80℃未満に維持された状態で、UV光パルスを用いて焼鈍されている。相関金属膜及び可撓性透明基板は、それぞれが異なる所定の形状と異なる所定のシート抵抗値を有する複数の領域を含む。
【0006】
本発明の他の側面は、以下の記載及び添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本明細書に開示する1つ以上の実施形態による相関金属SrVOとCaVOの単位格子の例示的な結晶構造体を示す。
【0008】
図2A図2Aは、本明細書に開示する1つ以上の実施形態による透明導電性電極を形成する低温・真空によるロールツーロール膜蒸着処理の概略図を示し、本明細書に開示する1つ以上の実施形態によるスパッタリング法によるロールツーロール膜蒸着処理を例示する。
図2B図2Bは、本明細書に開示する1つ以上の実施形態による透明導電性電極を形成する低温・真空によるロールツーロール膜蒸着処理の概略図を示し、本明細書に開示する1つ以上の実施形態による湿式法によるロールツーロール膜蒸着処理を例示する。
【0009】
図3図3は、本明細書に開示する1つ以上の実施形態による可撓性透明基板の温度の分析結果を示す。
【0010】
図4図4は、本発明の1つ以上の実施形態による可撓性透明導電性電極層を形成する処理の概略斜視図を示す。
【0011】
図5図5は、本発明の1つ以上の実施形態による流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、添付の図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に記載する。一貫性を持たせるために様々な図面の同一の要素は同一の符号で示す。さらに、本明細書の図面で「図(Fig.)」を用いる場合には「図(Figure)」という用語を用いるのと同意義である。
【0013】
本発明の実施形態に関する以下の詳細な記載において、本発明をより良く理解できるように多くの具体的な詳細を記述する。しかし、当業者にはこれらの具体的な詳細を用いることなく本発明を実施できることが明らかである。他の例では、記載を不必要に複雑にすることを避けるため、周知の特徴事項を記載していない。
【0014】
全体として、特許請求する本発明の実施形態は、相関金属薄膜を用いる可撓性透明導電性電極層を形成(製造)する方法に関する。例えば、本方法は、可撓性透明基板に積層された相関金属薄膜に紫外光(UV)パルスを照射する工程、相関金属薄膜を可撓性透明基板に積層する工程、及び可撓性透明基板の温度を80℃未満に維持しつつUV光パルスで相関金属膜を焼鈍する工程を含んでもよい。そのような方法の1つ以上の実施形態で、任意もしくは所望の形状及び/又はシート抵抗値の可撓性透明導電性電極層を形成することができ、それにより可撓性透明導電性電極層を従来知られているよりも広範な用途に用いることができる。
【0015】
1つ以上の実施形態による可撓性透明導電性電極層の用途としては、例えばタッチスクリーン、高性能窓用フィルム、及びセンサーが挙げられる。多くの工業用途では特定の形状及びシート抵抗値、通常は500Ω/□よりも低い抵抗値の透明導電性電極が必要とされる。例えば、可撓性有機発光ダイオード(OLED)表示画面及び太陽電池のシート抵抗値は通常、50Ω/□より低いが、タッチスクリーンのシート抵抗値は通常、200~500Ω/□の範囲である。
【0016】
本発明の1つ以上の実施形態による製造方法は、OLED照明パネルに用いることができる。OLED照明パネルを用いて、LEDのような点光源と比べて広い発光領域を有する可撓性かつ見栄えの良い薄型発光パネルを形成することができる。本発明の1つ以上の実施形態によるOLED照明パネルで形成したそのような発光パネルは、任意の所望の形状を有するができ、様々な用途、例えば自動車の尾灯及び固有の設計の照明器具に用いることができる。
【0017】
本発明の1つ以上の実施形態では、可撓性OLED照明パネルは、フォトリソグラフ処理を用いずに任意の所望の形状及び/又はシート抵抗値を有する可撓性透明導電性電極層で形成される。その結果、例えば自動車、装飾照明器具、又は様々な他の用途で用いる任意の好適な形状/シート抵抗値の可撓性OLED照明パネルを低いコストで製造することができる。
【0018】
図1は、本明細書で開示する実施形態によるABOの形態の相関金属酸化物のペロブスカイト結晶構造体を例示する。例えば、SrVOとCaVOの単位格子を本発明の1つ以上の実施形態による製造方法で用いることができる。SrVOでは、Aはストロンチウムであり、Bはバナジウムである。CaVOでは、Aはカルシウムであり、Bはバナジウムである。SrVOは格子定数c=3.842オングストロームの立方晶ペロブスカイト構造を有するが、CaVOは格子定数c=3.770オングストロームで斜方晶的に歪んでいる。SrVOのような立方晶ペロブスカイト構造体では、部分的に充填された電子殻を有する遷移金属バナジウム(V)はBサイトを占め、Bサイトの中央に8面体を形成する6個の酸素(O)イオンで囲まれている(かつこれらのイオンに強固に結合している)。Aサイトの材料としては第IIA族材料、例えばマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、及びバリウム(Ba)、並びにこれらの第IIA族材料の組み合わせが挙げられる。Bサイトの材料としては、第VB族材料、例えばバナジウム(V)及びニオブ(Nb)、並びにこれらの第VB族材料の組み合わせが挙げられる。当業者は多くの遷移金属酸化物が類似の単位格子結晶構造を有していることを知っている。
【0019】
相関材料中の高濃度の電子間でニオブの斥力が強いので、電子は他の電子に対して相関的に移動し、電子構造は単純な自由電子の構造でも完全なイオンの構造でもなく、むしろ両者の混合である。最終的な電子構造は、強力な紫外線吸収力を有する可視波長(400~750nm)の高い透明性に適した複合バンド構造を示す場合がある。
【0020】
本発明の1つ以上の実施形態では、そのような相関金属酸化物を用いて任意の所望の形状及び/又は抵抗値の薄型可撓性透明導電性電極層を形成する。本発明の1つ以上の実施形態では、相関金属酸化物の薄型可撓性透明導電性電極層は超薄型である(例えば10~100nm又は10~50nm)。1つ以上の実施形態では、薄型可撓性透明導電性電極層は超平滑でもある。欠陥密度が高く、巨視的結晶化度が低く、つまり単位格子が広範囲にわたって整列しないので、低温で積層した相関金属層は、約100Ω/□又はそれ以上のシート抵抗値と可視範囲で約85%よりも高い透明度を示す場合がある。
【0021】
図2A及び図2Bに、本発明の1つ以上の実施形態による低温によるロールツーロール膜蒸着処理の概略図を示す。図2Aに示すように、ロールツーロール膜蒸着処理は、真空スパッタリング法と化学蒸着法(CVD)を含む場合がある。図2Bに示すように、ロールツーロール膜蒸着処理は、積層した層の厚さの均一性を高くするために湿式法、例えば「スロット金型コーティング」をさらに含んでもよい。本発明の1つ以上の実施形態では、相関金属膜をロールツーロール膜蒸着処理で可撓性透明基板に積層する。可撓性透明基板は、任意の可撓性高分子化合物、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)及びポリエチレンナフタラート(PEN)、並びに可撓性薄ガラス、例えばコーニング・ウィロー(Corning Willow)ガラスからなってもよい。
【0022】
本発明の1つ以上の実施形態では、OLED層を低いシート抵抗値を有するように設計された領域のみからの発光を可能にする可撓性相関TCE層に積層して所望の形状のOLED発光パネルをもたらしてもよい。
【0023】
図3に、膜の幅に対応するUV光パルスレーザー照射による膜の温度を示す。UV光パルスレーザー照射の出力値及び持続時間が増大するにつれて、膜の温度は上昇する。本発明の1つ以上の実施形態では、可撓性透明基板の温度を80℃未満に維持するために必要とされるUV照射の出力値及び/又は持続時間は、可撓性透明基板の幅に対して決定される。このように、可撓性透明基板の温度を80℃未満に維持するように照射の出力値及び持続時間を制御しつつ、相関金属膜で十分に高い焼鈍温度を生成することができる。UV照射により誘導される熱焼鈍中に、相関金属の単位格子の広範にわたる巨視的結晶整列が生じ、下方の基板に損傷を与えることなくシート抵抗値を所望の値に下げることができる。
【0024】
図4に、本発明の1つ以上の実施形態による所望の形状の可撓性透明導電性電極を形成する処理の概略図を示す。
【0025】
本発明の1つ以上の実施形態では、2軸走査レーザー焼鈍システム(402)を可撓性透明導電性電極層の製造に用いる。2軸走査レーザー焼鈍システム(402)では、レーザー光線(404)を2枚の走査鏡(406及び408)から順次反射させ、集束レンズ(図示せず)に通すことができる。走査鏡は、回転軸(410又は412)回りでレーザー光線を高速で屈折させることができる。走査鏡は、ガルバノスキャナーモーターで駆動することができる。本発明の1つ以上の実施形態では、ロールツーロール膜蒸着処理(414)は、膜を移動することを含み、単軸走査レーザー焼鈍システム(402)のみを必要とする。
【0026】
OLED照明パネルの用途では、例えば相関金属膜(416)を走査レーザー焼鈍システム(402)で照射して焼鈍し、10Ω/□よりも低いシート抵抗値を有する領域を形成してもよい。他の多くの用途では、相関金属膜(416)を走査レーザー焼鈍システム(402)で照射して焼鈍し、1~100Ω/□の低い抵抗値を有する領域を形成してもよい。膜が焼鈍されるにつれて相関金属膜は結晶化し、膜のシート抵抗値は低減する。焼鈍する相関金属膜の領域を任意に選択することができる。さらに、UV光レーザー照射の出力値及び/又は焼鈍持続時間を調節することで相関金属膜の領域のシート抵抗値を任意に調整してもよい。
【0027】
本発明の1つ以上の実施形態では、300nm未満の波長のUVレーザーは相関金属膜による強い吸収力を示し、相関金属膜の焼鈍に用いられる。例えば、典型的なUVエキシマレーザー(KrF、ArF)は、10~100mJ/cmの範囲のエネルギー密度で用いられ、10~100ナノ秒のパルス持続時間を用いてもよい。
【0028】
図5に、本発明の1つ以上の実施形態による透明導電性電極を製造する方法を例示する。
【0029】
工程500で、例えばロールツーロール積層処理により10nm~100nmの厚さの相関金属膜を可撓性透明基板に積層する。いくつかの実施形態では、相関金属膜は10nm~50nmの厚さを有しているのが好ましい。工程502で、走査UVレーザー焼鈍システムにより相関金属膜を焼鈍する。工程502で用いた出力値及び焼鈍持続時間は、可撓性透明導電性電極層の対象となる用途に基づいて予め決定してもよい。工程504において、UV照射の出力値及び/又は持続時間を調整して可撓性透明基板の温度を80℃未満に維持する。
【0030】
対象となる用途に適した特定のシート抵抗値を得るのに要求される特定の出力値及び焼鈍持続時間は、膜の結晶化に応じて出力値と焼鈍持続時間の関数として決定してもよい。結晶化が進むにつれて膜のシート抵抗値は低下する。例えば、10Ω/□よりも低い所定のシート抵抗値をOLED照明パネル用途に用い、他方で1~100Ω/□のシート抵抗値を他の多くの用途に用いてもよい。さらに、透明導電性電極を選択的に焼鈍して所望のシート抵抗値を有する領域を形成してもよい。
【0031】
本発明の1つ以上の実施形態では、透明導電性電極は、異なる形状及び異なるシート抵抗値の複数の領域を含む。そのような透明導電性電極を用いて複数の装置、例えばOLED照明パネルとタッチセンサーを組み合わせて単一のパネルにしてもよい。
【0032】
1つ以上の実施形態によれば、所望の任意の形状/シート抵抗値の可撓性透明導電性電極層を製造することができ、これによってより広範な用途を可能にする。本発明の1つ以上の実施形態では、任意の形状及びシート抵抗値の可撓性透明導電性電極層、可撓性OLED照明パネル、タッチスクリーン、及びセンサーパネルの製造全体をロールツーロール処理で実現することができる。しかし、本発明の範囲を逸脱することなく他の処理、例えばフォトリソグラフ処理を用いることもできる。
【0033】
本発明を限定的な数の実施形態について記載したが、当業者は本開示の利点により本明細書に開示した発明の範囲を逸脱しない他の実施形態を考案できることが分かっている。したがって、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲のみにより限定されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5