(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタ、その製造方法、及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20220830BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20220830BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H01L29/78 619A
H01L29/78 618B
H01L29/78 618A
H01L21/316 S
(21)【出願番号】P 2018563807
(86)(22)【出願日】2018-05-31
(86)【国際出願番号】 CN2018089210
(87)【国際公開番号】W WO2019037504
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】201710725264.7
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】507232478
【氏名又は名称】北京大学
【氏名又は名称原語表記】PEKING UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.5, Yiheyuan Road, Haidian District, Beijing 100871, China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】孟 ▲虎▼
(72)【発明者】
【氏名】梁 学磊
(72)【発明者】
【氏名】夏 ▲継▼▲業▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 奇
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105679676(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0287942(US,A1)
【文献】特開2013-175713(JP,A)
【文献】特表2019-507489(JP,A)
【文献】特表2013-531383(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0187153(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102986034(CN,A)
【文献】LIANG, Shibo, et al.,High-performance carbon-nanotube-based complementary field-effect-transistors and integrated circuits with yttrium oxide,Applied Physics Letters,米国,AIP Publishing LLC.,2014年,Vol. 105, No. 6,pp. 063101,DOI: 10.1063/1.4892918
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/786
H01L 21/316
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を提供することと、
前記基板上にアクティブレイヤーを形成することと、
前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に、少なくとも前記アクティブレイヤーのチャネル領域を覆うパッシベーション層を形成することとを含む薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に、少なくとも前記アクティブレイヤーのチャネル領域を覆うパッシベーション層を形成することは、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の価電子帯近傍の側に移動させることができる絶縁性の第1金属酸化物層を形成することを含
み、
前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に、少なくとも前記アクティブレイヤーのチャネル領域を覆うパッシベーション層を形成することは、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の伝導帯近傍の側に移動させることができる絶縁性の第2金属酸化物層を形成することをさらに含み、前記第1金属酸化物層と前記第2金属酸化物層との相互作用で、前記アクティブレイヤーの多数のキャリアはホールであり、
前記第1金属酸化物層は、酸化イットリウム層であり、前記第2金属酸化物層は、酸化アルミニウム層である、
薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項2】
前記絶縁性の第1金属酸化物層を形成することは、前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に第1金属酸化物層を形成することを含み、
前記絶縁性の第2金属酸化物層を形成することは、前記第1金属酸化物層の前記アクティブレイヤーと反対側の面上に第2金属酸化物層を形成することを含むことを特徴とする請求項
1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記絶縁性の第1金属酸化物層を形成することは、
前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に金属イットリウム膜を形成することと、
前記金属イットリウム膜が形成された基板に対して酸化プロセスを行うことによって、酸化イットリウム膜を形成することと、
前記酸化イットリウム膜に対してパターニングプロセスを行うことによって、前記酸化イットリウム層を形成することとを含むことを特徴とする請求項
1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記金属イットリウム膜が形成された基板に対して酸化プロセスを行うことによって、酸化イットリウム膜を形成することは、酸素を含むガス雰囲気中に前記金属イットリウム膜が形成された基板を加熱すること、または、紫外線照射下で前記金属イットリウム膜をオゾンによって酸化することを含むことを特徴とする請求項
3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に金属イットリウム膜を形成することは、電子ビームコーティングプロセスにより、前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に金属イットリウム膜を形成することを含むことを特徴とする請求項
3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記絶縁性の第2金属酸化物層を形成することは、原子層堆積法により、前記第1金属酸化物層の前記アクティブレイヤーと反対側の面上に酸化アルミニウム膜を形成することと、前記酸化アルミニウム膜に対してパターニングプロセスを行うことによって、前記酸化アルミニウム層を形成することとを含むことを特徴とする請求項
1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記アクティブレイヤーは、ネットワークカーボンナノチューブからなることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記基板上にアクティブレイヤーを形成することは、
カーボンナノチューブを有機溶媒に分散させて第1溶液を形成することと、
前記基板を前記第1溶液に浸漬して取り出す後、前記基板上に第1膜を形成し、前記第1膜に前記カーボンナノチューブがランダムに分布してネットワークカーボンナノチューブを形成することと、
前記第1膜に対してパターニングプロセスを行うことによって、アクティブレイヤーのパターンを形成することとを含むことを特徴とする請求項
7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記有機溶媒は、トルエン、キシレン、クロロホルム、またはo-キシレンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項
8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記基板上に第1膜を形成することの後に、そして、前記第1膜に対してパターニングプロセスを行うことによって、アクティブレイヤーのパターンを形成することの前に、前記基板上にアクティブレイヤーを形成することは、前記基板をo-キシレンで洗浄し、乾燥させることをさらに含むことを特徴とする請求項
8に記載の製造方法。
【請求項11】
基板を提供することと、
前記基板上にアクティブレイヤーを形成することと、
前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に、少なくとも前記アクティブレイヤーのチャネル領域を覆うパッシベーション層を形成することとを含む薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に、少なくとも前記アクティブレイヤーのチャネル領域を覆うパッシベーション層を形成することは、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の価電子帯近傍の側に移動させることができる絶縁性の第1金属酸化物層を形成することを含み、
前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に、少なくとも前記アクティブレイヤーのチャネル領域を覆うパッシベーション層を形成することは、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を伝導帯が位置する方向に移動させることができる無機絶縁層を形成することをさらに含み、前記第1金属酸化物層と無機絶縁層との相互作用で、前記アクティブレイヤーの多数のキャリアはホールであ
り、
前記絶縁性の第1金属酸化物層を形成することは、前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に第1金属酸化物層を形成することを含み、
前記無機絶縁層を形成することは、前記第1金属酸化物層の前記アクティブレイヤーと反対側の面上に無機絶縁層を形成することを含み、
前記無機絶縁層は、窒化シリコンまたは酸化シリコンからなることを特徴とする
薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項12】
基板と、
前記基板上に配置されたアクティブレイヤーと、
前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に配置され、少なくとも前記アクティブレイヤーのチャネル領域を覆うパッシベーション層を含む薄膜トランジスタであって、
前記パッシベーション層は、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の価電子帯近傍の側に移動させることができる絶縁性の第1金属酸化物層を含
み、
前記パッシベーション層は、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の伝導帯近傍の側に移動させることができる絶縁性の第2金属酸化物層をさらに含み、前記第1金属酸化物層と前記第2金属酸化物層との相互作用で、前記アクティブレイヤーの多数のキャリアはホールであり、
前記第1金属酸化物層は、前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に接触して設け、
前記第2金属酸化物層は、前記第1金属酸化物層の前記アクティブレイヤーと反対側の面上に接触して設け、
前記第1金属酸化物層は、酸化イットリウム層であり、前記第2金属酸化物層は、酸化アルミニウム層であり、
前記酸化イットリウム層の厚さは1~10nmであり、前記酸化アルミニウム層の厚さは20~200nmであることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項13】
前記パッシベーション層は、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の伝導帯近傍の側に移動させることができる無機絶縁層をさらに含み、前記第1金属酸化物層と無機絶縁層との相互作用で、前記アクティブレイヤーの多数のキャリアはホールであることを特徴とする請求項
12に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項14】
前記第1金属酸化物層は、前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に接触して設け、
前記無機絶縁層は、前記第1金属酸化物層の前記アクティブレイヤーと反対側の面上に接触して設けることを特徴とする請求項
13に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項15】
前記アクティブレイヤーの材料は、ネットワークカーボンナノチューブが選択されることを特徴とする請求項
12に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項16】
請求項
12~
15のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタを含む電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年8月22日に出願した中国特許出願第201710725264.7号の優先権を主張し、この出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、半導体技術分野に関し、特に、薄膜トランジスタ、その製造方法、及び電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
近年、薄膜トランジスタは、その優れた電気的および機械的特性によってますます注目されている。ボトムゲート型薄膜トランジスタのデバイス構造は、製造プロセスにおける工数を減らし、それに対する更なる汚染を回避し、大量生産に適したデバイス構造である。
【0004】
ボトムゲート型薄膜トランジスタは、アクティブレイヤーのチャネル領域が空気中に曝されているため、空気中の水や酸素の影響を受けやすくて、トランジスタに比較的大きなヒステリシスを引き起し、ディスプレイ分野におけるそれらの適用を抑えている。従来のパッシベーション法には、直接にアクティブレイヤー上に原子層堆積によって酸化物を成長させること、プラズマ強化化学気相堆積によって窒化ケイ素および酸化ケイ素を製造されること、有機材料のスピンコーティングパッシベーションなどが含まれ、これらのパッシベーション法は、デバイスに双極性などの問題を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
本開示の一実施形態による薄膜トランジスタの製造方法は、
基板を提供することと、
前記基板上にアクティブレイヤーを形成することと、
前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に、少なくとも前記アクティブレイヤーのチャネル領域を覆うパッシベーション層を形成することとを含む薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に、少なくとも前記アクティブレイヤーのチャネル領域を覆うパッシベーション層を形成することは、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の価電子帯近傍の側に移動させることができる絶縁性の第1金属酸化物層を形成することを含む。
【0006】
前記製造方法において、前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に、少なくとも前記アクティブレイヤーのチャネル領域を覆うパッシベーション層を形成することは、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の伝導帯近傍の側に移動させることができる絶縁性の第2金属酸化物層を形成することをさらに含み、前記第1金属酸化物層と前記第2金属酸化物層との相互作用で、前記アクティブレイヤーの多数のキャリアはホールである。
【0007】
前記製造方法において、前記絶縁性の第1金属酸化物層を形成することは、前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に第1金属酸化物層を形成することを含み、
前記絶縁性の第2金属酸化物層を形成することは、前記第1金属酸化物層の前記アクティブレイヤーと反対側の面上に第2金属酸化物層を形成することを含む。
【0008】
前記製造方法において、前記第1金属酸化物層は、酸化イットリウム層であり、前記第2金属酸化物層は、酸化アルミニウム層である。
【0009】
前記製造方法において、前記絶縁性の第1金属酸化物層を形成することは、
前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に金属イットリウム膜を形成することと、
前記金属イットリウム膜が形成された基板に対して酸化プロセスを行うことによって、酸化イットリウム膜を形成することと、
前記酸化イットリウム膜に対してパターニングプロセスを行うことによって、前記酸化イットリウム層を形成することと、を含む。
【0010】
前記製造方法において、前記金属イットリウム膜が形成された基板に対して酸化プロセスを行うことによって、酸化イットリウム膜を形成することは、酸素を含むガス雰囲気中に前記金属イットリウム膜が形成された基板を加熱すること、または、紫外線照射下で前記金属イットリウム膜をオゾンによって酸化することを含む。
【0011】
前記製造方法において、前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に金属イットリウム膜を形成することは、電子ビームコーティングプロセスにより、前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に金属イットリウム膜を形成することを含む。
【0012】
前記製造方法において、前記絶縁性の第2金属酸化物層を形成することは、原子層堆積法により、前記第1金属酸化物層の前記アクティブレイヤーと反対側の面上に酸化アルミニウム膜を形成することと、前記酸化アルミニウム膜に対してパターニングプロセスを行うことによって、前記酸化アルミニウム層を形成することとを含む。
【0013】
前記製造方法において、前記アクティブレイヤーは、ネットワークカーボンナノチューブからなる。
【0014】
前記製造方法において、前記基板上にアクティブレイヤーを形成することは、
カーボンナノチューブを有機溶媒に分散させて第1溶液を形成することと、
前記基板を前記第1溶液に浸漬して取り出す後、前記基板上に第1膜を形成し、前記第1膜に前記カーボンナノチューブがランダムに分布してネットワークカーボンナノチューブを形成することと、
前記第1膜に対してパターニングプロセスを行うことによって、アクティブレイヤーのパターンを形成することとを含む。
【0015】
前記製造方法において、前記有機溶媒は、トルエン、キシレン、クロロホルム、またはo-キシレンのうちの少なくとも1つである。
【0016】
前記製造方法において、前記基板上に第1膜を形成することの後に、そして、前記第1膜に対してパターニングプロセスを行うことによって、アクティブレイヤーのパターンを形成することの前に、前記基板上にアクティブレイヤーを形成することは、前記基板をo-キシレンで洗浄し、乾燥させることをさらに含む。
【0017】
前記製造方法において、前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に、少なくとも前記アクティブレイヤーのチャネル領域を覆うパッシベーション層を形成することは、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を伝導帯が位置する方向に移動させることができる無機絶縁層を形成することをさらに含み、前記第1金属酸化物層と無機絶縁層との相互作用で、前記アクティブレイヤーの多数のキャリアはホールである。
【0018】
前記製造方法において、前記絶縁性の第1金属酸化物層を形成することは、前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に第1金属酸化物層を形成することを含み、
前記無機絶縁層を形成することは、前記第1金属酸化物層の前記アクティブレイヤーと反対側の面上に無機絶縁層を形成することを含む。
【0019】
前記製造方法において、前記無機絶縁層は、窒化シリコンまたは酸化シリコンからなる。
【0020】
また、本開示の一実施形態は、基板と、前記基板上に配置されたアクティブレイヤーと、前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に配置され、少なくとも前記アクティブレイヤーのチャネル領域を覆うパッシベーション層を含み、前記パッシベーション層は、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の価電子帯近傍の側に移動させることができる絶縁性の第1金属酸化物層を含む薄膜トランジスタを提供する。
【0021】
前記薄膜トランジスタにおいて、前記パッシベーション層は、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の伝導帯近傍の側に移動させることができる絶縁性の第2金属酸化物層をさらに含み、前記第1金属酸化物層と前記第2金属酸化物層との相互作用で、前記アクティブレイヤーの多数のキャリアはホールである。
【0022】
前記薄膜トランジスタにおいて、前記第1金属酸化物層は、前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に接触して設け、
前記第2金属酸化物層は、前記第1金属酸化物層の前記アクティブレイヤーと反対側の面上に接触して設ける。
【0023】
前記薄膜トランジスタにおいて、前記第1金属酸化物層は、酸化イットリウム層であり、前記第2金属酸化物層は、酸化アルミニウム層であり、
前記酸化イットリウム層の厚さは1~10nmであり、前記酸化アルミニウム層の厚さは20~200nmである。
【0024】
前記薄膜トランジスタにおいて、前記パッシベーション層は、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の伝導帯近傍の側に移動させることができる無機絶縁層をさらに含み、前記第1金属酸化物層と無機絶縁層との相互作用で、前記アクティブレイヤーの多数のキャリアはホールである。
【0025】
前記薄膜トランジスタにおいて、前記第1金属酸化物層は、前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に接触して設け、
前記無機絶縁層は、前記第1金属酸化物層の前記アクティブレイヤーと反対側の面上に接触して設ける。
【0026】
前記薄膜トランジスタにおいて、前記アクティブレイヤーの材料は、ネットワークカーボンナノチューブが選択される。
【0027】
また、本開示の一実施形態は、前記の薄膜トランジスタを含む電子デバイスを提供する。
【0028】
図面の簡単な説明
以下、本開示の実施例または従来技術における技術案をより明確的に説明するため、実施例または従来技術における技術案に用いる添付の図面について簡単に説明する。以下に説明する図面は、本開示の実施形態であり、当業者は、これらの図面から、他の図面を、いかなる独創的な労力もなしに得ることができるのが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本開示の一実施形態におけるパッシベーション層を形成する方法のフローチャート1を示す。
【
図2】本開示の一実施形態におけるパッシベーション層を形成する方法のフローチャート2を示す。
【
図3】本開示の一実施形態において、酸化イットリウム層のみを用いて薄膜トランジスタのアクティブレイヤーをパッシベーションするときの薄膜トランジスタの伝達特性曲線を示す。
【
図4】本開示の一実施形態において、酸化アルミニウム層のみを用いて薄膜トランジスタのアクティブレイヤーをパッシベーションするときの薄膜トランジスタの伝達特性曲線を示す。
【
図5】本開示の一実施形態において、酸化イットリウム層と酸化アルミニウム層との両方を用いて薄膜トランジスタのアクティブレイヤーをパッシベーションするときの薄膜トランジスタの伝達特性曲線を示す。
【
図6】本開示の一実施形態における薄膜トランジスタの概略構成図を示す。
【
図7】薄膜トランジスタのアクティブレイヤーをパッシベーションしないときの薄膜トランジスタの伝達特性曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明を実施するための形態
本開示の実施形態について、図面および実施例を参照してより詳細的に説明する。以下の実施例は、本開示を例示することを意図しているが、本開示の範囲を限定するものではない。
【0031】
図6を参照すると、本実施例の薄膜トランジスタの製造方法は、
基板100を提供することと、
基板100上に、ソース電極3と電気的に接触するソース領域と、ドレイン電極4と電気的に接触するドレイン領域と、ソース領域とドレイン領域との間に形成されるチャネル領域とを含むアクティブレイヤー2と、ソース電極3と、ドレイン電極4とを形成することと、
アクティブレイヤー2の基板100と反対側の面上に、少なくとも前記チャネル領域を覆うパッシベーション層を形成することとを含む。
【0032】
前記パッシベーション層を形成することは、
前記アクティブレイヤー2のフェルミ準位を禁止帯の価電子帯近傍の側に移動させることができる絶縁性の第1金属酸化物層102を形成することを含む。
【0033】
前記製造方法によれば、薄膜トランジスタのアクティブレイヤーをパッシベーションするためのパッシベーション層は、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の価電子帯近傍の側に移動させることができる絶縁性の第1金属酸化物層102を含み、アクティブレイヤーへのホールドーピングの効果があり、従来のパッシベーション技術が薄膜トランジスタの双極性を引き起こすという問題が解決され、製品のパフォーマンスを向上させる。
【0034】
第1金属酸化物層102は、酸化イットリウム層、酸化ジルコニウム層などであってもよい。
【0035】
本開示の技術的手段では、第1金属酸化物層がアクティブレイヤーへのホールドーピングの効果があるため、デバイスの閾値電圧が上昇する可能性があり、一定のゲート電圧範囲内でオフすることが困難である。
【0036】
上記技術的課題を解決するために、実施形態において、前記パッシベーション層を形成することは、アクティブレイヤー2のフェルミ準位を禁止帯の伝導帯近傍の側に移動させることができる絶縁性の第2金属酸化物層103を形成することを含み、第1金属酸化物層102と第2金属酸化物層103との相互作用で、アクティブレイヤー2の多数のキャリアはホールである。
【0037】
前記のことによって形成された第2金属酸化物層は、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の伝導帯近傍の側に移動させ、アクティブレイヤーへの電子ドーピングの効果があり、第1金属酸化物層によるアクティブレイヤーへのホールドーピングを、ある程度、弱めることにより、デバイスをより容易にオフにすることができ、そして、第1金属酸化物層と第2金属酸化物層との相互作用で、前記アクティブレイヤーの多数のキャリアはホールであり、デバイスの双極性という問題を防ぐことができる。
【0038】
第2金属酸化物層103は、上記の機能を有する限り、酸化アルミニウムであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0039】
図1および
図4に示すように、前記パッシベーション層が第1金属酸化物層102および第2金属酸化物層103を含むと、任意的に、パッシベーション層を形成することは、
アクティブレイヤー2の基板100と反対側の面上に第1金属酸化物層102を形成してアクティブレイヤー2の予備パッシベーションを行い、
第1金属酸化物層102のアクティブレイヤー2と反対側の面上に第2金属酸化物層103を形成してアクティブレイヤー2の二次パッシベーションを行うことを含んでもよい。
【0040】
以上のことにより得られたパッシベーション層は、第1金属酸化物層がアクティブレイヤーの面と接触して設け、アクティブレイヤーへのホールドーピング効果が向上し、アクティブレイヤーの多数のキャリアとしてホールの実現のため、デバイスの双極性問題を防ぐことができる。また、第2金属酸化物層の二次パッシベーションは、ある程度、第1金属酸化物層によるアクティブレイヤーへのホールドーピングを弱めることができ、デバイスをより簡単にオフにすることができる。
【0041】
第1金属酸化物層102が酸化イットリウム層であり、第2金属酸化物層103が酸化アルミニウム層であることを例にすると、V
DS=-5.1Vにすると、アクティブレイヤー2の上に酸化イットリウム層のみを形成したとき、デバイスの伝達特性曲線が
図3のようになる。アクティブレイヤー2の上に酸化アルミニウム層のみを形成したとき、デバイスの伝達特性曲線が
図4のようになる。アクティブレイヤー2の基板100と反対側の面上に酸化イットリウム層と酸化アルミニウム層が順次形成された場合、デバイスの伝達特性曲線は
図5のようになる。
図3、
図4、
図5を比較すると、明らかに、酸化イットリウム層によりアクティブレイヤー2の予備パッシベーションを行う後、酸化アルミニウム層によりアクティブレイヤー2の二次パッシベーションを行うことで、デバイスの双極性問題を効果的に防ぐことができ、デバイスが特定のゲート電圧範囲内で容易にオフになることを保証することができる。
【0042】
前記アクティブレイヤーがパッシベーションされていない場合、すなわち、前記アクティブレイヤーが空気中に曝されている場合、薄膜トランジスタの伝達特性曲線は
図7のようになる。
【0043】
図面から分かるように、
図3~
図5及び
図7に示すデバイスの伝達特性曲線は、それぞれ曲線1及び曲線2を含む。曲線1はV
GSが負圧から正圧まで変化して得られるデバイスの伝達特性曲線を示し、曲線2はV
GSが正圧から負圧まで変化して得られるデバイスの伝達特性曲線を示す。
図4は、曲線1が左側のV字曲線であり、曲線2が右側のV字曲線であり、曲線1はV
GSが-30V~30Vまで変化して得られるデバイスの伝達特性曲線を示し、曲線2はV
GSが30V~-30Vまで変化して得られるデバイスの伝達特性曲線を示す。
【0044】
いつかの実施形態では、酸化イットリウム層を形成することは、
前記基板上に金属イットリウム膜を形成することと、
前記金属イットリウム膜が形成された基板に対して酸化プロセスを行うことによって、酸化イットリウム膜を形成することと、
前記酸化イットリウム膜に対してパターニングプロセスを行うことによって、前記酸化イットリウム層を形成することと、を有する。
【0045】
上記ことにより、まず、金属イットリウム膜を形成した後、金属イットリウム膜に対して酸化プロセスを行うことによって、酸化イットリウム膜を形成する。良質で厚い酸化イットリウム膜を得るために、必要な厚さを持つ酸化イットリウム膜を達成するまで上記ことを繰り返してもよく、毎回形成された金属イットリウム膜が薄いので、完全な酸化を容易に実現することができ、得られた酸化イットリウム膜の品質も保証することができる。
【0046】
具体的には、電子ビームコーティングプロセスにより、前記基板100上に金属イットリウム膜を形成してもよい。
【0047】
ここで、毎回形成される金属イットリウム膜の厚さは1~3nmであり、最終的に得られる酸化イットリウム膜の厚さは20~30nmであってもよい。
【0048】
金属イットリウムに対する酸化プロセスは、前記金属イットリウム膜が形成された基板100が、酸素を含むガス雰囲気中に加熱され、高温環境の下で金属イットリウム膜が酸素により酸化され、金属イットリウム膜が得られる。例えば、基板100は、酸素を含むガス雰囲気中で250℃まで加熱され、30分間酸化される。または、紫外線照射下で、前記金属イットリウム膜がオゾンによって酸化される。
【0049】
金属イットリウム膜を形成した後、直接に、原子層堆積法などの成膜プロセスにより、前記酸化イットリウム層の前記アクティブレイヤー2と反対側の面上に酸化アルミニウム膜を形成し、前記酸化アルミニウム膜に対してパターニングプロセスを行うことによって、前記酸化アルミニウム層を形成する。前記酸化アルミニウム層の厚さは、20~200nmでもよい。
【0050】
上述した実施形態では、第2金属層がアクティブレイヤーへの電子ドーピング効果を有することによって、ある程度、第1金属酸化物層のアクティブレイヤーへのホールドーピング効果を弱め、デバイスの双極性問題の防止とともに、デバイスが容易にオフされることが保証される。
【0051】
勿論、第1金属酸化物層がアクティブレイヤーへの強いホールドーピング効果を有し、デバイスがオフされることが困難であるという問題を克服するために、上記の手段に限定されない。
【0052】
上記技術的課題を解決するために、他の実施形態において、前記パッシベーション層を形成することは、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を伝導帯が位置する方向に移動させることができる無機絶縁層を形成することを含み、前記第1金属酸化物層と無機絶縁層との相互作用で、前記アクティブレイヤーの多数のキャリアはホールである。
【0053】
上記したことにより形成された無機絶縁層は、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の伝導帯近傍の側に移動させることができ、アクティブレイヤーへの電子ドーピング効果を有し、ある程度、第1金属酸化物層のアクティブレイヤーへのホールドーピング効果を弱めることができることにより、デバイスが容易にオフされることができる。また、前記第1金属酸化物層と無機絶縁層との相互作用で、前記アクティブレイヤーの多数のキャリアはホールであり、デバイスの双極性問題を防ぐことができる。
【0054】
前記無機絶縁層は、上記の機能を有するものであれば、窒化シリコン、酸化シリコンからなることができるが、これに限定されるものではない。
【0055】
図2に示すように、前記パッシベーション層が第1金属酸化物層と無機絶縁層とを含む場合、任意的に、前記パッシベーション層を形成することは、
前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上に第1金属酸化物層を形成して前記アクティブレイヤーの予備パッシベーションを行い、
前記第1金属酸化物層の前記アクティブレイヤーと反対側の面上に無機絶縁層を形成して前記アクティブレイヤーの二次パッシベーションを行うことを含んでもよい。
【0056】
以上のことにより得られたパッシベーション層は、第1金属酸化物層がアクティブレイヤーの面と接触して設け、アクティブレイヤーへのホールドーピング効果が向上し、アクティブレイヤーの多数のキャリアとしてホールの実現のため、デバイスの双極性問題を防ぐことができる。無機絶縁層の二次パッシベーションは、ある程度、第1金属酸化物層によるアクティブレイヤーへのホールドーピングを弱めることができ、デバイスをより簡単にオフにすることができる。
【0057】
この実施形態では、第1金属酸化物層は酸化イットリウム層であり、酸化イットリウム層を形成することは、上述した実施形態を参照することができ、ここでは詳細的に説明しない。
【0058】
上記2つの実施形態では、第1金属酸化物層によるアクティブレイヤーの予備パッシベーション後、アクティブレイヤーの二次パッシベーションを行うことによって、ある程度、第1金属酸化物層によるアクティブレイヤーへのホールドーピング効果を弱め、デバイスの双極性問題の防止とともに、デバイスが特定のゲート電圧範囲内で容易にオフになることを保証し、デバイスの性能を向上させる。
【0059】
もちろん、アクティブレイヤーに対して二次パッシベーションを行う方法は、上記の目的を達成できる限り、上記2つの実施形態に限定されるものではない。
【0060】
この実施形態では、アクティブレイヤー2はネットワークカーボンナノチューブからなる。ネットワークカーボンナノチューブ膜は、高い移動度、高いスイッチング比、柔軟性、透明性などの利点があるため、薄膜トランジスタのチャネル材料として、ディスプレイ駆動に大きな応用が期待されている。大規模で均一なネットワークカーボンナノチューブ膜は、印刷、堆積、引っ張りなどの方法によって製造することができる。
【0061】
前記アクティブレイヤーがネットワークカーボンナノチューブからなると、前記アクティブレイヤーを形成することは、
カーボンナノチューブを有機溶媒に分散させて第1溶液を形成することと、
前記基板を前記第1溶液に浸漬して取り出す後、前記基板上に第1膜を形成し、前記第1膜に前記カーボンナノチューブがランダムに分布してネットワークカーボンナノチューブを形成することと、
前記第1膜に対してパターニングプロセスを行うことによって、アクティブレイヤーのパターンを形成することとを含む。
【0062】
上記のことにおいて、前記基板は、Si/SiO2基板であって、前記第1溶液に浸漬される前にRCA洗浄プロセスによって洗浄されてもよい。前記有機溶媒は、トルエン、キシレン、クロロホルム、またはo-キシレンのうちの少なくとも1つ選択することができる。
【0063】
任意的に、前記基板上に第1膜を形成することの後に、前記製造方法は、前記基板をo-キシレンで洗浄し、乾燥させることを含む。
【0064】
前記第1膜のパターニングプロセスは、フォトレジストの塗布および露光、現像後にフォトレジストのパターンの形成、フォトレジストをバリアとして第1膜のエッチング、アクティブレイヤーのパターンの形成を含む。
【0065】
前記薄膜トランジスタをボトムゲート型ネットワークカーボンナノチューブ薄膜トランジスタとする場合を例に説明すると、本実施形態では、
図6に示すように、薄膜トランジスタの製造方法は、
ことS1:例えば、ガラス基板、石英基板、柔軟性基板などの基板100を提供する;
基板100は、RCA洗浄プロセスを用いて洗浄してもよい。
【0066】
ことS2:基板100上にゲート金属膜を形成し、前記ゲート金属薄膜に対してパターニングプロセスを行うことで、薄膜トランジスタ1のゲート電極を形成する。前記ゲート金属膜は、Cu、Al、Ag、Mo、Cr、Nd、Ni、Mn、Ti、Ta、Wなどの金属とこれらの合金であってもよい。ゲート金属膜は、単層構造又は多層構造であってもよく、多層構造は例えばCu/Mo、Ti/Cu/Ti、Mo/Al/Mo等であってもよい。パターニングプロセスは、フォトレジストの塗布、露光および現像、エッチング、フォトレジストの剥がれなどを含む。
【0067】
ことS3:ゲート電極1を覆うゲート絶縁層101を形成する。ゲート絶縁層101の材料は、酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれでもよく、また、単層でもよいし、二層または多層でもよい。具体的には、ゲート絶縁層101の材料はSiNx、SiOxまたはSi(ON)xである;
【0068】
ことS4:ゲート絶縁層101上にアクティブレイヤー2のパターンを形成する。アクティブレイヤー2はネットワークカーボンナノチューブからなる;
具体的には、
カーボンナノチューブを、トルエン、キシレン、クロロホルム、またはo-キシレンのうちの少なくとも1つである有機溶媒に分散させて第1溶液を形成することと、
ことS3後の基板100を前記第1溶液に浸漬し、一定時間後に基板100を取り出して、ゲート絶縁層101上に第1膜を形成し、前記第1膜中に前記カーボンナノチューブがランダムに分布してネットワークカーボンナノチューブを形成することと、
基板100をo-キシレンで洗浄し、乾燥させることと、
前記第1膜上にフォトレジストを塗布し、マスクを用いて前記フォトレジストを露光し、現像後に、アクティブレイヤー2が存在する領域に対応するフォトレジスト保持領域と他の領域に対応するフォトレジスト非保持領域とを形成し、前記フォトレジスト非保持領域の第1膜を除去し、残りのフォトレジストを剥がれて、前記フォトレジスト保持領域の第1膜がアクティブレイヤー2になることとを含む;
【0069】
ことS5:電子ビームコーティングプロセスにより、ことS4後の基板100上に厚さ1-3nmの金属イットリウム膜を形成し、前記金属イットリウム膜に対して酸化プロセスを行うことによって、酸化イットリウム膜を形成する;上述したことは、酸化イットリウム膜の厚さが20~30nmになるまで行う。
【0070】
ことS6:原子層堆積法により、ことS5を完了した基板100上に、厚さ20~200nmの酸化アルミニウム膜を形成する。
【0071】
ことS7:酸化イットリウム膜と酸化アルミニウム膜をパターニングして、酸化イットリウム層102と酸化アルミニウム層103を形成し、酸化イットリウム層102と酸化アルミニウム層103には位置対応するビアホールがある、すなわち、酸化イットリウム層102及び酸化アルミニウム層103を貫くビアホールが形成される;
【0072】
ことS8:ことS7を完了した基板100上にソースドレイン金属膜を形成し前記ソースドレイン金属膜をパターニングして、ソース電極3及びドレイン電極4を形成し、ソース電極3とドレイン電極4は、酸化イットリウム層102および酸化アルミニウム層103を貫くビアホールを介してアクティブレイヤー2と電気的に接触している。
【0073】
前記ソースドレイン金属膜の材料は、Cu、Al、Ag、Mo、Cr、Nd、Ni、Mn、Ti、Ta、Wなどの金属とこれらの合金であってもよく、単層構造又は多層構造であって、多層構造は例えばCu/Mo、Ti/Cu/Ti、Mo/Al/Mo等であってもよい;
【0074】
これにより、薄膜トランジスタの製造が完了する。
【0075】
上記内容は、本開示の技術案をボトムゲート型薄膜トランジスタを例に具体的に説明することに注意して、本開示の技術案はトップゲート型薄膜トランジスタ、コプレーナ型薄膜トランジスタにも適用可能である。
【0076】
図6を参照すると、この実施形態では、
基板100と、
基板100上に配置された、ソース電極3と電気的に接触するソース領域と、ドレイン電極4と電気的に接触するドレイン領域と、ソース領域とドレイン領域との間に形成されるチャネル領域とを含むアクティブレイヤー2と、ソース電極3と、ドレイン電極4と、
アクティブレイヤー2の基板100と反対側の面上に配置され少なくとも前記チャネル領域を覆う、前記アクティブレイヤー2のフェルミ準位を禁止帯の価電子帯近傍の側に移動させることができる絶縁性の第1金属酸化物層102を含むパッシベーション層とを含む薄膜トランジスタが提供される。
【0077】
前記薄膜トランジスタにおいて、アクティブレイヤーをパッシベーションするためのパッシベーション層は、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の価電子帯近傍の側に移動させることができる絶縁性の第1金属酸化物層を含み、アクティブレイヤーへのホールドーピングの効果があり、従来のパッシベーション技術が薄膜トランジスタの双極性を引き起こすという問題が解決され、製品のパフォーマンスを向上させる。
【0078】
第1金属酸化物層102は、酸化イットリウム層、酸化ジルコニウム層などであってもよい。
【0079】
第1金属酸化物層102がアクティブレイヤー2へのホールドーピングの効果があるため、デバイスの閾値電圧が上昇する可能性があり、一定のゲート電圧範囲内でオフすることが困難である。
【0080】
上記技術的課題を解決するために、一実施形態において、前記パッシベーション層を配置することは、アクティブレイヤー2のフェルミ準位を伝導帯の側に移動させることができる第2金属酸化物層103を形成することを含み、第1金属酸化物層102と第2金属酸化物層103との相互作用で、アクティブレイヤー2の多数のキャリアはホールである。
【0081】
前記薄膜トランジスタのパッシベーション層は、第1金属酸化物層と第2金属酸化物層とを含み、第2金属酸化物層は、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の伝導帯近傍の側に移動させ、アクティブレイヤーへの電子ドーピングの効果があり、第1金属酸化物層によるアクティブレイヤーへのホールドーピングを弱めることにより、デバイスをより容易にオフにすることができ、また、第1金属酸化物層と第2金属酸化物層との相互作用で、前記アクティブレイヤーの多数のキャリアはホールであり、デバイスの双極性という問題を防ぐことができる。
【0082】
具体的には、第1金属酸化物層102がアクティブレイヤー2の基板100と反対側の面上接触して設けて、アクティブレイヤー2の予備パッシベーションを行い;第2金属酸化物層103が第1金属酸化物層102のアクティブレイヤー2と反対側の面上に接触して設けて、アクティブレイヤー2の二次パッシベーションを行う。この技術案は、第1金属酸化物層102がアクティブレイヤー2の面と接触して設けて、アクティブレイヤー2へのホールドーピング効果を高めることができ、アクティブレイヤー2の多数のキャリアとしてホールの実現のため、デバイスの双極性問題を防ぐことができる。また、第2金属酸化物層の二次パッシベーションは、ある程度、第1金属酸化物層102によるアクティブレイヤー2へのホールドーピングを弱めることができ、デバイスをより簡単にオフにすることができる。
【0083】
第1金属酸化物層102は、酸化イットリウム層であり、第2金属酸化物層103は、酸化アルミニウム層である。前記酸化イットリウム層の厚さは1~10nmであり、前記酸化アルミニウム層の厚さは20~200nmである。
【0084】
上述した実施形態では、第2金属層がアクティブレイヤーへの電子ドーピング効果を有することによって、ある程度、第1金属酸化物層のアクティブレイヤーへのホールドーピング効果を弱め、デバイスの双極性問題の防止とともに、デバイスが容易にオフされることが保証される。
【0085】
もちろん、第1金属酸化物層がアクティブレイヤーへの強いホールドーピング効果を有し、デバイスがオフされることが困難であるという問題を克服するために、上記の手段に限定されない。
【0086】
上記技術的課題を解決するために、他の実施形態において、設置された前記パッシベーション層は、前記アクティブレイヤーのフェルミ準位を伝導帯が位置する方向に移動させることができる無機絶縁層を含み、前記第1金属酸化物層と無機絶縁層との相互作用で、前記アクティブレイヤーの多数のキャリアはホールである。
【0087】
前述した薄膜トランジスタのパッシベーション層は、第1金属酸化物層と無機絶縁層を含んで、無機絶縁層は、アクティブレイヤーのフェルミ準位を禁止帯の伝導帯近傍の側に移動させることができ、アクティブレイヤーへの電子ドーピング効果を有し、ある程度、第1金属酸化物層のアクティブレイヤーへのホールドーピング効果を弱めることができることにより、デバイスが容易にオフされることができる。また、第1金属酸化物層と無機絶縁層との相互作用で、前記アクティブレイヤーの多数のキャリアはホールであり、デバイスの双極性問題を防ぐことができる。
【0088】
具体的には、前記第1金属酸化物層が前記アクティブレイヤーの前記基板と反対側の面上接触して設けて、前記アクティブレイヤーの予備パッシベーションを行い;前記無機絶縁層が前記第1金属酸化物層の前記アクティブレイヤーと反対側の面上に接触して設けて、前記アクティブレイヤーの二次パッシベーションを行う。この技術案は、第1金属酸化物層がアクティブレイヤーの面と接触して設けて、アクティブレイヤーへのホールドーピング効果を高めることができ、アクティブレイヤーの多数のキャリアとしてホールの実現のため、デバイスの双極性問題を防ぐことができる。また、無機絶縁層の二次パッシベーションは、ある程度、第1金属酸化物層によるアクティブレイヤーへのホールドーピングを弱めることができ、デバイスをより簡単にオフにすることができる。
【0089】
この実施形態では、アクティブレイヤー2はネットワークカーボンナノチューブからなる。ネットワークカーボンナノチューブ膜は、高い移動度、高いスイッチング比、柔軟性、透明性などの利点を有するため、薄膜トランジスタのチャネル材料として、ディスプレイ駆動に大きな応用が期待されている。大規模で均一なネットワークカーボンナノチューブ膜は、印刷、堆積、引っ張りなどの方法によって製造することができる。
【0090】
前記薄膜トランジスタをボトムゲート型ネットワークカーボンナノチューブ薄膜トランジスタとする場合を例に、本実施形態では、
図6に示すように、薄膜トランジスタは、
例えば、ガラス基板、石英基板、柔軟性基板などの基板100と、
基板100上に配置されたゲート電極1と、
ゲート電極1を覆うゲート絶縁層101と、
ゲート絶縁層101上に配置されたネットワークカーボンナノチューブからなるアクティブレイヤー2のパターンと、
アクティブレイヤー2上に順次覆う酸化イットリウム層102及び酸化アルミニウム層103と、
酸化アルミニウム層103上に配置された、酸化イットリウム層102および酸化アルミニウム層103を貫くビアホールを介してアクティブレイヤー2と電気的に接触しているソース電極103及びドレイン電極4とを含む。
【0091】
本実施形態は、上記のような薄膜トランジスタを用いた電子デバイスも提供する。薄膜トランジスタのパッシベーションの実現とともに、トランジスタにおける双極性問題を防止することも可能であるため、効果的にデバイスの性能を向上させる。
【0092】
前記電子デバイスは、表示デバイスに限らず、表示製品品質を大幅に向上させることができる。
【0093】
上記は本開示の好ましい実施形態に過ぎず、当業者は、本開示の技術的原理から逸脱することなく、いくつかの改良および代替を得ることができることに留意すべきである。それらの改良および代替も本開示の保護の範囲とみなされるべきである。
【符号の説明】
【0094】
1 薄膜トランジスタ
2 アクティブレイヤー
3 ソース電極
4 ドレイン電極
100 基板
101 ゲート絶縁層
102 第1金属酸化物層
103 第2金属酸化物層