(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】半導体記憶装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/11575 20170101AFI20220830BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220830BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20220830BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20220830BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20220830BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20220830BHJP
H01L 27/11548 20170101ALI20220830BHJP
【FI】
H01L27/11575
H01L29/78 371
H01L21/90 B
H01L27/11548
(21)【出願番号】P 2019018384
(22)【出願日】2019-02-05
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 歩
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0317088(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0373088(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0111361(US,A1)
【文献】特開2008-258458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/11575
H01L 21/336
H01L 21/768
H01L 27/11548
H01L 29/788
H01L 29/792
H01L 23/522
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1層と第2層の組からなる単位層を複数積層して積層体を形成し、
最上層からn層(nは2以上の整数)までの前記単位層を加工して、メモリセルアレイ形成領域から離れる第1方向に向かって降段していくa段(aは1以上n以下の整数)の段差を有する降段段差群、および前記第1方向に向かって昇段していくa段の段差を有する昇段段差群を形成し、
第1領域の前記降段段差群並びに前記第1領域に隣接する第2領域の前記降段段差群および前記昇段段差群に対して、前記第1領域の前記昇段段差群がn層の単位層分低くなるように前記積層体を加工する半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置として、積層構造のメモリセルを有する3次元積層型不揮発性メモリが提案されている。3次元積層型不揮発性メモリでは、高さ方向に配置されるメモリセルの各層におけるワード線を引き出すコンタクト部に、階段状の構造が採られることがある。例えば、メモリセルから遠ざかる方向に降段していく各段を有する第1階段部と、同方向に昇段していく各段を有する第2階段部と、が対向するように配置された構造を有するコンタクト部が提案されている。
【0003】
しかしながら、このようなコンタクト部では、第1階段部はメモリセルと電気的に接続されるが、第2階段部はメモリセルと電気的に接続されていない。そのため、第1階段部のみがコンタクトの配置に用いられ、コンタクト部の面積が必要以上に大きくなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第8822285号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0141032号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの実施形態は、コンタクト部の面積を従来に比して小さくすることができる半導体記憶装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態によれば、基板上に、第1層と第2層の組からなる単位層を複数積層して積層体を形成し、最上層からn層(nは2以上の整数)までの前記単位層を加工して、メモリセルアレイ形成領域から離れる第1方向に向かって降段していくa段(aは1以上n以下の整数)の段差を有する降段段差群、および前記第1方向に向かって昇段していくa段の段差を有する昇段段差群を形成する。第1領域の前記降段段差群並びに前記第1領域に隣接する第2領域の前記降段段差群および前記昇段段差群に対して、前記第1領域の前記昇段段差群がn層の単位層分低くなるように前記積層体を加工する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態による不揮発性メモリの構成の一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態による不揮発性メモリのコンタクト部の構成の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態によるコンタクト部の昇段段差群における電流の流れの様子を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態による半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態による半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態による半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態による半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態による半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態による半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態による半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態による半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、X方向およびY方向に昇段および降段する段差を有するコンタクト部の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態によるX方向およびY方向に昇段および降段する段差を有するコンタクト部の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体記憶装置およびその製造方法を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の実施形態で用いられる半導体記憶装置の断面図は模式的なものであり、層の厚みと幅との関係や各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる場合がある。さらに、以下では、半導体記憶装置として、3次元構造を有する不揮発性メモリを例に挙げる。
【0009】
図1は、実施形態による不揮発性メモリの構成の一例を模式的に示す図である。
図1において、基板Subの主面に対して平行な方向であって、相互に直交する2方向をX方向およびY方向とする。X方向およびY方向の双方に対して直交する方向をZ方向(積層方向)とする。紙面上で左から右に向かう方向をX方向の正方向とし、同じく手前から奥に向かう方向をY方向の正方向とし、同じく下から上に向かう方向をZ方向の正方向とする。なお、
図1では層間絶縁層等が省略されている。
【0010】
図1に示されるように、半導体記憶装置としての不揮発性メモリ10の基板Sub上には、導電層から構成されるソース線SLが設けられている。ソース線SLにはZ方向に延びる複数の酸化シリコン等からなるピラーPが設けられている。各々のピラーPは自身の側面に、ポリシリコン等からなるチャネル層と複数の絶縁層が積層されたメモリ層とを備える。絶縁層は、例えば、チャネル層側からトンネル絶縁膜、電荷蓄積膜およびブロック絶縁膜が積層された構成を有する。また、ソース線SL上には、図示しない層間絶縁層を介して、タングステン等からなる導電層と酸化シリコン等からなる絶縁層とが交互に複数積層された積層体LBが設けられている。各々のピラーPは積層体LBを貫通している。
【0011】
積層体LB中の最下層の導電層はソース側の選択ゲート線SGSとして機能し、最上層の導電層はドレイン側の選択ゲート線SGDとして機能する。選択ゲート線SGDは、X方向に並ぶピラーP毎に分割されている。選択ゲート線SGS,SGDに挟まれた複数の導電層は、複数のワード線WLとして機能する。
図1に示すワード線WLの積層数は一例である。選択ゲート線SGS,SGDおよび複数のワード線WL間の絶縁層は層間絶縁層(不図示)として機能する。
【0012】
各々のピラーPは、積層体LB上のビット線BLに接続されている。各々のビット線BLは、Y方向に並ぶ複数のピラーPに接続される。
【0013】
以上により、各々のピラーPと各層のワード線WLとの接続部分には、ピラーPの高さ方向に並ぶメモリセルMCが配置されることとなる。各々のピラーPと選択ゲート線SGS,SGDとの接続部分には、それぞれソース側の選択トランジスタSTSとドレイン側の選択トランジスタSTDとが配置されることとなる。1つのピラーPの高さ方向に並ぶ、選択トランジスタSTS、複数のメモリセルMC、および選択トランジスタSTDとで、メモリストリングMSが構成される。また、このように3次元にマトリクス状に配置されたメモリセルMCによってメモリセルアレイMAが構成される。
【0014】
選択ゲート線SGS,SGDおよび複数のワード線WLは、メモリセルアレイMA外に引き出されて階段状の構造のコンタクト部を構成する。この例では、コンタクト部は、メモリセルアレイMAのX方向の正側に配置されるものとする。
【0015】
図2は、実施形態による不揮発性メモリのコンタクト部の構成の一例を模式的に示す斜視図である。なお、
図2では積層体LB下方の基板Sub等が省略されている。これ以降、ワード線WLと選択ゲート線SGS,SGDとを区別することなく、全てワード線WLと呼ぶことがある。メモリセルアレイMAおよびコンタクト部WCは、X方向に延在する複数のスリットによって、隔てられている。
図2では、隣接する2本の図示しないスリットによって隔てられたコンタクト部WCの構成を示している。
【0016】
コンタクト部WCは、メモリセルアレイMAのX方向の正側の外部に配置される。コンタクト部WCは、ワード線WLと、ワード線WL上に配置される絶縁層ISと、の組がZ方向に複数積層された積層体LBに、階段構造を設けたものである。
図2では、積層体LBがワード線WLおよび絶縁層ISの組が15層重ねられた例を示している。以下では、各ワード線WLおよび絶縁層ISを区別する場合には、最下層のワード線WLおよび絶縁層ISの組から順に1から数字を振り、ワード線WLi、絶縁層ISi(i=1~15)と表記する。
【0017】
ワード線WLとこの上に配置される絶縁層ISとの組からなる単位層が、階段構造の各段を構成する。各段のコンタクト配置面であるテラス部TERは、絶縁層ISで構成される。
【0018】
コンタクト部WCは、コンタクト配置部CTAと、接続部CNと、を有する。この例では、コンタクト部WCのY方向の中央付近から負方向側にコンタクト配置部CTAが配置され、Y方向の中央付近から正方向側に接続部CNが配置される。
【0019】
コンタクト配置部CTAでは、各段のテラス部TERにコンタクトCTが配置される。コンタクト配置部CTAは、メモリセルアレイMAからX方向に遠ざかる方向(X正方向)に降段していく各段を有する複数の降段段差群DSG1~DSG3と、同方向に昇段していく各段を有する複数の昇段段差群ASG1,ASG2と、を有する。接続部CNは、コンタクト配置部CTAで分断された昇段段差群ASG1,ASG2の各ワード線WL間を電気的に接続する。
【0020】
図2に示される例では、コンタクト配置部CTAは、メモリセルアレイMAからX方向に遠ざかる方向(X正方向)に、降段段差群DSG1、昇段段差群ASG1、降段段差群DSG2、昇段段差群ASG2、降段段差群DSG3が順に配置される。ここでは、各段差群DSG1~DSG3,ASG1,ASG2は3個の段差を含んでいる。なお、各段差群の段差の数は、任意の数とすることができる。
【0021】
降段段差群DSG1~DSG3を構成する各ワード線WLは、テラス部TERからメモリセルアレイMAまでの間で分断されておらず、連続して構成されている。そのため、降段段差群DSG1~DSG3を構成する各ワード線WLのテラス部TERに配置したコンタクトCTは、メモリセルMCのワード線WLと電気的に接続される。
【0022】
一方、コンタクト配置部CTAにおいて、昇段段差群ASG1,ASG2を構成する各ワード線WLは、テラス部TERからメモリセルアレイMAまでの間で分断されている。そのため、コンタクト配置部CTAだけで考えた場合には、昇段段差群ASG1,ASG2を構成する各ワード線WLのテラス部TERに配置したコンタクトCTは、メモリセルMCのワード線WLのテラス部TERと電気的に接続されていない。
【0023】
そこで、本実施形態では、昇段段差群ASG1,ASG2の分断されてしまったワード線WL間を接続部CNで接続して、昇段段差群ASG1,ASG2の各ワード線WLのテラス部TERに配置したコンタクトCTが、メモリセルMCのワード線WLと電気的に接続されるようにしている。
【0024】
すなわち、昇段段差群ASG1,ASG2を構成するある層のワード線WLは、隣接する接続部CNでは、対応するテラス部TERからメモリセルアレイMAまでの間で分断されることなく配置されている。このような条件を満たすものであれば、接続部CNは、どのような構造であってもよい。
図2の例では、接続部CNにも階段構造が設けられているが、階段構造が設けられない、ワード線WLと絶縁層ISとの積層体によって接続部CNが構成されていてもよい。
【0025】
図2の例のコンタクト配置部CTAでは、降段段差群DSG1は、絶縁層IS15~IS13からなるテラス部TERを有し、昇段段差群ASG1は、絶縁層IS12~IS10からなるテラス部TERを有し、降段段差群DSG2は、絶縁層IS9~IS7からなるテラス部TERを有し、昇段段差群ASG2は絶縁層IS6~IS4からなるテラス部TERを有し、降段段差群DSG3は、絶縁層IS3~IS1からなるテラス部TERを有する。各段差群DSG1~DSG3,ASG1,ASG2のテラス部TERは、互いに重ならないように設けられる。つまり、コンタクト配置部CTAでは、メモリセルアレイMAの配置領域からX正方向に向かって、降段段差群と昇段段差群が交互に配置され、降段段差群または昇段段差群の最上段が、メモリセルアレイMAの配置領域からX正方向に向かって単位層の3層分低くなるように階段構造が構成されている。
【0026】
また、接続部CNでは、降段段差群DSG1,DSG3は、コンタクト配置部CTAと共通である。しかし、昇段段差群ASG11は、絶縁層IS15~IS13からなるテラス部TERを有し、降段段差群DSG21は、絶縁層IS12~IS10からなるテラス部TERを有し、昇段段差群ASG21は、絶縁層IS9~IS7からなるテラス部TERを有する。
【0027】
このように、接続部CNの昇段段差群ASG11,ASG21は、コンタクト配置部CTAの昇段段差群ASG1,ASG2に比して、段差群DSG1~DSG3,ASG1,ASG2の段差数分、すなわち単位層の3層分だけ高くしている。これによって、コンタクト配置部CTAの昇段段差群ASG1,ASG2を構成するワード線WLは、テラス部TERとメモリセルアレイMAとの間で連続した形状を有する接続部CNのワード線WLと接続されることになる。
【0028】
なお、コンタクト配置部CTAには、X正方向に降段する各段を有する降段段差群と、X正方向に昇段する各段を有する昇段段差群とが、メモリセルアレイMA側からX正方向側に向かって順に配置される段差群ペアが1以上設けられる。段差群ペアでは、昇段段差群の最上段の位置が、降段段差群の最上段の位置に比して降段段差群の段差数に対応する単位層の層数分だけ低くなるように構成される。
【0029】
図2の例では、コンタクト配置部CTAには、降段段差群DSG1および昇段段差群ASG1からなる段差群ペアSGP1と、降段段差群DSG2および昇段段差群ASG2からなる段差群ペアSGP2と、降段段差群DSG3と、が含まれる。段差群ペアSGP2は、段差群ペアSGP1よりもX正方向側に配置される。段差群ペアSGP2の最上層のテラス部TERは、段差群ペアSGP1の最下層のテラス部TERよりも1段低くなっている。なお、単位層の積層数に応じて、段差群の段差数と、段差群ペアの数と、が設定される。
【0030】
図3は、実施形態によるコンタクト部の昇段段差群における電流の流れの様子を模式的に示す図である。この図では、ワード線WL15~WL13および絶縁層IS15~IS12の図示を省略し、ワード線WL12が露出している状態が示されている。この図に示されるように、コンタクト配置部CTAに存在する昇段段差群ASG1のワード線WL12は、X負方向側のワード線WL12と分断部DVによって分断されている。そのため、コンタクト配置部CTAだけで見た場合に、この状態では、メモリセルMCとの間で電気的な接続がとれない。しかし、接続部CNにおいては、ワード線WL12は、昇段段差群ASG1の対応する位置とメモリセルMCとの間で連続して形成されており、このワード線WL12はコンタクト配置部CTAのワード線WL12と接続される構造となっている。そのため、ワード線WL12では、メモリセルMCと図示しないコンタクトCTとの間では、図中の矢印で示したように電気的な接続が確保される。ここでは、昇段段差群ASG1のワード線WL12について説明したが、昇段段差群に含まれるワード線WLであれば同様の理由で、昇段段差群に配置されるコンタクトCTとメモリセルMCとの間で電気的な接続を確保することができる。このような構造によって、従来では、使用されていなかった昇段段差群にもコンタクトCTを配置することができる。
【0031】
つぎに、このような不揮発性メモリのコンタクト部WCの製造方法について説明する。
図4~
図11は、実施形態による半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す断面図である。なお、これらの図で、(a)は上面図を示しており、(b)は(a)のA-A断面図を示している。また、これらの図では、コンタクト部WCの製造方法の手順を示している。さらに、この例では、1段の段差は、単位層の1層からなる場合を例に挙げる。
【0032】
まず、
図4(b)に示されるように、絶縁膜INSが形成された基板Sub上に、犠牲層SACと絶縁層ISとの組からなる単位層が複数積層された積層体LBを形成する。基板Subは、例えばシリコン基板などの半導体基板である。また、基板Sub上にはメモリセルまたは周辺回路が形成されていてもよい。
【0033】
積層体LBは、例えば、15層の犠牲層SAC1~SAC15と、15層の絶縁層IS1~IS15と、から構成される。犠牲層SAC1~SAC15は、絶縁層IS1~IS15とは異なる種類の材料から構成され、後にワード線WL1~WL15となる導電層と置き換えられる層である。絶縁膜INSおよび絶縁層IS1~IS15は、例えば酸化シリコン等であり、犠牲層SAC1~SAC15は、窒化シリコン等である。
【0034】
ついで、
図4に示されるように、積層体LB上にレジストを塗布し、露光処理および現像処理を行って、レジストパターン111を形成する。コンタクト部WCでは、昇段段差群および降段段差群を形成する位置が覆われるように、レジストパターン111が形成される。この例では、コンタクト部WCに、2個の島状のレジストパターン111が形成される。なお、メモリセルアレイMAの配置領域上にもレジストパターン111が形成される。
【0035】
その後、
図5に示されるように、エッチングとスリミングとを交互に実行することによって、所定の数の段差を形成する。例えば、レジストパターン111をマスクとして、RIE(Reactive Ion Etching)法などのエッチング技術を用いて、露出している絶縁層IS15および犠牲層SAC15をエッチングする。その後、レジストパターンのX方向端部から段差構造の平坦部の幅だけレジストパターン111を等方性エッチングによってスリミングする。スリミングしたレジストパターン111をマスクとして、エッチング技術を用いて、露出した絶縁層IS15および犠牲層SAC15と、絶縁層IS14および犠牲層SAC14と、をエッチングし、レジストパターン111をさらにスリミングする。この処理を所定の数繰り返すことによって、凹部120のX方向に対向する側面に段差が形成される。ここでは、エッチングとスリミングとを3回繰り返すことで、3段の段差が形成される。これによって、コンタクト部WCには、降段段差群DSG1が形成される。
【0036】
ついで、
図6に示されるように、段差を形成した積層体LB上にレジストを塗布し、露光処理および現像処理を行って、レジストパターン112を形成する。ここでは、コンタクト配置部CTAでは、降段段差群DSG1となる領域以外が露出するように、接続部CNでは、降段段差群DSG3となる領域以外が覆われるように、レジストパターン112を形成する。
【0037】
その後、
図7に示されるように、レジストパターン112をマスクとして、RIE法などの異方性エッチング技術を用いて、所定の層数の単位層をエッチングする。所定の数は、
図5で形成した凹部120の段数と同じである。ここでは、凹部120が3層の単位層をエッチングすることによって構成されているので、3段となる。この工程では、レジストパターン112で覆われなかった領域が、降段段差群DSG1よりも所定の段数低くなるようにエッチングされ、コンタクト配置部CTAには、昇段段差群ASG1が形成される。
【0038】
この工程によって、コンタクト配置部CTAの昇段段差群ASG1、降段段差群DSG2および昇段段差群ASG2となる領域では、コンタクト配置部CTAの方が接続部CNよりも3段低くなる。つまり、階段状に加工されたコンタクト配置部CTAの犠牲層SAC10~SAC12は、同じ高さの階段状に加工されていない接続部CNの犠牲層SAC10~SAC12と接触することになる。この段差によって、昇段段差群ASG1をワード線WLがメモリセルアレイMAのメモリセルのワード線WLと電気的に接続可能な構成となる。
【0039】
ついで、
図8に示されるように、段差が形成された積層体LB上にレジストを塗布し、露光処理および現像処理を行って、レジストパターン113を形成する。ここでは、降段段差群DSG2に対応する領域と、降段段差群DSG3に対応する領域と、が露出するように、レジストパターン113を形成する。
【0040】
その後、
図9に示されるように、レジストパターン113をマスクとして、RIE法などの異方性エッチング技術を用いて、所定の層数の単位層をエッチングする。所定の数は、
図5で形成した凹部120の段数と同じであり、ここでは、3段となる。この工程では、露出した領域が、昇段段差群ASG1よりも所定の段数低くなるようにエッチングされ、コンタクト配置部CTAには、降段段差群DSG2が形成される。
【0041】
ついで、
図10に示されるように、段差が形成された積層体LB上にレジストを塗布し、露光処理および現像処理を行って、レジストパターン114を形成する。ここでは、昇段段差群ASG2に対応する領域と、降段段差群DSG3に対応する領域と、が露出するように、レジストパターン114を形成する。
【0042】
その後、
図11に示されるように、レジストパターン114をマスクとして、RIE法などの異方性エッチング技術を用いて、所定の層数の単位層をエッチングする。所定の数は、
図5で形成した凹部120の段数と同じであり、ここでは、3段となる。この工程では、露出した領域が、降段段差群DSG2よりも所定の段数低くなるようにエッチングされ、コンタクト配置部CTAには、昇段段差群ASG2および降段段差群DSG3が形成される。
【0043】
その後は、図示しないが、メモリセルアレイMAに、メモリセルMCが形成される。例えば、積層体LBを厚さ方向に貫通するメモリホールが形成される。ついで、メモリホール内に、ブロック絶縁膜、電荷蓄積膜、トンネル絶縁膜、チャネル半導体層が順に形成され、チャネル半導体層が形成されたメモリホール内にコア絶縁層が埋め込まれ、ピラー膜を形成する。その後、メモリセルアレイMAとコンタクト部WCとを含む積層体に、X方向に延在するスリットがY方向に所定の間隔をあけて形成される。ついで、犠牲層SAC1~SAC15を等方性エッチングによって除去してZ方向に隣接する絶縁膜INSおよび絶縁層IS1~IS15間に空隙が形成される。その後、空隙に導電層であるワード線WL1~WL15を埋め込み、不揮発性メモリ10が形成される。
【0044】
なお、図では、接続部CNのY方向のサイズは、コンタクト配置部CTAのY方向のサイズと略同様の場合を示しているが、これは例示であって、実施形態がこれに限定されるものではない。コンタクトCTとメモリセルMCとの間で電流を流すことができれば、接続部CNのY方向のサイズは任意に設定可能である。例えば、接続部CNのY方向のサイズを、コンタクト配置部CTAのY方向のサイズよりも小さくして、不揮発性メモリ10のXY方向の面積を小さくしてもよい。
【0045】
上記した説明では、X方向に昇段および降段する段差を有するコンタクト部WCが例示されたが、さらにコンタクト部WCは、Y方向に昇段および降段する段差を有していてもよい。
【0046】
図12は、X方向およびY方向に昇段および降段する段差を有するコンタクト部の一例を示す図であり、
図13は、実施形態によるX方向およびY方向に昇段および降段する段差を有するコンタクト部の他の例を示す図である。
図12および
図13では、例えば
図2の降段段差群または昇段段差群の一部を抜き出したものである。
【0047】
図12に示されるコンタクト部では、X方向の1段の段差を構成する単位層の数はN(Nは2以上の整数)となっている。また、X方向に降段または昇段する段差の各コンタクト配置面CTP1~CTP3に、Y方向に降段するN-1段の段差と、昇段するN-1段の段差と、が周期的に設けられる。このような構成によって、X方向の1段の段差を構成する各単位層は、Y方向の階段構造の平坦部であるテラス部TERを構成する。各テラス部TERにコンタクトが配置されることになる。
【0048】
図2の場合では、X方向の1段の段差を構成する単位層の数は1であったので、1段の段差のコンタクト配置面(テラス部TER)には、1つのコンタクトCTが設けられる。コンタクト配置面のX方向のサイズをxcとし、単位層の数をMとすると、コンタクト部WCのX方向のサイズは、少なくともxc×Mとなる。
【0049】
一方、
図12の場合には、X方向の1段の段差を構成する単位層の数はNであり、X方向の段差の各コンタクト配置面CTP1~CTP3にY方向のN-1段の段差によってN個のテラス部TERが設けられることになる。これによって、X方向の1段の段差のコンタクト配置面CTP1~CTP3には、N個のコンタクトが設けられる。そのため、コンタクト部WCのX方向のサイズは、少なくともxc×M/Nとなり、
図2の場合に比して、コンタクト部WCのX方向のサイズを1/Nに小さくすることができる。
【0050】
図12に示される例では、X方向に設けられる段差構造の1段当たりの単位層の数は3であり、X方向に設けられる段差構造の各コンタクト配置面CTP1~CTP3に、Y方向に2段の段差を有する階段構造が設けられる。
【0051】
図2に示される構成を有するコンタクト部WCにも上記した実施形態を適用することができる。
図12のコンタクト部WCは、段差の高さは同じであるが高さが異なるX方向の階段構造がY方向に配列した構造とみることができる。
図12の例では、3種類のX方向の階段構造SS1~SS3が存在する。階段構造SS1~SS3のそれぞれに、コンタクト配置部CTAと接続部CNとが設けられるようにしたものが、
図13である。
【0052】
図13に示されるように、階段構造SS1~SS3は、コンタクト配置部CTA1~CTA3と、接続部CN1~CN3と、を含む。コンタクト配置部CTA1~CTA3の昇段段差群は、接続部CN1~CN3の昇段段差群よりも、昇段段差群の段差数を構成する単位層の数だけ低く構成されている。これによって、昇段段差群の各ワード線WLは、メモリセルアレイMAのワード線WLと電気的に接続されることになる。
【0053】
このようなコンタクト部WCの製造方法は、
図4~
図11に示したものと同様である。ただし、上記した説明では、X方向の段差の数が単位層の1層となるようにエッチングしていたが、この場合には、単位層のN層となるようにエッチングが行われる。また、Y方向の段差は、
図5の後で
図6の前に、積層体LBの各コンタクト配置面上にレジストパターンを形成し、エッチングとスリミングとを繰り返すことによって形成される。この場合には、Y方向の段差が単位層の1層となるようにエッチングが行われる。
【0054】
実施の形態では、コンタクト部WCは、X正方向に降段する各段差を有する降段段差群DSG1,DSG2、およびこの降段段差群DSG1,DSG2にメモリセルアレイMAとは離れる方向に隣接して配置され、X正方向に昇段する各段差を有する昇段段差群ASG1,ASG2を有するコンタクト配置部CTAと、昇段段差群ASG1,ASG2を構成する各ワード線WLと同じ高さのメモリセルMCとを接続する接続部CNと、を有する構成とした。これによって、従来では、コンタクトCTを配置することができずデッドスペースとなっていた昇段段差群ASG1,ASG2にもコンタクトCTを配置することができる。その結果、従来に比して、コンタクト部WCのX方向のサイズを縮小することができるという効果を有する。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10 不揮発性メモリ、111~114 レジストパターン、120 凹部、ASG1,ASG2,ASG11,ASG21 昇段段差群、CN,CN1~CN3 接続部、CT コンタクト、CTA,CTA1~CTA3 コンタクト配置部、CTP1-CTP3 コンタクト配置面、DSG1~DSG3,DSG21 降段段差群、DV 分断部、INS 絶縁膜、IS,IS1~IS15 絶縁層、LB 積層体、MA メモリセルアレイ、MC メモリセル、SAC1~SAC15 犠牲層、SGP1,SGP2 段差群ペア、SS1~SS3 階段構造、Sub 基板、TER テラス部、WC コンタクト部、WL1-WL15 ワード線。