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特許7132147媒体排出装置、制御方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】媒体排出装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/22 20060101AFI20220830BHJP
   B65H 29/68 20060101ALI20220830BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B65H29/22 Z
B65H29/68
B65H3/06 350A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019020852
(22)【出願日】2019-02-07
(65)【公開番号】P2020128274
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】関 和仁
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-510076(JP,A)
【文献】特開平11-060053(JP,A)
【文献】特開2017-052595(JP,A)
【文献】特開2007-112631(JP,A)
【文献】特開2009-200677(JP,A)
【文献】特開2011-043732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/22
B65H 29/68
B65H 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を排出するための排出ローラ対と、
前記排出ローラ対の内の少なくとも一方のローラを回転させる駆動部と、
媒体のサイズを検出する検出部と、
媒体の後端が前記排出ローラ対のニップ位置を通過した後の所定タイミングから、前記少なくとも一方のローラの回転速度をそれ以前の回転速度より上昇させるように前記駆動部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、媒体のサイズに応じて、前記所定タイミングを変更する、
ことを特徴とする媒体排出装置。
【請求項2】
前記排出ローラ対は、上側ローラと下側ローラを含み、
前記下側ローラの媒体排出方向の下流側の端部は、前記上側ローラの媒体排出方向の下流側の端部より、媒体排出方向の下流側に配置されている、請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項3】
前記制御部は、媒体のサイズが閾値未満である場合の前記所定タイミングを、媒体のサイズが前記閾値以上である場合の前記所定タイミングより遅くする、請求項1または2に記載の媒体排出装置。
【請求項4】
前記制御部は、媒体の後端が前記排出ローラ対のニップ位置を通過する前の第2所定タイミングから、前記回転速度をそれ以前の回転速度より低減させるように前記駆動部を制御する、請求項3に記載の媒体排出装置。
【請求項5】
媒体を給送するための給送ローラをさらに有し、
前記制御部は、媒体のサイズが前記閾値未満である場合、次の媒体の給送を所定期間停止させる、請求項4に記載の媒体排出装置。
【請求項6】
前記排出ローラ対より媒体排出方向の上流側に設けられ且つ媒体を搬送するための搬送ローラをさらに有し、
前記制御部は、媒体のサイズが前記閾値未満である場合、媒体の後端が前記搬送ローラを通過してから前記第2所定タイミングまでの間、前記回転速度をそれ以前の回転速度より上昇させるように前記駆動部を制御する、請求項4または5に記載の媒体排出装置。
【請求項7】
媒体を排出するための排出ローラ対と、前記排出ローラ対の内の少なくとも一方のローラを回転させる駆動部と、を有する媒体排出装置の制御方法であって、
媒体のサイズを検出し、
媒体の後端が前記排出ローラ対のニップ位置を通過した後の所定タイミングから、前記少なくとも一方のローラの回転速度をそれ以前の回転速度より上昇させるように前記駆動部を制御することを含み、
前記制御において、媒体のサイズに応じて、前記所定タイミングを変更する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
媒体を排出するための排出ローラ対と、前記排出ローラ対の内の少なくとも一方のローラを回転させる駆動部と、を有する媒体排出装置の制御プログラムであって、
媒体のサイズを検出し、
媒体の後端が前記排出ローラ対のニップ位置を通過した後の所定タイミングから、前記少なくとも一方のローラの回転速度をそれ以前の回転速度より上昇させるように前記駆動部を制御することを前記媒体排出装置に実行させ、
前記制御において、媒体のサイズに応じて、前記所定タイミングを変更する、
ことを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体排出装置、制御方法及び制御プログラムに関し、特に、排出ローラ対を用いて媒体を排出する媒体排出装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原稿等の媒体を搬送しながら撮像し、排出するスキャナ等の媒体排出装置において、それぞれサイズが異なる複数の媒体が搬送される場合がある。この場合、排出された媒体を利用者が容易に揃えることができるように、排出台に排出された各媒体の位置は揃っていることが望ましい。
【0003】
装置内に給紙されたシートの形状の異常形状を検出し、その検出結果に基づいてシートの排出速度を制御するシート給送装置が開示されている(特許文献1)。
【0004】
シート材の長さが所定の長さよりも長いと判断した場合、シート材の搬送速度を基準の速度から長尺のシート材を搬送させる際の速度として予め設定された速度に減速するシート材搬送装置が開示されている(特許文献2)。
【0005】
原稿の長さが前原稿の長さよりも短い場合には、原稿がプラテンの露光基準位置を通り過ぎた後、前原稿の先端が原稿排出手段によってニップされた時点で、原稿を露光基準位置に戻して停止させる自動原稿送り装置が開示されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-116235号公報
【文献】特開2016-160063号公報
【文献】特開平09-185188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
媒体排出装置では、それぞれサイズが異なる複数の媒体が搬送される場合に、排出台に排出された各媒体の位置がより良好に揃うように媒体を排出させることが望まれている。
【0008】
本発明の目的は、排出台に排出された複数の媒体の位置がより良好に揃うように媒体を排出させることが可能な媒体排出装置、制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面に係る媒体排出装置は、媒体を排出するための排出ローラ対と、排出ローラ対の内の少なくとも一方のローラを回転させる駆動部と、媒体のサイズを検出する検出部と、媒体の後端が排出ローラ対のニップ位置を通過した後の所定タイミングから、少なくとも一方のローラの回転速度をそれ以前の回転速度より上昇させるように駆動部を制御する制御部と、を有し、制御部は、媒体のサイズに応じて、所定タイミングを変更する。
【0010】
また、本発明の一側面に係る制御方法は、媒体を排出するための排出ローラ対と、排出ローラ対の内の少なくとも一方のローラを回転させる駆動部と、を有する媒体排出装置の制御方法であって、媒体のサイズを検出し、媒体の後端が排出ローラ対のニップ位置を通過した後の所定タイミングから、少なくとも一方のローラの回転速度をそれ以前の回転速度より上昇させるように駆動部を制御することを含み、制御において、媒体のサイズに応じて、所定タイミングを変更する。
【0011】
また、本発明の一側面に係る制御プログラムは、媒体を排出するための排出ローラ対と、排出ローラ対の内の少なくとも一方のローラを回転させる駆動部と、を有する媒体排出装置の制御プログラムであって、媒体のサイズを検出し、媒体の後端が排出ローラ対のニップ位置を通過した後の所定タイミングから、少なくとも一方のローラの回転速度をそれ以前の回転速度より上昇させるように駆動部を制御することを媒体排出装置に実行させ、制御において、媒体のサイズに応じて、所定タイミングを変更する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、媒体排出装置、制御方法及び制御プログラムは、排出台に排出された複数の媒体の位置がより良好に揃うように、媒体を排出させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】媒体排出装置100を示す斜視図である。
図2】媒体排出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
図3】排出ローラ対の配置について説明するための模式図である。
図4】媒体排出装置100の概略構成を示すブロック図である。
図5】記憶装置140及びCPU150の概略構成を示す図である。
図6】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図7】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図8】排出制御処理の動作の例を示すフローチャートである。
図9A】各タイミングについて説明するための模式図である。
図9B】各タイミングについて説明するための模式図である。
図10A】各タイミングについて説明するための模式図である。
図10B】各タイミングについて説明するための模式図である。
図11】他の排出制御処理の動作の例を示すフローチャートである。
図12】第3所定タイミングについて説明するための模式図である。
図13】他の実施形態に係る処理回路260の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一側面に係る媒体排出装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体排出装置100を示す斜視図である。媒体排出装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙又はカード等である。媒体排出装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体排出装置100はプリンタ等でもよい。
【0016】
媒体排出装置100は、上側筐体101、下側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0017】
上側筐体101は、媒体排出装置100の上側に配置され、媒体つまり時、媒体排出装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体102に係合している。
【0018】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に下側筐体102に係合している。載置台103は、下側筐体102の媒体供給側の側面に、略鉛直方向A1に移動可能に設けられる。載置台103は、媒体を搬送していないときは媒体が容易に載置されるように下端の位置に配置され、媒体を搬送するときは載置された媒体が給送されるように媒体搬送路と略同一の高さまで上昇する。排出台104は、排出された媒体を保持可能に上側筐体101上に形成されている。排出台104は、必要な場合に排出台104から引き出されて媒体を保持する補助排出台104aを有する。
【0019】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0020】
図2は、媒体排出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0021】
媒体排出装置100内部の搬送経路は、第1センサ111、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ115a~g、第1~第7従動ローラ116a~g、第2センサ117、第3センサ118、第1撮像装置119a、第2撮像装置119b、第4センサ120、第5センサ121、下側排出ローラ122及び上側排出ローラ123等を有している。
【0022】
なお、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ115a~g、第1~第7従動ローラ116a~g、下側排出ローラ122及び/又は上側排出ローラ123のそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数のピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ115a~g及び/又は第1~第7従動ローラ116a~gは、それぞれ媒体搬送方向A2と直交する方向に間隔を空けて並べて配置される。同様に、複数の下側排出ローラ122及び/又は上側排出ローラ123も、それぞれ媒体搬送方向A2と直交する方向に間隔を空けて並べて配置される。以下では、下側排出ローラ122及び上側排出ローラ123をあわせて、排出ローラ対と称する場合がある。
【0023】
上側筐体101の、下側筐体102と対向する面は媒体の搬送路の第1ガイド101aを形成し、下側筐体102の、上側筐体101と対向する面は媒体の搬送路の第2ガイド102aを形成する。図2において矢印A2は媒体搬送方向を示し、矢印A3は媒体排出方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の下流のことをいう。
【0024】
第1センサ111は、載置台103に、即ち給送ローラ113及びブレーキローラ114の上流側に配置され、載置台103における媒体の載置状態を検出する。第1センサ111は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサにより、載置台103に媒体が載置されているか否かを判別する。第1センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1検出信号を生成して出力する。
【0025】
ピックローラ112は、上側筐体101に設けられ、媒体搬送路と略同一の高さまで上昇した載置台103に載置された媒体と接触して、その媒体を下流側に向けて給送する。給送ローラ113は、上側筐体101内に、ピックローラ112の下流側に設けられ、ピックローラ112により給送された媒体を、さらに下流側に向けて給送する。ブレーキローラ114は、下側筐体102内に、給送ローラ113と対向して配置される。給送ローラ113及びブレーキローラ114は、媒体の分離動作を行い、媒体を分離して一枚ずつ給送する。第1~第7搬送ローラ115a~g及び第1~第7従動ローラ116a~gは、下側排出ローラ122及び上側排出ローラ123より媒体排出方向A3の上流側に設けられ、給送ローラ113により給送された媒体を下流側に向けて搬送する。
【0026】
第2センサ117は、給送ローラ113及びブレーキローラ114の下流側且つ第1撮像装置119aの撮像位置L1及び第2撮像装置119bの撮像位置L2の上流側に配置され、その位置に搬送された媒体を検出する。第2センサ117は、媒体搬送路に対して一方の側(上側筐体101)に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置(下側筐体102)に設けられたミラー等の反射部材とを含む。発光器は、LED等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光する。第2センサ117と対向する位置に媒体が存在するときは、発光器から照射された光は媒体により遮られるため、受光器は発光器から照射された光を検出しない。受光器は、受光する光の強度に基づいて、第2センサ117の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2検出信号を生成して出力する。
【0027】
なお、発光器及び受光器は、媒体搬送路を挟んで対向して設けられてもよい。また、第2センサ117は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサ等により、媒体の存在を検出してもよい。
【0028】
第3センサ118は、第2センサ117の下流側且つ第1撮像装置119aの撮像位置L1及び第2撮像装置119bの撮像位置L2の上流側に配置され、その位置に搬送された媒体を検出する。第3センサ118は、第2センサ117と同様の構成を有し、第3センサ118の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第3検出信号を生成して出力する。
【0029】
第1撮像装置119aは、主走査方向に直線状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。さらに、第1撮像装置119aは、光を照射する光源と、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅してアナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置119aにおいて、撮像センサは、搬送される媒体の表面を撮像してアナログの画像信号を生成して出力し、A/D変換器は、このアナログの画像信号をA/D変換してデジタルの入力画像を生成して出力する。
【0030】
同様に、第2撮像装置119bは、主走査方向に直線状に配列されたCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。さらに、第2撮像装置119bは、光を照射する光源と、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅してA/D変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置119bにおいて、撮像センサは、搬送される媒体の裏面を撮像してアナログの画像信号を生成して出力し、A/D変換器は、このアナログの画像信号をA/D変換してデジタルの入力画像を生成して出力する。
【0031】
なお、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取るようにしてもよい。また、CCDの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)が用いられてもよい。以下では、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bを総じて撮像装置119と称する場合がある。
【0032】
第4センサ120は、第1撮像装置119aの撮像位置L1及び第2撮像装置119bの撮像位置L2の下流側且つ下側排出ローラ122及び上側排出ローラ123の上流側に配置され、その位置に搬送された媒体を検出する。第4センサ120は、第2センサ117と同様の構成を有し、第4センサ120の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第4検出信号を生成して出力する。
【0033】
第5センサ121は、第4センサ120の下流側且つ下側排出ローラ122及び上側排出ローラ123の上流側に配置され、その位置に搬送された媒体を検出する。第5センサ121は、第2センサ117と同様の構成を有し、第5センサ121の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第5検出信号を生成して出力する。
【0034】
下側排出ローラ122は下側ローラの一例であり、上側排出ローラ123は上側ローラの一例である。排出ローラ対は、搬送された媒体を排出台104に排出する。
【0035】
載置台103に載置された媒体は、ピックローラ112、給送ローラ113がそれぞれ媒体給送方向A4、A5に回転することによって、第1ガイド101aと第2ガイド102aの間を媒体搬送方向A2に向かって搬送される。一方、ブレーキローラ114が媒体給送方向の反対方向A6に回転することによって、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ113と接触している媒体のみが分離される。
【0036】
媒体は、第1ガイド101aと第2ガイド102aによりガイドされながら、第1~第2搬送ローラ115a~bがそれぞれ矢印A7~A8の方向に回転することによって、第1撮像装置119aの撮像位置L1に送り込まれる。その後、媒体は、第3搬送ローラ115cと第3従動ローラ116cの間に送り込まれ、第3搬送ローラ115cが矢印A9の方向に回転することによって第2撮像装置119bの撮像位置L2に送り込まれる。各撮像装置119により読み取られた媒体は、第4~第7搬送ローラ115d~g及び下側排出ローラ122がそれぞれ矢印A10~A14の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0037】
図3は、排出ローラ対の配置について説明するための模式図である。
【0038】
図3に示すように、下側排出ローラ122は、上側排出ローラ123の下側に、上側排出ローラ123と対向するように配置される。下側排出ローラ122は、樹脂材料等で形成された軸部122aと、ゴム材料等で形成された外周部122bとを含み、下側排出ローラ122と上側排出ローラ123の間にはニップNが形成される。
【0039】
媒体排出方向A3において、下側排出ローラ122の中心C1は、上側排出ローラ123の中心C2より下流側に配置されている。また、下側排出ローラ122の媒体排出方向A3の下流側の端部E1は、上側排出ローラ123の媒体排出方向A3の下流側の端部E2より、媒体排出方向A3の下流側に配置されている。下側排出ローラ122の端部E1が、上側排出ローラ123の端部E2より下流側に配置されていることにより、媒体はやや上方に向けて排出される。これにより、媒体の先端が排出台104に強く衝突して、媒体が曲がってしまうことが抑制される。但し、媒体は、ニップNを通過した後も下側排出ローラ122の外周部122bに接触しているため、下側排出ローラ122により媒体排出方向A3の下流側に向けて強く押し出される可能性がある。
【0040】
なお、媒体排出方向A3において、下側排出ローラ122の下流側の端部E1は、上側排出ローラ123の下流側の端部E2と同じ位置、又は、上側排出ローラ123の下流側の端部E2より上流側に配置されてもよい。
【0041】
図4は、媒体排出装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0042】
媒体排出装置100は、前述した構成に加えて、駆動装置131、インタフェース装置132、記憶装置140、CPU(Central Processing Unit)150及び処理回路160等をさらに有する。
【0043】
駆動装置131は、駆動部の一例であり、1つ又は複数のモータを含む。駆動装置131は、CPU150からの制御信号によって、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ115a~g及び下側排出ローラ122を回転させて媒体の搬送動作を行う。例えば、駆動装置131は、第1~第5モータを含む。第1モータはピックローラ112を回転させ、第2モータは給送ローラ113及びブレーキローラ114を回転させ、第3モータは第1搬送ローラ115aを回転させ、第4モータは第2~第7搬送ローラ115b~gを回転させる。第5モータは下側排出ローラ122を回転させる。上側排出ローラ123は、下側排出ローラ122の回転に従って従動回転する。なお、上側排出ローラ123は、第5モータ又は他のモータの駆動力によって回転するように設けられてもよい。下側排出ローラ122は、駆動装置131が回転させる、排出ローラ対の内の少なくとも一方のローラの一例である。
【0044】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して読取画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0045】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体排出装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disk read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disk read only memory)等である。また、記憶装置140には、データとして入力画像等が記憶される。
【0046】
CPU150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、CPU150に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてよい。また、CPU150に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等が用いられてもよい。
【0047】
CPU150は、操作装置105、第1センサ111、第2センサ117、第3センサ118、撮像装置119、第4センサ120、第5センサ121、駆動装置131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路160等と接続される。CPU150は、これらの各部を制御する。CPU150は、各センサからの検出信号に従って駆動装置131の駆動制御を行うとともに、撮像装置119の媒体読取制御等を行い、入力画像を取得する。
【0048】
処理回路160は、撮像装置119から取得した入力画像に所定の画像処理を施す。処理回路160は、画像処理が施された入力画像を記憶装置140に格納する。なお、処理回路160として、LSI、DSP、ASIC又はFPGA等が用いられてもよい。
【0049】
図5は、記憶装置140及びCPU150の概略構成を示す図である。
【0050】
図5に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141、画像取得プログラム142及び検出プログラム143等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。CPU150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作することにより、制御部151、画像取得部152及び検出部153として機能する。
【0051】
図6及び図7は、媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0052】
以下、図6及び図7に示したフローチャートを参照しつつ、媒体排出装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により媒体排出装置100の各要素と協働して実行される。
【0053】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0054】
次に、制御部151は、第1センサ111から第1検出信号を取得し、取得した第1検出信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、処理をステップS101へ戻し、操作装置105から新たに操作信号を受信するまで待機する。
【0055】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、駆動装置131を駆動する(ステップS103)。制御部151は、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ115a~g及び下側排出ローラ122を回転させ、載置台103に載置された媒体を給送及び搬送させる。このとき、制御部151は、下側排出ローラ122の回転速度を第1速度に設定する。第1速度は、給送ローラ113及び第1~第7搬送ローラ115a~gにより媒体が移動する移動速度で媒体を移動させるための回転速度である。
【0056】
次に、制御部151は、媒体の先端が第2センサ117の位置を通過するまで待機する(ステップS104)。制御部151は、第2センサ117から受信する第2検出信号に基づいて、媒体の先端が第2センサ117の位置を通過したか否かを判定する。制御部151は、第2センサ117から第2検出信号を定期的に受信し、第2検出信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から存在することを示す値に変化した場合、媒体の先端が第2センサ117の位置を通過したと判定する。
【0057】
媒体の先端が第2センサ117の位置を通過した場合、制御部151は、ピックローラ112、給送ローラ113及びブレーキローラ114の回転を停止させて、媒体の給送を停止させる(ステップS105)。給送ローラ113及びブレーキローラ114によって給送された媒体は、以降、第1~第7搬送ローラ115a~g及び下側排出ローラ122により搬送され、次の媒体は給送されない。
【0058】
次に、画像取得部152は、媒体の先端が撮像装置119の各撮像位置L1、L2に到達するまで待機する(ステップS106)。画像取得部152は、媒体の給送を開始してから所定時間経過したか否かにより、媒体の先端が撮像装置119の各撮像位置L1、L2に到達したか否かを判定する。なお、画像取得部152は、第3センサ118から受信する第3検出信号に基づいて、媒体の先端が撮像装置119の各撮像位置L1、L2に到達したか否かを判定してもよい。画像取得部152は、第3センサ118から第3検出信号を定期的に受信し、第3検出信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から存在することを示す値に変化した場合、媒体の先端が第3センサ118の位置を通過したと判定する。画像取得部152は、媒体の先端が第3センサ118の位置を通過した場合、又は、媒体の先端が第3センサ118の位置を通過してから所定時間が経過した場合、撮像装置119の各撮像位置L1、L2に到達したとみなす。
【0059】
媒体の先端が撮像装置119の各撮像位置L1、L2に到達した場合、画像取得部152は、撮像装置119による搬送された媒体の撮像を開始させる(ステップS107)。媒体の先端が撮像位置L1に到達した場合、画像取得部152は、第1撮像装置119aに媒体の撮像を開始させる。一方、媒体の先端が撮像位置L2に到達した場合、画像取得部152は、第2撮像装置119bに媒体の撮像を開始させる。
【0060】
次に、検出部153は、媒体の後端が第3センサ118の位置を通過するまで待機する(ステップS108)。制御部151は、第3センサ118から受信する第3検出信号に基づいて、媒体の後端が第3センサ118の位置を通過したか否かを判定する。制御部151は、第3センサ118から第3検出信号を定期的に受信し、第3検出信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から存在しないことを示す値に変化した場合、媒体の後端が第3センサ118の位置を通過したと判定する。
【0061】
媒体の後端が第3センサ118の位置を通過した場合、検出部153は、媒体のサイズを検出する(ステップS109)。検出部153は、例えば、第3センサ118から受信する第3検出信号に基づいて、媒体のサイズを検出する。検出部153は、媒体の先端が第3センサ118の位置を通過してから媒体の後端が第3センサ118の位置を通過するまでの時間に、媒体の搬送速度を乗算することにより、媒体搬送方向A2における媒体のサイズを検出する。なお、検出部153は、撮像装置119が生成した入力画像に基づいて、媒体のサイズを検出してもよい。その場合、検出部153は、公知の画像処理技術を利用して、入力画像から媒体を検出し、検出した媒体のサイズを特定する。
【0062】
次に、制御部151は、下側排出ローラ122の回転速度を上昇させる所定タイミングを設定する(ステップS110)。後述するように、制御部151は、所定タイミングより前の第2所定タイミングから、下側排出ローラ122の回転速度を、第1速度より低い(遅い)第2速度に低減させる(減速)。その後、制御部151は、所定タイミングから、下側排出ローラ122の回転速度を、第2速度から第1速度に再上昇させる(再加速)。第2所定タイミングは、媒体の後端が排出ローラ対のニップ位置を通過する前のタイミングに予め設定される。
【0063】
所定タイミングは、媒体の後端が排出ローラ対のニップ位置を通過した後のタイミングに設定される。制御部151は、媒体のサイズが閾値以上である場合、所定タイミングを第1タイミングに設定し、媒体のサイズが閾値未満である場合、所定タイミングを第1タイミングより遅い第2タイミングに設定する。閾値は、媒体の後端が排出ローラ対のニップ位置を通過したときに、媒体の先端が排出台104の載置面と接触する媒体のサイズ(例えばA5サイズ)に設定される。第1タイミングは、媒体排出方向A3において媒体の後端が下側排出ローラ122の中心C1より第1距離D1だけ下流側の位置L3に到達するタイミングに設定される(図3を参照)。一方、第2タイミングは、媒体排出方向A3において媒体の後端が下側排出ローラ122の中心C1より第2距離D2だけ下流側の位置L4に到達するタイミングに設定される。
【0064】
第1距離D1は、例えば4mmに設定され、第2距離D2は、第1距離D1より長い距離、例えば10mmに設定される。このように、制御部151は、媒体のサイズが閾値未満である場合の所定タイミングを、媒体のサイズが閾値以上である場合の所定タイミングより遅くする。
【0065】
なお、制御部151は、媒体搬送方向A2における媒体のサイズが閾値以上である場合に、所定タイミングを第1タイミングに設定し、媒体搬送方向A2における媒体のサイズが閾値未満である場合に、所定タイミングを第2タイミングに設定してもよい。その場合、閾値は、例えば126mmに設定される。また、制御部151は、媒体のサイズが小さい程、所定タイミングが遅くなるように、所定タイミングを三段階以上の多段階に分類してもよい。このように、制御部151は、媒体のサイズに応じて、所定タイミングを変更する。
【0066】
次に、画像取得部152は、媒体の後端が撮像装置119の各撮像位置L1、L2を通過するまで待機する(ステップS111)。画像取得部152は、媒体の後端が第3センサ118の位置を通過してから所定時間経過したか否かにより、媒体の後端が撮像装置119の各撮像位置L1、L2に到達したか否かを判定する。なお、画像取得部152は、第4センサ120から受信する第4検出信号に基づいて、媒体の後端が撮像装置119の各撮像位置L1、L2に到達したか否かを判定してもよい。画像取得部152は、第4センサ120から第4検出信号を定期的に受信し、第4検出信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から存在しないことを示す値に変化した場合、媒体の後端が第4センサ120の位置を通過したと判定する。画像取得部152は、媒体の後端が第4センサ120の位置を通過した場合、媒体が撮像装置119の各撮像位置L1、L2を通過したとみなす。
【0067】
媒体の後端が撮像装置119の各撮像位置L1、L2を通過した場合、画像取得部152は、撮像装置119から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置へ送信する(ステップS112)。画像取得部152は、媒体の後端が撮像位置L1を通過した場合、第1撮像装置119aから入力画像を取得し、媒体の先端が撮像位置L2に到達した場合、第2撮像装置119bから入力画像を取得する。
【0068】
次に、制御部151は、第1センサ111から受信する第1検出信号に基づいて、載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS113)。
【0069】
載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、検出部153により検出された媒体のサイズが閾値未満であるか否かを判定する(ステップS114)。
【0070】
媒体のサイズが閾値未満である場合、制御部151は、所定期間経過するまで待機する(ステップS115)。これにより、次の媒体は、給送ローラ113及びブレーキローラ114によって給送されずに、給送ローラ113及びブレーキローラ114より上流側で待機する。一方、媒体のサイズが閾値以上である場合、制御部151は、待機することなく、ステップS116へ処理を移行する。
【0071】
次に、制御部151は、駆動装置131を駆動し、ピックローラ112、給送ローラ113及びブレーキローラ114を回転させて、媒体の給送を再開させる(ステップS116)。次に、制御部151は、ステップS104へ処理を戻し、ステップS104~S116の処理を繰り返す。このように、制御部151は、媒体のサイズが閾値未満である場合、次の媒体の給送を所定期間停止させる。
【0072】
上記したように、媒体のサイズが閾値未満である場合に下側排出ローラ122が再加速されるタイミングは、媒体のサイズが閾値以上である場合に下側排出ローラ122が再加速されるタイミングより遅くなるように設定される。したがって、サイズが閾値未満である媒体の後端に、次に搬送される媒体の先端が接近しすぎる可能性がある。制御部151は、媒体のサイズが閾値未満である場合に、次の媒体の給送を所定期間停止させることにより、サイズが閾値未満である媒体の後端に、次に搬送される媒体の先端が接近しすぎることを防止できる。所定期間は、サイズが閾値未満である媒体の後端が、サイズが閾値以上である媒体の後端より遅れる時間に設定されることが好ましい。これにより、制御部151は、媒体のサイズが閾値未満である場合の媒体間距離を、媒体のサイズが閾値以上である場合の媒体間距離と同じ分だけ確保することができる。
【0073】
なお、次の媒体の給送開始タイミングは、搬送中の媒体の後端が撮像装置119の各撮像位置L1、L2を通過した後に限定されない。制御部151は、搬送中の媒体を減速させても、搬送中の媒体に次の媒体が追いつかない範囲で、次の媒体の給送を開始してもよい。そのときも、制御部151は、媒体のサイズが閾値未満である場合は、媒体のサイズが閾値以上である場合の媒体間距離と同じ分だけ媒体間距離を確保するように、次の媒体の給送を所定期間停止させる。
【0074】
一方、ステップS113で、載置台103に媒体が残っていなかった場合、制御部151は、駆動装置131を停止して、各ローラの回転を停止させ(ステップS117)、一連のステップを終了する。
【0075】
図8は、排出制御処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0076】
以下、図8に示したフローチャートを参照しつつ、媒体排出装置100の排出制御処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により媒体排出装置100の各要素と協働して実行される。排出制御処理は、一つの媒体が搬送されるたびに実行される。
【0077】
最初に、制御部151は、現在時刻が第2所定タイミングに達するまで待機する(ステップS201)。第2所定タイミングは、媒体の後端が、第1~第7搬送ローラ115a~gの内、下側排出ローラ122の最も近くに配置された第7搬送ローラ115gと、下側排出ローラ122との間の所定位置に到達するタイミングに予め設定される。
【0078】
制御部151は、例えば、第4センサ120から受信する第4検出信号に基づいて、現在時刻が第2所定タイミングに達したか否かを判定する。制御部151は、第4センサ120から第4検出信号を定期的に受信し、第4検出信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から存在しないことを示す値に変化した場合、媒体の後端が第4センサ120の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が第4センサ120の位置を通過してから、第7搬送ローラ115gと下側排出ローラ122の間の所定位置に到達するまでの時間として予め設定された時間が経過したときに、現在時刻が第2所定タイミングに達したと判定する。なお、制御部151は、他のセンサから受信する検出信号に基づいて、現在時刻が第2所定タイミングに達したか否かを判定してもよい。
【0079】
現在時刻が第2所定タイミングに達した場合、制御部151は、下側排出ローラ122の回転速度を第1速度から第2速度に低減して、下側排出ローラ122を減速させるように駆動装置131を制御する(ステップS202)。このように、制御部151は、第2所定タイミングから、下側排出ローラ122の回転速度をそれ以前の回転速度より低減させるように駆動装置131を制御する。
【0080】
次に、制御部151は、現在時刻が所定タイミングに達するまで待機する(ステップS203)。所定タイミングは、図6のステップS110において、媒体の後端が、排出ローラ対のニップ位置より下流側の、媒体のサイズに応じた各位置に到達するタイミングに設定されている。
【0081】
制御部151は、例えば、第5センサ121から受信する第5検出信号に基づいて、現在時刻が所定タイミングに達したか否かを判定する。制御部151は、第5センサ121から第5検出信号を定期的に受信し、第5検出信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から存在しないことを示す値に変化した場合、媒体の後端が第5センサ121の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が、第5センサ121の位置を通過してから、排出ローラ対のニップ位置より下流側の、媒体のサイズに応じた各位置に到達するまでの時間として予め設定された時間が経過したときに、現在時刻が所定タイミングに達したと判定する。なお、制御部151は、他のセンサから受信する検出信号に基づいて、現在時刻が所定タイミングに達したか否かを判定してもよい。
【0082】
現在時刻が所定タイミングに達した場合、制御部151は、下側排出ローラ122の回転速度を第2速度から第1速度に上昇させて、下側排出ローラ122を加速させるように駆動装置131を制御し(ステップS204)、一連のステップを終了する。このように、制御部151は、所定タイミングから、下側排出ローラ122の回転速度をそれ以前の回転速度より上昇させるように駆動装置131を制御する。
【0083】
図9A図9B図10A図10Bは、排出制御処理における各タイミングについて説明するための模式図である。図9Aは第2所定タイミングより前の状態を示し、図9Bは第2所定タイミングの状態を示し、図10Aは媒体のサイズが閾値以上である場合の所定タイミングの状態を示し、図10Bは媒体のサイズが閾値未満である場合の所定タイミングの状態を示す。
【0084】
図9A図9Bに示す例では、第2所定タイミングは、媒体の後端が第7搬送ローラ115gと下側排出ローラ122の間の所定位置L5に到達するタイミングに設定されている。一方、媒体のサイズが閾値以上である場合の所定タイミングは、媒体の後端が排出ローラ対のニップ位置より下流側の位置L3に到達するタイミングに設定されている。また、媒体のサイズが閾値未満である場合の所定タイミングは、位置L3よりさらに下流側の位置L4に到達するタイミングに設定されている。
【0085】
図9Aに示すように、第2所定タイミングより前の状態では、下側排出ローラ122の回転速度は第1速度に設定され、媒体Dは、第1~第7搬送ローラ115a~gによる搬送速度と同じ速度で、下側排出ローラ122により排出される。媒体Dは、第1~第7搬送ローラ115a~gと下側排出ローラ122とにより同じ速度で搬送(排出)されるため、第1~第7搬送ローラ115a~gと下側排出ローラ122の間で媒体Dが撓むことはない。
【0086】
図9Bに示すように、第2所定タイミングの状態において、下側排出ローラ122の回転速度は第2速度に設定され、下側排出ローラ122は減速される。これにより、排出される媒体Dが下側排出ローラ122によって強く押し出され、排出台104に排出された媒体Dの後端が排出台104の媒体排出方向A3の下流端から離れることが抑制される。そのため、第2所定タイミングは、媒体Dの後端が排出ローラ対のニップ位置を通過するまでに媒体Dを十分に減速可能なタイミングに設定されることが好ましい。
【0087】
また、第2所定タイミングは、媒体Dの後端が、第1~第7搬送ローラ115a~gの内、下側排出ローラ122の最も近くに配置された第7搬送ローラ115gを通過した後のタイミングに設定される。第2タイミングでは、媒体Dは第1~第7搬送ローラ115a~gによって搬送されていないため、下側排出ローラ122が減速しても、第1~第7搬送ローラ115a~gと下側排出ローラ122の間で媒体Dが撓むことはない。
【0088】
図10Aに示すように、媒体Dのサイズが閾値以上である場合、媒体Dの後端が位置L3に到達したときに、下側排出ローラ122の回転速度は第1速度に再設定され(戻され)、下側排出ローラ122は再加速される。このとき、媒体Dの後端は、まだ下側排出ローラ122に接触しており、媒体Dは下側排出ローラ122の再加速の勢いにより強く押し出される。しかし、媒体Dの先端は、既に排出台104に到達しており、媒体Dと排出台104の間の摩擦力により、媒体Dが押し出されすぎることはない。したがって、媒体Dは、後端が排出台104の下流端に位置するように排出台104上に排出される。
【0089】
仮に媒体Dのサイズが閾値未満である場合、媒体Dの後端が位置L3に到達したときに下側排出ローラ122を再加速すると、そのとき、媒体Dの先端は、まだ排出台104に到達していない。したがって、下側排出ローラ122によって押し出された媒体Dは、空中に放出され、後端が排出台104の下流端から離れるように排出台104上に排出される。
【0090】
図10Bに示すように、媒体Dのサイズが閾値未満である場合、媒体Dの後端が位置L4に到達したときに、下側排出ローラ122の回転速度は第1速度に再設定され(戻され)、下側排出ローラ122は再加速される。このとき、媒体Dの後端は、下側排出ローラ122から離れている。また、仮に媒体Dの後端が下側排出ローラ122に接触しているとしても、媒体Dの後端は下側排出ローラ122の下流側の端部付近に接触している。したがって、媒体Dには、下側排出ローラ122により下方に向かう力が大きくかかるが、媒体排出方向A2の下流側に向かう力はほとんどかからない。したがって、媒体Dは、下側排出ローラ122によって強く押し出されない。また、媒体Dの先端は、既に排出台104に到達しており、媒体Dと排出台104の間の摩擦力により、媒体Dが押し出されすぎることはない。したがって、サイズが閾値未満である媒体Dも、後端が排出台104の下流端に位置するように排出台104上に排出される。
【0091】
このように、媒体排出装置100は、サイズが閾値以上の媒体と、サイズが閾値未満の媒体の両方を、後端が排出台104の下流端に位置するように排出台104上に排出することができる。これにより、利用者は、排出された各媒体を容易に揃えることができ、媒体排出装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0092】
また、下側排出ローラ122が第1速度に再設定されることにより、次の媒体は、第2タイミングに達するまで、第1~第7搬送ローラ115a~gと下側排出ローラ122とにより同じ速度で搬送(排出)される。そのため、次の媒体が、第1~第7搬送ローラ115a~gと下側排出ローラ122の間で撓むことはない。
【0093】
なお、制御部151は、図8のステップS201~S202の処理を省略し、媒体の排出直前に下側排出ローラ122を減速させなくてもよい。その場合も、制御部151は、ステップS203~S204の処理により、媒体のサイズに応じて、下側排出ローラ122の回転速度を上昇させるタイミングを変更し、それぞれサイズが異なる複数の媒体の排出位置を揃えることができる。
【0094】
以上詳述したように、媒体排出装置100は、媒体のサイズに応じて、下側排出ローラ122の回転速度を上昇させるタイミングを変更して、媒体のサイズに関わらず媒体の排出位置を揃える。これにより、媒体排出装置100は、それぞれサイズが異なる複数の媒体が搬送される場合でも、排出台104に排出された複数の媒体の位置がより良好に揃うように媒体を排出させることが可能となった。
【0095】
媒体排出装置100は、サイズが小さい媒体を排出する際に、下側排出ローラ122の減速期間を延長させて、サイズが小さい媒体が強く押し出され、載置台104上の下流側の位置に載置されることを防止する。これにより、媒体排出装置100は、後から排出される媒体の先端が、直前に排出されたサイズが小さい媒体の後端の下側に潜り込み、媒体の順序の入れ替えが発生してしまうことを防止できる。一方、媒体排出装置100は、サイズが大きい媒体を排出する際には、下側排出ローラ122の減速期間を増大させないため、サイズが大きい媒体の搬送性能を低下させることなく、排出される各媒体の後端位置を揃えることができる。
【0096】
また、媒体排出装置100は、ソフトウェアの制御により、下側排出ローラ122の回転速度を上昇させるタイミングを変更する。そのため、販売済みの媒体排出装置において、ハードウェアを変更することなく、ソフトウェアを変更するだけで媒体の排出位置を揃えることが可能となる。
【0097】
図11は、他の実施形態に係る排出制御処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0098】
図11に示すフローチャートは、図8に示すフローチャートの代わりに実行される。図11に示すフローチャートのステップS304~S307の処理は、図8に示すフローチャートのステップS201~S204の処理と同様であるため、詳細な説明を省略し、以下では、ステップS301~S303の処理についてのみ説明する。なお、図11に示す排出制御処理が実行される場合、図7に示すフローチャートのステップS114~S115の処理は省略されてもよい。
【0099】
最初に、制御部151は、検出部153により検出された媒体のサイズが閾値未満であるか否かを判定する(ステップS301)。媒体のサイズが閾値以上である場合、制御部151は、特に処理することなく、ステップS304へ処理を移行する。
【0100】
一方、媒体のサイズが閾値未満である場合、制御部151は、現在時刻が第3所定タイミングに達するまで待機する(ステップS302)。第3所定タイミングは、媒体の後端が、第1~第7搬送ローラ115a~gの内、排出ローラ対の最も近くに配置された第7搬送ローラ115gを通過した後であり且つ第2所定タイミングより前のタイミングに予め設定される。制御部151は、現在時刻が第2所定タイミングに達したか否かを判定する場合と同様にして、現在時刻が第3所定タイミングに達したか否かを判定する。
【0101】
現在時刻が第3所定タイミングに達した場合、制御部151は、下側排出ローラ122の回転速度を第1速度から第3速度に上昇させて、下側排出ローラ122を加速させるように駆動装置131を制御する(ステップS303)。第3速度は、第1速度より高い(速い)速度である。
【0102】
この場合、ステップS305において、制御部151は、現在時刻が第2所定タイミングに達した場合、下側排出ローラ122の回転速度を第3速度から第2速度に低減して、下側排出ローラ122を減速させるように駆動装置131を制御する。このように、制御部151は、媒体の後端が第7搬送ローラ115gを通過してから第2所定タイミングまでの間、下側排出ローラ122の回転速度をそれ以前の回転速度より上昇させるように駆動装置131を制御する。
【0103】
図12は、第3所定タイミングについて説明するための模式図である。
【0104】
図12は、第3所定タイミングの状態を示す。図12に示す例では、第3所定タイミングは、媒体の後端が、第7搬送ローラ115gと、第2所定タイミングに対応する所定位置L5との間の位置L6に到達するタイミングに設定される。第3所定タイミングの状態において、下側排出ローラ122の回転速度は第3速度に設定され、下側排出ローラ122は加速される。
【0105】
上記したように、媒体のサイズが閾値未満である場合に下側排出ローラ122が再加速されるタイミングは、媒体のサイズが閾値以上である場合に下側排出ローラ122が再加速されるタイミングより遅くなるように設定される。したがって、サイズが閾値未満である媒体の後端に、次に搬送される媒体の先端が接近しすぎる可能性がある。制御部151は、媒体のサイズが閾値未満である場合に、第3所定タイミングから第2所定タイミングまでの間、媒体の搬送速度を上昇させることにより、サイズが閾値未満である媒体の後端に、次に搬送される媒体の先端が接近しすぎることを防止できる。
【0106】
第3所定タイミングは、サイズが閾値未満である媒体の後端が、サイズが閾値以上である媒体の後端に対して、排出時に遅れる分だけ、第3所定タイミングから第2所定タイミングまでの間に先行するように設定されることが好ましい。これにより、制御部151は、媒体のサイズが閾値未満である場合の媒体間距離を、媒体のサイズが閾値以上である場合の媒体間距離と同じ分だけ確保することができる。
【0107】
また、第3所定タイミングは、媒体Dの後端が、第1~第7搬送ローラ115a~gの内、下側排出ローラ122の最も近くに配置された第7搬送ローラ115gを通過した後のタイミングに設定される。第3タイミングでは、媒体Dは第1~第7搬送ローラ115a~gによって搬送されていないため、媒体排出装置100は、第1~第7搬送ローラ115a~gによって阻害されることなく、下側排出ローラ122を加速させることができる。
【0108】
以上詳述したように、媒体排出装置は、図11に示すフローチャートに従って媒体排出処理を実行する場合も、排出台104に排出された複数の媒体の位置がより良好に揃うように媒体を排出させることが可能となった。
【0109】
図13は、さらに他の実施形態に係る媒体排出装置の処理回路260の概略構成を示す図である。
【0110】
処理回路260は、媒体排出装置100の処理回路160の代わりに使用され、CPU150の代わりに、媒体読取処理を実行する。処理回路260は、制御回路261、画像取得回路262及び検出回路263等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0111】
制御回路261は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路261は、操作装置105から操作信号を、第1センサ111、第2センサ117、第4センサ120及び第5センサ121から各検出信号を、検出回路263から媒体のサイズをそれぞれ受信する。制御回路261は、受信した各情報に基づいて、駆動装置131を制御するとともに、媒体のサイズに応じて下側排出ローラ122の回転速度を上昇させる所定タイミングを変更する。
【0112】
画像取得回路262は、画像取得部の一例であり、画像取得部152と同様の機能を有する。画像取得回路262は、撮像装置119から入力画像を受信し、受信した入力画像を記憶装置140に記憶し、又は、インタフェース装置132に出力する。
【0113】
検出回路263は、検出部の一例であり、検出部153と同様の機能を有する。検出回路263は、第3センサ118から第3検出信号を受信し、第3検出信号に基づいて媒体のサイズを検出し、制御回路261に出力する。
【0114】
以上詳述したように、媒体排出装置は、処理回路260によって媒体排出処理を実行する場合も、排出台104に排出された複数の媒体の位置がより良好に揃うように媒体を排出させることが可能となった。
【0115】
なお、媒体排出装置は、媒体のサイズが所定サイズ以上である場合の所定タイミングを、媒体のサイズが所定サイズ未満である場合の所定タイミングより遅くしてもよい。例えば、媒体排出装置は、媒体排出方向A3における媒体のサイズが、媒体排出口から排出台104に設けられたストッパ(不図示)までの距離より大きい場合、下側排出ローラ122の減速期間を延長してもよい。これにより、媒体の先端がストッパに強く衝突して、媒体が損傷することが抑制される。
【符号の説明】
【0116】
100 媒体排出装置
113 給送ローラ
115a~g 第1~第7搬送ローラ
122 下側排出ローラ
123 上側排出ローラ
131 駆動装置
151 制御部
153 検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13