IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社セキソーの特許一覧

<>
  • 特許-ロッカ外装部構造 図1
  • 特許-ロッカ外装部構造 図2
  • 特許-ロッカ外装部構造 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】ロッカ外装部構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20220830BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B60R13/04 A
B62D25/20 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019053155
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020152254
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000229069
【氏名又は名称】株式会社セキソー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】力武 俊介
(72)【発明者】
【氏名】林 賢治
(72)【発明者】
【氏名】小美戸 樹宏
【審査官】西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-028603(JP,A)
【文献】特開平11-091455(JP,A)
【文献】特開平10-029472(JP,A)
【文献】特開2006-096096(JP,A)
【文献】特開平09-039683(JP,A)
【文献】特開2013-112205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/04
13/08
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側部の下端部側において車両前後方向に沿って延在されたロッカの車両幅方向外側から車両下方側にかけて設けられ、前記ロッカの車両下方側に設けられて車両前後方向に沿って延在された縦壁部と、前記縦壁部の下端部から車両幅方向外側に延在された底壁部と、前記底壁部の車両幅方向外側の端部から車両上方側に延在されて前記縦壁部と対向する部位を含む側壁部と、を備え、前記縦壁部から前記底壁部の車両幅方向内側の部位にかけて貫通した貫通部が形成されたロッカモールと、
前記貫通部に設けられて音波を吸収する吸音材と、
を有し、
前記ロッカモールは、前記縦壁部と、前記ロッカの車両下方側において前記縦壁部の上端部から車両幅方向内側に延在された横壁部と、前記横壁部の車両幅方向内側の端部から車両下方側に延在された垂下壁部と、によって、車両床下空間から車両幅方向外側へ向かう騒音の音波を回折させて前記貫通部に導くように設定されており、
前記吸音材の下端位置は、前記垂下壁部の下端位置よりも車両上下方向において低い位置に設定されている、ロッカ外装部構造。
【請求項2】
前記ロッカモールにおいて前記縦壁部の下端部側から前記底壁部の車両幅方向内側の端部側にかけての部位は、車両正面視で湾曲状に曲げられており、前記吸音材は、その下端部側において車両正面視で前記貫通部に沿って車両幅方向外側に湾曲形状に曲げられた湾曲部を備える、請求項1に記載のロッカ外装部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッカ外装部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両側部の下端側に閉断面構造のロッカ(「サイドシル」ともいう。)が配置されると共に、ロッカにロッカモール(「サイドシルガーニッシュ」ともいう。)が取り付けられた構造が知られている(特許文献1、2参照)。例えば、下記特許文献1には、ロッカの一部を構成するロッカアウタパネルの車両幅方向外側にロッカモールが取り付けられた構造が開示されている。この構造では、ロッカモールは、ロッカアウタパネルの下壁部の下方側において車両下方側に突出する凸部を備えると共に、ロッカモールの凸部の下面側を含む外面側に車両正面視で略U字状の吸音材が取り付けられている。そして、この吸音材がノイズを吸収するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-28603号公報
【文献】特開2007-261480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の先行技術では、吸音材の使用量が増えてしまううえ、車両床下空間からロッカの車両下方側を車両幅方向外側へ通り抜けようとする騒音を効果的に低減するという点においては改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、吸音材の使用量を抑えながら、車両床下空間からロッカの車両下方側を車両幅方向外側へ通り抜けようとする騒音を効果的に低減することができるロッカ外装部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明のロッカ外装部構造は、車体側部の下端部側において車両前後方向に沿って延在されたロッカの車両幅方向外側から車両下方側にかけて設けられ、前記ロッカの車両下方側に設けられて車両前後方向に沿って延在された縦壁部と、前記縦壁部の下端部から車両幅方向外側に延在された底壁部と、前記底壁部の車両幅方向外側の端部から車両上方側に延在されて前記縦壁部と対向する部位を含む側壁部と、を備え、前記縦壁部から前記底壁部の車両幅方向内側の部位にかけて貫通した貫通部が形成されたロッカモールと、前記貫通部に設けられて音波を吸収する吸音材と、を有し、前記ロッカモールは、前記縦壁部と、前記ロッカの車両下方側において前記縦壁部の上端部から車両幅方向内側に延在された横壁部と、前記横壁部の車両幅方向内側の端部から車両下方側に延在された垂下壁部と、によって、車両床下空間から車両幅方向外側へ向かう騒音の音波を回折させて前記貫通部に導くように設定されており、前記吸音材の下端位置は、前記垂下壁部の下端位置よりも車両上下方向において低い位置に設定されている。
【0007】
上記構成によれば、ロッカよりも車両幅方向内側からの音波は、ロッカモールの貫通部に設けられた吸音材によって吸収される。ここで、貫通部は、ロッカモールの縦壁部から底壁部の車両幅方向内側の部位にかけて貫通しているので、ロッカよりも車両幅方向内側からの音波は、車両上下方向の広範囲において、吸音材によって吸収されつつ一部が吸音材を通過する。車両幅方向内側から吸音材を通過した音波は、ロッカモールにおける縦壁部から側壁部までの形状部の内側空間の空気を伝い、側壁部を反射して、再び前記内側空間の空気を伝った後に吸音材に吸収される。音波が前記内側空間の空気を伝って再び吸音材に入射される構造とすることで、縦壁部から側壁部までの形状部の形状を変えるだけで、再び吸音材に入射される音波の周波数を、吸音したい周波数帯に合わせる設定が可能になる。そして、そのような設定をすることで、吸音材の使用量が抑えられた構造でありながら、吸音したい周波数帯の音波を効果的に吸収することができる。
【0009】
また、このロッカ外装部構造によれば、車両床下空間から車両幅方向外側へ向かう騒音の音波は、ロッカモールの垂下壁部と横壁部と縦壁部とによって、回折されて貫通部に導かれる。これによって、垂下壁部と、縦壁部と吸音材の一部とで形成された縦壁状部分と、の間の空間の音圧が、その空間に対して車両下方側に位置する空間の音圧よりも、高くなる。このため、貫通部に設けられた吸音材によって音波が効率的に吸収される。また、吸音材の下端位置は、垂下壁部の下端位置よりも車両上下方向において低い位置に設定されている。
【0010】
請求項3に記載する本発明のロッカ外装部構造は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記ロッカモールにおいて前記縦壁部の下端部側から前記底壁部の車両幅方向内側の端部側にかけての部位は、車両正面視で湾曲状に曲げられており、前記吸音材は、その下端部側において車両正面視で前記貫通部に沿って車両幅方向外側に湾曲形状に曲げられた湾曲部を備える。
【0011】
上記構成によれば、例えば吸音材の上部側に入射された音波の一部で湾曲部に沿って車両幅方向外側に向かうおうとする音波も吸収される。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明のロッカ外装部構造によれば、吸音材の使用量を抑えながら、車両床下空間からロッカの車両下方側を車両幅方向外側へ通り抜けようとする騒音を効果的に低減することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るロッカ外装部構造を備えた車両を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るロッカ外装部構造を備えた車両下部の一部を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るロッカ外装部構造を示す車両正面視の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係るロッカ外装部構造について図1図3を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印Wは車両幅方向を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
【0015】
(実施形態の構成)
図1には、本実施形態に係るロッカ外装部構造を備えた車両10が斜視図で示されている。図1に示されるように、車体側部12の下端部側には、車両前後方向に沿って延在されたロッカ20が配設されている。ロッカ20は、車体骨格部材を構成し、フロントピラー14の下端部、図示しないセンタピラーの下端部、及びクォータホイールハウス16の前端部にそれぞれ接続されている。
【0016】
図2には、本実施形態に係るロッカ外装部構造を備えた車両下部の一部が斜視図で示されている。図2に示されるように、ロッカ20は、車室外側に配置されたロッカアウタパネル22と、車室内側に配置されたロッカインナパネル24と、を備えている。ロッカアウタパネル22は、車両正面視で車両幅方向内側へ開口部を向けた断面ハット形状に形成され、ロッカインナパネル24は、車両正面視で車両幅方向外側へ開口部を向けた断面ハット形状に形成されている。そして、ロッカアウタパネル22の上フランジ22Aとロッカインナパネル24の上フランジ24Aとがスポット溶接で接合され、ロッカアウタパネル22の下フランジ22Bとロッカインナパネル24の下フランジ24Bとがスポット溶接で接合されている。これにより、ロッカ20は車両上下方向に沿って延在された中空閉断面構造に形成されている。
【0017】
ロッカアウタパネル22の上部は、上フランジ22Aの下端部から車両幅方向外側へ屈曲されて延在された上壁部22Cを備えている。ロッカアウタパネル22の下部は、下フランジ22Bの上端部から車両幅方向外側へ屈曲されて延在された下壁部22Eを備えている。ロッカアウタパネル22の車両上下方向中間部は、上壁部22C及び下壁部22Eの各車両幅方向外側の端部同士を車両上下方向に繋ぐ外壁部22Dを備えている。ロッカインナパネル24の上部は、上フランジ24Aの下端部から車両幅方向内側へ屈曲されて延在された上壁部24Cを備えている。ロッカインナパネル24の下部は、下フランジ24Bの上端部から車両幅方向内側へ屈曲されて延在された下壁部24Eを備えている。ロッカインナパネル24の車両上下方向中間部は、上壁部24C及び下壁部24Eの各車両幅方向内側の端部同士を車両上下方向に繋ぐ内壁部24Dを備えている。また、ロッカインナパネル24の内壁部24Dの下部には、フロアパネル26の車両幅方向外側の端部が接合されている。
【0018】
図3には、本実施形態に係るロッカ外装部構造が車両正面視の縦断面図で示されている。図2及び図3に示されるように、ロッカ20の車両幅方向外側から車両下方側にかけてロッカモール30が設けられている。ロッカモール30は、樹脂製とされ、車両前後方向に沿って延在されている。
【0019】
ロッカモール30の上部には、縦壁状のフランジ部40が形成されている。このフランジ部40は、ロッカアウタパネル22の外壁部22Dに図示しない取付具を介して取り付けられている。前記取付具は、一例として、ロッカアウタパネル22の外壁部22Dの図示しない取付孔に差し込まれるクリップとされ、車両前後方向の複数箇所に配置されている。図3では、前記取付具の差込中心軸における車両上下方向位置の一例を一点鎖線Cで示す。
【0020】
図2及び図3に示されるように、ロッカモール30は、車両正面視でフランジ部40の下端部からロッカ20に対して車両幅方向外側斜め車両下方側に膨出する膨出部30Aを備えている。また、この膨出部30Aは、フランジ部40の下端部から車両幅方向外側に延在された張出壁部38と、張出壁部38の車両幅方向外側の端部と連続して車両正面視で略U字状に形成された下向き膨出部30A1と、を備えている。さらに、図3に示されるように、下向き膨出部30A1は、ロッカ20の車両下方側に設けられて車両前後方向に沿って延在された縦壁部32と、縦壁部32の下端部から車両幅方向外側に延在された底壁部34と、底壁部34の車両幅方向外側の端部から車両上方側に延在された側壁部36と、を備えている。
【0021】
縦壁部32は、ロッカアウタパネル22の下壁部22Eにおける車両幅方向外側の部位の車両下方側に配置され、車両下方側へ向けて車両幅方向外側に若干傾斜している。また、下向き膨出部30A1において縦壁部32の下端部側から底壁部34の車両幅方向内側の端部側にかけての部位は、車両正面視で湾曲状に曲げられた湾曲状部33とされている。底壁部34は、車両正面視で車両水平方向に沿って配置されている。また、側壁部36の下部側は、車両上方側へ向けて車両幅方向外側に傾斜した下側傾斜壁部36Bとされ、この下側傾斜壁部36Bは、縦壁部32と対向する部位とされる。側壁部36の上部側は、下側傾斜壁部36Bの上端部から車両上方側へ向けて車両幅方向内側に傾斜した上側傾斜壁部36Aとされている。
【0022】
一方、縦壁部32から底壁部34の車両幅方向内側の部位にかけては貫通部としての貫通孔42が形成されている。貫通孔42は、車両前後方向に沿って延在されており、貫通孔42の上端位置は、縦壁部32の上部位置に設定されている。貫通孔42には、音波を吸収する吸音材50が設けられている。吸音材50は、多孔質の構造体とされ、貫通孔42の開口面積よりも一回り大きいサイズのシート状部材が適用されている。そして、吸音材50の外周部は、貫通孔42の外周部に一例として下向き膨出部30A1の内面側から接着剤等で取り付けられている。なお、本実施形態の変形例として、吸音材50と同様のシート状の吸音材の外周部が貫通孔42の外周部に下向き膨出部30A1の外面側から接着剤等で取り付けられた構造としてもよい。また、他の変形例として、吸音材50と同様のシート状の吸音材が貫通孔42を埋めるように配置された構造としてもよい。吸音材50は、その下端部側において車両正面視で貫通孔42に沿って車両幅方向外側に湾曲形状に曲げられた湾曲部52を備えている。
【0023】
また、ロッカモール30は、ロッカ20の車両下方側において縦壁部32の上端部から車両幅方向内側に延在された横壁部44を備えると共に、横壁部44の車両幅方向内側の端部から車両下方側に延在された垂下壁部46を備えている。横壁部44は、ロッカアウタパネル22の下壁部22Eの下面に沿って配置されている。また、垂下壁部46は、ロッカアウタパネル22の下フランジ22Bに対して車両幅方向外側に配置され、ロッカアウタパネル22の下フランジ22Bとの間に隙間をあけて対向配置されている。本実施形態では、垂下壁部46の下端位置は、ロッカアウタパネル22の下フランジ22Bの下端位置よりも若干低い車両上下方向位置に設定されている。なお、前述した吸音材50の下端位置は、垂下壁部46の下端位置よりも低い車両上下方向位置に設定されている。
【0024】
ここで、ロッカモール30は、垂下壁部46と横壁部44と縦壁部32とによって、車両床下空間18(図2参照)から車両幅方向外側へ向かう騒音の音波を回折させて貫通孔42に導く(矢印D参照)ように設定されている。補足説明すると、垂下壁部46と縦壁部32との車両幅方向における間隔は、前記騒音の音波を、例えば図3の矢印Dで示すように回折させることができる長さに設定され、それによって、貫通孔42への騒音の誘い込みを可能にしている。具体的には、垂下壁部46と縦壁部32との車両幅方向における間隔は、低減したい周波数の騒音が入り込みやすい距離、すなわち、低減したい周波数の騒音の波長の1/4付近の距離が好ましい。例えば、音圧が高い1000Hz付近の騒音の低減効果を十分に得たい場合には、垂下壁部46と縦壁部32との車両幅方向における間隔は、一例として6.0cm~8.5cm程度の距離にするのがよい。なお、車外騒音低減のためのターゲットとなる周波数は、一例として500Hz~2000Hzとされる。
【0025】
(実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0026】
本実施形態では、ロッカ20よりも車両幅方向内側からの音波は、ロッカモール30の貫通孔42に設けられた吸音材50によって吸収される。ここで、貫通孔42は、ロッカモール30の縦壁部32から底壁部34の車両幅方向内側の部位にかけて貫通しているので、ロッカ20よりも車両幅方向内側からの音波は、車両上下方向の広範囲において、吸音材50によって吸収されつつ一部が吸音材50を通過する。
【0027】
車両幅方向内側から吸音材50を通過した音波は、下向き膨出部30A1の内側空間Sの空気を伝い(言い換えれば空気層を通過し)、側壁部36を反射して、再び下向き膨出部30A1の内側空間Sの空気を伝った後(言い換えれば空気層を通過した後)に吸音材50に吸収される。音波が下向き膨出部30A1の内側空間Sの空気を伝って再び吸音材50に入射される構造とすることで、下向き膨出部30A1の形状を変えるだけで、再び吸音材50に入射される音波の周波数を、吸音したい周波数帯に合わせる設定が可能になる。そして、そのような設定をすることで、吸音材50の使用量が抑えられた構造でありながら、吸音したい周波数帯の音波を効果的に吸収することができる。
【0028】
また、本実施形態では、ロッカモール30において縦壁部32の下端部側から底壁部34の車両幅方向内側の端部側にかけての部位は、車両正面視で湾曲状に曲げられ、吸音材50は、その下端部側において車両正面視で貫通孔42に沿って車両幅方向外側に湾曲形状に曲げられた湾曲部52を備えている。このため、例えば吸音材50の上部側に入射された音波の一部で湾曲部52に沿って車両幅方向外側に向かうおうとする音波も吸収される。
【0029】
また、本実施形態では、車両床下空間18(図2参照)から車両幅方向外側へ向かう騒音の音波は、ロッカモール30の垂下壁部46と横壁部44と縦壁部32とによって、回折されて貫通孔42に導かれる(矢印D参照)。これによって、垂下壁部46と、縦壁部32と吸音材50の一部とで形成された縦壁状部分60と、の間の空間Aの音圧が、その空間Aに対して車両下方側に位置する空間の音圧よりも、高くなる。このため、貫通孔42に設けられた吸音材50によって音波が効率的に吸収される。
【0030】
以上説明したように、本実施形態のロッカ外装部構造によれば、吸音材50の使用量を抑えながら、車両床下空間18(図2参照)からロッカ20の車両下方側を車両幅方向外側へ通り抜けようとする騒音を効果的に低減することができる。
【0031】
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態に比べて騒音低減の効果は小さくなるが、本発明の実施形態ではない参考例として、垂下壁部46及び横壁部44を設けない構成も採り得る。
【0032】
また、上記実施形態の貫通部としての貫通孔42は、車両前後方向に延在されて一例として一個形成されたものとするが、貫通部としての貫通孔は、車両前後方向に沿って複数個並設されてもよい。また、貫通孔42に代えて、又は車両前後方向に沿って並設された複数個の貫通部としての貫通孔の一個又は複数個に代えて、貫通部としての切欠部が形成された構成も採り得る。
【0033】
また、上記実施形態では、ロッカモール30が湾曲状部33を備え、吸音材50が湾曲部52を備えており、そのような構成が好ましいが、例えば、ロッカモールは車両正面視で縦壁部の下端部から屈曲されて車両幅方向外側に延在された底壁部が形成され、吸音材は、その下端部側において車両正面視で貫通部に沿って車両幅方向外側に屈曲形状に曲げられている、といった構成も採り得る。
【0034】
なお、上記実施形態及び上述の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0035】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
12 車体側部
18 車両床下空間
20 ロッカ
30 ロッカモール
32 縦壁部
34 底壁部
36 側壁部
42 貫通孔(貫通部)
44 横壁部
46 垂下壁部
50 吸音材
52 湾曲部
図1
図2
図3