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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】窓部連結構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/18 20060101AFI20220830BHJP
   E06B 5/16 20060101ALI20220830BHJP
   E06B 1/36 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
E06B1/18 X
E06B5/16
E06B1/36 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019079233
(22)【出願日】2019-04-18
(65)【公開番号】P2020176440
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】宮長 睦
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 敏規
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-083985(JP,U)
【文献】特開2000-064476(JP,A)
【文献】特開2015-001120(JP,A)
【文献】特開2018-184729(JP,A)
【文献】実開平02-105484(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
E06B 5/00-5/20
E04B 2/88-2/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部で左右方向に並ぶ2つの窓部を連結する窓部連結構造であって、
前記2つの窓部にそれぞれ設けられて互いに隣接する一対の縦枠と、
前記一対の縦枠の間で上下方向に延び、前記2つの窓部が取り付けられる取付材と、
前記取付材の室内側に設けられた耐火部材と
前記取付材に取り付けられて、前記一対の縦枠に形成された係合部と係合する位置決め部材と、
前記窓部を前記取付材に取り付ける固定部材と、を備え、
前記一対の縦枠は、互いに対向する室外側部と、互いの間に前記室外側部同士の間隔よりも左右方向に広い空間を形成する室内側部と、を有し、
前記取付材は、前記室外側部よりも室内側に配置されて、前記空間に配置され
前記固定部材は、前記縦枠の室内側部に固定されるとともに、前記空間内で前記取付材に固定される窓部連結構造。
【請求項2】
請求項に記載された窓部連結構造において、
前記位置決め部材は、前記空間に収容されて、前記空間内で前記一対の縦枠の係合部と係合する窓部連結構造。
【請求項3】
請求項又はに記載された窓部連結構造において、
前記位置決め部材は、前記取付材に係合して装着される装着部を有する窓部連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部で左右方向に並ぶ2つの窓部を連結する窓部連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
左右方向の連窓(横連窓)では、複数の窓部が建物の開口部に左右方向に並べて設置されて、窓部連結構造により、互いに隣接する2つの窓部が連結されている。また、窓部が防火設備であるときには、取付材と耐火部材を備えた窓部連結構造により、2つの窓部同士が連結されている。このような窓部連結構造として、従来、2つの窓部と耐火部材を2つの窓部の間の取付材(方立)に取り付ける窓部連結構造が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の窓部連結構造では、耐火部材を取付材の室内側に設けて、耐火部材により、窓部連結構造の防火性能を向上させている。ところが、従来の窓部連結構造の取付材は、2つの窓部の間で縦枠よりも室外側まで配置されて、窓部の室外側に露出する。また、取付材の配置に伴い、2つの窓部の縦枠の間隔が広くなり、2つの縦枠を含む窓部連結構造の左右方向の寸法が大きくなることがある。防火設備である窓部と防火設備ではない窓部が延焼ラインをまたいで並ぶときには、それぞれの窓部連結構造の左右方向の寸法及び外観に差が生じ、延焼ラインをまたいでデザインが変化する。従って、従来の窓部連結構造に関しては、意匠性の観点から改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5757011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、左右方向に並ぶ2つの窓部が取り付けられる取付材を2つの窓部の縦枠の間で室内側に配置して、取付材と耐火部材を備えた窓部連結構造の意匠性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物の開口部で左右方向に並ぶ2つの窓部を連結する窓部連結構造であって、前記2つの窓部にそれぞれ設けられて互いに隣接する一対の縦枠と、前記一対の縦枠の間で上下方向に延び、前記2つの窓部が取り付けられる取付材と、前記取付材の室内側に設けられた耐火部材と、前記取付材に取り付けられて、前記一対の縦枠に形成された係合部と係合する位置決め部材と、前記窓部を前記取付材に取り付ける固定部材と、を備え、前記一対の縦枠は、互いに対向する室外側部と、互いの間に前記室外側部同士の間隔よりも左右方向に広い空間を形成する室内側部と、を有し、前記取付材は、前記室外側部よりも室内側に配置されて、前記空間に配置され、前記固定部材は、前記縦枠の室内側部に固定されるとともに、前記空間内で前記取付材に固定される窓部連結構造である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、左右方向に並ぶ2つの窓部が取り付けられる取付材を2つの窓部の縦枠の間で室内側に配置でき、取付材と耐火部材を備えた窓部連結構造の意匠性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の窓部を設置した建物の壁部を室外側からみて示す正面図である。
図2】本実施形態の窓部と窓部連結構造の横断面図である。
図3】本実施形態の窓部と窓部連結構造の縦断面図である。
図4】本実施形態の窓部と窓部連結構造の他の例を示す横断面図である。
図5】本実施形態の窓部と窓部連結構造の他の例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の窓部連結構造の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の窓部連結構造は、2つ以上の窓部が左右方向に並ぶ連窓(横連窓)に設けられて、建物の開口部で左右方向に並ぶ2つの窓部を連結する。窓部は、建物の壁部に用いられて、建物の室内(屋内)と室外(屋外)の間に設置される。
【0010】
図1は、本実施形態の窓部1を設置した建物10の壁部11を室外側からみて示す正面図である。なお、窓部1を正面からみたときに、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向である。図1では、上下方向は垂直方向であり、左右方向は水平方向である。
図示のように、建物10は、壁部11に形成された左右方向に延びる開口部12を備えている。建物10の開口部12には、複数の窓部1が左右方向に並べて設置されている。窓部1は、建物10の壁部11に設けられた防火設備(防火窓)であり、建物10の開口部12で左右方向に互いに隣接している。
【0011】
窓部1は、パネル体2と、パネル体2を囲む枠体3を備えている。パネル体2は、方形状のパネル状部材であり、枠体3の方形状の開口部3Aに配置されている。ここでは、パネル体2は、複数のガラス板を有する複層ガラスであり、枠体3に取り付けられている。枠体3は、開口部3Aを形成する開口枠であり、方形状に枠組みされた4つの枠4~6(上枠4、下枠5、一対の縦枠6)を有している。
【0012】
上枠4と下枠5は、それぞれ枠体3の上部と下部で左右方向(横方向)に延びる横枠であり、一対の縦枠6は、枠体3の両側の側部で上下方向(縦方向)に延びる。枠4~6は、例えば、押出成形により形成された金属(例えば、アルミニウム合金)製の形材であり、互いに接続されて、枠体3の内側に開口部3Aを形成している。2つの窓部1の隣接する箇所に窓部連結構造7が設けられて、2つの窓部1が窓部連結構造7により連結されている。
【0013】
図2は、本実施形態の窓部1と窓部連結構造7の横断面図であり、左右方向に並ぶ2つの窓部1の縦枠6側の部分を示している。図3は、本実施形態の窓部1と窓部連結構造7の縦断面図である。
図示のように、窓部1に関して室内側、室外側とは、建物10に設置したときの窓部1の室内側、室外側である。また、室内外方向は、建物10に設置した窓部1を正面からみたときの窓部1の奥行方向(屋内外方向)である。
【0014】
窓部連結構造7により、左右方向に隣接する2つの窓部1同士が連結されて、連結された窓部1が保持されている。窓部連結構造7は、2つの窓部1の側部である一対の縦枠6と、2つの窓部1が取り付けられた取付材20と、一対の縦枠6を位置決めする位置決め部材30と、複数のアンカー40と、取付材20の室内側に配置された接続部材50と、取付材20の室内側に設けられた耐火部材60と、カバー70を備えている。一対の縦枠6は、左右方向に並ぶ2つの窓部1の枠体3にそれぞれ設けられており、左右方向において互いに対向した状態で隣接している。
【0015】
縦枠6は、室内外方向における室外側の部分である室外側部6Aと、室内外方向における室内側の部分である室内側部6Bを有している。縦枠6の室外側部6Aは、パネル体2を保持する保持部であり、縦枠6の見込み方向(室内外方向)に延びる見込み部(室外側見込み部6C)と、室外側見込み部6Cに取り付けられた押縁6Dと、縦枠6の見付け方向(左右方向)に延びる壁部6Eを有している。押縁6Dは、室外側見込み部6Cの室外側の端部から枠体3の開口部3A側に向かって突出し、壁部6Eは、室外側見込み部6Cの室内側の端部から枠体3の開口部3A側に向かって突出している。パネル体2の側部は、押縁6Dと壁部6Eの間に配置されて、縦枠6の室外側部6Aに保持されている。
【0016】
一対の縦枠6の室外側部6A(ここでは、室外側見込み部6C)は、左右方向に間隔を開けて配置されており、互いの間に隙間(室外側隙間80)を形成して、左右方向において互いに対向している。室外側隙間80は、一対の縦枠6の間で室外側に形成されており、シール材81により塞がれている。シール材81は、縦枠6の長手方向(上下方向)の全体にわたって室外側隙間80に配置されて、一対の縦枠6の室外側部6Aの間をシールしている。縦枠6の室外側部6A及び室外側隙間80は、縦枠6の室内側部6Bよりも室外側に位置している。壁部6Eは、室外側部6Aの室内側の端部に位置するとともに、縦枠6の室内外方向の中間に位置しており、縦枠6の室内側部6Bと接続している。
【0017】
縦枠6の室内側部6Bは、取付材20に取り付けられる取付部であり、縦枠6の見込み方向(室内外方向)に延びる見込み部(室内側見込み部6F)と、室内外方向において互いに対向する一対の固定片6Gと、縦枠6の見付け方向(左右方向)に突出する取付片6Hを有している。一対の固定片6Gは、アンカー40の固定用の板状の突部であり、室内側見込み部6Fの室外側に形成されて、室内外方向に沿って互いに接近する方向に突出している。取付片6Hは、接続部材50の取り付け用の板状の突部であり、室内側見込み部6Fの室内側の端部から枠体3の開口部3A側に向かって突出している。
【0018】
一対の縦枠6の室内側部6Bは、左右方向に間隔を開けて配置されており、互いの間に空間(収容空間82)を形成して、取付材20及び位置決め部材30を挟んで左右方向において互いに対向している。一対の縦枠6の室内側部6Bの間隔は、一対の縦枠6の室外側部6Aの間隔よりも左右方向に広い。収容空間82は、一対の縦枠6の間で室内側に形成されており、室外側部6A同士の間隔及び室外側隙間80よりも左右方向に広い。縦枠6の室内側部6B及び収容空間82は、縦枠6の室外側部6A及び室外側隙間80よりも室内側に位置している。室外側隙間80は、収容空間82の室外側に形成されており、室内側部6B同士の間隔及び収容空間82よりも左右方向に狭い。
【0019】
取付材20は、鋼製の方立(取付鋼材)であり、一対の縦枠6の間で縦枠6に沿って上下方向に延びる。取付材20の上端部と下端部は、金属(例えば、鋼)製の固定具21(図3参照)により、建物10の躯体である壁材13に固定されている。窓部1は、取付材20により、建物10に連結されている。取付材20は、中空形状に形成された管状部材であり、縦枠6の室外側部6A及び室外側隙間80よりも室内側の位置に配置されて、収容空間82に配置されている。
【0020】
ここでは、一対の縦枠6の間で、取付材20の全体が収容空間82に配置されて収容されており、取付材20が収容空間82内で一対の縦枠6の室内側部6Bの間に配置されている。取付材20は、一対の縦枠6の室外側部6Aの間の室外側隙間80、及び、一対の縦枠6の室内側部6Bよりも室内側の位置には配置されず、収容空間82のみに収容されている。収容空間82、及び、収容空間82に収容された部材(取付材20、位置決め部材30、アンカー40)は、収容空間82の室外側に位置する室外側隙間80のシール材81により、室外側において遮蔽されており、室外側への露出が防止されている。
【0021】
位置決め部材30は、縦枠6の室外側部6A及び室外側隙間80よりも室内側で、一対の縦枠6に固定されたアンカー40の間、及び、取付材20と一対の縦枠6の室外側部6Aの間に配置されて、ネジ31により、取付材20に取り付けられている。また、位置決め部材30は、室外側隙間80の室内側の開口部に位置して、室外側隙間80と取付材20の間に配置されている。位置決め部材30は、取付材20に装着される装着部32と、装着部32の左右方向の両側に形成された2つの被係合部33を有している。
【0022】
位置決め部材30は、取付材20の室外側に配置されている。位置決め部材30の装着部32は、取付材20側(室内側)に向かって開放された凹形状に形成されており、取付材20(ここでは、取付材20の室外側の部分)に係合して装着される。取付材20の室外側の部分は、室内側から位置決め部材30の装着部32に収容されて、装着部32に嵌合している。位置決め部材30の装着部32は、ネジ31により、取付材20の室外側の部分に取り付けられており、取付材20に拘束されている。
【0023】
位置決め部材30の被係合部33は、一対の縦枠6を位置決めする位置決め部であり、室外側に向かって開放された凹形状に形成されている。位置決め部材30は、取付材20に取り付けられて、被係合部33により、一対の縦枠6に形成された係合部6Kと係合している。縦枠6の係合部6Kは、収容空間82の内側に向かって突出する突部であり、縦枠6の室外側部6Aの収容空間82に面する壁部6Eから室内側に向かって突出して、収容空間82内に位置している。一対の縦枠6の係合部6Kは、それぞれ室外側から被係合部33に挿入されて、位置決め部材30の被係合部33に係合している。
【0024】
位置決め部材30は、収容空間82に配置されて収容され、収容空間82内で、一対の縦枠6の係合部6Kと係合している。その状態で、位置決め部材30は、一対の縦枠6及び2つの窓部1を位置決めして、取付材20への取付位置に一対の縦枠6を配置する。位置決め部材30により、一対の縦枠6の左右方向の位置が位置決めされるとともに、一対の縦枠6の室内外方向の位置が位置決めされる。これにより、一対の縦枠6及び2つの窓部1が、取付材20に対して位置決めされる。
【0025】
アンカー40は、鋼製の固定部材であり、縦枠6の上下方向の少なくとも一箇所(一箇所又は複数箇所)に設けられている。また、アンカー40は、収容空間82に配置されて収容され、収容空間82内で窓部1を取付材20に取り付けている。アンカー40は、取付材20の左右方向の両側に位置しており、一対の縦枠6のそれぞれと取付材20に固定されて、2つの枠体3の縦枠6及び2つの窓部1を取付材20に取り付けている。
【0026】
アンカー40は、縦枠6の室内側部6Bに固定されて、収容空間82内で取付材20に固定されている。固定部材であるアンカー40により、縦枠6の室内側部6Bが取付材20に固定されて、窓部1が取付材20に取り付けられる。また、アンカー40は、室内外方向の両端部に形成された一対の第1固定部41と、取付材20に向かって突出する第2固定部42を有している。一対の第1固定部41は、それぞれ室内側部6Bの固定片6Gを挟み込んで、室内側部6Bの固定片6Gに固定されている。第2固定部42は、取付材20の側面部に溶接されており、溶接により取付材20に固定されている。
【0027】
2つの窓部1は、アンカー40及び接続部材50により、1つの取付材20に接続されて取り付けられている。接続部材50の左右方向の両端部側で、ネジ51が、接続部材50を貫通して、室内側部6Bの取付片6Hに取り付けられている。接続部材50の左右方向の中央部では、ネジ52が、耐火部材60及び接続部材50を貫通して、取付材20の室内側の部分に取り付けられている。接続部材50は、ネジ51により、一対の縦枠6の室内側部6Bに取り付けられ、ネジ52により、取付材20に取り付けられている。接続部材50により、一対の縦枠6が取付材20に接続されて、2つの枠体3の縦枠6及び2つの窓部1が取付材20に取り付けられている。
【0028】
耐火部材60は、接続部材50の室内側に配置されて、接続部材50により、取付材20に接続されて取り付けられている。接続部材50と耐火部材60の左右方向の寸法は、収容空間82の左右方向の寸法よりも大きく、接続部材50と耐火部材60は、収容空間82、取付材20、及び、一対の縦枠6の室内側部6Bの室内側に配置されている。耐火部材60は、一対の縦枠6のそれぞれの室内側で、縦枠6の室内側部6Bに重なるように配置されて、接続部材50により、縦枠6の室内側部6Bに取り付けられている。
【0029】
接続部材50は、鋼製の溝状部材であり、室内側に向かって開放された凹部53と、左右方向の両端部から室内側に突出する2つの突片54を有している。耐火部材60は、接続部材50の凹部53に配置されるとともに、接続部材50の2つの突片54の間に配置されて、接続部材50に当接している。耐火部材60は、ネジ52により、接続部材50及び取付材20に取り付けられている。
【0030】
耐火部材60は、耐火物(例えば、繊維強化セメント板であるケイ酸カルシウム板)からなり、要求される防火性能(耐火性能)に対応した所定厚さに形成されている。また、耐火部材60は、一対の縦枠6に沿って上下方向に延び、一対の縦枠6の上下方向の全体にわたって、収容空間82の室内側に配置されている。耐火部材60により、収容空間82の室内側の開口部が塞がれている。耐火部材60の上端部と下端部は、金属(例えば、鋼)製の固定具61(図3参照)により、建物10の躯体である壁材13に固定されている。
【0031】
カバー70は、室外側に向かって開放された凹形状に形成されている。耐火部材60、接続部材50、及び、一対の縦枠6の室内側部6Bの室内側の部分は、カバー70の内側に収容されて、カバー70により室内側から覆われている。ネジ55が、カバー70を貫通して、接続部材50の突片54に取り付けられている。カバー70は、ネジ55により、接続部材50に取り付けられている。
【0032】
以上説明した窓部連結構造7では、取付材20を縦枠6の室外側部6A及び室外側隙間80よりも室内側で収容空間82に配置している。従って、取付材20を2つの窓部1の縦枠6の間で室内側に配置でき、窓部連結構造7の意匠性を向上することができる。また、取付材20等の室外側への露出を抑制して、室外側からみたときの窓部連結構造7の意匠性及び外観を向上することができる。一対の縦枠6の室外側部6Aの間では、シール材81を設ける隙間(室外側隙間80)を確保しつつ、一対の縦枠6の室外側部6Aの間隔を狭くすることができる。そのため、一対の縦枠6を含む窓部連結構造7の左右方向の寸法を小さくすることができる。
【0033】
取付材20が室外側に露出しないため、防火設備である窓部1と防火設備ではない窓部が延焼ラインをまたいで並ぶときにも、それぞれの窓部連結構造の左右方向の寸法及び外観に差が生じるのを抑制することができる。これにより、延焼ラインをまたいだデザインの変化を抑制して、左右方向に並ぶ窓部の意匠性を向上することができる。
【0034】
アンカー40は、収容空間82内で、縦枠6の室内側部6Bと取付材20に固定されている。従って、アンカー40を縦枠6と取付材20の間に容易に配置することができる。また、収容空間82内で、アンカー40により窓部1を取付材20に取り付けることができ、窓部連結構造7の意匠性をより向上することができる。
【0035】
一対の縦枠6の係合部6Kと係合する位置決め部材30により、一対の縦枠6を容易に位置決めして、一対の縦枠6を正確に配置することができる。これにより、窓部1の施工効率を向上することができる。係合部6Kと係合する位置決め部材30を収容空間82に収容することで、位置決め部材30を一対の縦枠6の間に容易に配置することができる。また、収容空間82内で、一対の縦枠6の係合部6Kを位置決め部材30に容易に係合することもできる。位置決め部材30の装着部32を取付材20に装着することで、位置決め部材30を取付材20に容易かつ正確に取り付けることができる。
【0036】
図4は、本実施形態の窓部1と窓部連結構造7の他の例を示す横断面図であり、左右方向に並ぶ2つの窓部1の縦枠6側の部分を示している。図5は、本実施形態の窓部1と窓部連結構造7の他の例を示す縦断面図である。
図示のように、ここでは、ネジ52(図2図3参照)を用いずに、金属(例えば、鋼)製の取付具62により、耐火部材60を接続部材50に取り付けている。取付具62は、耐火部材60の長手方向(上下方向)の複数箇所で耐火部材60に装着されて、ネジ55により、接続部材50に取り付けられている。ネジ55は、カバー70、接続部材50の突片54、及び、取付具62を貫通している。このように、取付具62により、耐火部材60を接続部材50を介して取付材20に取り付けてもよい。
【0037】
なお、一対の縦枠6の間で、取付材20の全体を収容空間82のみに配置してもよく、取付材20の一部を収容空間82に配置してもよい。例えば、取付材20を一対の縦枠6の室内側部6Bの間の領域(収容空間82の内側)から収容空間82の室内側の位置まで配置してもよい。接続部材50の一部又は全体を収容空間82に配置してもよく、耐火部材60の室外側の一部を収容空間82に配置してもよい。アンカー40の第2固定部42を溶接以外の固定手段(例えば、ネジ)で取付材20に固定してもよい。アンカー40以外の固定部材(例えば、ネジ)により、縦枠6の室内側部6Bを取付材20に固定して、窓部1を取付材20に取り付けるようにしてもよい。また、各種の材質(金属、樹脂、その他の材質)製の部品の噛み合わせ、挟み込み、又は、圧入による嵌め込みにより、縦枠6の室内側部6Bを取付材20に固定して、窓部1を取付材20に取り付けるようにしてもよい。
【0038】
窓部連結構造7により、防火設備である窓部1と防火設備ではない窓部を連結してもよい。窓部連結構造7により連結する窓部1は、例えば、固定窓、開閉窓、又は、カーテンウォールユニットである。パネル体2に設けるガラスの種類は限定されず、様々なガラスをパネル体2に設けることができる。建物の屋内で、窓部1を室内の間に設置してもよい。
【0039】
以上のとおり、窓部連結構造は、建物の開口部で左右方向に並ぶ2つの窓部を連結する窓部連結構造であって、
前記2つの窓部にそれぞれ設けられて互いに隣接する一対の縦枠と、
前記一対の縦枠の間で上下方向に延び、前記2つの窓部が取り付けられる取付材と、
前記取付材の室内側に設けられた耐火部材と、を備え、
前記一対の縦枠は、互いに対向する室外側部と、互いの間に前記室外側部同士の間隔よりも左右方向に広い空間を形成する室内側部と、を有し、
前記取付材は、前記室外側部よりも室内側に配置されて、前記空間に配置される窓部連結構造である。
窓部連結構造によれば、左右方向に並ぶ2つの窓部が取り付けられる取付材を2つの窓部の縦枠の間で室内側に配置でき、取付材と耐火部材を備えた窓部連結構造の意匠性を向上することができる。
【0040】
窓部連結構造は、前記縦枠の室内側部に固定されるとともに、前記空間内で前記取付材に固定されて、前記窓部を前記取付材に取り付ける固定部材を備えている。
従って、固定部材を縦枠と取付材の間に容易に配置でき、一対の縦枠の室内側部の間の空間内で、固定部材により窓部を取付材に取り付けることができる。
【0041】
窓部連結構造は、前記取付材に取り付けられて、前記一対の縦枠に形成された係合部と係合する位置決め部材を備えている。
位置決め部材により、一対の縦枠を容易に位置決めして、一対の縦枠を正確に配置することができる。
【0042】
前記位置決め部材は、前記空間に収容されて、前記空間内で前記一対の縦枠の係合部と係合する。
従って、一対の縦枠の室内側部の間の空間内で、一対の縦枠の係合部を位置決め部材に容易に係合できるとともに、位置決め部材を一対の縦枠の間に容易に配置することができる。
【0043】
前記位置決め部材は、前記取付材に係合して装着される装着部を有する。
装着部を取付材に装着することで、位置決め部材を取付材に容易かつ正確に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0044】
1・・・窓部、2・・・パネル体、3・・・枠体、3A・・・開口部、4・・・上枠、5・・・下枠、6・・・縦枠、6A・・・室外側部、6B・・・室内側部、6C・・・室外側見込み部、6D・・・押縁、6E・・・壁部、6F・・・室内側見込み部、6G・・・固定片、6H・・・取付片、6K・・・係合部、7・・・窓部連結構造、10・・・建物、11・・・壁部、12・・・開口部、13・・・壁材、20・・・取付材、21・・・固定具、30・・・位置決め部材、31・・・ネジ、32・・・装着部、33・・・被係合部、40・・・アンカー、41・・・第1固定部、42・・・第2固定部、50・・・接続部材、51・・・ネジ、52・・・ネジ、53・・・凹部、54・・・突片、55・・・ネジ、60・・・耐火部材、61・・・固定具、62・・・取付具、70・・・カバー、80・・・室外側隙間、81・・・シール材、82・・・収容空間。
図1
図2
図3
図4
図5