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特許7132185均圧化を有する医療用バイアルアクセス器具、および、閉鎖式薬物移送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】均圧化を有する医療用バイアルアクセス器具、および、閉鎖式薬物移送システム
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
A61J1/20 314C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019130332
(22)【出願日】2019-07-12
(62)【分割の表示】P 2017150786の分割
【原出願日】2013-07-12
(65)【公開番号】P2019195664
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2019-07-30
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】61/671,567
(32)【優先日】2012-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514221366
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン アンド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー シダースシオルド
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】栗山 卓也
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/068190(WO,A1)
【文献】特開2002-336355(JP,A)
【文献】特表平4-504523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアルアクセス器具であって、該バイアルアクセス器具は、
第一および第二のコネクタを有するハウジングであって、上記第一のコネクタは、第一の容器に固定されるように構成され、上記第二のコネクタは、第二の容器に固定されるように構成された、上記ハウジングと、
上記ハウジングから延び、近位端および遠位端を有するスパイク部材であって、該スパイク部材は、ベントルーメンと該ベントルーメンから離間した流体ルーメンを画定しており、上記ベントルーメンと上記流体ルーメンのそれぞれは、遠位開口を有し、上記ベントルーメンと上記流体ルーメンの上記遠位開口は、それぞれ、上端と、該上端から上記スパイク部材の長手方向軸に沿って延びる方向に離間した下端によって画定され、上記流体ルーメンの上記下端は、上記スパイク部材の長手方向軸に沿って延びる方向において、上記ベントルーメンの上記遠位開口の上方に位置づけられ、上記スパイク部材は、該スパイク部材から半径方向外向きに延びるリングを含み、該リングは、上記スパイク部材で第二の容器のストッパーを貫通する際、上記ストッパーの一部を貫通し、上記ストッパーの一部と係合するように構成される、上記スパイク部材を含むことを特徴とするバイアルアクセス器具。
【請求項2】
請求項1に記載のバイアルアクセス器具であって、上記ベントルーメンと上記流体ルーメンの上記上端の外側部分は、滑らかで、上記スパイク部材でストッパーを貫通するとき、上記ストッパーのコアリングを実質的に防止するように構成されていることを特徴とするバイアルアクセス器具。
【請求項3】
請求項2のバイアルアクセス器具であって、上記ベントルーメンと上記流体ルーメンの上記上端は、面取りされていることを特徴とするバイアルアクセス器具。
【請求項4】
請求項1のバイアルアクセス器具であって、上記スパイク部材の外周によって画定される形状は、上記スパイク部材の上記近位端と上記流体ルーメンの上記遠位開口との間の位置で、1軸の周りにのみ対称であり、上記スパイク部材の外周は、上記スパイク部材の上記近位端と上記流体ルーメンの上記遠位開口との間で、大きさ、および、形状が変化することを特徴とするバイアルアクセス器具。
【請求項5】
請求項1のバイアルアクセス器具であって、上記スパイク部材の外周は、実質的に楕円形であることを特徴とするバイアルアクセス器具。
【請求項6】
請求項1のバイアルアクセス器具であって、上記リングの遠位に位置づけられる上記スパイク部材の一部の外周は、上記ベントおよび流体ルーメンの上記遠位開口に隣接して位置づけられる、上記スパイク部材の一部の外周よりも大きいことを特徴とするバイアルアクセス器具。
【請求項7】
請求項1のバイアルアクセス器具であって、上記流体ルーメンの上記下端は、上記ベントルーメンの上記上端に、ほぼ位置づけられることを特徴とするバイアルアクセス器具。
【請求項8】
請求項1のバイアルアクセス器具であって、上記スパイク部材の上記遠位端は、鋭くされ、ストッパーを穿刺するように構成されていることを特徴とするバイアルアクセス器具。
【請求項9】
請求項8のバイアルアクセス器具であって、上記流体ルーメンの上記遠位開口は、上記スパイク部材の長手方向に延びていることを特徴とするバイアルアクセス器具。
【請求項10】
請求項1のバイアルアクセス器具であって、さらに、上記スパイク部材上に配置される潤滑剤コーティングを含むことを特徴とするバイアルアクセス器具。
【請求項11】
請求項10のバイアルアクセス器具であって、上記潤滑剤コーティングは、上記スパイク部材の上記遠位端に隣接して配置されることを特徴とするバイアルアクセス器具。
【請求項12】
請求項1のバイアルアクセス器具であって、さらに、上記ベントルーメンと流体連通する圧力均等化室を含むことを特徴とするバイアルアクセス器具。
【請求項13】
請求項1のバイアルアクセス器具であって、さらに、上記第一のコネクタに隣接して配置された穿刺可能膜を含み、該穿刺可能膜は、上記流体ルーメンの近位開口を覆うことを特徴とするバイアルアクセス器具。
【請求項14】
請求項1のバイアルアクセス器具であって、上記第一のコネクタは、シリンジアダプタの対応するコネクタを受け入れるように構成された開口を画定する、上記ハウジングの首部を含むことを特徴とするバイアルアクセス器具。
【請求項15】
請求項1のバイアルアクセス器具であって、上記第二のコネクタは、医療用バイアルと係合し、該医療用バイアルに上記バイアルアクセス器具を固定するように構成された、複数のフック部材を含むことを特徴とするバイアルアクセス器具。
【請求項16】
請求項1のバイアルアクセス器具であって、上記スパイク部材の長手方向軸を横切る断面は、y軸とx軸を含み、上記流体ルーメンに隣接した、上記x軸に沿う上記スパイク部材の寸法は、上記ベントルーメンに隣接した、上記x軸に沿う上記スパイク部材の寸法より大きいことを特徴とするバイアルアクセス器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、第一および第二の流体容器を接続するためのコネクタ器具に関する。より詳細には、本発明は、バイアルストッパーを貫通し、バイアル内の薬剤にアクセスするための、一体型のポリマースパイクを備えるバイアルコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
バイアルコネクタ組立体は、バイアルと流体コネクタとの間で薬物の移送を可能にするため、流体容器にバイアルを接続するために設けられる。
【0003】
例えば、バイアルコネクタ組立体は、典型的には、注射器用針によりバイアルから流体容器に液体薬剤の移送を可能にするため、または、流体容器から乾燥薬剤を貯蔵するバイアルへ、溶解用溶媒の移送を可能にするために提供される。同じバイアルコネクタ組立体は、また、バイアルから患者に、直接、薬剤を送達するための静脈フィッティングに、バイアルに取り付けるために使用され得る。
【0004】
バイアルコネクタ組立体は、典型的には、バイアルの開口を封止するエラストマーストッパー又は膜を貫通する、針またはスパイクのような、流体移送器具を含む。流体移送器具は、したがって、バイアルから流体容器に薬剤を移送するための手段、バイアル中に溶媒を導入するための手段、および、バイアルから薬剤を送達するための手段を提供する。
【0005】
当今のバイアルコネクタ組立体は、しかしながら、バイアルと流体容器との間の薬物の移送に関連した2つの問題に対処することができない。
【0006】
第一に、バイアルから注射針で液体薬剤を移送するとき、当今のバイアルアセンブリ内における環境に漏れる、危険なエアロゾル、粒子、および、蒸気の可能性がある。結果として、使用者は、使用者の皮膚の上での吸入または凝縮によって、使用者を汚染し得る、細胞障害性薬物、放射標識された物質、または、アレルギー誘発物質からなる有害物質にさらされ得る。いくつかの薬剤は、保護用手袋を貫通し、それによって使用者を汚染することを知られてさえいる。このような汚染物質への曝露は、長期的に、使用者の血液中の薬剤の驚くほど高い濃縮を引き起こす。
【0007】
第二に、バイアルのエラストマーストッパーが、当今のバイアルコネクタ組立体の、鋭い、金属のカニューレ針のような、流体移送器具によって穿孔されるとき、コアリングの可能性が存在する。コアリングは、一体型のバイアルコネクタスパイクまたは注射針が、ストッパーを通して推進させられて、スパイクまたは注射針が、ストッパーからゴムの小片を、孔あけ、または、切断する際に生じる。このストッパーの小片は、バイアル内に落下するか、または、カニューレ内に留められることになり、注射器内に引き込まれる可能性がある。いずれの場合においても、バイアル内容物の無菌性が損なわれ、後者の場合には、患者への粒子状物質の注入が起こり得る。
【0008】
薬剤の上記移送のための当今の器具は、典型的に、エラストマー製のバイアルストッパーを穿刺するための中空の尖ったスパイクまたはニードルを使用する。コアリングは、スパイクまたは針の内径と、スパイクまたは針の端部の表面との交点に見られる、かなり鋭いエッジで、ストッパー材料のコアを切断する、バイアルコネクタスパイクまたは注射針から生じる。もし、これらのコアが、薬液と一緒に患者の体内に通ると、これらのコアは潜在的な健康被害を示す。また、コアが、十分な大きさであるか、それらの多くが存在する場合、ストッパーは、漏れを防止し、または、無菌性を保護するために、バイアルを効果的に密封するための、十分な材料を保持し得ない。加えて、ストッパーを穿孔するために使用される器具が大きすぎると、いかなるコアリングも存在しない場合でさえ、ストッパーの縦引き(ripping)または引き裂きによってストッパーを損傷し得、その結果、それは、もはや効果的にバイアルを密封しない。
【0009】
さらに、多くの用途において、バイアル内容物は、繰り返してアクセスされる。例えば、多くの注入可能な薬剤は、各単位用量の引き出しのためのバイアルアクセスを必要とする、反復投与バイアル中に包装される。また、多くの医薬品が長期安定性のための滅菌バイアル中で凍結乾燥される。このような包装は、また、内容物を再構成し、再構成された内容物を引き出すために、複数回のバイアル進入を必要とする。鋭い注射針による複数回のバイアルアクセスによって引き起こされる引き裂きや摩耗は、バイアル内容物を汚染する、コショウ様の小片の結果となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願公開第2011/0125128号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0147402号明細書
【文献】米国特許第8075550号明細書
【文献】米国特許第6343629号明細書
【文献】米国特許第6409708号明細書
【文献】米国特許第6715520号明細書
【文献】米国特許第8075550号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0147402号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0125128号明細書
【文献】米国意匠特許第D637713号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の理由のために、安全にバイアルと流体容器との間の薬物の移送を可能にし、移送中に注射針によって付与される漏れや空気の混入を回避しながら、流体容器にバイアルを接続する、バイアルコネクタ組立体に対するニーズが存在する。
【0012】
さらに、最小限のストッパーの損傷を発生させ、および、最小限の貫通力を必要としながら、貫通可能なストッパーを有するバイアルへ、および、バイアルから、薬剤の移動を可能にする、非コアリングスパイクアセンブリに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態において、バイアルアクセス器具は、第一および第二のコネクタを有するハウジングを含む。第一のコネクタは、第一の容器に固定されるように構成され、第二のコネクタは、第二の容器に固定されるように構成される。バイアルアクセス器具は、さらに、ハウジングから延び、近位端と遠位端とを有する、スパイク部材を含む。スパイク部材は、ベントルーメンと流体ルーメンの各々が遠位開口を有する、ベントルーメンと、ベントルーメンから離れた流体ルーメンを画定する。スパイク部材の外周によって画定される形状は、スパイク部材の近位端と流体ルーメンの遠位開口との間の位置で、1軸の周りにのみ対称である。
【0014】
スパイク部材の外周は楕円形であり得る。さらに、ベントルーメンと流体ルーメンの遠位開口は、それぞれ、上端、および、上端から軸方向に離間した下端によって画定され得、ベントルーメンおよび流体ルーメンの上端の外側部分は、滑らかで、スパイク部材でストッパーを貫通するとき、実質的にストッパーのコアリングを防止するように構成される。ベントルーメンと流体ルーメンの上端は、面取りされ得る。スパイク部材は、スパイク部材から半径方向外向きに延びるリングを含み、リングは、スパイク部材でストッパーを貫通する際に、ストッパーの一部に係合するように構成される。さらに、リングの遠位に位置づけられるスパイク部材の一部の外周は、ベントおよび流体ルーメンの遠位開口に隣接して位置づけられる、スパイク部材の一部の外周よりも大きくあり得る。ベントルーメンの遠位開口は、流体ルーメンの遠位開口から軸方向に離間させられ得、ベントルーメンは、流体ルーメンよりスパイク部材の遠位端に近接して配置され得る。スパイク部材の遠位端は、鋭くされ、ストッパーを貫通するように構成され得る。流体ルーメンの遠位開口は、スパイク部材の長手方向に延び得る。バイアルアクセス器具は、スパイク部材上に位置づけられる潤滑剤被膜を含み得、それは、スパイク部材の遠位端に隣接して配置される。
【0015】
バイアルアクセス器具は、さらに、ベントルーメンと流体連通する、圧力均等化室を含み得る。穿刺可能な膜は、第一のコネクタに隣接して配置され得、穿刺可能な膜は、流体ルーメンの近位開口を覆う。第一のコネクタは、シリンジアダプタの対応するコネクタを受け入れるように構成された開口を画定する、ハウジングの首部を含み得る。第二のコネクタは、医療用バイアルと係合し、医療バイアルにバイアルアクセス器具を固定するように構成された、複数のフック部材を含み得る。
【0016】
さらなる実施形態においては、バイアルアクセス器具は、第一および第二のコネクタを有するハウジングを含み、第一コネクタは、第一の容器に固定されるように構成され、第二のコネクタは、第二の容器に固定されるように構成される。バイアルアクセス器具は、さらに、ハウジングから延び、近位端および遠位端を有する、スパイク部材を含み、スパイク部材は、ベントルーメンとベントルーメンから離間した流体ルーメンを画定する。ベントルーメンと流体ルーメンの各々は、遠位開口を有し、ベントルーメンと流体ルーメンの遠位開口は、それぞれ、上端と、上端から軸方向に離間した下端によって画定される。ベントルーメンと流体ルーメンの上端の外側部分は、滑らかで、スパイク部材でストッパーを貫通するとき、実質的にストッパーのコアリングを防止するように構成される。
【0017】
ベントルーメンと流体ルーメンの上端は、面取りされ得る。ベントルーメンの遠位開口は、流体ルーメンの遠位開口から軸方向に離間させられ得、ベントルーメンは、流体ルーメンよりもスパイク部材の遠位端の近くに位置づけられる。スパイク部材の遠位端は、鋭くされ、ストッパーを穿刺するように構成され得、流体ルーメンの遠位開口は、スパイク部材の長手方向に延び得る。
【0018】
さらに別の実施形態において、薬物移送システムは、第一の容器、および、バイアルアクセス器具に固定されるように構成されたシリンジアダプタを含む。バイアルアクセス器具は、第一および第二のコネクタを備える、ハウジングを有する。第一のコネクタは、シリンジアダプタに固定されるように構成され、第二のコネクタは、第二の容器に固定されるように構成される。バイアルアクセス器具は、さらに、ハウジングから延び、近位端および遠位端を有する、スパイク部材を含み、スパイク部材は、ベントルーメンとベントルーメンから離間した流体ルーメンを画定する。ベントルーメンと流体ルーメンの各々は、遠位開口を有する。スパイク部材の外周によって画定される形状は、スパイク部材の近位端と流体ルーメンの遠位開口との間の位置で、1軸の周りにのみ対称である。
【0019】
スパイク部材は、スパイク部材から半径方向外向きに延びるリングを含み得、リングは、スパイク部材でストッパーを貫通する際に、ストッパーの一部と係合するように構成される。リングの遠位に位置づけられるスパイク部材の一部の外周は、ベントおよび流体ルーメンの遠位開口に隣接して位置づけられるスパイク部材の一部の外周よりも大きくてあり得る。
【0020】
本発明の例示的な実施形態の種々の目的、利点、および新規な特徴は、添付の図面と併せて読めば、以下の詳細な説明から、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態による、バイアルアクセス器具の一実施形態の左下側斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による、図1に示されたバイアルアクセス器具の右下斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による、図1に示されたバイアルアクセス器具の左側斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による、図1に示されたバイアルアクセス器具の右側面図である。
図5】本発明の一実施形態による、図1に示されたバイアルアクセス器具の部分右側斜視図である。
図6】本発明の一実施形態による、図1に示されたバイアルアクセス器具の左側面図である。
図7】本発明の一実施形態による、図1に示されたバイアルアクセス器具の断面図である。
図8】本発明の一実施形態による、図1に示したバイアルアクセス器具の部分断面図である。
図9】非拡張位置にある拡張可能なブラダーを示す、本発明の一実施形態による、図1に示されたバイアルアクセス器具の右上側斜視図である。
図10】拡張位置にある拡張可能なブラダーを示す、本発明の一実施形態による、図1に示されたバイアルアクセス器具の右上側斜視図である。
図11】本発明の一実施形態による、図1に示されたバイアルアクセス器具の部分概略断面図である。
図12】本発明の一実施形態による、図1に示されたバイアルアクセス器具の部分正面断面図である。
図13】バイアルアクセス器具の流体ルーメン内に受け入れられたシリンジアダプタのカニューレを示す、線15-15による、バイアルアクセス器具の部分下面断面図である。
図14図12に示される線14-14による、バイアルアクセス器具の部分下面断面図である。
図15図12に示される線15-15による、バイアルアクセス器具の部分下面断面図である。
図16図12に示される線16-16による、バイアルアクセス器具の部分下面断面図である。
図17】容器に固定されたバイアルアクセス器具を示す、本発明の一実施形態による、図1に示されたバイアルアクセス器具の右側断面図である。
図18】本発明の一実施形態による、図1に示されるバイアルアクセス器具の拡大右側断面図である。
図19】容器に固定されたバイアルアクセス器具を示す、本発明の一実施形態による、図1に示されたバイアルアクセス器具の右側断面図である。
図20】シリンジアダプタに、および、第一および第二の容器に接続されたバイアルアクセス器具を示す、本発明の一実施形態による、図1に示されたバイアルアクセス器具の右側断面図である。
図21】本発明の第二の実施形態による、バイアルアクセス器具の部分左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
描画図形全体を通して、同様の参照番号は、同様の要素、機構、および、構造に言及すると理解されるであろう。
【0023】
以下において説明の目的のために、空間的な向きの用語は、使用される場合、添付の描画図面において方向付けられているか、さもなければ、以下の詳細な説明に記載されているとおりの、参照される実施形態に関連するであろう。しかしながら、以下に説明される実施形態は、多くの代替の変形および実施形態を想定し得ることが理解されるべきである。また、添付の描画図形に示され、本明細書に記載された特定の器具は、単に例示であり、限定するものと考えられるべきではないことが理解されるべきである。
【0024】
図1~20を参照すると、バイアルアクセス器具10の一実施形態は、ハウジング12、スパイク部材14、および圧力均等化室16を含む。ハウジング12は、第一コネクタ18と第一コネクタ18から反対側に位置付けられた第二コネクタ20を含む。図20に示されるように、第一コネクタ18は、シリンジアダプタ24を介して、シリンジのような第一の容器22に固定されるように構成される。図17に示されるように、第二コネクタ20は、医療用バイアルのような、第二の容器26に固定されるように構成される。他の適切な材料が利用され得るが、ハウジング12は、例えば、射出成形ポリプロピレンのようなポリマー材料から形成され得る。第一コネクタ18は、ハウジング12のネック部28によって形成され、ハウジング12のネック部28は、シリンジアダプタ24の対応する構造とバヨネット式接続を形成する、第一および第二ガイド溝30、32を画定する。第一および第二ガイド溝30は、32は、シリンジアダプタ24の対応する構造を受容し、案内するように構成される。第一コネクタ18は、また、別個に形成され得るけれども、第一コネクタ18は、ハウジング12と一体に形成される。第一コネクタ18として使用され得るコネクタの一つのタイプは、特許文献1に開示されている。特許文献1の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
第二コネクタ20は、各フック部材34が、近位および遠位端38、40を有するフレキシブルアーム36を含んだ、複数のフック部材34を含む。各アーム36の遠位端40は、図17に示されるような、薬剤を含有する医療用バイアルであり得る、第二の容器26の対応するフランジ44と係合するように構成されたフック突起42を有する。可撓性アーム36は、第二の容器26と係合する際に、半径方向外側に移動し、続いて第二の容器26に、バイアルアクセス器具10を固定するために元の位置に戻るように構成される。第二コネクタ20として使用され得るコネクタの一つのタイプは、参照により本明細書に組み込まれる、特許文献2に開示されている。図7に示されるように、第二コネクタ20は、バイアルアクセス器具10の使用前に、保護キャップ46によって覆われ得る。特に、保護キャップ46は、フック部材34の外部にスナップ嵌めされ、使用者に、スパイク部材14からの保護を提供し、使用前に、ごみがスパイク部材14に入るのを防止する。他の適切な材料が利用され得るけれども、キャップ46は、ポリエチレンなどの高分子材料から作製され得る。
【0026】
図1~20をなお参照すると、スパイク部材14は、ハウジング12から延び、近位端52および遠位端54を含む。スパイク部材14は、ベントルーメン56とベントルーメン56から離間した流体ルーメン58を画定する。スパイク部材14は、複数のフック部材34に実質的に平行な方向に延び、スパイク部材14の遠位端54に尖った先端60を含む。スパイク部材14は、図19に示されるように、組立時に、第二の容器26を貫通するように構成される。ベントルーメン56および流体ルーメン58の各々は、それぞれ、近位の開口62、64および遠位の開口66、68を含む。図20に示されるように、流体ルーメン58は、バイアルアクセス器具10のハウジング12を通って延びる、シリンジアダプタ24からカニューレ70を受け入れるように構成され、第一および第二の容器22、26の間に、カニューレ70を通って、流体が移送されることを可能にする。流体ルーメン58は、流体ルーメン58の近位開口64と遠位開口68との間で、スパイク部材14の長手方向に延びる。ベントルーメン56および流体ルーメン58の遠位開口66、68は、それぞれ、上端72、74、および、上端72、74から軸方向に離間した下端76、78によって、それぞれ、画定される。
【0027】
穿孔可能な膜80が、第一コネクタ18に隣接して配置され、流体ルーメン58の近位開口64を覆う。穿孔可能な膜80は、流体移送中にシリンジアダプタ24のカニューレ70および穿孔可能な膜80との間の液密および気密シールを提供し、漏れや使用者への有害薬剤の曝露を最小限にする。他の適切な材料が利用され得るけれども、貫通可能な膜80は、熱可塑性エラストマー(TPE)から作られ得る。ベントルーメン56は、スパイク部材14の遠位端54から、スパイク部材14の近位端52に、長手方向に延びる。ベントルーメン56は、流体ルーメン58と実質的に平行に整列させられる。ベントルーメン56は、以下に説明されるように、圧力均等化室16と流体連通するように構成される。
【0028】
図7および図8を参照すると、スパイク部材14は、また、スパイク部材14の近位端52に配置されたリング82を含む。リング82は、スパイク部材14から半径方向外向きに延び、スパイク部材14が、医療用バイアルのバイアルストッパーのような、第二の容器62のシール84を貫通するとき、第二の容器26の一部と係合するように構成される。リング82は、バイアルアクセス器具10が、第二の容器26に固定されるとき、バイアルアクセス器具10を安定化することを補助する。特に、リング82は、バイアルアクセス器具10と第二の容器26との間の、ぐらつき、または、接続不良を防止することを補助し得る。リング82は、スパイク部材14の周囲の一部のみに広がり得るが、リング82は、スパイク部材14の全周に延びる。さらに、リング82は、スパイク部材14から離間させられ得、リング82とスパイク部材14との間に環状空間(図示せず)を画定する。
【0029】
図1~10を参照すると、他の適切な圧力均等化室、および、材料が、利用され得るけれども、圧力均等化室16は、ポリアミド/ポリプロピレン(PP/PA)のような、可撓性の、不透過性フィルムから作製される、薄く、透明で、拡張可能なブラダー88を有する、半球状または放物線状ディスク86によって画定される。膨張可能なブラダー88は、非拡張状態(図9に示される)と拡張状態(図10に示される)との間で移動可能であり、第二の容器26内における予め定めされた圧力を維持するように作用する。流体移送中に発生する、非拡張状態と拡張状態との間での拡張可能なブラダー88の変位は、以下に、より詳細に説明される。圧力均等化室16は、ベントルーメン56に対し、ほぼ垂直に延びる、圧力室流路90を介してベントルーメン56と流体連通する。圧力室流路90は、ディスク86の略中央に配置される開口92を有する。バリアフィルタ94は、圧力均等化室16と圧力室流路90との間の、圧力室流路90の開口92に配置される。特に、バリアフィルタ94は、圧力室流路90の開口92を覆って、拡張可能なブラダー88と、ディスク86と拡張可能なブラダー88によって画定される容積とに、流体が到達するのを阻止する。バリアフィルタ94は、好ましくは、そこを通って、気体が通過するのを許容するが、液体が通過するのを阻止する、疎水性フィルタである。バリアフィルタ94は、0.1~5μmの間の、好ましくは約3μmの孔径を有する、ポリテトラフルオロエチレン(PTFEまたはテフロン(登録商標))から作製され得る。第二の容器26に、バイアルアクセス器具10を接続することで、圧力均等化室16は、圧力室の流路90およびベントルーメン56を介して、第二の容器26と流体連通するであろう。
【0030】
図17~20を参照すると、バイアルアクセス器具10の作動が、本発明の一実施形態に従って、より詳細に説明されるであろう。バイアルアクセス器具10は、第一コネクタ18を介して、シリンジのような第一の容器22に接続される、シリンジアダプタ24に組み付けられる。さらに、バイアルアクセス器具10は、第二のコネクタ20を介して、第二の容器26に固定される。組み立て後、使用者は、第二の容器26内に流体を導入し、第二の容器26から流体を引き出すことができる。シリンジアダプタ24の一例が、特許文献3に開示される。特許文献3の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。図17に示されるように、使用中、バイアルアクセス器具10は、第二コネクタ20を介して、最初に、第二の容器26に固定される。フック部材34は、フック突起42を有する可撓性アーム36が、第二の容器26の対応するフランジ44と係合するので、バイアルアクセス器具10を第二の容器26へしっかりと接続する。バイアルアクセス器具10が、第二の容器26に固定されるとき、スパイク部材14の遠位端54、特に先端60は、第二の容器26の開口を覆って封止する、ストッパーまたはセプタム84を貫通する。シリンジアダプタ24と第一の容器22は、その後、第一コネクタ18を介してバイアルアクセス器具10に固定される。図20に示されるように、シリンジアダプタ24の対応するコネクタは、バイアルアクセス器具10の第一のコネクタ18によって受け入れられ、シリンジアダプタ24を、バイアルアクセス器具10に着脱可能に固定する。シリンジアダプタ24がバイアルアクセス器具10に固定されて、シリンジアダプタ24とバイアルアクセス器具10との間に、漏れのない接続を形成するとき、バイアルアクセス器具10の膜80は、シリンジアダプタ24の膜96に係合する。
【0031】
図20を参照すると、第二の容器26に流体を導入するために、シリンジアダプタ24のカニューレ70は、シリンジアダプタの膜96およびバイアルアクセス器具10の膜80を貫通し、スパイク部材14の流体ルーメン58を通って延びる。希釈剤は、第一の容器22からシリンジアダプタ24を通り、そして、バイアルアクセス器具10を介して第二の容器26に導入され得、第二の容器26内に含まれる凍結乾燥薬剤を再構成する。流体がシリンジアダプタ24のカニューレ70を通して導入されるとき、第二の容器26内の空気が、ベントルーメン56と圧力室流路90を通って圧力均等化室16内に移動させられ、それによって、拡張可能なブラダー88が、図9に示された非拡張状態から図10に示された拡張状態に拡張することをもたらす。バイアルアクセス器具10、第一および第二の容器226、26、および、シリンジアダプタ24は、それから、第二の容器26内で薬剤を再構成するため、図20に示された位置から反転させられ得、その後、任意の適切な装置を使用して、例えば、注射器プランジャの使用を通して、第一の容器22に再構成された薬剤を引き出す。第二の容器26から第一の容器22への流体の移送中に、圧力均等化室16内に以前に移動させられた空気は、圧力室流路90とベントルーメン56を通って、第二の容器26へ流れ、第二の容器26で真空が引き起こされるのを防止する。その時点で、圧力均等化室16のブラダー88は、拡張された状態から非拡張状態に移動することになる。シリンジアダプタ24のカニューレ70は、それから、第二の容器26およびバイアルアクセス器具10から引き抜かれる。シリンジアダプタ24は、次に、適切な装置を介した、例えば、注入セットを通した、患者への輸送または送達の用意ができた薬剤を有する、第一の容器22と共に、バイアルアクセス器具10から取り外され得る。
【0032】
シリンジアダプタ24のカニューレ70は、スパイク部材14の流体ルーメン58を通って延びているため、カニューレ70は、第二の容器26への各アクセスで、第二の容器26のストッパーまたはセプタム84を穿刺または貫通しなくてもよい。従って、シリンジアダプタ24のカニューレ70による、ストッパー84の複数回の貫通に起因する、引き裂き、磨耗、および切断は、解消され得、ストッパー84から引き裂かれた断片からの、第二の容器26の内容物を汚染する可能性を低減する。バイアルアクセス器具10のスパイク部材14は、第二の容器26の内容物が、ストッパー84のただ一回の貫通で空にさせられることを可能にし、ストッパー84のコアリングの機会を減少させる。
【0033】
第二の容器26のストッパーまたはセプタム84は、様々な設計を有するが、一般的に、半径方向シールを形成するために、全ての範囲で第二の容器26に圧入される。あるストッパー設計は、コーティングされた底面を有する、固体の厚い本体を利用する。ストッパーとして使用されるゴム材料は、実質的に非圧縮性であり得、その結果、ストッパーを貫通する器具の一部は、容器内に、同一容積のストッパーを移動させる必要がある。従来の器具では、そのような移動は、ストッパーのコアリングをもたらし得、それは、ストッパーの除去された部分が、バイアルアダプタを介した空気通路を遮断するか、または、バイアル内に落下し、その内容物を汚染することをもたらす。
【0034】
再び図1~20を参照すると、スパイク部材14は、本発明の一実施形態によれば、その長手方向の長さに沿って可変の断面を有し、スパイク部材14の貫通部分の容積を最小にする。具体的には、スパイク部材14の外周によって画定される形状は、スパイク部材14の近位端52と流体ルーメン58の遠位開口68との間の位置で、1つの軸に関して対称である。楕円形のスパイク部材14の最小化された体積は、圧縮され、または、排除させられる必要がある、第二の容器26のストッパー84の体積を最小化するのに役立ち、それにより、ストッパー84のコアリングを低減する。
【0035】
図12~16を参照すると、スパイク部材14の外周および断面の形状は楕円形である。シリンジアダプタ24のカニューレ70は、内径D1と外径D2を有する。流体ルーメン58は、好ましくは、D2+(D2-D1)に同等である、D3の内径を有する。ベントルーメン56は、好ましくは、シリンジアダプタ24のカニューレ70の内径D1より小さいか、または、同等である、D4の内径を有する。カニューレ70からの流量は、カニューレ70の内径D1より小さいかまたは同等の大きさの、および、直径D4のベントルーメン56によって維持される。一実施形態において、Y軸に沿った楕円形のスパイク部材14の幅は、図12に示される線15-15において、D3+3T1+D4と同等である。X-軸に沿ったスパイク部材14の幅は、図12に示される線15-15において、D3+2T1と同等である。スパイク部材14の外周は、いかなる外方スプライン、リブ、またはノッチもなく、連続しており、貫通時に、第二の容器26のストッパー84に対してシールし、それによって、外表面が平らでないならば発生し得る、漏れを防止する。
【0036】
従来の器具において、円形断面を有するニードルは、典型的には、バイアルにアクセスする際に、医療バイアルのような容器のストッパーに対してシールすることによって、十分な漏れ防止を提供する。円形状のスパイクは、しかしながら、あまりにも大きな体積を生み出し、円形状のスパイクによる第二の容器のストッパーの排除に起因するコアリングの問題につながる。スパイク部材14の楕円形の外周と断面は、本発明の一実施例によれば、漏洩保護を提供しながら、スパイク部材14の体積を最小にする。
【0037】
図14~17を参照すると、スパイク部材14の近位端52は、スパイク部材14の遠位端54より、より対称的で、より大きい。特に、スパイク部材14の遠位端54に隣接する、スパイク部材14の外周によって画定される形状は、図15に示されるように、一つの軸に沿ってのみ対称である。スパイク部材14の近位端52は、第二の容器26のストッパー84に対してスパイク部材14をシールするために、より対称で、より大きく、シリンジアダプタ24がバイアルアクセス器具10に接続されるとき、または、第一の容器22が回転させられるときに生じ得る、バイアルアクセス器具10が第二の容器26上で回転するときの漏れを防止する。スパイク部材14の遠位端54は、スパイク部材14の体積を最小化し、スパイク部材14によって貫通されるときに、第二の容器26のストッパー84のより大きな排除を防止するために、スパイク部材14の近位部分に比べてより小さい。スパイク部材14は、遠位端54でより薄いが、なお、第二の容器26のストッパー84を貫通するために必要な剛性を有する。図12に示されるように、リング82から遠位に位置するスパイク部材14の部分は、図14に示されるスパイク部材14の大きさから、図15に示されるスパイク部材14の大きさまで、大きさにおいて先細りになる。上述したように、リング82は、スパイク部材14から半径方向外方に延び、リング82から遠位に位置するスパイク部材14の部分よりも大きい外周を有する。従って、リング82の遠位に位置する、スパイク部材14の部分の外周は、ベントおよび流体ルーメン56、58の遠位開口66、68に隣接して位置する、スパイク部材14の部分の外周よりも大きい。図17に示されるように、リング82は、第二の容器26のストッパー84の一部のみを貫通し、第二の容器26に固定されたときに、バイアルアクセス器具10を安定させるように作用する。
【0038】
さらに、従来の器具では、ニードルまたはカニューレのチャネル開口の上端が、流体容器のストッパーに喰い込み得る。本発明の一実施形態による、スパイク部材14は、ベントルーメン56および流体ルーメン58の遠位開口66、68の上端72、74を丸めることにより、この問題を克服する。ベントおよび流体ルーメン56、58の遠位開口66、68の上端72、74(すなわち、後端(heel))の丸め、または、鈍化は、滑らかなベントルーメン56および流体ルーメン58の上端72、74の外側部分をもたらし、スパイク部材14でストッパー84を貫通するとき、医療バイアルのような第二の容器26のストッパー84のコアリングを防止する。コアリングを防止するために、丸みを与えるなど、滑らかな上端72、74を提供するために、他の方法が、利用され得るけれども、ベントルーメン56および流体ルーメン58の遠位開口66、68の上端72、74は、面取りされる。
【0039】
図18を参照すると、ベントルーメン56および流体ルーメン58の、遠位開口66、68は、切り欠き部C1、C2によって形成され、ベントルーメン56および流体ルーメン58の上端72、74が、滑らかであることを可能にする。ベントルーメン56および流体ルーメン58の遠位開口66、68は、角度をつけて設けられ、スパイク部材14の長手方向に延びる。切り欠き部C1、C2のエッジの半径Rは、少なくとも0.05mm~0.1mm以上であり得る。ある実施形態において、流体ルーメン58とベントルーメン56の長さは、市販のストッパーの大部分と共に利用されるよう、第二の容器26に使用される最も厚いストッパーまたはセプタム84に適合するように最適化される。
【0040】
図17を参照すると、ベントルーメン56と流体ルーメン58の遠位開口66、68の、スパイク部材14の長手方向軸に沿った、フック部材34に関連した配置は、ストッパー84の底部に関連して、遠位開口66、68の配置を決定する。例示的な実施形態において約0.64mmであり得る、距離Lは、スパイク部材14の長手方向軸に沿って、フック部材34のフック突起42の平坦な表面と、流体ルーメン58の近位開口64を隔てている。例示的な実施形態において約1.67mmであり得る距離hは、スパイク部材14の長手方向軸に沿って、流体ルーメン58の遠位開口68とベントルーメン56の近位開口62を隔てている。
【0041】
図17および図19を参照すると、スパイク部材14が、より薄いスパイクによって生成されるであろう、図19に示される、ストッパー84とスパイク部材14との間のデッドボリュームVを満たすため、比較的大きな体積のスパイク部材14が有利である。
【0042】
図11を参照すると、スパイク部材14の遠位端の角度Aと、長手方向軸に沿ったベントルーメン56と流体ルーメンの遠位開口66、68の長さL1との関係は、L1=D6/tan(A/2)=D5/tan(a/2)で定義され、D6は、ベントルーメン56の直径、D5は、流体ルーメン58の直径、角度aは、流体ルーメン58の切り欠き角度である。一実施形態では、角度Aおよび切り欠き角度は、より小さい大きさであり、または、第二の容器26のストッパー84のより容易な貫通のために最適とされる。一実施形態において、ストッパー84の貫通の間、漏れを防止するために、スパイク部材14の遠位開口66、68の長さL1は、ISO 8362-2:2008による最も薄いストッパーの厚さよりも、スパイク部材14の長手方向において短い。遠位開口66、68が、ストッパー84の厚さよりも長いと、貫通の間、暫時、オープンチャネルが存在し、第二の容器26の加圧された内容物によって、オープンチャネルを介して、漏洩が生ずる。
【0043】
図17を参照すると、例示的な実施形態において、ベントルーメン56の先端開口66は、可能な限り、スパイク部材14の遠位端54の近くに(すなわち、先端60の近くに)、可能な限り、流体ルーメン58の遠位開口68から離れて配置され、第二の容器26から液体を引き出す際に、流体ルーメン58への空気流入のリスクを最小限にする。
【0044】
図21を参照すると、バイアルアクセス器具100のさらなる実施形態が示される。図21に示されたバイアルアクセス器具100は、本実施形態のバイアルアクセス器具100が、スパイク部材14の外面に塗布された潤滑剤被膜102を含むことを除いて、上述の図1図20に示されたバイアルアクセス器具10と同一である。潤滑剤被膜102は、第二の容器26のストッパー84への、スパイク部材14の貫通によって生じる摩擦を低減する。他の適切な潤滑剤被覆が利用され得るが、潤滑剤被膜102は、シリコーン系であり得る。例示的な実施形態において、図21にクロスハッチングで示される、潤滑剤被膜102は、スパイク部材14の先端60の近くで、流体ルーメン58とベントルーメン56の遠位開口66、68の上を覆って適用される。被膜102を塗布するための他の適切なプロセスが利用され得るが、潤滑剤被膜102は、修正されたトランスファパッド(タンポン)印刷法により塗布され得、スパイク部材14の表面の約70%をカバーするために、時間をかけて移動する。
【0045】
本明細書に開示される例示的なバイアルアクセス器具10、100で使用される個々の構成要素は、当技術分野で知られている、既存の設計および構成要素に基づき得る。本明細書中に参考として援用される以下の付加的な米国特許文献は、本発明の実施において使用され得る例示的な構成要素およびサブシステムを開示する。特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、および、特許文献10。
【0046】
本発明のある好ましい実施形態を参照して、本発明のある例示的な実施形態が図示され、本明細書中で説明されたが、形態および細部における様々な変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、その中でなされ得ることが、当業者に理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
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図17
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図19
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図21