(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
G01J 5/02 20220101AFI20220830BHJP
G01J 5/48 20220101ALI20220830BHJP
G01J 5/06 20220101ALI20220830BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G01J5/02 J
G01J5/48 E
G01J5/06
G01J1/02 C
G01J1/02 Q
(21)【出願番号】P 2019549876
(86)(22)【出願日】2018-08-15
(86)【国際出願番号】 JP2018030358
(87)【国際公開番号】W WO2019087522
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2017211295
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100094363
【氏名又は名称】山本 孝久
(74)【代理人】
【識別番号】100118290
【氏名又は名称】吉井 正明
(72)【発明者】
【氏名】保坂 肇
(72)【発明者】
【氏名】新田 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】奥村 健市
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-174041(JP,A)
【文献】特開2005-241501(JP,A)
【文献】特開2012-202832(JP,A)
【文献】国際公開第2011/013197(WO,A1)
【文献】特開2014-072723(JP,A)
【文献】特開2013-217655(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0085482(US,A1)
【文献】国際公開第2018/042850(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 - G01J 1/60
G01J 5/00 - G01J 5/90
G01J 11/00
H03M 1/00 - H03M 1/88
H04N 5/30 - H04N 5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1構造体、及び、第1構造体に積層された第2構造体から構成されており、
第1構造体には、第1基板、及び、第1基板に設けられ、赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子が備えられており、
第2構造体には、第2基板、及び、第2基板に設けられ、第1駆動線及び第1信号線を介して第1温度検出素子が接続された駆動回路が備えられており、
第2駆動線及び第2信号線を介して駆動回路に接続された温度参照用の第2温度検出素子を更に備えており、
駆動回路は、スイッチ回路、第1電流源、第2電流源、差動増幅器、及び、アナログ-デジタル変換回路を備えており、
第1温度検出素子が接続された第1信号線は、スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、
第2温度検出素子が接続された第2信号線は、スイッチ回路の第2入力端部に接続されており、
スイッチ回路の第1出力端部は、差動増幅器の第1入力端部に接続されており、
スイッチ回路の第2出力端部は、差動増幅器の第2入力端部に接続されており、
第1電流源は、差動増幅器の第1入力端部に接続されており、
第2電流源は、差動増幅器の第2入力端部に接続されており、
差動増幅器の出力端部は、アナログ-デジタル変換回路の入力部に接続されており、
スイッチ回路において、スイッチ回路の第1入力端部と第1出力端部が接続される場合、スイッチ回路の第2入力端部と第2出力端部が接続され、スイッチ回路の第1入力端部と第2出力端部が接続される場合、スイッチ回路の第2入力端部と第1出力端部が接続される撮像装置。
【請求項2】
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
1つの第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から成る温度検出素子ブロックに対して、1つの駆動回路が設けられている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から成る温度検出素子ブロックに対して、1つの駆動回路が設けられており、
各温度検出素子ブロックにおいて、複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占めるN[個](但し、N≧2)の第1温度検出素子及びN[個]の第2温度検出素子に対して、1つの駆動回路が設けられている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、複数の温度検出素子ブロックのいずれかに属し、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子に対して、1つの駆動回路が設けられており、
各温度検出素子ブロックは、複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から構成されており、
各温度検出素子ブロックにおいて、複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニットのいずれかに属し、
複数の温度検出素子ユニットのそれぞれは、1つの駆動回路に接続されており、
各温度検出素子ユニットを占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、複数の温度検出素子ブロックのいずれかに属し、
各温度検出素子ブロックは、1又は複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から構成されており、
各温度検出素子ブロックにおいて、1又は複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、1又は複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、第1温度検出素子の数が1の場合、スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、第1温度検出素子の数が2以上の場合、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
駆動回路は、第2スイッチ回路を更に備えており、
第1電流源は、差動増幅器の第1入力端部に接続される代わりに、第2スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、
第2電流源は、差動増幅器の第2入力端部に接続される代わりに、第2スイッチ回路の第2入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第1出力端部は、差動増幅器の第1入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第2出力端部は、差動増幅器の第2入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第1入力端部と第1出力端部が接続される場合、第2スイッチ回路の第2入力端部と第2出力端部が接続され、第2スイッチ回路の第1入力端部と第2出力端部が接続される場合、第2スイッチ回路の第2入力端部と第1出力端部が接続される請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占めるN[個](但し、N≧2)の第1温度検出素子及びN[個]の第2温度検出素子に対して、1つの駆動回路が設けられている請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、複数の温度検出素子ブロックのいずれかに属し、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子に対して、1つの駆動回路が設けられており、
各温度検出素子ブロックは、複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から構成されており、
各温度検出素子ブロックにおいて、複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている請求項7に記載の撮像装置。
【請求項10】
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニットのいずれかに属し、
複数の温度検出素子ユニットのそれぞれは、1つの駆動回路に接続されており、
各温度検出素子ユニットを占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、複数の温度検出素子ブロックのいずれかに属し、
各温度検出素子ブロックは、1又は複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から構成されており、
各温度検出素子ブロックにおいて、1又は複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、1又は複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、第1温度検出素子の数が1の場合、スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、第1温度検出素子の数が2以上の場合、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている請求項7に記載の撮像装置。
【請求項11】
駆動回路は、第2スイッチ回路を更に備えており、
第1電流源は、差動増幅器の第1入力端部に接続される代わりに、第2スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、
第2電流源は、差動増幅器の第2入力端部に接続される代わりに、第2スイッチ回路の第2入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第1出力端部は、第1スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第2出力端部は、第1スイッチ回路の第2入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第1入力端部と第1出力端部が接続される場合、第2スイッチ回路の第2入力端部と第2出力端部が接続され、第2スイッチ回路の第1入力端部と第2出力端部が接続される場合、第2スイッチ回路の第2入力端部と第1出力端部が接続される請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占めるN[個](但し、N≧2)の第1温度検出素子及びN[個]の第2温度検出素子に対して、1つの駆動回路が設けられている請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、複数の温度検出素子ブロックのいずれかに属し、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子に対して、1つの駆動回路が設けられており、
各温度検出素子ブロックは、複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から構成されており、
各温度検出素子ブロックにおいて、複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている請求項11に記載の撮像装置。
【請求項14】
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニットのいずれかに属し、
複数の温度検出素子ユニットのそれぞれは、1つの駆動回路に接続されており、
各温度検出素子ユニットを占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、複数の温度検出素子ブロックのいずれかに属し、
各温度検出素子ブロックは、1又は複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から構成されており、
各温度検出素子ブロックにおいて、1又は複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、1又は複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、第1温度検出素子の数が1の場合、スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、第1温度検出素子の数が2以上の場合、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている請求項11に記載の撮像装置。
【請求項15】
第3駆動線及び第1信号線を介して駆動回路に接続されたゲイン測定用の第3素子を更に備えており、
第3素子の出力電圧は第2温度検出素子の出力電圧と異なる請求項1に記載の撮像装置。
【請求項16】
不揮発性メモリ素子を更に備えており、
第1温度検出素子毎に、動作時の補正のための補正係数が不揮発性メモリ素子に記憶されている請求項1に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置、より具体的には、赤外線に基づき温度を検出する温度検出素子を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2005-214639号公報に開示された熱型赤外線固体撮像素子にあっては、断熱構造と赤外線吸収構造を有し、少なくとも1個以上直列接続されたダイオードによって感光画素が構成されており、実質的に素子全体の温度変化に応じて変化する参照信号を出力する参照信号出力回路を有する。そして、第1群の定電流化手段及び第2群の定電流化手段、並びに、第1群の定電流化手段と第2群の定電流化手段の両端電圧の差を一定時間積分して出力する差動積分回路を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この特許公開公報に開示された熱型赤外線固体撮像素子にあっては、定電流化手段(電流源)及び差動積分回路(差動増幅器)において発生するノイズ、例えば、1/fノイズを低減することが重要であるが、具体的なノイズ低減の手段については言及されていない。
【0005】
従って、本開示の目的は、撮像装置を構成する電流源及び差動増幅器において発生するノイズを低減することができる構成、構造の撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の第1の態様に係る撮像装置は、
第1構造体、及び、第1構造体に積層された第2構造体から構成されており、
第1構造体には、第1基板、及び、第1基板に設けられ、赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子が備えられており、
第2構造体には、第2基板、及び、第2基板に設けられ、第1駆動線及び第1信号線を介して第1温度検出素子が接続された駆動回路が備えられており、
第2駆動線及び第2信号線を介して駆動回路に接続された温度参照用の第2温度検出素子を更に備えており、
駆動回路は、スイッチ回路、第1電流源、第2電流源、差動増幅器、及び、アナログ-デジタル変換回路を備えており、
第1温度検出素子が接続された第1信号線は、スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、
第2温度検出素子が接続された第2信号線は、スイッチ回路の第2入力端部に接続されており、
スイッチ回路の第1出力端部は、差動増幅器の第1入力端部に接続されており、
スイッチ回路の第2出力端部は、差動増幅器の第2入力端部に接続されており、
第1電流源は、差動増幅器の第1入力端部に接続されており、
第2電流源は、差動増幅器の第2入力端部に接続されており、
差動増幅器の出力端部は、アナログ-デジタル変換回路の入力部に接続されており、
スイッチ回路において、スイッチ回路の第1入力端部と第1出力端部が接続される場合、スイッチ回路の第2入力端部と第2出力端部が接続され、スイッチ回路の第1入力端部と第2出力端部が接続される場合、スイッチ回路の第2入力端部と第1出力端部が接続される。
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の第2の態様に係る撮像装置は、
第1構造体、及び、第1構造体に積層された第2構造体から構成されており、
第2構造体は、第2基板、及び、第2基板に設けられた駆動回路を備えており、
駆動回路は、2つの電流源、シングルエンドアンプから成る2つの増幅器、及び、2つのアナログ-デジタル変換回路を備えており、
第1構造体は、第1基板、及び、第1基板に設けられ、赤外線に基づき温度を検出し、第1駆動線及び駆動回路に接続された第1温度検出素子を備えており、
第2駆動線、並びに、駆動回路に接続された温度参照用の第2温度検出素子を更に備えており、
第1温度検出素子及び第2温度検出素子が接続された第1信号線は、第1の電流源に接続され、且つ、第1の増幅器及び第1のアナログ-デジタル変換回路に接続されており、
第1温度検出素子及び第2温度検出素子が接続された第2信号線は、第2の電流源に接続され、且つ、第2の増幅器及び第2のアナログ-デジタル変換回路に接続されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の第1の態様に係る撮像装置においては、スイッチ回路の第1出力端部及び第1電流源は差動増幅器の第1入力端部に接続されており、スイッチ回路の第2出力端部及び第2電流源は差動増幅器の第2入力端部に接続されており、スイッチ回路において、スイッチ回路の第1入力端部と第1出力端部が接続される場合、スイッチ回路の第2入力端部と第2出力端部が接続され、スイッチ回路の第1入力端部と第2出力端部が接続される場合、スイッチ回路の第2入力端部と第1出力端部が接続される構造を有するので、電流源及び差動増幅器において発生するノイズを効果的にキャンセルすることができる。本開示の第2の態様に係る撮像装置においては、第1温度検出素子及び第2温度検出素子が2列の信号線に接続され、所謂列並列ADC構造が採用されているので、差動増幅器を用いること無く、電流源及び増幅器において発生するノイズを効果的にキャンセルすることができる。尚、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また、付加的な効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例1の撮像装置の等価回路図である。
【
図2】
図2は、実施例1の撮像装置の第1温度検出素子を含む領域(第1温度検出素子アレイ領域)の模式的な一部端面図である。
【
図3】
図3は、実施例1の撮像装置の模式的な部分的平面図である。
【
図4】
図4は、実施例1の撮像装置における第1構造体及び第2構造体の模式的な分解斜視図である。
【
図5】
図5は、実施例2の撮像装置の等価回路図である。
【
図6】
図6は、実施例2の撮像装置における温度検出素子ブロックの等価回路図である。
【
図7】
図7は、実施例3の撮像装置の等価回路図である。
【
図8】
図8は、実施例4の撮像装置の等価回路図である。
【
図9】
図9は、実施例5の撮像装置の等価回路図である。
【
図13】
図13は、実施例8の撮像装置の変形例の等価回路図である。
【
図14】
図14は、実施例8の撮像装置の別の変形例の等価回路図である。
【
図15】
図15は、実施例8の撮像装置の更に別の変形例の等価回路図である。
【
図17】
図17は、実施例9の撮像装置の変形例の等価回路図である。
【
図18】
図18は、実施例9の撮像装置の別の変形例の等価回路図である。
【
図19】
図19は、実施例9の撮像装置の更に別の変形例の等価回路図である。
【
図20】
図20は、実施例10の撮像装置の等価回路図である。
【
図21】
図21は、実施例10の撮像装置の変形例の等価回路図である。
【
図22】
図22は、シングルスロープ型アナログ-デジタル変換回路の一例の等価回路図である。
【
図23】
図23A及び
図23Bは、デルタ-シグマ変調型(ΔΣ変調型)アナログ-デジタル変換回路の等価回路図である。
【
図27】
図27は、実施例12の撮像装置の更に別の変形例の模式的な一部端面図である。
【
図30】
図30は、実施例14の撮像装置における第1温度検出素子と温度制御層との配置状態を模式的に示す図である。
【
図31】
図31は、実施例14の撮像装置の別の変形例における第1温度検出素子と温度制御層との配置状態を模式的に示す図である。
【
図33】
図33A及び
図33Bは、それぞれ、実施例15の撮像装置における第1温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
【
図34】
図34は、物体からの放射スペクトルと赤外線波長の関係を模式的に示すグラフである。
【
図35】
図35は、実施例16における本開示の撮像装置を備えた赤外線カメラの概念図である。
【
図36】
図36は、実施例12の撮像装置の更に別の変形例の模式的な一部端面図である。
【
図39】
図39は、実施例11及び実施例12の撮像装置を構成する第1温度検出素子を上下に組み合わせた撮像装置(第4構成の撮像装置)の模式的な一部端面図である。
【
図40】
図40A及び
図40Bは、それぞれ、実施例11の変形例及び実施例12の更に別の変形例の撮像装置の模式的な一部端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の第1の態様~第4の態様に係る撮像装置、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の第1の態様に係る撮像装置)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1~実施例2の変形)
5.実施例4(実施例1の別の変形)
6.実施例5(実施例4の変形)
7.実施例6(実施例4の別の変形)
8.実施例7(実施例4~実施例6の変形)
9.実施例8(実施例1の別の変形、本開示の第1-Aの態様に係る撮像装置)
10.実施例9(実施例1の別の変形、本開示の第1-Bの態様に係る撮像装置)
11.実施例10(本開示の第2の態様に係る撮像装置)
12.実施例11(実施例1~実施例10の変形、第1構成の撮像装置、具体的には、フェース・ツー・バック構造の撮像装置)
13.実施例12(実施例1~実施例10の変形、具体的には、フェース・ツー・フェース構造の撮像装置)
14.実施例13(実施例1~実施例12の変形)
15.実施例14(実施例1~実施例13の変形)
16.実施例15(本開示の第2構成~第3構成の撮像装置)
17.実施例16(実施例1~実施例15の変形、本開示の撮像装置の応用例)
18.その他
【0011】
本開示の第1の態様に係る撮像装置にあっては、
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
1つの第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から成る温度検出素子ブロックに対して、1つの駆動回路が設けられている形態とすることができる。
【0012】
あるいは又、本開示の第1の態様に係る撮像装置にあっては、
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から成る温度検出素子ブロックに対して、1つの駆動回路が設けられており、
各温度検出素子ブロックにおいて、複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている形態とすることができる。尚、温度検出素子ブロックを構成する第1温度検出素子の数を「P」と表現する場合がある。
【0013】
あるいは又、本開示の第1の態様に係る撮像装置にあっては、
駆動回路は、第2スイッチ回路を更に備えており、
第1電流源は、差動増幅器の第1入力端部に接続される代わりに、第2スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、
第2電流源は、差動増幅器の第2入力端部に接続される代わりに、第2スイッチ回路の第2入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第1出力端部は、差動増幅器の第1入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第2出力端部は、差動増幅器の第2入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第1入力端部と第1出力端部が接続される場合、第2スイッチ回路の第2入力端部と第2出力端部が接続され、第2スイッチ回路の第1入力端部と第2出力端部が接続される場合、第2スイッチ回路の第2入力端部と第1出力端部が接続される形態とすることができる。尚、このような撮像装置を、便宜上、『本開示の第1-Aの態様に係る撮像装置』と呼ぶ場合がある。
【0014】
あるいは又、本開示の第1の態様に係る撮像装置にあっては、
駆動回路は、第2スイッチ回路を更に備えており、
第1電流源は、差動増幅器の第1入力端部に接続される代わりに、第2スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、
第2電流源は、差動増幅器の第2入力端部に接続される代わりに、第2スイッチ回路の第2入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第1出力端部は、第1スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第2出力端部は、第1スイッチ回路の第2入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第1入力端部と第1出力端部が接続される場合、第2スイッチ回路の第2入力端部と第2出力端部が接続され、第2スイッチ回路の第1入力端部と第2出力端部が接続される場合、第2スイッチ回路の第2入力端部と第1出力端部が接続される形態とすることができる。尚、このような撮像装置を、便宜上、『本開示の第1-Bの態様に係る撮像装置』と呼ぶ場合がある。
【0015】
本開示の第1の態様に係る撮像装置、本開示の第1-Aの態様あるいは第1-Bの態様に係る撮像装置にあっては、
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占めるN[個](但し、N≧2)の第1温度検出素子及びN[個]の第2温度検出素子に対して、1つの駆動回路が設けられている構成とすることができる。
【0016】
あるいは又、本開示の第1の態様に係る撮像装置、本開示の第1-Aの態様あるいは第1-Bの態様に係る撮像装置にあっては、
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、複数の温度検出素子ブロックのいずれかに属し、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子に対して、1つの駆動回路が設けられており、
各温度検出素子ブロックは、複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から構成されており、
各温度検出素子ブロックにおいて、複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている構成とすることができる。尚、温度検出素子ブロックの数を「Q」と表現する場合があるし、温度検出素子ブロックを構成する第1温度検出素子の数を「P」と表現する場合がある。第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子の数をNとしたとき、N=P×Qの関係にある。
【0017】
あるいは又、本開示の第1の態様に係る撮像装置、本開示の第1-Aの態様あるいは第1-Bの態様に係る撮像装置にあっては、
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニットのいずれかに属し、
複数の温度検出素子ユニットのそれぞれは、1つの駆動回路に接続されており、
各温度検出素子ユニットを占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、複数の温度検出素子ブロックのいずれかに属し、
各温度検出素子ブロックは、1又は複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から構成されており、
各温度検出素子ブロックにおいて、1又は複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、1又は複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、第1温度検出素子の数が1の場合、スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、第1温度検出素子の数が2以上の場合、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている構成とすることができる。尚、温度検出素子ユニットの数を「R」と表現する場合があるし、温度検出素子ブロックの数を「Q」と表現する場合があるし、温度検出素子ブロックを構成する第1温度検出素子の数を「P」と表現する場合がある。第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子の数をNとしたとき、N=P×Q×Rの関係にある。
【0018】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様に係る撮像装置にあっては、第3駆動線及び第1信号線を介して駆動回路に接続されたゲイン測定用の第3素子を更に備えており、第3素子の出力電圧は第2温度検出素子の出力電圧と異なる形態とすることができる。そして、このような第3素子を備えることで、アナログ回路の列毎のゲインのバラツキ(第1の方向に沿ったゲインのバラツキ)を抑制することができる。
【0019】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様~第2の態様に係る撮像装置にあっては、
不揮発性メモリ素子を更に備えており、
第1温度検出素子毎に、動作時の補正のための補正係数が不揮発性メモリ素子に記憶されている形態とすることができる。ここで、不揮発性メモリ素子の構成、構造、形式は、周知の如何なる構成、構造、形式とすることもできる。また、補正係数の取得、補正係数の不揮発性メモリ素子への書き込み、不揮発性メモリ素子からの読み出し、第1温度検出素子の信号に対する補正処理は、周知の方法とすればよい。
【0020】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様~第2の態様に係る撮像装置(以下、これらを総称して、『本開示の撮像装置等』と呼ぶ場合がある)において、第1基板は、例えば、シリコン半導体基板やSOI基板から構成することができるし、第2基板は、例えば、シリコン半導体基板から構成することができる。
【0021】
そして、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置等において、赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子は、SOIダイオードを含むpn接合ダイオードやショットキダイオードといった各種ダイオード、あるいは、トランジスタ、ダイオードと能動素子の組合せ;酸化バナジウム膜やアモルファスシリコン膜、ポリシリコン膜、炭化ケイ素膜、チタン膜等を備えた抵抗ボロメータ素子;白金や金、ニッケル等の金属、サーミスタ等を用いた熱電変換素子;ゼーベック効果を用いたサーモパイル素子;誘電体の表面電荷が変化する焦電素子;強誘電体素子;トンネル効果を用いたダイオード;超電導を応用した素子から成る形態とすることができ、これらは、周知の構成、構造を有する。より具体的には、第1温度検出素子は、pn接合ダイオード、ボロメータ素子、サーモパイル素子、金属膜抵抗素子、金属酸化物抵抗素子、セラミック抵抗素子、サーミスタ素子から成る形態とすることができる。1つの第1温度検出素子は、例えば、直列に接続された複数のダイオードから構成することもできる。第1温度検出素子は、例えば、所謂MEMS技術に基づき形成することができる。第1温度検出素子の構成、構造に関しては、後述する。
【0022】
温度参照用の第2温度検出素子を、トランジスタの温度特性を利用した半導体温度センサ素子から構成し、第1基板や第2基板に形成してもよい(組み込んでもよい)。尚、半導体温度センサ素子は、第1温度検出素子の下方に位置する第2基板の領域に形成することが好ましいし、又は、第1温度検出素子に隣接した第1基板の領域に形成することが好ましい。あるいは又、赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子に隣接して、赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子と同じ構成、構造を有する第1温度検出素子(但し、赤外線吸収層を備えておらず、あるいは又、赤外線吸収層及び赤外線反射層を備えておらず、あるいは又、第1温度検出素子に備えられている赤外線吸収層よりも小面積の赤外線吸収層を備えている)を、温度参照用の第2温度検出素子として配設してもよい。第1温度検出素子によって測定された温度と、温度参照用の第2温度検出素子によって測定された温度との差を求めることで、第1温度検出素子によって測定された真の温度を得ることができる。
【0023】
ゲイン測定用の第3素子の構造を、温度参照用の第2温度検出素子と同じ構造とすることができる。ここで、ゲイン測定用の第3素子の出力電圧と温度参照用の第2温度検出素子の出力電圧とを異ならせるためには、
[a]第3素子を構成する素子の直列数を、第2温度検出素子を構成する素子の直列数と異ならせる。
[b]第3素子に直列に接続された抵抗器の抵抗値を、第2温度検出素子に直列に接続された抵抗器の抵抗値と異ならせる。
[c]第3素子に印加する電圧を、第2温度検出素子に印加する電圧と異ならせる。
といった方法を例示することができる。
【0024】
第1信号線、第2信号線、第1駆動線、第2駆動線及び第3駆動線は周知の導電材料から、周知の方法に基づき、形成すればよい。第1駆動線及び第1信号線を介しての第1温度検出素子と駆動回路との接続、第2駆動線及び第2信号線を介しての駆動回路と第2温度検出素子との接続、第3駆動線及び第1信号線を介しての駆動回路と第3素子との接続においては、第1信号線、第2信号線、第1駆動線、第2駆動線及び第3駆動線を、撮像装置の構成、構造に依存して、適宜、第1基板及び第2基板に設ければよい。
【0025】
駆動回路を構成するスイッチ回路(第1スイッチ回路)、第2スイッチ回路は、2つの入力端部及び2つの出力端部を有し、第1入力端部と第1出力端部が接続される場合、第2入力端部と第2出力端部が接続され、第1入力端部と第2出力端部が接続される場合、第2入力端部と第1出力端部が接続される構造を有していれば、如何なる構成、構造のスイッチ回路とすることもでき、例えば、所謂バタフライスイッチ回路を挙げることができる。また、第1電流源(第1定電流源)及び第2電流源(第2定電流源)も、周知の定電流源とすることができる。差動増幅器は、アナログ・フロント・エンド(AFE)を構成し、周知の回路構成から成る構成とすることができる。アナログ-デジタル変換回路(ADC)は、シングルスロープ型アナログ-デジタル変換回路又はデルタ-シグマ変調型(ΔΣ変調型)アナログ-デジタル変換回路から成る形態とすることができる、これによってアナログ-デジタル変換回路の面積の縮小化を図ることができるが、これらに限定するものではなく、逐次比較型アナログ-デジタル変換回路、フラッシュ型、ハーフ・フラッシュ型、サブレンシング型、パイプライン型、ビット・パー・ステージ型、マグニチュード・アンプ型等のアナログ-デジタル変換回路を挙げることもできる。マルチプレクサ回路や減算回路も、周知の回路構成を有するマルチプレクサ回路や減算回路とすることができる。撮像装置は、更に、水平走査回路及び垂直走査回路といった駆動部を備えることができる。そして、各信号線は、アナログ・フロント・エンド及びアナログ-デジタル変換回路等を介して水平走査回路に接続されている形態とすることができる。また、各駆動線は垂直走査回路に接続されている形態とすることができる。駆動回路や駆動部を、読出し用集積回路(ROIC)から構成することもできる。第1基板には、第1温度検出素子だけでなく、他の回路が設けられていてもよい。
【0026】
本開示の撮像装置等において、第2基板に設けられた駆動回路は被覆層によって被覆されている形態とすることができる。そして、1つの第1温度検出素子に着目すると、第1温度検出素子と被覆層との間には、空所が設けられている構成とすることができる。尚、このような本開示の撮像装置を、便宜上、『第1構成の撮像装置』と呼ぶ場合がある。第1構成の撮像装置において、第1基板と第2基板とは積層され、第1温度検出素子と被覆層との間に空所が設けられるので、第1温度検出素子において空所を高い精度で設けることが可能となる。そして、この場合、赤外線が入射する側には、赤外線吸収層が形成されており、空所の底部に位置する被覆層の領域には、赤外線反射層が形成されている構成とすることができる。
【0027】
あるいは又、本開示の撮像装置等において、
赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子集合体を備えており、
第1温度検出素子集合体は、複数の第1温度検出素子が並置されて成り、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子が検出する赤外線の波長は異なっている構成とすることができる。尚、このような本開示の撮像装置を、便宜上、『第2構成の撮像装置』と呼ぶ場合がある。第2構成の撮像装置あるいは次に述べる第3構成の撮像装置にあっては、第1温度検出素子集合体は複数の第1温度検出素子が並置されて成り、第1温度検出素子集合体において各第1温度検出素子が検出する赤外線の波長は異なっており、あるいは又、第1温度検出素子集合体において各第1温度検出素子の赤外線吸収量は異なっているので、第1温度検出素子毎に波長分光特性や赤外線の感度を変え得ることが可能である。
【0028】
あるいは又、本開示の撮像装置等において、
赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子集合体を備えており、
第1温度検出素子集合体は、複数の第1温度検出素子が並置されて成り、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子の赤外線吸収量は異なっている構成とすることができる。尚、このような本開示の撮像装置を、便宜上、『第3構成の撮像装置』と呼ぶ場合がある。尚、異なる面積の赤外線吸収層を備えた第1温度検出素子を、複数、備えた第1温度検出素子集合体とすることもでき、これによって、温度検出のレンジや感度を変更したり、温度検出のレンジを拡大したり、赤外線吸収波長を変更することが可能となる。
【0029】
あるいは又、本開示の撮像装置等において、
赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子集合体を備えており、
第1温度検出素子集合体は、赤外線の入射に沿って上下に配設された2つの第1温度検出素子から成り、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子が検出する赤外線の波長は同じであり、又は、異なっており、又は、各第1温度検出素子の赤外線吸収量は異なっている構成とすることができる。尚、このような本開示の撮像装置を、便宜上、『第4構成の撮像装置』と呼ぶ場合がある。2つの第1温度検出素子は、同じ第1信号線及び第1駆動線に接続されていてもよいし、異なる第1信号線及び第1駆動線に接続されていてもよい。
【0030】
第1構成の撮像装置~第4構成の撮像装置において、第1温度検出素子は、第1基板の赤外線入射側に設けられていてもよいし、第1基板の赤外線入射側とは反対側に設けられていてもよい。
【0031】
第1構成の撮像装置において、第1温度検出素子と第1温度検出素子との間に位置する第1基板の部分には、隔壁が形成されており;隔壁の底部は、被覆層と接合されている構成とすることができる。尚、このような構成の撮像装置を、便宜上、『フェース・ツー・バック構造の撮像装置』と呼ぶ。第2基板と対向する第1基板の面を『第1基板の第1面』と呼び、第1基板の第1面と対向する第1基板の面を『第1基板の第2面』と呼ぶ場合、第1温度検出素子は、第1基板の第2面側に設けられている。
【0032】
そして、フェース・ツー・バック構造の撮像装置において、空所に露出した被覆層の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されており;隔壁の側壁は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている構成とすることができる。隔壁の側壁によって囲まれた隔壁内部は第1基板の一部から構成されている。場合によっては、隔壁内部は、隔壁の側壁を構成する材料と同じ材料から構成されていてもよいし、第1基板や隔壁の側壁を構成する材料とは異なる材料から構成されていてもよい。
【0033】
あるいは又、フェース・ツー・バック構造の撮像装置において、空所に露出した被覆層の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている構成とすることができる。そして、このような構成を含むフェース・ツー・バック構造の撮像装置において、隔壁の側壁は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている構成とすることができる。
【0034】
空所に露出した被覆層の露出面を構成する絶縁材料層として、酸化物から成る絶縁材料層(具体的には、例えば、SiOX(1≦X≦2)、SiOF、SiOC)、窒化物から成る絶縁材料層(具体的には、例えば、SiN)、酸窒化物から成る絶縁材料層(具体的には、例えば、SiON)、接着材料層を挙げることができるし、空所に露出した被覆層の露出面を構成する金属材料層として、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)を挙げることができるし、空所に露出した被覆層の露出面を構成する合金材料層として、これらの金属を含む合金層や半田層を挙げることができるし、空所に露出した被覆層の露出面を構成する炭素材料層として、カーボンフィルムやカーボンナノチューブを挙げることができる。
【0035】
また、隔壁の側壁を構成する絶縁材料層、金属材料層、合金材料層、炭素材料層として、上述した各種材料を挙げることができる。
【0036】
(空所に露出した被覆層の露出面を構成する絶縁材料層の材料,隔壁の側壁を構成する絶縁材料層の材料)の組み合わせとして、(絶縁材料層,絶縁材料層)、(絶縁材料層,金属材料層)、(絶縁材料層,合金材料層)、(絶縁材料層,炭素材料層)、(金属材料層,絶縁材料層)、(金属材料層,金属材料層)、(金属材料層,合金材料層)、(金属材料層,炭素材料層)、(合金材料層,絶縁材料層)、(合金材料層,金属材料層)、(合金材料層,合金材料層)、(合金材料層,炭素材料層)、(炭素材料層,絶縁材料層)、(炭素材料層,金属材料層)、(炭素材料層,合金材料層)、(炭素材料層,炭素材料層)の16通りの組み合わせを挙げることができる。
【0037】
空所に露出した被覆層の露出面を構成する絶縁材料層と、隔壁の側壁を構成する絶縁材料層とは、同じ材料から構成されていてもよいし、異なる材料から構成されていてもよい。空所に露出した被覆層の露出面を構成する金属材料層と、隔壁の側壁を構成する金属材料層とは、同じ材料から構成されていてもよいし、異なる材料から構成されていてもよい。空所に露出した被覆層の露出面を構成する合金材料層と、隔壁の側壁を構成する合金材料層とは、同じ材料から構成されていてもよいし、異なる材料から構成されていてもよい。空所に露出した被覆層の露出面を構成する炭素材料層と、隔壁の側壁を構成する炭素材料層とは、同じ材料から構成されていてもよいし、異なる材料から構成されていてもよい。後述するフェース・ツー・フェース構造の撮像装置においても同様である。但し、「隔壁の側壁」を『隔壁』と読み替えるものとする。
【0038】
以上に説明した各種の好ましい構成を含むフェース・ツー・バック構造の撮像装置において、赤外線が入射する第1温度検出素子の側には、赤外線吸収層が形成されており;空所の底部に位置する被覆層の領域には、赤外線反射層が形成されている構成とすることができる。赤外線反射層は、空所の底部に位置する被覆層の部分に形成されていてもよいし、空所の底部に位置する被覆層の部分の一部に形成されていてもよいし、空所の底部に位置する被覆層の部分からはみ出るように形成されていてもよい。そして、この場合、赤外線吸収層は、第1温度検出素子の上方に形成されている構成とすることができる。具体的には、赤外線吸収層は、第1温度検出素子の上に形成された絶縁膜の上に形成されていてもよいし、赤外線吸収層と第1温度検出素子との間に隙間(空間)が存在する状態で赤外線吸収層を形成してもよい。更には、これらの場合、赤外線反射層は、被覆層の頂面(被覆層の頂面上、あるいは、被覆層の頂面の一部を含む)、又は、被覆層の内部に形成されている構成とすることができる。更には、これらの場合、赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとしたとき、赤外線吸収層と赤外線反射層との間の光学的距離(材料の厚さ及び屈折率を考慮した距離)L0は、
0.75×λIR/2≦L0≦1.25×λIR/2
又は、
0.75×λIR/4≦L0≦1.25×λIR/4
を満足する構成とすることができる。λIRとして、8μm乃至14μmを例示することができる。
【0039】
あるいは又、以上に説明した各種の好ましい構成を含むフェース・ツー・バック構造の撮像装置において、赤外線が入射する第1温度検出素子の側には、第1赤外線吸収層が形成されており;空所の底部に位置する被覆層の領域には、赤外線反射層が形成されており;空所と対向する第1温度検出素子の側には、第2赤外線吸収層が形成されている構成とすることができる。赤外線反射層は、空所の底部に位置する被覆層の部分に形成されていてもよいし、空所の底部に位置する被覆層の部分の一部に形成されていてもよいし、空所の底部に位置する被覆層の部分からはみ出るように形成されていてもよい。そして、この場合、第1赤外線吸収層は、第1温度検出素子の上方に形成されている構成とすることができる。具体的には、第1赤外線吸収層は、第1温度検出素子の上に形成された絶縁膜の上に形成されていてもよいし、第1赤外線吸収層と第1温度検出素子との間に隙間(空間)が存在する状態で第1赤外線吸収層を形成してもよい。第2赤外線吸収層は、例えば、空所と対向する第1温度検出素子の面上に形成すればよいし、第1温度検出素子の上に形成された絶縁膜の上に形成されていてもよいし、第2赤外線吸収層と第1温度検出素子との間に隙間(空間)が存在する状態で第2赤外線吸収層を形成してもよい。更には、これらの場合、赤外線反射層は、被覆層の頂面(被覆層の頂面上、あるいは、被覆層の頂面の一部を含む)、又は、被覆層の内部に形成されている構成とすることができる。各赤外線吸収層は、赤外線を吸収するだけでなく、一部を透過し、一部を反射するため、透過や反射を低減する構造とすることで、より感度を向上させることができる。即ち、このような構成により、第1赤外線吸収層を透過した一部の赤外線が第2赤外線吸収層で更に吸収されるため、透過を低減させることができる。また、第1赤外線吸収層で反射した赤外線と第2赤外線吸収層で反射した赤外線が逆位相で打ち消し合い、反射を低減させることができる。また、第2赤外線吸収層を反射した赤外線と赤外線反射層を反射した赤外線が逆位相で打ち消し合い、反射を低減させることができる。更には、これらの場合、第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとし、第1赤外線吸収層と第2赤外線吸収層との光学的距離L1とし、第2赤外線吸収層と赤外線反射層との光学的距離をL2としたとき、
0.75×λIR/4≦L1≦1.25×λIR/4
0.75×λIR/4≦L2≦1.25×λIR/4
を満足する構成とすることができる。λIRとして、8μm乃至14μmを例示することができる。
【0040】
あるいは又、上記の好ましい形態を含む第1構成の撮像装置において、第1温度検出素子と第1温度検出素子との間に位置する第1基板の部分と被覆層との間には、第1基板と独立して隔壁が形成されており;隔壁の底部は、被覆層と接合されている構成とすることができる。尚、このような構成の撮像装置を、便宜上、『フェース・ツー・フェース構造の撮像装置』と呼ぶ。隔壁は第1基板と異なる材料から構成されている。第1温度検出素子は、第1基板の第1面側に設けられている。
【0041】
そして、フェース・ツー・フェース構造の撮像装置において、空所に露出した被覆層の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されており;隔壁は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている構成とすることができる。
【0042】
あるいは又、フェース・ツー・フェース構造の撮像装置において、空所に露出した被覆層の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている構成とすることができる。そして、このような構成を含むフェース・ツー・フェース構造の撮像装置において、隔壁は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている構成とすることができる。
【0043】
尚、空所に露出した被覆層の露出面を構成する絶縁材料層、金属材料層、合金材料層、炭素材料層、あるいは又、隔壁を構成する絶縁材料層、金属材料層、合金材料層、炭素材料層の具体例や組み合わせは、上述したフェース・ツー・バック構造の撮像装置における被覆層の露出面を構成する材料、隔壁の側壁を構成する材料に関して説明したと同様とすることができる。
【0044】
以上に説明した各種の好ましい構成を含むフェース・ツー・フェース構造の撮像装置において、赤外線が入射する第1温度検出素子の側には、赤外線吸収層が形成されており;空所の底部に位置する被覆層の領域には、赤外線反射層が形成されている構成とすることができる。赤外線反射層は、空所の底部に位置する被覆層の部分に形成されていてもよいし、空所の底部に位置する被覆層の部分の一部に形成されていてもよいし、空所の底部に位置する被覆層の部分からはみ出るように形成されていてもよい。また、赤外線吸収層は、第1基板の第1面側に設けられていてもよいし、第1基板の第2面側に設けられていてもよいし、あるいは又、次に述べる保護基板に設けられていてもよい。そして、この場合、赤外線反射層は、被覆層の頂面(被覆層の頂面上、あるいは、被覆層の頂面の一部を含む)、又は、被覆層の内部に形成されている構成とすることができる。更には、これらの場合、赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとしたとき、赤外線吸収層と赤外線反射層との間の光学的距離L0は、
0.75×λIR/2≦L0≦1.25×λIR/2
又は、
0.75×λIR/4≦L0≦1.25×λIR/4
を満足する構成とすることができる。場合によっては、赤外線が入射する第1温度検出素子の側とは反対側に赤外線吸収層を形成してもよい。
【0045】
あるいは又、以上に説明した各種の好ましい構成を含むフェース・ツー・フェース構造の撮像装置において、赤外線が入射する第1温度検出素子の側には、第1赤外線吸収層が形成されており;空所の底部に位置する被覆層の領域には、赤外線反射層が形成されており;空所と対向する第1温度検出素子の側には、第2赤外線吸収層が形成されている構成とすることができる。赤外線反射層は、空所の底部に位置する被覆層の部分に形成されていてもよいし、空所の底部に位置する被覆層の部分の一部に形成されていてもよいし、空所の底部に位置する被覆層の部分からはみ出るように形成されていてもよい。そして、この場合、第1赤外線吸収層は、第1基板の第1面側に設けられていてもよいし、第1基板の第2面側に設けられていてもよいし、あるいは又、次に述べる保護基板に設けられていてもよい。第2赤外線吸収層は、例えば、空所と対向する第1温度検出素子の面上に形成すればよいし、第1温度検出素子の上に形成された絶縁膜の上に空所と対向して形成されていてもよいし、第2赤外線吸収層と第1温度検出素子との間に隙間(空間)が存在する状態で第2赤外線吸収層を形成してもよい。更には、これらの場合、赤外線反射層は、被覆層の頂面(被覆層の頂面上、あるいは、被覆層の頂面の一部を含む)、又は、被覆層の内部に形成されている構成とすることができる。各赤外線吸収層は、赤外線を吸収するだけでなく、一部を透過し、一部を反射するため、透過や反射を低減する構造とすることで、より感度を向上させることができる。即ち、このような構成により、第1赤外線吸収層を透過した一部の赤外線が第2赤外線吸収層で更に吸収されるため、透過を低減させることができる。また、第1赤外線吸収層で反射した赤外線と第2赤外線吸収層で反射した赤外線が逆位相で打ち消し合い、反射を低減させることができる。また、第2赤外線吸収層を反射した赤外線と赤外線反射層を反射した赤外線が逆位相で打ち消し合い、反射を低減させることができる。更には、これらの場合、第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとし、第1赤外線吸収層と第2赤外線吸収層との光学的距離L1とし、第2赤外線吸収層と赤外線反射層との光学的距離をL2としたとき、
0.75×λIR/4≦L1≦1.25×λIR/4
0.75×λIR/4≦L2≦1.25×λIR/4
を満足する構成とすることができる。λIRとして、8μm乃至14μmを例示することができる。
【0046】
更には、以上に説明した各種の好ましい構成を含むフェース・ツー・フェース構造の撮像装置において、赤外線が入射する第1基板の面側(第1基板の第2面側)に保護基板が配設されている構成とすることができる。そして、この場合、保護基板は、第1基板の面上(第1基板の第2面上)に配設されていてもよいし、第1基板の面の上方(第1基板の第2面の上方)に配設されていてもよい。また、以上に説明した各種の好ましい構成を含むフェース・ツー・バック構造の撮像装置において、赤外線が入射する第1基板の面(第1基板の第2面)の上方に保護基板が配設されている構成とすることができる。保護基板を構成する材料として、シリコン半導体基板、石英基板、プラスチック基板、プラスチックフィルム、ゲルマニウム基板、赤外線を透過する材料(具体的には、CaF2、BaF2、Al2O3、ZnSe等)から成る基板を例示することができる。また、プラスチックとして、ポリエチレンを例示することができる。
【0047】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む第1構成の撮像装置にあっては、被覆層に熱伝導層が形成されている形態とすることができる。熱伝導層は、高い熱伝導性を有していてもよいし、逆に、低い熱伝導性を有していてもよい。高い熱伝導性を有する熱伝導層を構成する材料として、金属材料、カーボンフィルムやカーボンナノチューブといったカーボン系材料を挙げることができるし、低い熱伝導性を有する熱伝導層を構成する材料として、有機系材料を挙げることができる。熱伝導層は、限定するものではないが、第1温度検出素子アレイ領域の全面に形成することが好ましい。また、熱伝導層は、限定するものではないが、被覆層の内部であって、赤外線反射層の下方に配設することが望ましい。場合によっては、熱伝導層は赤外線反射層を兼ねていてもよい。
【0048】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む第1構成の撮像装置において、被覆層には温度制御層が形成されており、温度検知手段を更に有する構成とすることができ、これによって、第1温度検出素子の温度や温度分布を高い精度で制御することができる。ここで、温度制御層はヒータ(抵抗体、抵抗部材)として機能する構成とすることができ、例えば、温度制御層は配線を兼ねている構成とすることができる。具体的には、温度検知手段として、温度に依存した電気抵抗値の変化を測定することで温度を検出するシリコンダイオードやトランジスタ、ポリシリコン薄膜を例示することができるし、配線を兼ねる温度制御層を構成する材料として、タングステン膜等の金属系材料膜、ポリシリコン膜、チタン膜を例示することができるし、温度制御層を構成する材料として、ペリチェ効果を用いた積層膜、カーボン膜を例示することができる。場合によっては、温度制御層を第2基板に設けてもよい。更には、これらの場合、温度検知手段の温度検知結果に基づき、駆動回路は温度制御層を制御する(具体的には、例えば、温度制御層に流す電流を制御し、以て、温度制御層の発熱量を制御する)構成とすることができる。そして、これらの構成において、
第1構造体は、第1温度検出素子を備えた第1温度検出素子アレイ領域、及び、第1温度検出素子アレイ領域を取り囲む周辺領域を備えており、
温度制御層は第1温度検出素子アレイ領域に形成されている構成とすることができるし、あるいは又、
温度制御層は、第1温度検出素子アレイ領域の正射影像が存在する被覆層の領域に形成されている構成とすることができるし、あるいは又、
第1温度検出素子アレイ領域の正射影像が存在する第2基板の領域には、アナログ-デジタル変換回路が配設されていない構成とすることができる。アナログ-デジタル変換回路は発熱量が多いので、このような構成を採用することで、より一層温度の均一化を図ることができる。尚、このような温度制御層の配設は、第1温度検出素子ではなく周知の受光素子(可視光を受光する受光素子)が形成された構造に対して適用することもできる。また、場合によっては、温度制御層は赤外線反射層を兼ねていてもよい。
【0049】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む第1構成の撮像装置において、複数の第1温度検出素子を備えており、空所は、隣接する2×k個の第1温度検出素子(但し、kは1以上の整数)において共有化されている形態とすることができる。
【0050】
第2構成の撮像装置において、
各第1温度検出素子は、赤外線入射側に赤外線吸収層を有し、赤外線入射側とは反対側に赤外線反射層を有しており、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子における赤外線吸収層と赤外線反射層との間の光学的距離L0は異なっており、
各第1温度検出素子における光学的距離L0は、第1温度検出素子を構成する赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとしたとき、
0.75×λIR/2≦L0≦1.25×λIR/2
又は、
0.75×λIR/4≦L0≦1.25×λIR/4
を満足する形態とすることができる。そして、このような好ましい形態を含む第2構成の撮像装置において、
各第1温度検出素子は、赤外線入射側に赤外線吸収層を有し、赤外線入射側とは反対側に赤外線反射層を有しており、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子における赤外線吸収層を構成する材料、構成、構造、又は、赤外線反射層を構成する材料、構成、構造、又は、赤外線吸収層を構成する材料、構成、構造及び赤外線反射層を構成する材料、構成、構造は、異なっている形態とすることができる。即ち、
(ケースA)各第1温度検出素子における赤外線吸収層を構成する材料、構成、構造が異なっており、赤外線反射層を構成する材料、構成、構造は同じである形態
(ケースB)各第1温度検出素子における赤外線反射層を構成する材料、構成、構造が異なっており、赤外線吸収層を構成する材料、構成、構造は同じである形態
(ケースC)各第1温度検出素子における赤外線吸収層を構成する材料、構成、構造が異なっており、赤外線反射層を構成する材料、構成、構造が異なっている形態
とすることができる。
【0051】
第3構成の撮像装置において、
各第1温度検出素子は、赤外線入射側に赤外線吸収層を有し、赤外線入射側とは反対側に赤外線反射層を有しており、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子における赤外線吸収層を構成する材料、又は、赤外線反射層を構成する材料、又は、赤外線吸収層を構成する材料及び赤外線反射層を構成する材料は、異なっている形態とすることができる。そして、このような好ましい形態を含む第3構成の撮像装置において、
各第1温度検出素子は、赤外線入射側に赤外線吸収層を有し、赤外線入射側とは反対側に赤外線反射層を有し、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子における赤外線吸収層、又は、赤外線反射層、又は、赤外線吸収層及び赤外線反射層の面積、又は、厚さ、又は、面積及び厚さは異なっている形態とすることができる。即ち、
(ケースa)各第1温度検出素子における赤外線吸収層の面積が異なっており、赤外線反射層の面積は同じである形態
(ケースb)各第1温度検出素子における赤外線反射層の面積が異なっており、赤外線吸収層の面積は同じである形態
(ケースc)各第1温度検出素子における赤外線吸収層の面積が異なっており、赤外線反射層の面積が異なっている形態
(ケースd)各第1温度検出素子における赤外線吸収層の厚さが異なっており、赤外線反射層の厚さは同じである形態
(ケースe)各第1温度検出素子における赤外線反射層の厚さが異なっており、赤外線吸収層の厚さは同じである形態
(ケースf)各第1温度検出素子における赤外線吸収層の厚さが異なっており、赤外線反射層の厚さが異なっている形態
(ケースg)各第1温度検出素子における赤外線吸収層の面積及び厚さが異なっており、赤外線反射層の面積及び厚さは同じである形態
(ケースh)各第1温度検出素子における赤外線反射層の面積及び厚さが異なっており、赤外線吸収層の面積及び厚さは同じである形態
(ケースi)各第1温度検出素子における赤外線吸収層の面積及び厚さが異なっており、赤外線反射層の面積及び厚さが異なっている形態
とすることができる。
【0052】
第2構成の撮像装置あるいは第3構成の撮像装置において、第1温度検出素子集合体を構成する第1温度検出素子の数は、2以上であればよい。
【0053】
第2構造体における駆動回路を被覆する被覆層は、例えば、酸化シリコン系材料、窒化シリコン系材料、酸窒化シリコン系材料、各種有機材料から構成することができる。被覆層は、単層構成であってもよいし、複数層の積層構造を有していてもよい。
【0054】
第1構造体と第2構造体との積層、具体的には、第1基板と被覆層との接合、より具体的には、隔壁の底部と被覆層との接合方法として、例えば、脱水縮合によるシリコン-酸素共有結合の形成といった方法(Si-SiO2に基づく常温接合法)、SiO2-SiO2に基づく常温接合法を挙げることができる。あるいは又、第1駆動線及び第1信号線を介しての第1温度検出素子と駆動回路との接続、第2駆動線及び第2信号線を介しての駆動回路と第2温度検出素子との接続、第3駆動線及び第1信号線を介しての駆動回路と第3素子との接続において、コンタクトホールやビヤホール、各種パッド部を設ける場合、これらのコンタクトホールやビヤホール、各種パッド部といった接続部を用いて、第1構造体と第2構造体とを積層してもよい。
【0055】
接続部を構成する材料として、銅(Cu)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、金(Au)、カーボンナノチューブやグラフェン等のカーボン、チタン-タングステン合金(TiW)、ポリシリコンを挙げることができる。コンタクトホールやビヤホール[スルーチップビヤ(TCV)あるいはスルーシリコンビヤ(TSV)とも呼ばれる]の形成方法として、各種CVD法や各種PVD法を挙げることができる。尚、これらの接続孔は、また、駆動回路を構成する配線や配線層を構成する材料としても、上記と同様の材料を挙げることができる。
【0056】
あるいは又、金属層又は合金層の形成し、常温にて、あるいは、加熱した状態で、圧力(加重)を加えて、直接、接合する方法(金属-金属接合法)を挙げることができる。
【0057】
パッド部を構成する材料として、ハンダ・ボール、ハンダ・ペースト、AuSn共晶ハンダ、半田やインジウム、金(Au)等を含むバンプ、所謂低融点金属(合金)材料や半田材料、ロウ材を用いることができ、例えば、In(インジウム:融点157゜C);インジウム-金系の低融点合金;Sn80Ag20(融点220~370゜C)、Sn95Cu5(融点227~370゜C)等の錫(Sn)系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、Pb94.5Ag5.5(融点304~365゜C)、Pb97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300~314゜C)、Sn2Pb98(融点316~322゜C)等の錫-鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点381゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)を挙げることができるし、パッド部の形成方法として、各種CVD法や各種PVD法、各種印刷法を挙げることができる。パッド部部同士を接続するためには、これらの材料を加熱すればよい。あるいは又、半田やインジウム、金(Au)等を含むバンプを用いる方法、チップ・オン・チップ方式に基づく方法を挙げることができる。
【0058】
赤外線吸収層を構成する材料として、クロム(Cr)及びその合金、アルミニウム(Al)及びその合金、これらの材料から成る層と例えばSiO2膜やSiN膜との積層構造を例示することができる。赤外線吸収層において赤外線が吸収される結果発生した熱は、第1温度検出素子に確実に伝熱されることが望ましい。また、赤外線吸収層は、赤外線吸収層を構成する導電体材料や抵抗体材料のシート抵抗値が377Ω□±30%の範囲になるよう厚さに設定することが望ましい。赤外線反射層を構成する材料として、赤外線吸収層とは特性(例えば、面積抵抗率、シート抵抗値)が異なるアルミニウム(Al)及びその合金、金(Au)及びその合金、銀(Ag)及びその合金、銅(Cu)及びその合金、白金(Pt)及びその合金、これらの材料から成る層の積層構造を例示することができる。赤外線反射層は、被覆層の露出面を構成する金属材料層や合金材料層を兼ねていてもよい。
【0059】
第1温度検出素子が配置される空間は、減圧され、また、真空(真空に近い低圧を含み、以下においても同様)とされていることが好ましい。空所も、減圧され、また、真空とされていることが好ましい。あるいは又、撮像装置、全体は、減圧され、また、真空にされたパッケージあるいは容器(ケース)内に格納されていることが好ましい。
【0060】
赤外線入射側の撮像装置には、必要に応じて、赤外線の反射を防止する構造や、特定周波数の赤外線のみを通すための赤外線フィルタ、回折格子やレンズ等の集光素子を配設してもよい。
【0061】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む第1構成の撮像装置~第4構成の撮像装置とを、任意に組み合わせることができる。組み合わせは、2種類の構成の撮像装置だけでなく、3種類以上の構成の撮像装置とすることもできる。
【0062】
本開示の撮像装置等において、第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に(具体的には、例えば、2次元マトリクス状に)配列され、赤外線に基づき温度を検出する複数の第1温度検出素子あるいは第1温度検出素子集合体の数として、640×480(VGA)、320×240(QVGA)、160×120(QQVGA)、612×512、1980×1080(及びその整数倍)、2048×1080(及びその整数倍)を例示することができる。第1の方向と第2の方向とは、直交していることが好ましいが、これに限定するものではなく、上記画素数の画素配列において、画素を市松状に除去して、斜め45度回転した配列としてもよい。
【0063】
本開示における撮像装置等は、例えば、赤外線カメラ、暗視カメラ、サーモグラフ、車載カメラ(人検知)、エアコンディショナー(人検知センサ)、電子レンジに対して適用することができる。尚、場合によっては、本開示における撮像装置等は、赤外線に基づき温度を検出する温度検出センサと云い換えることもできる。
【実施例1】
【0064】
実施例1は、本開示の第1の態様に係る撮像装置に関する。実施例1の撮像装置にあっては、対となった1つの第1温度検出素子及び第1つの2温度検出素子に対して1つの駆動回路が設けられている。実施例1の撮像装置の等価回路図を
図1に示す。また、実施例1の撮像装置の第1温度検出素子を含む領域(第1温度検出素子アレイ領域)の模式的な一部端面図を
図2に示し、模式的な部分的平面図を
図3に示し、実施例1の撮像装置における第1構造体及び第2構造体の模式的な分解斜視図を
図4に示す。実施例1の撮像装置は、具体的には、フェース・ツー・バック構造の撮像装置である。ここで、
図2は、
図3の矢印A-Aに沿った模式的な一部端面図である。また、
図3において、絶縁膜や赤外線吸収層の図示を省略し、明確化のために空所、信号線、配線に斜線を付し、駆動線を点線で示し、pn接合ダイオードを記号で示している。
【0065】
実施例1の撮像装置、あるいは、後述する実施例2~実施例9の撮像装置は、
第1構造体20、及び、第1構造体20に積層された第2構造体40から構成されており、
第1構造体20には、第1基板21、及び、第1基板21に設けられ、赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子16が備えられており、
第2構造体40には、第2基板41、及び、第2基板41に設けられ、第1駆動線72A及び第1信号線71Aを介して第1温度検出素子16が接続された駆動回路10Aが備えられており、
第2駆動線72B及び第2信号線71Bを介して駆動回路10Aに接続された温度参照用の第2温度検出素子17を更に備えており、
駆動回路10Aは、スイッチ回路101、第1電流源82A、第2電流源82B、差動増幅器83、及び、アナログ-デジタル変換回路(ADC)84を備えている。
【0066】
そして、第1温度検出素子16が接続された第1信号線71Aは、スイッチ回路101の第1入力端部101Aに接続されており、
第2温度検出素子17が接続された第2信号線71Bは、スイッチ回路101の第2入力端部101Bに接続されており、
スイッチ回路101の第1出力端部101Cは、差動増幅器83の第1入力端部83Aに接続されており、
スイッチ回路101の第2出力端部101Dは、差動増幅器83の第2入力端部83Bに接続されており、
第1電流源82Aは、差動増幅器83の第1入力端部83Aに接続されており、
第2電流源82Bは、差動増幅器83の第2入力端部83Bに接続されており、
差動増幅器83の出力端部83Cは、アナログ-デジタル変換回路84の入力部に接続されている。差動増幅器83は、アナログ・フロント・エンド(AFE)に含まれている。アナログ-デジタル変換回路(ADC)84は、例えば、デルタ-シグマ変調型(ΔΣ変調型)アナログ-デジタル変換回路から構成されている。
【0067】
更には、スイッチ回路101において、スイッチ回路101の第1入力端部101Aと第1出力端部101Cが接続される場合、スイッチ回路101の第2入力端部101Bと第2出力端部101Dが接続され、スイッチ回路101の第1入力端部101Aと第2出力端部101Dが接続される場合、スイッチ回路101の第2入力端部101Bと第1出力端部101Cが接続される。スイッチ回路101として、例えば、所謂バタフライスイッチ回路を挙げることができる。
【0068】
実施例1の撮像装置にあっては、更に、第1の方向(行方向)及び第1の方向とは異なる第2の方向(列方向)に2次元マトリクス状に第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17が配列されており、1つの第1温度検出素子16及び1つの第2温度検出素子17から成る温度検出素子ブロックに対して、1つの駆動回路10Aが設けられている。
図1において、第1温度検出素子16、第2温度検出素子17及び駆動回路10Aを、纏めて、参照番号10aで表示している。
【0069】
第1温度検出素子16の下方の第2基板41の領域に、第2温度検出素子17及び駆動回路10Aが設けられている。第2構造体40において、駆動回路10Aが形成された層を、模式的に参照番号42で示す。第1温度検出素子16に関しては、後に詳しく説明する。第2温度検出素子17は半導体温度センサ素子から成る。撮像装置の構成、構造、第2温度検出素子17の構成、構造に依存して、第2温度検出素子17を第1基板21に設けてもよい。以下の実施例においても同様である。
【0070】
第1構造体20は、
図4に示すように、第1温度検出素子16を備えた第1温度検出素子アレイ領域11(点線で囲んで示す)、及び、第1温度検出素子アレイ領域11を取り囲む周辺領域12を有しており、第2構造体40は中央領域13及び周辺領域14を有している。駆動部を構成する垂直走査回路81及び水平走査回路85は、第2構造体40の周辺領域14及び中央領域13に設けられている。また、第2構造体40の中央領域13には、更に、例えば、駆動回路10Aを構成するCPU(あるいはDSP)、信号処理回路、記憶装置(例えば、メモリや不揮発性メモリ素子)等が配置されている。尚、CPU(あるいはDSP)、信号処理回路、記憶装置の図示は省略した。第1温度検出素子16毎に、動作時の補正のための補正係数が不揮発性メモリ素子に記憶されている。不揮発性メモリ素子に記憶する動作時の補正のための補正係数として、例えば、デジタル信号処理において画素毎に1次関数による補正を行うためのオフセット値とゲイン値を挙げることができる。このような補正により、画素毎の製造ばらつきに起因する赤外線吸収率の違いや画素から半導体基板ヘの熱伝導の違いを補正可能にする。同様に、不良画素・不良列等を目立たたなくするために行うデジタル信号処理による欠陥補正の要不要を表すフラグも、不揮発性メモリ素子に記憶しておくことが望ましい。
【0071】
第1基板21に設けられた第1温度検出素子16は、第1基板21に設けられた第1信号線71A、第1基板21及び第2基板41に設けられた接続孔(コンタクトホール)74、並びに、第2基板41に設けられた第1信号線(
図2には図示せず)を介して、第2基板41に設けられたスイッチ回路101の第1入力端部101Aに接続されている。また、駆動部を構成する垂直走査回路81から延びる第1駆動線72A(
図2には図示せず)は、第2構造体40の周辺領域14及び第1構造体20の周辺領域12に設けられた接続孔(図示せず)へと延び、この接続孔から第1基板21の上を第1駆動線72Aが第1温度検出素子16まで延び、第1温度検出素子16に接続されている。
【0072】
第2基板41に設けられた第2温度検出素子17は、第2基板41に設けられた第2信号線71B(
図2には図示せず)を介して、第2基板41に設けられたスイッチ回路101の第2入力端部101Bに接続されている。また、駆動部を構成する垂直走査回路81から延びる第2駆動線72B(第2基板41に設けられているが、
図2には図示せず)は、第2温度検出素子17に接続されている。
【0073】
アナログ-デジタル変換回路84の出力部は、出力線73に接続され、出力線73は水平走査回路85に接続されている。各種駆動線、各種信号線は、撮像装置の構成、構造に依存して、第1基板及び第2基板に跨がって形成されていてもよい。以下の実施例においても同様である。
【0074】
以下、実施例1の撮像装置の動作を説明するが、時刻t0からt1の期間Δt1、時刻t1からt2の期間Δt2、後述する時刻t2からt3の期間Δt3、時刻t3からt4の期間Δt4における信号やノイズの値を、以下のとおり定義する。尚、差動増幅器83への入力前、差動増幅器83からの出力後において、信号やノイズの値は変化するが、同じ記号で表示する。
【0075】
期間Δt1:
第1温度検出素子16の出力 :SgA1
第2温度検出素子17の出力 :SgB1
第1電流源82Aによって生成されるノイズ :Nz(PS)A1
第2電流源82Bによって生成されるノイズ :Nz(PS)B1
差動増幅器83の第1入力端部83Aにおける
トランジスタによって生成されるノイズ :Nz(AP)A1
差動増幅器83の第2入力端部83Bにおける
トランジスタによって生成されるノイズ :Nz(AP)B1
【0076】
期間Δt2:
第1温度検出素子16の出力 :SgA2
第2温度検出素子17の出力 :SgB2
第1電流源82Aによって生成されるノイズ :Nz(PS)A2
第2電流源82Bによって生成されるノイズ :Nz(PS)B2
差動増幅器83の第1入力端部83Aにおける
トランジスタによって生成されるノイズ :Nz(AP)A2
差動増幅器83の第2入力端部83Bにおける
トランジスタによって生成されるノイズ :Nz(AP)B2
【0077】
期間Δt3:
第1温度検出素子16の出力 :SgA3
第2温度検出素子17の出力 :SgB3
第1電流源82Aによって生成されるノイズ :Nz(PS)A3
第2電流源82Bによって生成されるノイズ :Nz(PS)B3
差動増幅器83の第1入力端部83Aにおける
トランジスタによって生成されるノイズ :Nz(AP)A3
差動増幅器83の第2入力端部83Bにおける
トランジスタによって生成されるノイズ :Nz(AP)B3
【0078】
期間Δt4:
第1温度検出素子16の出力 :SgA4
第2温度検出素子17の出力 :SgB4
第1電流源82Aによって生成されるノイズ :Nz(PS)A4
第2電流源82Bによって生成されるノイズ :Nz(PS)B4
差動増幅器83の第1入力端部83Aにおける
トランジスタによって生成されるノイズ :Nz(AP)A4
差動増幅器83の第2入力端部83Bにおける
トランジスタによって生成されるノイズ :Nz(AP)B4
【0079】
ところで、実施例1の撮像装置にあっては、電流源82A,82B及び差動増幅器83の入力段を構成するトランジスタにおいて発生するノイズが主たるノイズ(1/fノイズ)であり、実施例1の撮像装置にあってはこれらのノイズの低減を図っている。
【0080】
先ず、期間Δt1(時刻t0からt1の期間)にあっては、スイッチ回路101において、スイッチ回路101の第1入力端部101Aと第1出力端部101Cが接続され、スイッチ回路101の第2入力端部101Bと第2出力端部101Dが接続されているとする。この状態において、第1温度検出素子16の出力SgA1はスイッチ回路101の第1出力端部101Cに現れ、差動増幅器83の第1入力端部83Aに入力される。また、第2温度検出素子17の出力SgB1はスイッチ回路101の第2出力端部101Dに現れ、差動増幅器83の第2入力端部83Bに入力される。そして、差動増幅器83の出力端部83Cから、以下の信号Aがアナログ-デジタル変換回路84に入力され、アナログ-デジタル変換回路84からの出力が、出力線73を介して水平走査回路85に送られる。
信号A= {SgA1+Nz(PS)A1+Nz(AP)A1}
-{SgB1+Nz(PS)B1+Nz(AP)B1}
【0081】
次に、期間Δ2(時刻t1からt2の期間)にあっては、スイッチ回路101において、スイッチ回路101の第1入力端部101Aと第2出力端部101Dが接続され、スイッチ回路101の第2入力端部101Bと第1出力端部101Cが接続される。この状態において、第1温度検出素子16の出力SgA2はスイッチ回路101の第2出力端部101Dに現れ、差動増幅器83の第2入力端部83Bに入力される。また、第2温度検出素子17の出力SgB2はスイッチ回路101の第1出力端部101Cに現れ、差動増幅器83の第1入力端部83Aに入力される。そして、差動増幅器83の出力端部83Cから、以下の信号Bがアナログ-デジタル変換回路84に入力され、アナログ-デジタル変換回路84からの出力が、出力線73を介して水平走査回路85に送られる。
信号B= {SgB2+Nz(PS)A2+Nz(AP)A2}
-{SgA2+Nz(PS)B2+Nz(AP)B2}
【0082】
水平走査回路85においては、信号Aから信号Bが減算される。そして、得られた信号Cが信号処理回路に送出される。
信号C=信号A-信号B
= [{SgA1+Nz(PS)A1+Nz(AP)A1}
-{SgB1+Nz(PS)B1+Nz(AP)B1}]
-[{SgB2+Nz(PS)A2+Nz(AP)A2}
-{SgA2+Nz(PS)B2+Nz(AP)B2}]
=(SgA1+SgA2)-(SgB1+SgB2)
+Nz(PS)A1-Nz(PS)A2-Nz(PS)B1+Nz(PS)B2
+Nz(AP)A1-Nz(AP)A2-Nz(AP)B1+Nz(AP)B2 (1)
【0083】
ここで、第1温度検出素子16の出力及び第2温度検出素子17の出力及びノイズの値が、期間Δt1と期間Δt2との間で変化が無いと仮定すれば、上記の式(1)の右辺の第3項及び第4項は「0」となり、ノイズはキャンセルされ、信号Cは以下のとおりとなる。
信号C=2(SgA1-SgB1)
【0084】
以上の処理を、1行に配設された第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17に対して行った後、次の行に配設された第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17に対して行う、といった処理を、順次、行えばよい。
【0085】
以上のとおり、実施例1の撮像装置にあっては、電流源82A,82B及び差動増幅器83の入力段を構成するトランジスタにおいて発生するノイズ、具体的には、1/fノイズを効果的に除去することができる。尚、1/fノイズは時間周波数の低い成分のパワーが支配的であり、期間Δt1及び期間Δt2の短い時間間隔では時間周波数の低いノイズ成分の変化が「0」に近いとみなせるため、1/fノイズの除去を効果的に行うことができる。また、第1電流源82Aと第2電流源82Bのオフセットのキャンセル、差動増幅器83の入力部のオフセットのキャンセルを行うこともできる。しかも、対となった1つの第1温度検出素子16及び1つの第2温度検出素子17に対して1つの駆動回路10Aが設けられているので、1フレーム当たりの第1温度検出素子16からの信号の積分時間を長くすることが可能となり、一層のノイズ低減を図ることができる。また、第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17を用いることで、温度測定精度の向上を図ることができる。
【0086】
図22に一例を示すシングルスロープ型アナログ-デジタル変換回路から成るAD変換回路400は、
ランプ電圧生成器(参照電圧生成部)401、
温度検出素子等によって取得されたアナログ信号と、ランプ電圧生成器(参照電圧生成部)401からのランプ電圧とが入力される比較器(コンパレータ)402、及び、
制御回路10Aに設けられたクロック供給部(図示せず)からクロックCKが供給され、比較器402の出力信号に基づいて動作するカウンタ部403、
を有する。
【0087】
図23Aに一例を示すΔΣAD変換回路410は、少なくとも、積分器411、量子化器(比較器、コンパレータ)412、遅延回路413、フィードバック系の一部を形成するデジタル-アナログ変換回路(DA変換回路)414、及び、入力部として機能し、レベルシフト機能を有する加算器415を備えている。そして、ΔΣAD変換回路410においては、温度検出素子等からのアナログ信号は、積分器411、量子化器412を通されて1ビットデータとされ、デシメーション回路(デシメーションフィルタ回路)421に出力される。デシメーション回路(デシメーションフィルタ回路)421にあっては、1ビットデータが多ビット化され、基本的にタイムスロット毎に「1」の数をデジタル加算する。尚、アナログ-デジタル変換回路(ADC)としてΔΣAD変換回路を使用する場合、バタフライスイッチの切り替えに伴ってデシメーション回路に与える係数の符号を反転させることで、
図1の水平走査回路85の内部で行う信号の減算をアナログ-デジタル変換回路の内部で行う構成とすることもできる。この場合、係数の符号を急速に反転する構成でもよく、また、係数を時刻の区分多項式等により作成した連続関数によって正の値から負の値へと、又は、負の値から正の値へと、緩慢に変化させる構成としてもよい。係数の符号を急速に反転する構成は、減算すべき2信号間のクロストークを最小にできる利点がある一方で、量子化ノイズの増加を招く可能性がある。これは、ΔΣAD変換回路における1ビット変換では量子化ノイズの一部が次の変換に繰り越される性質があり、繰り越した量子化ノイズがデシメーション回路による加算平均によって通常減衰するべきところ減算によって増大する場合があるからである。繰り越した量子化ノイズが増大する欠点は係数変化を時間的に緩慢にすることによって低減することができる。
【0088】
図23Aには、1次のΔΣAD変調回路410を例に示しているが、n次、例えば、
図23Bに示すように、2次のΔΣAD変換回路410Aを適用することもできる。また、
図23Bに示す例では、デシメーションフィルタ回路として、2次のデシメーションフィルタ回路が適用される。但し、デシメーションフィルタ回路として、3次のデシメーションフィルタ回路を適用することも可能である。2次のΔΣAD変換回路410Aは、
図23Bに示すように、インクリメンタル型ΔΣAD変換回路として構成され、ΔΣ変調器としての2つの積分器411
1,411
2、2つの遅延回路413
1,413
2、2つのDA変換回路414
1,414
2、及び、2つの加算器415
1,415
2を備えている。尚、2次のΔΣAD変調器を使用する場合にも、バタフライスイッチの切り替えに伴ってデシメーション回路に与える係数の符号を反転させることによって、水平走査回路85で行う信号の減算と同等の作用を生じさせる構成としてもよい。符号を急激に切り替える構成としてもよいし、フィルタ係数を、負の値から正の値へと、また、正の値から負の値へと、緩慢に変化させる構成としてもよい点も、1次の場合と同様である。
【実施例2】
【0089】
実施例2は実施例1の変形である。実施例1の撮像装置にあっては、対となった複数(P[個])の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子に対して1つの駆動回路が設けられている。実施例2の撮像装置の等価回路図を
図5に示し、温度検出素子ブロックの等価回路図を
図6に示す。尚、
図5において、温度検出素子ブロック15、第2温度検出素子17、マルチプレクサ回路18及び駆動回路10Aを、纏めて、参照番号10bで表示している。
【0090】
実施例2の撮像装置にあっては、第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17が配列されており、
複数(P[個])の第1温度検出素子16及び1つの第2温度検出素子17から成る温度検出素子ブロック15に対して、1つの駆動回路10Aが設けられており、
各温度検出素子ブロック15において、複数(P[個])の第1温度検出素子16は同じ第1駆動線72Aに接続されており、複数(P[個])の第1温度検出素子16のそれぞれに接続された第1信号線71Aは、駆動回路10Aに備えられたマルチプレクサ回路18を介してスイッチ回路101の第1入力端部101Aに接続されている。
【0091】
ここで、
図6に図示した例では、P=4とした。温度検出素子ブロック15を構成する4つの第1温度検出素子16は、例えば、行方向×列方向に2×2で配列すればよい。但し、これに限定されるものではなく、例えば、3×3、4×4等とすることもできる。
【0092】
実施例2の撮像装置の動作にあっては、先ず、温度検出素子ブロック15を構成する4つの第1温度検出素子16の内の第1番目の第1温度検出素子16と、第2温度検出素子17との間で、実施例1において説明した撮像装置の動作を行う。次いで、温度検出素子ブロック15を構成する4つの第1温度検出素子16の内の第2番目、第3番目、第4番目の第1温度検出素子16と、第2温度検出素子17との間で、順次、実施例1において説明した撮像装置の動作を行えばよい。
【実施例3】
【0093】
実施例3は、実施例1~実施例2の変形である。実施例3の撮像装置の等価回路図を
図7に示す。尚、
図7において、第1温度検出素子16、第2温度検出素子17、第3素子19及び駆動回路10Aを、纏めて、参照番号10cで表示している。実施例3の撮像装置にあっては、
第3駆動線72C及び第1信号線71Aを介して駆動回路10Aに接続されたゲイン測定用の第3素子19を更に備えており、
第3素子19の出力電圧は第2温度検出素子17の出力電圧と異なる。
【0094】
第3素子19の出力電圧と第2温度検出素子17の出力電圧とを異ならせるためには、前述したとおりの各種手段を採用すればよい。また、第3素子19は、例えば、第2の方向(行方向)に沿って、1列ごとに1つずつ、配設すればよい。
【0095】
実施例3の撮像装置にあっては、1フレームに1回、第1温度検出素子16を作動させる代わりに、第3素子を作動させる。これによって、アナログ回路の列毎のゲインのバラツキ、即ち、第1の方向に沿ったゲインのバラツキを求めることができる。そして、ゲインのバラツキに基づく補正係数をメモリに記憶し、次の1フレームにおいて、得られるアナログ-デジタル変換値に補正係数を乗ずることで、第1の方向に沿ったゲインのバラツキ発生の抑制を図ることができる。即ち、撮像装置によって得られる画像における縦筋の発生を抑制することができる。
【実施例4】
【0096】
実施例4も実施例1の変形である。実施例4の撮像装置にあっては、1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子に1つの駆動回路が設けられている。実施例4の撮像装置の等価回路図を
図8に示す。
【0097】
実施例4の撮像装置にあっては、第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占めるN[個](但し、N≧2)の第1温度検出素子16及びN[個]の第2温度検出素子17に対して、1つの駆動回路10Bが設けられている。Nの値は、撮像装置の仕様に依る。
【0098】
実施例4の撮像装置においても、差動増幅器83は、アナログ・フロント・エンド(AFE)に含まれている。アナログ-デジタル変換回路(ADC)84は、例えば、シングルスロープ型アナログ-デジタル変換回路から構成されている。また、実施例4の撮像装置において、第1電流源82A及び第2電流源82Bは、差動増幅器83の近傍に配設されている。
【0099】
第1温度検出素子16の下方の第2基板41の領域に、第2温度検出素子17が設けられている。駆動部を構成する垂直走査回路81及び水平走査回路85は、第2構造体40の周辺領域14及び中央領域13に設けられている。第2構造体40における中央領域13には、更に、例えば、駆動回路10Bを構成するCPU(あるいはDSP)、信号処理回路、記憶装置(例えば、メモリや不揮発性メモリ素子)等が配置されている。尚、CPU(あるいはDSP)、信号処理回路、記憶装置の図示は省略した。第1温度検出素子16毎に、動作時の補正のための補正係数が不揮発性メモリ素子に記憶されている。
【0100】
第1基板21に設けられた第1温度検出素子16は、第1基板21に設けられた第1信号線71A、第1構造体20の周辺領域12及び第2構造体40の周辺領域14に設けられた接続孔(図示せず)、第2基板41に設けられた第1信号線(図示せず)を介して、第2基板41に設けられたスイッチ回路101の第1入力端部101Aに接続されている。また、第1温度検出素子16は、第1基板21に設けられた第1駆動線72A、第1構造体20の周辺領域12及び第2構造体40の周辺領域14に設けられた接続孔(図示せず)、第2基板41に設けられた第1駆動線(図示せず)を介して、第2基板41に設けられた垂直走査回路81に接続されている。
【0101】
また、第2基板41に設けられた第2温度検出素子17は、第2基板41に設けられた第2信号線71Bを介して、第2基板41に設けられたスイッチ回路101の第2入力端部101Bに接続されているし、第2駆動線72Bを介して垂直走査回路81に接続されている。
【0102】
実施例4の撮像装置の動作は、実質的に実施例1の撮像装置の動作と同様することができるので、詳細な説明は省略する。
【0103】
以上のとおり、実施例4の撮像装置にあっても、電流源82A,82B及び差動増幅器83の入力段を構成するトランジスタにおいて発生するノイズ、具体的には、1/fノイズを効果的に除去することができる。
【実施例5】
【0104】
実施例5は、実施例4の変形である。実施例5の撮像装置の等価回路図を
図9に示す。尚、温度検出素子ブロックの等価回路図は
図6に示したとおりである。
【0105】
具体的には、実施例5の撮像装置において、
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17は、複数(Q[個])の温度検出素子ブロック15のいずれかに属し、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17に対して、1つの駆動回路10Bが設けられており、
各温度検出素子ブロック15は、複数(P[個])の第1温度検出素子16及び1つの第2温度検出素子17から構成されており、
各温度検出素子ブロック15において、複数(P[個])の第1温度検出素子16は同じ第1駆動線72Aに接続されており、複数(P[個])の第1温度検出素子16のそれぞれに接続された第1信号線71Aは、駆動回路10Bに備えられたマルチプレクサ回路18を介してスイッチ回路101の第1入力端部101Bに接続されている。尚、N=P×Qの関係にある。
【0106】
ここで、
図6に図示した例では、P=4とした。温度検出素子ブロック15を構成する4つの第1温度検出素子16は、例えば、行方向×列方向に2×2で配列すればよい。但し、これに限定されるものではなく、例えば、3×3、4×4等とすることもできる。実施例5の撮像装置の動作は、実質的に、実施例4及び実施例2の動作と同様することができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例6】
【0107】
実施例6も、実施例4の変形である。実施例6の撮像装置の等価回路図を
図10に示す。尚、温度検出素子ブロックの等価回路図は
図6に示したとおりである。尚、
図10において、駆動部を構成する垂直走査回路81及び水平走査回路85の図示を省略した。
【0108】
具体的には、実施例6の撮像装置は、列並列ADC構造を有しており、
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17は、第2の方向に沿って配列された複数(R[個]であり、具体的には、実施例6にあっては、R=2)の温度検出素子ユニット15A,15Bのいずれかに属し、
複数(R[個])の温度検出素子ユニット15A,15Bのそれぞれは、1つの駆動回路10Bに接続されており、
各温度検出素子ユニット15A,15Bを占める第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17は、複数(Q[個]であり、具体的には、実施例6にあっては、Q=N/Rの)の温度検出素子ブロック15のいずれかに属し、
各温度検出素子ブロック15は、1又は複数(P[個]であり、具体的には、実施例6にあっては、P=1)の第1温度検出素子16及び1つの第2温度検出素子17から構成されており、
各温度検出素子ブロック15において、1又は複数(P[個])の第1温度検出素子16は同じ第1駆動線72Aに接続されており、1又は複数(P[個])の第1温度検出素子16のそれぞれに接続された第1信号線71Aは、P=1の場合、スイッチ回路101の第1入力端部101Aに接続されており、P≧2の場合、駆動回路10Bに備えられたマルチプレクサ回路18を介してスイッチ回路101の第1入力端部101Aに接続されている。尚、N=P×Q×Rの関係にある。また、Pの値は「1」に限定するものではないし、Rの値は「2」に限定するものではない。
【0109】
実施例6の撮像装置の動作は、実質的に、実施例4あるいは実施例4及び実施例2の動作と同様することができるので、詳細な説明は省略する。また、実施例6の撮像装置は列並列ADC構造を有するので、1フレーム当たりの第1温度検出素子16からの信号の積分時間を長くすることができ、一層のノイズ低減を図ることができる。
【実施例7】
【0110】
実施例7は、実施例4~実施例6の変形であり、実施例4~実施例6に実施例3を組み合わせたものである。即ち、実施例7の撮像装置は、
第3駆動線72C及び第1信号線71Aを介して駆動回路10Bに接続されたゲイン測定用の第3素子19を更に備えており、
第3素子19の出力電圧は第2温度検出素子17の出力電圧と異なる。
【0111】
実施例4において説明した撮像装置と実施例3において説明した撮像装置とを組み合わせた実施例7の撮像装置の等価回路図を
図11に示す。
【実施例8】
【0112】
実施例8は、実施例1の変形であるが、本開示の第1-Aの態様に係る撮像装置に関する。実施例8の撮像装置の等価回路図を
図12に示す。
【0113】
実施例8の撮像装置において、
駆動回路10Cは、第2スイッチ回路102を更に備えており、
第1電流源82Aは、差動増幅器83の第1入力端部83Aに接続される代わりに、第2スイッチ回路102の第1入力端部102Aに接続されており、
第2電流源82Bは、差動増幅器83の第2入力端部83Bに接続される代わりに、第2スイッチ回路102の第2入力端部102Bに接続されており、
第2スイッチ回路102の第1出力端部102Cは、差動増幅器83の第1入力端部83Aに接続されており、
第2スイッチ回路102の第2出力端部102Dは、差動増幅器83の第2入力端部83Bに接続されており、
第2スイッチ回路102の第1入力端部102Aと第1出力端部102Cが接続される場合、第2スイッチ回路102の第2入力端部102Bと第2出力端部102Dが接続され、第2スイッチ回路102の第1入力端部102Aと第2出力端部102Dが接続される場合、第2スイッチ回路102の第2入力端部102Bと第1出力端部102Cが接続される。尚、以下の説明において、スイッチ回路101を、便宜上、『第1スイッチ回路101』と呼ぶ場合がある。
【0114】
そして、実施例8の撮像装置にあっては、
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占めるN[個](但し、N≧2)の第1温度検出素子16及びN[個]の第2温度検出素子17に対して、1つの駆動回路10Cが設けられている。
【0115】
実施例8の撮像装置においても、差動増幅器83は、アナログ・フロント・エンド(AFE)に含まれている。アナログ-デジタル変換回路(ADC)84は、例えば、シングルスロープ型アナログ-デジタル変換回路から構成されている。また、実施例8の撮像装置にあっては、第1電流源82A及び第2電流源82Bは、差動増幅器83の近傍に配設されている。
【0116】
以下、実施例8の撮像装置の動作を説明するが、説明において使用する記号の意味は、前述したとおりである。
【0117】
先ず、期間Δt1(時刻t0からt1の期間)にあっては、第1スイッチ回路101において、第1スイッチ回路101の第1入力端部101Aと第1出力端部101Cが接続され、第1スイッチ回路101の第2入力端部101Bと第2出力端部101Dが接続されており、第2スイッチ回路102において、第2スイッチ回路102の第1入力端部102Aと第1出力端部102Cが接続され、第2スイッチ回路102の第2入力端部102Bと第2出力端部102Dが接続されているとする。この状態において、第1温度検出素子16の出力SgA1は第1スイッチ回路101の第1出力端部101Cに現れ、差動増幅器83の第1入力端部83Aに入力される。また、第2温度検出素子17の出力SgB1は第1スイッチ回路101の第2出力端部101Dに現れ、差動増幅器83の第2入力端部83Bに入力される。そして、差動増幅器83の出力端部83Cから、以下の信号Aがアナログ-デジタル変換回路84に入力され、アナログ-デジタル変換回路84からの出力が水平走査回路85に送られる。
信号A= {SgA1+Nz(PS)A1+Nz(AP)A1}
-{SgB1+Nz(PS)B1+Nz(AP)B1}
【0118】
次に、期間Δt2(時刻t1からt2の期間)にあっては、第1スイッチ回路101は変わない一方、第2スイッチ回路102において、第2スイッチ回路102の第1入力端部102Aと第2出力端部102Dが接続され、第2スイッチ回路102の第2入力端部102Bと第1出力端部102Cが接続されるとする。この状態において、第1温度検出素子16の出力SgA2は第1スイッチ回路101の第1出力端部101Cに現れ、差動増幅器83の第1入力端部83Aに入力される。また、第2温度検出素子17の出力SgB2は第1スイッチ回路101の第2出力端部101Dに現れ、差動増幅器83の第2入力端部83Bに入力される。そして、差動増幅器83の出力端部83Cから、以下の信号Bがアナログ-デジタル変換回路84に入力され、アナログ-デジタル変換回路84からの出力が水平走査回路85に送られる。
信号B= {SgA2+Nz(PS)B2+Nz(AP)A2}
-{SgB2+Nz(PS)A2+Nz(AP)B2}
【0119】
次に、期間Δt3(時刻t2からt3の期間)にあっては、第1スイッチ回路101において、第1スイッチ回路101の第1入力端部101Aと第2出力端部101Dが接続され、第1スイッチ回路101の第2入力端部101Bと第1出力端部101Cが接続されるとする。また、第2スイッチ回路102において、第2スイッチ回路102の第1入力端部102Aと第1出力端部102Cが接続され、第2スイッチ回路102の第2入力端部102Bと第2出力端部102Dが接続されるとする。この状態において、第1温度検出素子16の出力SgA3は第1スイッチ回路101の第2出力端部101Dに現れ、差動増幅器83の第2入力端部83Bに入力される。また、第2温度検出素子17の出力SgB3は第1スイッチ回路101の第1出力端部101Cに現れ、差動増幅器83の第1入力端部83Aに入力される。そして、差動増幅器83の出力端部83Cから、以下の信号Cがアナログ-デジタル変換回路84に入力され、アナログ-デジタル変換回路84からの出力が水平走査回路85に送られる。
信号C= {SgB3+Nz(PS)A3+Nz(AP)A3}
-{SgA3+Nz(PS)B3+Nz(AP)B3}
【0120】
次に、期間Δt4(時刻t3からt4の期間)にあっては、第1スイッチ回路101は変わない一方、第2スイッチ回路102において、第2スイッチ回路102の第1入力端部102Aと第2出力端部102Dが接続され、第2スイッチ回路102の第2入力端部102Bと第1出力端部102Cが接続されるとする。この状態において、第1温度検出素子16の出力SgA4は第1スイッチ回路101の第2出力端部101Dに現れ、差動増幅器83の第2入力端部83Bに入力される。また、第2温度検出素子17の出力SgB4は第1スイッチ回路101の第1出力端部101Cに現れ、差動増幅器83の第1入力端部83Aに入力される。そして、差動増幅器83の出力端部83Cから、以下の信号Dがアナログ-デジタル変換回路84に入力され、アナログ-デジタル変換回路84からの出力が水平走査回路85に送られる。
信号D= {SgB4+Nz(PS)B4+Nz(AP)A4}
-{SgA4+Nz(PS)A4+Nz(AP)B4}
【0121】
水平走査回路85においては、信号Aと信号Bが加算され、信号Cと信号Dが減算される。そして、得られた信号Eが信号処理回路に送出される。
信号E
=信号A+信号B-信号C-信号D
={SgA1+Nz(PS)A1+Nz(AP)A1}
-{SgB1+Nz(PS)B1+Nz(AP)B1}
+{SgA2+Nz(PS)B2+Nz(AP)A2}
-{SgB2+Nz(PS)A2+Nz(AP)B2}
-{SgB3+Nz(PS)A3+Nz(AP)A3}
+{SgA3+Nz(PS)B3+Nz(AP)B3}
-{SgB4+Nz(PS)B4+Nz(AP)A4}
+{SgA4+Nz(PS)A4+Nz(AP)B4}
= {SgA1+SgA2+SgA3+SgA4}
+{-SgB1-SgB2-SgB3-SgB4}
+{Nz(PS)A1-Nz(PS)A2-Nz(AP)A3+Nz(PS)A4}
+{-Nz(PS)B1+Nz(PS)B2+Nz(PS)B3-Nz(PS)B4}
+{Nz(AP)A1+Nz(AP)A2-Nz(PS)A3-Nz(AP)A4}
+{-Nz(AP)B1-Nz(AP)B2+Nz(AP)B3+Nz(AP)B4} (2)
【0122】
実施例1~実施例7にあっては、スイッチ回路が1つしか設けられていないので、第1電流源82A及び差動増幅器83の第1入力端部83Aにおけるトランジスタによって生成されるノイズを纏めて処理し、第2電流源82B及び差動増幅器83の第2入力端部83Bにおけるトランジスタによって生成されるノイズを纏めて処理している。しかしながら、第1電流源82Aにおけるトランジスタによって生成されるノイズが増減する事象と、差動増幅器83の第1入力端部83Aにおけるトランジスタによって生成されるノイズが増減する事象は独立している。同様に、第2電流源82Bにおけるトランジスタによって生成されるノイズが増減する事象と、差動増幅器83の第2入力端部83Bにおけるトランジスタによって生成されるノイズが増減する事象も独立している。従って、これらのノイズを独立してキャンセルする方が、より一層、ノイズのキャンセルを効果的に行うことができる。
【0123】
実施例8にあっては、スイッチ回路が2つ設けられているので、第1電流源82Aにおけるトランジスタによって生成されるノイズが増減する事象と、差動増幅器83の第1入力端部83Aにおけるトランジスタによって生成されるノイズが増減する事象とを、独立して処理することができる。同様に、第2電流源82Bにおけるトランジスタによって生成されるノイズが増減する事象と、差動増幅器83の第2入力端部83Bにおけるトランジスタによって生成されるノイズが増減する事象を、独立して処理することができる。従って、これらのノイズを独立してキャンセルできるので、より一層、ノイズのキャンセルを効果的に行うことができる。例えば、第1電流源82Aによって生成されるノイズNz(PS)Aが、実施例1~実施例7において、期間Δ1において増加し、期間Δ2において減少した場合、上記の式(1)の右辺の第3項は「0」とはならなくなる。一方、実施例1~実施例7における期間Δ1と同じ実施例8の期間Δ1及び期間Δ2において増加し、実施例1~実施例7における期間Δ2と同じ実施例8の期間Δ3及び期間Δ4において減少した場合、上記の式(2)の右辺の第3項は「0」となる。
【0124】
また、第1電流源82Aと第2電流源82Bの差動増幅器83への入力が第2スイッチ回路によって切り替えられるので、第1電流源82Aと第2電流源82Bとをチョッパ電流源と呼ぶことができ、第1電流源82Aと第2電流源82Bのオフセットのキャンセル、差動増幅器83の入力部のオフセットのキャンセル、1/fノイズの低減を図ることができる。
【0125】
以上の処理を、1行に配設された第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17に対して行った後、次の行に配設された第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17に対して行う、といった処理を、順次、行えばよい。尚、第1スイッチ回路101及び第2スイッチ回路102の切り替えの順序は例示であり、適宜、変更することができる。また、アナログ-デジタル変換回路の構造に依っては、アナログ-デジタル変換回路の入力部に入力信号を積分するための積分キャパシタが備えられているものがあるが、このような構造のアナログ-デジタル変換回路にあっては、積分キャパシタの容量値を適切に設定することで、アナログ-デジタル変換の時間アナログ-デジタル変換の分解能の最適化を図ればよい。
【0126】
尚、実施例8では、信号A,Bの加算と信号C,Dの減算は水平走査回路85に内包される図示しない加算回路や減算回路によって行う構成を示したが、加算回路や減算回路はこのような形態に限定されるものではなく、アナログ―デジタル変換回路の内部に含まれるデジタルフィルタ回路内部に設けられた回路によって係数符号を反転して加減算を行うことにより、同等のノイズキャンセルを行うことができる。また、差動増幅器の出力から積分キャパシタに流れる電流の極性を反転させるスイッチを付加し、このスイッチを切り替えることによって信号の加減算を行う構成としても、同等のノイズキャンセルを行うことができる。差動増幅器の入力と出力の両方に極性を反転させるバタフライスイッチを追加した場合、所謂「チョッパアンプ」と呼ばれる構成となる。
【0127】
実施例8の変形例の等価回路図を
図13に示すように、
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17は、複数(Q[個])の温度検出素子ブロック15のいずれかに属し、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17に対して、1つの駆動回路10Cが設けられており、
各温度検出素子ブロック15は、複数(P[個])の第1温度検出素子16及び1つの第2温度検出素子17から構成されており、
各温度検出素子ブロック15において、複数(P[個])の第1温度検出素子16は同じ第1駆動線72Aに接続されており、複数(P[個])の第1温度検出素子16のそれぞれに接続された第1信号線71Aは、駆動回路10Cに備えられたマルチプレクサ回路18を介して第1スイッチ回路101の第1入力端部101Aに接続されている。尚、N=P×Qの関係にある。
【0128】
ここで、
図13に図示した例では、P=4とした。温度検出素子ブロック15を構成する4つの第1温度検出素子16は、例えば、行方向×列方向に2×2で配列すればよい。但し、これに限定されるものではなく、例えば、3×3、4×4等とすることもできる。
【0129】
あるいは又、実施例8の別の変形例の等価回路図を
図14に示すように、列並列ADC構造を有しており、
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17は、第2の方向に沿って配列された複数(R[個]であり、具体的には、例えば、R=2)の温度検出素子ユニット15A,15Bのいずれかに属し、
複数(R[個])の温度検出素子ユニット15A,15Bのそれぞれは、1つの駆動回路10Cに接続されており、
各温度検出素子ユニット15A,15Bを占める第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17は、複数(Q[個]であり、具体的には、Q=N/R)の温度検出素子ブロック15のいずれかに属し、
各温度検出素子ブロック15は、1又は複数(P[個]、具体的には、例えば、P=1)の第1温度検出素子16及び1つの第2温度検出素子17から構成されており、
各温度検出素子ブロック15において、1又は複数(P[個])の第1温度検出素子16は同じ第1駆動線72Aに接続されており、1又は複数(P[個])の第1温度検出素子16のそれぞれに接続された第1信号線71Aは、P=1の場合、第1スイッチ回路101の第1入力端部101Aに接続されており、P≧2の場合、駆動回路10Cに備えられたマルチプレクサ回路18を介して第1スイッチ回路101の第1入力端部101Aに接続されている。尚、N=P×Q×Rの関係にある。また、Pの値は「1」に限定するものではないし、Rの値は「2」に限定するものではない。このように列並列ADC構造を採用することで、1フレーム当たりの第1温度検出素子16からの信号の積分時間を長くすることができ、一層のノイズ低減を図ることができる。
【0130】
あるいは又、実施例8と実施例3とを組み合わせることもできる。即ち、
第3駆動線72C及び第1信号線71Aを介して駆動回路10Cに接続されたゲイン測定用の第3素子19を更に備えており、
第3素子19の出力電圧は第2温度検出素子17の出力電圧と異なる。
【0131】
このような実施例8の撮像装置と実施例3において説明した撮像装置とを組み合わせた実施例8の撮像装置の変形例の等価回路図を
図15に示す。
【実施例9】
【0132】
実施例9も、実施例1の変形であるが、本開示の第1-Bの態様に係る撮像装置に関する。実施例9の撮像装置の等価回路図を
図16に示す。
【0133】
実施例9の撮像装置において、
駆動回路10Dは、第2スイッチ回路102を更に備えており、
第1電流源82Aは、差動増幅器83の第1入力端部83Aに接続される代わりに、第2スイッチ回路102の第1入力端部102Aに接続されており、
第2電流源82Bは、差動増幅器83の第2入力端部83Bに接続される代わりに、第2スイッチ回路102の第2入力端部102Bに接続されており、
第2スイッチ回路102の第1出力端部102Cは、第1スイッチ回路101の第1入力端部101Aに接続されており、
第2スイッチ回路102の第2出力端部102Dは、第1スイッチ回路101の第2入力端部101Bに接続されており、
第2スイッチ回路102の第1入力端部102Aと第1出力端部102Cが接続される場合、第2スイッチ回路102の第2入力端部102Bと第2出力端部102Dが接続され、第2スイッチ回路102の第1入力端部102Aと第2出力端部102Dが接続される場合、第2スイッチ回路102の第2入力端部102Bと第1出力端部102Cが接続される。
【0134】
そして、実施例9の撮像装置にあっては、
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占めるN[個](但し、N≧2)の第1温度検出素子16及びN[個]の第2温度検出素子17に対して、1つの駆動回路10Dが設けられている。
【0135】
実施例9の撮像装置においても、差動増幅器83は、アナログ・フロント・エンド(AFE)に含まれている。アナログ-デジタル変換回路(ADC)84は、例えば、シングルスロープ型アナログ-デジタル変換回路から構成されている。また、実施例8の撮像装置にあっては、第1電流源82A及び第2電流源82Bは、第2の方向において、差動増幅器83から最も離れた位置に配設されている。
【0136】
実施例9の撮像装置の動作は、実質的に、実施例8の撮像装置において説明した動作と同様であるので、詳細な説明は省略する。尚、第1スイッチ回路101及び第2スイッチ回路102の切り替えの順序は例示であり、適宜、変更することができる。また、
(第1スイッチ回路101の切り替え周波数)/(第2スイッチ回路102の切り替え周波数)
の値を2以上の整数とすることで、信号伝搬時間に拘わらず、第1スイッチ回路101及び第2スイッチ回路102の切り替えの組合せ時間(Δt1,Δt2,Δt3,Δt4の組合せ時間)の均等化を図ることができる。更には、アナログ-デジタル変換回路の構造に依っては、アナログ-デジタル変換回路の入力部に入力信号を積分するための積分キャパシタが備えられているものがあるが、このような構造のアナログ-デジタル変換回路にあっては、積分キャパシタの容量値を適切に設定することで、アナログ-デジタル変換の時間アナログ-デジタル変換の分解能の最適化を図ればよい。
【0137】
尚、実施例9においても、実施例8と同様に、信号の減算を、水平走査回路85に内包される図示しない加算回路や減算回路によって行う構成としてもよく、また、アナログ―デジタル変換回路の内部に含まれるデジタルフィルタ回路内部に設けられた回路によって係数符号を反転して加減算を行う構成でもよく、また、差動増幅器の出力から積分キャパシタに流れる電流の極性を反転させるスイッチを付加し、このスイッチを切り替えることによって信号の加減算を行う構成としてもよく、これらによっても、同等のノイズキャンセルを行うことができる。
【0138】
実施例9の変形例の等価回路図を
図17に示すように、
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17は、複数(Q[個])の温度検出素子ブロック15のいずれかに属し、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17に対して、1つの駆動回路10Dが設けられており、
各温度検出素子ブロック15は、複数(P[個])の第1温度検出素子16及び1つの第2温度検出素子17から構成されており、
各温度検出素子ブロック15において、複数(P[個])の第1温度検出素子16は同じ第1駆動線72Aに接続されており、複数(P[個])の第1温度検出素子16のそれぞれに接続された第1信号線71Aは、駆動回路10Dに備えられたマルチプレクサ回路18を介して第1スイッチ回路101の第1入力端部101Aに接続されている。尚、N=P×Qの関係にある。
【0139】
ここで、
図17に図示した例では、P=4とした。温度検出素子ブロック15を構成する4つの第1温度検出素子16は、例えば、行方向×列方向に2×2で配列すればよい。但し、これに限定されるものではなく、例えば、3×3、4×4等とすることもできる。
【0140】
あるいは又、実施例9の別の変形例の等価回路図を
図18に示すように、列並列ADC構造を有しており、
第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17は、第2の方向に沿って配列された複数(R[個]であり、具体的には、例えば、R=2)の温度検出素子ユニット15A,15Bのいずれかに属し、
複数(R[個])の温度検出素子ユニット15A,15Bのそれぞれは、1つの駆動回路10Dに接続されており、
各温度検出素子ユニット15A,15Bを占める第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17は、複数(Q[個]であり、具体的には、Q=N/R)の温度検出素子ブロック15のいずれかに属し、
各温度検出素子ブロック15は、1又は複数(P[個]であり、具体的には、例えば、P=1)の第1温度検出素子16及び1つの第2温度検出素子17から構成されており、
各温度検出素子ブロック15において、1又は複数(P[個])の第1温度検出素子16は同じ第1駆動線72Aに接続されており、1又は複数(P[個])の第1温度検出素子16のそれぞれに接続された第1信号線71Aは、P=1の場合、第1スイッチ回路101の第1入力端部101Aに接続されており、P≧2の場合、駆動回路10Dに備えられたマルチプレクサ回路18を介して第1スイッチ回路101の第1入力端部101Aに接続されている。尚、N=P×Q×Rの関係にある。また、Pの値は「1」に限定するものではないし、Rの値は「2」に限定するものではない。このように列並列ADC構造を採用することで、1フレーム当たりの第1温度検出素子16からの信号の積分時間を長くすることができ、一層のノイズ低減を図ることができる。
【0141】
あるいは又、実施例9と実施例3とを組み合わせることもできる。即ち、
第3駆動線72C及び第1信号線71Aを介して駆動回路10Dに接続されたゲイン測定用の第3素子19を更に備えており、
第3素子19の出力電圧は第2温度検出素子17の出力電圧と異なる。
【0142】
このような実施例9の撮像装置と実施例3において説明した撮像装置とを組み合わせた実施例9の撮像装置の変形例の等価回路図を
図19に示す。
【実施例10】
【0143】
実施例10は、本開示の第2の態様に係る撮像装置に関し、1列当たり2本の信号線を配置し、2つのアナログ-デジタル変換回路(ADC)が並列動作してノイズキャンセルを行う構成である。このように1列当たり2つの列並列ADC構造を採用することで、1フレーム当たりの第1温度検出素子16からの信号の積分時間を、CDS(Correlated Double Sampling)処理を行わない場合と同じにすることができ、CDS起因の積分時間の減少を避け、ノイズを低減することができる。
【0144】
等価回路図を
図20に示すように、実施例10の撮像装置は、
第1構造体20、及び、第1構造体20に積層された第2構造体40から構成されており、
第2構造体40は、第2基板41、及び、第2基板41に設けられた駆動回路10Eを備えており、
駆動回路10Eは、2つの電流源82A,82B、シングルエンドアンプから成る2つの増幅器104A,104B、及び、2つのアナログ-デジタル変換回路84A,84Bを備えており、
第1構造体20は、第1基板21、及び、第1基板21に設けられ、赤外線に基づき温度を検出し、第1駆動線72A及び駆動回路10Eに接続された第1温度検出素子16を備えており、
第2駆動線72B、並びに、駆動回路10Eに接続された温度参照用の第2温度検出素子17を更に備えており、
第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17が接続された第1信号線71Aは、第1の電流源82Aに接続され、且つ、第1の増幅器104A及び第1のアナログ-デジタル変換回路84Aに接続されており、
第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17が接続された第2信号線71Bは、第2の電流源82Bに接続され、且つ、第2の増幅器104B及び第2のアナログ-デジタル変換回路84Bに接続されている。
【0145】
具体的には、第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17が接続された第1信号線71Aの一端は、第1の電流源82Aに接続されており、第1信号線71Aの他端は、第1の増幅器104A、及び、第1のアナログ-デジタル変換回路84Aに接続されている。また、第1温度検出素子16及び第2温度検出素子17が接続された第2信号線71Bの一端は、第2の電流源82Bに接続され、第2信号線71Bの他端は、第2の増幅器104B及び第2のアナログ-デジタル変換回路84Bに接続されている。アナログ-デジタル変換回路84A,84Bの出力部は水平走査回路85に接続されている。水平走査回路85には減算回路(図示せず)が備えられている。第1駆動線72A、第2駆動線72B、第1信号線71A、第2信号線71Bは、撮像装置の構成、構造に依存して、第1基板及び第2基板に跨がって形成されていてもよい。
【0146】
実施例10の撮像装置にあっては、第1駆動線72A及び第1信号線71Aに接続された第1温度検出素子16Aが選択されたとき、第2駆動線72B及び第2信号線71Bに接続された第2温度検出素子17Bが選択される。この期間をΔt1とする。また、第1温度検出素子16Aによって得られる信号をSgA1、第2温度検出素子17Bによって得られる信号をSgB1とする。一方、第1駆動線72B及び第2信号線71Bに接続された第1温度検出素子16Bが選択されたとき、第2駆動線72B及び第1信号線71Aに接続された第2温度検出素子17Aが選択される。この期間をΔt2とする。また、第1温度検出素子16Bによって得られる信号をSgA2、第2温度検出素子17Aによって得られる信号をSgB2とする。
【0147】
期間Δt1にあっては、第1温度検出素子16Aからの出力SgA1及び第1の電流源82AからのノイズNz(AP)A1は、第1の増幅器104A、第1のアナログ-デジタル変換回路84Aを介して水平走査回路85の減算回路に入力される。一方、第2温度検出素子17Bからの出力SgB1及び第2の電流源82BからのノイズNz(AP)B1は、第2の増幅器104B、第2のアナログ-デジタル変換回路84Bを介して水平走査回路85の減算回路に入力される。そして、減算回路に入力される信号Aは、
信号A=SgA1-SgB1+Nz(AP)A1-Nz(AP)B1
である。
【0148】
また、期間Δt2にあっては、第2温度検出素子17Aからの出力SgB2及び第1の電流源82AからのノイズNz(AP)A2は、第1の増幅器104A、第1のアナログ-デジタル変換回路84Aを介して水平走査回路85の減算回路に入力される。一方、第1温度検出素子16Bからの出力SgA2及び第2の電流源82BからのノイズNz(AP)B2は、第2の増幅器104B、第2アナログ-デジタル変換回路84Bを介して水平走査回路85の減算回路に入力される。そして、減算回路に入力される信号Bは、
信号B=SgB2-SgA2+Nz(AP)A2-Nz(AP)B2
である。
【0149】
そして、水平走査回路85の減算回路においては、信号Aから信号Bが減算され、得られた信号Cが信号処理回路に送出される。
信号C= SgA1-SgB1+Nz(AP)A1-Nz(AP)B1
-{SgB2-SgA2+Nz(AP)A2-Nz(AP)B2}
= SgA1+SgA2-(SgB1+SgB2)
+Nz(AP)A1-Nz(AP)A2
-Nz(AP)B1+Nz(AP)B2
【0150】
ここで、上式の第2項~第3項に現れる各ノイズ信号は、それぞれが時間周波数の低い成分に支配的なパワーを持つノイズ信号である。従って、上式の第2項~第3項は、いずれも時間周波数の低い成分が支配的なノイズを同じノイズ源から2回連続して採取した差分であり、ほぼゼロとみなしてよい。そのため、上式の第1項が、赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子の出力から温度参照用の第2温度検出素子の出力を減算してノイズをキャンセルした目的信号である。
【0151】
従来の相関2重サンプリング(CDS)処理にあっては、P相での処理において第1温度検出素子と第2温度検出素子のいずれか一方を作動させ、D相での処理において第1温度検出素子と第2温度検出素子の他方を作動させるので、第1温度検出素子の温度検出時間は、CDS処理時間の、最大、半分の時間である。一方、実施例10の撮像装置にあっては、以上のとおり、1列当たり2つの列並列ADC構造が採用されているので、作動時間を1行読み出し時間と同等まで長くすることができる。しかも、第1の電流源82A及び第2の電流源82Bからのノイズをキャンセルすることができるし、上記の式中には示していないが、第1の増幅器104A及び第2の増幅器104Bからのノイズもキャンセルすることができる。
【0152】
尚、実施例10の撮像装置を、
図21の等価回路図に示すように、1列当たり4本の信号線を配置し、4つのアナログ-デジタル変換回路(ADC)が並列動作してノイズキャンセルを行う構成とすることもできる。このように1列当たり4つの列並列ADC構造を採用することで、1フレーム当たりの第1温度検出素子からの信号の積分時間を、更に長くすることができ、一層のノイズ低減を図ることができる。
【0153】
等価回路図を
図21に示すように、実施例10の撮像装置の変形例は、
第1構造体20、及び、第1構造体20に積層された第2構造体40から構成されており、
第2構造体40は、第2基板41、及び、第2基板41に設けられた駆動回路10Eを備えており、
駆動回路10Eは、4つの電流源82A,82B,82C,82D、シングルエンドアンプから成る4つの増幅器104A,104B,104C,104D、及び、4つのアナログ-デジタル変換回路84A,84B,84C,84Dを備えており、
第1構造体20は、第1基板21、及び、第1基板21に設けられ、赤外線に基づき温度を検出し、第1の第1駆動線72A
1及び駆動回路10Eに接続された第1の第1温度検出素子16A、第2の第1駆動線72A
2及び駆動回路10Eに接続された第2の第1温度検出素子16B、第3の第1駆動線72A
3及び駆動回路10Eに接続された第3の第1温度検出素子16C、及び、第4の第1駆動線72A
4及び駆動回路10Eに接続された第4の第1温度検出素子16Dを備えており、
第1の第2駆動線72B
1及び駆動回路10Eに接続された温度参照用の第1の第2温度検出素子17A、第2の第2駆動線72B
2及び駆動回路10Eに接続された温度参照用の第2の第2温度検出素子17B、第3の第2駆動線72B
3及び駆動回路10Eに接続された温度参照用の第3の第2温度検出素子17C、第4の第2駆動線72B
4及び駆動回路10Eに接続された温度参照用の第4の第2温度検出素子17Dを更に備えており、
第1の第1温度検出素子16A及び第1の第2温度検出素子17Aが接続された第1の第1信号線71A
1は、第1の電流源82Aに接続され、且つ、第1増幅器104A及び第1のアナログ-デジタル変換回路84Aに接続されており、
第2の第1温度検出素子16B及び第2の第2温度検出素子17Bが接続された第2の第1信号線71A
2は、第2の電流源82Bに接続され、且つ、第2の増幅器104B及び第2のアナログ-デジタル変換回路84Bに接続されており、
第3の第1温度検出素子16C及び第3の第2温度検出素子17Cが接続された第3の第1信号線71A
3は、第3の電流源82Cに接続され、且つ、第3の増幅器104C及び第3のアナログ-デジタル変換回路84Cに接続されており、
第4の第1温度検出素子16D及び第4の第2温度検出素子17Dが接続された第4の第1信号線71A
4は、第4の電流源82Dに接続され、且つ、第4の増幅器104D及び第4のアナログ-デジタル変換回路84Dに接続されている。
【0154】
具体的には、第1の第1温度検出素子16A及び第1の第2温度検出素子17Aが接続された第1の第1信号線71A1の一端は、第1の電流源82Aに接続され、第1の第1信号線71A1の他端は、第1の増幅器104A及び第1のアナログ-デジタル変換回路84Aに接続されている。第2の第1温度検出素子16B及び第2の第2温度検出素子17Bが接続された第2の第1信号線71A2の一端は、第2の電流源82Bに接続され、第2の第1信号線71A2の他端は、第2の増幅器104B及び第2のアナログ-デジタル変換回路84Bに接続されている。第3の第1温度検出素子16C及び第3の第2温度検出素子17Cが接続された第3の第1信号線71A3の一端は、第3の電流源82Cに接続され、第3の第1信号線71A3の他端は、第3の増幅器104C及び第3のアナログ-デジタル変換回路84Cに接続されている。第4の第1温度検出素子16D及び第4の第2温度検出素子17Dが接続された第4の第1信号線71A4の一端は、第4の電流源82Dに接続され、第4の第1信号線71A4の他端は、第4の増幅器104D及び第4のアナログ-デジタル変換回路84Dに接続されている。アナログ-デジタル変換回路84A,84B,84C,84Dの出力部は水平走査回路85に接続されている。水平走査回路85には減算回路(図示せず)が備えられている。各種駆動線及び信号線は、撮像装置の構成、構造に依存して、第1基板及び第2基板に跨がって形成されていてもよい。
【0155】
そして、第1の第1温度検出素子16A、第4の第1温度検出素子16D、第2の第2温度検出素子17B、及び、第3の第2温度検出素子17Cが選択される期間をΔt1とする。また、第2の第1温度検出素子16B、第3の第1温度検出素子16C、第1の第2温度検出素子17A、及び、第4の第2温度検出素子17Dが選択される期間をΔt2とする。そして、第1の第1温度検出素子16Aによって得られる信号をSgA1-1、第4の第1温度検出素子16Dによって得られる信号をSgA1-4、第2の第1温度検出素子17Bによって得られる信号をSgB1-2、第3の第1温度検出素子17Cによって得られる信号をSgB1-3、第2の第1温度検出素子16Bによって得られる信号をSgA2-2、第3の第1温度検出素子16Cによって得られる信号をSgA2-3、第1の第1温度検出素子17Aによって得られる信号をSgB2-1、第4の第1温度検出素子17Dによって得られる信号をSgB2-4とする。
【0156】
期間Δt1にあっては、第1の第1温度検出素子16Aからの出力SgA1-1及び第1の電流源82AからのノイズNz(AP)A1-1は、第1の増幅器104A、第1の第1アナログ-デジタル変換回路84Aを介して水平走査回路85の減算回路に、信号AA1-1として入力される。
信号AA1-1=SgA1-1+Nz(AP)A1-1
【0157】
また、期間Δt1にあっては、第4の第1温度検出素子16Dからの出力SgA1-4及び第4の電流源82DからのノイズNz(AP)A1-4は、第4の増幅器104D、第4の第1アナログ-デジタル変換回路84Dを介して水平走査回路85の減算回路に、信号AA1-4として入力される。
信号AA1-4=SgA1-4+Nz(AP)A1-4
【0158】
更には、期間Δt1にあっては、第2の第1温度検出素子17Bからの出力SgB1-2及び第2の電流源82BからのノイズNz(AP)A1-2は、第2の増幅器104B、第2の第1アナログ-デジタル変換回路84Bを介して水平走査回路85の減算回路に、信号BB1-2として入力される。
信号BB1-2=SgB1-2+Nz(AP)A1-2
【0159】
また、期間Δt1にあっては、第3の第1温度検出素子17Cからの出力SgB1-3及び第3の電流源82CからのノイズNz(AP)A1-3は、第3の増幅器104C、第3の第1アナログ-デジタル変換回路84Cを介して水平走査回路85の減算回路に、信号BB1-3として入力される。
信号BB1-3=SgB1-3+Nz(AP)A1-3
【0160】
次に、期間Δt2にあっては、第2の第1温度検出素子16Bからの出力SgA2-2及び第2の電流源82BからのノイズNz(AP)A2-2は、第2の増幅器104B、第2の第1アナログ-デジタル変換回路84Bを介して水平走査回路85の減算回路に、信号AA2-2として入力される。
信号AA2-2=SgA2-2+Nz(AP)A2-2
【0161】
また、期間Δt2にあっては、第3の第1温度検出素子16Cからの出力SgA2-3及び第3の電流源82CからのノイズNz(AP)A2-3は、第3の増幅器104C、第3の第1アナログ-デジタル変換回路84Cを介して水平走査回路85の減算回路に、信号AA2-3として入力される。
信号AA2-3=SgA2-3+Nz(AP)A2-3
【0162】
更には、期間Δt2にあっては、第1の第2温度検出素子17Aからの出力SgB2-1及び第1の電流源82AからのノイズNz(AP)B2-1は、第1の増幅器104A、第1の第1アナログ-デジタル変換回路84Aを介して水平走査回路85の減算回路に、信号BB2-1として、入力される。
信号BB2-1=SgB2-1+Nz(AP)A2-1
【0163】
また、期間Δt2にあっては、第4の第2温度検出素子17Dからの出力SgB2-4及び第4の電流源82DからのノイズNz(AP)B2-4は、第4の増幅器104D、第4の第1アナログ-デジタル変換回路84Dを介して水平走査回路85の減算回路に、信号BB2-4として、入力される。
信号BB2-4=SgB2-4+Nz(AP)A2-4
【0164】
そして、水平走査回路85の減算回路においては、信号Aから信号Bが減算され、得られた信号Cが信号処理回路に送出される。
信号C= 信号AA1-1+信号AA2-2+信号AA2-3+信号AA1-4
-(信号BB2-1+信号BB1-2+信号BB1-3+信号BB2-4)
= SgA1-1-SgB2-1
+SgA2-2-SgB1-2
+SgA2-3-SgB1-3
+SgA1-4-SgB2-4
+Nz(AP)A1-1-Nz(AP)A2-1
+Nz(AP)A2-2-Nz(AP)A1-2
+Nz(AP)A2-3-Nz(AP)A1-3
+Nz(AP)A1-4-Nz(AP)A2-4
【0165】
ここで、上式の第5項~第8項に現れる各ノイズ信号は、それぞれが時間周波数の低い成分に支配的なパワーを持つノイズ信号である。従って、上式の第5項~第8項は、いずれも時間周波数の低い成分が支配的なノイズを同じノイズ源から2回連続して採取した差分であり、ほぼゼロとみなしてよい。そのため、上式の第1項~第4項が、赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子の出力から温度参照用の第2温度検出素子の出力を減算してノイズをキャンセルした目的信号である。
【0166】
前述したとおり、従来の相関2重サンプリング(CDS)処理にあっては、P相での処理において第1温度検出素子と第2温度検出素子のいずれか一方を作動させ、D相での処理において第1温度検出素子と第2温度検出素子の他方を作動させるので、第1温度検出素子の温度検出時間は、CDS処理時間の最大、半分の時間である。一方、
図21に示した実施例10の撮像装置の変形例にあっては、以上のとおり、2列の温度検出素子に対して4系統の信号線を並列に動かすことにより、作動時間を1行読み出し時間の2倍にまで長くすることができる。しかも、電流源82A,82B,82C,82D、増幅器104A,104B,104C,104Dからのノイズもキャンセルすることができる。
【0167】
尚、
図20、
図21の説明で対応付けた読み出し順序は一例であり、ノイズ低減効果を保って順番を任意に入れ替えることも可能である。また、実施例10においても、電流源と信号線の接続部又は信号線と増幅器の接続部、あるいはその両方にバタフライスイッチを付加し、1以上の画像の任意フレーム数ごとにスイッチを切り替える構成としてもよい。増幅器や電流源は時間周波数の低い成分が支配的なノイズを発するアナログ回路であり、スイッチを切り替えることにより同一の増幅器や同一の電流源から発したノイズをフレーム毎に異なる座標に拡散させることができる。そして、異なる座標に拡散されたノイズは、所謂固定パターンノイズとは異なり視覚的に目立ちにくいだけでなく、後段にデジタル信号処理によるノイズリダクション回路を付加した場合のノイズ低減効果を、より大きくすることができる。
【実施例11】
【0168】
実施例11においては、実施例1~実施例10において説明した撮像装置で用いた第1温度検出素子16の説明を行う。尚、実施例11の撮像装置は、
図2に示したように、フェース・ツー・バック構造の撮像装置である。尚、以下の説明において、駆動回路10A,10B,10C,10D,10Eを、総称して、『駆動回路10』と表現する。また、以降の撮像装置の一部断面図は、
図3の矢印B-Bに沿った模式的な一部断面図である。
【0169】
実施例1~実施例10に説明した撮像装置において、第1温度検出素子16と第1温度検出素子16との間に位置する第1基板21の部分には、隔壁23が形成されており、隔壁23の底部は、被覆層43と接合されている。ここで、隔壁23の底部と被覆層43とは、脱水縮合によるシリコン-酸素共有結合の形成といった方法に基づき接合されている。隔壁23の側壁24は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている。具体的には、実施例11において、隔壁23の側壁24はSiO2層といった絶縁材料層から構成されている。また、隔壁23の側壁24によって囲まれた隔壁23の内部は、第1基板21の一部、具体的には、シリコン層22から構成されている。空所50に露出した被覆層43の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている。具体的には、実施例11において、空所50に露出した被覆層43の露出面はSiO2層といった絶縁材料層から構成されており、SiO2層の下方には、被覆層43を構成するSiN等から成る層間絶縁層(具体的には図示せず)が形成されている。尚、隔壁23の側壁24を、赤外線を反射する材料から構成すれば、入射した赤外線を効果的に反射することができる。また、第1温度検出素子16と被覆層43との間には、空所50が設けられている。このように、第1基板21と第2基板41とが積層され、第1温度検出素子16と被覆層43との間に空所50を設けることで、第1温度検出素子16において空所を高い精度で設けることが可能となる。
【0170】
実施例11において、第1温度検出素子16は、複数(図示した例では4つ)のpn接合ダイオード30が配線31を介して直列接続されて成るが、これに限定されるものではなく、周知の構成、構造を有する抵抗ボロメータ素子や、熱電変換素子、サーモパイル素子、焦電素子、強誘電体素子から構成することもできる。pn接合ダイオードは、周知の構成、構造を有する。第1温度検出素子16は、後述するように、所謂MEMS技術に基づき形成される。第1温度検出素子16は、第1基板21の赤外線入射側(第1基板21の第2面21B)に設けられている。
【0171】
第1温度検出素子16(具体的には、pn接合ダイオード30)は、SiO2から成る絶縁材料層から構成されたダイヤフラム部(架空部、架空薄層部)25A上に形成されている。また、隔壁23の頂面にはSiO2から成る絶縁材料層25Bが形成されている。ダイヤフラム部25Aと絶縁材料層25Bとは、ダイヤフラム部25A及び絶縁材料層25Bの延在部に相当する第1スタッド部25C(支持脚あるいは細長い梁。以下においても同様)、第2スタッド部25Dを介して、一体に形成されている。ダイヤフラム部25A、第1スタッド部25C及び第2スタッド部25Dの下には空所50が位置する。
【0172】
第1温度検出素子16の一端(複数のpn接合ダイオード30における一端に位置するpn接合ダイオード30)は、ダイヤフラム部25A及び第2スタッド部25D上に形成された配線31を介して、隔壁23の上に形成された絶縁材料層25Bの上に設けられた第1信号線71Aに接続されている。また、第1温度検出素子16の他端(複数のpn接合ダイオード30における他端に位置するpn接合ダイオード30)は、ダイヤフラム部25A及び第1スタッド部25C上に形成された配線31、更には、コンタクトホール75を介して、隔壁23の上方に形成された第1駆動線72Aに接続されている。ダイヤフラム部25A、第1スタッド部25C、第2スタッド部25D、pn接合ダイオード30、配線31、第1信号線71A、第1駆動線72Aは、SiO2から成る絶縁膜26で被覆されている。
【0173】
第1温度検出素子16(具体的には、pn接合ダイオード30)は、シリコン層にn型不純物及びp型不純物を、例えば、イオン注入することによって形成することができる。複数の第1温度検出素子16の数は、例えば、640×480(VGA)である。第1の方向と第2の方向とは直交している。第1基板21は、全て、又は、一部がSOI基板から構成されており、第2構造体40はシリコン半導体基板から成る第2基板41から構成されている。配線31、第1信号線71A、第1駆動線72A、接続孔74及びコンタクトホール75は、例えば、アルミニウム合金から形成されている。
【0174】
赤外線が入射する第1温度検出素子16の側(第1基板21の第2面21B)には、アルミニウム薄膜から成る赤外線吸収層61が形成されており、空所50の底部に位置する被覆層43の領域には、銅薄膜から成る赤外線反射層62が形成されている。図示した例では、赤外線反射層62は、空所50の底部に位置する被覆層43の部分の一部に形成されている。また、赤外線吸収層61は、第1温度検出素子16の上方に形成されている。具体的には、絶縁膜26の上には、絶縁膜26と一部が接し、一部が絶縁膜26から隙間を開けた状態(空間が設けられた状態)の赤外線吸収層61が形成されている。赤外線反射層62は、被覆層43の頂面に形成されている。そして、赤外線吸収層61が吸収すべき赤外線の波長をλIRとしたとき、赤外線吸収層61と赤外線反射層62との間の光学的距離L0は、
0.75×λIR/2≦L0≦1.25×λIR/2
又は、
0.75×λIR/4≦L0≦1.25×λIR/4
を満足する。実施例11において、具体的には、
L0=λIR/4
を満足する。λIRの値は、8μm乃至14μmであり、実施例11において、具体的には、限定するものではないが、λIR=10μmとした。ウィング状の赤外線吸収層61は、隣接する第1温度検出素子16の間で部分的に繋がっていてもよい。
【0175】
各第1駆動線72Aは、垂直走査回路81に接続されている。そして、撮像装置の動作にあっては、垂直走査回路81の制御下、1本の第1駆動線72Aを選択する。一方、全ての第1信号線71Aに第1電流源82Aから一定の電流を流す。選択された第1温度検出素子16にあっては、入射した赤外線に依存して温度が変化し、この温度変化は、第1温度検出素子16(具体的には、pn接合ダイオード30)の電気抵抗値に変化を生じさせる。その結果、各第1信号線71Aに現れる電圧に変化が生じる。各第1信号線71Aは、アナログ・フロント・エンド(AFE)及びアナログ-デジタル変換回路(ADC)84を介して水平走査回路85に接続されており、各第1信号線71Aにおける電圧は、アナログ・フロント・エンド(AFE)を構成する差動増幅器83の一方の入力部に入力される。一方、差動増幅器83の他方の入力部には各第2信号線71Bにおける電圧が入力される。差動増幅器83においては、第1温度検出素子16の出力の増幅が図られる。そして、所定の時間経過後、差動増幅器83から電圧の差分の積分値が、例えばサンプルホールド回路(図示せず)に送出され、サンプルホールド回路においてホールドされたアナログ値はアナログ-デジタル変換回路(ADC)84に出力され、アナログ-デジタル変換回路84において電圧の差分の積分値がデジタル値に変換され、水平走査回路85に送出される。そして、水平走査回路85の作動によって、第1温度検出素子毎、順次、信号処理回路に出力され、最終的にデジタル出力として出力される。
【0176】
【0177】
[工程-1100]
表面に第1シリコン層91が形成され、第1シリコン層91の下にSiO
2層92が形成されたSOI基板90を準備する。SiO
2層92の下に位置するSOI基板90を構成するシリコン半導体基板の部分を、便宜上、『第2シリコン層93』と呼ぶ。そして、先ず、隔壁23の側壁24を形成すべきSOI基板90の第2シリコン層93の部分をエッチングして溝部を形成し、側壁24を構成する材料で溝部を埋め込む(
図41A参照)。その後、SOI基板90の表面の第1シリコン層91をパターニングすることで、pn接合ダイオード30を形成すべき第1シリコン層91の領域を残す。次いで、周知の方法に基づき、第1シリコン層91にpn接合ダイオード30を形成する(
図41B参照)。
【0178】
[工程-1110]
その後、周知の方法に基づき、SiO
2層92の上、及び、pn接合ダイオード30の一部の上に、配線31、第1信号線71Aを形成する(
図41C参照)。次に、全面に、SiO
2から成る絶縁膜26、接続孔74、コンタクトホール75、第1駆動線72Aを形成した後、絶縁膜26をパターニングする(
図41D参照)。但し、接続孔74、コンタクトホール75、第1駆動線72Aは、
図41D以降の図面には図示していない。
【0179】
[工程-1120]
その後、第1犠牲層94の形成(
図42A参照)、赤外線吸収層61の形成、第2犠牲層95の形成(
図42B参照)を行った後、第2犠牲層95に支持基板96を貼り付ける(
図42C参照)。
【0180】
[工程-1130]
次に、SOI基板90の第2シリコン層93を、CMP法によって薄くする(
図43A参照)。第2シリコン層93の厚さによってL
0が規定される。それ故、L
0の値を正確に規定することが可能である。こうして
図43Bに示す構造を得ることができるが、側壁24の内側の部分の第2シリコン層93が隔壁23に相当し、便宜上、この部分のハッチングを第2シリコン層93のハッチングと異ならせた。
【0181】
[工程-1140]
駆動回路10が設けられた第2構造体40を準備する。尚、被覆層43には、赤外線反射層62を形成しておく。そして、周知の方法で、第2シリコン層93と被覆層43とを接合する(
図44A参照)。そして、周辺領域12,14において、第1駆動線72A及び第1信号線71Aと駆動回路10とを電気的に接続する。
【0182】
[工程-1150]
その後、支持基板96を除去し、エッチング法に基づき第2犠牲層95及び第1犠牲層94を除去する(
図44B参照)。更には、pn接合ダイオード30の下方に位置する第2シリコン層93を、エッチング法に基づき除去する。こうして、
図2に示した撮像装置を得ることができる。SiO
2層92によって、ダイヤフラム部25A、絶縁材料層25B、第1スタッド部25C、第2スタッド部25Dが構成される。尚、pn接合ダイオード30の下方に位置する第2シリコン層93が、全てが除去されていなくともよい。
【0183】
その後、得られた撮像装置を真空雰囲気下でパッケージする。これによって、第1温度検出素子16が配置される空間は、減圧され、あるいは又、真空とされる。空所50も、減圧され、あるいは又、真空とされる。
【0184】
実施例11の撮像装置において、第1基板は第2基板に形成された被覆層と接合されており、第1温度検出素子の下方に位置するシリコン層は、シリコン層よりもエッチングされ難い被覆層及び隔壁の側壁によって囲まれている。従って、第1温度検出素子と被覆層との間に、確実に、しかも、高い精度で空所を設けることができる。その結果、例えば、赤外線吸収層に、所望の波長を有する赤外線を、確実に、高い効率で吸収させることができ、第1温度検出素子における検出感度の向上を図ることができる。また。駆動回路10、信号処理回路を備えた第2構造体を組み合わせることが可能となるため、撮像装置の製造コストの低減、設計自由度の向上、設計時間の短縮化を図ることができるし、入出力ピン数の削減、入出力信号帯域の低減が可能となる。
【0185】
図2に示した実施例1の撮像装置の変形例を、
図24A及び
図24Bに示す。
図24Aに示す実施例11の撮像装置の変形例において、赤外線吸収層61は絶縁膜26の上に形成されている。
図24Bに示す実施例11の撮像装置の変形例において、赤外線反射層62は、被覆層43の内部に形成されている。
図24Bにおいて、赤外線吸収層61を
図24Aに示した構造としたが、
図2に示した構造とすることもできる。また、赤外線吸収層61を絶縁膜26の内部に形成してもよいし、赤外線反射層62を被覆層43の頂面の上に形成してもよい。
【実施例12】
【0186】
実施例12は、実施例1~実施例10の変形であり、フェース・ツー・フェース構造の撮像装置に関する。実施例12の撮像装置の模式的な一部端面図を
図25Aに示す。
【0187】
実施例12の撮像装置において、第1温度検出素子216と第1温度検出素子216との間に位置する第1基板221の部分と被覆層43との間には、第1基板221と独立して隔壁223が形成されており、隔壁223の底部は被覆層43と接合されている。空所50に露出した被覆層43の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている。具体的には、実施例12の撮像装置においては、空所50に露出した被覆層43の露出面は、SiO2から成る。また、隔壁223は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている。隔壁223は、具体的には、SiO2から成る。参照番号22Aは、後述するシリコン層から延びる凸部を指し、参照番号24Aは凸部22Aの側壁を指す。
【0188】
赤外線が入射する第1温度検出素子216の側には、赤外線吸収層61が形成されており、空所50の底部に位置する被覆層43の領域には、赤外線反射層62が形成されている。赤外線反射層62は、被覆層43の頂面又は被覆層43の内部に形成されている。また、赤外線反射層62は、空所50の底部に位置する被覆層43の部分に形成されていてもよいし、空所50の底部に位置する被覆層43の部分の一部に形成されていてもよいし、空所50の底部に位置する被覆層43の部分からはみ出るように形成されていてもよい。具体的には、赤外線反射層62は、実施例11と同様の構成、構造を有する。赤外線吸収層61は、第1基板221の第1面側に設けられていてもよいし、第1基板221の第2面側に設けられていてもよい。
図25Aに示した実施例12において、具体的には、第1基板221の第2面側(第1基板221の第2面221Bの上)に設けられている。実施例12にあっても、赤外線吸収層61が吸収すべき赤外線の波長をλ
IRとしたとき、赤外線吸収層61と赤外線反射層62との間の光学的距離L
0は、
0.75×λ
IR/2≦L
0≦1.25×λ
IR/2
又は、
0.75×λ
IR/4≦L
0≦1.25×λ
IR/4
を満足する。場合によっては、空所50と対向する第1温度検出素子216の側に赤外線吸収層61を形成してもよい。
【0189】
【0190】
[工程-1200]
先ず、実施例11と同様に、SOI基板90を準備する。そして、第1シリコン層側からSOI基板90に凹部を形成した後、凹部を、例えば、絶縁材料で埋め込み、凸部22Aの側壁24Aを形成する(
図45A参照)。次いで、SOI基板90の表面の第1シリコン層91をパターニングすることで、pn接合ダイオード30を形成すべき第1シリコン層91の領域を残す。次に、周知の方法に基づき、第1シリコン層91にpn接合ダイオード30を形成する(
図45B参照)。
【0191】
[工程-1210]
その後、実施例11の[工程-1110]と同様にして、周知の方法に基づき、SiO
2層92の上、及び、pn接合ダイオード30の一部の上に、配線31、第1信号線71Aを形成する。次に、全面に、SiO
2から成る絶縁膜26、接続孔74、コンタクトホール75、第1駆動線72Aを形成した後、絶縁膜26をパターニングする(
図45C参照)。但し、接続孔74、コンタクトホール75、第1駆動線72Aは、
図45C以降の図面には図示していない。
【0192】
[工程-1220]
その後、絶縁材料から成る犠牲層97を全面に形成し(
図46A参照)、隔壁223を形成すべき犠牲層97の部分をエッチングして溝部を形成し、隔壁223を構成する材料で溝部を埋め込むことで、隔壁223を得る(
図46B参照)。犠牲層97の厚さによってL
0が規定される。それ故、L
0の値を正確に規定することが可能である。更に、隔壁223を形成すべき部分の犠牲層97にエッチング用マスク層(図示せず)を形成する。
【0193】
[工程-1230]
次に、エッチング法に基づき犠牲層97を除去し(
図46C参照)、更に、エッチャントを変更して、エッチング法に基づき第2シリコン層93の一部を除去することで(
図46D参照)、ダイヤフラム部25Aと第2シリコン層との間に空洞51を設ける。その後、隔壁223に形成しておいたエッチング用マスク層を除去する。尚、空洞51の断面形状は図示した形状に限定されない。
【0194】
[工程-1240]
駆動回路10が設けられた第2構造体40を準備する。尚、被覆層43には、赤外線反射層62を形成しておく。そして、周知の方法で、隔壁223と被覆層43とを、真空雰囲気下で接合する。次いで、周辺領域12,14において、第1駆動線72A及び第1信号線71Aと駆動回路10とを電気的に接続する。こうして、
図25Aに示した撮像装置を得ることができる。その後、得られた撮像装置をパッケージする。
【0195】
図25Bに模式的な一部端面図を示すように、赤外線吸収層61は、第1基板221の第1面221Aに設けられていてもよい。あるいは又、
図26Aに模式的な一部端面図を示すように、赤外線吸収層61は、第1基板221の内部に設けられていてもよい。あるいは又、
図26Bに模式的な一部端面図を示すように、赤外線吸収層61は、ダイヤフラム部25Aの赤外線入射側に設けられていてもよい。
【0196】
また、実施例12の撮像装置において、
図27に模式的な一部端面図を示すように、赤外線が入射する第1基板221の面(第1基板221の第2面221B)に、シリコン半導体基板から成る保護基板222が取り付けられて(貼り合わされて)いてもよい。
【実施例13】
【0197】
実施例13は、実施例1~実施例12の変形である。実施例13にあっては、模式的な一部端面図を
図28A(実施例11の変形例)及び
図28B(実施例12の変形例)に示すように、被覆層43には、金属材料、カーボンフィルムやカーボンナノチューブといったカーボン系材料、あるいは、有機系材料から成る熱伝導層(熱均一化層)63が形成されている。具体的には、熱伝導層63は、被覆層43の内部であって、赤外線反射層62の下方に配設されている。熱伝導層63の形成によって、温度のより一層の均一化、温度分布のより一層の均一化を図ることができる。場合によっては、熱伝導層(熱均一化層)63を真空層から構成することもできる。また、第1温度検出素子アレイ領域11の領域に依存して、熱伝導層(熱均一化層)63の構成を変えてもよい。
【0198】
以上の点を除き、実施例13の撮像装置の構成、構造は、実施例1~実施例12の撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。尚、熱伝導層(熱均一化層)を、実施例1~実施例12の撮像装置以外の撮像装置(例えば、可視光に基づき撮像を行う撮像装置)に適用することもできる。
【実施例14】
【0199】
実施例14は、実施例1~実施例13の変形である。実施例14にあっては、模式的な一部端面図を
図29A(実施例11の変形例)及び
図29B(実施例12の変形例)に示すように、被覆層43には(具体的には、被覆層43の内部には)、タングステン(W)から成る温度制御層64が形成されており、被覆層43には、シリコンダイオードから成る温度検知手段(図示せず)が設けられている。温度制御層64はヒータ(抵抗体、抵抗部材)として機能する。尚、温度制御層は配線を兼ねている構成とすることもできる。そして、温度検知手段の温度検知結果に基づき、駆動回路10は温度制御層64を制御する。具体的には、例えば、温度制御層64に流す電流を制御することで、温度制御層64の発熱量を制御する。尚、温度制御層64を制御するために温度制御層64と駆動回路10を結ぶ配線の図示は省略した。
【0200】
即ち、温度検知手段の温度検知結果を受け取った駆動回路10(具体的には、CPUあるいはDSP)は、受け取った温度検知結果に基づき被覆層43の温度分布を求める。そして、駆動回路10は、必要とされる熱量を計算し、個別に温度制御層64に流す電流の値を制御することで、被覆層43の温度の均一化、温度分布の均一化(面内温度バラツキ発生の抑制)、更には、第1基板21,221の温度の均一化、温度分布の均一化、第1温度検出素子16の温度の均一化、温度分布の均一化を図る。従って、例えば、アナログロジックブロックの電流量が変化し、アナログロジックブロックにおける発熱量が変化した場合にも、容易に温度制御を行うことができる。温度制御層64による温度制御の範囲を逸脱した場合、駆動回路10は、アナログロジックブロックにおける電流量の制御、アナログロジックブロックにおける動作クロックの制御を行うことで、温度の均一化、温度分布の均一化を図ることができる。尚、温度制御層64を設けずに、駆動回路10が、アナログロジックブロックにおける電流量の制御、アナログロジックブロックにおける動作クロックの制御を行うことで、温度の均一化、温度分布の均一化を図ることも可能である。温度制御層64によって制御される温度を、例えば、室温よりも高く設定することで、温度制御層64は、一種のオン/オフ動作となり、温度制御層64の消費電力の低下を図ることが可能となる。また、実施例13において説明した熱伝導層63と組み合わせることで、より一層、温度の均一化、温度分布の均一化を図ることができる。この場合、温度制御層64の上方に熱伝導層63を配設することが好ましい。場合によっては、温度制御層64は赤外線反射層62を兼ねていてもよい。
【0201】
第1温度検出素子16と温度制御層64の配置状態を模式的に
図30及び
図31に例示するが、第1温度検出素子16の正射影像と温度制御層64の正射影像とは重なっていてもよいし(
図30参照)、第1温度検出素子16の正射影像と第1温度検出素子16の正射影像との間に温度制御層64の正射影像が位置する配置とすることもできる(
図31参照)。温度制御層64の面積や配置位置、配置密度は、温度の均一化、温度分布の均一化を達成できるような面積や配置位置、配置密度とすればよい。尚、第1温度検出素子16よりも温度制御層64は下方に位置するので、
図30、
図31において、温度制御層64を点線で示した。
【0202】
ここで、第1構造体20は、複数の第1温度検出素子16を備えた第1温度検出素子アレイ領域11、及び、第1温度検出素子アレイ領域11を取り囲む周辺領域12を備えており、温度制御層64は第1温度検出素子アレイ領域11に形成されている構成とすることが好ましい。あるいは又、温度制御層64は、第1温度検出素子アレイ領域の正射影像が存在する被覆層43の領域に形成されていることが好ましい。あるいは又、駆動回路10は、アナログ-デジタル変換回路(ADC)を備えており、第1温度検出素子アレイ領域の正射影像が存在する第2基板の領域には、アナログ-デジタル変換回路が配設されていない構成とすることもできる。
【0203】
以上の点を除き、実施例14の撮像装置の構成、構造は、実施例1~実施例13の撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。尚、温度制御層を、実施例1~実施例13の撮像装置以外の撮像装置(例えば、可視光に基づき撮像を行う撮像装置)に適用することもできる。
【実施例15】
【0204】
実施例15は、本開示の第2構成の撮像装置及び第3構成の撮像装置に関する。
【0205】
室温前後の温度にある物体からの放射スペクトルは、波長10μm付近にピークを有する(
図34における放射スペクトル「B」を参照)。尚、
図34の放射スペクトル「A」は、室温よりも高い温度にある物体からの放射スペクトルを示す。そして、例えば、このピーク波長よりも短い感度波長を有する第1温度検出素子と、このピーク波長よりも長い感度波長を有する第1温度検出素子とを同一画素内において組み合わせることで、2つの第1温度検出素子からの信号の強度の比率から、物体の温度を高い精度で測定することが可能となる。
【0206】
実施例15の撮像装置にあっては、
赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子集合体を備えており、
第1温度検出素子集合体は、複数の第1温度検出素子16A,16Bが並置されて成り、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子16A,16Bが検出する赤外線の波長は異なっている。尚、実施例15にあっては、複数の第1温度検出素子集合体が、第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に(具体的には、2次元マトリクス状に)配列されている。
【0207】
そして、実施例15の撮像装置において、各第1温度検出素子16A,16Bは、赤外線入射側に赤外線吸収層61,61A,61Bを有し、赤外線入射側とは反対側に赤外線反射層62,62A,62Bを有しており、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子16A,16Bにおける赤外線吸収層61,61A,61Bと赤外線反射層62,62A,62Bとの間の光学的距離L0,L0’は異なっており、
各第1温度検出素子16A,16Bにおける光学的距離L0,L0’は、第1温度検出素子16A,16Bを構成する赤外線吸収層61,61A,61Bが吸収すべき赤外線の波長をλIR-A,λIR-Bとしたとき、
0.75×λIR-A/2≦L0≦1.25×λIR-A/2
又は、
0.75×λIR-A/4≦L0≦1.25×λIR-A/4
を満足し、
0.75×λIR-B/2≦L0’≦1.25×λIR-B/2
又は、
0.75×λIR-B/4≦L0’≦1.25×λIR-B/4
を満足する。また、各第1温度検出素子16A,16Bは、赤外線入射側に赤外線吸収層61,61A,61Bを有し、赤外線入射側とは反対側に赤外線反射層62,62A,62Bを有しており、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子16A,16Bにおける赤外線吸収層61,61A,61Bを構成する材料、構成、構造、又は、赤外線反射層62,62A,62Bを構成する材料、構成、構造、又は、赤外線吸収層61,61A,61Bを構成する材料、構成、構造及び赤外線反射層62,62A,62Bを構成する材料、構成、構造は、異なっている。即ち、具体的には、前記(ケースA)、(ケースB)、(ケースC)において説明したとおりである。
【0208】
あるいは又、実施例15の撮像装置は、
赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子集合体を備えており、
第1温度検出素子集合体は、複数の第1温度検出素子16A,16Bが並置されて成り、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子16A,16Bの赤外線吸収量は異なっている。尚、この実施例15にあっても、複数の第1温度検出素子集合体が、第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に(具体的には、2次元マトリクス状に)配列されている。
【0209】
そして、実施例15の撮像装置において、
各第1温度検出素子16A,16Bは、赤外線入射側に赤外線吸収層61,61A,61Bを有し、赤外線入射側とは反対側に赤外線反射層62,62A,62Bを有しており、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子16における赤外線吸収層61,61A,61Bを構成する材料、又は、赤外線反射層62,62A,62Bを構成する材料、又は、赤外線吸収層61,61A,61Bを構成する材料及び赤外線反射層62,62A,62Bを構成する材料は、異なっている。また、実施例15の撮像装置において、
各第1温度検出素子16A,16Bは、赤外線入射側に赤外線吸収層61,61A,61Bを有し、赤外線入射側とは反対側に赤外線反射層62,62A,62Bを有し、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子16における赤外線吸収層61,61A,61B、又は、赤外線反射層62,62A,62B、又は、赤外線吸収層61,61A,61B及び赤外線反射層62,62A,62Bの面積、又は、厚さ、又は、面積及び厚さは異なっている。即ち、具体的には、前記(ケースa)、(ケースb)、(ケースc)、(ケースd)、(ケースe)、(ケースf)、(ケースg)、(ケースh)、(ケースi)において説明したとおりである。
【0210】
より具体的には、模式的な一部端面図を
図32Aに示すように、第1温度検出素子16Aと第1温度検出素子16Bにおける赤外線吸収層61A,61Bの構造が異なっている。これによって、第1温度検出素子16A,16BにおけるL
0,L
0’の値を変えることができ、各第1温度検出素子16A,16Bが検出する赤外線の波長を異ならせることができるし、各第1温度検出素子16A,16Bの赤外線吸収量を異ならせることができる。
【0211】
あるいは又、模式的な一部端面図を
図32Bに示すように、第1温度検出素子16Aと第1温度検出素子16Bにおける赤外線吸収層61A,61Bの構造は同じであるが、形成されている位置が異なっている。これによっても、第1温度検出素子16A,16BにおけるL
0,L
0’の値を変えることができ、各第1温度検出素子16A,16Bが検出する赤外線の波長を異ならせることができる。
【0212】
2種類の第1温度検出素子16A及び第1温度検出素子16Bから第1温度検出素子集合体を構成する場合の第1温度検出素子16A及び第1温度検出素子16Bの配置を
図33Aに例示する。1画素を構成する4つの第1温度検出素子16A,16Bから構成された第1温度検出素子集合体を点線で囲んで示す。尚、2つの第1温度検出素子16A,16Bから第1温度検出素子集合体を構成することもできる。また、3種類の第1温度検出素子16A、第1温度検出素子16B及び第1温度検出素子16Cから第1温度検出素子集合体を構成する場合の第1温度検出素子16A、第1温度検出素子16B及び第1温度検出素子16Cの配置を
図33Bに例示する。高い空間分解が要求される赤外線波長に対応する第1温度検出素子を第1温度検出素子16Aとすればよい。
【0213】
実施例15の撮像装置において、第1温度検出素子集合体は複数の第1温度検出素子が並置されて成り、第1温度検出素子集合体において各第1温度検出素子が検出する赤外線の波長は異なっており、あるいは又、第1温度検出素子集合体において各第1温度検出素子の赤外線吸収量は異なっているので、第1温度検出素子毎に波長分光特性や赤外線の感度を変え得ることが可能である。そして、異なる感度波長を有する第1温度検出素子を同一画素内において組み合わせることで、複数の第1温度検出素子からの信号の強度の比率から物体の温度を高い精度で測定することが可能となる。あるいは又、高感度第1温度検出素子と低感度第1温度検出素子を組み合わせた第1温度検出素子集合体とすることで、第1温度検出素子集合体としてのダイナミックレンジを変えることが可能となる。即ち、赤外線強度が高い場合には低感度第1温度検出素子を作動させ、赤外線強度が低い場合には高感度第1温度検出素子を作動させればよい。あるいは又、赤外線強度が低い状態から高い状態に被写体(あるいは環境)が変化した場合、高感度第1温度検出素子から低感度第1温度検出素子へと切り替え、赤外線強度が高い状態から低い状態に被写体(あるいは環境)が変化した場合、低感度第1温度検出素子から高感度第1温度検出素子へと切り替えればよい。
【0214】
図32A、
図32Bに示した第1温度検出素子16A,16Bの構成、構造として、実施例11において説明した第1温度検出素子の構成、構造を採用したが、これに限定するものではなく、実施例15の撮像装置の構成、構造は、実施例1~実施例14において説明した撮像装置の構成、構造と同様とすることができる。あるいは又、第1温度検出素子集合体が、複数の第1温度検出素子が並置されて成り、第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子が検出する赤外線の波長は異なっており、あるいは又、第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子の赤外線吸収量は異なっている限りにおいて、実施例1~実施例14において説明した撮像装置の構成、構造に限定するものではなく、他の構成、構造を有する撮像装置に適用することもできる。
【実施例16】
【0215】
実施例16では、実施例1~実施例15において説明した撮像装置を赤外線カメラに適用した例を説明する。
図35に概念図を示すように、赤外線カメラは、レンズ301、シャッター302、実施例1~実施例15において説明した撮像装置303、駆動回路304、電源部305、記憶媒体306、ビデオ出力部307、各種インターフェース308から構成されている。駆動回路304には、先に説明した各種の回路の他、例えば、画素間バラツキを補正し、また、欠陥画素の補正を行い、また、各種ノイズ除去を行う信号処理回路が含まれる。このような構成の赤外線カメラの構成要素は、撮像装置303を除き、周知の構成要素とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0216】
以上、本開示の撮像装置を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示の撮像装置はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した撮像装置や第1温度検出素子、第2温度検出素子、第3素子の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができるし、撮像装置や第1温度検出素子、第2温度検出素子、第3素子を構成する材料、撮像装置や第1温度検出素子の製造方法も例示であり、適宜、変更することができる。場合によっては、赤外線反射層の形成を省略し、被覆層の頂面、それ自体を赤外線反射層として機能させてもよい。
【0217】
撮像装置の赤外線入射側に、例えば、レンズ等から成る集光素子を配設してもよい。例えば、
図26Bに示した実施例12の変形例において、第1基板221の第1面221Aの側に集光素子(レンズ)65を設けた例を
図36に示す。このような集光素子65は、例えば、実施例12の[工程-1230]において、エッチング法に基づき犠牲層97を除去し(
図46C参照)、更に、エッチャントを変更して、エッチング法に基づき第2シリコン層93の一部を除去して(
図46D参照)、ダイヤフラム部25Aと第2シリコン層との間に空洞51を設けると同時に形成することができる。即ち、エッチング法に基づき第2シリコン層93の一部を除去するとき、エッチング液は隔壁223の近傍から第2シリコン層93へと浸入するが、エッチング条件を適切に設定することで、隔壁223の近傍の第2シリコン層93の部分の方を、隔壁223から遠い第2シリコン層93の部分よりも、多くエッチングすることができる。その結果、第1基板221(第2シリコン層93)の第1面221Aの側に集光素子(レンズ)65を設けることができる。
【0218】
あるいは又、例えば、
図27に示した実施例12の変形例において、第1基板221の面(第1基板221の第2面221B)に取り付けられたシリコン半導体基板から成る保護基板222の赤外線入射側に、集光素子(レンズ)66,67を設けてもよい(
図37A及び
図37B参照)。
図37Aに示す例は、保護基板222とは別の部材(例えば、レジスト材料)から集光素子66を形成した例であり、
図37Bに示す例は、保護基板222をエッチング加工することで集光素子67を形成した例である。これらの集光素子は、例えば、周知のオンチップ・マイクロ・レンズの形成方法と同様の方法で形成することができる。シリコン半導体基板から成る保護基板222の代わりに、例えば、CaF
2、BaF
2、Al
2O
3、ZnSe等の赤外線を透過する材料から成る保護基板とすることもできる。また、
図38A及び
図38Bに示すように、撮像装置の赤外線入射側に遮光部68を設け、隣接する第1温度検出素子への赤外線の入射を抑制してもよい。遮光部68は、例えば、保護基板222に溝部を形成し、この溝部に金属材料や合金材料を埋め込むことで形成することができる。集光素子66,67、遮光部68は、他の実施例に対しても、適宜、適用することができることは云うまでもない。
【0219】
また、第4構成の撮像装置として、第1温度検出素子集合体を、赤外線の入射に沿って上下に配設された2つの第1温度検出素子(各実施例において説明した第1温度検出素子)から構成することもできる。
図24Aに示した実施例11の変形例と、
図25Aに示した実施例12を組み合わせた例を
図39に示すが、他の実施例に対しても適用することができることは云うまでもない。具体的には、このような撮像装置は、
赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子集合体を備えており、
第1温度検出素子集合体は、赤外線の入射に沿って上下に配設された2つの第1温度検出素子から成り、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子が検出する赤外線の波長は同じであり、又は、異なっており、又は、各第1温度検出素子の赤外線吸収量は異なっている。尚、2つの第1温度検出素子は、同じ駆動線及び信号線に接続されていてもよいし、異なる駆動線及び信号線に接続されていてもよい。
【0220】
また、本開示の撮像装置を構成する第1温度検出素子の1つから第1温度検出素子を構成することもできるし、本開示の撮像装置を構成する第1温度検出素子を1次元に配列した撮像装置とすることもできる。即ち、広くは、本開示の撮像装置を構成する第1温度検出素子を、J個(但し、J≧1)、1次元に配列した撮像装置、云い換えれば、1次元に配列されたJ個(但し、J≧1)の第1温度検出素子を備えている本開示の撮像装置とすることもできる。具体的には、
第1の方向に配列されたJ個(但し、J≧1)の第1温度検出素子16,216を備えており、
更に、第1の方向に沿って配設され、それぞれに第1温度検出素子16,216が接続されたJ本の第1駆動線72A及びJ本の第1信号線71Aを備えており、
第1構造体20は、第1温度検出素子16,216を備えた第1温度検出素子アレイ領域11、及び、第1温度検出素子アレイ領域11を取り囲む周辺領域12を有しており、
周辺領域12において、第1信号線71Aは駆動回路10と電気的に接続されており、
周辺領域12において、第1駆動線72Aは駆動回路10と電気的に接続されている。
【0221】
図24Aに示した実施例11の変形例の撮像装置の模式的な一部端面図を
図40Aに示すように、赤外線が入射する第1温度検出素子16の側には、第1赤外線吸収層61Cが形成されており、空所50の底部に位置する被覆層43の領域には、赤外線反射層62が形成されており、空所50と対向する第1温度検出素子16の側には、第2赤外線吸収層61Dが形成されている構成とすることができる。図示した例では、第1赤外線吸収層61Cは、第1温度検出素子16の上に形成された絶縁膜26の上に形成されており、第2赤外線吸収層61Dは、空所50と対向する第1温度検出素子16の面上(より具体的には、空所50と対向するダイヤフラム部25Aの面上)に形成されている。赤外線吸収層61C,61Dは、赤外線を吸収するだけでなく、一部を透過し、一部を反射するため、透過や反射を低減する構造とすることで、より感度を向上させることができる。即ち、このような構成により、第1赤外線吸収層61Cを透過した一部の赤外線が第2赤外線吸収層61Dで更に吸収されるため、透過を低減させることができる。また、第1赤外線吸収層61Cで反射した赤外線と第2赤外線吸収層61Dで反射した赤外線が逆位相で打ち消し合い、反射を低減させることができる。また、第2赤外線吸収層61Dを反射した赤外線と赤外線反射層62を反射した赤外線が逆位相で打ち消し合い、反射を低減させることができる。尚、第1赤外線吸収層61C及び第2赤外線吸収層61Dが吸収すべき赤外線の波長をλ
IRとし、第1赤外線吸収層61Cと第2赤外線吸収層61Dとの光学的距離L
1とし、第2赤外線吸収層61Dと赤外線反射層62との光学的距離をL
2としたとき、
0.75×λ
IR/4≦L
1≦1.25×λ
IR/4
0.75×λ
IR/4≦L
2≦1.25×λ
IR/4
を満足することが好ましい。第1赤外線吸収層61C及び第2赤外線吸収層61Dを備える構成は、その他の実施例1の撮像装置やその他の実施例の撮像装置に、適宜、適用することができることは云うまでもない。
【0222】
あるいは又、
図26Bに示した実施例12の変形例の撮像装置の模式的な一部端面図を
図40Bに示すように、赤外線が入射する第1温度検出素子216の側には、第1赤外線吸収層61Cが形成されており;空所50の底部に位置する被覆層43の領域には、赤外線反射層62が形成されており;空所50と対向する第1温度検出素子216の側には、第2赤外線吸収層61Dが形成されている構成とすることができる。赤外線反射層62は、空所50の底部に位置する被覆層43の部分の一部に形成されている。第1赤外線吸収層61Cは、第1基板221の第1面側に設けられている。具体的には、第1赤外線吸収層61は、ダイヤフラム部25Aの赤外線入射側に設けられている。第2赤外線吸収層61Dは、第1温度検出素子216の上に形成された絶縁膜26の上に空所50と対向して形成されている。各赤外線吸収層61C,61Dは、赤外線を吸収するだけでなく、一部を透過し、一部を反射するため、透過や反射を低減する構造とすることで、より感度を向上させることができる。即ち、このような構成により、第1赤外線吸収層61Cを透過した一部の赤外線が第2赤外線吸収層61Dで更に吸収されるため、透過を低減させることができる。また、第1赤外線吸収層61Cで反射した赤外線と第2赤外線吸収層61Dで反射した赤外線が逆位相で打ち消し合い、反射を低減させることができる。また、第2赤外線吸収層61Dを反射した赤外線と赤外線反射層62を反射した赤外線が逆位相で打ち消し合い、反射を低減させることができる。更には、これらの場合、第1赤外線吸収層61C及び第2赤外線吸収層61Dが吸収すべき赤外線の波長をλ
IRとし、第1赤外線吸収層61Cと第2赤外線吸収層61Dとの光学的距離L
1とし、第2赤外線吸収層61Dと赤外線反射層62との光学的距離をL
2としたとき、
0.75×λ
IR/4≦L
1≦1.25×λ
IR/4
0.75×λ
IR/4≦L
2≦1.25×λ
IR/4
を満足することが好ましい。第1赤外線吸収層61C及び第2赤外線吸収層61Dを備える構成は、その他の実施例12の撮像装置やその他の実施例の撮像装置に、適宜、適用することができることは云うまでもない。
【0223】
信号処理回路には、ノイズを予め測定することによる固定パターンノイズ補正処理、ノイズモデルに基づくノイズ低減処理、レンズ結像モデルに基づく解像度補正処理を含めることができる。また、赤外線カメラから得られた画像と、通常の可視光に基づき撮像された画像を合成することも可能である。以下に、各種信号処理の概略を説明するが、信号処理はこれらに限定されるものではない。
【0224】
固定パターンノイズ補正処理として、例えば、前回の撮像フレームにおいて得られた固定パターンノイズデータと今回の撮像フレームにおいて得られた固定パターンノイズデータとの差に応じた差分データを生成し、差分データと前回の撮像フレームにおいて得られた固定パターンノイズデータとを加算して新たな固定パターンノイズデータとするといった処理を挙げることができる。
【0225】
また、無限インパルス応答(IIR,Infinite Impulse Response)型フィルターを用いたノイズ低減処理として、例えば、
IIRフィルタ処理により、補正対象画素の近傍の参照画素の信号値の平均値を算出する第1工程と、
IIRフィルタ処理により、補正対象画素の近傍の参照画素の信号値の分散値を算出する第2工程と、
参照画素の平均値と分散値を入力し、平均値と分散値を適用したエッジ保存平滑化処理を実行する第3工程と、
第1工程と第2工程において適用するIIRフィルタ係数を、画像を構成する画素の信号値に応じて更新する第4工程、
から構成されたノイズ低減処理を挙げることができる。
【0226】
また、解像度補正処理として、複数の像高にそれぞれ設定されているぼけ補正を行うフィルタを取得し、取得されたフィルタを用いて、補正対象とされた像高における画素の画素値を補正する方法を挙げることができる。ここで、補正は、補正対象とされた像高に隣接する像高に設定されているフィルタを、補正対象とされた画素の画素値に適用し、補正対象とされた像高と隣接する像高との位置関係から係数を算出し、フィルタ適用後の画素値と係数を用いて補正後の画素値を算出する処理とすることができる。あるいは又、補正は、補正対象とされた像高と隣接する像高との位置関係から係数を算出し、補正対象とされた像高に隣接する像高に設定されているフィルタと係数を用いて、補正対象とされた画素の画素値に適用するフィルタを生成し、生成されたフィルタと補正対象とされた画素の画素値を用いて補正後の画素値を算出する処理とすることができる。更には、フィルタの係数は、第1の像高上の複数の像点からPSF(Point Spread Function)データを算出し、PSFデータを平均化し、平均化されたPSFデータを所定の関数で近似し、近似されたPSFデータから算出された係数とすることができ、フィルタの係数の算出はウィナーフィルタを用いることができる。
【0227】
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[A01]《撮像装置・・・第1の態様》
第1構造体、及び、第1構造体に積層された第2構造体から構成されており、
第1構造体には、第1基板、及び、第1基板に設けられ、赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子が備えられており、
第2構造体には、第2基板、及び、第2基板に設けられ、第1駆動線及び第1信号線を介して第1温度検出素子が接続された駆動回路が備えられており、
第2駆動線及び第2信号線を介して駆動回路に接続された温度参照用の第2温度検出素子を更に備えており、
駆動回路は、スイッチ回路、第1電流源、第2電流源、差動増幅器、及び、アナログ-デジタル変換回路を備えており、
第1温度検出素子が接続された第1信号線は、スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、
第2温度検出素子が接続された第2信号線は、スイッチ回路の第2入力端部に接続されており、
スイッチ回路の第1出力端部は、差動増幅器の第1入力端部に接続されており、
スイッチ回路の第2出力端部は、差動増幅器の第2入力端部に接続されており、
第1電流源は、差動増幅器の第1入力端部に接続されており、
第2電流源は、差動増幅器の第2入力端部に接続されており、
差動増幅器の出力端部は、アナログ-デジタル変換回路の入力部に接続されており、
スイッチ回路において、スイッチ回路の第1入力端部と第1出力端部が接続される場合、スイッチ回路の第2入力端部と第2出力端部が接続され、スイッチ回路の第1入力端部と第2出力端部が接続される場合、スイッチ回路の第2入力端部と第1出力端部が接続される撮像装置。
[A02]第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
1つの第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から成る温度検出素子ブロックに対して、1つの駆動回路が設けられている[A01]に記載の撮像装置。
[A03]第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から成る温度検出素子ブロックに対して、1つの駆動回路が設けられており、
各温度検出素子ブロックにおいて、複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている[A01]に記載の撮像装置。
[A04]第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占めるN[個](但し、N≧2)の第1温度検出素子及びN[個]の第2温度検出素子に対して、1つの駆動回路が設けられている[A01]に記載の撮像装置。
[A05]第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、複数の温度検出素子ブロックのいずれかに属し、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子に対して、1つの駆動回路が設けられており、
各温度検出素子ブロックは、複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から構成されており、
各温度検出素子ブロックにおいて、複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている[A01]に記載の撮像装置。
[A06]第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニットのいずれかに属し、
複数の温度検出素子ユニットのそれぞれは、1つの駆動回路に接続されており、
各温度検出素子ユニットを占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、複数の温度検出素子ブロックのいずれかに属し、
各温度検出素子ブロックは、1又は複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から構成されており、
各温度検出素子ブロックにおいて、1又は複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、1又は複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、第1温度検出素子の数が1の場合、スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、第1温度検出素子の数が2以上の場合、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている[A01]に記載の撮像装置。
[A07]駆動回路は、第2スイッチ回路を更に備えており、
第1電流源は、差動増幅器の第1入力端部に接続される代わりに、第2スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、
第2電流源は、差動増幅器の第2入力端部に接続される代わりに、第2スイッチ回路の第2入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第1出力端部は、差動増幅器の第1入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第2出力端部は、差動増幅器の第2入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第1入力端部と第1出力端部が接続される場合、第2スイッチ回路の第2入力端部と第2出力端部が接続され、第2スイッチ回路の第1入力端部と第2出力端部が接続される場合、第2スイッチ回路の第2入力端部と第1出力端部が接続される[A01]に記載の撮像装置。
[A08]第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占めるN[個](但し、N≧2)の第1温度検出素子及びN[個]の第2温度検出素子に対して、1つの駆動回路が設けられている[A07]に記載の撮像装置。
[A09]第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、複数の温度検出素子ブロックのいずれかに属し、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子に対して、1つの駆動回路が設けられており、
各温度検出素子ブロックは、複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から構成されており、
各温度検出素子ブロックにおいて、複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている[A07]に記載の撮像装置。
[A10]第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニットのいずれかに属し、
複数の温度検出素子ユニットのそれぞれは、1つの駆動回路に接続されており、
各温度検出素子ユニットを占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、複数の温度検出素子ブロックのいずれかに属し、
各温度検出素子ブロックは、1又は複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から構成されており、
各温度検出素子ブロックにおいて、1又は複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、1又は複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、第1温度検出素子の数が1の場合、スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、第1温度検出素子の数が2以上の場合、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている[A07]に記載の撮像装置。
[A11]駆動回路は、第2スイッチ回路を更に備えており、
第1電流源は、差動増幅器の第1入力端部に接続される代わりに、第2スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、
第2電流源は、差動増幅器の第2入力端部に接続される代わりに、第2スイッチ回路の第2入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第1出力端部は、第1スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第2出力端部は、第1スイッチ回路の第2入力端部に接続されており、
第2スイッチ回路の第1入力端部と第1出力端部が接続される場合、第2スイッチ回路の第2入力端部と第2出力端部が接続され、第2スイッチ回路の第1入力端部と第2出力端部が接続される場合、第2スイッチ回路の第2入力端部と第1出力端部が接続される[A01]に記載の撮像装置。
[A12]第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占めるN[個](但し、N≧2)の第1温度検出素子及びN[個]の第2温度検出素子に対して、1つの駆動回路が設けられている[A11]に記載の撮像装置。
[A13]第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、複数の温度検出素子ブロックのいずれかに属し、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子に対して、1つの駆動回路が設けられており、
各温度検出素子ブロックは、複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から構成されており、
各温度検出素子ブロックにおいて、複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている[A11]に記載の撮像装置。
[A14]第1の方向及び第1の方向とは異なる第2の方向に2次元マトリクス状に第1温度検出素子及び第2温度検出素子が配列されており、
第2の方向に沿って1列を占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニットのいずれかに属し、
複数の温度検出素子ユニットのそれぞれは、1つの駆動回路に接続されており、
各温度検出素子ユニットを占める第1温度検出素子及び第2温度検出素子は、複数の温度検出素子ブロックのいずれかに属し、
各温度検出素子ブロックは、1又は複数の第1温度検出素子及び1つの第2温度検出素子から構成されており、
各温度検出素子ブロックにおいて、1又は複数の第1温度検出素子は同じ第1駆動線に接続されており、1又は複数の第1温度検出素子のそれぞれに接続された第1信号線は、第1温度検出素子の数が1の場合、スイッチ回路の第1入力端部に接続されており、第1温度検出素子の数が2以上の場合、駆動回路に備えられたマルチプレクサ回路を介してスイッチ回路の第1入力端部に接続されている[A11]に記載の撮像装置。
[A15]第3駆動線及び第1信号線を介して駆動回路に接続されたゲイン測定用の第3素子を更に備えており、
第3素子の出力電圧は第2温度検出素子の出力電圧と異なる[A01]乃至[A14]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[A16]《撮像装置・・・第2の態様》
第1構造体、及び、第1構造体に積層された第2構造体から構成されており、
第2構造体は、第2基板、及び、第2基板に設けられた駆動回路を備えており、
駆動回路は、2つの電流源、シングルエンドアンプから成る2つの増幅器、及び、2つのアナログ-デジタル変換回路を備えており、
第1構造体は、第1基板、及び、第1基板に設けられ、赤外線に基づき温度を検出し、第1駆動線及び駆動回路に接続された第1温度検出素子を備えており、
第2駆動線、並びに、駆動回路に接続された温度参照用の第2温度検出素子を更に備えており、
第1温度検出素子及び第2温度検出素子が接続された第1信号線は、第1の電流源に接続され、且つ、第1の増幅器及び第1のアナログ-デジタル変換回路に接続されており、
第1温度検出素子及び第2温度検出素子が接続された第2信号線は、第2の電流源に接続され、且つ、第2の増幅器及び第2のアナログ-デジタル変換回路に接続されている撮像装置。
[A17]不揮発性メモリ素子を更に備えており、
第1温度検出素子毎に、動作時の補正のための補正係数が不揮発性メモリ素子に記憶されている[A01]乃至[A16]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[A18]第1温度検出素子と被覆層との間には、空所が設けられている[A01]乃至[A17]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[A19]赤外線が入射する側には、赤外線吸収層が形成されており、
空所の底部に位置する被覆層の領域には、赤外線反射層が形成されている[A18]に記載の撮像装置。
[A20]第1温度検出素子は、pn接合ダイオード、ボロメータ素子、サーモパイル素子、金属膜抵抗素子、金属酸化物抵抗素子、セラミック抵抗素子、サーミスタ素子から成る[A01]乃至[A19]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B01]第1構造体及び第2構造体から構成されており、
第1構造体は、
第1基板、
第1基板に設けられ、赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子、並びに、
第1温度検出素子に接続された駆動線及び信号線、
を備えており、
第2構造体は、
第2基板、及び、
第2基板に設けられ、被覆層によって被覆された駆動回路、
を備えており、
第1基板は、被覆層と接合されており、
第1温度検出素子と被覆層との間には、空所が設けられており、
駆動線及び信号線は、駆動回路と電気的に接続されている撮像装置。
[B02]《第1構成の撮像装置》
第1温度検出素子と被覆層との間には空所が設けられている[A01]乃至[A20]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B03]第1温度検出素子と第1温度検出素子との間に位置する第1基板の部分には、隔壁が形成されており、
隔壁の底部は、被覆層と接合されている[A01]乃至[B02]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B04]空所に露出した被覆層の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されており、
隔壁の側壁は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている[B03]に記載の撮像装置。
[B05]空所に露出した被覆層の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている[B03]に記載の撮像装置。
[B06]隔壁の側壁は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている[B03]又は[B05]に記載の撮像装置。
[B07]赤外線が入射する第1温度検出素子の側には、赤外線吸収層が形成されており、
空所の底部に位置する被覆層の領域には、赤外線反射層が形成されている[B03]乃至[B06]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B08]赤外線吸収層は、第1温度検出素子の上方に形成されている[B07]に記載の撮像装置。
[B09]赤外線反射層は、被覆層の頂面又は被覆層の内部に形成されている[B07]又は[B08]に記載の撮像装置。
[B10]赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとしたとき、赤外線吸収層と赤外線反射層との間の光学的距離L0は、
0.75×λIR/2≦L0≦1.25×λIR/2
又は、
0.75×λIR/4≦L0≦1.25×λIR/4
を満足する[B07]乃至[B09]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B11]赤外線が入射する第1温度検出素子の側には、第1赤外線吸収層が形成されており、
空所の底部に位置する被覆層の領域には、赤外線反射層が形成されており、
空所と対向する第1温度検出素子の側には、第2赤外線吸収層が形成されている[B03]乃至[B06]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B12]第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとし、第1赤外線吸収層と第2赤外線吸収層との光学的距離L1とし、第2赤外線吸収層と赤外線反射層との光学的距離をL2としたとき、
0.75×λIR/4≦L1≦1.25×λIR/4
0.75×λIR/4≦L2≦1.25×λIR/4
を満足する[B11]に記載の撮像装置。
[B13]第1温度検出素子と第1温度検出素子との間に位置する第1基板の部分と被覆層との間には、第1基板と独立して隔壁が形成されており、
隔壁の底部は、被覆層と接合されている[B01]乃至[B04]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B14]空所に露出した被覆層の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されており、
隔壁は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている[B13]に記載の撮像装置。
[B15]空所に露出した被覆層の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている[B13]に記載の撮像装置。
[B16]隔壁は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている[B13]又は[B15]に記載の撮像装置。
[B17]赤外線が入射する第1温度検出素子の側には、赤外線吸収層が形成されており、
空所の底部に位置する被覆層の領域には、赤外線反射層が形成されている[B13]乃至[B16]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B18]赤外線反射層は、被覆層の頂面又は被覆層の内部に形成されている[B17]に記載の撮像装置。
[B19]赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとしたとき、赤外線吸収層と赤外線反射層との間の光学的距離L0は、
0.75×λIR/2≦L0≦1.25×λIR/2
又は、
0.75×λIR/4≦L0≦1.25×λIR/4
を満足する[B17]又は[B18]に記載の撮像装置。
[B20]赤外線が入射する第1温度検出素子の側には、第1赤外線吸収層が形成されており、
空所の底部に位置する被覆層の領域には、赤外線反射層が形成されており、
空所と対向する第1温度検出素子の側には、第2赤外線吸収層が形成されている[B13]乃至[B16]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B21]第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとし、第1赤外線吸収層と第2赤外線吸収層との光学的距離L1とし、第2赤外線吸収層と赤外線反射層との光学的距離をL2としたとき、
0.75×λIR/4≦L1≦1.25×λIR/4
0.75×λIR/4≦L2≦1.25×λIR/4
を満足する[B20]に記載の撮像装置。
[B22]赤外線が入射する第1基板の面側に保護基板が配設されている[B13]乃至[B19]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B23]赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子集合体を備えており、
第1温度検出素子集合体は、赤外線の入射に沿って上下に配設された2つの第1温度検出素子から成り、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子が検出する赤外線の波長は同じであり、又は、異なっており、又は、各第1温度検出素子の赤外線吸収量は異なっている[B01]乃至[B04]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B24]被覆層には熱伝導層が形成されている[B01]乃至[B22]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B25]被覆層には温度制御層が形成されており、
温度検知手段を更に有する[B01]乃至[B24]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B26]温度制御層はヒータとして機能する[B25]に記載の撮像装置。
[B27]温度制御層は配線を兼ねている[B26]に記載の撮像装置。
[B28]温度検知手段の温度検知結果に基づき、駆動回路は温度制御層を制御する[B25]乃至[B27]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B29]第1構造体は、第1温度検出素子を備えた第1温度検出素子アレイ領域、及び、第1温度検出素子アレイ領域を取り囲む周辺領域を備えており、
温度制御層は第1温度検出素子アレイ領域に形成されている[B25]乃至[B28]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B30]温度制御層は、第1温度検出素子アレイ領域の正射影像が存在する被覆層の領域に形成されている[B25]乃至[B28]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B31]駆動回路は、アナログ-デジタル変換回路を備えており、
第1温度検出素子アレイ領域の正射影像が存在する第2基板の領域には、アナログ-デジタル変換回路が配設されていない[B01]乃至[B28]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B32]複数の第1温度検出素子を備えており、空所は、隣接する2×k個の第1温度検出素子(但し、kは1以上の整数)において共有化されている[B01]乃至[B31]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B33]《第2構成の撮像装置》
赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子集合体を備えており、
第1温度検出素子集合体は、複数の第1温度検出素子が並置されて成り、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子が検出する赤外線の波長は異なっている撮像装置。
[B34]各第1温度検出素子は、赤外線入射側に赤外線吸収層を有し、赤外線入射側とは反対側に赤外線反射層を有しており、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子における赤外線吸収層と赤外線反射層との間の光学的距離L0は異なっており、
各第1温度検出素子における光学的距離L0は、第1温度検出素子を構成する赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとしたとき、
0.75×λIR/2≦L0≦1.25×λIR/2
又は、
0.75×λIR/4≦L0≦1.25×λIR/4
を満足する[B33]に記載の撮像装置。
[B35]各第1温度検出素子は、赤外線入射側に赤外線吸収層を有し、赤外線入射側とは反対側に赤外線反射層を有しており、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子における赤外線吸収層を構成する材料、又は、赤外線反射層を構成する材料、構成、構造、又は、赤外線吸収層を構成する材料、構成、構造及び赤外線反射層を構成する材料、構成、構造は、異なっている[B33]又は[B34]に記載の撮像装置。
[B36]《第3構成の撮像装置》
赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子集合体を備えており、
第1温度検出素子集合体は、複数の第1温度検出素子が並置されて成り、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子の赤外線吸収量は異なっている撮像装置。
[B37]各第1温度検出素子は、赤外線入射側に赤外線吸収層を有し、赤外線入射側とは反対側に赤外線反射層を有しており、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子における赤外線吸収層を構成する材料、又は、赤外線反射層を構成する材料、又は、赤外線吸収層を構成する材料及び赤外線反射層を構成する材料は、異なっている[B36]に記載の撮像装置。
[B38]各第1温度検出素子は、赤外線入射側に赤外線吸収層を有し、赤外線入射側とは反対側に赤外線反射層を有し、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子における赤外線吸収層、又は、赤外線反射層、又は、赤外線吸収層及び赤外線反射層の面積、又は、厚さ、又は、面積及び厚さは異なっている[B36]又は[B37]に記載の撮像装置。
[B39]駆動回路において、各信号線は、アナログ・フロント・エンド及びアナログ-デジタル変換回路に接続されている[B01]乃至[B38]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B40]アナログ・フロント・エンドは差動積分回路を有し、
差動積分回路と信号線との間に、差動積分回路と信号線との導通状態を制御するスイッチ手段が設けられている[B39]に記載の撮像装置。
[B41]スイッチ手段は、差動積分回路と信号線との間を不導通状態とするとき、信号線を固定電位とする[B40]に記載の撮像装置。
[B42]《第4構成の撮像装置》
赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子集合体を備えており、
第1温度検出素子集合体は、赤外線の入射に沿って上下に配設された2つの第1温度検出素子から成り、
第1温度検出素子集合体において、各第1温度検出素子が検出する赤外線の波長は同じであり、又は、異なっており、又は、各第1温度検出素子の赤外線吸収量は異なっている撮像装置。
[B43]第1温度検出素子は、pn接合ダイオード、ボロメータ素子、サーモパイル素子、金属膜抵抗素子、金属酸化物抵抗素子、セラミック抵抗素子、サーミスタ素子から成る[B01]乃至[B42]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B44]集光素子を更に備えている[B01]乃至[B43]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B45]遮光部を更に備えている[B01]乃至[B44]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B46]第1基板、又は、第2基板、又は、第1基板及び第2基板には、半導体温度センサ素子から成る第2温度検出素子が配設されている[B01]乃至[B45]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B47]第1温度検出素子に隣接して、温度参照用の第2温度検出素子が配設されている[B01]乃至[B46]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[B48]温度参照用の第2温度検出素子は、赤外線吸収層を備えておらず、又は、赤外線吸収層及び赤外線反射層を備えていない[B47]に記載の撮像装置。
[C01]《撮像装置におけるノイズ低減方法》
赤外線に基づき温度を検出する第1温度検出素子、
第1温度検出素子が接続された駆動線、及び、
第1温度検出素子が接続された信号線、
を備えており、
駆動線が接続された第1駆動回路、信号線が接続された第2駆動回路、記憶装置を更に備えており、
第2駆動回路において、信号線は差動積分回路及びアナログ-デジタル変換回路に接続されている撮像装置におけるノイズ低減方法であって、
第1温度検出素子を不作動の状態として、差動積分回路をリセットし、次いで、
第1温度検出素子を不作動の状態として、第1温度検出素子が作動状態にある時間TM0と同じ時間TM0だけ信号線に定電流を流し、信号線の電圧を差動積分回路において積分し、得られた積分値をアナログ-デジタル変換回路においてデジタル値に変換し、得られたデジタル値をオフセット値として記憶装置に記憶しておき、
第1温度検出素子を、時間TM0だけ、動作状態として、信号線の電圧を差動積分回路において積分し、得られた積分値をアナログ-デジタル変換回路においてデジタル値に変換してデジタル信号値を得た後、デジタル信号値からオフセット値を減じる、
各工程から成る撮像装置におけるノイズ低減方法。
【符号の説明】
【0228】
10A,10B,10C,10D,10E・・・駆動回路、11・・・第1温度検出素子アレイ領域、13・・・中央領域、12,14・・・周辺領域、15・・・温度検出素子ブロック、15A,15B・・・温度検出素子ユニット、16,16A,16B,16C,16D・・・第1温度検出素子、17,17A,17B,17C,17D・・・第2温度検出素子、18・・・マルチプレクサ回路、19・・・第3素子、20・・・第1構造体、21,221・・・第1基板(第1温度検出素子用基板)、221A・・・第1基板の第2面、222・・・保護基板、21B,221B・・・第1基板の第2面、22・・・シリコン層、22A・・・シリコン層から延びる凸部、23,223・・・隔壁、24・・・隔壁の側壁、24A・・・凸部の側壁、25A・・・ダイヤフラム部(架空部、架空薄層部)、25B・・・絶縁材料層、25C・・・第1スタッド部、25D・・・第2スタッド部、26・・・絶縁膜、30・・・pn接合ダイオード、31・・・配線、40・・・第2構造体、41・・・第2基板、42・・・駆動回路が形成された層、43・・・被覆層(層間絶縁層)、50・・・空所、51・・・空洞、61,61A,61B,61C,61D・・・赤外線吸収層、62,62A,62B・・・赤外線反射層、63・・・熱伝導層、64・・・温度制御層(ヒータ)、65,66,67・・・集光素子(レンズ)、68・・・遮光部、71A,71B・・・信号線、72A,72B,72C・・・駆動線、73・・・出力線、74・・・接続孔、75・・・コンタクトホール、81・・・垂直走査回路、82A,82B,82C,82D・・・電流源、83・・・差動増幅器、83A,83B・・・差動増幅器の入力端部、83C・・・差動増幅器の出力端部、84,84A,84B,84C,84D・・・アナログ-デジタル変換回路(ADC)、85・・・水平走査回路、90・・・SOI基板、91・・・第1シリコン層、92・・・SiO2層、93・・・第2シリコン層、94・・・第1犠牲層、95・・・第2犠牲層、96・・・支持基板、97・・・犠牲層、101・・・スイッチ回路(第1スイッチ回路)、103・・・第2スイッチ回路、101A,101B,102A,102B・・・入力端部、101C,101D,102C,102D・・・出力端部、104A,104B,104C,104D・・・増幅器、302・・・シャッター、303・・・撮像装置、304・・・駆動回路、305・・・電源部、306・・・記憶媒体、307・・・ビデオ出力部、308・・・各種インターフェース、400・・・シングルスロープ型アナログ-デジタル変換回路、401・・・ランプ電圧生成器(参照電圧生成部)、402・・・比較器(コンパレータ)、401・・・カウンタ部、410,410A・・・ΔΣAD変換回路、411,4111,4112・・・積分器、412・・・量子化器(比較器、コンパレータ)、413,4131,4132・・・遅延回路、414,4141,4142・・・デジタル-アナログ変換回路(DA変換回路)、4154141,4142・・・加算器、421・・・デシメーション回路(デシメーションフィルタ回路)