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  • 特許-導電性粒子、導電材料及び接続構造体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】導電性粒子、導電材料及び接続構造体
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/00 20060101AFI20220830BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20220830BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20220830BHJP
   H01B 5/16 20060101ALI20220830BHJP
   H01R 11/01 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H01B5/00 C
H01B5/00 G
H01B5/00 M
H01B1/00 C
H01B1/00 G
H01B1/00 M
H01B1/22 D
H01B5/16
H01R11/01 501A
H01R11/01 501E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020086832
(22)【出願日】2020-05-18
(62)【分割の表示】P 2016005924の分割
【原出願日】2016-01-15
(65)【公開番号】P2020145206
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2020-06-15
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】P 2015006703
(32)【優先日】2015-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土橋 悠人
(72)【発明者】
【氏名】笹平 昌男
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】恩田 春香
【審判官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-8474(JP,A)
【文献】特開2013-73694(JP,A)
【文献】特開2014-11117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B1/00
H01B5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材粒子と、
前記基材粒子の外表面上に、前記基材粒子に接するように配置された導電部とを備え、
前記導電部内に複数の孔が存在し、
前記導電部の厚みが50nm以上であり、
前記導電部の内表面から前記導電部の厚み方向外側に向かって厚み40nmの第1の領域において、1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔が2個以上50個以下で存在する、導電性粒子。
【請求項2】
前記導電部内において、1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔が50個以下で存在する、請求項1に記載の導電性粒子。
【請求項3】
前記導電部の前記第1の領域を除く第2の領域において、直径が1nm以上、20nm以下である孔が存在しないか、又は、1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔が20個未満で存在する、請求項1又は2に記載の導電性粒子。
【請求項4】
前記導電部がニッケルを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項5】
前記基材粒子の粒子径が1μm以上、5μm以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項6】
前記基材粒子が樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である、請求項1~のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項7】
前記基材粒子が樹脂粒子である、請求項に記載の導電性粒子。
【請求項8】
前記導電部が外表面に複数の突起を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項9】
前記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を備える、請求項1~のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載の導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む、導電材料。
【請求項11】
第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、
第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、
前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、
前記接続部の材料が、請求項1~10のいずれか1項に記載の導電性粒子であるか、又は前記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料であり、
前記第1の電極と前記第2の電極とが前記導電性粒子により電気的に接続されている、接続構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材粒子と、該基材粒子の外表面上に配置された導電部とを有する導電性粒子に関する。また、本発明は、上記導電性粒子を用いた導電材料及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
異方性導電ペースト及び異方性導電フィルム等の異方性導電材料が広く知られている。上記異方性導電材料では、バインダー樹脂中に導電性粒子が分散されている。
【0003】
上記異方性導電材料は、各種の接続構造体を得るために、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、並びにフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等に使用されている。
【0004】
上記導電性粒子の一例として、下記の特許文献1には、樹脂粒子の表面にニッケルを含む導電性金属層を形成して、金属被覆粒子を製造する被覆工程、及び、上記金属被覆粒子を、非酸化性雰囲気下で180℃~350℃の温度で加熱処理を行う熱処理工程によって得られる導電性粒子が開示されている。
【0005】
また、下記の特許文献2には、基材粒子と、該基材粒子の外表面を被覆する導電性金属層とを有する導電性粒子が開示されている。上記導電性金属層は、ニッケルメッキ層を含む。上記ニッケルメッキ層は、走査型電子顕微鏡を使用して100000倍の拡大倍率で、厚さ方向の断面を観測したとき、断面に粒界が認められ、かつ、粒界構造がニッケルメッキ層の厚さ方向に配向する柱状構造でない層である。
【0006】
また、下記の特許文献3には、基材粒子と、該基材粒子の外表面を被覆する少なくとも一層の導電性金属層から構成される導電性粒子が開示されている。上記導電性金属層は、ニッケル又はニッケル合金で形成される層を含む。ニッケル又はニッケル合金で形成される層の平均厚みと平均粒界幅との比(平均厚み/平均粒界幅)は、0.1以上、5未満である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-008474号公報
【文献】特開2013-073694号公報
【文献】特開2014-011117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記異方性導電材料により、例えば、半導体チップの電極とガラス基板の電極とを電気的に接続する際には、ガラス基板上に、導電性粒子を含む異方性導電材料を配置する。次に、半導体チップを積層して、加熱及び加圧する。これにより、異方性導電材料を硬化させて、導電性粒子を介して電極間を電気的に接続して、接続構造体を得る。
【0009】
特許文献1~3に記載のような従来の導電性粒子では、電極間の接続後に、圧縮された導電性粒子が元の形状に戻ろうとする作用が働いて、スプリングバックと呼ばれる現象が生じることがある。このため、電極と導電性粒子の接触性が低下したり、導電層に割れが生じたりして、導通不良が生じることがある。すなわち、従来の導電性粒子を用いた接続構造体では、導通信頼性が低いことがある。
【0010】
本発明の目的は、電極間を電気的に接続した場合に、導通信頼性を高めることができる導電性粒子を提供することである。また、本発明の目的は、上記導電性粒子を用いた導電材料及び接続構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の広い局面によれば、基材粒子と、前記基材粒子の外表面上に、前記基材粒子に接するように配置された導電部とを備え、前記導電部内に孔が存在し、前記導電部の厚みが50nm以上であり、前記導電部の内表面から前記導電部の厚み方向外側に向かって厚み40nmの第1の領域において、1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔が50個以下で存在する、導電性粒子が提供される。
【0012】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電部内に複数の孔が存在し、前記第1の領域において、1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔が2個以上で存在する。
【0013】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電部内において、1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔が50個以下で存在する。
【0014】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電部の前記第1の領域を除く第2の領域において、直径が1nm以上、20nm以下である孔が存在しないか、又は、1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔が20個未満で存在する。
【0015】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電部がニッケルを含む。
【0016】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記基材粒子の粒子径が1μm以上、5μm以下である。
【0017】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記基材粒子が樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であり、他の特定の局面では、前記基材粒子が樹脂粒子である。
【0018】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電部が外表面に複数の突起を有する。
【0019】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電性粒子は、前記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を備える。
【0020】
本発明の広い局面によれば、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む、導電材料が提供される。
【0021】
本発明の広い局面によれば、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、前記接続部の材料が、上述した導電性粒子であるか、又は前記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料であり、前記第1の電極と前記第2の電極とが前記導電性粒子により電気的に接続されている、接続構造体が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、上記基材粒子の外表面上に、上記基材粒子に接するように配置された導電部とを備えており、上記導電部内に孔が存在し、上記導電部の厚みが50nm以上であり、上記導電部の内表面から上記導電部の厚み方向外側に向かって厚み40nmの第1の領域において、1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔が50個以下で存在するので、電極間を電気的に接続した場合に、導通信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図2図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図3図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に示す断面図である。
図5図5は、孔を含む導電部において、導電部の内表面から導電部の厚み方向外側に向かって厚み40nmの第1の領域と、導電部の第1の領域を除く第2の領域とを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0025】
(導電性粒子)
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、導電部とを備える。本発明に係る導電性粒子では、上記基材粒子の外表面上に、上記基材粒子に接するように、上記導電部が配置されている。本発明に係る導電性粒子では、上記導電部内に孔が存在する。本発明に係る導電性粒子では、上記導電部の厚みが50nm以上である。本発明に係る導電性粒子では、上記導電部の内表面から上記導電部の厚み方向外側に向かって厚み40nmの第1の領域において、1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔が50個以下で存在する。上記直径は最大径を意味する。
【0026】
なお、直径が1nm以上、20nm以下である孔には、直径が1nm未満である孔、及び、直径が20nmを超える孔は含まれない。上記孔が上記第1の領域に存在するか否かは、上記孔の中心部分が上記第1の領域に存在するか否かで判断される。上記孔は断面において観察され、直径は、断面に現れている最大径を意味する。
【0027】
本発明における上述した構成によって、本発明に係る導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、接続抵抗を低くすることができ、導通信頼性を高めることができる。電極間の接続後に、圧縮された導電性粒子が元の形状に戻ろうとする作用が大きく働きにくい。これは、上記孔を含む導電部部分(特に第1の領域)がクッション層としての役割を果たし、上記孔を含む導電部部分(特に第1の領域)が導電部に蓄積される弾性ひずみを緩和するためであると考えられる。本発明に係る導電性粒子では、圧縮された導電性粒子が元の形状に戻ろうとする際に、導電部の割れが生じにくい。また、圧縮された導電性粒子が元の形状に戻ろうとする作用が大きく働きにくいため、電極と導電性粒子との接触性を充分に確保できる。本発明では、導電性粒子が高温下又は高湿下に晒されても、接続抵抗の上昇を抑えることができる。特に、高湿下での接続抵抗の上昇を抑えることができる。
【0028】
スプリングバックを抑え、導通信頼性を高める観点から、上記導電部の内表面から上記導電部の厚み方向外側に向かって厚み40nmの第1の領域において、直径が1nm以上、20nm以下である孔が存在する。
【0029】
スプリングバックを抑え、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の領域において、1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔は好ましくは2個以上、より好ましくは5個以上である。スプリングバックを抑え、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の領域において、1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔は好ましくは45個以下である。
【0030】
導電部の割れを抑制し、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電部の上記第1の領域を除く第2の領域において、直径が1nm以上、20nm以下である孔が存在しないか、又は、1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔が20個未満で存在することが好ましい。導電部の割れを抑制し、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の領域において、孔の数は少ないほどよい。上記第2の領域において、1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔は好ましくは10個以下である。
【0031】
上記孔が上記第2の領域に存在するか否かは、上記孔の中心部分が上記第2の領域に存在するか否かで判断される。上記孔は断面において観察され、直径は、断面に現れている最大径を意味する。
【0032】
スプリングバックを抑え、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電部において、1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔は好ましくは2個以上、より好ましくは5個以上である。スプリングバックを抑え、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電部において、1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔は好ましくは50個以下、より好ましくは45個以下である。
【0033】
導電部の割れを抑制し、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の領域における1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔の数は、上記第2の領域における1μmあたり、直径が1nm以上、20nm以下である孔の数よりも、多いことが好ましく、5個以上多いことがより好ましく、10個以上多いことが更に好ましい。
【0034】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。なお、参照した図面では、大きさ及び厚みなどは、図示の便宜上、実際の大きさ及び厚みから適宜変更している。また、以下に示す各実施形態における各構成は適宜組み合わせることが可能である。
【0035】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
【0036】
図1に示す導電性粒子1は、基材粒子2と、基材粒子2の表面上に配置された導電部3とを有する。導電部3は、基材粒子2の表面に接しており、基材粒子2の表面を被覆している。導電性粒子1は、基材粒子2の表面が導電部3により被覆された被覆粒子である。
【0037】
導電部3内には複数の孔3aが存在する。導電部3の厚みは50nm以上である。
【0038】
導電部3内には、孔3aのうちの直径が1nm以上、20nm以下である孔が存在する。導電部3の内表面から導電部3の厚み方向外側に向かって厚み40nmの第1の領域R1において、孔3aのうちの直径が1nm以上、20nm以下である孔が存在し、直径が特定の範囲内にある孔が上記の個数範囲内で存在する。
【0039】
図5に、孔3aを有する導電部3において、導電部3の内表面から導電部3の厚み方向外側に向かって厚み40nmの第1の領域R1と、導電部3の第1の領域R1を除く第2の領域R2とを図示した。導電部3の内表面から破線Lまでの導電部3の厚みが、40nmである。また、破線Lよりも内側の導電部部分が第1の領域R1である。破線Lよりも外側の導電部部分が第2の領域R2である。
【0040】
図2に、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
【0041】
図2に示す導電性粒子1Aは、基材粒子2と、基材粒子2の表面上に配置された導電部3(第1の導電部)と、導電部3の外表面上に配置された第2の導電部4を有する。導電性粒子1Aにおける基材粒子2及び導電部3は、導電性粒子1における基材粒子2及び導電部3と同じである。第2の導電部4は、導電部3に接している。導電性粒子1Aでは、多層の導電部が形成されている。
【0042】
図3に、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
【0043】
図3に示す導電性粒子1Bは、基材粒子2と、導電部3Bと、複数の芯物質5と、複数の絶縁性物質6とを有する。導電性粒子1Bにおける基材粒子2は、導電性粒子1における基材粒子2と同じである。導電部3B内には複数の孔3Baが存在する。導電部3Bの厚みは50nm以上である。
【0044】
導電部3Bの内表面から導電部3Bの厚み方向外側に向かって厚み40nmの第1の領域R1において、1μmあたり、孔3Baのうち直径が1nm以上、20nm以下である孔(直径が特定の範囲内にある孔)が上記の範囲内で存在する。
【0045】
導電性粒子1Bにおける導電部3Bは、導電性粒子1における導電部3と突起の有無で相違する。
【0046】
導電性粒子1Bは外表面に、複数の突起1Baを有する。導電部3Bは外表面に、複数の突起3Bbを有する。このように、上記導電性粒子は、導電性粒子の外表面に突起を有していてもよく、導電部は、外表面に突起を有していてもよい。複数の芯物質5が、基材粒子2の表面上に配置されている。複数の芯物質5は導電部3B内に埋め込まれている。芯物質5は、突起1Ba,3Bbの内側に配置されている。導電部3Bは、複数の芯物質5を被覆している。複数の芯物質5により導電部3Bの外表面が隆起されており、突起1Ba,3Bbが形成されている。芯物質は導電部の内側又は内部に配置されていることが好ましい。なお、突起を形成するために、芯物質は必ずしも用いなくてもよい。
【0047】
導電性粒子1Bは、導電部3Bの外表面上に配置された絶縁性物質6を有する。導電部3Bの外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁性物質6により被覆されている。絶縁性物質6は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、上記導電性粒子は、導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を有していてもよい。
【0048】
以下、導電性粒子の詳細を説明する。なお、以下の説明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味し「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味する。
【0049】
[基材粒子]
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。上記基材粒子は、コアシェル粒子であってもよい。
【0050】
導通信頼性を効果的に高める観点からは、特定の導電部が形成される上記基材粒子は、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましく、樹脂粒子であることがより好ましい。また、基材粒子が樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であると、特に基材粒子が樹脂粒子であると、上記圧着の際に上記導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
【0051】
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができ、かつ基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
【0052】
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合には、上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
【0053】
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
【0054】
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
【0055】
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
【0056】
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合に、上記基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上持つケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
【0057】
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。電極間の接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
【0058】
上記有機コアを形成するための材料としては、上述した樹脂粒子を形成するための樹脂等が挙げられる。
【0059】
上記無機シェルを形成するための材料としては、上述した基材粒子を形成するための無機物が挙げられる。上記無機シェルを形成するための材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼成させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
【0060】
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
【0061】
上記基材粒子の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは5μm以下である。特に好ましくは3μm以下である。上記基材粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の間隔が小さくなり、かつ導電部の厚みを厚くしても、小さい導電性粒子が得られる。
【0062】
より一層小さい導電性粒子を得ることができ、本発明の構成によって導電部の厚みが薄くても、高い導通信頼性を確保することができるので、上記基材粒子の粒子径は好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは5μm以下である。
【0063】
上記基材粒子の粒子径は、基材粒子が真球状である場合には、直径を示し、基材粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
【0064】
[導電部]
上記導電性粒子は、孔を含む導電部(導電層)を備える。孔を含む導電部(導電層)の外表面上に、孔を含む導電部とは別の導電部(導電層)として、第2の導電部が形成されていてもよい。
【0065】
上記導電部を形成するための金属は特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。これらの金属は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。電極間の接続抵抗をより一層低くすることができるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウムがより好ましく、ニッケルが特に好ましい。
【0066】
孔を有する上記導電部は、ニッケルを主金属として含むことが好ましい。孔を有する上記導電部全体100重量%中、ニッケルの含有量は50重量%以上であることが好ましい。孔を有する上記導電部全体100重量%中、ニッケルの含有量は好ましくは65重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。ニッケルの含有量が上記下限以上であると、導電信頼性がより一層高くなる。
【0067】
導電部が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電部である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
【0068】
上記導電部を形成する方法は特に限定されない。導電部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の外表面にコーティングする方法等が挙げられる。導電部の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
【0069】
また、導電部内に孔を存在させる方法としては、めっき膜等の導電部にHの気泡を取り込ませる第1の方法、及びめっき膜に有機物を共析させる第2の方法等が挙げられる。特に、めっき膜等の導電部にHの気泡を取り込ませる第1の方法が好ましい。上記第1の方法としては、めっき液の液比重を高くすることで、めっき反応で発生するHの気泡をめっき液から抜けにくくし、めっき液中に滞留したHの気泡を基材粒子、もしくは成長過程のめっき膜にトラップさせ、めっき膜の成長によりめっき膜中に取り込ませる方法が挙げられる。めっき液の液比重を測定する方法としては、ボーメ比重計を用いてボーメ度を測定する方法が挙げられる。上記ボーメ度は好ましくは8以上、より好ましくは10以上である。めっき液の液比重を高くする方法としては、めっき液中の有機物及び金属イオンの含有量を多くする方法等が挙げられる。
【0070】
上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下である。上記導電性粒子の粒子径は、5μm以下であってもよい。導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなり、かつ導電部を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が基材粒子の外表面から剥離し難くなる。また、導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を導電材料の用途に好適に使用可能である。
【0071】
上記導電性粒子の粒子径は、基材粒子が真球状である場合には、直径を示し、基材粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
【0072】
孔を含む導電部の厚みは、50nm以上である。孔を含む導電部の厚みは、好ましくは70nm以上、より好ましくは90nm以上であり、好ましくは200nm以下、より好ましくは180nm以下、更に好ましくは160nm以下である。孔を含む導電部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が十分に変形する。
【0073】
上記導電部が複数の層により形成されている場合に、第2の導電部の厚み及び最外層の導電部の厚みは、好ましくは50nm以上、より好ましくは70nm以上であり、好ましくは200nm以下、より好ましくは180nm以下である。第2の導電部及び上記最外層の導電部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電部による被覆が均一になり、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、上記最外層が金層である場合の金層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
【0074】
上記導電部の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。
【0075】
[芯物質]
上記導電性粒子は、上記導電部の外表面に突起を有することが好ましい。該突起は複数であることが好ましい。導電部の表面並びに導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子の導電部とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗を低くすることができる。さらに、導電性粒子が表面に絶縁性物質を備える場合に、又は導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁性物質又はバインダー樹脂を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
【0076】
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の外表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、基材粒子の外表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに無電解めっきの途中で芯物質を添加し、無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。但し、導電性粒子及び導電部の表面に突起を形成するために、芯物質を必ずしも用いなくてもよい。
【0077】
上記芯物質を配置する方法としては、例えば、基材粒子等の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の外表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子等を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子等の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子等の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
【0078】
上記芯物質を構成する物質としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム及びジルコニア等が挙げられる。導電性を高めることができ、更に接続抵抗を効果的に低くすることができるので、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。
【0079】
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫-鉛合金、錫-銅合金、錫-銀合金、錫-鉛-銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。
【0080】
上記芯物質の材料は特に限定されない。上記芯物質の材料のモース硬度は高いことが好ましい。
【0081】
上記芯物質の材料の具体例としては、チタン酸バリウム(モース硬度4.5)、ニッケル(モース硬度5)、シリカ(二酸化珪素、モース硬度6~7)、酸化チタン(モース硬度7)、ジルコニア(モース硬度8~9)、アルミナ(モース硬度9)、炭化タングステン(モース硬度9)及びダイヤモンド(モース硬度10)等が挙げられる。上記無機粒子は、ニッケル、シリカ、酸化チタン、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることが好ましく、シリカ、酸化チタン、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることがより好ましく、酸化チタン、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることが更に好ましく、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることが特に好ましい。上記芯物質の材料のモース硬度は好ましくは4以上、より好ましくは5以上、より一層好ましくは6以上、更に好ましくは7以上、特に好ましくは7.5以上である。
【0082】
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
【0083】
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の平均径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
【0084】
上記芯物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。芯物質の平均径は、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
【0085】
上記導電性粒子1個当たりの上記導電部の外表面の突起(突起個数)は、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上、より好ましくは10個以上、更に好ましくは20個以上である。上記突起の数の上限は特に限定されない。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子1個当たりの上記導電部の外表面の突起は、好ましくは1000個以下、より好ましくは500個以下、更に好ましくは300個以下である。
【0086】
複数の上記突起の平均高さは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記突起の平均高さが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
【0087】
上記突起の高さは、導電性粒子の中心と突起の先端とを結ぶ線(図3に示す破線L1)上における、突起が無いと想定した場合の導電部の仮想線(図3に示す破線L2)上(突起が無いと想定した場合の球状の導電性粒子の外表面上)から突起の先端までの距離を示す。すなわち、図3においては、破線L1と破線L2との交点から突起の先端までの距離を示す。
【0088】
[絶縁性物質]
本発明に係る導電性粒子は、上記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性物質が存在する場合には、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。導電性粒子が導電部の外表面に複数の突起を有する場合には、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。
【0089】
電極間の圧着時に上記絶縁性物質をより一層容易に排除できることから、上記絶縁性物質は、絶縁性粒子であることが好ましい。
【0090】
上記絶縁性物質の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
【0091】
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン-ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン-ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
【0092】
上記絶縁性物質の平均径(平均粒子径)は、導電性粒子の粒子径及び導電性粒子の用途等によって適宜選択できる。上記絶縁性物質の平均径(平均粒子径)は好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。絶縁性物質の平均径(平均粒子径)が上記下限以上であると、導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されたときに、複数の導電性粒子における導電部同士が接触し難くなる。絶縁性粒子の平均径(平均粒子径)が上記上限以下であると、電極間の接続の際に、電極と導電性粒子との間の絶縁性物質を排除するために、圧力を高くしすぎる必要がなくなり、高温に加熱する必要もなくなる。
【0093】
上記絶縁性物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。絶縁性物質の平均径は、粒度分布測定装置等を用いて求められる。
【0094】
[防錆処理]
導電性粒子の腐食を抑え、電極間の接続抵抗を低くするために、上記導電部の外表面は、防錆処理されていることが好ましい。
【0095】
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電部の外表面は、炭素数6~22のアルキル基を有する化合物により、防錆処理されていることが好ましい。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電部の外表面は、アルキルリン酸化合物又はアルキルチオールにより、防錆処理されていることが好ましい。防錆処理により導電部の外表面に、防錆膜を形成できる。
【0096】
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散されて用いられることが好ましく、バインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極間の電気的な接続に用いられることが好ましい。上記導電材料は回路接続用導電材料であることが好ましい。
【0097】
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。
【0098】
上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0099】
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル-スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0100】
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0101】
本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
【0102】
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
【0103】
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
【0104】
(接続構造体)
上記導電性粒子を用いて、又は上記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
【0105】
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、該接続部の材料が上述した導電性粒子であるか、又は、上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料である接続構造体であることが好ましい。上記接続部が上述した導電性粒子により形成されているか、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。導電性粒子が用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。すなわち、第1,第2の接続対象部材が導電性粒子により接続される。
【0106】
図4に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に断面図で示す。
【0107】
図4に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1を含む導電材料により形成されている。上記導電材料が熱硬化性を有し、接続部54が導電材料を熱硬化させることにより形成されていることが好ましい。なお、図4では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子1A,1B等を用いてもよい。
【0108】
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
【0109】
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×10~4.9×10Pa程度である。上記加熱の温度は、120~220℃程度である。
【0110】
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。上記導電性粒子は、電子部品における電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
【0111】
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銀電極、SUS電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0112】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0113】
(実施例1)
(1)基材粒子の作製
テトラメチロールメタンテトラアクリレート80重量部及びアクリロニトリル20重量部を含有するモノマー溶液に、重合触媒としてベンゾイルパーオキサイド1.5重量部を添加して溶解させて、モノマー溶液を得た。このモノマー溶液を、3重量%ポリビニルアルコール水溶液700mLに添加し、攪拌して懸濁させて、モノマー懸濁液を得た。
【0114】
次いで、このモノマー懸濁液を85℃に加熱することにより、重合反応を開始させ、そして反応が完結するまで10時間、この状態を保持した。得られた固形分をろ過し、熱水で洗浄してポリビニルアルコールを除去した後、分級を行うことにより、粒子径が3.0μmである基材粒子Aを得た。
【0115】
(2)芯物質の付着工程
上記基材粒子Aをエッチングし、水洗した。次に、パラジウム触媒を8重量%含むパラジウム触媒化液100mL中に上記基材粒子Aを添加し、攪拌した。その後、ろ過し、洗浄した。pH6の0.5重量%ジメチルアミンボラン液に上記基材粒子Aを添加し、パラジウムが付着された基材粒子Aを得た。
【0116】
(3)導電部の形成工程
パラジウムが付着された基材粒子Aをイオン交換水300mL中で3分間攪拌し、分散させ、分散液を得た。次に、ニッケル粒子スラリー(平均粒子径150nm、モース硬度5)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された基材粒子Aの懸濁液を得た。表面が活性化された基材粒子Aを十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、分散液を得た。
【0117】
また、硫酸ニッケル0.044mol/L、次亜リン酸ナトリウム0.56mol/L、クエン酸ナトリウム0.10mol/L及び亜リン酸2.50mol/Lを含む第1のニッケルめっき液(pH4.0、ボーメ度10)を用意した。さらに、硫酸ニッケル0.66mol/L、次亜リン酸ナトリウム0.84mol/L及びクエン酸ナトリウム0.15mol/L(pH4.0、ボーメ度1.5)を含む第2のニッケルめっき液を用意した。
【0118】
得られた分散液を60℃にて攪拌しながら、上記第1のニッケルめっき液を懸濁液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行い、ニッケル-リン導電部(厚み40nm、1μmあたりの孔数20個)を形成し、その後懸濁液をろ過し、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、分散液を得た。続けて得られた分散液を60℃にて攪拌しながら、上記第2のニッケルめっき液を分散液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行い、ニッケル-リン導電部(厚み60nm、1μmあたりの孔数0個)を形成した。その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面にニッケル-リン導電層(厚み0.1μm)を配置して、表面が導電層である導電性粒子を得た。
【0119】
(実施例2)
ニッケル粒子スラリーをアルミナ粒子スラリー(平均粒子径150nm、モース硬度9)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0120】
(実施例3)
ニッケル粒子スラリーを用いずに、導電部の形成時に部分的に析出量がかわるように調整して突起を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0121】
(実施例4)
芯物質を用いずに、突起を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0122】
(実施例5)
基材粒子Aを有機無機ハイブリッド粒子(基材粒子B)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0123】
(実施例6)
第2のニッケルめっき液の組成を変更し、実施例1におけるニッケル-リン導電層(厚み0.1μm)の厚みを90nmに変更したこと、並びに、この厚みを変更した上記導電部の外表面に、無電解金めっきにより、金層(厚み10nm)を形成して、多層の導電部を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0124】
(実施例7)
第1のニッケルめっき液の次亜リン酸ナトリウム0.56mol/Lをジメチルアミンボラン0.37mol/Lに変更したこと、並びに第2のニッケルめっき液の次亜リン酸ナトリウム0.84mol/Lをジメチルアミンボラン0.55mol/Lに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0125】
(実施例8)
第1のニッケルめっき液の亜リン酸の濃度を1.50mol/Lに変更した(ボーメ度8)こと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0126】
(実施例9)
第1のニッケルめっき液の亜リン酸の濃度を3.00mol/Lに変更した(ボーメ度11)こと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0127】
(実施例10)
第1のニッケルめっき液の亜リン酸の濃度を3.50mol/Lに変更した(ボーメ度12)こと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0128】
(実施例11)
第2のニッケルめっき液に亜リン酸1.50mol/Lを添加した(ボーメ度8)こと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0129】
(実施例12)
第2のニッケルめっき液に亜リン酸2.00mol/Lを添加した(ボーメ度9)こと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0130】
(実施例13)
第2のニッケルめっき液に亜リン酸3.00mol/Lを添加した(ボーメ度11)こと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0131】
(実施例14)
基材粒子Aを粒子径のみが異なり、粒子径が2.25μmである基材粒子Cを用意した。上記基材粒子Aを上記基材粒子Cに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0132】
(実施例15)
基材粒子Aを粒子径のみが異なり、粒子径が5.25μmである基材粒子Dを用意した。上記基材粒子Aを上記基材粒子Dに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0133】
(実施例16)
(1)絶縁性粒子の作製
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブが取り付けられた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmolと、N,N,N-トリメチル-N-2-メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド1mmolと、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩1mmolとを含むモノマー組成物を固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に秤取した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、表面にアンモニウム基を有し、平均粒径220nm及びCV値10%の絶縁性粒子を得た。
【0134】
絶縁性粒子を超音波照射下でイオン交換水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液を得た。
【0135】
実施例1で得られた導電性粒子10gをイオン交換水500mLに分散させ、絶縁性粒子の水分散液4gを添加し、室温で6時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、絶縁性粒子が付着した導電性粒子を得た。
【0136】
走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、導電性粒子の表面に絶縁性粒子による被覆層が1層のみ形成されていた。画像解析により導電性粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁性粒子の被覆面積(即ち絶縁性粒子の粒径の投影面積)を算出したところ、被覆率は30%であった。
【0137】
(比較例1)
第1のニッケルめっき液の亜リン酸の濃度を4.50mol/Lに変更した(ボーメ度14)こと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0138】
(比較例2)
第1のニッケルめっき液に亜リン酸を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0139】
(評価)
(1)初期の接続抵抗
得られた導電性粒子を含有量が10重量%となるように、三井化学社製「ストラクトボンドXN-5A」に添加し、分散させて、異方性導電ペーストを作製した。
【0140】
L/Sが20μm/20μmであるITO電極パターンを上面に有する透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが20μm/20μmである金電極パターンを下面に有する半導体チップを用意した。
【0141】
上記透明ガラス基板上に、作製直後の異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、5MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で硬化させて、接続構造体を得た。
【0142】
得られた接続構造体の上下の電極間の接続抵抗を、4端子法により測定した。2つの接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。初期の接続抵抗を下記の基準で判定した。
【0143】
[初期の接続抵抗の判定基準]
○○:接続抵抗が2.0Ω以下
○:接続抵抗が2.0Ωを超え、3.0Ω以下
△:接続抵抗が3.0Ωを超え、5.0Ω以下
×:接続抵抗が5.0Ωを超える
【0144】
(2)信頼性試験後の接続抵抗(導通信頼性)
上記(1)初期の接続抵抗の評価で得られた接続構造体を、85℃及び相対湿度85%の条件で放置した。放置開始から150時間後に、上記(1)初期の接続抵抗の評価と同様に電極間の接続抵抗を4端子法により測定した。信頼性試験後の接続抵抗を下記の基準で判定した。
【0145】
[信頼性試験後の接続抵抗の判定基準]
○○:接続抵抗(放置前)の平均値に比べ、接続抵抗(放置後)の平均値が125%未満
○:接続抵抗(放置前)の平均値に比べ、接続抵抗(放置後)の平均値が125%以上、150%未満
△:接続抵抗(放置前)の平均値に比べ、接続抵抗(放置後)の平均値が150%以上、200%未満
×:接続抵抗(放置前)の平均値に比べ、接続抵抗(放置後)の平均値が200%以上
【0146】
結果を下記の表1に示す。
【0147】
【表1】
【0148】
なお、上記(2)信頼性試験後の接続抵抗の評価では、得られた接続構造体を85℃及び相対湿度85%の条件で放置した。接続構造体を得る前の導電性粒子を85℃及び相対湿度85%の条件で放置した後に、接続構造体を得た場合にも、接続抵抗の上昇傾向について、上記(2)信頼性試験後の接続抵抗の評価結果と同様の傾向が見られた。
【0149】
また、実施例4,15及び比較例2の信頼性試験後の接続抵抗の評価結果はいずれも「△」であるが、信頼性試験後の接続抵抗の具体的な数値に関しては、実施例4,15の方が比較例2よりも優れていた。すなわち、比較例2は、実施例4,15と比べて、信頼性試験後の接続抵抗に劣っていた。
【符号の説明】
【0150】
1,1A,1B…導電性粒子
1Ba…突起
2…基材粒子
3,3B…導電部(第1の導電部、孔を含む導電部)
3a,3Ba…孔
3Bb…突起
4…第2の導電部
5…芯物質
6…絶縁性物質
51…接続構造体
52…第1の接続対象部材
52a…第1の電極
53…第2の接続対象部材
53a…第2の電極
54…接続部
図1
図2
図3
図4
図5