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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/18 20060101AFI20220830BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20220830BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G06F1/18 E
G06F1/16 312E
G06F1/16 312J
G06F1/16 312F
H05K5/02 V
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020199291
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087383
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】土橋 守幸
(72)【発明者】
【氏名】肖 利民
(72)【発明者】
【氏名】藤井 一男
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-164775(JP,A)
【文献】特開2013-089302(JP,A)
【文献】特開2014-206814(JP,A)
【文献】国際公開第2019/043825(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16- 1/18
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
前記第1筐体に対してヒンジ機構を介して回動可能に連結された第2筐体と、
前記第1筐体に収容されたOLEDパネルを有するディスプレイユニットと、
前記第2筐体に収容され、前記OLEDパネルの駆動を制御する制御部および第1コネクタが実装された制御基板と、を備え、
前記ディスプレイユニットは、
前記OLEDパネルと前記制御基板とを電気的に接続するFPCと、
前記OLEDパネルの各ピクセルに関する、初期状態に応じた第1補正データおよび使用状況に応じた第2補正データを記憶する不揮発性メモリと、
前記第1コネクタに接続される第2コネクタと、
前記不揮発性メモリおよび前記第2コネクタが実装された基板と、を有し、
前記基板は前記第2筐体に収容されている、電子機器。
【請求項2】
前記FPCおよび前記基板は、一体に形成されたリジッドフレキシブル基板である、請求項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ディスプレイとしてOLED(Organic Light Emitting Diode)を採用した電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-300854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
OLEDに所望の画像を表示するためには、ピクセルごとの補正データを不揮発性メモリに記憶し、各ピクセルの駆動条件(例えば電流値)を制御することが求められる。補正データはOLEDごとに作成されるものであるため、電子機器をメンテナンスする際には、OLEDと不揮発性メモリをともに電子機器から取り外す場合がある。電子機器の構造によっては、上記のようなメンテナンス作業を行いにくい場合があった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、ディスプレイとしてOLEDを採用した電子機器のメンテナンス作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子機器は、第1筐体と、前記第1筐体に対してヒンジ機構を介して回動可能に連結された第2筐体と、前記第1筐体に収容されたOLEDパネルを有するディスプレイユニットと、前記第2筐体に収容され、前記OLEDパネルの駆動を制御する制御部および第1コネクタが実装された制御基板と、を備え、前記ディスプレイユニットは、前記OLEDパネルと前記制御基板とを電気的に接続するFPCと、前記OLEDパネルの各ピクセルに関する、初期状態に応じた第1補正データおよび使用状況に応じた第2補正データを記憶する不揮発性メモリと、前記第1コネクタに接続される第2コネクタと、を有する。
【0007】
上記態様によれば、第1コネクタと第2コネクタとの接続を解除することで、制御基板を電子機器から取り外さずに、OLEDパネルおよび不揮発性メモリを含むディスプレイユニットを取り外すことが可能となる。したがって、メンテナンス作業性を向上させることができる。
【0008】
ここで、前記ディスプレイユニットは、前記不揮発性メモリおよび前記第2コネクタが実装された基板を有し、前記基板は前記第2筐体に収容されていてもよい。
【0009】
また、前記FPCおよび前記基板は、一体に形成されたリジッドフレキシブル基板であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、ディスプレイとしてOLEDを採用した電子機器のメンテナンス作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るディスプレイユニットを備えた電子機器の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係るディスプレイユニットを示す図である。
図3図2のIII-III断面矢視図である。
図4図2のIV-IV断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態の電子機器について、図面に基づいて説明する。
図1に示す電子機器1は、クラムシェル型(ノート型)のPC(パーソナルコンピュータ)である。電子機器1は、第1筐体1a、第2筐体1b、およびヒンジ機構1cを備えている。第1筐体1aと第2筐体1bとは、ヒンジ機構1cを中心として相対的に回動可能となっている。第1筐体1aには、ディスプレイユニット10のOLED(Organic Light Emitting Diode)パネル12(図2参照)が収容されている。第2筐体1bには、キーボード、マザーボード等が設けられている。
【0013】
図2および図3に示すように、ディスプレイユニット10は、背面シート11と、OLEDパネル12と、複数のドライバチップ13と、複数の接続基板14と、中継基板15と、FPC(Flexible printed Circuit)16と、基板19と、を備える。ディスプレイユニット10が備えるドライバチップ13および接続基板14の数は、それぞれ1つであってもよい。
【0014】
(方向定義)
本実施形態では、OLEDパネル12の厚さ方向を、単に厚さ方向Zといい、図面ではZ軸により表す。厚さ方向Zに直交する一方向を第1方向Xといい、図面ではX軸により表す。厚さ方向Zおよび第1方向Xの双方に直交する方向を第2方向Yといい、図面ではY軸により表す。すなわち、OLEDパネル12は第1方向Xおよび第2方向Yに延在している。
【0015】
図2に示すように、OLEDパネル12は、厚さ方向Zから見て、第2方向Yよりも第1方向Xに長い長方形状である。ただし、OLEDパネル12の形状は適宜変更してもよい。OLEDパネル12は、ディスプレイ基板12aおよび画像表示領域12bを有している。ディスプレイ基板12aは透明であり、バックプレートあるいはバックフィルムとも呼ばれる。ディスプレイ基板12aは、樹脂であってもよいし、ガラスであってもよい。ディスプレイ基板12aを、例えばポリイミドなどの可撓性を有する樹脂で形成した場合、OLEDパネル12に可撓性を持たせることができる。ディスプレイ基板12aには所定の回路パターンが形成されている。画像表示領域12bは、ディスプレイ基板12a上に部分的に配されている。ディスプレイ基板12aのうち、画像表示領域12bが配されていない部位に、複数のドライバチップ13が実装されている。このように、OLEDパネル12のディスプレイ基板12aに直接ドライバチップ13が実装された構造を、COP(Chip On Panel)ともいう。
【0016】
OLEDパネル12の画像表示領域12bには、電極層、有機EL層、および封止部材等が含まれる。電極層は、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)層であり、複数のスイッチング素子を有する。有機EL層には、有機化合物により形成された複数のピクセル(画素)が含まれる。封止部材は電極層および有機EL層を封止する。封止部材の内部は、例えば真空状態である。画像表示領域12bは、有機EL層に含まれる各ピクセルに電流を流して発光させ、所定の画像を表示するように構成されている。
【0017】
図3に示すように、OLEDパネル12の裏側には、不透明の背面シート11が設けられている。OLEDパネル12の表側には、OCA17(Optical Clear Adhesive)およびカバーフィルム18が設けられる。なお、「OLEDパネル12の裏側」とはディスプレイ基板12aが配置された側であり、「OLEDパネル12の表側」とは画像表示領域12bが配置された側である。使用者は、カバーフィルム18およびOCA17を通して、画像表示領域12bに表示された画像を視認することができる。不透明の背面シート11が設けられることで、ディスプレイ基板12aが透明であっても、画像表示領域12bに表示された画像を視認しやすくなる。
【0018】
カバーフィルム18は、OCA17によって、OLEDパネル12に接着固定される。OCA17は、透明かつ接着性を有している。OCA17としては、例えばシリコーン系粘着剤を採用できる。カバーフィルム18は例えばガラスである。カバーフィルム18とOLEDパネル12との間に、タッチセンサ層が設けられてもよい。この場合、ディスプレイユニット10をタッチパネルとして用いることができる。また、カバーフィルム18とOLEDパネル12との間に偏光板などが設けられてもよい。
【0019】
図2に示すように、複数のドライバチップ13は、第1方向Xに並べて配されている。ドライバチップ13は、OLEDパネル12の各ピクセルに所定の電流を流すことで、画像表示領域12bに所定の画像を表示させる。ドライバチップ13は、例えばIC(Integrated Circuit)である。ドライバチップ13は、接続基板14により、中継基板15に接続される。接続基板14は、ドライバチップ13の数および配置に合わせて、第1方向Xに並べて配されている。複数の接続基板14の各回路は、中継基板15により集約されて、1つのFPC16へと電気的に接続される。
【0020】
FPC16は、中継基板15と基板19とを接続している。FPC16および基板19は、一体として形成されたリジッドフレキシブル基板であってもよい。あるいは、FPC16と基板19とが別個に形成され、両者がコネクタ若しくはACF(Anisotropic Conductive Film)を用いたボンディング等により接続されていてもよい。図3図4に示すように、基板19には、不揮発性メモリ19aおよび第2コネクタ19bが実装されている。不揮発性メモリ19aとしては、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を使用できる。不揮発性メモリ19aは、OLEDパネル12の各ピクセルに関しての、第1補正データI1および第2補正データI2を記憶するように構成されている。
【0021】
第1補正データI1とは、OLEDパネル12の各ピクセルの初期状態に基づいて作成される、各ピクセルの駆動条件(例えば電流値)を補正するための情報である。第1補正データI1を用いてOLEDパネル12の各ピクセルの駆動条件を制御することで、ピクセルごとの製造上のバラつきに起因する画像の乱れを補正することができる。
【0022】
第2補正データI2とは、各ピクセルの使用状況に基づいて作成される、各ピクセルの駆動条件(例えば電流値)を補正するための情報である。「使用状況」とは、例えばピクセルごとの通電時間および輝度の累積から計算される劣化の予測値である。OLEDパネル12に含まれる有機化合物は点灯に伴って劣化するが、劣化の進行の程度はピクセルごとの使用状況に応じてバラつく。そこで、第2補正データI2を用いてOLEDパネル12の各ピクセルの駆動条件を補正することで、ピクセルごとの使用状況のバラつきに起因する画像の乱れを補正することができる。
【0023】
第2コネクタ19bは、制御基板20の第1コネクタ23に接続されている。第2コネクタ19bおよび第1コネクタ23は、いわゆるBtoBコネクタであり、基板19および制御基板20がそれぞれの厚さ方向において対向するように、基板19と制御基板20とを接続することができる。コネクタ19b、23のうち、一方はプラグ側であり、他方はレセプタクル側である。コネクタ19b、23のどちらがプラグ側であってもよい。基板19および制御基板20は、第2筐体1b内に収容されている。制御基板20は、不図示のマザーボードに接続されている。
【0024】
図4に示すように、不揮発性メモリ19aは、基板19のうち制御基板20に対向する面に実装されている。言い換えると、基板19と制御基板20との間の隙間に不揮発性メモリ19aが配置されている。この構造によれば、例えば不揮発性メモリ19aを中継基板15等に実装する場合と比較して、第1筐体1aの厚みを抑えることができる。
【0025】
図2に示すように、制御基板20には、第1コネクタ23に加えて、電源供給部21および制御部22が実装されている。電源供給部21および制御部22は、例えばICである。電源供給部21は、各ピクセルを駆動するための電力をドライバチップ13に供給するように構成されている。制御部22は、OLEDパネル12の各ピクセルを駆動するタイミング等を制御するように構成されている。制御部22と不揮発性メモリ19aとは、コネクタ19b、23等を通じて電気的に接続されており、例えばI2Cインタフェースを用いて通信を行う。制御部22は、不揮発性メモリ19aが記憶する第1補正データI1および第2補正データI2に基づいて、ドライバチップ13を制御する。
【0026】
FPC16は、第1筐体1a内に配された中継基板15と、第2筐体1b内に配された基板19と、を電気的に接続している。FPC16をヒンジ機構1cの内部に通すことで、第1筐体1aと第2筐体1bとが相対回転しても電子機器1の機能を維持することができる。なお、接続基板14および中継基板15を用いず、FPC16を直接OLEDパネル12に接続してもよい。
【0027】
ここで、上記の通り、不揮発性メモリ19aにはOLEDパネル12の駆動条件を補正するための第1補正データI1および第2補正データI2が記憶されている。これらの補正データI1、I2は、OLEDパネル12の固体ごとに作成されるものである。したがって、例えば電子機器1をメンテナンスする際にはOLEDパネル12を交換する場合があるが、OLEDパネル12および不揮発性メモリ19aはともに交換することが求められる。仮に不揮発性メモリ19aが制御基板20に実装されている場合には、OLEDパネル12とともに制御基板20ごと交換する必要が生じ、メンテナンス作業を行いにくい。また、本来は交換する必要が無い制御基板20を交換することになり、コストの観点からも不利である。
【0028】
そこで本実施形態では、ディスプレイユニット10がOLEDパネル12および不揮発性メモリ19aを有しており、このディスプレイユニット10が第2コネクタ19bを介して制御基板20に接続されている。このため、OLEDパネル12および不揮発性メモリ19aを交換する際には、第2コネクタ19bを制御基板20の第1コネクタ23から取り外すことで、ディスプレイユニット10を電子機器1から取り外すことができる。したがって、メンテナンス作業性が向上する。さらに、ディスプレイユニット10をサービス交換ユニット(FRU:Field Replacement Unit)とした場合、FRUに制御基板20が含まれないことによるコストダウンを図ることができる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の電子機器1は、第1筐体1aと、第1筐体1aに対してヒンジ機構1cを介して回動可能に連結された第2筐体1bと、第1筐体1aに収容されたOLEDパネル12を有するディスプレイユニット10と、第2筐体1bに収容され、OLEDパネル12の駆動を制御する制御部22および第1コネクタ23が実装された制御基板20と、を備え、ディスプレイユニット10は、OLEDパネル12と制御基板20とを電気的に接続するFPC16と、OLEDパネル12の各ピクセルに関する、初期状態に応じた第1補正データI1および使用状況に応じた第2補正データI2を記憶する不揮発性メモリ19aと、第1コネクタ23に接続される第2コネクタ19bと、を有する。
【0030】
上記構成によれば、制御基板20を電子機器1から取り外さずに、OLEDパネル12および不揮発性メモリ19aを含むディスプレイユニット10を取り外すことが可能となる。したがって、メンテナンス作業性を向上させることができる。
【0031】
また、ディスプレイユニット10は、不揮発性メモリ19aおよび第2コネクタ19bが実装された基板19を有し、基板19は第2筐体1bに収容されていてもよい。この場合、第1筐体1aの厚さを抑えることが可能である。
【0032】
また、FPC16および基板19は、一体に形成されたリジッドフレキシブル基板であってもよい。この場合、FPC16と基板19と別個に形成し、これらをコネクタ等で接続する構成と比較して、サイズダウンを図ることができる。
【0033】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0034】
例えば、不揮発性メモリ19aはディスプレイユニット10における基板19以外の部位に実装されてもよい。具体的には、中継基板15あるいは接続基板14に不揮発性メモリ19aが実装されている場合も、メンテナンス作業性を向上するという効果は得られる。
【0035】
また、前記実施形態では不揮発性メモリ19aおよび第2コネクタ19bが同一の基板19に実装されていた。しかしながら、不揮発性メモリ19aが実装された基板(第1基板)と、第2コネクタ19bが実装された基板(第2基板)と、が異なっており、ディスプレイユニット10がこれらの第1基板および第2基板を有してもよい。
【0036】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…電子機器 1a…第1筐体 1b…第2筐体 1c…ヒンジ機構 10…ディスプレイユニット 16…FPC 19…基板 19a…不揮発性メモリ 19b…第2コネクタ 20…制御基板 23…第1コネクタ I1…第1補正データ I2…第2補正データ
図1
図2
図3
図4