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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】流体解析モジュール及び流体解析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20220830BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020500148
(86)(22)【出願日】2018-07-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2018068078
(87)【国際公開番号】W WO2019008026
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】102017211693.5
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513089121
【氏名又は名称】レスシテック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベンク,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】グルドク,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】フェルドブリュッゲ,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ボーチャード,ミハエル
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/087573(WO,A2)
【文献】特表2016-534333(JP,A)
【文献】特表2008-517250(JP,A)
【文献】特表2013-518289(JP,A)
【文献】米国特許第06171238(US,B1)
【文献】特開2012-150130(JP,A)
【文献】特表昭60-500159(JP,A)
【文献】特表2005-518532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0258544(US,A1)
【文献】米国特許第05062774(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0137778(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00 -37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体入口ポート(10)を有するモジュールハウジング(4)と、
前記モジュールハウジング(4)内に統合され、前記流体入口ポート(10)と流体連通可能なセンサ表面(11)を有する少なくとも1つの流体センサ(12)と、
前記モジュールハウジング(4)内に統合され、前記少なくとも1つの流体センサ(12)の前記センサ表面(11)と流体連通可能なチャンバ(7)と、
前記チャンバ(7)内に取り付けられ、前記少なくとも1つの流体センサ(12)の前記センサ表面(11)と流体連通可能な少なくとも1つの第1の流体リザーバ(8)と、
少なくとも部分的に弾性を有し、かつ液密な薄膜状に形成された仕切り壁(22)が取り付けられた少なくとも1つのモジュールハウジング表面(20)と、を有しており、
前記モジュールハウジング表面(20)の下方には、フローバルブ(13)の形態の少なくとも1つの流体機能要素と、搬送ポンプ(14)の形態の少なくとも1つの流体機能要素とが取り付けられ、
前記流体機能要素(13、14)が、前記仕切り壁の局部的な機械的変形のみによって、
前記流体入口ポートからの流体のみの前記センサ表面(11)を介した前記チャンバ(7)への搬送と、
前記少なくとも1つの流体リザーバ(8)内に貯蔵され、前記流体リザーバ(8)からの流体のみの前記センサ表面(11)を介した前記チャンバ(7)への搬送と、
の少なくとも1つで動作可能に構成されており、
前記モジュールハウジング(4)は、測定支持体領域(5)とチャンバ領域(6)とを有し、
前記測定支持体領域(5)には、前記流体センサ(12)を内部に有する測定支持体(5*)が設けられ、
前記チャンバ領域(6)には、前記チャンバ(7)が設けられ、
前記測定支持体(5*)及び前記チャンバ(7)は、前記モジュールハウジング(4)によって囲まれ、
前記測定支持体(5*)は、前記チャンバ(7)に分離不能に着座し、前記チャンバ(7)の少なくとも片側を画定し、
前記測定支持体(5*)は、前記チャンバ(7)とは反対向きの上面を有し、その上面に少なくとも部分的に前記弾性を有し、液密の薄膜状に形成された仕切り壁(22)が取り付けられている、流体解析モジュール(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の流体解析モジュールであって、
少なくとも1つの第2の流体リザーバ(9)が前記チャンバ(7)内に取り付けられ、前記第2の流体リザーバ(9)が、前記少なくとも2つの流体機能要素(13、14)及び/又はフローバルブ又は搬送ポンプの形態の少なくとも1つのさらなる流体機能要素によって少なくとも1つの前記流体センサ(12)の前記センサ表面(11)と流体連通可能であることを特徴とする流体解析モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の流体解析モジュールであって、
前記少なくとも1つの流体リザーバ(8)は、液密の弾性バッグの形態で構成されていることを特徴とする流体解析モジュール。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の流体解析モジュールであって、
前記流体入口ポート(10)は、前記測定支持体(5*)に取り付けられ、前記測定支持体(5)内で少なくとも1つの流体管路(15、16)に沿って前記少なくとも1つの流体センサ(12)の前記センサ表面(11)と流体連通可能に接続され、
そこから離れて前記測定支持体(5)内の少なくとも1本の流体管路(17)が前記チャンバ(7)に接続され、
前記少なくとも1つのフローバルブ(13)の形態の流体機能要素が前記流体管路(15、16、17)の少なくとも1本に沿って配置され、
前記流体管路(17)が搬送ポンプ(14)の形態の前記少なくとも1つの流体機能要素と動作可能に流体連通可能であることを特徴とする流体解析モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載の流体解析モジュールであって、
前記少なくとも1つの流体リザーバ(8、9)は、前記測定支持体(5*)に接続された流体管路(18、19)を介して前記少なくとも1つの流体センサ(12)の前記センサ表面(11)と流体連通され、
前記測定支持体(5)内の前記少なくとも1本の流体管路(17)が前記流体センサ(12)から離れて前記チャンバ(7)に接続され、
フローバルブ(13)の形態の少なくとも1つの前記流体機能要素が、前記流体管路(18、19)の少なくとも1本に沿って配置され、
前記流体管路(18、19)は、搬送ポンプ(14)の形態の前記少なくとも1つの流体機能要素と動作可能に流体連通可能であることを特徴とする流体解析モジュール。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の流体解析モジュールであって、
少なくとも2つの自由にアクセス可能な電極表面(25)が、少なくとも1つのモジュールハウジング表面(20)に取り付けられ、前記少なくとも1つの流体センサ(12)と電気的に接続されていることを特徴とする流体解析モジュール。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の流体解析モジュールであって、
フローバルブ(13)の形態の前記少なくとも1つの流体機能要素は、前記モジュールハウジング表面(20)へと開かれた流体通路部として構成され、前記弾性を有し、液密の薄膜状に形成された仕切り壁(22)が張られ、前記仕切り壁(22)は、前記流体通路部が局所的に変形した仕切り壁(22)によって局所的に液密に密閉されるように、力が加えられることにより前記局所的に変形可能であることを特徴とする流体解析モジュール。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の流体解析モジュールであって、
前記搬送ポンプ(14)の形態の前記少なくとも1つの流体機能要素は、前記モジュールハウジング表面(20)へと開かれた流体通路部として構成され、前記弾性を有し、液密の薄膜状に形成された仕切り壁(22)が張られ、前記仕切り壁(22)は、前記流体通路部が、局所的に変形した仕切り壁(22)と共に間接的又は直接的に蠕動運動で流体通路方向に前進する搬送容積(27)を囲むように、力が加えられることにより前記局所的に変形可能であることを特徴とする流体解析モジュール。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の流体解析モジュールあって、
制御及び評価ユニット(3)が備えられ、それに前記流体解析モジュール(1)が、前記制御及び評価ユニット(3)に備えられた機械的駆動要素が弾性を有し、液密の薄膜状に形成された前記仕切り壁(22)を介して前記流体機能要素と篏合可能であるように、着脱自在に堅固に結合可能であり、前記制御及び評価ユニット(3)と前記少なくとも1つの流体センサ(12)との間の電気的接続が、前記モジュールハウジング表面(20)に自由に取り付け可能な少なくとも2つの電極表面(25)を介して確立可能であることを特徴とする流体解析モジュール。
【請求項10】
血液、脳脊髄液、漿液、尿、灌流液を含む生体液の解析装置としての請求項1乃至9のいずれか1項に記載の流体解析モジュールの使用法。
【請求項11】
前記チャンバ(7)内には、すすぎ液又は較正液を容れる流体リザーバ(8)と、較正液を容れるさらなる流体リザーバ(9)とが含まれることを特徴とする請求項10に記載の使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の成分をセンサで検出することができる流体解析モジュールに関する。この流体解析モジュールは、体液、好ましくは患者からサンプルとして採取された血液、又は継続的に繰り返される測定手順で体外血液循環による解析が必要な血液の解析に特に適している。
【背景技術】
【0002】
一般的なの流体解析モジュールは、ドイツ特許第10 2011 056 271 A1号に示されており、この流体解析モジュールは、実質的に、相互接続された3つのプレート状の機能ユニット、すなわち支持プレート、いわゆる流体カード、及びセンサカードから構成されている。支持プレート内には、特にセンサ表面を洗浄するためのセンサ洗浄液が貯蔵される貯蔵チャンバ及び収容容積が含まれている。支持プレートの上に直接的に取り付けられた流体カードは、支持プレート内にある収容容積と流体連通している。流体カードは、支持プレート内に貯蔵された流体、及び特に指定された流体通路に沿って別個の通路を通って供給される体液を搬送するためのバルブ及びポンプが内部に配置された複数の流体通路を含んでいる。センサを備えたセンサカードは、流体カード内に含まれる流体通路の片側を液密に閉鎖し、流体通路内に案内される流体と直接接触する。センサカードは、流体通路の反対側に、流体解析モジュールを着脱可能に堅固に結合可能な測定モジュールと電気的に接触するセンサ接点を有している。
【0003】
米国特許第6,171,238 B1号は、測定セル内に電流測定バイオセンサを備え、ホース輸送システムを介して貯蔵バッグ内に貯蔵された洗浄液、及びサンプル開口部を介して搬送することができる流体サンプルを必要に応じて電流測定バイオセンサに供給することができるバイオセンサを有する携帯ハンドヘルドデバイスを示している。測定セルを貫流するすべての流体は、適宜に備えられた廃棄物バッグに流入する。携帯ハンドヘルドデバイスには評価、表示、及びエネルギー貯蔵ユニットもあり、それにより自立的な動作が可能である。
【0004】
米国特許文献第4,479,762Aは、ドナーの血液がモジュールに搬送され、そこで血漿がドナーの血液から分離され、血液中に残っている赤血球が再びドナーに戻される血漿交換療法を実施するためのモジュールを記載している。モジュールは、脈動圧力作用により流体管路システム内の流体の流れを開始することができる外部アクチュエータシステムと弾性分離膜を介して液密に着脱可能に接触可能な流体リザーバを有する流体管路システムとを備えている。
【0005】
米国特許第5,062,774A号は、多数の液体容器を接続することができ、個々の流体から任意の流体混合物を生成できる流体ポンプシステムを記載している。
【0006】
しかし、すべての既知の流体解析モジュールには、その複雑さと複数の異なる機能コンポーネントの最適に小型化された統合のために、技術的な要求が厳しく、ひいてはコストがかかる機能ユニットであるという欠点がある。特に、例えば多様な人々の血液サンプルなど、多数の様々な測定サンプルを検査するためのこのような流体解析モジュールの医学的、生物学的使用に関して、このような流体解析モジュールは、多くの場合、相互汚染を避けるための使い捨て製品、いわゆるディスポーザブル製品として形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、それぞれの流体の供給、測定、及び廃棄のための実質的にすべてのコンポーネントが含まれるように設計され、できるだけ費用効果が高く、簡単な廃棄、すなわち電子コンポーネントを全く含まず、廃棄に適するように設計され、可能な限り複雑で可能な限り小型構造の上述の一般的なタイプの流体解析装置を形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題を解決するための手段は請求項1に記載されている。請求項10の主題は、請求項11及び12に記載の好ましい方法で生体液の解析に使用可能な流体解析装置である。
【0009】
解決手段による流体解析モジュールは、一体化されたユニットとして形成され、1つの、好ましくは単一の流体入口ポートを有するモジュールハウジングを備えている。モジュールハウジング内には流体入口ポートと流体連通可能なセンサ表面を有する少なくとも1つの流体センサが統合されている。さらに、モジュールハウジング内には、少なくとも1つの流体センサのセンサ表面と流体連通可能なチャンバが配置されている。チャンバ内には、少なくとも1つの流体センサのセンサ表面と流体連通可能な少なくとも1つの第1の流体リザーバが配置されている。モジュールハウジングはさらに、少なくとも部分的に弾性を有し、かつ、液密な薄膜状に形成された仕切り壁が取り付けられた少なくとも1つのモジュールハウジング表面を有し、その下方には、フローバルブの形態の少なくとも1つの流体機能要素と、搬送ポンプの形態の少なくとも1つの流体機能要素とが取り付けられ、流体機能要素が、仕切り壁の局部的な機械的変形のみによって、
―流体入口ポートからの流体のみのセンサ表面を介したチャンバへの搬送と、
―少なくとも1つの流体リザーバ内に貯蔵され、流体リザーバからの流体のみのセンサ表面を介したチャンバへの搬送と、の少なくとも1つで動作可能に構成されている。
【0010】
好ましくは、少なくとも1つの第2の流体リザーバが前記チャンバ内に取り付けられ、前記第2の流体リザーバが、前記少なくとも2つの流体機能要素及び/又はフローバルブ又は搬送ポンプの形態の少なくとも1つのさらなる流体機能要素によって少なくとも1つの流体センサのセンサ表面と流体連通可能である。特に、生体液、とりわけ血液を解析するために、血液測定が行われる前にセンサ表面を洗浄し、較正する必要がある。したがって、チャンバ内に収容された第1の流体リザーバ内にはセンサすすぎ液又は較正液があり、チャンバ内に収納された第2の流体リザーバ内には較正液がある。
【0011】
チャンバはさらに、測定される流体、例えば血液と、チャンバ内に収容された少なくとも1つの流体リザーバに貯蔵された液体の両方の収集容積及び/又は廃棄容積としても機能するため、少なくとも1つの流体リザーバは液密の弾性バッグの形態で構成されている。少なくとも1つのバッグが空になるとバッグの容積が減少し、同時に、そうでなければ一定のチャンバ容積を有するチャンバ内の廃棄される流体の収容容積が増加する。
【0012】
モジュールハウジングは、測定支持体領域とチャンバ領域とに分割できる。すなわち測定支持体は、チャンバに分離不能に着座し、チャンバの少なくとも片側を画定する。その際、測定支持体は、チャンバとは反対向きの上面を有しており、この上面に少なくとも部分的に弾性、液密の薄膜状に形成された仕切り壁が取り付けられている。
【0013】
流体入口ポートは、一方では測定支持体の領域に取り付けられ、測定支持体内で少なくとも1つの流体管路に沿って少なくとも1つの流体センサのセンサ表面と流体連通可能に接続され、そこから離れて測定支持体内の少なくとも1本の流体管路がチャンバに接続されている。流体入力ポート、センサ表面、及びチャンバ間の流体の流れを制御するために、一方では少なくとも1つのフローバルブの形態の流体機能要素が流体管路の少なくとも1本に沿って配置され、他方では流体管路が搬送ポンプの形態の少なくとも1つの流体機能要素と動作可能に流体連通可能である。
【0014】
センサ表面の必要な洗浄又は較正のために、少なくとも1つの流体リザーバは、測定支持体の領域に接続された流体管路を介して少なくとも1つの流体センサのセンサ表面と流体連通され、測定支持体内の少なくとも1本の流体管路が流体センサから離れてチャンバに接続されている。この場合もフローバルブの形態の少なくとも1つの流体機能要素が、これらの流体管路の少なくとも1本に沿って配置され、流体管路は、搬送ポンプの形態の少なくとも1つの流体機能要素と動作可能に流体連通可能である。
【0015】
フローバルブの形態の少なくとも1つの流体機能要素は、モジュールハウジング表面へと開かれた流体通路部として構成され、弾性を有し、液密の薄膜状に形成された仕切り壁に張られ、バルブの動作及び/又はバルブの制御のために流体通路部が局所的に変形された仕切り壁によって局所的に液密に密閉されるように、力が加えられることによる仕切り壁の局所的な変形が必要である。そのために、好ましくは仕切り壁に隣接して取り付けられ、仕切り壁を局所的に変形させることができる移動アクチュエータの形態の外部アクチュエータが使用される。
【0016】
搬送ポンプの形態の少なくとも1つの流体機能要素は、モジュールハウジング表面へと開かれた流体通路部として構成され、弾性を有し、液密の薄膜状に形成された仕切り壁が張られている。ポンプを作動するため、流体通路部が、局所的に変形した仕切り壁で間接的又は直接的に蠕動ポンプの原理に相当する蠕動運動で流体通路方向に前進する搬送容積を囲むように、力が加えられることによる仕切り壁の局所的な変形が必要である。
【0017】
さらに、少なくとも2つの自由にアクセス可能な電極表面は、少なくとも1つのモジュールハウジング表面に取り付けられ、少なくとも1つの流体センサと電気的に接続されている。流体機能要素の機械的制御のみならず、流体解析モジュール内の少なくとも1つの流体センサの電気的接触にとっても、制御及び評価ユニットに備えられた機械的駆動要素が弾性で液密の薄膜状に形成された仕切り壁を介して流体機能要素と篏合可能であり、流体解析モジュールに着脱自在に堅固に結合可能な制御及び評価ユニットが必要である。さらに、制御及び評価ユニットと少なくとも1つの流体センサとの間の電気的接続は、モジュールハウジング表面に自由に取り付け可能な少なくとも2つの電極表面を介して確立可能である。
【0018】
流体解析モジュールと制御及び評価ユニットとから構成される流体解析装置は有利に、センサによって測定される流体と接触しない電子コンポーネント全体が制御及び評価ユニット側に収容されていることを特徴とする。これに対して、流体解析モジュール全体は純然たる機械コンポーネントから構成され、特に流体センサの適宜の構成では電子コンポーネントを含んでいない。
【0019】
流体解析装置は、生体液、例えば血液、脳脊髄液、漿液及び尿のセンサによる分析に有利に適している。この使用目的のため、チャンバ内にはすすぎ液又は較正液を容れる流体リザーバと、センサ表面用の較正液を有するもう1つの流体リザーバとが含まれている。
【0020】
以下に図面を参照して実施例に基づき、発明の概念を限定せずに本発明を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】解決手段により形成された、制御及び評価ユニットが結合された流体解析モジュールの概略構造を示す図である。
図2】フローバルブの形態の流体機能要素の図である。
図3】搬送ポンプの形態の流体機能要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、機械的に着脱可能なインターフェース2を介して制御及び評価ユニットと機械的に結合された流体解析モジュール1の概略構造を示す。流体解析モジュール1は、制御及び評価ユニット3と共に流体解析装置を形成する。
【0023】
図1に示される流体解析モジュール1は、モジュールハウジング4によって囲まれ、それによって一体化され、及び/又は一体的に取り扱い可能な構造を有する。流体解析モジュール1は、機能的に測定支持体領域5とチャンバ領域6とに分割可能である。チャンバ領域6はチャンバ7を有し、その内部には弾性バッグとして形成された2つの流体リザーバ8、9が収納されている。バッグ状の流体リザーバ8、9は、測定支持体領域5に接続された流体管路を除いて、それ以外はチャンバ7内に緩く保持されている。
【0024】
測定支持体5は、センサによって分析される液体、及び/又はセンサによって分析される流体、例えば血液を測定支持体5に送り込むための流体入口ポート10を有する。測定支持体5内には、少なくとも1つのセンサ表面11を有する少なくとも1つの流体センサ12があり、このセンサ表面を介してセンサによって分析される流体が流体センサ12内に案内される。
【0025】
流体入口ポート10を介して測定支持体5に流入する流体は、流体管路15、16を介して流体センサ12に案内される。流体センサ12から離れて、流体管路17が測定支持体5内に配設され、この管路を介して流体センサ12を貫流する流体が、流体収集及び/又は廃棄チャンバとして機能するチャンバ7の容積内に直接流入する。
【0026】
流体管路15、16及び17に沿って規定された流れを確保するため、測定支持体5内に流体機能要素13及び14が設けられている。図1の流体管路15と16との間に設けられた流体機能要素13はバルブの形態で形成され、流体管路15と16との間の接続を開閉することができる。流体管路17に沿って備えられた流体機能要素14は搬送ポンプとして機能し、それぞれの流体管路に沿った制御された流れを確保する。流体機能要素13、14は、設計に応じて流体管路に沿って図示した領域とは異なる領域に取り付けてもよい。
【0027】
流体センサ12のセンサ表面11を洗浄又は較正するために、すすぎ液又は較正液が貯蔵する流体リザーバ8から、すすぎ液又は較正液が流体管路18及び16を介して流体センサ12に案内され、これらは最終的に再び流体管路17を介してチャンバ7のチャンバ容積内に排出される。これを達成するため、流体管路15に沿った供給管路が閉じられ、流体管路18と16のみが流体連通されるように流体機能要素13のバルブ制御を実行する必要がある。
【0028】
センサを較正するために、流体リザーバ9内には、流体管路19及び16を介して流体センサ12に到達し、そこから流体管路17を介してチャンバ7の収集容積に移送される較正液が貯蔵されている。この場合も、流体機能要素13のバルブ制御を適切に実行する必要、すなわち流体管路15及び18を閉じる必要があり、これに対して流体管路19は流体センサ12に較正液を流入させるために開かれている。
【0029】
図2には、バルブ13の形態の流体機能要素の断面図が示されている。このように、例えば図2に示される流体管路15は、弾性で液密の薄膜状に形成された仕切り壁22に張られ、モジュールハウジング表面20へと開かれて形成された切り欠き部21を有している。流体管路15に沿った流路を閉じるため、仕切り壁22は、流体管路15内で局所的に液密な閉鎖をもたらすように力の作用により変形する必要がある。そのために、制御及び評価ユニット3の両側に取り付けられた調整要素23が有利に機能する。
【0030】
図1に示される流体管路15、18及び19の少なくとも各々に沿って、それぞれ図2のように形成された流体機能要素が備えられている。
【0031】
図3は、搬送ポンプの形態の流体機能要素を実現するための想定される実施形態を示す。流体管路17が、弾性で液密な薄膜状に形成された仕切り壁22に張られたモジュールハウジング表面20の方向を向く切り欠き部21を有しているものと想定する。搬送方向24に流体の流れを押し込むために、制御及び評価ユニット3の両側に取り付けられ、移動ストロークがそれぞれ互いに調整された少なくとも3つの調整要素23が仕切り壁22に接触し、この仕切り壁は、搬送方向24に蠕動運動で前進する搬送容積27を流体通路の壁と共に囲むように変形する必要がある。
【0032】
最後に、モジュールハウジング表面20には、それを介して流体センサ信号を捕捉可能な少なくとも2つの電極表面25が取り付けられている。そのために、制御及び評価ユニット3は適宜の電極接点26を有している。
【0033】
解決手段による流体解析モジュール1は、簡単かつ低コストで実現可能なコンポーネントから構成され、特に使い捨て製品及び/またはディスポーザブル製品として適している。流体解析モジュール1は電気コンポーネントを含んでいないため、廃棄は全く問題ない。アクチュエータ及び電子コンポーネントはすべて制御及び評価ユニット3に取り付けられ、液密の仕切り壁を介して独占的に流体解析装置と動作可能に接続されており、すなわち制御及び評価ユニットが測定プロセス及び/又は測定サイクル中に汚染することはない。
【符号の説明】
【0034】
1 流体解析モジュール
2 機械的インターフェース
3 制御及び評価ユニット
4 モジュールハウジング
5 測定支持体領域
6 チャンバ領域
7 チャンバ
8 第1の流体リザーバ
9 第2の流体リザーバ
10 流体入口ポート
11 センサ表面
12 流体センサ
13 フローバルブの形態の流体機能要素
14 搬送ポンプの形態の流体機能要素
15、16、17、18、19 流体管路
20 モジュールハウジング表面
21 切り欠き部
22 仕切り壁
23 調整要素
24 搬送方向
25 電極表面
26 電極接点
27 搬送容積
図1
図2
図3