(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】遮蔽されたケーブルの部分放電インパルスを測定する方法及び試験装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/12 20200101AFI20220830BHJP
【FI】
G01R31/12 B
(21)【出願番号】P 2020502106
(86)(22)【出願日】2018-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2018060698
(87)【国際公開番号】W WO2019020225
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】102017116613.0
(32)【優先日】2017-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035459
【氏名又は名称】マシイネンフアブリーク・ラインハウゼン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンケルマン・エーリク
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第99/53329(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3106888(EP,A1)
【文献】特開2003-240815(JP,A)
【文献】特開2000-147037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/12
G01R 31/50
G01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア及び遮蔽部を有する遮蔽されたケーブル(GK)の部分放電インパルスを測定する方法であって、当該方法が、
-結合コンデンサ(KK)を前記コアの第1の接続箇所(AL1)に接続すること、
-第1、第2及び第3の結合ユニット(K1,K2,K3)を提供し、これら結合ユニット(K1,K2,K3)がそれぞれ入力部(E)及び信号出力部(S)を備えていること、
-前記第1の結合ユニット(K1)の入力部(E)を結合コンデンサ(KK)に接続し、前記第2の結合ユニット(K2)の入力部(E)を前記遮蔽部の第1の接続箇所(AS1)に接続し、前記第3の結合ユニット(K3)を前記遮蔽部の第2の接続箇所(AS2)に接続すること、
-前記コアの前記第1の接続箇所(AL1)において試験電圧を提供すること、
-前記結合ユニット(K1,K2,K3)の前記信号出力部(S)において前記結合ユニット(K1,K2,K3)の各測定信号を測定すること、
-前記ケーブル(GK)の部分放電インパルスの見かけ上の電荷についての少なくとも1つの特性値を前記測定信号に依存して決定すること
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
見かけ上の電荷についての前記少なくとも1つの特性値を決定することが、
-前記第1の結合ユニット(K1)の測定信号を重み付けすること、
-前記第2の結合ユニット(K2)の測定信号及び/又は前記第3の結合ユニット(K3)の測定信号を重み付けすること、
-前記第2の、及び/若しくは前記第3の結合ユニット(K2,K3)の重み付けされた測定信号を前記第1の結合ユニット(K1)の重み付けされた測定信号から減算することで、又は
前記第2の、及び/若しくは前記第3の結合ユニット(K2,K3)のデジタル化され、重み付けされた測定信号を前記第1の結合ユニット(K1)のデジタル化され、重み付けされた測定信号から減算することで、
差分信号を生成すること、
-見かけ上の電荷についての第1の特性値を前記差分信号に基づいて決定すること
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
見かけ上の電荷についての前記第1の特性値を前記差分信号に基づいて決定することが、差分信号の少なくとも一部又は差分信号から導出される信号の少なくとも一部の積分を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
見かけ上の電荷についての前記少なくとも1つの特性値を決定することが、見かけ上の電荷についての少なくとも1つの第2の特性値を前記第2の結合ユニット(K2)の測定信号及び/又は前記第3の結合ユニット(K3)の測定信号に基づいて決定することを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
見かけ上の電荷についての前記少なくとも1つの第2の特性値を決定することが、
-前記第2の結合ユニット(K
2)の測定信号及び前記第3の結合ユニット(K3)の測定信号を重み付けすること、
-前記第2及び第3の結合ユニット(K2,K3)の重み付けされた測定信号を加算して、又は前記第2及び第3の結合ユニット(K2,K3)の重み付けされた測定信号のフーリエスペクトルを加算して合計信号を生成すること、
-見かけ上の電荷についての前記第2の特性値を前記合計信号に基づいて決定すること
を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
-入力部(E)及び信号出力部(S)を備えた第4の結合ユニットを提供すること、
-別の結合コンデンサを前記コアの第2の接続箇所(AL2)と接続し、前記第4の結合ユニットを前記別の結合コンデンサと接続すること、
-前記第4の結合ユニットの前記信号出力部(S)において前記第4の結合ユニットの測定信号を測定すること、
-見かけ上の電荷についての第3の特性値を前記第4の結合ユニットの測定信号に依存して決定すること
を更に含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
見かけ上の電荷についての前記第3の特性値を決定することが、
-前記第3の結合ユニット(K3)及び前記第4の結合ユニットの測定信号を重み付けすること、
-前記第3の結合ユニット(K3)の重み付けされた測定信号を前記第4の結合ユニットの重み付けされた測定信号から減算することで、又は前記第3の結合ユニット(K3)のデジタル化され、重み付けされた測定信号を前記第4の結合ユニットのデジタル化され、重み付けされた測定信号から減算することで、別の差分信号を生成すること、
-見かけ上の電荷についての前記第3の特性値が前記別の差分信号に基づいて決定されること
を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
-第1の経過時間を前記第1の結合ユニット(K1)の測定信号及び/又は前記第2の結合ユニット(K2)の測定信号に基づいて決定すること、
-第2の経過時間を前記第3の結合ユニット(K3)の測定信号に基づいて決定すること、
-前記第1の経過時間及び/又は前記第2の経過時間に基づいて、前記ケーブル(GK)の部分放電の位置を特定すること
を更に含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
-前記第1の結合ユニット(K1)の測定信号と前記第3の結合ユニット(K3)の測定信号の間又は前記第2の結合ユニット(K2)の測定信号と前記第3の結合ユニット(K3)の測定信号の間の相互相関の形成によって相関信号を生成すること、
-該相関信号に基づき経過時間を決定すること、
-該経過時間に基づいて前記ケーブル(GK)の部分放電の位置を特定すること
を更に含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
試験電圧を提供するステップ、測定信号を測定するステップ及び前記少なくとも1つの特性値を決定するステップの前に前記結合ユニット(K1,K2,K3)のうち少なくとも1つをキャリブレーションすることを更に含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記結合ユニット(K1,K2,K3)がそれぞれ1つの基準接続部(R)を備えており、該基準接続部が、基準電位に接続されており、前記キャリブレーションは、
-前記コアの前記第1の接続箇所(AL1)と前記基準電位の間、前記コアの前記第1の接続箇所(AL1)と前記結合ユニット(K1,K2,K3)の前記入力部(E)のうち1つの間又は前記コアの別の1つの接続箇所と前記結合ユニットの入力部のうち1つとの間のキャリブレーション
インパルスを生成すること、
-前記結合ユニット(K1,K2,K3)の前記信号出力部(S)におけるキャリブレーション信号を測定すること、
-前記キャリブレーション信号に基づき前記キャリブレーションインパルスの見せかけの電荷についての試験値を決定すること、
-前記キャリブレーションインパルスの見かけ上の電荷についての基準値と試験値を比較することで、前記キャリブレーション信号が測定された信号出力部(S)において前記結合ユニット(K1,K2,K3)についてのキャリブレーションファクタを決定することを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
コア及び遮蔽部を有する遮蔽されたケーブル(GK)の部分放電インパルスを測定する試験装置であって、当該試験装置が、
-それぞれ1つの入力部(E)及び信号出力部(S)を含む第1、第2及び第3の結合ユニット(K1,K2,K3)であって、前記第2の結合ユニット(K2)の前記入力部(E)が前記遮蔽部の第1の接続箇所(AS1)と接続され、前記第3の結合ユニット(K3)の前記入力部(E)が前記遮蔽部の第2の接続箇所(AS2)と接続されている、前記第1、第2及び第3の結合ユニットと、
-出力部を有する高電圧源(HV)であって、該出力部が、前記コアの第1の接続箇所(AL1)へ前記高電圧源を接続し、該高電圧源が、前記出力部において試験電圧を提供する、前記高電圧源と、
-該高電圧源の前記出力部に接続された結合コンデンサ(KK)であって、前記第1の結合ユニットの前記入力部(E)が前記結合コンデンサ(KK)に接続されている前記結合コンデンサと、
-前記第1、第2及び第3の結合ユニット(K1,K2,K3)の前記信号出力部(S)と接続された評価ユニット(A)と
を含み、
-該評価ユニット(A)が、前記結合ユニット(K1,K2,K3)の前記信号出力部(S)から対応する測定信号を受け取り、該測定信号に依存して、前記ケーブル(GK)の部分放電インパルスの見かけ上の電荷についての少なくとも1つの特性値を特定するために設置されていること
を特徴とする試験装置。
【請求項13】
前記結合ユニット(K1,K2,K3)のそれぞれが、
基準電位に接続された基準接続部(R)を備えており、
-前記各結合ユニット(K1,K2,K3)の入力部(E)と基準接続部(R)の間に配置された誘電要素(IE,SW)を含んでおり、及び/又は
-前記各結合ユニット(K1,K2,K3)の入力部(E)と信号出力部(S)の間に配置されたフィルタ要素(F)を含んでいる
ことを特徴とする請求項12に記載の試験装置。
【請求項14】
前記結合ユニット(K1,K2,K3)の前記フィルタ要素(F)が、アダプティブフィルタ要素(F)として形成されているとともに、第1及び第2の測定分岐部並びに結合分岐部の伝達関数が互いに適応されるように、その各周波数応答が前記遮蔽されたケーブル(GK)に適合されるように設置されていることを特徴とする請求項13に記載の試験装置。
【請求項15】
-入力部(E)及び信号出力部(S)を備えた第4の結合ユニットと、
-前記コアの第2の接続箇所(AL2)と接続可能な別の結合コンデンサと
を更に含み、
前記第4の結合ユニットの前記入力部(E)が前記別の結合コンデンサと接続されており、
-前記第4の結合ユニットの前記信号出力部(S)から測定信号を受け取り、見かけ上の電荷についての前記少なくとも1つの特性値を前記第4の結合ユニットの測定信号に依存して決定するように前記評価ユニット(A)が設置されていること
を特徴とする請求項14に記載の試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽されたケーブルの部分放電インパルスを測定する、特に部分放電インパルスの見かけ上の電荷についての特性値を決定する、方法及び試験方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下では、規格IEC60270を繰り返し参照する。このような参照は、常にIEC60270:2000+Cor.:2001+A1:2015についての参照、すなわち、2001年の対応する正誤表1及び2015年の改正A1を含む2000年の第3版における規格についての参照として理解されるべきである。これは、ドイツ語の規格DIN EN 60270:2001+A1:2016と一致する。明確に断らない限り、以下に用いられる全ての用語は、規格IEC60270の意味合いで理解されるべきである。
【0003】
局所的に限定された電気的な放電が部分放電(TE)と呼ばれ、当該部分放電は、導体間の絶縁を部分的にのみ橋渡しし、導体に接して生じ得るが、生じる必要はない。遮蔽されたケーブルにおける部分放電は、例えばコアと遮蔽部の間の電気的な絶縁における欠陥箇所又は不均一性に起因し得る。部分放電は、遮蔽されたケーブルのコアと遮蔽部の間の電気的な絶縁のエイジングをもたらし、したがって、その誘電的な品質、特に絶縁耐力にネガティブな影響を与える。遮蔽されたケーブルの誘電的な品質を保証するために、部分放電測定が行われ、当該部分放電測定を用いて、特に部分放電の見かけ上の電荷についての特性値が決定される。
【0004】
このような部分放電測定は、IEC60270により実行されることが可能である。このとき、結合コンデンサ及び測定インピーダンスからの結合分岐部は、高電圧源とアース接続部の間の試験対象物と並列に接続される。典型的には、このとき、高電圧源はコアに接続され、遮蔽部はアースされる。この場合、当該配置の感度は、本質的に結合コンデンサのキャパシタンスと試験対象物のキャパシタンスの比率によって決定される。しかしながら、試験されるべきケーブルのしばしば考慮される長さ(複数kmまで)に基づき、結合コンデンサのキャパシタンスは、遮蔽されたケーブルの試験において、通常、試験対象物のキャパシタンスよりもはるかに小さい。これにより、測定の感度の大幅な低減に至ってしまう。加えて、測定点から離れて生じる放電は、一部分についてのみ検出され得る。なぜなら、対応する部分放電インパルスが信号分散により大きく減衰され、これにより、放電エネルギーの大部分が、検出されずにコアと遮蔽部とアース接続部の間のキャパシタンスを通して流出するためである。これにより、測定の不正確性及び不信頼性に至ってしまう。加えて、部分放電の位置の特定は、信号分散並びに障害及びノイズの影響により、不可能であるか、又は極端に不正確にのみ可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、高められた測定の感度及び正確性を可能とする、遮蔽されたケーブルにおける部分放電測定についての改善されたコンセプトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
当該課題は、独立請求項の対象によって解決される。別の実施形態は、従属請求項の対象である。
【0007】
改善されたコンセプトは、高電圧試験技術の分野の方法及び対応する試験装置に関するものである。相応して、説明される全ての構成要素は、高電圧試験技術における使用に適した構成要素と理解されるべきである。高電圧とは、1000V以上の電圧と理解される。特に言及しない限り、「接続する」あるいは「接続」は、常に少なくとも「電気的に接続する」あるいは「電気的な接続」を意味する。
【0008】
改善されたコンセプトは、測定時にケーブルの遮蔽部アースに接続せず、その代わりに、結合コンデンサ及び結合ユニットを含む、コアに接続又は接続可能な結合分岐部に加えて、少なくとも2つの別の結合ユニットを遮蔽部の異なる箇所に接続可能であることにより、少なくとも2つの測定分岐部を設けるというアイデアに基づくものである。これにより、一方では、遮蔽部を介したアースに対する放電エネルギーの流出が抑制される。なぜなら、結合ユニットが、部分放電インパルスの高周波の特性により当該部分放電インパルスに対して遮断するように作用するためである。他方では、両測定分岐部が結合分岐部からの測定信号に加えて測定信号を提供する。これにより利用可能な測定信号に基づき、部分放電インパルスの見かけ上の電荷についての特性値を特に高い感度及び精度で決定することが可能である。
【0009】
改善されたコンセプトによれば、遮蔽されたケーブルの部分放電インパルスを測定するための、特にケーブルの部分放電インパルスの見かけ上の電荷についての特性値を決定するための方法が記述され、ケーブルは、互いに電気的に絶縁されているコア及び遮蔽部を備えている。
【0010】
方法によれば、結合コンデンサの第1の接続部が、例えばケーブルの第1の端部に配置されたコアの第1の接続箇所に接続される。このとき、結合コンデンサは、特に高電圧コンデンサとして形成されている。第1、第2及び第3の結合ユニットが提供され、これら結合ユニットは、それぞれ1つの入力部及び信号出力部を備えている。
【0011】
第1の結合ユニットの入力部は、結合コンデンサの第2の接続部に接続される。第2の結合ユニットの入力部は、遮蔽部の第1の接続箇所に接続され、第3の結合ユニットの入力部は、特に第1の接続箇所から空間的に離れた、遮蔽部の第2の接続箇所に接続される。
【0012】
結合ユニットの各基準接続部は、例えば、例えばアース電位である基準電位に接続されることが可能である。したがって、結合コンデンサ及び第1の結合ユニットから成る、得られた直列回路により結合分岐部が形成され、第2及び第3の結合ユニットにより、試験装置のそれぞれ1つの測定分岐部が形成される。高電圧試験技術の言語慣用では、結合ユニットは、結合四極子とも呼ぶことができる。
【0013】
コアの第1の接続箇所では、試験電圧、特に1つ又は複数の高電圧個別パルスから成る試験電圧インパルスが提供される。各結合ユニットの信号出力部では、各結合ユニットの対応する測定信号が測定される。
【0014】
試験電圧は、特に例えば0~500Hzの周波数を有する交流電圧である。しかしながら、様々な実施形態において、代替的に直流電圧を試験電圧として用いることが可能である。試験電圧は、特に高電圧源によって提供され、当該高電圧源は、直接、又は少なくとも1つの遮断インピーダンス及び/若しくは入力フィルタを介して、コアの第1の接続箇所において接続される。遮断インピーダンス及び/又は入力フィルタは、高電圧源を残りの試験アセンブリから結合解除するために用いられる。
【0015】
各結合ユニットは、例えば、その入力部における入力信号、特に電流信号を、その信号出力部において、特に電圧信号であり得る対応する測定信号へ変換するように設置されている。このとき、電流は、特に、試験電圧により生じる、ケーブルにおける部分放電インパルスによって引き起こされ得る。結合コンデンサは、例えば、部分放電インパルスの原因となる障害箇所の再充電に寄与する。
【0016】
測定信号、例えば測定信号のうち1つ、2つ又は3つに依存して、部分放電インパルスの見かけ上の電荷についての少なくとも1つの特性値が決定される。少なくとも1つの特性値は、例えば見かけ上の電荷と同一であるか、又は当該電荷に比例した値である。
【0017】
少なくとも1つの実施形態によれば、各結合ユニットは、各結合ユニットの入力部と基準接続部の間に配置された誘導要素を含んでいる。誘導要素は、例えば適合可能なインダクタンスとして形成されることが可能である。これに代えて、誘導要素は、変流器として、特に、英語ではHigh Frequency Current Transformer、HFCTである高周波変流器として形成されることが可能である。
【0018】
結合分岐部及び両測定分岐部の提供により、特にIEC60270によりキャリブレーション可能な多チャンネル式の測定方法が提供される。この場合、結合コンデンサの構造と、分割された要素、特に分割された抵抗、キャパシタンス及びインダクタンスを有する物体である試験されるべき遮蔽されたケーブルの構造の類似性が利用される。ケーブルの分割された要素により得られる単位長さ当たりのインダクタンス及び単位長さ当たりのキャパシタンスは、結合ユニットの設置によって支持される。遮蔽されたケーブルのように、高電圧コンデンサも分割されたキャパシタンス及びインダクタンスを含んでいる。
【0019】
結合ユニットの誘導要素により、結合分岐部も、また部分放電インパルスのための両測定分岐部も、遮断するように動作し、部分放電電流はアースに対して流出することがないか、又はわずかな規模でのみ流出し得る。このことは、部分放電パルスが必然的に1nsのオーダーの非常に短い上昇時間を有し得るとともに、したがって、例えば10kHz~10MHzの範囲の周波数を有し得る高周波の一時的なインパルスへ至ることに根拠がある。したがって、誘電要素は、当該パルスに対して高いインピーダンスとなる。部分放電電流がアースに対して流出することがないことにより、部分放電電流の特に大部分が、結合コンデンサを通して流出し、相応に高められた感度及び精度をもって第1の結合ユニットによって検出されることが可能である。加えて、第2及び第3の結合ユニットも同様にそれぞれ部分放電電流の一部を検出することができるため、見かけ上の電荷についての特性値を決定するための対応する測定信号も考慮に入れることが可能である。このために、結合ユニットの測定信号は、個別に根拠として用いられるか、又は当該測定信号は、互いに総計され、及び/若しくは相関されることが可能である。これにより、測定の精度が更に高められる。なぜなら、一方では部分放電が空間的に結合ユニットのうち1つの近傍で生じ、他方では障害又はノイズの影響も測定信号の比較、総計及び/又は相関によって低減され得るという可能性が高められるためである。
【0020】
そのほか、ケーブルによる減衰により生じる部分放電インパルスの分散の効果が低減される。なぜなら、複数の結合ユニットを設けることでより短い信号経過時間を達成可能なためである。
【0021】
少なくとも1つの実施形態によれば、見かけ上の電荷についての特性値を決定するために、測定信号のうち少なくとも2つ、例えば測定信号の全てを互いに総計される。
【0022】
少なくとも1つの実施形態によれば、各結合ユニットは、各結合ユニットの入力部と信号出力部の間に配置されたフィルタ要素又はフィルタネットワークを含んでいる。このとき、フィルタ要素は例えばハイパス特性又はバンドパス特性を有している。
【0023】
ハイパス用の可能な境界周波数は、例えば30kHz又は100kHzであり得る。バンドパスについては、下側の境界周波数として100kHz及び/又は上側の境界周波数として500kHzであり得る。他の境界周波数は、具体的な要件に対応して可能である。
【0024】
少なくとも1つの実施形態によれば、結合ユニットのフィルタ要素が、アダプティブフィルタ要素として形成されているとともに、測定分岐部並びに結合分岐部の伝達関数が互いに適応されるように、その各周波数応答が遮蔽されたケーブルに適合されるように設置されている。
【0025】
少なくとも1つの実施形態によれば、遮蔽部の第1の接続箇所がケーブルの第1の端部に配置されている。少なくとも1つの実施形態によれば、遮蔽部の第2の接続箇所がケーブルの第1の端部とは異なる第2の端部に配置されている。ケーブルの端部における配置は、ケーブルの端部にはケーブルのコアも容易にアクセス可能であり、したがってコアと遮蔽部の間の部分放電キャリブレータの接続によるキャリブレーションがケーブルの端部において可能であり、これにより、IEC60270によるキャリブレーションが可能となる。
【0026】
評価ユニットは、例えば少なくとも1つの部分放電測定機器、特に広帯域部分放電測定機器を含んでいる。
【0027】
方法の少なくとも1つの実施形態によれば、見かけ上の電荷についての少なくとも1つの特性値を決定することは、第1の結合ユニットの測定信号の重み付けを含んでいる。また、第2の結合ユニットの測定信号及び/又は第3の結合ユニットの測定信号が重み付けされる。
【0028】
少なくとも1つの実施形態によれば、デジタル化された各測定信号は、第1の結合ユニット及び/又は第2の結合ユニット及び/又は第3の結合ユニットの測定信号のアナログ-デジタル変換によって生成される。
【0029】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2の結合ユニットの重み付けされた測定信号及び/又は第3の結合ユニットの重み付けされた測定信号を第1の結合ユニットの重み付けされた測定信号から減算することで差分信号が形成される。これに代えて、第2の結合ユニットのデジタル化され、重み付けされた測定信号及び/又は第3の結合ユニットのデジタル化され、重み付けされた測定信号を第1の結合ユニットのデジタル化され、重み付けされた測定信号から減算することで差分信号が形成される。そして、差分信号に基づき、見かけ上の電荷についての第1の特性値が決定される。
【0030】
少なくとも1つの実施形態によれば、差分信号の少なくとも一部又は当該差分信号から導出される信号の少なくとも一部が積分(統合)される。例えば、差分信号の第1の半波を積分することができ、及び/又は差分信号の絶対値の少なくとも一部及び/又は差分信号の正の面積割合及び/又は差分信号の負の面積割合及び/又は差分信号のフーリエスペクトルの一部を積分することが可能である。
【0031】
積分の結果は、部分放電の見かけ上の電荷についての第1の特性値を表す。異なる測定信号の総計によって、部分放電の総放電エネルギーの特に大きな割合が考慮される。これにより、測定の特に高い精度が達成される。全ての測定信号が総計されれば、精度は特に高い。総計時に障害又はノイズによる影響も低減することができることも特に有利である。差分形成は、部分放電電流の電流方向が結合分岐部における上述の配置に基づき、測定分岐部における配置において逆となっていることを考慮する。
【0032】
少なくとも1つの実施形態によれば、見かけ上の電荷についての少なくとも1つの特性値を決定することが、見かけ上の電荷についての少なくとも1つの第2の特性値を第2の結合ユニットの測定信号及び/又は第3の結合ユニットの測定信号に基づいて決定することを含む。
【0033】
少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つの第2の特性値を決定すること、第1の結合ユニットの測定信号及び/又は第2の結合ユニットの測定信号及び/又は第3の結合ユニットの測定信号のアナログ-デジタル変換によって対応したデジタル化された測定信号が生成されることを含む。そして、デジタル化された各測定信号の少なくとも一部又はデジタル化された各測定信号から導出される信号の少なくとも一部が積分される。例えば、デジタル化された測定信号の第1の半波及び/又はデジタル化された測定信号の絶対値の一部及び/又はデジタル化された測定信号のフーリエスペクトルの一部を積分することが可能である。
【0034】
積分の結果は、部分放電の見かけ上の電荷についての少なくとも1つの第2の特性値を表す。見かけ上の電荷についての複数の特性値を上述の態様で決定することにより、例えば選択又は平均値形成によって、見かけ上の電荷についての実証され、特により正確な特性値を得ることが可能である。例えば、明らかに誤りの、又は不正確な特性値を除くことが可能である。ケーブルの異なる位置における複数の結合ユニットにより、特に良好な測定値の確率が高まる。
【0035】
少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つの第2の特性値の決定は、第2の結合ユニットの測定信号及び第3の結合ユニットの測定信号を重み付けすることと、第2及び第3の結合ユニットの重み付けされた測定信号の加算及びそのフーリエスペクトルによる合計信号を生成することとを含む。少なくとも1つの実施形態によれば、合計信号は、第2及び第3の結合ユニットのデジタル化され、重み付けされた測定信号とそのフーリエスペクトルとの加算によって生成される。そして、第2の特性値は、合計信号に基づき決定される。
【0036】
少なくとも1つの実施形態によれば、合計信号のアナログ-デジタル変換によって第2の特性値を決定するために、デジタル化された合計信号が生成される。
【0037】
そして、各合計信号の少なくとも一部又は当該合計信号から導出された信号の少なくとも一部が積分される。例えば、合計信号又はデジタル化された合計信号の第1の半波及び/又は合計信号若しくはデジタル化された測定信号の絶対値の一部及び/又は上述の信号の正の面積割合若しくは負の面積割合及び/又は合計信号若しくはデジタル化された合計信号のフーリエスペクトルの一部を積分することが可能である。
【0038】
積分の結果は、部分放電の見かけ上の電荷についての少なくとも1つの第2の特性値を表す。これにより、複数の測定信号を考慮することで、測定のより高い精度が達成される。
【0039】
測定信号の重み付けは、例えば、測定信号に各重み付けファクタを乗算することで得られ、重み付けファクタは、例えば、上述の配置における各結合ユニットのキャリブレーションに基づく各キャリブレーションファクタに対応する。このようなキャリブレーションにおいては、結合ユニットにおいて実際に測定可能な電荷と見かけ上の電荷の間の差異が補整される。更なる詳細については、IEC6027及びキャリブレーション方法の下記の説明が参照される。
【0040】
少なくとも1つの実施形態によれば、測定信号及び/又は差分信号及び/又は合計信号は、アナログ-デジタル変換前に特にローパスフィルタによってフィルタされ、ローパスフィルタリングの境界周波数は、アナログ-デジタル変換の走査周波数、特に最大の走査周波数に一致する。これにより、デジタル化の際のエイリアシング効果を低減又は防止することが可能である。
【0041】
少なくとも1つの実施形態によれば、測定範囲を規定するために、差分信号及び/又は合計信号及び/又はデジタル化された合計信号及び/又はデジタル化された測定信号がフィルタされる。測定範囲は、例えば0~100MHzの範囲又は0~70MHzの範囲であり得る。これにより、有利には、障害信号の影響も低減される。
【0042】
上述の積分(統合)に代えて、様々な実施形態では、差分信号及び/又は合計信号及び/又はデジタル化された合計信号及び/又はデジタル化された測定信号のピーク値が決定される。そして、ピーク値は、第1又は第2の特性値を表す。
【0043】
様々な実施形態では、上述のパルス評価と並行して、それぞれ部分放電のフェーズ情報、特に例えば正弦波の供給される電圧に関する部分放電の時点も検出される。そして、各フェーズ情報に基づき、部分放電を特徴付けるために考慮に入れられ得る、フェーズ分析されたヒストグラムを生成することが可能である。
【0044】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の結合ユニットは、50Hzの周波数において5A以上の電流を通すように設定されている。少なくとも1つの実施形態によれば、第2及び第3の結合ユニットは、50Hzの周波数において100A以上、好ましくは200A以上、特に好ましくは500A以上の電流を通すように設定されている。少なくとも1つの実施形態によれば、結合ユニットは、2000V以上までの値を有する電圧に対して設定されている。
【0045】
少なくとも1つの実施形態によれば、上述のアナログ-デジタル変換の1つ又は複数が、同期性、特に異なる測定分岐部と、該当する場合には結合分岐部との間での15nsよりわずかな、好ましくは10nsよりわずかな、特に好ましくは5nsよりわずかな同期性をもって行われる。
【0046】
少なくとも1つの実施形態によれば、入力部及び信号出力部を有する第4の結合ユニットが提供され、当該第4の結合ユニットは、例えば第1の結合ユニットと同様に形成されている。更なる結合コンデンサが、コアの第2の接続箇所と、第4の結合ユニットの入力部とに接続される。第4の結合ユニットの測定信号はその信号出力部において測定され、見かけ上の電荷についての第3の特性値が第4の結合ユニットの測定信号に依存して決定される。
【0047】
少なくとも1つの実施形態によれば、コアの第2の接続箇所がケーブルの第2の端部に配置されている。
【0048】
第3の特性値の決定は、第1及び第2の特性値の決定について説明した態様でなされ、第4の結合ユニットは、第1の結合ユニットの箇所へ入る。
【0049】
少なくとも1つの実施形態によれば、方法は、第1の結合ユニットの測定信号及び/又は第2の結合ユニットの測定信号に基づく第1の経過時間を決定することを含む。第2の経過時間は、第3の結合ユニットの測定信号に基づいて決定される。そして、ケーブルの部分放電の位置特定は、ケーブルの第1及び第2の経過時間に基づいて行われる。
【0050】
このとき、経過時間は、あらかじめ設定された基準時点から各測定信号の検出時点、例えば各測定信号のピーク値の発生まで経過する各期間に対応している。経過時間は、ケーブルにおける部分放電の異なる空間的な距離に基づき、異なる結合ユニットあるいは遮蔽部における対応する接続箇所とは必然的に異なっている。
【0051】
それゆえ、経過時間に基づきケーブルにおける部分放電の発端の位置を直接逆推論することが可能であり、したがって部分放電を探り当て、位置特定することが可能である。特に、異なる経過時間を比較することができ、経過時間のうち1つ、例えば最短経過時間を位置特定のために選択することができる。これにより、測定時の分散効果を最小化することができるとともに、測定精度を向上させることが可能である。これに加えて、又はこれに代えて、最良の測定結果を得るために、経過時間を、各測定信号の他の特徴、例えば対応する見かけ上の電荷及び/又は対向するピーク値に基づき選択することが可能である。
【0052】
少なくとも1つの実施形態によれば、方法は、第1の結合ユニットと第3の結合ユニットの測定信号間又は第2の結合ユニットと第3の結合ユニットの測定信号間の相互相関の形成により、相関された信号を生成することを含む。相関された信号に基づき経過時間が決定され、当該経過時間に基づき、部分放電の位置特定がなされる。
【0053】
経過時間決定及び位置特定に代えて、又はこれに加えて、相関された信号を、上述の過程と同様に見かけ上の電荷についての少なくとも1つの特性値を決定するために用いることが可能である。
【0054】
相互相関により、障害及びノイズの影響が低減又は除去され、これにより、測定精度の更なる向上につながる。
【0055】
少なくとも1つの実施形態によれば、例えば第2及び第3の結合ユニットと同一に形成された別の1つ又は複数の別の結合ユニットが提供される。当該別の結合ユニットは、その入力部で遮蔽部のそれぞれ別の接続箇所に接続され、当該接続箇所は、好ましくは遮蔽部の第1の接続箇所と第2の接続箇所の間に配置されている。別の結合ユニットの各測定信号はその各信号出力部において測定され、見かけ上の電荷についての少なくとも1つの特性値が別の結合ユニットの測定信号に依存して決定される。
【0056】
別の結合ユニットの測定信号に依存した少なくとも1つの特性値の決定においては、別の結合ユニットの測定信号が、第2及び/又は第3の結合ユニットの測定信号と同様に上述のように処理され、用いられる。特に、別の結合ユニットの測定信号は、上述のように適当に重み付けされることが可能である。
【0057】
特に、別の結合ユニットの測定信号は、当該測定信号を第1の結合ユニットの測定信号から減算することで差分信号の生成時に考慮されることが可能である。これに代えて、又はこれに加えて、別の結合ユニットの測定信号は、第2の特性値の決定に際して、特に合計信号の生成に際して、第2及び/又は第3の結合ユニットの測定信号と同様に考慮されることが可能である。
【0058】
見かけ上の電荷についての少なくとも1つの特性値の決定における考慮に代えて、又はこれに加えて、少なくとも1つの実施形態によれば、部分放電の位置特定が別の結合ユニットの測定信号に依存して行われる。このために、上述のように、別の結合ユニットの各測定信号について対応する経過時間が決定される。
【0059】
少なくとも1つの実施形態によれば、部分放電を位置特定するために、別の結合ユニットの測定信号に対応する経過時間は、第2及び/又は第3の結合ユニットの測定信号に基づく経過時間と同様に用いられる。
【0060】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2、第3及び別の結合ユニットが接続される遮蔽部における各接続箇所が等間隔に配置されている。
【0061】
少なくとも1つの実施形態によれば、遮蔽部における異なる接続箇所あるいは対応する結合ユニットに割り当てられた少なくとも3つの経過時間が互いに比較される。そして、部分放電の位置特定は、最短の両経過時間が決定された遮蔽部における各接続箇所間の位置への部分放電の空間的な制限を含む。これにより、位置特定が特に容易かつ例えば別の演算ステップなしに可能である。そのほか、部分放電が位置特定されたケーブルの部分は、交換されることができるか、又は取り外されることが可能である。別の結合ユニットの数が多くなればなるほど、有利には、取り除かれるケーブルの部分が少なくなる。
【0062】
多数の結合ユニットを設けることで、信号分散の影響が低減される。また、これにより、部分放電の位置特定の結果のリアルタイム表示が可能となる。
【0063】
少なくとも1つの実施形態によれば、方法は、試験電圧を提供するステップ、測定信号を測定するステップ及び少なくとも1つの特性値を決定するステップが行われる前に、特に上述の試験アセンブリにおいて、結合ユニットのうち少なくとも1つを、特にIEC60270による、又は部分的にIEC60270によりキャリブレーションすることを含む。
【0064】
少なくとも1つの実施形態によれば、キャリブレーションは、結合ユニットのうち少なくとも1つについてのキャリブレーションファクタを決定することを含む。キャリブレーションファクタは、例えば、結合ユニットの測定信号の上述の重み付けのための重み付けファクタに対応する。
【0065】
少なくとも1つの実施形態によれば、キャリブレーション時には、コアの第1の接続箇所と結合ユニットの入力部のうち1つの間、及び/又はコアの第2の接続箇所と結合ユニットの入力部のうち1つの間、及び/又はコアの別の接続箇所と結合ユニットの入力部のうち1つの間でキャリブレーションインパルスが生成される。この場合、コアの別の接続箇所は、特に、結合ユニットのうち1つが接続された接続箇所に対応する。特にキャリブレーションインパルスに起因するキャリブレーション信号は、結合ユニットのうち少なくとも1つの信号出力部において測定される。キャリブレーションインパルスの見かけ上の電荷に対する試験値は、キャリブレーション信号に基づき決定される。試験値はキャリブレーションインパルスの見かけ上の電荷についての基準値と比較され、当該比較に基づき、結合ユニットのためのキャリブレーションファクタが決定され、キャリブレーションファクタは、特に試験値と基準値の間の比率又は当該比率に比例する値に対応する。
【0066】
少なくとも1つの実施形態によれば、試験値の決定は、キャリブレーション信号のアナログ-デジタル変換によりデジタル化されたキャリブレーション信号を生成することと、デジタル化されたキャリブレーション信号の少なくとも一部又は当該キャリブレーション信号から導出された信号を積分することとを含む。積分(統合)は、例えば、差分信号及び/又は測定信号について説明したように行われる。差分信号及び/又は測定信号について説明したフィルタリングについての様々な可能性は、キャリブレーション信号について相応に可能である。積分の結果は、キャリブレーションファクタを表す。
【0067】
好ましくは、デジタル化されたキャリブレーション信号の積分は、差分信号及び/又は合計信号及び/又はデジタル化された測定信号の積分と同様に行われる。
【0068】
少なくとも1つの実施形態によれば、基準値の決定は、結合ユニットの入力部と基準電位の間でキャリブレーション信号を生成することを含み、結合ユニットは、ケーブル、高電圧源、結合コンデンサ又は上述の試験装置の他の構成要素とは接続されていない。そして、基準信号は結合ユニットの信号出力部において測定され、基準値はキャリブレーションファクタの上述の決定と同様に決定される。
【0069】
少なくとも1つの実施形態によれば、コアの別の接続箇所は、キャリブレーションされる結合ユニットの入力部が接続された遮蔽部の接続箇所の位置に対応するコアの位置にある。
【0070】
様々な実施形態では、キャリブレーション時に、遮蔽部及び/又はコアの接続箇所のうち2つの間の少なくとも1つの伝達関数が算出される。キャリブレーションインパルスは特に0~10MHzのほぼ一定のスペクトルを有しているため、少なくとも1つの結合ユニットの信号出力部において測定されるキャリブレーション信号のフーリエスペクトルは、ステップ応答、ひいては伝達関数を表す。これは、キャリブレータがケーブルに接続されている接続箇所と上述の結合ユニットがケーブルに接続されている接続箇所の間の伝達関数である。これにより、キャリブレーションによってケーブルの伝達関数の測定を効率的に行うことが可能である。
【0071】
遮蔽部の接続箇所がケーブルの端部に配置されていない場合には、コアは、例えば、キャリブレータが接続されるソケットを用いて接触されることが可能である。特に、キャリブレーションは、ソケットの取付時に行われることが可能である。
【0072】
キャリブレーションインパルスを生成するために、例えばキャリブレータ、特にIEC60270によるキャリブレータが用いられる。キャリブレータは、例えば、ジャンプ電圧を生成する発電機であってよく、これに直列接続されたコンデンサを含むことができ、その結果、キャリブレーションインパルスは、あらかじめ設定された強さを有する一群の電流インパルス又は電圧インパルスで構成されている。
【0073】
上述のキャリブレーションにより、各結合ユニットについて、キャリブレータの異なる可能な配置に合わせて多数のキャリブレーションファクタを決定することが可能である。そして、当該多数のキャリブレーションファクタに基づき、結合ユニットの測定信号の重み付けのために、例えば結合ユニットが接続された遮蔽部の接続箇所のできる限り近傍におけるキャリブレータの配置に合わせて、特に適切なキャリブレーションファクタを選択することができる。これに代えて、複数のキャリブレーションファクタに基づく平均値を重み付けに用いることが可能である。
【0074】
このようにして、特にIEC60270による部分放電測定の特に正確なキャリブレーションが達成される。
【0075】
改善されたコンセプトによれば、そのほか、コア及び遮蔽部を有する遮蔽されたケーブルの部分放電インパルスを測定するための試験装置が提供される。試験装置は、第1、第2及び第3の結合ユニットと、結合コンデンサと、高電圧源と、評価ユニットとを含んでいる。第2の結合ユニットの入力部は、遮蔽部の第1の接続箇所に接続可能であるか、又は接続されており、第3の結合ユニットの入力部は、遮蔽部の第2の接続箇所に接続可能であるか、又は接続されている。
【0076】
高電圧源は、コアの第1の接続箇所に高電圧源を接続するための出力部を備えている。結合コンデンサの第1の接続部は、高電圧源の出力部に接続されており、第1の結合ユニットの入力部は、結合コンデンサの第2の入力部に接続されている。
【0077】
評価ユニットは、第1、第2及び第3の結合ユニットの各信号出力部に接続されている。評価ユニットは、結合ユニットに属する測定信号を信号出力部から得るとともに、ケーブルの部分放電インパルスの見かけ上の電荷についての少なくとも1つの特性値を測定信号に依存して決定するために設置されている。
【0078】
評価ユニットは、改善されたコンセプトによる方法に従って少なくとも1つの特性値を決定するために、及び/又は改善されたコンセプトによる方法に従って部分放電の位置特定を行うために設置されている。
【0079】
適当な実施形態によれば、評価ユニットは、様々に説明されるフィルタリング及びその他の信号処理ステップを実行するために設置されている。
【0080】
少なくとも1つの実施形態によれば、試験装置は、入力部及び信号出力部を備えた第4の結合ユニットと、コアの第2の接続箇所に接続可能な別の結合コンデンサとを含んでおり、第4の結合ユニットの入力部は、別の結合コンデンサと接続されている。評価ユニットは、第4の結合ユニットの信号出力部から測定信号をえるとともに、見かけ上の電荷についての少なくとも1つの特性値を第4の結合ユニットの測定信号に依存して決定するために設置されている。
【0081】
上記キャリブレーションは、試験装置について同様に応用可能である。
【0082】
改善されたコンセプトによれば、そのほか、改善されたコンセプトによる試験装置及び遮蔽されたケーブルを含む試験機器が提供される。ケーブルに接続可能な試験装置の構成要素は、ケーブルに接続されている。
【0083】
試験システムの別の構成形態及び実施は、部分放電インパルスを測定する方法の様々な構成形態から直接明らかである。特に、方法に関して説明される個々の、若しくは複数の構成要素及び/又は機器は、試験システムにおける方法を実行するために適当に実施されることが可能である。
【0084】
以下では、図面を参照しつつ例示的な実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。機能上同一であるか、又は同一の効果を有する構成要素には同一の符号が付されていることがある。同一の構成要素又は同一の機能を有する構成要素は、事情によっては、これらが表される図面に関してのみ説明されている。説明は、以下の図において必ずしも繰り返されない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【
図1】遮蔽されたケーブルを有する、改善されたコンセプトによる試験装置の例示的な実施形態のブロック図である。
【
図2A】改善されたコンセプトによる方法又は試験装置についての結合ユニットの例示的な構成のブロック図である。
【
図2B】改善されたコンセプトによる方法又は試験装置についての結合ユニットの別の例示的な構成のブロック図である。
【
図3】遮蔽されたケーブルを有する、改善されたコンセプトによる試験装置の別の例示的な実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
図1には、改善されたコンセプトによる試験装置の例示的な実施形態のブロック図と、描写された試験装置がここでは例示的に接続された、遮蔽されたケーブルGKの代替ブロック図とが示されている。
図1に基づく試験装置は、改善されたコンセプトによる方法に用いられることが可能である。
【0087】
ケーブルGKは内側の導体を含んでおり、当該導体は、コアとも呼ばれ、第1の導体インダクタンスLL1、第1の導体抵抗RL1、第2の導体インダクタンスLL2及び第2の導体抵抗RL2から成る直列回路によって代替ブロック図において図示されている。また、ケーブルGKは導電性の遮蔽部を備えており、当該遮蔽部は、第1の遮蔽部インダクタンスLS1、第1の遮蔽部抵抗RS1、第2の遮蔽部インダクタンスLS2及び第2の遮蔽部抵抗RS2から成る直列回路によって図示されている。遮蔽部及び内側の導体は互いに電気的に絶縁されており、このことは、導体-遮蔽部キャパシタンスCLSと、これに対して平行に配置された導体-遮蔽部抵抗RLSによって代替ブロック図において考慮されている。導体-遮蔽部キャパシタンスCLS及び導体-遮蔽部抵抗RLSは、例えば、コアあるいは遮蔽部を表す直列回路の間に配置されている。したがって、代替ブロック図は、例えば一方側が開放されたケーブルGKに対応するが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えばエンドクロージャ若しくは止水エンドクロージャ及び/又は追加的な高電圧コンデンサによる端部ケーブルの密閉が可能である。
【0088】
コアは、例えばケーブルの第1の端部に配置された第1の接続箇所AL1を備えている。遮蔽部は、例えばケーブルの第1あるいは第2の端部に配置された第1及び第2の接続箇所AS1,AS2を備えている。
【0089】
試験装置は、高電圧源HVと、結合コンデンサKKと、評価ユニットAと、例えば第1、第2及び第3の結合ユニットK1,K2,K3とを備えている。高電圧源HVの出力部は、コアの第1の接続部AL1及び結合コンデンサKKの第1の接続部に接続されている。結合コンデンサの第2の接続部は第1の結合ユニットK1の入力部に接続されており、第1の結合ユニットの基準接続部Rがアース電位に接続されている。これにより、1つの結合分岐部は、結合コンデンサKK及び第1の結合ユニットK1から成る直列回路で形成される。第2及び第3の結合ユニットK2,K3の入力部Eは、遮蔽部の第1あるいは第2の接続箇所AS1,AS2に接続されている。第2及び第3の結合ユニットK2,K3の基準接続部Rはアース電位に接続されているため、第1及び第2の測定分岐部が形成される。結合ユニットK1,K2,K3の信号出力部Sは、評価ユニットAに接続されている。試験装置は、遮蔽部の別の接続箇所に接続された別の結合ユニットを任意で備えることが可能である。
【0090】
高電圧源HVは、矢印によって示唆されているように、結合分岐部とケーブルGLの間で分割される試験電流をもたらす試験電圧をその出力部において生じさせるように設置されている。試験電流は、本質的に導体-遮蔽部キャパシタンスCLSによって決定される。コアと遮蔽部の間の絶縁された誘電材料の導体-遮蔽部抵抗RLSは非常に大きいため、当該導体-遮蔽部抵抗を介して試験電流の無視できる程度の部分のみが流れる。
【0091】
結合コンデンサKKは、高電圧コンデンサとして形成されているとともに、例えば直列接続された複数のコンデンサ巻線を含んでいる。コンデンサ巻線は、例えば2つの導体のフィルムを有する誘電材料から成る巻き付けられた層として構成されている。
図1では、結合コンデンサKKが例示的に代替ブロック部によって図示されている。コンデンサ巻線の間の結合部及びコンデンサ巻線からコンデンサの接続部への結合部は、結合インダクタンスLK及び結合抵抗RKから成る直列接続(直列回路)によって考慮されている。当該結合部には、誘電材料によって形成されるコンデンサのキャパシタンスCKが直列に接続されている。コンデンサ巻線L1の自己インダクタンスは、コンデンサのキャパシタンスCKに対して並列に接続されている。
【0092】
ケーブルGK、特に遮蔽部とコアの間の電気的な絶縁において部分放電が生じると、当該部分放電により、特に高周波の、及び/又は瞬間的な部分放電電流あるいは部分放電インパルスが、結合分岐部においても、また全ての測定分岐部においても生じる。結合ユニットK1,K2,K3は、例えば、入力部Eと基準接続部Rの間に誘電要素を備えているとともに、部分放電インパルスの周波数範囲において導電的となり、その結果、特に大きな二桁又は三桁のKHzの範囲における信号について遮断するように作用する。したがって、遮蔽部とコアの間の結合ユニットK1,K2,K3の設置により、測定分岐部も、また第1の導体インダクタンスLL1と、導体-遮蔽部キャパシタンスCLSと、第2の遮蔽部インダクタンスLS2と、第3の結合インダクタンスK3の固有インダクタンスとによって形成される分岐部も、高いインピーダンス及び部分放電インパルスについての相応の遮断作用を有している。これにより、部分放電電流は特に大部分において結合コンデンサKKを通って流れ、これにより、改善された測定感度がもたらされる。
【0093】
換言すれば、部分放電電流は、測定分岐部間で正確な測定について特に都合がよいように分割される。なぜなら、全ての測定分岐部及び結合分岐部は、結合ユニットを備えているためである。そして、遮蔽部は、結合コンデンサKKのように直接アースされておらず、結合ユニットK2,K3を介してその各固有インダクタンスにアースされている。
【0094】
図2Aには、改善されたコンセプトによる方法又は試験装置についての結合ユニットKの例示的な構成のブロック図が示されている。
【0095】
結合ユニットKは、測定インピーダンスとして形成されている。当該結合ユニットは、好ましくは適合可能なインダクタンスIEと、当該インダクタンスIEに後続接続されたフィルタ要素Fとを含んでいる。フィルタ要素Fは、例えばフィルタネットワーク、例えば任意にその伝達関数を適合することが可能なRLCネットワークとして形成されている。結合ユニットKは、間にインダクタンスIEが接続された入力部Eと基準接続部R及び測定信号を出力するための信号出力部Sを有している。結合ユニットKは、ここでは例えば差分信号を信号出力部Sの2つの接続部に出力するために設置されている。
【0096】
図2Bには、試験装置又は改善されたコンセプトによる方法についての結合ユニットKの別の例示的な構成のブロック図が示されている。
【0097】
結合ユニットKは、例えば英語ではHigh Frequency Current Transformer、HFCTである高周波変流器として形成され、結合ユニットKの誘導要素である変流器SWを含んでいる。変流器SWは、例えば1つの一次巻線数を有する巻線型変流器として形成されることが可能である。
【0098】
図2A及び
図2Bに示された結合ユニットKは、試験装置あるいは改善されたコンセプトによる方法において結合ユニットとして用いられることが可能である。
【0099】
図3には、改善されたコンセプトによる試験装置の別の例示的な実施形態と、描写された試験装置がここでは例示的に接続された、遮蔽されたケーブルGKとの概略的な図示が示されている。
【0100】
遮蔽されたケーブルGKは、コアの第1の接続箇所AL1と、N個の接続箇所AS1,AS2,・・・ASNの遮蔽部とを備えており、当該遮蔽部のうち3つが描写されている。破線部分によって示唆されているように、ケーブルGKは、遮蔽部の別の接続箇所を備えることが可能である。
【0101】
図1におけるように、高電圧源HVと、結合コンデンサKK及び第1の結合ユニットK1から成る直列接続(直列回路)とがコアの第1の接続箇所AL1に接続されている。試験装置は多数の別の結合ユニットK2,K3,・・・KNを備えていて、これら結合ユニットのうち例示的に3つが示されており、これら結合ユニットは、各入力部をもってそれぞれ遮蔽部AS1,AS2,・・・ASNの接続箇所のうち1つに接続され、各基準接続部をもって基準電位、例えばアース電位に接続されている。評価ユニットAは、各結合ユニットの対応する信号出力部に接続されている。
【0102】
当該配置により、特にIEC60270に従いキャリブレーション可能な改善されたコンセプトについて上述したように多チャンネル式の測定方法を応用することが可能である。ケーブルは、遮蔽部及びコアの接続箇所AS1,AS2,・・・ASN,AL1の間で多数のケーブル分岐部へ効率的に分割される。ケーブル分岐部及び結合分岐部において流れる試験電流は、試験電圧及び有効な各キャパシタンスに依存する。三桁のHz範囲の周波数では、試験アセンブリは本質的に静電容量式に動作する。IEC60270による広帯域の部分放電測定の周波数範囲、例えば三桁のKHz範囲及びこれを超える範囲では、小さな周波数において無視できるケーブルGKの単位長さ当たりのインダクタンスが有効である。
【0103】
それゆえ、改善されたコンセプトによる方法を応用することで、特に大きな測定感度及び測定精度が可能となる。
【0104】
改善されたコンセプトにより、分割された要素を有する遮蔽されたケーブル又は他の物体における高感度の部分放電測定のための方法及び試験装置が記述され、これにより、高められた感度を得ることが可能である。部分放電測定の基本妨害レベルを大幅に低減することができる。ケーブルの第1の端部から離れて生じ得る部分放電を大幅に改善して検出することが可能である。あまり重要ではない信号分散により、より正確な障害位置特定が可能である。
【0105】
改善されたコンセプトは、ここでは遮蔽されたケーブルについて記述された。しかしながら、分割された要素、例えば分割されたキャパシタンス、インダクタンス及び/又は抵抗を有する他の物体への同様の応用は、当業者にとって容易に可能であり、遮蔽されたケーブルへの応用に対応した利点を提供する。分割された要素を有するこのような物体は、例えば、高電圧コンデンサ、広範囲のガス絶縁開閉装置GIS又は高電圧ブッシングであってよい。
なお、本発明は、以下の態様も含む:
1.コア及び遮蔽部を有する遮蔽されたケーブル(GK)の部分放電インパルスを測定する方法であって、当該方法が、
-結合コンデンサ(KK)を前記コアの第1の接続箇所(AL1)に接続すること、
-第1、第2及び第3の結合ユニット(K1,K2,K3)を提供し、これら結合ユニット(K1,K2,K3)がそれぞれ入力部(E)及び信号出力部(S)を備えていること、
-前記第1の結合ユニット(K1)の入力部(E)を結合コンデンサ(KK)に接続し、前記第2の結合ユニット(K2)の入力部(E)を前記遮蔽部の第1の接続箇所(AS1)に接続し、前記第3の結合ユニット(K3)を前記遮蔽部の第2の接続箇所(AS2)に接続すること、
-前記コアの前記第1の接続箇所(AL1)において試験電圧を提供すること、
-前記結合ユニット(K1,K2,K3)の前記信号出力部(S)において前記結合ユニット(K1,K2,K3)の各測定信号を測定すること、
-前記ケーブル(GK)の部分放電インパルスの見かけ上の電荷についての少なくとも1つの特性値を前記測定信号に依存して決定すること
を含むことを特徴とする方法。
2.見かけ上の電荷についての前記少なくとも1つの特性値を決定することが、
-前記第1の結合ユニット(K1)の測定信号を重み付けすること、
-前記第2の結合ユニット(K2)の測定信号及び/又は前記第3の結合ユニット(K3)の測定信号を重み付けすること、
-前記第2の、及び/若しくは前記第3の結合ユニット(K2,K3)の重み付けされた測定信号を前記第1の結合ユニット(K1)の重み付けされた測定信号から減算することで、又は
前記第2の、及び/若しくは前記第3の結合ユニット(K2,K3)のデジタル化され、重み付けされた測定信号を前記第1の結合ユニット(K1)のデジタル化され、重み付けされた測定信号から減算することで、
差分信号を生成すること、
-見かけ上の電荷についての第1の特性値を前記差分信号に基づいて決定すること
を含むことを特徴とする上記1.に記載の方法。
3.見かけ上の電荷についての前記第1の特性値を前記差分信号に基づいて決定することが、差分信号の少なくとも一部又は差分信号から導出される信号の少なくとも一部の積分を含むことを特徴とする上記2.に記載の方法。
4.見かけ上の電荷についての前記少なくとも1つの特性値を決定することが、見かけ上の電荷についての少なくとも1つの第2の特性値を前記第2の結合ユニット(K2)の測定信号及び/又は前記第3の結合ユニット(K3)の測定信号に基づいて決定することを含むことを特徴とする上記1.~3.のいずれか1つに記載の方法。
5.見かけ上の電荷についての前記少なくとも1つの第2の特性値を決定することが、
-前記第2の結合ユニット(K1)の測定信号及び前記第3の結合ユニット(K3)の測定信号を重み付けすること、
-前記第2及び第3の結合ユニット(K2,K3)の重み付けされた測定信号を加算して、又は前記第2及び第3の結合ユニット(K2,K3)の重み付けされた測定信号のフーリエスペクトルを加算して合計信号を生成すること、
-見かけ上の電荷についての前記第2の特性値を前記合計信号に基づいて決定すること
を含むことを特徴とする上記4.に記載の方法。
6.-入力部(E)及び信号出力部(S)を備えた第4の結合ユニットを提供すること、
-別の結合コンデンサを前記コアの第2の接続箇所(AL2)と接続し、前記第4の結合ユニットを前記別の結合コンデンサと接続すること、
-前記第4の結合ユニットの前記信号出力部(S)において前記第4の結合ユニットの測定信号を測定すること、
-見かけ上の電荷についての第3の特性値を前記第4の結合ユニットの測定信号に依存して決定すること
を更に含むことを特徴とする上記1.~5.のいずれか1つに記載の方法。
7.見かけ上の電荷についての前記第3の特性値を決定することが、
-前記第3の結合ユニット(K3)及び前記第4の結合ユニットの測定信号を重み付けすること、
-前記第3の結合ユニット(K3)の重み付けされた測定信号を前記第4の結合ユニットの重み付けされた測定信号から減算することで、又は前記第3の結合ユニット(K3)のデジタル化され、重み付けされた測定信号を前記第4の結合ユニットのデジタル化され、重み付けされた測定信号から減算することで、別の差分信号を生成すること、
-見かけ上の電荷についての前記第3の特性値が前記別の差分信号に基づいて決定されること
を含むことを特徴とする上記6.に記載の方法。
8.-第1の経過時間を前記第1の結合ユニット(K1)の測定信号及び/又は前記第2の結合ユニット(K2)の測定信号に基づいて決定すること、
-第2の経過時間を前記第3の結合ユニット(K3)の測定信号に基づいて決定すること、
-前記第1の経過時間及び/又は前記第2の経過時間に基づいて、前記ケーブル(GK)の部分放電の位置を特定すること
を更に含むことを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載の方法。
9.-前記第1の結合ユニット(K1)の測定信号と前記第3の結合ユニット(K3)の測定信号の間又は前記第2の結合ユニット(K2)の測定信号と前記第3の結合ユニット(K3)の測定信号の間の相互相関の形成によって相関信号を生成すること、
-該相関信号に基づき経過時間を決定すること、
-該経過時間に基づいて前記ケーブル(GK)の部分放電の位置を特定すること
を更に含むことを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載の方法。
10.試験電圧を提供するステップ、測定信号を測定するステップ及び前記少なくとも1つの特性値を決定するステップの前に前記結合ユニット(K1,K2,K3)のうち少なくとも1つをキャリブレーションすることを更に含むことを特徴とする上記1.~9.のいずれか1つに記載の方法。
11.前記結合ユニット(K1,K2,K3)がそれぞれ1つの基準接続部(R)を備えており、該基準接続部が、基準電位に接続されており、前記キャリブレーションは、
-前記コアの前記第1の接続箇所(AL1)と前記基準電位の間、前記コアの前記第1の接続箇所(AL1)と前記結合ユニット(K1,K2,K3)の前記入力部(E)のうち1つの間又は前記コアの別の1つの接続箇所と前記結合ユニットの入力部のうち1つとの間のキャリブレーションパルスを生成すること、
-前記結合ユニット(K1,K2,K3)の前記信号出力部(S)におけるキャリブレーション信号を測定すること、
-前記キャリブレーション信号に基づき前記キャリブレーションインパルスの見せかけの電荷についての試験値を決定すること、
-前記キャリブレーションインパルスの見かけ上の電荷についての基準値と試験値を比較することで、前記キャリブレーション信号が測定された信号出力部(S)において前記結合ユニット(K1,K2,K3)についてのキャリブレーションファクタを決定することを含むことを特徴とする上記10.に記載の方法。
12.コア及び遮蔽部を有する遮蔽されたケーブル(GK)の部分放電インパルスを測定する試験装置であって、当該試験装置が、
-それぞれ1つの入力部(E)及び信号出力部(S)を含む第1、第2及び第3の結合ユニット(K1,K2,K3)であって、前記第2の結合ユニット(K2)の前記入力部(E)が前記遮蔽部の第1の接続箇所(AS1)と接続され、前記第3の結合ユニット(K3)の前記入力部(E)が前記遮蔽部の第2の接続箇所(AS2)と接続されている、前記第1、第2及び第3の結合ユニットと、
-出力部を有する高電圧源(HV)であって、該出力部が、前記コアの第1の接続箇所(AL1)へ前記高電圧源を接続し、該高電圧源が、前記出力部において試験電圧を提供する、前記高電圧源と、
-該高電圧源の前記出力部に接続された結合コンデンサ(KK)であって、前記第1の結合ユニットの前記入力部(E)が前記結合コンデンサ(KK)に接続されている前記結合コンデンサと、
-前記第1、第2及び第3の結合ユニット(K1,K2,K3)の前記信号出力部(S)と接続された評価ユニット(A)と
を含み、
-該評価ユニット(A)が、前記結合ユニット(K1,K2,K3)の前記信号出力部(S)から対応する測定信号を受け取り、該測定信号に依存して、前記ケーブル(GK)の部分放電インパルスの見かけ上の電荷についての少なくとも1つの特性値を特定するために設置されていること
を特徴とする試験装置。
13.前記結合ユニット(K1,K2,K3)のそれぞれが、
基準電位に接続された基準接続部(R)を備えており、
-前記各結合ユニット(K1,K2,K3)の入力部(E)と基準接続部(R)の間に配置された誘電要素(IE,SW)を含んでおり、及び/又は
-前記各結合ユニット(K1,K2,K3)の入力部(E)と信号出力部(S)の間に配置されたフィルタ要素(F)を含んでいる
ことを特徴とする上記12.に記載の試験装置。
14.前記結合ユニット(K1,K2,K3)の前記フィルタ要素(F)が、アダプティブフィルタ要素(F)として形成されているとともに、第1及び第2の測定分岐部並びに結合分岐部の伝達関数が互いに適応されるように、その各周波数応答が前記遮蔽されたケーブル(GK)に適合されるように設置されていることを特徴とする上記13.に記載の試験装置。
15.-入力部(E)及び信号出力部(S)を備えた第4の結合ユニットと、
-前記コアの第2の接続箇所(AL2)と接続可能な別の結合コンデンサと
を更に含み、
前記第4の結合ユニットの前記入力部(E)が前記別の結合コンデンサと接続されており、
-前記第4の結合ユニットの前記信号出力部(S)から測定信号を受け取り、見かけ上の電荷についての前記少なくとも1つの特性値を前記第4の結合ユニットの測定信号に依存して決定するように前記評価ユニット(A)が設置されていること
を特徴とする上記14.に記載の試験装置。
【符号の説明】
【0106】
HV 高電圧源
GK 遮蔽されたケーブル
KK 結合コンデンサ
A 評価ユニット
K1,K2,K3,KN,K 結合ユニット
AS1,AS2,ASN 遮蔽部の接続箇所
AL1,AL2 コアの接続箇所
RK 結合抵抗
LK 結合インダクタンス
LI コンデンサ巻線の自己インダクタンス
CK 結合コンデンサのキャパシタンス
LS1,LS2 遮蔽部インダクタンス
RS1,RS2 遮蔽部抵抗
LL1,LL2 導体インダクタンス
RL1,RL2 導体抵抗
CLS 導体-遮蔽部キャパシタンス
RLS 導体-遮蔽部抵抗
IE 誘導要素
SW 変流器
F フィルタ要素
E 入力部
R 基準接続部
S 信号出力部