(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】無線メッシュネットワーク内のノード間の動的分配処理
(51)【国際特許分類】
H04W 40/02 20090101AFI20220830BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20220830BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20220830BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20220830BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20220830BHJP
【FI】
H04W40/02
H04W92/20 110
H02J13/00 301A
H04W4/38
H04W84/18
(21)【出願番号】P 2020560162
(86)(22)【出願日】2018-11-29
(86)【国際出願番号】 US2018063067
(87)【国際公開番号】W WO2019209376
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-11-26
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513113895
【氏名又は名称】ランディス・ギア イノベーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR INNOVATIONS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】キース・トーピー
(72)【発明者】
【氏名】ルーベン・サラザール
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・デッカー
(72)【発明者】
【氏名】ランディ・ターナー
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/035143(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/216673(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0318686(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-5/00
13/00
H03J9/00-9/06
H04B7/24-7/26
H04Q9/00-9/16
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノードにより実行される方法であって、
配電ネットワークのあるポイントに位置する第1のノードが、複数の時間間隔にわたって前記配電ネットワークの動作に関連するデータを収集することと、
前記第1のノードが、前記収集されたデータの分析が必要であり、かつ前記第1のノードが前記収集されたデータの分析のために別のノードのサービスを必要としていると判断することと、
前記第1のノードが、無線メッシュネットワークを介してディレクトリノードに、前記収集されたデータの前記分析が可能なサービスノードからの支援を要求するサービスリクエストを送信することであって、前記サービスリクエストは、前記分析を実行するためのサービスを識別し、かつ前記収集されたデータ及び前記第1のノードのアドレスを含み、前記ディレクトリノードは、ルートノード及び前記ディレクトリノードの間に位置する介在層よりも下の層にトポロジ的に位置し、かつ、前記ディレクトリノードは複数のサービスノードの能力に関する情報を保持する、サービスリクエストを送信することと、
前記ディレクトリノードが、前記無線メッシュネットワークを介して前記第1のノードからの前記サービスリクエストを受信することと、
前記ディレクトリノードが、前記複数のサービスノードのうちの1つが前記サービスリクエストに応じるかを判断することと、
前記複数のサービスノードのうちの1つが前記サービスリクエストに応じると判断したのに応答して、前記ディレクトリノードが、前記サービスリクエストに応じるサービスノードを識別することと、前記ディレクトリノードが、前記サービスリクエストを前記識別されたサービスノードに転送することと、
前記複数のサービスノードが前記サービスリクエストに応じないと判断したのに応答して、前記ディレクトリノードが、前記サービスリクエストに応じるサービスノードを識別するために、前記サービスリクエストを前記介在層の少なくとも1つのサービスノードに送信することと、及び、
前記第1のノードが、前記無線メッシュネットワークを介して前記識別されたサービスノードからのレスポンスを受信することであって、前記識別されたサービスノードからの前記レスポンスは、前記収集されたデータの前記分析の少なくとも1つの結果を含む、レスポンスを受信することと、
を含む、
方法。
【請求項2】
前記第1のノードが、前記無線メッシュネットワークを介して、前記ディレクトリノードに、第2のサービスを識別する第2のサービスリクエストを送信することと、
前記ディレクトリノードが、前記第1のノードからの前記第2のサービスリクエストを受信することと、
をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のノードが、複数の時間間隔を含むある期間にわたって、前記配電ネットワーク上の前記ポイントと関連付けられた建物に対応する消費データを収集することと、
前記第1のノードが、前記期間に対する前記消費データを、前記期間の後にヘッドエンドシステムに送信することと、
をさらに含み、
前記第1のノードは、前記ヘッドエンドシステムに前記消費データを送信する前に、前記収集されたデータを前記ディレクトリノードに送信する、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記配電ネットワーク上の前記ポイントにローカル発電装置が接続され、前記収集されたデータは負荷及び電圧データを含み、前記少なくとも1つの結果は変電所からのフィーダ電圧を制御するために用いられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記配電ネットワーク上の前記ポイントにローカル発電装置が接続され、前記収集されたデータは、位相外れ電力を示す高調波及び位相データを含み、前記少なくとも1つの結果は、前記配電ネットワーク上の前記ローカル発電装置の接続を制御するために用いられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ディレクトリノードが、第2のサービスノードを前記サービスリクエストに応じると識別することと、
前記ディレクトリノードが、前記サービスノードの性能指標と前記第2のサービスノードの性能指標とを比較することと、
前記ディレクトリノードが、前記比較の結果に基づいて前記サービスノードを選択することと、
をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ディレクトリノード及び前記サービスノードは、単一のノードと関連付けられている、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ディレクトリノード及び前記サービスノードは個別のノードであり、前記サービスノードに前記サービスリクエストを転送することは、前記無線メッシュネットワークを介して前記サービスリクエストを転送することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第1の分配変圧器と関連付けられ、かつ前記第1の分配変圧器と関係する第1の建物における第1の電気パラメータを、複数の時間間隔にわたって計測することが可能な第1のノードと、
第2の分配変圧器と関連付けられ、かつ前記第2の分配変圧器と関係する第2の建物における第2の電気パラメータを、前記複数の時間間隔にわたって計測することが可能な第2のノードと、
無線メッシュネットワークを介して接続された複数のノードに分析サービスを提供することが可能な第3のノードであって、前記無線メッシュネットワークのルートノード及び前記第3のノードの間に位置する介在レイヤより下のレイヤにトポロジ的に位置し、前記第1、第2、及び第3のノードは前記無線メッシュネットワークを介して接続されている、第3のノードと、
を含むシステムであって、
前記第1の分配変圧器及び前記第2の分配変圧器は、変電所の下流の配電ネットワークに接続されており、
前記第1のノードは、前記第1の分配変圧器に対する前記第1の電気パラメータに対して収集された計測データを分析するために別のノードのサービスを必要とすると判断し、
前記第1のノードは、サービスリクエストであって、分析サービスを要求し、前記収集された計測データを含み、かつ前記第1のノードのアドレスを含む、サービスリクエストを前記第3のノードに送信し、
前記第3のノードは前記収集された計測データを用いて前記分析サービスを提供して、前記第1の分配変圧器の動作状態を示す結果を含むレスポンスメッセージを、前記無線メッシュネットワークを介して前記第1のノードに送信する、
システム。
【請求項10】
前記第1のノードは、前記第3のノードが提供するサービスに関する情報を格納し、前記第1のノードは、前記サービスリクエストを受信する前記第3のノードを選択するために前記格納された情報を用いる、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2のノードは、前記第1のノードからの前記第1の分配変圧器の前記動作状態を要求し、前記第1のノードは、それに応答して、前記第1の電気パラメータに対する収集された計測データを分析するために別のノードのサービスを必要とすると判断する、
請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1のノードは、コアプラットフォームモジュールと、分析サービスを提供するノードを発見するための拡張サービスモジュールとを含む、
請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のノードは、第1の建物に位置する第1のメータと関連付けられており、前記第2のノードは、第2の建物に位置する第2のメータと関連付けられており、前記第3のノードは、第3の建物に位置する第3のメータと関連付けられている、
請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記第3のノードは、前記第1及び第2のノードにディレクトリサービスを提供することが可能であり、
前記第3のノードは、複数のサービスノード及び各サービスノードに関連付けられたサービスに関する情報を格納し、
前記情報は、前記第3のノード及び前記第3のノードが提供する前記分析サービスに関する情報を含む、
請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
システムであって、
建物での電気グリッドの動作に関連するデータを収集することができる第1のノードと、及び、
無線メッシュネットワークを介して前記第1のノードに接続され、前記無線メッシュネットワークを介して接続された複数のノードに分析サービスを提供することができる第2のノードであって、トポロジ的に前記無線メッシュネットワークのルートノードの下の層に位置する、第2のノードと
を備え、
前記第1のノードは、
収集されたデータを用いて分析を行うために、別のノードのサービスが必要であると判断するステップと、及び、
収集されたデータを分析するために別のノードのサービスが必要であると判断することに応答して、分析サービスを要求するために前記第2のノードにサービス要求を送信するステップであって、サービス要求は更に、収集されたデータを含む、送信するステップと
を行うように構成されており、
前記第2のノードは、
前記サービス要求を受信することに応答して、前記収集されたデータを用いて分析を行うことにより前記分析サービスを提供するステップと、及び、
前記無線メッシュネットワークを介して、前記第1のノードに応答メッセージを返すステップであって、前記応答メッセージは、前記第1のノードに関連付けられる前記電気グリッドのコンポーネントの状態を示す前記分析の結果を含む、返すステップと
を行うように構成されている、システム。
【請求項16】
前記収集されたデータは、前記建物にて複数の時間間隔にわたって測定される、前記電気グリッドの、電力データ、位相データ、電流データ、周波数データ、電圧データ、消費データ、若しくは負荷データのうちの、1つ以上を含む、
請求項
15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1のノードは、更に、
前記分析の結果を用いて、前記第1のノードの値の更新、前記第1のノードの構成の変更、前記第1のノードの内部若しくは外部コンポーネントの制御、又は、前記無線メッシュネットワーク内の別のノードへの前記結果の報告のうちの、1つ以上を実行するステップ
を行うように構成されている、請求項
15に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1のノードは、収集されたデータを分析することにより、別のノードのサービスが必要であると判断する、
請求項
15に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2のノードは、更に、
前記無線メッシュネットワークの1つ以上の別のノードと通信されたデータを使用して前記分析を行うこと
を行うように構成されている、請求項
15に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2のノードは、前記第1のノード及び前記無線メッシュネットワーク上の他のノードにディレクトリサービスを提供することができ、
前記第2のノードは、前記第2のノードと、前記第2のノードにより提供される前記分析サービスとに関する情報を含む、複数のサービスノードと、各サービスノードに関連するサービスとに関する情報を、格納する、請求項
15のシステム。
【請求項21】
前記第2のノードは、
前記分析の一部を実行し、前記分析の残りの部分を実行するために第3のノードに第2のサービス要求を送信すること
を行うように構成されている、請求項
20に記載のシステム。
【請求項22】
無線メッシュネットワークを介して前記第1のノードに接続され、前記第1のノードに分析サービスを提供することができる、第3のノードを、更に含み、
前記第1のノードは、
前記第2のノードと前記第3のノードとで並行して前記分析を実行させるために第2のサービス要求を前記第3のノードに送信すること
を行うように構成されている、請求項
15に記載のシステム。
【請求項23】
方法であって、
第1のノードによって、建物での電気グリッドの動作に関連するデータを収集するステップと、
前記第1のノードによって、前記収集されたデータを用いて分析を行うために別のノードのサービスが必要であると判断するステップと、
前記収集されたデータを分析するために別のノードのサービスが必要であると判断することに応答して、前記第1のノードによって、分析サービスを要求するために第2のノードにサービス要求を送信するステップであって、前記サービス要求は前記収集されたデータを含み、前記第2のノードは、無線メッシュネットワークを介して前記第1のノードに接続され、トポロジ的に前記無線メッシュネットワークのルートノードの下の層に位置し、無線メッシュネットワークを介して接続された複数のノードに分析サービスを提供することができる、送信するステップと、及び、
前記第1のノードによって、前記無線メッシュネットワークを介して、前記第2のノードから応答メッセージを受信するステップであって、前記応答メッセージは、前記第1のノードに関連付けられる前記電気グリッドのコンポーネントの状態を示す、前記分析サービスによって生成される結果を含む、受信するステップと
を含む、方法。
【請求項24】
前記収集されたデータは、前記建物にて複数の時間間隔にわたって測定される、前記電気グリッドの、電力データ、位相データ、電流データ、周波数データ、電圧データ、消費データ、若しくは負荷データのうちの、1つ以上を含む、請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
前記サービス要求は、更に、前記第1のノードのアドレス、若しくは、要求されたサービスのタイプのうちの、1つ以上を含む、請求項
23に記載の方法。
【請求項26】
前記第1のノードは、更に、
前記分析の結果を用いて、前記第1のノードの値の更新、前記第1のノードの構成の変更、前記第1のノードの内部若しくは外部コンポーネントの制御、又は、前記無線メッシュネットワーク内の別のノードへの前記結果の報告のうちの、1つ以上を実行するステップ
を行うように構成されている、請求項
23に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のノードは、前記建物にて位置する第1のメータに関連付けられ、前記第2のノードは、別の建物にて位置する第2のメータに関連付けられる、請求項
23に記載の方法。
【請求項28】
更に、
前記第2のノードと第3のノードとによって実行される分析を並行して行わせるために、第3のノードに第2のサービス要求を送信するステップを含み、
前記第3のノードは、無線メッシュネットワークを介して前記第1のノードに接続され、前記第1のノードに分析サービスを提供することができる、請求項
23に記載の方法。
【請求項29】
前記第1のノードは、前記第2のノードにより提供されるサービスに関する情報を格納し、前記第1のノードは、前記格納された情報を用いて、前記サービス要求を受信する前記第2のノードを選択する、請求項
23に記載の方法。
【請求項30】
方法であって、
配電ネットワークにおける一つのポイントに位置する第1のノードによって、前記配電ネットワークの動作に関連するデータを収集するステップと、
前記第1のノードによって、前記収集されたデータの分析が必要であり、前記第1のノードが、前記収集されたデータを使用して分析を実行するために別のノードのサービスが必要であると判断するステップと、
前記第1のノードによって、無線メッシュネットワークを介して、前記収集されたデータの分析を実行することができる第2のノードにサービス要求を送信するステップであって、前記第2のノードは、前記無線メッシュネットワークを介して前記第1のノードに接続され、トポロジ的に前記無線メッシュネットワークのルートノードの下の層に位置し、前記サービス要求は、前記分析を実行するためのサービスを識別し、且つ前記収集されたデータを含む、送信するステップと、並びに、
前記第1のノードによって、前記無線メッシュネットワークを介して、前記第2のノードから応答を受信するステップであって、前記応答は、前記収集されたデータの前記分析の少なくとも一つの結果を含む、受信するステップと、
を含む、方法。
【請求項31】
前記配電ネットワークの動作に関連するデータは、前記配電ネットワークの前記ポイントにて複数の時間間隔にわたって測定される位相データ若しくは電圧データを含む、請求項
30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1のノードの値を更新すること、
前記第1のノードの構成を変更すること、
前記第1のノードの内部若しくは外部コンポーネントを制御すること、又は、
前記無線メッシュネットワーク内の別のノードに前記結果を報告すること
のうちの、1つ以上を実行するために、前記分析の結果を使用するように、前記第1のノードは、更に、構成される、請求項
30に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のノードは、前記配電ネットワークの前記ポイントに位置する第1のメータに関連付けられ、前記第2のノードは、前記配電ネットワークの別のポイントに位置する第2のメータに関連付けられる、請求項
30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、分配処理に関し、より詳細には、無線メッシュネットワーク内の複数ノード間の動的分配処理に関する。
【背景技術】
【0002】
配電ネットワーク又は配電グリッドでは、例えばデータの分析及び保存といった計算タスクは、典型的にはヘッドエンドシステムに集中して実行される。エンドポイントによって収集されたデータは、ヘッドエンドシステムに送られ、ヘッドエンドシステムは分析及び意思決定を処理する。ヘッドエンドシステムはデータを用いて、意思決定、配電ネットワーク内のリソースの制御、又はリソースの使用の最適化を行うことができる。しかし、分析をヘッドエンドシステムに依存して行うことには、エンドポイントによってデータが収集されてからヘッドエンドシステムによって分析されるまでの時間の遅延、及び、データをヘッドエンドシステムに送信するために必要な通信帯域幅の量などのデメリットがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
計算タスク及び他のサービスを動的に分散させることで、これらの問題を解決し、利点を得ることができる。利点には、より少ない遅延で結果を得ること、スケーリング時のヘッドエンド処理リソースの使用量を減らすこと、より少ないネットワーク帯域幅を使用すること、全体的なコストを最小化すること、耐障害性を向上させること、及びスケーラビリティを向上させることなどが含まれる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様は、メータ又は他のネットワーク装置に代わってデータ分析又は他の演算を実行する分散サービスノードを提供する。メータは、電気パラメータに関するデータを収集する。収集したデータの分析又は別のタイプの計算タスクが必要な場合、メータは、サービスノードのリソースが必要であると判断し得る。メータは、適切なサービスノードを見つけるための支援を要求するサービスリクエストをディレクトリノードに送信してもよいし、適切なサービスノードを探すサービスリクエストをメータが送信してもよい。サービスリクエストは、必要とされるサービスのタイプ、収集されたデータ、及びメータのアドレスの表示を含み得る。サービスノードが特定されると、サービスノードはサービスリクエストに応じ、分析結果をメータに送り返す。サービスノードは計算タスクの分散処理をサポートする。計算タスクには、変圧器の監視、フィーダ電圧の決定、フィーダスイッチの設定などのグリッド分析サービス、情報サービス、計算サービス、ストレージサービス、及び翻訳サービスが含まれるが、これらに限定されない。
【0005】
これらの例示的な実施例は、本開示を限定又は定義する目的ではなく、その理解を助けるために例を提供する目的で言及されている。追加の例は、詳細な説明で議論され、さらなる説明がそこで提供される。
【0006】
本開示の特徴、実施例、及び利点は、添付の図面を参照しながら、以下の詳細な説明を読むことでよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の特定の例に係る、無線メッシュネットワークを含む動作環境を示す図
【
図2】本開示の特定の例に係る、複数のノード間の通信を示す図
【
図3】本開示の特定の例に係る、ディレクトリノード及びサービスノードを含む複数のノード間の通信を示す図
【
図4】本開示の特定の例に係る、電気分配ネットワークの一部分を示す図
【
図5】本開示の特定の例に係る、電気分配ネットワークの一部分を示す図
【
図6】本開示の特定の例にかかる、ノードの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
リソース分配ネットワークの一例は、配電ネットワーク又は配電グリッドである。グリッドは、変電所、変圧器、スイッチなどの装置及び構成要素を含み、多数の建物に電力を供給できる。メータは、電気を受け取る各建物に関連付けられ得る。メータは、建物での電気消費量だけでなく、電力、電圧、電流、周波数、位相などの他の電気パラメータを測定してもよい。メータは、メータ同士が互いに通信してもよいし、メータがヘッドエンドシステムなどの中央システムと通信してもよい。各メータは、無線メッシュネットワーク上の1ノードに関連付けられ得る。ルータや集電装置などの他の装置もまた、無線メッシュネットワーク上のノードに関連付けられ得る。
【0009】
ノードの一部は、収集されたデータを分析するように構成されてもよい。分析は、データを収集したノードによって実行されてもよいし、データを収集したノードに代わってネットワーク上の別のノードによって実行されてもよい。一例では、メータは、分析を実行するために利用可能な分析サービスを提供することが可能な別のノードを、ディレクトリノードを用いて検索する。ディレクトリノードは、サービスノードの能力に関する情報を保持することにより、ディレクトリサービスを提供する。サービスノードは、別のノードに代わって演算を実行することができるノードである。ノードからサービスリクエストを受信すると、ディレクトリノードは、サービスノードを識別し、サービスリクエストをサービスノードに転送する。他の例では、ノードがサポートリクエストを送信し、サービスノードが応答するのを待ってもよい。
【0010】
サービスノードは、ヘッドエンドシステムよりもデータを収集するノードにトポロジ的かつ地理的に近いものであり得る。ローカルサービスノードのサービスを使用することにより、ヘッドエンドシステムによって実行されるサービスのみを用いるよりも多くの利点が達成され得る。利点の一つは、分析を完了するのに必要な時間を短縮できることである。データがメータによって収集されてから、ヘッドエンドシステムがデータを受信するまでの間に遅延が発生することがあり、データの分析が遅れる可能性がある。ローカルサービスノードを使用してデータを分析すると、分析のためにヘッドエンドシステムにデータを送信する必要がなくなるため、分析がより迅速に実行され得る。ローカルサービスノードを使用してデータを分析するもう一つの利点は、ネットワークトラフィックの量が最小限に抑えられることである。
【0011】
さらに別の利点は、分析を実行するために必要なハードウェア又は他のコンポーネントのコストを最小化することである。メータは分析を実行するためにサービスノードを使用することができるため、メータがサービスノードと同じ機能を持つ必要はありません。現場に配備されたすべてのメータに分析を実行する能力を追加するのとは対照的に、ネットワーク内にサービスノードを分散させることにより、特定の演算を実行する能力を持たないデバイスがネットワーク内に残ることが可能になる。
【0012】
要求された演算を実行することができるサービスノードが複数存在してもよい。特定のサービスノードは、選択ポリシーに基づいて特定の演算のために選択され得る。選択ポリシーには、潜在的なサービスノードの能力又は性能、潜在的なサービスノードの利用可能性(例えば、最もビジーでない等)、可能なサービスノードのトポロジ的距離を考慮した選択ポリシー、又は、ランダムな選択ポリシーが含まれる。分析を実行するサービスノードを動的に選択することにより、現在の状況や保留中のリクエストに基づいて、分析を迅速かつ効率的に実行することができる。
【0013】
動作環境の例.
図1は、中央システム100及び無線メッシュネットワークを含む動作環境の例を示す。無線メッシュネットワーク内のデバイスは、デバイス110、120を介して中央システム100と通信できる。デバイス110,120は、コレクタであってよく、
図1に示されていない追加のデバイス及びネットワークを介して中央システムと通信し得る。一例では、無線メッシュネットワークのノードは、メータ、ルータ、コレクタ、及び他のネットワークデバイスを含み得る。コレクタ110,120は、ディレクトリノードであってよい。ディレクトリノードは、他のノードの処理を支援することができるノードに関する情報を維持し、すなわち、1つ以上のサービスノードに関する情報を維持する。他のノードがディレクトリノードであってもよい。
図1は、ノード190がディレクトリノードであることを示している。
【0014】
サービスノードは、他のノードにサービスを提供するように構成され得る。典型的なサービスには、他のノードによって収集されたデータを処理又は分析することが含まれる。いくつかの例では、サービスノードは、サービス提供先のノードよりも多くの処理能力を持つように構成され得る。他の例では、サービスノードは、サービス提供先のノードと同様のレベルの処理能力を有し得るが、サービス提供先のノードは、そのノードで現在利用可能な処理能力を超えて追加の処理能力を要求している。
【0015】
一実施例では、ノード130-180は、異なる建物に配置されたメータに関連付けられ、ノード110,120はコレクタであり、ノード190はディレクトリノードであり、中央システム100はヘッドエンドシステムである。
【0016】
ノード間の通信.
図2は、あるノードが収集データを処理する際に支援を必要とし、サービスノードを利用する例を示す。ノード220は、一組のソーラーパネル等のローカル発電装置250を備える建物に配置されたメータに関連付けられ得る。メータ220は、電力使用量及び生産量に関するデータを収集する。メータ上で実行されるアプリケーション又は他のプログラムは、収集データの分析を要求する。メータ220は、分析を実行するために別のノードのサービスを必要とすると判断し、収集データと共にサービスリクエスト256をサービスノード240に送信する。サービスノード240は、分析を実行することでサービスリクエストに応じ、分析結果258をメータに送り返す。この例では、メータ220は、分析を提供することが可能であるとしてサービスノード240を前もって識別していた。いくつかの実施形態では、メータ220は、各サービスノードによって提供されるサービスを含む、1つ以上のサービスノードに関する情報を格納してもよい。
【0017】
図2は、ノード220が、データの処理などの計算タスクで支援を提供することができるサービスノードを発見する例を示すためにも用い得る。ノード220は、分析を実行するために他のノードのサービスが必要であると判断した時に、当該サービスを提供できるノードに関する情報を持っていない場合、サービスリクエストを用いてサービスノードを特定し得る。
【0018】
ノード230は、ディレクトリノードであってよく、サービスノード及びそのサービスノードが提供するサービスに関する情報を保持し得る。ノード220は、必要とするサービスを識別し、サービスを実行するために必要な任意のデータを含むサービスリクエスト252をディレクトリノードに送信し得る。この例では、ディレクトリノード230は、サービスを提供するために利用可能なサービスノード240を識別し、サービスリクエスト253をサービスノードに転送する。サービスノード240は、サービスリクエストに応じ、結果258をノード220に返す。
【0019】
ディレクトリノード230がサービスノードでもある場合、ディレクトリノードは、サービスを提供することが可能かどうかを判断する。もしそれが可能であれば、ディレクトリノードはサービスを実行し、結果254をノード220に返す。
【0020】
ディレクトリノード230がサービスを実行できないか、又はサービスを実行するサービスノードを特定できない場合、ディレクトリノードは、サービスリクエストを、ディレクトリノードよりもトポロジ的に上の層にあるノードに転送してもよい。
図1を参照して、ノード136がディレクトリノードである場合、ノード136は、ノード136より上の層のノード、すなわち、ノード130を含む層のノードにサービスリクエストを転送する。
【0021】
いくつかのシステムでは、ノードは、ディレクトリノードを使用せずにサービスノードを発見してもよい。例えば、ノード220がサービスリクエストを送信し、サービスリクエストを聞いたノードが応答してもよい。一種のサービスリクエストは、サービスノードがサポートするサービスを識別することにより、サービスリクエストを聞いたすべてのサービスノードが応答することを要求する。別種のサービスリクエストは、必要とされるサービスのタイプに関する情報を含み、サービスを提供できるサービスノードのみが応答するように要求する。
【0022】
サービスリクエストを送信するか、又はディレクトリノードを使用することで、ノード220がサービスノードを発見すると、ノード220は、将来の使用のために、サービスノード及びそのサポートされたサービス又は機能に関する情報を格納してもよい。
【0023】
ノード220は、ノード上で実行されているアプリケーション又は他のプログラムに基づいて分析を開始してもよい。例えば、ノード220は、定期的に、又は感知された条件に基づいて分析を実行するように構成され得る。代替的に、ノード220は、他のノードからの通信を受信したことに応答して分析を開始してもよい。ノード210は、分析を実行することをノード220に要求するか、又は分析を必要とするノード220からの情報を要求するリクエスト250を、ノード220に送信し得る。すると、その後ノード220は分析を始動させ、サービスノード240を使用して分析を完了する。ノード220は、前述の発見方法のいずれかを使用してサービスノード240を発見してもよい。ノード220がサービスノード240から結果258を受信した後、ノード220は、ノード210に応答260を行う。
【0024】
サービスリクエストは、要求されたサービスの種類を識別するサービス識別子、サービスのバージョンを識別するバージョン番号、要求元のノードから必要とされるデータ又はその他の情報、並びに、リクエスト元のノードのアドレスを含み得る。リクエストノードのアドレスは、サービスノードがリクエストノードに結果を送り返すことができるように含まれている。いくつかの実施形態では、バージョン番号は特定のバージョンを示し得る一方で、他の実施形態では、バージョン番号は範囲を示し得る。例えば、バージョン2.1は、バージョン2.1以上の任意のバージョンが必要であることを示し得る。
【0025】
要求されたサービスは、複数のサービスノードによって並行して実行されてもよい。例えば、ノード220は、2つのサービスノードに並行してサービスリクエストを送信してもよい。代替的に、ノード220は、ディレクトリノード230にサービスリクエストを送信し、ディレクトリノードは、分析の一部分を実行するとともに、サービスノード240にサービスリクエストを送信して、分析の他の部分を実行してもよい。
【0026】
ノード220は、ノード240から受信した結果を、内部閾値又は値の更新、ノードの構成の設定又は変更、内部又は外部コンポーネントの制御などのアクションのために使用してもよい。
【0027】
図3は、複数ノード間の通信を説明する図である。複数ノードとは、別のノード320に情報を要求するノード310と、ディレクトリノード330と、サービスノード340と、を含む。ノード320は、電力使用量及び他の電気パラメータに関するデータを収集する。ノード310は、分析又は他の処理を必要としている要求ノード320からの情報を要求(リクエスト350)する。ノード320は、分析を実行するためにサービスノードのサービスを必要とすると判断する。ノード320は、分析を実行するように構成されていないか、又は現在他の処理を実行していて利用可能なリソースを持っていないため、他のノードのサービスを要求し得る。ノード320(要求元ノード)は、ディレクトリノード330にサービスリクエスト352を送信する。ディレクトリノード330は、サービスノード340が要求されたサービスを実行できると判断し、サービスリクエスト360をサービスノード340に転送する。サービスノード340は、サービスリクエストに応じ、分析結果358を要求元ノードに送り返す。いくつかの例では、要求元ノードは、分析結果360をノード310に送信する。
【0028】
サービスノードが分析を実行できない場合、サービスノードは、そのサービスノードが利用できないことを示すメッセージをディレクトリノード330に送り返す。これに応答して、ディレクトリノードは、代わりのサービスノードを特定し、代わりのサービスノードにサービスリクエストを転送し得る。
【0029】
分析サービスの例.
図4は、分析サービスを実行するために分散処理を使用する例を示すブロック図である。この例では、建物のメータによって収集された測定データが、変圧器の動作状態を評価するために使用される。変電所410は、変圧器420及び変圧器430に電力を供給する。変圧器は、メータ450a-450f,460,470に電力を供給する。メータ450a-450f,460,470は、それぞれ1つの建物に関連付けられている。メータ450a-450c,460,470は変圧器420に関連付けられ、メータ450d-450fは変圧器430に関連付けられている。メータは、電力使用量又は消費量、負荷、電圧、電力、位相及び高調波データを含む電気パラメータ(これらに限定されない)を、構成可能な時間間隔で測定するように構成されていてもよい。メータ450a-450f、ディレクトリノード460、サービスノード470、ルータ445及び447、並びにコレクタ445は、無線メッシュネットワークを介して接続されている。コレクタ455はまた、ヘッドエンドシステム480に接続されている。
【0030】
引き続き本実施例について、メータ450cは、変圧器420の状態を監視が割り当てられ得る。この割り当ては、メータ450cが最初に配置されたときに行われてもよいし、コマンドの受信に応答して行われてもよい。メータ450cは、多数の時間間隔にわたってデータを収集する。データ間隔及び/又は時間間隔は、消費量を決定するためにメータによって使用される同じデータ間隔又は時間間隔に対応していてもよく、又はそれらは別個のものであってもよい。分析を実行するための所定の時間に、又は分析を実行するようにメータに指示する別のノードからの通信に応答して、メータ450cが分析を開始する。メータが分析を開始してから、メータは、分析を実行するためのリソースを持っていないと判断する。
【0031】
システムがディレクトリノードをサポートしている場合、メータは、サービスノードの支援を要求するために、ディレクトリノード460にサービス要求を送信してもよい。ディレクトリノード460は、サービスノード470が分析を実行可能であることを識別する。ディレクトリノード460は、サービスリクエストをサービスノード470に転送する。サービスノード470は、データを分析し、分析サービスの結果をメータ450cに提供する。その結果は、変圧器420の動作状態を示してもよいし、変圧器の状態を決定するために使用できる結果を提供してもよい。メータ450cは、分析結果に基づいてアクションを開始してもよい。本アクションは、結果を別のシステム、例えばヘッドエンドシステム480に報告することであってもよい。
【0032】
図4は、ディレクトリノード460及びサービスノード470がメータに関連付けられていることを図示しているが、ディレクトリノード及び/又はサービスノードは、ルータ又はコレクタを含む他のネットワークデバイス(これに限定されない)に関連付けられていてもよい。いくつかの実施形態では、ディレクトリノードは、サービスノードであってもよい。これらの実施形態では、ディレクトリノードがメータからサービスリクエストを受信すると、ディレクトリノードがサービスを提供し得る。ディレクトリノードがサービスを提供できない場合、ディレクトリノードは、サービスリクエストを別のサービスノードに転送し得る。代替的に、サービスノードでもあるディレクトリノードは、ディレクトリノードが利用可能であるかどうかにかかわらず、サービスリクエストを処理するのに適している別のサービスノードにサービスリクエストを転送してもよい。サービスノードは、更新されたソフトウェアを持っている場合、負荷がより軽い場合、又はトポロジ的にメータに近い場合、リクエストを処理するのに適している可能性がある。
【0033】
別の実施例では、メータ450eは、変圧器430の状態を監視するために割り当てられている。メータ450eは、複数の間隔でデータを収集する。メータ450eはデータを分析するか、又はデータを分析するためにサービスノードを使用する。メータ450eは、分析に基づいて、分析を完了するために変圧器420の状態に関する情報が必要であると判断する。メータ450eは、サービスノード470が変圧器420の状態に関する情報を取得するように要求してもよい。サービスノード470は、変圧器420の状態を決定するために、メータ450a-450cのうちの1つ以上と通信してもよい。代替的に、メータ450eは、変圧器420に関連付けられたメータのうちの1つから変圧器420の状態に関する情報を要求してもよい。
【0034】
サービスノードをメータ間に分散し、メータによって収集されたデータを分析するためにサービスノードを使用することによって、多数の変圧器を積極的に監視することができ、その監視は配電変圧器レベルまで適用されてもよい。また、その結果を集計して、ヘッドエンドシステムに送信したり、その他の方法で配電ネットワークの維持に利用したりしてもよい。
【0035】
変圧器の監視は、熱変化の監視又は周波数応答分析を含み得る。変圧器の耐用年数は、内部で発生した熱を周囲に放散する変圧器の能力によって部分的に決定される。実際の動作温度と予測される動作温度の比較は、異常動作を識別するために使用されてもよい。温度上昇の影響は、破壊限界内である限り、急激ではなく緩やかである。これらの影響のうち絶縁体の劣化は、絶縁体のコストが非常に高いため、経済的に重要である。熱モデルは、熱分析の原理を用いて変圧器の温度プロファイルを予測する数学モデルを使用することがある。熱モデルは、トップオイル温度及びホットスポット温度(巻線絶縁システムで発生する最大温度)の温度上昇を決定するために使用される。一実施例では、サービスノードは、熱モデルを提供するように構成されてもよい。
【0036】
故障電流を介して変圧器に大電流が印加されると、機械構造及び巻線に激しい機械的応力がかかり、巻線の移動及び変形を引き起こす。また、絶縁破壊及びターン間短絡が発生することもある。周波数応答解析(FRA)は、クランプ圧の損失及び短絡力による巻線移動短絡及び変形評価を検出するための非侵襲的な技術である。FRA技術は、広い周波数範囲で変化する低電圧サイン入力で変圧器の巻線のインピーダンスを測定することを含む。サービスノードは、FRAを提供するように構成されていてもよい。
【0037】
図4に示すさらに別の例では、ローカル発電装置490は、グリッドに電力を供給することが可能である。デバイス490は、ソーラーパネル、バッテリ、スマートインバータ、又はメータ450aに関連付けられた建物で電力を貯蔵又は生成する他の方法を含み得る。メータ450aは、高調波データ及び位相データ等の、電気グリッド及びローカル発電装置490の動作に関連する測定データを収集するように構成され得る。
【0038】
メータ450aは、ローカル発電装置490に関して高調波分析及び位相分析を実行してもよい。この例では、メータ450aは、要求された分析を実行することができず、収集されたデータに対する分析サービスを要求するためにサービスノード470にサービスリクエストを送信する。サービスノード470は、要求された分析を実行し、その結果をメータ450aで応答する。メータ450aは、結果を所定値の閾値/範囲と比較してもよいし、結果を以前の結果と比較してもよい。結果がしきい値/範囲を超えるか、又は以前の結果から著しく逸脱している場合、ローカル発電装置490によって生成された電力が不調である可能性があり、メータ450aは、ヘッドエンドシステム480に通信を送信してもよい。いくつかの実施形態では、ヘッドエンドシステムは、ローカル発電装置490の動作を制御するか、又はローカル発電装置の接続を制御するなどの特定の動作を行うようにメータ450aに指示を送ってもよい。
【0039】
さらに別の例では、サービスノードによって提供される分析は、ローカル発電と需要との間のミスマッチを管理するためにフィーダ電圧を最適化するために使用される。ローカル発電装置が太陽光発電を使用している場合、太陽光発電が利用できなくなった日没後に需要のピークが発生することがある。一日の間の需要とローカル発電の間の差異に対処するために(すなわち、ダックカーブに対処するために)、サービスノードは、メータ又は他の装置によって収集されたデータを使用して、リアルタイム又はほぼリアルタイムの分析を提供し得る。メータがサービスノードを使用して配電ネットワーク上のメータに近いポイントで収集したデータを分析する場合、分析は、分析がヘッドエンドシステムで実行される場合よりも迅速に実行され、制御はより応答性が高くなり得る。
【0040】
消費を監視するために、メータは、一定期間にわたって多数の時間間隔のデータを収集してもよい。例えば、メータは、24時間の期間にわたって15分の時間間隔のデータを収集してもよい。メータは、ヘッドエンドシステムがメータに関連付けられた建物での消費量を決定することができるように、収集したデータを24時間の期間に一度、ヘッドエンドシステムに通信してもよい。ヘッドエンドシステムがデータを分析するために使用される場合、データがヘッドエンドシステムに24時間に一度しか送信されないため、分析の実行に遅延が生じる。この遅延は、システム全体にサービスノードを分散させることで大幅に軽減され得る。メータは、ヘッドエンドシステムにデータを送信するために使用するスケジュールとは異なるスケジュールを使用して、収集したデータを分析のためにメータにローカルにあるサービスノードに送信してもよい。例えば、メータは、分析サービスを実行するために、1時間ごとに15分以上の時間間隔で収集したデータをサービスノードに送信してもよい。消費量を決定して分析サービスを実行するために同じ15分の時間間隔を使用する場合、複数の15分の時間間隔からのデータは、ヘッドエンドシステムに24時間の期間のデータを提供するために集約されてもよい。メータは、消費を決定するために使用される時間間隔とは異なる時間間隔を使用してもよい。より短い時間間隔を使用してもよいし、より長い時間間隔を使用してもよい。メータによって収集されたデータを分析するためにサービスノードを使用することで、メータが収集されたデータの分析をより頻繁に要求(又は実行)できるため、分析をより頻繁に行うことが可能になり得る。これにより、需要はリアルタイムで変化し得るため、需要とローカル発電の違いに対処するためのフィーダ電圧のより良い制御が可能になる可能性があります。
【0041】
サービスノード又はディレクトリノードは、メータ以外のデバイスに関連付けられていてもよい。一例では、変電所に関連付けられたノードは、分析サービス及び/又はディレクトリサービスを、その下流の1つ以上のメータに提供してもよい。ノード415は、需要及びローカル発電に関連する分析を提供するように構成され得る。分析の結果に基づいて、変電所に関連付けられたノード415は、変電所のためのフィーダ電圧を決定し、それに応じて電圧を調整してもよい。
【0042】
図5は、フィーダスイッチを含む例示的な配電ネットワークの一部を示す。フィーダスイッチは、変電所510が変圧器512,514,516に電力を供給し、変電所520が変圧器522,524,526に電力を供給するように構成され得る。フィーダスイッチ530-536は、様々な場所の電力線上に配置され、グリッド上の電力の流れを制御するために使用され得る。メータ540a-540n,570a-570bは、変圧器に接続され、関連する建物に計量サービスを提供する。メータ540a-540n,570a-570b、及び他の追加ノードは、配電ネットワークの動作に関する情報を収集してもよく、1つ以上の無線メッシュネットワークを介して互いに通信してもよい。追加ノードは、変電所550a又はフィーダスイッチ560a,560bのような、配電ネットワーク上の他の装置に関連付けられていてもよい。
【0043】
一実施例では、ノードは、フィーダスイッチの現在の構成を分析するために、測定データ又は配電ネットワークの動作に関する他の情報を収集する。収集された測定データは、停電や需要の変化などのイベントの影響を最小限に抑えるために、フィーダスイッチを制御するタイミングや方法を決定するために分析されてもよい。
【0044】
分析されるフィーダスイッチに対して定義されたサービスエリアに関連付けられたノードのグループが、分析を実行するために選択される。例えば、フィーダスイッチ530及び532を評価するために、変圧器512に関連付けられた少なくとも1つのメータ及び変圧器514に関連付けられた少なくとも1つのメータが選択され得る。
【0045】
選択されたメータは、配電ネットワークの動作に関する情報を収集する。選択されたメータのいずれかが、収集された情報を分析するためにサービスノードを必要とする場合、メータは、サービスノードを要求するサービスリクエストを送信し得る。この例では、メータは、ディレクトリノードを使用せずにサービスノードを特定する。メータはサービスリクエストを送信する。サービスノードが要求されたサービスを提供することができる場合、サービスノードは、提供することができるサービスを示して応答し得る。代替的に、サービスノードは、分析を実行し、その結果を含む応答メッセージを、サービスを要求した選択されたノードに送信してもよい。なお、メータをアシストするサービスノードは、同じ変圧器に接続されたサービスノードに限定されない。例えば、変電所510に関連付けられたノード550aは、変電所512に関連付けられたメータにサービスを提供してもよい。
【0046】
収集された情報が分析されると、結果はノード550aに送られ得る。ノード550aは、結果を使用して、どのようなアクションを取るべきかを決定してもよい。いくつかの実施形態では、ノード550aは、フィーダスイッチ530、532の一方又は両方をオン又はオフにするかどうかを決定してもよい。ノード550aは、フィーダスイッチ550,532などの他の装置を制御する権限を有していなくてもよい。十分な権限を有していない場合、ノードは、フィーダスイッチを制御する権限を有するシステム、例えばフィーダスイッチに関連付けられたノードやヘッドエンドシステムなどに、取られるべきアクションのための勧告を含み得る分析結果を送信してもよい。
【0047】
ノードの例.
図6は、例示的なノード600を示す。このノードは、コアプラットフォームモジュール610と、アプリケーション640,645とを含む。コアプラットフォームモジュール610は、アプリケーション640,645のための基本的な計算フレームワークを提供する。一実施形態では、コアプラットフォームモジュール610は、Javaでコーディングされ得る。コアプラットフォームモジュールに加えて、ノードは、拡張サービスモジュール620を含んでもよい。拡張サービスモジュールは、コアプラットフォームによって提供されるサービスを拡張し、従って、ノード600の機能を拡張する。拡張サービスモジュールは、ノードがディレクトリノード及びサービスノードを発見して通信することを可能にしてもよく、ノードが、分散計算、ノードのグループにわたる生データの集約、トランザクションエネルギー、デジタルウォレット/ブロックチェーン、コグニティブコンピューティング/AI機能の統合、予測分析、パターン認識などの追加の高度な機能、機能、及びアプリケーションをサポートすることを可能にしてもよい。
【0048】
コアプラットフォームモジュール610は、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を介して、サービスモジュールによって提供されるサービスへの一貫したインターフェースをアプリケーションに提供してもよい。サービスモジュールとコアプラットフォームモジュールは、システムモジュール605と総称される。異なるノードは、異なるサービスモジュールを有していてもよいし、異なる機能をサポートするサービスモジュールを有していてもよい。例えば、ディレクトリノードの拡張サービスモジュールは、ディレクトリ機能をサポートしてもよく、一方、異なるタイプのノードの拡張サービスモジュールは、ディレクトリノードの発見のみをサポートしてもよい。
【0049】
拡張サービスモジュール620以外のサービスモジュールを含んでもよい。サービスモジュールは、変圧器健康監視、位相高調波監視、ダックカーブ平坦化、フィーダスイッチ管理をサポートするグリッド分析サービスモジュール630を含んでもよい。情報サービス、計算サービス、ストレージサービス、及び翻訳サービスを含む追加の分析サービスも提供されてもよい。情報サービスには、天候、エネルギー価格、使用時間(TOU)スケジューリング、通知に関するサービスが含まれる。計算サービスには、分析、トランザクションエネルギー、エネルギー取引、エネルギー予測に関連する計算が含まれる。ストレージサービスは、別のノード又はデバイスに代わってデータ又は他の情報を保存することを含み得る。翻訳サービスは、異なるプロトコル間の翻訳を含む。サービスモジュールによって提供されるサービスは、ワイヤレスメッシュネットワーク上の他のノードから発信されるリクエストを介してアクセスされてもよい。通信サービスは、電子メール、テキスト、又はメッセージングなどの外部エンティティとの通信を含んでもよい。サービスモジュールは、追加又は更新されてもよい。
【0050】
拡張サービスモジュール620は、他のノードにサービスを要求したり、他のノードにサービスを提供したりするように構成されてもよい。ノード上のアプリケーション640は、収集したデータの分析を開始してもよい。アプリケーションは、APIを使用してコアプラットフォームモジュール610にアクセスする。ノードのシステムモジュールが分析をサポートしない場合、コアプラットフォームモジュールは、リクエストを拡張サービスモジュール620にパスしてもよく、拡張サービスモジュール620は、ディレクトリノードにリクエストを送ってもよいし、サービスノードにリクエストを送ってもよい。
【0051】
ノード600は、プロセッサ、メモリ、及びトランシーバデバイスを含み得る。トランシーバデバイスは、無線メッシュネットワーク上の他のノードと通信するためのアンテナを含むか、又はそれに結合し得る。プロセッサは、任意の数の計算デバイスを含んでよく、メモリなどのコンピュータ読み取り可能な媒体に通信的に結合し得る。プロセッサは、本明細書に記載されているような演算を実行するために、コンピュータ実行可能なプログラム命令を実行するか、又はメモリに記憶されている情報にアクセスすることができる。コアプラットフォームモジュール又は拡張サービスノード620に提供されるような命令が実行されると、それらは、本明細書に記載される演算のいずれかを実行するようにノードを設定することができる。ノードの構成要素は、特定のハードウェアアーキテクチャ又は構成に限定されない。
【0052】
一般論.
数多くの特定の詳細は、特許請求された主題の完全な理解を提供するために本明細書に記載されている。しかしながら、当業者は、請求された主題がこれらの特定の詳細なしに実施され得ることを理解するであろう。例えば、データを収集するノード、又はサービスノードにサービスを要求するノードは、メータに限定されない。他の実施例では、通常の当業者であれば知ると思われる方法、装置、又はシステムは、請求された主題を曖昧にしないように、詳細に記載されていない。
【0053】
特に別段の記載がない限り、本明細書全体を通して、「処理」、「計算」、「算出」、「判断」、「決定」、及び「識別」などの用語を用いた議論は、計算プラットフォームのメモリ、レジスタ、又は他の情報記憶装置、送信装置、又は表示装置内で物理的な電子量又は磁気量として表されるデータを操作又は変換する、1つ以上のコンピュータ又は類似の電子計算デバイス(単数複数問わず)などの計算デバイスの動作又は処理を指すことを理解されたい。
【0054】
本明細書で議論されるシステム(単数複数問わず)は、任意の特定のハードウェアアーキテクチャ又は構成に限定されない。計算デバイスは、1つ以上の入力に条件付けられた結果を提供するコンポーネントの任意の適切な配置を含むことができる。適切な計算装置は、汎用計算装置から、本主題の1つ以上の例を実施する特定用途向け計算装置まで、計算装置をプログラム又は構成する保存されたソフトウェアにアクセスする多目的マイクロプロセッサベースの計算システムを含む。任意の適切なプログラミング、スクリプト、又は他のタイプの1つの言語又は複数の言語の組が、計算デバイスをプログラミング又は構成する際に使用されるソフトウェアに本明細書に含まれる教示を実装するために使用されてもよい。
【0055】
本明細書に開示された方法の例は、そのような計算デバイスの動作において実行され得る。上記の例で提示されたブロックの順序は、変化させることができ、例えば、ブロックは、再配列され、結合され、及び/又はサブブロックに分割され得る。特定のブロック又はプロセスは、並列に実行され得る。
【0056】
本明細書において「適合した」又は「構成された」を使用しても、追加のタスク又はステップを実行するように適合又は構成されたデバイスを否定するものではなく、オープンかつ包括的な言語として意味される。さらに、「に基づいて」を使用しても、引用された1つ以上の条件又は値に「基づく」プロセス、ステップ、計算、又は他の動作が、実際には、引用された条件又は値以外の追加の条件又は値に基づいていてもよいという点で、オープンかつ包括的であることが意図されている。本明細書に含まれる見出し、リスト、及び番号付けは、説明を容易にする目的であって、限定を意図しない。
【0057】
本開示の主題は、その特定の例に関して詳細に記載されてきたが、当業者であれば、前記の理解を得た上で、そのような例に対する改変、変形、及び同等物を容易に作り出すことができることが理解されるであろう。従って、本開示は、限定ではなく例示を目的として提示されたものであり、当技術分野の通常の熟練者には容易に明らかであるような修正、変形、及び/又は追加を含めることを妨げるものではないことが理解されるべきである。