(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】マルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングのための方法、装置、およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06T 5/00 20060101AFI20220830BHJP
G06T 5/20 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G06T5/00 705
G06T5/20
(21)【出願番号】P 2020569771
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2019065297
(87)【国際公開番号】W WO2019238729
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-01-14
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504318164
【氏名又は名称】カール・ツアイス・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】プレンティス,ウェイン・イー
(72)【発明者】
【氏名】トイバー,ターニャ
(72)【発明者】
【氏名】アブロイ,ダーヴィト
【審査官】山田 辰美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0002697(US,A1)
【文献】特開2014-021928(JP,A)
【文献】特開2008-211840(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0112612(US,A1)
【文献】特表2010-509841(JP,A)
【文献】櫻井 歩 AYUMU SAKURAI,チャネル間の相関を利用した補間に基づく高解像度カラー画像生成 High resolution color image interpolation using color correlation,情報処理学会研究報告 2011(平成23)年度▲1▼ [CD-ROM] ,日本,一般社団法人情報処理学会,2011年06月15日,p.1-p.8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 5/00
G06T 5/20
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル画像のマルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングのための方法であって、
カラーフィルタアレイ(CFA)パターンを有する色モザイクを含む画像フレームをイメージセンサから受信することと、
前記画像フレームを、複数の色平面のそれぞれについて少なくとも1つの色平面画像に分解することと、
前記少なくとも1つの色平面画像のマルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングを実行することにより、前記少なくとも1つの色平面画像におけるノイズを順次かつ個別に低減することと、
ノイズフィルタリングされた画像フレームを生成するために、前記少なくとも1つの色平面画像を再構成することと、を含
み、
前記マルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングを実行することは、複数のノイズ除去レベルから最高のノイズ除去レベルを除いたノイズ除去レベルのそれぞれにおいて、前記少なくとも1つの色平面画像の周波数分離を実行することを含み、
前記周波数分離は、前記少なくとも1つの色平面画像のガウスフィルタリングを実行することと、前記ガウスフィルタリングされた少なくとも1つの色平面画像をダウンサイズおよびアップサイズすることと、を含む方法。
【請求項2】
前記複数の色平面は、緑色平面、赤色平面、および青色平面のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングを実行することは、
前記複数のノイズ除去レベルを定義することと、
前記複数のノイズ除去レベルのそれぞれにおいて、前記少なくとも1つの色平面画像をバイラテラルフィルタリングすることと
、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記周波数分離は、
第1のノイズ除去レベルにおいて、前記少なくとも1つの色平面画像の
前記ガウスフィルタリングを実行することと、前記少なくとも1つの色平面画像を低周波色平面画像と高周波色平面画像に分離することであって、このとき、前記ガウスフィルタリングされた少なくとも1つの色平面画像を
前記ダウンサイズすることにより前記低周波色平面画像を生成し、前記低周波色平面画像を
前記アップサイズして、前記アップサイズされた低周波色平面の個々の画素値を前記少なくとも1つの色平面画像の対応する画素値から減算することにより前記高周波色平面画像を生成することと、前記複数のノイズ除去レベルのうちの後続レベルに前記低周波色平面画像を送るとともに、前記最高のノイズ除去レベルに前記高周波色平面画像を送ることと、を含み、さらに、
前記第1のノイズ除去レベルの後続かつ前記最高のノイズ除去レベルより前の少なくとも1つのノイズ除去レベルにおいて、前記複数のノイズ除去レベルのうちの前のレベルから受信した前記低周波色平面画像のガウスフィルタリングを実行することと、前記ガウスフィルタリングされた、前記複数のノイズ除去レベルのうちの前記前のレベルからの低周波色平面画像を低周波色平面画像と高周波色平面画像に分離することであって、このとき、前記ガウスフィルタリングされた、前記複数のノイズ除去レベルのうちの前記前のレベルからの低周波色平面画像をダウンサイズすることにより前記低周波色平面画像を生成し、前記低周波色平面画像をアップサイズすることにより前記高周波色平面画像を生成することと、前記複数のノイズ除去レベルのうちの後続レベルに前記低周波色平面画像を送るとともに、前記最高のノイズ除去レベルに前記高周波色平面画像を送ることと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記最高のノイズ除去レベルにおいて、直前のノイズ除去レベルから受信した前記低周波色平面画像をバイラテラルフィルタリングすることと、前記直前のノイズ除去レベルから受信した前記低周波色平面画像をアップサイズすることと、さらに、
前記バイラテラルフィルタリングおよびアップサイズされた、前記直前のノイズ除去レベルから受信した低周波色平面画像に、前記前のノイズ除去レベルのそれぞれから受信した高周波色平面画像を加算することにより、前記少なくとも1つの色平面画像を再構成することと、をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
バイラテラルフィルタリングは、
対象画素のカーネルを定義することであって、方形幅サイズを有するとともに前記対象画素とカーネル画素を含むカーネルを定義することと、
次に、前記少なくとも1つの色平面画像の各画素を、前記対象画素としての加重平均画素値を決定することにより、前記対象画素として処理することであって、このとき、前記対象画素としての前記加重平均画素値は、各カーネル画素の値に重みを適用し、続いて前記重み付けされたカーネル画素値を平均することにより、決定されることと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
カーネル画素の重みは、前記対象画素からの前記カーネル画素の距離と、前記カーネル画素の値と前記対象画素の値との類似度を規定するzスコアに基づいて決定され、
前記対象画素からの前記カーネル画素の前記距離は、前記CFAパターンを有する前記色モザイクにおける空間ギャップと一致するように決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記カーネル画素の前記重みは、
【数1】
に基づいて決定され、ここで、ThrottleR_MLはガウス半径を定義し、ThrottleS_MLは画素の類似度を定義し、Δrは前記カーネルからの画素単位での距離を定義し、I(x,y)は前記カーネルの中心にある前記対象画素を定義し、Δvはコード値の差を定義し、σ[I(x,y)]はノイズテーブルを定義し、levelは前記ノイズ除去レベルを定義する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
画像処理装置であって、
イメージセンサと通信する1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサと通信する1つ以上のメモリデバイスと、を備え、
前記1つ以上のプロセッサは、
カラーフィルタアレイ(CFA)パターンを有する色モザイクを含む画像フレームを前記イメージセンサから受信し、
前記画像フレームを、複数の色平面のそれぞれについて少なくとも1つの色平面画像に分解し、
前記少なくとも1つの色平面画像のマルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングを実行することにより、前記少なくとも1つの色平面画像におけるノイズを順次かつ個別に低減し、
ノイズフィルタリングされた画像フレームを生成するために、前記少なくとも1つの色平面画像を再構成
し、
前記マルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングの実行は、複数のノイズ除去レベルから最高のノイズ除去レベルを除いたノイズ除去レベルのそれぞれにおいて、前記少なくとも1つの色平面画像の周波数分離を実行することを含み、
前記周波数分離は、前記少なくとも1つの色平面画像のガウスフィルタリングを実行することと、前記ガウスフィルタリングされた少なくとも1つの色平面画像をダウンサイズおよびアップサイズすることと、を含む、ように構成されている、画像処理装置。
【請求項10】
前記複数の色平面は、緑色平面、赤色平面、および青色平面のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記マルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングを実行するために、前記1つ以上のプロセッサは、
前記複数のノイズ除去レベルを定義し、
前記複数のノイズ除去レベルのそれぞれにおいて、前記少なくとも1つの色平面画像をバイラテラルフィルタリング
する、ように構成されている、請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記周波数分離を実行するために、前記1つ以上のプロセッサは、
第1のノイズ除去レベルにおいて、前記少なくとも1つの色平面画像の
前記ガウスフィルタリングを実行することと、前記少なくとも1つの色平面画像を低周波色平面画像と高周波色平面画像に分離することであって、このとき、前記ガウスフィルタリングされた少なくとも1つの色平面画像を
前記ダウンサイズすることにより前記低周波色平面画像を生成し、前記低周波色平面画像を
前記アップサイズして、前記アップサイズされた低周波色平面の個々の画素値を前記少なくとも1つの色平面画像の対応する画素値から減算することにより前記高周波色平面画像を生成することと、前記複数のノイズ除去レベルのうちの後続レベルに前記低周波色平面画像を送るとともに、前記最高のノイズ除去レベルに前記高周波色平面画像を送ることと、を実行し、さらに、
前記第1のノイズ除去レベルの後続かつ前記最高のノイズ除去レベルより前の少なくとも1つのノイズ除去レベルにおいて、前記複数のノイズ除去レベルのうちの前のレベルから受信した前記低周波色平面画像のガウスフィルタリングを実行することと、前記ガウスフィルタリングされた、前記複数のノイズ除去レベルのうちの前記前のレベルからの低周波色平面画像を低周波色平面画像と高周波色平面画像に分離することであって、このとき、前記ガウスフィルタリングされた、前記複数のノイズ除去レベルのうちの前記前のレベルからの低周波色平面画像をダウンサイズすることにより前記低周波色平面画像を生成し、前記低周波色平面画像をアップサイズすることにより前記高周波色平面画像を生成することと、前記複数のノイズ除去レベルのうちの後続レベルに前記低周波色平面画像を送るとともに、前記最高のノイズ除去レベルに前記高周波色平面画像を送ることと、を実行する、ように構成されている、請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記最高のノイズ除去レベルにおいて、直前のノイズ除去レベルから受信した前記低周波色平面画像をバイラテラルフィルタリングすることと、前記直前のノイズ除去レベルから受信した前記低周波色平面画像をアップサイズすることと、を実行し、さらに、
前記バイラテラルフィルタリングおよびアップサイズされた、前記直前のノイズ除去レベルから受信した低周波色平面画像に、前記前のノイズ除去レベルのそれぞれから受信した高周波色平面画像を加算することにより、前記少なくとも1つの色平面画像を再構成することと、を実行する、ようにさらに構成されている、請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前
記バイラテラルフィルタリングするために、前記1つ以上のプロセッサは、
対象画素のカーネルを定義することであって、方形幅サイズを有するとともに前記対象画素とカーネル画素を含むカーネルを定義することと、
次に、前記少なくとも1つの色平面画像の各画素を、前記対象画素としての加重平均画素値を決定することにより、前記対象画素として処理することであって、このとき、前記対象画素としての前記加重平均画素値は、各カーネル画素の値に重みを適用し、続いて前記重み付けされたカーネル画素値を平均することにより、決定されることと、を実行する、ようにさらに構成されている、請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項15】
コンピュータ実行可能命令を含むソフトウェアでコード化された非一時的なコンピュー
タ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ実行可能命令は、1つ以上のプロセッサで実行されることで、前記1つ以上のプロセッサに、
カラーフィルタアレイ(CFA)パターンを有する色モザイクを含む画像フレームをイメージセンサから受信させ、
前記画像フレームを、複数の色平面のそれぞれについて少なくとも1つの色平面画像に分解させ、
前記少なくとも1つの色平面画像のマルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングを実行することにより、前記少なくとも1つの色平面画像におけるノイズを順次かつ個別に低減させ、
ノイズフィルタリングされた画像フレームを生成するために、前記少なくとも1つの色平面画像を再構成させ
、
前記マルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングの実行は、複数のノイズ除去レベルから最高のノイズ除去レベルを除いたノイズ除去レベルのそれぞれにおいて、前記少なくとも1つの色平面画像の周波数分離を実行することを含み、
前記周波数分離は、前記少なくとも1つの色平面画像のガウスフィルタリングを実行することと、前記ガウスフィルタリングされた少なくとも1つの色平面画像をダウンサイズおよびアップサイズすることと、を含む、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記複数の色平面は、緑色平面、赤色平面、および青色平面のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記マルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングを実行するために、前記実行可能命令は、前記1つ以上のプロセッサに、さらに、
前記複数のノイズ除去レベルを定義させ、
前記複数のノイズ除去レベルのそれぞれにおいて、前記少なくとも1つの色平面画像をバイラテラルフィルタリングさせ
る、請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記周波数分離を実行するために、前記実行可能命令は、前記1つ以上のプロセッサに、さらに、
第1のノイズ除去レベルにおいて、前記少なくとも1つの色平面画像の
前記ガウスフィルタリングを実行することと、前記少なくとも1つの色平面画像を低周波色平面画像と高周波色平面画像に分離することであって、このとき、前記ガウスフィルタリングされた少なくとも1つの色平面画像を
前記ダウンサイズすることにより前記低周波色平面画像を生成し、前記低周波色平面画像を
前記アップサイズして、前記アップサイズされた低周波色平面の個々の画素値を前記少なくとも1つの色平面画像の対応する画素値から減算することにより前記高周波色平面画像を生成することと、前記複数のノイズ除去レベルのうちの後続レベルに前記低周波色平面画像を送るとともに、前記最高のノイズ除去レベルに前記高周波色平面画像を送ることと、を実行させ、さらに、
前記第1のノイズ除去レベルの後続かつ前記最高のノイズ除去レベルより前の少なくとも1つのノイズ除去レベルにおいて、前記複数のノイズ除去レベルのうちの前のレベルから受信した前記低周波色平面画像のガウスフィルタリングを実行することと、前記ガウスフィルタリングされた、前記複数のノイズ除去レベルのうちの前記前のレベルからの低周波色平面画像を低周波色平面画像と高周波色平面画像に分離することであって、このとき、前記ガウスフィルタリングされた、前記複数のノイズ除去レベルのうちの前記前のレベルからの低周波色平面画像をダウンサイズすることにより前記低周波色平面画像を生成し、前記低周波色平面画像をアップサイズすることにより前記高周波色平面画像を生成することと、前記複数のノイズ除去レベルのうちの後続レベルに前記低周波色平面画像を送るとともに、前記最高のノイズ除去レベルに前記高周波色平面画像を送ることと、を実行させる、請求項17に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記実行可能命令は、前記1つ以上のプロセッサに、さらに、
前記最高のノイズ除去レベルにおいて、直前のノイズ除去レベルから受信した前記低周波色平面画像をバイラテラルフィルタリングすることと、前記直前のノイズ除去レベルか
ら受信した前記低周波色平面画像をアップサイズすることと、を実行させ、さらに、
前記バイラテラルフィルタリングおよびアップサイズされた、前記直前のノイズ除去レベルから受信した低周波色平面画像に、前記前のノイズ除去レベルのそれぞれから受信した高周波色平面画像を加算することにより、前記少なくとも1つの色平面画像を再構成することと、を実行させる、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前
記バイラテラルフィルタリングするために、前記実行可能命令は、前記1つ以上のプロセッサに、さらに、
対象画素のカーネルを定義することであって、方形幅サイズを有するとともに前記対象画素とカーネル画素を含むカーネルを定義することと、
次に、前記少なくとも1つの色平面画像の各画素を、前記対象画素としての加重平均画素値を決定することにより、前記対象画素として処理することであって、このとき、前記対象画素としての前記加重平均画素値は、各カーネル画素の値に重みを適用し、続いて前記重み付けされたカーネル画素値を平均することにより、決定されることと、
前記対象画素からの前記カーネル画素の距離と、前記カーネル画素の値と前記対象画素の値との類似度を規定するzスコアに基づいて、カーネル画素の重みを決定することと、
前記対象画素からの前記カーネル画素の前記距離を、前記カラーフィルタアレイ(CFA)パターンを有する前記色モザイクにおける空間ギャップと一致するように決定することと、を実行させる、請求項17に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル画像のマルチレベル・バイラテラル・ノイズ除去に関する。さらに、本発明は、デジタル画像のマルチレベル・バイラテラル・ノイズ除去を実行する装置およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラは、デジタル画像を取り込むためのイメージセンサを備える。イメージセンサは、画素ごとの光強度を検出する。色情報の記録を可能とするために、ある特定の色をある特定の画素に割り当てるカラーフィルタアレイ(CFA)をイメージセンサの基板に貼付してよく、各画素は、その特定の色についての光強度を検出する。
【0003】
デジタルカメラで使用されるCFAの典型的なパターンは、ベイヤーフィルタまたはベイヤーCFAである。ベイヤーフィルタは、赤色および緑色のフィルタの列と青色および緑色のフィルタの列を交互に含み、各列は、それぞれ、交互の赤色フィルタと緑色フィルタ、および交互の青色フィルタと緑色フィルタを含む。緑色フィルタは、緑色光子を優先的にイメージセンサの個々の画素の検出器(例えば、フォトダイオード)まで通過させる。同時に、緑色フィルタに到達する赤色光子および青色光子は、このフィルタを通過しないので、その個々の検出器によって検出されない。同様に、赤色フィルタは、赤色光子を優先的に個々の検出器まで通過させ、青色フィルタは、青色光子を優先的に個々の検出器まで通過させる。
【0004】
ベイヤーCFAでは、緑色フィルタが、赤色フィルタおよび青色フィルタの2倍の空間周波数で現れる。緑チャネルは、輝度を表し、赤チャネルおよび青チャネルは、デジタル画像の色度を表す。ベイヤーフィルタをイメージセンサの前面に適用する場合、元のフルカラー解像度デジタル画像を表示、印刷、または保存できるように、各画素について3色すべてを再現するためには、イメージセンサによって生成される結果としての画像フレームを補間またはデモザイク処理する必要がある。
【0005】
デジタルカメラでは、補間またはデモザイク処理は、専用の画像信号プロセッサ(ISP)によって、または画像処理ソフトウェアプログラムを実行する汎用プロセッサ(CPU)によって、実行されてよい。
【0006】
デジタル画像は、典型的には、低減される必要がある様々なソースからのノイズを含む。国際標準化機構(ISO)感度が高まるにつれて、低減の必要性が高まる。
【0007】
ノイズ成分の1つは、経時変化しない空間パターンを有する固定パターンノイズ(FPN)である。他のノイズ成分は、空間的に経時変化するパターンを有する時間ノイズである。デジタル画像における全体的なノイズ特性は、例えば、センサタイプ、画素寸法、温度、露出時間、およびISO感度に依存する。また、非特許文献1で解説されているように、画像ノイズは、チャネルにも依存する。
【0008】
様々な画像ノイズ除去方法が開発されている。これらの方法の1つは、バイラテラルフィルタリングを利用する。バイラテラルフィルタリングは、近傍画像値の非線形結合によってエッジを保存しつつ、画像を平滑化する。この方法は、例えば、非特許文献2において概説されている。
【0009】
バイラテラルフィルタリングは、バイラテラル・ノイズ除去を含む多くの用途で一般的に知られているが、最初は直感的なツールとして提案されたものであり、典型的には、空間領域および輝度領域での重みの減衰を制御するパラメータのようなパラメータを試行錯誤で選択する。非特許文献1を参照する。
【0010】
特に、既存のノイズ除去手順は、デモザイク処理、または色補正処理の一部としてのチャネル混合のいずれかからのノイズが混合されている空間におけるノイズ除去を試みる。結果として、ノイズは、異なる画素について必ずしも無相関であるとは限らず、その結果、不十分なノイズ除去となる。従って、デジタル画像に適用されるバイラテラル・ノイズフィルタリングの有効性を向上させる新たなアプローチが必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】Zhang等著 「Multiresolution Bilateral Filtering for Image Denoising」
【文献】Tomasi等著 「Bilateral Filtering for Gray and Color Images」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、関連技術の欠点を克服する、デジタル画像のノイズフィルタリングのための方法、画像処理装置、およびコンピュータ可読記憶媒体を提供することである。この目的は、すべての空間周波数帯域のノイズの効果的な除去を可能とするマルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリング技術を提供することによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
バイラテラルフィルタは、カーネルのサイズおよび形状によって定義される近傍画素の加重平均を生成することにより、ノイズを除去する。本発明の一態様によれば、カーネルは、対象画素I(x,y)を中心とする。対象画素平均のための重みを計算するときに、2つの予測子、すなわち、対象画素からのカーネル画素の距離と、カーネル画素の値と対象画素の値との類似度または差異を規定する対象画素のzスコアを用いる。
【0014】
バイラテラルフィルタは、空間重みによって定義される画素グループに作用する。典型的には、このサイズは、わずか数画素の幅であり、画像ノイズは広帯域(スペクトル的にフラット)である。バイラテラルフィルタは、高周波ノイズには有効であるが、サポートされるのが数画素でしかないため、低周波ノイズを残して、高周波ノイズのみを減衰させることが判明している。
【0015】
対象画素からのカーネル画素の距離に関しては、対象画素に最も近い画素が最大重みを有する。カーネル画素の値と対象画素の値との類似度または差異に関しては、対象画素に最も近い値の画素が最大重みを有する。
【0016】
それぞれの対象画素I(x,y)において、次の式に従って、カーネル内の各画素ρについて重みを決定する。
【0017】
【0018】
対象画素の出力値を次の式に従って決定する。
【0019】
【0020】
カーネルの中心にある対象画素I(x,y)に対して、Δrは、元のCFAから測定された、I(x,y)からカーネル内の他の画素までの画素単位での距離である。パラメータrは、ガウス半径パラメータである。Δvは、対象画素I(x,y)とカーネル内の他の画素との間のコード値の差である。σは、輝度I(x,y)の対象画素の標準偏差である。カーネル内のすべてのI(ρ)値に対して評価を実施する。
【0021】
画素値の差は、I(x,y)の標準偏差でスケーリングされる。I(x,y)の標準偏差で画素値の差をスケーリングすることは、関連技術におけるバイラテラルフィルタの実装に対する一層の強化となる。これにより、ノイズ除去の強度が、そのデジタル画像のすべての部分における予想されるノイズと適合することが確保される。画像コード値とノイズ(標準偏差)との関係は、ノイズフィルタに供給されるノイズテーブルに保存される。このノイズテーブルσ[I(x,y)]は、特定の取得システムパラメータについての知識から計算されるか、または校正された画像データから経験的に測定される。ノイズテーブルσ[I(x,y)]には、I(x,y)のすべての整数値における標準偏差が記録される。
【0022】
これらの改良をバイラテラルフィルタ(群)に加えることによって、画像処理装置におけるノイズ除去プロセスの有効性、ひいては、それらが使用される画像処理装置の全体的な機能性が、大幅に向上する。
【0023】
ノイズが無相関の場合に、ノイズ除去は最も効果的であると判明している。デジタルカメラ処理パスの文脈では、最も無相関のノイズは、CFA補間の前、かつ色補正でマトリクス混合が実行される前に現れる。従って、本発明の一態様によるバイラテラルフィルタ(群)は、補間済みCFA空間において直接作用するように、すなわち、デジタル画像が補間またはデモザイク処理されて、使用される距離が、画像レコードにおいて任意の色について存在する空間ギャップと一致する前に、作用するように構成される。換言すれば、本発明の一態様によれば、イメージセンサから受信した、CFAパターンを有する色モザイクを含む画像フレームを分解することにより生成される色平面画像に対してバイラテラルフィルタリングを実行する、新たな構成が提供される。
【0024】
zスコア予測子は、画像データの標準偏差の推定を必要とし、標準偏差は、データから推定されるのではなく、デバイスから経験的に決定されることがある。
【0025】
本発明の第1の態様によれば、デジタル画像のマルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングのための方法を提供する。この方法は、CFAパターンを有する色モザイクを含む画像フレームをイメージセンサから受信することと、その画像フレームを、複数の色平面のそれぞれについて少なくとも1つの色平面画像に分解することと、その少なくとも1つの色平面画像のマルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングを実行することにより、その少なくとも1つの色平面画像におけるノイズを順次かつ個別に低減することと、ノイズフィルタリングされた画像フレームを生成するために、その少なくとも1つの色平面画像を再構成することと、を含む。
【0026】
本発明の第2の態様によれば、イメージセンサと通信する1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサと通信する1つ以上のメモリデバイスと、を備える画像前処理装置を提供する。1つ以上のプロセッサは、CFAパターンを有する色モザイクを含む画像フレームをイメージセンサから受信し、その画像フレームを、複数の色平面のそれぞれについて少なくとも1つの色平面画像に分解し、その少なくとも1つの色平面画像のマルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングを実行することにより、その少なくとも1つの色平面画像におけるノイズを順次かつ個別に低減し、ノイズフィルタリングされた画像フレームを生成するために、その少なくとも1つの色平面画像を再構成するように構成される。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を提供する。この非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ実行可能命令を含むソフトウェアでコード化されており、コンピュータ実行可能命令は、1つ以上のプロセッサで実行されることで、1つ以上のプロセッサに、CFAパターンを有する色モザイクを含む画像フレームをイメージセンサから受信させ、その画像フレームを、複数の色平面のそれぞれについて少なくとも1つの色平面画像に分解させ、その少なくとも1つの色平面画像のマルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングを実行することにより、その少なくとも1つの色平面画像におけるノイズを順次かつ個別に低減させ、ノイズフィルタリングされた画像フレームを生成するために、その少なくとも1つの色平面画像を再構成させる。
【0028】
以下で、本発明について、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な一実施形態による画像処理装置の概略図を示している。
【
図2】
図2は、本発明の例示的な一実施形態による平面分離の図を示している。
【
図3】
図3は、本発明の例示的な一実施形態による画像処理装置の詳細な概略図を示している。
【
図4】
図4は、本発明の例示的な一実施形態による、デジタル画像のノイズフィルタリングのための方法の概略図を示している。
【
図5】
図5は、本発明の例示的な一実施形態による周波数分離のための方法の概略図を示している。
【
図6】
図6は、本発明の例示的な一実施形態による周波数分離のための方法の詳細図を示している。
【
図7】
図7は、本発明の例示的な一実施形態による、デジタル画像のノイズフィルタリングのために画像処理装置によって実行される動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、デジタル画像のマルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリング用に構成された画像処理装置100を示している。画像処理装置100は、イメージセンサ110と、イメージセンサ110および画像プロセッサ130に接続された画像プリバッファ120と、画像信号プロセッサ(ISP)140と、を備える。画像処理装置100は、さらに、画像プロセッサ130と通信するメモリ150を備える。画像処理装置100は、さらに、ISP140と通信するデジタル画像記憶媒体160を備える。
【0031】
イメージセンサ110は、ライブビューモードおよび静止キャプチャモードで作動させることができる。両方のモードにおいて、イメージセンサ110の全アクティブエリアを利用し、イメージセンサ110によって、画像フレームを生成して、画像プリバッファ120に出力する。
【0032】
メモリ150およびデジタル画像記憶媒体160は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)であるが、ただし、これらに限定されない。また、他のいずれかの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体または複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を、メモリ150またはデジタル画像記憶媒体160として利用することもできる。
【0033】
次に、(
図1をさらに参照するとともに)
図2を参照する。
図2は、平面分離の図を示している。特にベイヤーCFAであるCFAを、イメージセンサ110に貼付してよい。その結果として、イメージセンサ110で生成される画像フレームは、ベイヤーCFAパターンを有する色モザイクを含む。
図2は、イメージセンサ110から受信して画像プリバッファ120に格納された画像フレーム210の一部を示している。
図2に示すように、画像フレーム210は、赤色および緑色の画素の列と青色および緑色の画素の列を交互に含む。同じ色の画素は、色平面またはカラーチャネルを表す。ベイヤーCFAパターンは、各色平面の個別の浄化を可能とするノイズ除去の前に、画像プロセッサ130によって、3つの色平面画像、すなわち、赤色平面画像220、緑色平面画像230、および青色平面画像240に分解される。緑チャネルは、デジタル画像の輝度を表し、赤チャネルおよび青チャネルは、画像フレーム210の色度を表す。
図2に示すように、緑色平面は、同じ色の隣接画素間の距離に関して、赤色平面および青色平面とは異なる構造を有する。ある特定の画素幅および画素高さを有する画像フレームの場合、赤色平面および青色平面の寸法は、以下のように記述することができる。画素幅×画素高さで定義される画像フレーム210の寸法に対して、赤色平面画像220および青色平面画像240の寸法は、画素幅/2×画素高さ/2であり、緑色平面画像230の寸法は、画素幅/2×画素高さである。ノイズ低減に使用されるカーネル画素からの画素単位での距離Δrは、以下でより詳細に説明するように、赤色平面の列および青色平面の列のすべてについて、次の式に基づいて計算される。
【0034】
【0035】
緑色平面の偶数列については、カーネル画素からの画素単位での距離Δrは、次の式に基づいて計算される。
【0036】
【0037】
緑色平面の奇数列については、カーネル画素からの画素単位での距離Δrは、次の式に基づいて計算される。
【0038】
【0039】
結果として、抽出された赤色平面、青色平面、および緑色平面上で測定される距離Δrは、画像フレーム210のCFA画素距離と一致する。
【0040】
画像フレーム210を赤色平面画像、緑色平面画像、および青色平面画像に分解した後に、画像プロセッサ130は、赤色平面画像220、緑色平面画像230、および青色平面画像240のマルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングをそれぞれ実行することにより、色平面のそれぞれにおいて順次かつ個別にノイズを低減する。その後、画像プロセッサ130は、画像プロセッサ130によって画像プリバッファ120に格納されるノイズフィルタリングされた画像フレームを生成するために、赤色平面画像220、緑色平面画像230、および青色平面画像240をそれぞれ再構成する。続いて、ノイズフィルタリングされた画像フレームは、ISP140に送信されて、そこで、可視画像に補間またはデモザイク処理されて、デジタル画像記憶媒体160に保存される。
【0041】
次に、本発明の例示的な一実施形態によるデジタル画像の処理のための画像処理装置300の、より詳細な概略図を示している
図3を参照する。
図3に示すように、画像処理装置300は、イメージセンサ110が接続された画像前処理装置310と、画像主処理装置330と、を含む。画像主処理装置330は、画像前処理装置310、ディスプレイ140、および記憶媒体160と通信する。
【0042】
図3に示す画像処理装置300の例示的な実施形態における画像主処理装置330は、システムオンチップ(SoC)アーキテクチャを有し、イメージセンサから受信した画像フレームを処理して、表示、印刷、または保存できるデジタル画像を生成するために必要なすべてのコンポーネントを統合している。従って、画像主処理装置330は、例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP)またはグラフィックス処理ユニット(GPU)として実装され得る画像プロセッサ342を含む。画像主処理装置330は、さらに、第1のISP338と、静止画像プリバッファ334に格納される画像フレームを受信および送信するように構成されたデータ送受信機332と、を含む。さらに、ISP338によって処理されるべき画像サブフレームを受信するように構成された画像データ受信機336が設けられる。ISP338によって処理された画像サブフレームは、静止画像ポストバッファ340に格納される。イメージセンサ110で取得された画像フレームをディスプレイ140全体で見ることができるようにするためのオペレーションを実行するディスプレイコントローラ352が設けられる。ディスプレイコントローラ352は、ディスプレイデータ送信機354を介してディスプレイ140に接続されている。グラフィックス画像形式の静止画像フレームまたはRAW画像形式の画像フレームを記憶媒体160に保存するために、ストレージコントローラ356およびストレージインタフェース358が設けられる。
【0043】
画像前処理装置310は、データ送受信機312および第1のイメージャデータ送信機314を含む。データ送受信機312およびデータ送受信機332は、画像前処理装置310と画像主処理装置330との間のデータインタフェースを形成する。データ送受信機312、332は、ペリフェラル・コンポーネント・インタコネクト・エクスプレス(PCIe)標準インタフェースのような高速シリアルコンピュータ拡張バス標準インタフェースであってよいが、ただし、これに限定されない。
【0044】
データ送受信機312、332と同様に、イメージャデータ送信機314は、イメージャデータ受信機336と共に、画像前処理装置310と画像主処理装置330との間の別のインタフェース(すなわち、イメージャデータインタフェース)を形成する。データ送受信機312およびイメージャデータ送信機314は、受信DMA(RDMA)コントローラ316および送信DMA(TDMA)コントローラ318によって制御される。RDMAコントローラ316は、ファーストイン・ファーストアウト(FIFO)バッファ320を介してイメージャデータ送信機314と通信する。画像前処理装置310は、さらに、画像データ受信機322と、FIFOバッファ326を介して送信DMAコントローラ318と通信する画素プロセッサ324と、を含む。
【0045】
図3に示す例示的な実施形態による、第1のイメージャデータインタフェース314、336、および第2のイメージャデータインタフェース346、348は、モバイル・インダストリ・プロセッサ・インタフェース(MIPI)カメラシリアルインタフェース(CSI)画像データインタフェースである。ただし、イメージャデータインタフェースは、MIPI CSIに限定されることなく、他の任意のシリアルインタフェースを代わりに用いることもできる。
【0046】
図3に示す例示的な実施形態では、画像前処理装置310は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として実装される。しかしながら、画像前処理装置310は、特定用途向け集積回路(ASIC)として実装されてもよい。同様に、画像プロセッサ342は、別個のFPGAまたは別個のASICとして実装されてもよい。
【0047】
画像前処理装置310は、さらに、FIFOバッファ344を介して第2のイメージャデータ送信機346に接続された画像ダウンサイザ328を含み、第2のイメージャデータ送信機346は、第2のイメージャデータ受信機348と共に、第2のイメージャデータインタフェースを形成する。イメージャデータ受信機348は、第2のISP350に接続されている。
【0048】
ノイズフィルタリングは、画像プロセッサ342によって実行される。イメージセンサ110によって生成された画像フレーム210は、静止画像プリバッファ334に格納されてから、画像プロセッサ342によって、色平面画像に分解されて、それらの色平面画像におけるノイズは、画像プロセッサ342によって、順次かつ個別に低減され、その後、ノイズフィルタリングされた画像フレームを生成するために、色平面画像は再構成されて、ノイズフィルタリングされた画像フレームは、静止画像プリバッファに格納された後に、データ送受信機332、312ならびにイメージャデータ送信機314およびイメージャデータ受信機336を介して、ISP338に送信されて、そこで、可視画像に補間またはデモザイク処理されて、デジタル画像記憶媒体160に保存される。
【0049】
次に、(引き続き
図1~3を参照するとともに)
図4を参照する。
図4は、本発明の例示的な一実施形態による、デジタル画像のノイズフィルタリングのための方法の概略図である。より具体的には、
図4は、画像プロセッサ130、342によって、マルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングを個別に実行することにより、色平面におけるノイズを順次低減するための方法を示している。
図4に示す方法によって、各色平面について、ノイズフィルタリングされた色平面画像405を生成し、その後、それらを合成して、ノイズフィルタリングされた画像を生成し、それを、ISP140、338によってデモザイク処理して、記憶媒体160に保存する。
【0050】
マルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングを実行するために、複数のノイズ除去レベルが定義される。
図4は、第1、第2、および最高のノイズ除去レベルを示している。ただし、この方法は、これに限定されない。代わりに、ノイズ除去レベルの数を、4つ以上のノイズ除去レベルに増やしてよい。
【0051】
図4に示す第1レベルでは、色平面画像410を、バイラテラルフィルタ415によってバイラテラルフィルタリングする。色平面画像410をバイラテラルフィルタリングするために、対象画素のカーネルが定義される。カーネルは方形幅サイズを有し、対象画素とカーネル画素を含む。次に、少なくとも1つの色平面画像の各画素を、対象画素としての加重平均画素値を決定することにより、対象画素として処理する。対象画素としての加重平均画素値は、各カーネル画素の値に重みを適用し、続いて重み付けされたカーネル画素値を平均することにより、決定される。
【0052】
カーネル画素の重みは、対象画素からのカーネル画素の距離と、カーネル画素の値と対象画素の値との類似度を規定するzスコアに基づいて決定される。対象画素からのカーネル画素の距離は、CFAパターンを有する色モザイクにおける空間ギャップと一致するように決定される。
【0053】
カーネル画素の重みは、次の式に従って決定される。
【0054】
【0055】
ここで、ThrottleR_MLはガウス半径コントロールを定義し、ThrottleS_MLは画素差コントロールを定義し、Δrはカーネルからの画素単位での距離を定義し、I(x,y)はカーネルの中心にある対象画素を定義し、Δvはコード値の差を定義し、σ[I(x,y)]はノイズテーブルを定義し、levelはノイズ除去レベルを定義する。このようにして、
図4におけるバイラテラルフィルタ415は、第1レベルのための重みを決定し、バイラテラルフィルタ425は、第2レベルのための重みを決定し、バイラテラルフィルタ435は、最高レベルすなわち
図4に示す例示的な実施形態における第3レベルのための重みを決定する。
【0056】
バイラテラルフィルタリングされた色平面画像は、周波数スプリッタ420に供給される。周波数スプリッタ420は、バイラテラルフィルタリングされた色平面画像を、第1レベルの低周波色平面画像と第1レベルの高周波色平面画像とに分離する。周波数分離については、以下の
図5および6に関連して、さらに詳細に説明する。
【0057】
第1レベルの低周波色平面画像は、第2レベルのバイラテラルフィルタ425によってバイラテラルフィルタリングされ、その後、第2レベルの周波数スプリッタ430に供給されて、そこで、第2レベルの低周波色平面画像と第2レベルの高周波色平面画像とに分離される。
【0058】
図4における最高レベルでは、第2レベルの低周波色平面画像は、バイラテラルフィルタ435によってバイラテラルフィルタリングされて、アップサイザ440によってアップサイズされる。アップサイザ440によって出力されるアップサイズされた色平面画像の画素値は、第2レベルの高周波色平面画像の個々の画素値に加算され、さらに、その結果として得られる色平面画像は、アップサイザ445によって再びアップサイズされてから、ノイズフィルタリングされた色平面画像405を生成するために、アップサイザ445によって出力されるアップサイズされた色平面画像の画素値は、周波数スプリッタ420によって生成された第1レベルの高周波色平面画像の個々の画素値に加算される。
【0059】
図5は、周波数分離のための方法の概略図を示している。この方法は、バイラテラルフィルタリングされた第1レベルの色平面画像410に対して、周波数スプリッタ420によって実行される。一方、周波数スプリッタ430は、バイラテラルフィルタリングされた第2レベルの低周波色平面画像に対して、同様に作用する。
【0060】
一般に、周波数分離は、低周波画像と残差高周波画像とを生成する可逆プロセスである。ダウンサイズ演算およびアップサイズ演算は、バイリニアである。記載のバイラテラルフィルタは、カーネルサイズの空間周波数領域内のノイズ除去において効果的である。一方、より大きな空間周波数のサポートは最小限である。より低周波数のノイズのフィルタリングは、画像を何らかのファクタでダウンサイズして、再フィルタリングすることにより実現する。ダウンサイジングプロセスによって、画像データを、低周波帯域と高周波帯域の2つの空間周波数帯域に分離する。画像を高空間周波数帯域と低空間周波数帯域に分離するために使用できる多くの方法がある。そのような方法の1つについて、以下でさらに詳細に説明する。また、可能な範囲で、周波数分離をバイラテラルフィルタの空間周波数サポートと一致させることも効果的である。これにより、すべての空間周波数にわたる均一なノイズ除去を確保する。
【0061】
図5に示すように、バイラテラルフィルタリングされた色平面画像505は、半径2のガウスフィルタ510に供給される。バイラテラルフィルタリングされた色平面画像505は、ガウスフィルタ510によってフィルタリングされて、第1レベルの低周波色平面画像を生成するために、ダウンサイザ515によって2回ダウンサイズされる。ダウンサイザ515によってダウンサイズされた色平面画像は、アップサイザ520によって2回アップサイズされて、その個々の画素値が、色平面画像505の対応する画素値から減算されることにより、第1レベルの高周波色平面画像を生成する。第1レベルの低周波色平面画像および高周波色平面画像は、次の(1つ以上の)レベルに供給されて、その後、最高ノイズ除去レベル525で処理され、最高ノイズ除去レベルでは、個々の低周波色平面画像がバイラテラルフィルタ530に供給されて、アップサイザ535によってアップサイズされる。アップサイザ535によってアップサイズされた色平面画像は、前の(1つ以上の)レベルからの高周波色平面画像(群)に加算される。3つ以上のレベルがある場合には、低周波色平面画像と高周波色平面画像のサイズを一致させるために、
図4のアップサイザ445と同様の追加のアップサイザ(図示せず)を設けてよい。結果として、ノイズフィルタリングされた色平面画像540が生成される。
【0062】
図6は、周波数スプリッタ420によって実行される周波数分離のための方法の詳細図を示している。
図6に示すように、青色平面画像240は、バイラテラルフィルタ415によって、第1レベルでバイラテラルフィルタリングされて、バイラテラルフィルタリングされた画像605として周波数スプリッタ420に供給される。バイラテラルフィルタリングされた画像605のいくつかの画素は、第1レベルの青色平面画像の低周波青色平面画像および高周波青色平面画像を取得するために、これらの画素が周波数スプリッタ420によってどのように処理されるかを示すために、BN1~BN18として番号付けされる。より高いレベルの周波数スプリッタは、同様に作用する。
【0063】
画素BN1~BN18は、ガウスフィルタリングされて、その結果、ガウスフィルタリングされた色平面画像610のガウスフィルタリングされた画素BN1’~BN18’が得られる。ガウスフィルタリングされた画素はグループ化されて、ガウスフィルタリングされた色平面画像610は、ガウスフィルタリングされた色平面画像610の4つの画素からなるグループの平均値を計算することにより、色平面画像615にダウンサイズされる。例えば、ダウンサイズされた画像615の画素BD1’は、ガウスフィルタリングされた色平面画像610の画素BN1’、BN2’、BN6’、およびBN7’の平均値を表す。同様に、ダウンサイズされた画像615の画素BD2’は、画素BN3’、BN4’、BN8’、およびBN9’の平均値を表す。画素BD1’、BD2’、BD6’、およびBD7’は、次のノイズ低減レベルに供給される第1レベルの低周波青色平面画像(LF画像)の画素である。
【0064】
第1レベルの高周波青色平面画像を生成するために、ダウンサイズされた画像615の画素BD1’、BD2’、BD6’、およびBD7’のそれぞれは、2回アップサイズされる、すなわち、アップサイズされた色平面画像620を生成するために、それらの画素は2回複製される。アップサイズされた色平面画像620の画素値は、バイラテラルフィルタリングされた画像605の画素値から減算されて、その結果、次のノイズ低減レベルに供給される第1レベルの高周波色平面画像(HF画像)が得られる。
【0065】
次に、(引き続き
図1、2、および3を参照するとともに)デジタル画像のノイズフィルタリングのための方法700のフローチャートを示す
図7を参照する。方法700は、画像プロセッサ130および342によって、各色平面画像に対して実行される。方法700は、画像プロセッサ130および342が、イメージセンサ110から画像プリバッファ120(または静止画像プリバッファ334)を介して、CFAパターンを有する色モザイクを含む画像フレームを受信するステップ710で開始する。方法700は、ステップ720に進んで、画像プロセッサ130および342によって、画像フレームを、複数の色平面のそれぞれについて少なくとも1つの色平面画像に、すなわち、赤色平面画像220、緑色平面画像230、および青色平面画像240に分解する。
【0066】
ステップ730で、その少なくとも1つの色平面画像のマルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングを実行することにより、その少なくとも1つの色平面画像におけるノイズを順次かつ個別に低減する。この方法は、ノイズフィルタリングされた画像フレームを生成するために、その少なくとも1つの色平面画像を再構成するステップ740で終了する。
【0067】
図1を再び参照して、メモリ150について、さらに詳細に説明する。本発明の例示的な一実施形態によれば、メモリ150は、コンピュータ実行可能命令を含むソフトウェアでコード化された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、コンピュータ実行可能命令は、画像プロセッサ130で実行されることで、画像プロセッサ130に、CFAパターンを有する色モザイクを含む画像フレームをイメージセンサ110から受信させ、その画像フレームを、複数の色平面のそれぞれについて少なくとも1つの色平面画像220、230、および240に分解させ、その少なくとも1つの色平面画像のマルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングを実行することにより、その少なくとも1つの色平面画像におけるノイズを順次かつ個別に低減させ、例えばノイズフィルタリングされた色平面画像405であるノイズフィルタリングされた画像フレームを生成するために、その少なくとも1つの色平面画像を再構成させる。画像プロセッサ130は、単一のプロセッサまたは複数のプロセッサとして実装されてよい。
【0068】
要するに、特に高周波帯域において、既存のノイズ除去方法よりも効果的な、デジタル画像のマルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタリングのための技術が提供される。マルチレベルアプローチは、残差周波数帯域からノイズを除去するのに効果的である。各画素においてノイズ除去をスケーリングすることによって、デジタル画像の暗部と明部における適切な量のノイズ除去が可能となる。ノイズフィルタリングされた画像フレームがデモザイク処理されるISPの前にマルチレベル・バイラテラル・ノイズフィルタを配置すると、デモザイク処理、または色補正処理の一部としてのチャネル混合のいずれかからの混合されたノイズよりも、CFA空間におけるノイズは相関が少ないので、より効率的なノイズフィルタリングを実施することができる。その結果、画像処理装置の全体的な機能性および結果として得られるフルカラー画像の品質を大幅に向上させることができる。
【0069】
上記の説明は、本発明の例示的な実施形態の説明であり、これに対して、添付の請求項で規定される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更および変形を実施し得ると理解される。