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特許7132377送金支援システム、送金支援方法及び送金支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】送金支援システム、送金支援方法及び送金支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/10 20120101AFI20220830BHJP
   G06Q 40/02 20120101ALI20220830BHJP
【FI】
G06Q20/10
G06Q40/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021021056
(22)【出願日】2021-02-12
(62)【分割の表示】P 2019164603の分割
【原出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021077417
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】592052416
【氏名又は名称】株式会社 みずほ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】阪上 彩子
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 初之
(72)【発明者】
【氏名】今田 千香子
【審査官】緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-159054(JP,A)
【文献】特開2005-115741(JP,A)
【文献】特開2018-151824(JP,A)
【文献】特開2007-052610(JP,A)
【文献】特表2018-517222(JP,A)
【文献】特開2011-095920(JP,A)
【文献】特開2003-006444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関名義の預金口座である送金元口座の口座識別子からなる通過識別子、顧客識別子を関連付けて記憶した通過情報記憶部と、
海外金融機関システムと通信を行なう銀行ホストシステム、支払人のユーザ端末に接続された制御部とを備えた送金支援システムであって、
前記制御部が、
前記ユーザ端末から、支払人から送金された資金を一時的に保存する預金口座の通過識別子及び複数の受取人口座を特定するための情報毎の支払金額に関する情報を含む支払データを受信し、
前記通過情報記憶部を用いて、前記支払データに含まれる通過識別子に関連付けられた顧客識別子を特定し、
前記海外金融機関システムから、前記通過識別子を含む入金データを受信した前記銀行ホストシステムに対して、前記入金データに対応した送金目的に基づいて、前記通過識別子に対応した送金元口座の残高を用いて、前記通過情報記憶部の前記顧客識別子を支払人名として設定した複数の振込電文を生成し、前記支払データに含まれる各受取人口座に対する振込指示を行なうことを特徴とする送金支援システム。
【請求項2】
前記制御部が、
前記送金元口座の残高と、前記支払データに含まれる支払金額とを比較し、
前記支払金額に対して残高不足の場合には、前記通過識別子に関連付けられた顧客のユーザ端末に連絡することを特徴とする請求項1に記載の送金支援システム。
【請求項3】
前記通過情報記憶部には、通過識別子に関連付けて返金条件を記録し、
前記制御部が、前記支払データに応じた振込処理の処理結果に応じて、前記返金条件に基づいて返金処理を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の送金支援システム。
【請求項4】
前記返金条件には、送金元口座の残高に関する情報が含まれており、
前記制御部が、前記送金元口座の残高を特定し、前記残高に応じて返金処理を実行することを特徴とする請求項3に記載の送金支援システム。
【請求項5】
金融機関名義の預金口座である送金元口座の口座識別子からなる通過識別子、顧客識別子を関連付けて記憶した通過情報記憶部と、
海外金融機関システムと通信を行なう銀行ホストシステム、支払人のユーザ端末に接続された制御部とを備えた送金支援システムを用いて、送金を支援する方法であって、
前記制御部が、
前記ユーザ端末から、支払人から送金された資金を一時的に保存する預金口座の通過識別子及び複数の受取人口座を特定するための情報毎の支払金額に関する情報を含む支払データを受信し、
前記通過情報記憶部を用いて、前記支払データに含まれる通過識別子に関連付けられた顧客識別子を特定し、
前記海外金融機関システムから、前記通過識別子を含む入金データを受信した前記銀行ホストシステムに対して、前記入金データに対応した送金目的に基づいて、前記通過識別子に対応した送金元口座の残高を用いて、前記通過情報記憶部の前記顧客識別子を支払人名として設定した複数の振込電文を生成し、前記支払データに含まれる各受取人口座に対する振込指示を行なうことを特徴とする送金支援方法。
【請求項6】
金融機関名義の預金口座である送金元口座の口座識別子からなる通過識別子、顧客識別子を関連付けて記憶した通過情報記憶部と、
海外金融機関システムと通信を行なう銀行ホストシステム、支払人のユーザ端末に接続された制御部とを備えた送金支援システムを用いて、送金を支援するプログラムであって、
前記制御部を、
前記ユーザ端末から、支払人から送金された資金を一時的に保存する預金口座の通過識別子及び複数の受取人口座を特定するための情報毎の支払金額に関する情報を含む支払データを受信し、
前記通過情報記憶部を用いて、前記支払データに含まれる通過識別子に関連付けられた顧客識別子を特定し、
前記海外金融機関システムから、前記通過識別子を含む入金データを受信した前記銀行ホストシステムに対して、前記入金データに対応した送金目的に基づいて、前記通過識別子に対応した送金元口座の残高を用いて、前記通過情報記憶部の前記顧客識別子を支払人名として設定した複数の振込電文を生成し、前記支払データに含まれる各受取人口座に対する振込指示を行なう手段として機能させることを特徴とする送金支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海外からの送金を支援するための送金支援システム、送金支援方法及び送金支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
海外の銀行から、国内の顧客宛の支払指図を送金電文により受信する場合、送金銀行のコルレス口座から送金金額を引き落とし、顧客口座に入金する。このような被仕向送金においては、国際標準化機構によって標準化されたフォーマットを用いて作成された送金電文を、国際銀行間通信システム(SWIFT(登録商標):The Society for Worldwide Interbank Financial Tele-communication)を介して受信する(例えば、特許文献1参照)。この技術では、仕向側の送金サーバは、顧客から海外送金に必要な情報を受信すると、必要事項を元に送金電文を生成する。そして、生成した送金電文に基づいて、SWIFTネットワークを経由して、被仕向側の送金サーバに送信する。被仕向側の送金サーバは、受信した送金電文を解読し、送金電文に含まれる送金情報に基づいて、送金先の被仕向側の顧客口座への入金処理を実行する。被仕向側の送金サーバは、入金処理が完了すると、SWIFTネットワークとは別の行内ネットワーク経由で、国、地域ごとの金融機関の拠点のシステム間のデータ連携のハブとなるデータ連携サーバに入金処理完了通知を送信する。これを受けてデータ連携サーバは、上記の行内ネットワーク経由で、受信した入金処理完了通知を仕向側である送金サーバへ送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-122265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
国内金融機関に口座を保有している企業の場合には、この口座から、国内の受取人に対して、口座振込を行なうことができる。一方、国内に口座を保有しない海外企業が、国内の受取人に支払を行なう場合、外国為替送金を用いる必要がある。この場合、外国為替送金における負担が大きい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する送金支援システムは、通過識別子、顧客識別子を関連付けて記憶した通過情報記憶部と、海外金融機関システムと通信を行なう銀行ホストシステム、ユーザ端末に接続された制御部とを備える。そして、前記制御部が、前記海外金融機関システムから、通過識別子を含む入金データを受信し、前記ユーザ端末から、前記通過情報記憶部を用いて、前記支払データに含まれる通過識別子に関連付けられた顧客識別子を特定し、前記海外金融機関システムから、前記通過識別子を含む入金データを受信した前記銀行ホストシステムに対して、前記通過情報記憶部において、前記入金データに対応した送金目的に基づいて、前記通過識別子に対応した送金元口座から、前記顧客識別子を支払人名として設定して、前記支払データに含まれる受取人口座に対する振込指示を行なう。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、国内金融機関に口座を有さない在外者から、国内在住者に対して、効率的かつ的確な送金を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態のシステム概略図。
図2】ハードウェア構成例の説明図。
図3】本実施形態で用いるデータの説明図であって、(a)は通過情報記憶部、(b)は支払情報記憶部、(c)は入金情報記憶部の説明図。
図4】本実施形態の処理手順の説明図。
図5】本実施形態の処理手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図5を用いて、送金支援システム、送金支援方法及び送金支援プログラムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、海外金融機関から送金依頼を受け取り、国内の受取人が保有する口座に入金するサービスを提供する場合を想定する。
【0009】
図1に示すように、本実施形態の送金支援方法においては、ネットワークを介して相互に接続された海外金融機関システム10、ユーザ端末15、管理サーバ20、銀行ホストシステム30を用いる。
【0010】
(ハードウェア構成例)
図2は、海外金融機関システム10、ユーザ端末15、管理サーバ20、銀行ホストシステム30等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
【0011】
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶部H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
【0012】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースカードや無線インタフェース等である。
【0013】
入力装置H12は、利用者等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
【0014】
記憶部H14は、海外金融機関システム10、ユーザ端末15、管理サーバ20、銀行ホストシステム30の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置(例えば、後述する通過情報記憶部22、支払情報記憶部23、口座情報記憶部32、入金情報記憶部33)である。記憶部H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0015】
プロセッサH15は、記憶部H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、管理サーバ20、銀行ホストシステム30等として機能する情報処理装置H10における各処理(例えば、後述する制御部21における処理)を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、海外金融機関システム10、ユーザ端末15、管理サーバ20、銀行ホストシステム30のアプリケーションプログラムが起動された場合、後述する各処理を実行するプロセスを動作させる。
【0016】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行うものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、(1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは(3)それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0017】
(各情報処理装置の機能)
図1に示す海外金融機関システム10は、送金を行なうために海外金融機関が保有するコンピュータシステムである。この海外金融機関システム10は、SWIFTネットワークを介して、銀行ホストシステム30に接続される。
【0018】
ユーザ端末15は、送金依頼を行なう顧客が保有するコンピュータ端末である。このユーザ端末15は、インターネット等のネットワークを介して、管理サーバ20に接続される。
【0019】
管理サーバ20は、海外の送金人から国内の受取人への送金サービスを支援するコンピュータシステムである。この管理サーバ20は、制御部21、通過情報記憶部22、支払情報記憶部23を備える。
【0020】
制御部21は、送金支援プログラムを実行することにより、支払管理部211、返金管理部212として機能する。
支払管理部211は、ユーザ端末15から、インターネットを介して、支払データを受信し、振込を行なう処理を実行する。
返金管理部212は、海外金融機関システム10への返金を管理する処理を実行する。
【0021】
図3(a)に示すように、通過情報記憶部22には、入金データと支払データとを関連付ける口座を管理するための通過管理レコード220が記録される。この通過管理レコード220は、通過口座が設定された場合に記録される。通過管理レコード220には、通過識別子、顧客名、送金目的、返金条件に関する情報が記録される。
【0022】
通過識別子データ領域には、海外の支払人から送金された資金を一時的に保存する口座を特定するための識別子(銀行識別子、本支店識別子、預金種別識別子、口座番号)に関するデータが記録される。本実施形態では、この通過口座として、自行名義の普通預金口座を用いる。
【0023】
顧客名データ領域には、この通過口座を利用する海外顧客を特定するための名称(顧客識別子)に関するデータが記録される。
送金目的データ領域には、この通過口座を利用する送金の目的に関するデータが記録される。この送金目的は、「海外」からの送金において管理が必要な送金目的が記録される。
【0024】
返金条件データ領域には、この支払人に返金を行なう条件に関するデータが記録される。返金条件には、返金要否を判断するための要素が含まれる。この要素としては、例えば、振込不能件数、振込不能金額、返金を行なう時期、返金額の算出方法等を用いることができる。
【0025】
図3(b)に示すように、支払情報記憶部23には、ユーザ端末15から、インターネットを介して受信した支払データに関する支払管理レコード230が記録される。支払管理レコード230は、支払データを受信した場合に記録される。支払管理レコード230には、通過識別子、受取人口座、支払金額、連絡先、送金結果に関するデータが記録される。
【0026】
通過識別子データ領域には、海外の支払人からの送金を包括的に特定するための識別子に関するデータが記録される。本実施形態では、通過口座の口座識別子を用いる。
受取人口座データ領域には、受取人の口座を特定するための識別子(銀行識別子、本支店識別子、預金種別識別子、口座番号)に関するデータが記録される。
【0027】
支払金額データ領域には、受取人口座に入金する金額に関するデータが記録される。
連絡先データ領域には、この支払人のユーザ端末15の連絡先(アドレス)に関するデータが記録される。
【0028】
送金結果データ領域には、この支払に関する送金結果を特定するためのフラグが記録される。送金を完了した場合には、完了年月日が記録され、通過口座の残高不足により送金できなかった場合には、残高不足フラグが記録される。また、受取人口座を特定できなかった場合には、振込不能フラグが記録される。
【0029】
銀行ホストシステム30は、金融機関の顧客(支払人や受取人)の口座を管理する国内金融機関のコンピュータシステムである。この金融機関には、自行のみならず、他行も含まれる。この銀行ホストシステム30は、制御部31、口座情報記憶部32、入金情報記憶部33を備える。
【0030】
制御部31は、口座処理プログラムを実行することにより、口座管理部311、入金管理部312として機能する。
口座管理部311は、銀行に開設された口座を管理する処理を実行する。
入金管理部312は、海外金融機関システム10から、SWIFTネットワークを介して、入金データ等を送受信する処理を実行する。
【0031】
口座情報記憶部32には、金融機関に開設された口座を管理するための口座管理情報が記録される。この口座管理情報には、口座識別子、口座名義人、残高、入出金履歴が記録される。
【0032】
口座識別子データ領域には、金融機関に開設された口座を特定するための識別子(銀行識別子、本支店識別子、預金種別識別子、口座番号)に関するデータが記録される。本実施形態では、金融機関に開設された口座の中には通過口座も含まれる。
口座名義人データ領域には、この口座の名義人(支払人や受取人)を特定するための識別子に関するデータが記録される。本実施形態では、通過口座は銀行名義とする。
残高データ領域には、この口座の残高に関するデータが記録される。
入出金履歴データ領域には、この口座への入金や、この口座からの出金の履歴情報が記録される。
【0033】
図3(c)に示すように、入金情報記憶部33には、海外金融機関システム10から、SWIFTネットワークを介して受信した入金データに関する入金管理レコード330が記録される。入金管理レコード330は、入金データを受信した場合に記録される。入金管理レコード330には、送金元口座、送金先口座、送金金額、送金目的に関するデータが記録される。
【0034】
送金元口座データ領域には、海外金融機関システム10からの送金元の口座を特定するための識別子に関するデータが記録される。
送金先口座データ領域には、海外金融機関システム10からの送金先の口座を特定するための識別子に関するデータが記録される。
送金金額データ領域には、海外の支払人から送金された金額に関するデータが記録される。
送金目的データ領域には、この送金の目的に関するデータが記録される。
【0035】
(支払管理処理)
次に、図4を用いて、支払管理処理を説明する。通過口座を利用する場合には、銀行ホストシステム30において、支払人及び送金目的に応じて、銀行名義の通過口座を開設する。そして、管理サーバ20において、通過識別子、顧客名、送金目的、返金条件を記録した通過管理レコード220を生成し、通過情報記憶部22に記録する。
【0036】
まず、銀行ホストシステム30の制御部31は、振込代り金の入金処理を実行する(ステップS1-1)。具体的には、制御部31の入金管理部312は、SWIFTネットワークを介して、入金データを受信する。この入金データには、SWIFTフォーマットに従って、送金元口座、送金先口座、送金金額、送金目的に関するデータが含まれる。なお、入金データには、送金目的を含まない場合もある。そして、入金管理部312は、入金データに含まれる情報を記録した入金管理レコード330を生成し、入金情報記憶部33に記録する。次に、口座管理部311は、送金先口座へ、送金金額の入金のための処理を行なう。本サービスを利用する場合には、送金先口座としての通過口座に入金される。
【0037】
また、管理サーバ20の制御部21は、送金目的に応じた支払データの受信処理を実行する(ステップS1-2)。具体的には、制御部21の支払管理部211は、インターネットを介して、支払データを受信する。この支払データには、通過識別子、受取人口座、支払金額に関するデータが含まれる。複数の受取人が存在する複数の支払(例えば、数千件)の場合には、受取人口座毎に支払金額を設定しておく。そして、支払管理部211は、支払データに含まれる情報を記録した支払管理レコード230を生成し、支払情報記憶部23に記録する。この段階では、支払管理レコード230の送金結果データ領域は空欄とする。
【0038】
次に、管理サーバ20の制御部21は、支払毎に以下の処理を繰り返す。
ここでは、管理サーバ20の制御部21は、通過口座の特定処理を実行する(ステップS1-3)。具体的には、制御部21の支払管理部211は、支払管理レコード230に含まれる通過識別子を用いて、通過口座を特定する。
【0039】
次に、管理サーバ20の制御部21は、通過口座の残高チェック処理を実行する(ステップS1-4)。具体的には、制御部21の支払管理部211は、特定した通過口座の残高を、銀行ホストシステム30から取得する。
【0040】
次に、管理サーバ20の制御部21は、残高は十分かどうかについての判定処理を実行する(ステップS1-5)。具体的には、制御部21の支払管理部211は、通過口座の残高と、支払管理レコード230に含まれる支払金額とを比較する。そして、残高が支払金額以上の場合には、残高は十分と判定する。
【0041】
残高は十分と判定した場合(ステップS1-5において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、振込電文の作成処理を実行する(ステップS1-6)。具体的には、制御部21の支払管理部211は、通過情報記憶部22から、通過識別子の通過管理レコード220に記録された顧客名を取得する。そして、支払管理部211は、国内送金のための振込電文を生成する。この振込電文には、仕向口座欄には通過口座の口座識別子、振込人欄には顧客名、被仕向口座欄には受取人口座の識別子、振込金額欄には支払金額を設定する。そして、支払管理部211は、作成した振込電文を銀行ホストシステム30に送信する。これにより、銀行ホストシステム30は、送金処理を実行する。
【0042】
次に、管理サーバ20の制御部21は、振込結果の記録処理を実行する(ステップS1-7)。具体的には、制御部21の支払管理部211は、銀行ホストシステム30から、振込結果を取得する。この振込結果には、受取人口座への振込完了又は振込不能を特定するための情報が含まれる。振込結果に振込完了情報が含まれる場合には、支払管理部211は、支払管理レコード230の送金結果データ領域に完了日を記録する。一方、振込不能情報が含まれる場合には、支払管理部211は、支払管理レコード230の送金結果データ領域に、振込不能フラグを記録する。
【0043】
一方、残高が送金金額未満のため、残高が十分でないと判定した場合(ステップS1-5において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、エラー処理を実行する(ステップS1-8)。具体的には、制御部21の支払管理部211は、支払管理レコード230の送金結果データ領域に、残高不足フラグを記録する。
管理サーバ20の制御部21は、以上の処理を、支払毎に繰り返す。
【0044】
次に、管理サーバ20の制御部21は、振込結果データの返信処理を実行する(ステップS1-9)。具体的には、制御部21の支払管理部211は、支払情報記憶部23から、通過識別子が記録された支払管理レコード230の送金結果を取得する。そして、支払管理部211は、受取人口座識別子に関連付けて送金結果を記録した振込結果データを生成する。なお、支払データに、複数の受取人に対する複数の支払が含まれる場合には、まとめて振込結果データを生成する。そして、支払管理部211は、支払人のユーザ端末15のアドレスを特定し、振込結果データを送信する。なお、振込結果データの返信は、支払人のアドレスに対して送信する場合に限定されるものではない。例えば、特定のサーバに振込結果データをアップロードして、受取人の認証処理後に、ダウンロードできるようにしてもよい。
【0045】
(返金管理処理)
次に、図5を用いて、返金管理処理を説明する。
まず、管理サーバ20の制御部21は、支払状況の特定処理を実行する(ステップS2-1)。具体的には、制御部21の返金管理部212は、支払情報記憶部23において、支払が行なわれていない支払管理レコード230を検索する。ここでは、支払情報記憶部23において、振込不能フラグが記録された支払管理レコード230を特定する。
【0046】
次に、管理サーバ20の制御部21は、返金要否判断処理を実行する(ステップS2-2)。具体的には、制御部21の返金管理部212は、通過情報記憶部22から、返金条件を取得する。そして、返金管理部212は、返金条件を判断するための要素を特定し、この要素に関わる状況情報を取得する。要素として振込不能件数が設定されている場合には、支払不能フラグが記録された支払管理レコード230のレコード数を算出する。要素として振込不能金額が設定されている場合には、支払不能フラグが記録された支払管理レコード230の支払金額の合計額を算出する。要素として返金時期が設定されている場合には、現在年月日と比較する。
【0047】
次に、管理サーバ20の制御部21は、返金が必要かどうかについての判定処理を実行する(ステップS2-3)。具体的には、制御部21の返金管理部212は、状況情報が返金条件を満足する場合には、返金が必要と判定する。
【0048】
返金が必要と判定した場合(ステップS2-3において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、振込不能の残高の返金処理を実行する(ステップS2-4)。具体的には、制御部21の返金管理部212は、返金条件に応じて返金額を算出し、通過口座の残高についての送金指示を銀行ホストシステム30に送信する。この場合、制御部31の入金管理部312は、支払人口座に送金する。
【0049】
一方、状況情報が返金条件を満足せず、返金は不要と判定した場合(ステップS2-3において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、振込不能の残高の返金処理(ステップS2-4)をスキップして、返金管理処理を終了する。
【0050】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、通過情報記憶部22には、入金データと支払データとを関連付ける口座を管理するための通過管理レコード220が記録される。この通過管理レコードには、通過識別子、顧客名、送金目的、返金条件に関する情報が記録される。海外の支払人は、この通過識別子を用いて、国内の受取人に支払いを行なうことができる。従って、支払人が、国内の金融機関に口座を保有する手間を省くことができる。更に、通過口座は、支払人及び送金目的毎に設定されるため、異なる支払人や送金目的を区別して的確に管理することができる。
【0051】
(2)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、通過口座の特定処理を実行する(ステップS1-3)。管理サーバ20の制御部21は、残高は十分かどうかについての判定処理を実行する(ステップS1-5)。残高は十分と判定した場合(ステップS1-5において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、振込電文の作成処理を実行する(ステップS1-6)。これにより、一つの入金データにより受け取った資金について、支払データを用いて、複数の受取人に対して送金を行なうことができる。
【0052】
(3)本実施形態では、支払管理部211は、国内送金のための振込電文を生成する。この振込電文には、仕向口座欄には通過口座の口座識別子、振込人欄には顧客名、被仕向口座欄には受取人口座の識別子、振込金額欄には支払金額を設定する。これにより、通過口座を用いながら、海外の顧客名で振込を行なうことができる。
【0053】
(4)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、振込結果データの返信処理を実行する(ステップS1-9)。これにより、支払人は支払状況を把握することができる。
【0054】
(5)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、返金要否判断処理を実行する(ステップS2-2)。これにより、返金条件に応じて、支払人に返金を行なうことができる。例えば、支払に対して多額の口座残高が維持されている場合には、状況に応じて返金を行なうことができる。また、受取人口座の不備により、振込をできない場合にも、支払人に対して、状況に応じて、効率的に返金を行なうことができる。
【0055】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、通過識別子として、海外の支払人から送金された資金を一時的に保存する口座を特定するための識別子を用いる。通過識別子は、通過口座の口座識別子に限定されるものではない。例えば、各入金を送金目的毎に特定できる識別子を用いて、送金元口座を特定してもよい。
【0056】
・上記実施形態では、通過口座として、自行名義の普通預金口座を用いるが、名義人や預金種別はこれに限定されるものではない。
・上記実施形態では、振込不能と判定した場合(ステップS2-1において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、返金要否判断処理を実行する(ステップS2-2)。返金方法は、これに限定されるものではない。例えば、振込不能の発生毎に支払人に返金の要否を確認するようにしてもよい。
【0057】
・上記実施形態では、通過情報記憶部22の通過管理レコード220には、通過識別子、顧客名、送金目的、返金条件に関する情報が記録される。通過情報記憶部22に記録される情報は、これらに限定されるものではない。例えば、送金目的や返金条件を通過情報記憶部22に記録しないようにしてもよい。この場合には、管理サーバ20の制御部21は、送金目的に限定されることなく、通過口座に入金を行なう。そして、管理サーバ20の制御部21は、受取人から送金目的を取得し、この送金目的に応じて送金を行なう。また、返金条件についても、送金人から要請があった場合に返金するようにしてもよい。
また、返金条件として、通過口座の口座残高を用いてもよい。例えば、通過口座の口座残高が基準額以上で、所定期間、維持されている場合には、返金してもよい。また、送金結果データ領域が空欄や残高不足フラグが記録された未支払の支払管理レコード230を特定し、未支払の支払金額の合計額と口座残高との差額が基準額以上を返金条件として用いてもよい。
【0058】
・上記実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、通過口座の残高チェック処理(ステップS1-4)、残高は十分かどうかについての判定処理(ステップS1-5)を実行する。そして、残高は十分と判定した場合(ステップS1-5において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、振込電文の作成処理を実行する(ステップS1-6)。これに代えて、管理サーバ20の制御部21が、通過口座の残高チェック処理を行なうことなく、振込電文の作成処理(ステップS1-6)を実行するようにしてもよい。そして、通過口座の残高不足の場合には、銀行ホストシステム30から残高不足による振込不能情報を取得する。
【符号の説明】
【0059】
10…海外金融機関システム、15…ユーザ端末、20…管理サーバ、21…制御部、211…海外送金部、212…支払管理部、22…通過情報記憶部、23…支払情報記憶部、30…銀行ホストシステム、31…制御部、311…口座管理部、312…入金管理部、32…口座情報記憶部、33…入金情報記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5