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特許7132379一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造
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  • 特許-一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造 図1
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  • 特許-一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造 図3
  • 特許-一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/04 20060101AFI20220830BHJP
   B63B 3/28 20060101ALI20220830BHJP
   B63B 3/56 20060101ALI20220830BHJP
   B63B 11/02 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B63B25/04 A
B63B3/28
B63B3/56
B63B11/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021026960
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000146814
【氏名又は名称】株式会社新来島どっく
(74)【代理人】
【識別番号】100090044
【弁理士】
【氏名又は名称】大滝 均
(72)【発明者】
【氏名】宗近 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 悠生
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-044696(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0229832(US,A1)
【文献】実開平06-085191(JP,U)
【文献】実開平06-008186(JP,U)
【文献】登録実用新案第3065562(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/04
B63B 3/28
B63B 3/56
B63B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般貨物船の倉内船側側に数段に渡り配置される縦桁面材及び/又は横桁面材上に面幅で、かつ、船側側先端が、横桁の船側側下方曲面に向かって先細りする半四角錐形状の片傾斜及び/又は両傾斜の斜板を有することを特徴とする一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の一般貨物船における積載貨物等が外板や骨、肘板に対する付着防止に関する技術としては、例えば、実用新案登録第3051184号公報に開示のものが知られている。
【0003】
実用新案登録第3051184号公報の開示は、考案名称「バルクキャリアの船体構造」に係り、「船側の二重化と貨物倉数の減少ならびに燃料タンクの二重船殻化を見出し、浸水後の残存能力を増し、損傷原因を排除すると共に、構造重量の削減を図り、荷役時の操作を減じ、かつ外板損傷時における重油の流出を防ぎ、環境汚染防止を強化することを目的とする」考案の解決課題において(同公報明細書段落番号0007参照)、「船倉断面で底部中央に二重タンク構造、底部両側にホッパータンクと、上甲板下部両側にトップサイドタンクを有し、下部ホッパータンクと上部トップサイドタンクとを夫々船側板で結合してなるバルクキャリアにおいて、貨物倉を5枚の壁により6つの船倉に分割形成し、該貨物倉の船側を二重船殻構造として、その内壁の小骨を二重船殻内に設け、内面を平滑ならしめると共に、ハッチコーミングを傾斜させることによりトップサイドタンクを小形化してなる」構成とすることにより(同公報実用新案登録請求の範囲請求項1の記載等参照)、「・・・貨物倉を二重船殻構造としたことにより、単に構造の補強によって浸水後の残存能力を増すのではなく、損傷原因を排除することで根本的に構造部材の大規模損傷の防止をはかり、本質安全構造化を達成すると共に、船倉の側面を平滑ならしめることにより荷溜まりを解消し、人手による貨物の荷縛り作業を大幅に緩和し、荷役作業の短縮化により運航効率の向上をはかる顕著な効果を有している。・・・構造重量の削減を図り、安価な船舶の提供を可能とすると共に、ハッチカバーも少なくて済み、装置のメインテナンスや荷役操作の簡略化をはかることができ、更に・・従来、デッドスペースになっていた隆起用板下の面積を減ぜしめ、実質容積の増加で二重船殻化で減じられた容積を回復することができる利点もあり、その上、燃料タンクの二重船殻、大型化により万一の外板損傷時の重油の流出を防ぎ、海洋汚染防止を強化することができると共に、従来の燃料タンクに比し断熱性を良好ならしめ、荷物への熱損傷を防止する効果も有して、全体として本考案は従来構造に対する規制強化を適用する必要なく、それによる鋼材費用増加と同等な費用をもって船の機能を高める格段の効果が期待される」等の効果を奏するものである(同公報明細書段落番号0019,0020参照)。
【0004】
しかしながら、実用新案登録第3051184号公報に開示の考案は、積載貨物の付着防止に関するものではあるが、穀類等の粉状又は粒状貨物が船倉の桁材の上面に溜まることを防止するものではない。すなわち、穀類等の粉状又は粒状貨物を積載する一般貨物船は、図3に示すように桁と面材で構成された構造となっていた。
【0005】
図3(a)(b)(c)は、本願出願人がこれまで採用する一般貨物船の船倉構造の概略を示す図であり、図3(a)は、本願出願人が採用する一般貨物船の貨物倉側部の一部横断面図、図3(b)は、同図3(a)におけるA方向断面図、図3(c)は、同B方向断面図である。図3(a)は、貨物倉側部の一部横断面を示すものであるので、下記の示す縦桁は船側に沿って数十本配置され、一般貨物船の貨物倉を構成する。
【0006】
図3(a)(b)(c)において、符号100は、本願出願人が採用する一般貨物船の船倉構造、101は、船側外板、102は、甲板、103aは、上部縦桁、103bは、下部縦桁、104aは、上部横桁、104bは、下部横桁、105は、船倉壁、106aは、上部縦桁面材、106bは、下部縦桁面材、107aは、上部横桁面材、107bは、下部横桁面材である。なお、「縦桁」とは、船長方向に掛け渡される桁材といい、「横桁」とは、これと直角に船幅方向に掛け渡される桁材をいい、上部横桁面材107a、下部横桁面材107bとして説明したが、図3(a)は、貨物倉側部の一部横断面を示したに過ぎず、実際上は、下に数段に渡り配置される横桁面材107の2箇所の例を示すにすぎない。
【0007】
また、図4(a)は、本願出願人が採用する一般貨物船の船倉構造100における上部縦桁103a及び上部縦桁面材106aの断面図であり、図4(b)は、同本願出願人が採用する一般貨物船の船倉構造100における上部横桁104a及び上部横桁面材107aの断面図であり、図4(c)は、同本願出願人が採用する一般貨物船の船倉構造100における下部縦桁103b及び下部縦桁面材106bの断面図であり、図4(d)は、同本願出願人が採用する一般貨物船の船倉構造100における下部横桁104b及び下部横桁面材107bの断面図である。図4(a)(b)(c)(d)において、108aは、本願出願人が採用する一般貨物船の船倉構造100の上部縦桁面材106a及び上部横桁面材107a上に堆積する荷溜まり、108bは、本願出願人が採用する一般貨物船の船倉構造100の下部縦桁面材106b及び下部横桁面材107b上に堆積する荷溜まりである。
【0008】
図4(a)(b)(c)(d)に示すように、一般貨物船において、穀類等の粉状又は粒状の荷物を積む際には、前記上部縦桁面材106a、上部横桁面材107a、下部縦桁面材106b、下部横桁面材107bの上に荷溜り108a、108bが生じ、荷役後も当該箇所から荷溜まり108a、108bを取り除く等の作業を強いられるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実用新案登録第3051184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、一般貨物船において、貨物倉内の横桁面材上に荷溜まりを生じることがなく、荷役に際し荷溜まりを取り除く作業等を強いられることがない一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本願請求項1に係る発明は、一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造において、一般貨物船の倉内船側側に数段に渡り配置される縦桁面材及び/又は横桁面材上に面幅で、かつ、船側側先端が、横桁の船側側下方曲面に向かって先細りする半四角錐形状の片傾斜及び/又は両傾斜の斜板を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記のような構成としたので、一般貨物船に穀類等の粉状又は粒状の荷物を積む際にも、縦桁及び/又は横桁の面材の上に荷溜りが生じることがなく、また、荷役の際にも当該箇所から荷溜まりを取り除く等の作業を強いられることがないという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(a)(b)(c)は、本発明に係る一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造の実施例1を示す図であり、図1(a)は、本実施例1に係る一般貨物船の貨物倉側部の横断面図、図1(b)は、図1(a)におけるA方向断面図、図1(c)は、同B方向断面図であり、上述する図3(a)(b)(c)に対応する図である。
図2図2(a)(b)(c)(d)は、本実施例1に係る一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造1における上部斜板2、上部縦桁斜板3、下部斜板4、下部縦桁斜板5の断面図である。
図3図3(a)(b)(c)は、本願出願人がこれまで採用する一般貨物船の船倉構造の概略を示す図であり、図3(a)は、本願出願人が採用する一般貨物船の貨物倉側部の横断面図、図3(b)は、同図3(a)にけるA方向断面図、図3(c)は、同B方向断面図である。
図4図4(a)は、本願出願人が採用する一般貨物船の船倉構造100における上部縦桁103a及び上部横桁面材107aの断面図であり、図4(b)は、同本願出願人が採用する一般貨物船の船倉構造100における上部横桁104a及び上部横桁面材107aの断面図であり、図4(c)は、同本願出願人が採用する一般貨物船の船倉構造100における下部縦桁103b及び下部縦桁面材106bの断面図であり、図4(d)は、同本願出願人が採用する一般貨物船の船倉構造100における下部横桁104b及び下部横桁面材107bの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造を実施するための一実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1(a)(b)(c)は、本発明に係る一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造の実施例1を示す図であり、図1(a)は、本実施例1に係る一般貨物船の貨物倉側部の横断面図、図1(b)は、図1(a)におけるA方向断面図、図1(c)は、同B方向断面図であり、上述する図3(a)(b)(c)に対応する図であり、本実施例1に係る一般貨物船の貨物倉側部も図3に示したのと同様実際上は、下に数段に渡り配置される横桁面材107の2箇所の例を示している。
【0016】
図1(a)(b)(c)において、符号1は、本実施例1に係る一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造、2は、本実施例1に係る一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造1における上部斜板であり、2aは上部斜板の塞ぎ板で、上記斜板2の内部に荷溜まりが生じないようにする塞ぎ板であり、3は、上部縦桁斜板、4は、本実施例1に係る一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造1における下部斜板、5は、下部縦桁斜板である。その余の符号は、船側外板101等図3(a)(b)(c)で示した同じ部材であり、同じ符号で示し、その詳しい説明は省略する。
【0017】
また、図2(a)(b)(c)(d)は、本実施例1に係る一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造1における上部斜板2、上部縦桁斜板3、下部斜板4、下部縦桁斜板5の断面図であり、符号は図1(a)(b)(c)に示したのと同じ部材は同じ符号で示している。
本実施例1に係る一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造1における上部縦桁斜板3は、図1(b)、図2(a)から明らかなように、上部縦桁面材106a上の船側側一側部に下に広がる所定の片傾斜構造であり、上部斜板2は、図1(b)、図2(b)から明らかなように、上部横桁面材107a上の両側部に下に広がる面幅の所定の両傾斜構造としたものである。また、本実施例1に係る一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造1における下部縦桁斜板5は、図1(c)、図2(c)から明らかなように、下部縦桁面材106b上の船側側一側部に下に広がる所定の片傾斜構造であり、下部斜板4は図1(c)、図2(d)から明らかなように、前記下部横桁面材107b上の船尾側一側部に下に広がる所定の片傾斜構造である。
【0018】
本実施例1に係る一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造1においては、図1(b)(c)、図2(a)(b)(c)(d)から明らかなように、一般貨物船の倉内の上部縦桁面材106aの船側側一側部に下に広がる所定の片傾斜構造、倉内の上部横桁面材107aの両側部の面幅で下に広がる所定の両傾斜構造とし、また、倉内の下部縦桁面材106bの下部縦桁面材106bの船側側一側部に下に広がる所定の片傾斜構造、倉内の下部横桁面材107bの船尾側一側部に下に広がる所定の片傾斜構造である。
すなわち、本実施例1に係る一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造1の上部斜板3について、船側側の下に広がる片傾斜構造としたのは、上部縦桁103aに接合される上部縦桁面材106aが断面L字状で船側側に突き出して配置されているからであり、上部斜板2について、両傾斜構造としたのは上部横桁104aに接合される上部横桁面材107aがT字状で船首尾側に突き出して配置されているからであり、斜板5について船側側に広がる片傾斜構造としたのは、下部横桁103bに接合される下部縦桁面材103bが断面L字状で船側側に突き出して配置されているからであり、斜板4について船尾側の下に広がる片傾斜構造としたのは下部縦桁に接合される下部横桁面材107bが断面L字状で船尾側に突き出して配置されているからである。
【0019】
また、本実施例1に係る一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造1の上部斜板2は、図1(a)(b)(c)から明らかなように、船側側で上部横桁104aの下方曲がりに連なり、当該箇所で荷溜まりが生じないように、所定の角度で下方傾斜の構造となっている。すなわち、本実施例1に係る一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造1の上部斜板2の船側側先端は、先細りする半四角錐形状としている。
【0020】
このような構造としたので、本実施例1に係る一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造1は、一般貨物船に穀類等の粉状又は粒状の荷物を積む際にも、上部縦桁面材106a、上部横桁面材107a、下部縦桁面材106b、下部横桁面材107bの上に荷溜りが生じることがなくなり、また、荷役の際にも、荷溜まりを取り除く等の作業を強いられることがなくなる。
換言すれば、上部縦桁面材106aに上部縦桁斜板3、上部横桁面材107a上に上部斜板2、下部縦桁面材106bに下部縦桁斜板5、下部横桁面材107b上に下部斜板4を取り付けることで、上部縦桁面材106a、上部横桁面材107a、下部縦桁面材106b、下部横桁面材107bの部分への荷溜りを防止することができ、非常に使い勝手の良い船(一般貨物船)とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造に利用される。
【符号の説明】
【0022】
1 実施例1に係る一般貨物船における倉内荷溜まり防止船殻構造
2 上部斜板
2a 上部斜板の塞ぎ板
3 上部縦桁斜板、
4 下部斜板
5 下部縦桁斜板
100 本願出願人が採用する一般貨物船の船倉構造
101 船側外板
102 甲板
103a 上部縦桁
103b 下部縦桁
104a 上部横桁
104b 下部横桁
105 船倉壁
106a 上部縦桁面材
106b 下部縦桁面材
107a 上部横桁面材
107b 下部横桁面材
108a、108b 荷溜り
【要約】      (修正有)
【課題】貨物倉内の横桁面材上に荷溜まりを生じることがなく、荷役に際し荷溜まりを取り除く作業等を強いられることがない一般貨物船における倉内荷溜り防止船殻構造を提供する。
【解決手段】一般貨物船の倉内船側側に数段に渡り配置される縦桁面材106a,b及び/又は横桁面材107a,b上に面幅の片傾斜又は両傾斜の斜板2、4を有する。また、斜板2、4の船側側先端が、横桁の船側側下方曲面に向かって先細りする半四角錐形状であることを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4