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特許7132410電子モジュール付き電子機器、電子モジュール、および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】電子モジュール付き電子機器、電子モジュール、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20220830BHJP
   G06F 1/18 20060101ALI20220830BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20220830BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220830BHJP
   H01R 13/24 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G06F1/16 312Z
G06F1/16 312E
G06F1/18 E
H05K5/02 V
H04N5/225 100
H01R13/24
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021137827
(22)【出願日】2021-08-26
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】楊 学雍
(72)【発明者】
【氏名】恩田 祐一
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第211741970(CN,U)
【文献】特開2016-81387(JP,A)
【文献】中国実用新案第208707749(CN,U)
【文献】特開2009-26315(JP,A)
【文献】特開2007-101656(JP,A)
【文献】特開2018-205732(JP,A)
【文献】特開2018-88519(JP,A)
【文献】特開2002-62950(JP,A)
【文献】特開2020-123144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
G06F 1/18
H05K 5/02
H04N 5/225
H01R 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と、
前記電子機器に対して着脱可能な電子モジュールと、を備える電子モジュール付き電子機器であって、
前記電子モジュールは、
下方を向く装着面を有する本体部と、
前記装着面から下方に突出し、上方に移動可能な状態で下方に向けて付勢され、左右方向に並べて配置された複数の導通ピンと、を備え、
前記電子機器は、
ディスプレイ筐体と、
前記ディスプレイ筐体の上面に露出するともに、複数の導通パッドが前記左右方向に並べられたパッド部を備え、
前記複数の導通ピンは、第1電源用ピンと、第2電源用ピンと、第1信号用ピンと、第2信号用ピンと、を含み、
前記複数の導通パッドは、前記第1電源用ピンに接続される第1電源用パッドと、前記第2電源用ピンに接続される第2電源用パッドと、前記第1信号用ピンに接続される第1信号用パッドと、前記第2信号用ピンに接続される第2信号用パッドと、を含み、
前記第1電源用ピンと前記第1信号用ピンとの間の、前記左右方向における距離をd1と称し、
前記第1信号用ピンと前記第2信号用ピンとの間の、前記左右方向における距離をd2と称し、
前記第2信号用ピンと前記第2電源用ピンとの間の、前記左右方向における距離をd3と称するとき、
d3≧2×d1、かつ、d2≧3×d1が成立する、電子モジュール付き電子機器。
【請求項2】
前記複数の導通ピンのうち、前記左右方向において対称な位置に配置された2つの導通ピンは、互いに同じ機能を有している、請求項1に記載の電子モジュール付き電子機器。
【請求項3】
前記第1電源用ピンの下端および前記第2電源用ピンの下端は、前記第1信号用ピンの下端および前記第2信号用ピンの下端よりも下方に位置する、請求項1または2に記載の電子モジュール付き電子機器。
【請求項4】
前記第1電源用パッドの上端および前記第2電源用パッドの上端は、前記第1信号用パッドの上端および前記第2信号用パッドの上端よりも下方に位置する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子モジュール付き電子機器。
【請求項5】
電子機器に対して着脱可能な電子モジュールであって、
下方を向く装着面を有する本体部と、
前記装着面から下方に突出し、上方に移動可能な状態で下方に向けて付勢され、左右方向に並べて配置された複数の導通ピンと、を備え、
前記複数の導通ピンは、第1電源用ピンと、第2電源用ピンと、第1信号用ピンと、第2信号用ピンと、を含み、
前記第1電源用ピンと前記第1信号用ピンとの間の、前記左右方向における距離をd1と称し、
前記第1信号用ピンと前記第2信号用ピンとの間の、前記左右方向における距離をd2と称し、
前記第2信号用ピンと前記第2電源用ピンとの間の、前記左右方向における距離をd3と称するとき、
d3≧2×d1、かつ、d2≧3×d1が成立する、電子モジュール。
【請求項6】
ディスプレイ筐体と、
前記ディスプレイ筐体の上面に露出するともに、複数の導通パッドが左右方向に並べられたパッド部を備え、
前記複数の導通パッドは、第1電源用パッドと、第2電源用パッドと、第1信号用パッドと、第2信号用パッドと、を含み、
前記第1電源用パッドと前記第1信号用パッドとの間の、前記左右方向における距離をd1と称し、
前記第1信号用パッドと前記第2信号用パッドとの間の、前記左右方向における距離をd2と称し、
前記第2信号用パッドと前記第2電源用パッドとの間の、前記左右方向における距離をd3と称するとき、
d3≧2×d1、かつ、d2≧3×d1が成立する、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子モジュール付き電子機器、電子モジュール、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるようなカメラモジュール内蔵PC(Personal Computer)が知られている。このカメラモジュール内蔵PCは、ディスプレイ筐体と、ディスプレイ筐体に収容されるカメラモジュール(電子モジュール)と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5197822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、デザイン性の観点から、狭額縁構造を有する電子機器が求められている。言い換えれば、ベゼルの幅を小さくすることが求められている。このようにベゼルの幅が小さい構成を実現するためには、電子モジュールをディスプレイ筐体に収容する構成ではなく、電子モジュールをディスプレイ筐体(電子機器)の外部に配置し、電子機器に対して着脱可能にする構成を採用することが考えられる。
【0005】
しかしながら、本願発明者らが鋭意検討した結果、上記の構成を採用した場合、ユーザーのミスにより、電子モジュールが、本来取り付けられるべき位置とは異なる位置に取り付けられる可能性が考えられた。この場合、電子モジュールと電子機器との間で意図しない電気的接続が形成され、電子機器または電子モジュールにおいて不具合が生じる可能性があった。
【0006】
一方、電子モジュールの位置決めを容易とするため、ベゼルに対して位置決め穴等の凹凸を形成する方法も考えられる。しかしながら、デザイン性の観点では、ベゼルに対して上記のような凹凸を形成することは望ましくない。このように、デザイン性を重視して凹凸のないベゼルを採用した場合、電子モジュールが本来取り付けられるべき位置とは異なる位置に取り付けられる可能性がさらに高まると考えられた。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされ、意図せぬ電気的接続の形成を抑制できる電子モジュール付き電子機器、電子モジュール、および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子モジュール付き電子機器は、電子機器と、前記電子機器に対して着脱可能な電子モジュールと、を備える電子モジュール付き電子機器であって、前記電子モジュールは、下方を向く装着面を有する本体部と、前記装着面から下方に突出し、上方に移動可能な状態で下方に向けて付勢され、左右方向に並べて配置された複数の導通ピンと、を備え、前記電子機器は、ディスプレイ筐体と、前記ディスプレイ筐体の上面に露出するともに、複数の導通パッドが前記左右方向に並べられたパッド部を備え、前記複数の導通ピンは、第1電源用ピンと、第2電源用ピンと、第1信号用ピンと、第2信号用ピンと、を含み、前記複数の導通パッドは、前記第1電源用ピンに接続される第1電源用パッドと、前記第2電源用ピンに接続される第2電源用パッドと、前記第1信号用ピンに接続される第1信号用パッドと、前記第2信号用ピンに接続される第2信号用パッドと、を含み、前記第1電源用ピンと前記第1信号用ピンとの間の、前記左右方向における距離をd1と称し、前記第1信号用ピンと前記第2信号用ピンとの間の、前記左右方向における距離をd2と称し、前記第2信号用ピンと前記第2電源用ピンとの間の、前記左右方向における距離をd3と称するとき、d3≧2×d1、かつ、d2≧3×d1が成立する。
【0009】
また、本発明の一態様に係る電子モジュールは、電子機器に対して着脱可能な電子モジュールであって、下方を向く装着面を有する本体部と、前記装着面から下方に突出し、上方に移動可能な状態で下方に向けて付勢され、左右方向に並べて配置された複数の導通ピンと、を備え、前記複数の導通ピンは、第1電源用ピンと、第2電源用ピンと、第1信号用ピンと、第2信号用ピンと、を含み、前記第1電源用ピンと前記第1信号用ピンとの間の、前記左右方向における距離をd1と称し、前記第1信号用ピンと前記第2信号用ピンとの間の、前記左右方向における距離をd2と称し、前記第2信号用ピンと前記第2電源用ピンとの間の、前記左右方向における距離をd3と称するとき、d3≧2×d1、かつ、d2≧3×d1が成立する。
【0010】
また、本発明の一態様に係る電子機器は、ディスプレイ筐体と、前記ディスプレイ筐体の上面に露出するともに、複数の導通パッドが左右方向に並べられたパッド部を備え、前記複数の導通パッドは、第1電源用パッドと、第2電源用パッドと、第1信号用パッドと、第2信号用パッドと、を含み、前記第1電源用パッドと前記第1信号用パッドとの間の、前記左右方向における距離をd1と称し、前記第1信号用パッドと前記第2信号用パッドとの間の、前記左右方向における距離をd2と称し、前記第2信号用パッドと前記第2電源用パッドとの間の、前記左右方向における距離をd3と称するとき、d3≧2×d1、かつ、d2≧3×d1が成立する。
【0011】
本発明の上記態様によれば、距離d1~d3が、互いに異なっている。このため、電子モジュールが本来取り付けられる位置から左右方向においてずれた場合において、第1電源用ピンおよび第2電源用ピンの両方が、複数の導通パッドのいずれかに対して同時に接続されることが抑制される。これにより、複数の導通ピン(電子モジュール)と複数の導通パッド(電子機器)との間で意図しない電気的接続が形成されるのが抑制される。
【0012】
ここで、前記複数の導通ピンのうち、前記左右方向において対称な位置に配置された2つの導通ピンは、互いに同じ機能を有していてもよい。
【0013】
この場合、電子モジュールが電子機器のディスプレイ方向および背面方向のどちらを向くように電子モジュールが電子機器に取り付けられたとしても、電子機器から見て、各導通ピンが有する機能は変化しない。したがって、電子モジュールを上下方向を軸に180度反転させて電子機器に取り付けるだけで、電子モジュールの機能を有効としつつ、電子モジュールの向きを容易に反転させることができる。
【0014】
また、前記第1電源用ピンの下端および前記第2電源用ピンの下端は、前記第1信号用ピンの下端および前記第2信号用ピンの下端よりも下方に位置してもよい。
【0015】
この場合、電子モジュールを電子機器に取りつける際、第1電源用ピンと第1電源用パッドとの間の接続が、第1信号用ピンと第1信号用パッドとの間の接続よりも、先に実現されやすくなる。これにより、電源用の接続よりも信号用の接続が先に実現することが抑制され、電子モジュールまたは電子機器において不具合が生じることが抑制される。
【0016】
また、前記第1電源用パッドの上端および前記第2電源用パッドの上端は、前記第1信号用パッドの上端および前記第2信号用パッドの上端よりも下方に位置してもよい。
【0017】
この場合、電子モジュールが本来取り付けられるべき位置から左右方向においてずれた場合において、第1信号用ピンまたは第2信号用ピンが、第1電源用パッドと接触しにくくなる。これにより、電子モジュールと電子機器との間で意図しない電気的接続が形成されるのがより確実に抑制される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の上記態様によれば、意図せぬ電気的接続の形成を抑制可能な電子モジュール付き電子機器、電子モジュール、および電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る電子モジュール付き電子機器の全体を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る電子モジュールを示す斜視図である。
図3図2に示す電子モジュールを矢視IIIから見る図である。
図4図3に示すIV-IV線に沿う断面矢視図である。
図5】電子モジュールが電子機器に装着される様子を表す斜視図である。
図6図1に示すVI-VI線に沿う断面矢視図である。
図7図6に示すVII-VII線に沿う断面矢視図である。
図8図7において電子モジュールの取付姿勢を反転させた状態を示す図である。
図9A】電子モジュールが電子機器に装着される様子を拡大して見る図である。
図9B図9Aに続く状態を示す図である。
図10図9Bにおいて、電子モジュールが左右方向にずれた状態を示す図である。
図11図9Bにおいて、電子モジュールが左右方向にずれた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態に係る電子モジュール付き電子機器、およびそれに含まれる電子モジュールならびに電子機器について図1図11に基づいて説明する。
図1に示すように、電子モジュール付き電子機器3は、電子機器2および電子モジュール1を備える。電子機器2は、板状に形成されたディスプレイ筐体50を有する。電子モジュール1は、ディスプレイ筐体50の一辺に着脱可能に構成されている。図2に示すように、電子モジュール1は、電子機器2との電気的接続のインターフェースとなる複数の導通ピン30を備えている。
【0021】
なお、本実施形態の電子機器2はいわゆるタブレット端末であるが、その他の種類の電子機器2を採用してもよい。例えば電子機器2は、クラムシェル型のPC、スマートフォン、ゲーム機等であってもよい。電子機器2がクラムシェル型のPCである場合、ディスプレイ筐体50には、ヒンジを介して第2の筐体が接続される。第2の筐体には、キーボードやマザーボード等が設けられる。
【0022】
また、本実施形態において、電子モジュール1は、カメラモジュールであり、撮像素子22を有するが、その他の種類の電子モジュール1を採用してもよい。例えば電子モジュール1は、指紋センサ、キーボード、ドッキングステーション等であってもよい。
【0023】
(方向定義)
ここで、本実施形態では、XYZ直交座標系を設定して各構成の位置関係を説明する。X軸方向は、複数の導通ピン30が並べられた方向である。Z軸方向は、各導通ピン30が延びる方向である。Z軸方向は、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交する方向である。本明細書では、X軸方向を左右方向Xと称し、Y軸方向を奥行方向Yと称し、Z軸方向を上下方向Zと称する場合がある。左右方向Xに沿う一方向を、+X方向または左方と称する。+X方向とは反対の方向を、-X方向または右方と称する。奥行方向Yにおいて、撮像素子22が向く方向を、+Y方向、撮像方向、または前方と称する。+Y方向とは反対の方向を、-Y方向、非撮像方向、または後方と称する。上下方向Zに沿って、電子機器2から電子モジュール1に向かう方向を、+Z方向または上方と称する。+Z方向とは反対の方向を、-Z方向または下方と称する。
【0024】
電子モジュール1は、電子機器2に対して、第1姿勢および第2姿勢の2通りの取付姿勢を取り得る。第1姿勢とは、ディスプレイ筐体50が有するディスプレイ51が向く方向(ディスプレイ方向)と撮像方向とが一致する取付姿勢である(図1図7参照)。第2姿勢とは、ディスプレイ51が向く方向とは反対の方向(背面方向)と撮像方向とが一致する取付姿勢である(図8参照)。以下の説明では、特段の言及がない限り、電子モジュール1が第1姿勢にある場合における各部の位置関係を説明する。
【0025】
(電子モジュール)
図2図4等に示すように、電子モジュール1は、本体部10と、本体部10に収容される撮像部20と、複数の導通ピン30と、少なくとも1つの固定部材40と、を備える。本実施形態では、導通ピン30の数は7本であり、固定部材40の数は2つであるが、これらの数は適宜変更してもよい。
【0026】
本体部10は、収容部11と、装着部12と、ガイド部13と、を有する。収容部11の内部には、撮像素子22が収容されている。装着部12は、収容部11の下端に設けられている。ガイド部13は、収容部11の下端から下方に突出している。装着部12は、ガイド部13よりも前方に配置されている。なお、本体部10は、ガイド部13を有していなくてもよい。
【0027】
収容部11は、上下方向に延びる筒状のケース11bと、ケース11bの上端を塞ぐ頂壁11aと、を有する。ケース11bは、上下方向Zから見て、奥行方向Yよりも左右方向Xに長い長丸形状に形成されている。ケース11bには、撮像部20の撮像窓21(後述)が嵌合される撮像孔11cが設けられている。撮像孔11cは、ケース11bのうち撮像方向を向く面を奥行方向Yにおいて貫通している。
【0028】
ガイド部13は、撮像方向を向くガイド面13aを有している。ガイド面13aは上下方向Zおよび左右方向Xに沿って延びる平坦面である。ガイド部13は、環状の接続部13cによって、収容部11に接続されている。接続部13cは、収容部11のケース11bの下端に設けられており、装着部12を支持する役割も有する。
【0029】
装着部12は、複数の導通ピン孔12aと、複数の第1保持部12bと、を有している。複数の導通ピン孔12aは左右方向Xに並べて配置されるとともに、上下方向Zに沿って延びている。第1保持部12bは、後述の固定部材40を保持する役割を有する。装着部12は、下方を向く装着面12cを有する。装着面12cは、電子モジュール1が電子機器2に取り付けられたときに、電子機器2(より詳しくは、上ベゼル部52a)に当接若しくは近接する。
【0030】
撮像部20は、本体部10の撮像孔11cに嵌合された撮像窓21と、撮像素子22と、を有する。撮像窓21は、透明な部材によって形成される。撮像素子22は、光を電気信号(画像データ)に変換する機能を有する。撮像素子22としては、例えば、RGBカメラや赤外線カメラを採用できる。
【0031】
複数の導通ピン30は、1本ずつ導通ピン孔12aに挿通されている。本実施形態において、各導通ピン30としてはいわゆるポゴピンが採用されている。つまり、各導通ピン30は、上方移動可能な状態で下方に向けて付勢されている。より具体的には、各導通ピン30は、接続部30aおよび接続部30aと電気的に接続された付勢部30bを有している。付勢部30bは、接続部30aに対して上方に相対移動可能な状態で下方に向けて付勢されている。少なくとも一部の導通ピン30(接続部30a)は、撮像素子22と電気的に接続されている。各導通ピン30(付勢部30b)の下端は、装着面12cよりも下方に位置している。複数の導通ピン30は、左右方向Xに並べて配置されており、上下方向Zに沿って延びている。
【0032】
本実施形態において、導通ピン30は7つ配置されている。7つの導通ピン30の内訳は、一対の第1電源用ピン31A、31Bと、第2電源用ピン32と、一対の第1信号用ピン33A、33Bと、一対の第2信号用ピン34A、34Bと、である。これにより、各導通ピン30を介して、USB規格に準拠した電気信号の授受が可能となっている。本実施形態においては、各第1電源用ピン31A、31BはVCC用のピンであり、第2電源用ピン32はGND用のピンである。つまり、第1電源用ピン31A、31B、および第2電源用ピン32は、電源用のピンである。一方、各第1信号用ピン33A、33BはD-用のピンであり、各第2信号用ピン34A、34BはD+用のピンである。つまり、第1信号用ピン33A、33B、および第2信号用ピン34A、34Bは、信号用(データ用)のピンである。
【0033】
また、左右方向Xにおいて対称な位置に配置された2つの導通ピン30は、互いに同じ機能を有している。言い換えれば、第1電源用ピン31Aおよび第1電源用ピン31Bは、第2電源用ピン32を中心として左右対称に配置されている。同様に、第1信号用ピン33Aおよび第1信号用ピン33Bは、第2電源用ピン32を中心として配置されている。第2信号用ピン34Aおよび第2信号用ピン34Bは、第2電源用ピン32を中心として配置されている。
【0034】
このように、左右方向Xにおいて対称な位置に配置された2つの導通ピン30が互いに同じ機能を有することで、電子モジュール1の取付姿勢に関わらず、電子機器2から見た信号配列は一定となる。なお、上記の信号配列は一例であり、適宜変更してもよい。
【0035】
ここで、本明細書では、図9Aに示すように、距離d1~d3を定義する。距離d1は、第1電源用ピン31Aと第1信号用ピン33Aとの間の、左右方向Xにおける距離である。距離d2は、第1信号用ピン33Aと第2信号用ピン34Aとの間の、左右方向Xにおける距離である。距離d3は、第2信号用ピン34Aと第2電源用ピン32との間の、左右方向Xにおける距離である。なお、距離d1の定義における、文言「第1電源用ピン31Aと第1信号用ピン33Aとの間の距離」は、より具体的には、第1電源用ピン31Aの中心軸線と第1信号用ピン33Aの中心軸線との間の距離を意味する。距離d2、d3についても同様である。
本実施形態においては、距離d1~d3について、d3≧2×d1、かつ、d2≧3×d1が成立する。
【0036】
また、第1電源用ピン31A、31Bの下端および第2電源用ピン32の下端は、第1信号用ピン33A、33Bの下端および第2信号用ピン34A、第2信号用ピン34Bの下端よりも下方に位置する。本実施形態においては、第1電源用ピン31A、31Bの下端と第2電源用ピン32の下端とは、上下方向Zにおいて互いに略同じ位置にある。同様に、第1信号用ピン33A、33Bの下端と第2信号用ピン34A、34Bの下端とは、上下方向Zにおいて互いに略同じ位置にある。なお、「略同じ位置」には、製造誤差を取り除けば同じ位置であるとみなせる場合も含まれる。本実施形態において、電源用ピン31A、31B、32の下端は、信号用ピン33A、33B、34A、34Bの下端よりも、寸法d7だけ下方に位置する。
【0037】
固定部材40は、後述の機器側固定部材80と係合することによって、電子モジュール1を電子機器2に対して固定する。例えば、固定部材40および機器側固定部材80として、永久磁石あるいは鉄などを採用できる。この場合、固定部材40と機器側固定部材80との間に生じる磁力によって、電子モジュール1が電子機器2に対して固定される。ここで、より具体的には、機器側固定部材80が永久磁石である場合には、固定部材40は、鉄であっても永久磁石であってもよい。同様に、固定部材40が永久磁石である場合は、機器側固定部材80が鉄であっても永久磁石であってもよい。
【0038】
本実施形態においては、固定部材40および機器側固定部材80として、共に永久磁石が用いられている。また、固定部材40に用いられる永久磁石のそれぞれは、N極が左右方向Xにおける外側を向き、S極が左右方向Xにおける内側を向くように配置される。一方で、機器側固定部材80に用いられる永久磁石のそれぞれは、N極が左右方向Xにおける内側を向き、S極が左右方向Xにおける外側を向くように配置される。このように永久磁石の極性を配置することにより、電子モジュール1を電子機器2に取り付ける際に、左右方向Xにおける両者の相対位置を定めやすくなる。また、極性配置が全体として左右対称であるため、電子モジュール1の取付姿勢に関わらず、同様の効果を得ることができる。なお、上記の極性配置は一例であり、固定部材40と機器側固定部材80との間に吸着力が働き、かつ全体として左右対称な極性配置であれば、他の極性配置を用いても同様の効果を得ることができる。
【0039】
固定部材40は、第1保持部12bによって装着部12内部に保持される。固定部材40は、電子モジュール1を保持するための磁力を機器側固定部材80との間で生じさせるように、装着面12cの近傍に配置されている。具体的に、本実施形態では、2つの固定部材40がそれぞれ、異なる2つの導通ピン30の間に配置されている。ただし、固定部材40が、複数の導通ピン30に対して左右方向Xにおける外側に配置されてもよい。
【0040】
(電子機器)
図5図7等に示すように、電子機器2は、ディスプレイ筐体50と、パッド部60と、ディスプレイ筐体50に収容されるFPC(Flexible Printed Circuits)70と、少なくとも1つの機器側固定部材80と、を備える。
【0041】
図1および図7に示すように、ディスプレイ筐体50は、ディスプレイ51と、ベゼル52と、後板部53と、を備える。ベゼル52は、ディスプレイ51を囲繞しており、矩形状に形成されている。本実施形態において、ベゼル52は金属製であるが、ベゼル52は非金属製であってもよい。後板部53は、ディスプレイ筐体50のうちディスプレイ51の反対側に位置する面を覆っている。ディスプレイ51としては、OLED(Organic Light Emitting Diode)、液晶ディスプレイ等を採用できる。ディスプレイ51の後面には、ディスプレイ51の表示を制御する制御部51aが設けられている。
【0042】
図1に示すように、ベゼル52は、上ベゼル部52aと、上ベゼル部52aの左右方向Xにおける両端から下方に向けて伸びる2つの横ベゼル部52bと、2つの横ベゼル部52bの下端同士を結ぶ下ベゼル部52cと、を有する。下ベゼル部52cは、上ベゼル部52aと平行に配置される。上ベゼル部52aおよび下ベゼル部52cは、左右方向Xに平行に配置され、2つの横ベゼル部52bは、上下方向Zに平行に配置される。図6に示すように、上ベゼル部52aには、パッド部60が配置されるパッド孔52dが形成されている。
【0043】
パッド孔52dは、上ベゼル部52aを上下方向Zに貫通している。パッド孔52dの内部には、パッド保持部52eが形成されている。また、上ベゼル部52aのうち、パッド孔52dの近傍には、機器側固定部材80を保持する第2保持部52fが設けられている。
【0044】
パッド部60には、左右方向Xに並べて配置された複数の導通パッド61と、各導通パッド61とベゼル52とを絶縁する絶縁部62と、が設けられている。パッド部60は、パッド保持部52eによって保持される。複数の導通パッド61の各中心軸線は、奥行方向Yにおけるディスプレイ筐体50の中心と一致するように配置されている。
【0045】
図6に示すように、各導通パッド61は、上下方向に延びる軸部61bと、軸部61bの上端に位置するヘッド部61aと、を有する。平面視において、ヘッド部61aは軸部61bよりも面積が大きい。各ヘッド部61aは、パッド孔52dを通してディスプレイ筐体50の外部に露出している。また、各軸部61bの中心軸線はいずれも、上ベゼル部52aの奥行方向Yにおける略中心に位置している(図7参照)。絶縁部62は、各ヘッド部61aの下面に当接する絶縁シート62aと、各軸部61bの一部を覆う絶縁チューブ62bと、を有する。絶縁シート62aには、導通パッド61の軸部61bを挿通させるための貫通孔が形成されている。絶縁シート62aおよび絶縁チューブ62bにより、各導通パッド61と上ベゼル部52aとが電気的に絶縁される。本実施形態においては、絶縁シート62aおよびパッド保持部52eの数はそれぞれ3つである。各パッド保持部52eは、それぞれ別個の絶縁シート62aを下方から保持している。左右方向Xにおける中央に位置する絶縁シート62aには3つの導通パッド61(第2電源用パッド612および第2信号用パッド614A、614B)が挿通されている。左右方向Xにおける外側に位置する2つの絶縁シート62aには、それぞれ2つの導通パッド61(第1電源用パッド611Aおよび第1信号用パッド613A、または、第1電源用パッド611Bおよび第1信号用パッド613B)が挿通されている。
【0046】
上記のように、絶縁シート62aおよび絶縁チューブ62bと、各導通パッド61とは、別体に形成されている。このため、例えば各導通パッド61と絶縁部62とをインサート成形等によって一体に形成する場合と比べて、絶縁シート62aおよび絶縁チューブ62bを薄肉に形成し易くなる。これにより、絶縁部62を有する上ベゼル部52aのサイズが大きくなることを抑制できる。ただし、導通パッド61と絶縁部62とは、一体に形成されてもよい。
【0047】
図6に示すように、本実施形態において、導通パッド61は7つ配置されている。7つの導通パッド61の内訳は、一対の第1電源用パッド611A、611Bと、第2電源用パッド612と、一対の第1信号用パッド613A、613Bと、一対の第2信号用パッド614A、614Bと、である。第1電源用パッド611A、611Bは、第1電源用ピン31A、31Bと接続される。第2電源用パッド612は、第2電源用ピン32と接続される。第1信号用パッド613A、613Bは、第1信号用ピン33A、33Bと接続される。第2信号用パッド614A、614Bは、第2信号用ピン34A、34Bと接続される。
【0048】
ここで、本明細書では、図6および図9Aに示すように、距離d4~d6を定義する。距離d4は、第1電源用パッド611Aと第1信号用パッド613Aとの間の、左右方向Xにおける距離である。距離d5は、第1信号用パッド613Aと第2信号用パッド614Aとの間の、左右方向Xにおける距離である。距離d6は、第2信号用パッド614Aと第2電源用パッド612との間の、左右方向Xにおける距離である。なお、距離d4の定義における、文言「第1電源用パッド611Aと第1信号用パッド613Aとの間の距離」は、より具体的には、第1電源用パッド611Aの中心軸線と第1信号用パッド613Aの中心軸線との間の距離を意味する。距離d4、d5についても同様である。
本実施形態において、距離d4は、距離d1と略一致する。同様に、距離d5は距離d2と略一致し、距離d6は距離d3と略一致する。したがって、距離d4~d6について、d6≧2×d4、かつ、d5≧3×d4が成立する。なお、「略一致」には、製造誤差を取り除けば2つの距離が一致するとみなせる場合も含まれる。
【0049】
また、第1電源用パッド611A、611Bの上端および第2電源用パッド612の上端は、第1信号用パッド613A、613Bの上端および第2信号用パッド614A、第2信号用パッド614Bの上端よりも下方に位置する。本実施形態においては、第1電源用パッド611A、611Bの上端と第2電源用パッド612の上端とは、上下方向Zにおいて互いに略同じ位置にある。同様に、第1信号用パッド613A、613Bの上端と第2信号用パッド614A、614Bの上端とは、上下方向Zにおいて互いに略同じ位置にある。なお、「略同じ位置」には、製造誤差を取り除けば同じ位置であるとみなせる場合も含まれる。本実施形態において、電源用パッド611A、611B、612の上端は、信号用パッド613A、613B、614A、614Bの上端よりも、寸法d8だけ下方に位置する。なお、寸法d8は、寸法d7よりも小さい。
【0050】
図6に示すように、FPC70は、基部71と、基部71から上方に突出した3つの突出部72と、を有する。図7に示すように、突出部72の上端に、複数の導通パッド61がはんだSによって電気的に接続されている。より詳しくは、導通パッド61の軸部61bの下端部は、絶縁チューブ62bから下方に突出している。この軸部61bの下端部が、はんだSによって突出部72に固定されている。
【0051】
図6に示すように、上ベゼル部52aの内部には少なくとも1つの機器側固定部材80が設けられている。本実施形態では、電子モジュール1が有する固定部材40に対応するように、2つの機器側固定部材80が、左右方向Xに間隔を空けて配置されている。機器側固定部材80は、第2保持部52fによってパッド部60の近傍に保持される。機器側固定部材80の位置は、パッド部60の近傍であって固定部材40との間で磁力を生じさせることができれば、適宜変更可能である。
【0052】
(電子モジュール付き電子機器)
図6に示すように、本実施形態の電子モジュール付き電子機器3は、2つの吸着部P1、P2を有している。吸着部P1、P2は左右方向Xに間隔を空けて配置されている。各吸着部P1、P2は、磁力によって互いに吸着する固定部材40および機器側固定部材80を含んでいる。この構成により、電子モジュール1を電子機器2に対して磁力を用いて固定することができる。
【0053】
また、複数の導通ピン30と複数の導通パッド61とは、各導通ピン30と各導通パッド61とが上下方向Zで対向するように設けられている。各導通ピン30の下端は装着面12cよりも下方に位置しているため、装着部12と上ベゼル部52aとを接近させると、各導通ピン30の下端が各導通パッド61に押し付けられる。これにより、各導通ピン30と各導通パッド61とを電気的に接続することができる。
【0054】
図7に示すように、本明細書では、ディスプレイ筐体50の厚み(奥行方向Yにおける寸法)をL1と表す。また、複数の導通ピン30の中心軸線Oからガイド面13aまでの奥行方向Yにおける距離の平均値をL2と表す。寸法L1は、寸法L2の略2倍となっている。なお、「略2倍」とは、電子モジュール1が第1取付姿勢および第2取付姿勢のどちらであっても、電子モジュール1に作用する外力をガイド部13が有効に受けられる程度に、ガイド部13とディスプレイ筐体50との間の隙間が十分に小さい場合を意味する。ただし、寸法L1は、寸法L2の略2倍となっていなくてもよい。
【0055】
次に、以上のように構成された電子モジュール付き電子機器3の作用について説明する。
【0056】
ユーザーがディスプレイ方向を撮像したい場合、まず、電子モジュール1の撮像方向とディスプレイ方向とが一致し、装着面12cが上ベゼル部52aの上面に対向するように電子モジュール1を把持する(図5参照)。次に、ガイド面13aを後板部53の背面に沿わせながら、装着面12cをパッド部60に上方から接近させる。このとき、ガイド面13aと後板部53の背面とを接触させることで、奥行方向Yにおける導通ピン30と導通パッド61との相対位置が定まる。ユーザーが装着面12cをパッド部60に十分に近づけた状態で電子モジュール1を離すと(図9A参照)、固定部材40と機器側固定部材80との間で吸着力(磁力)が作用する。これにより、装着面12cが上ベゼル部52aに当接または近接するとともに、各導通ピン30が各導通パッド61に押し付けられる(図9B参照)。したがって、各導通ピン30と各導通パッド61とが電気的に接続され、電子モジュール1を第1取付姿勢で電子機器2に取り付けることができる(図7も参照)。
【0057】
また、本実施形態においては、電源用ピン31A、31B、32の下端が、信号用ピン33A、33B、34A、34Bの下端よりも下方に位置する。また、上述したように、寸法d8は、寸法d7よりも小さい。したがって、電源用ピン31A、31B、32と電源用パッド611A、611B、612との間の接続が、信号用ピン33A、33B、34A、34Bと信号用パッドとの間の接続よりも、先に実現されやすくなる。これにより、電源用の接続よりも信号用の接続が先に実現することが抑制され、電子モジュール1または電子機器2において不具合が生じることが抑制される。
【0058】
ユーザーが電子機器2の背面方向を撮像したい場合、まず、電子モジュール1の撮像方向と電子機器2の背面方向とが一致し、装着面12cが上ベゼル部52aの上面に対向するように電子モジュール1を把持する。次に、ガイド面13aをディスプレイ筐体50のディスプレイ面に沿わせながら、装着面12cをパッド部60に上方から接近させる。以降は、第1取付姿勢の場合と同様にして各導通ピン30と各導通パッド61とが電気的に接続され、電子モジュール1を第2取付姿勢で電子機器2に取り付けることができる(図8、9B参照)。
【0059】
また、ユーザーが電子モジュール1を電子機器2から取り外す際は、電子モジュール1を把持し持ち上げることによって、電子モジュール1を電子機器2から引き離すだけでよい。以上のように、電子モジュール1は電子機器2に対して容易に着脱可能となっている。
【0060】
ところで、本実施形態に係る電子モジュール付き電子機器3において、電子モジュール1と電子機器2との左右方向Xにおける位置決めに寄与する機構は、固定部材40および機器側固定部材80のみである。例えば、ベゼル52には、位置決め用の凹凸が形成されていない。したがって、ユーザーのミスにより、電子モジュール1が、本来取り付けられるべき位置から左右方向Xに異なる位置に配置される可能性が考えられる(図10図11も参照)。あるいは、ユーザーが、電子モジュール1を電子機器2に対して左右方向Xにスライドさせながら、電子モジュール1が取り付けられるべき位置を探す可能性が考えられる。
【0061】
このような場合において、電子モジュール1と電子機器2との間で、意図しない閉回路が形成されると、電子モジュール1または電子機器2において不具合が生じる可能性がある。例えば、第1電源用ピン31Aと第2電源用ピン32との両方が、本来接続されるべき導通パッド61(第1電源用パッド611Aおよび第2電源用パッド612)以外の導通パッド61に接続される場合が挙げられる。あるいは、第1電源用パッド611Aと第2電源用パッド612との両方が、本来接続されるべき導通ピン30(第1電源用ピン31Aおよび第2電源用ピン32)以外の導通ピン30に接続される場合が挙げられる。
【0062】
これに対して本実施形態に係る電子モジュール付き電子機器3においては、上述の距離d1~d3について、d3≧2×d1、かつ、d2≧3×d1が成立する。この構成により、図10図11に示すように、電子モジュール1が本来取り付けられるべき位置からXに異なる位置に配置された場合において、意図しない閉回路が形成されることが抑制される。例えば、第1電源用ピン31Aと第2電源用ピン32との両方が、本来接続されるべき導通パッド61(第1電源用パッド611Aおよび第2電源用パッド612)以外の導通パッド61に接続されにくくなる。あるいは、第1電源用パッド611Aと第2電源用パッド612との両方が、本来接続されるべき導通ピン30(第1電源用ピン31Aおよび第2電源用ピン32)以外の導通ピン30に接続されにくくなる。したがって、電子モジュール1と電子機器2との間における意図せぬ電気的接続の形成を抑制できる。
【0063】
さらに、本実施形態においては、電源用パッド611A、611B、612の上端が、信号用パッド613A、613B、614A、614Bの上端よりも、下方に位置する。これにより、信号用ピン33A、33B、34A、34Bと、電源用パッド611A、611B、612との間の上下方向Zにおける距離が大きくなる。例えば、図10に示すように、電子モジュール1と電子機器2とが互いに当接している場合においても、第1信号用ピン33Bと第1電源用パッド611Bとが互いに当接しにくくなる。このように、電子モジュール1が本来取り付けられるべき位置から左右方向Xにおいてずれた場合において、信号用ピン33A、33B、34A、34Bが、電源用パッド611A、611B、612と接触しにくくなる。したがって、電子モジュール1と電子機器2との間で意図しない電気的接続が形成されるのがより確実に抑制される。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る電子モジュール付き電子機器3は、電子機器2と、電子機器2に対して着脱可能な電子モジュール1と、を備える電子モジュール付き電子機器3であって、電子モジュール1は、下方を向く装着面12cを有する本体部10と、装着面12cから下方に突出し、上方に移動可能な状態で下方に向けて付勢され、左右方向Xに並べて配置された複数の導通ピン30と、を備え、電子機器2は、ディスプレイ筐体50と、ディスプレイ筐体50の上面に露出するともに、複数の導通パッド61が左右方向Xに並べられたパッド部60を備え、複数の導通ピン30は、第1電源用ピン31A、31Bと、第2電源用ピン32と、第1信号用ピン33A、33Bと、第2信号用ピン34A、34Bと、を含み、複数の導通パッド61は、第1電源用ピン31A、31Bに接続される第1電源用パッド611A、611Bと、第2電源用ピン32に接続される第2電源用パッド612と、第1信号用ピン33A、33Bに接続される第1信号用パッド613A、613Bと、第2信号用ピン34A、34Bに接続される第2信号用パッド614A、614Bと、を含み、第1電源用ピン31A、31Bと第1信号用ピン33A、33Bとの間の、左右方向Xにおける距離をd1と称し、第1信号用ピン33A、33Bと第2信号用ピン34A、34Bとの間の、左右方向Xにおける距離をd2と称し、第2信号用ピン34A、34Bと第2電源用ピン32との間の、左右方向Xにおける距離をd3と称するとき、d3≧2×d1、かつ、d2≧3×d1が成立する。
【0065】
この構成により、電子モジュール1を、電子機器2に対して外部から取り付けることができる。これにより、電子機器2に電子モジュール1を内蔵させる場合と比べて、ディスプレイ筐体50の奥行方向Yにおける厚みや、上ベゼル部52aの上下方向Zにおける幅を抑えることができる。また、導通ピン30が上方に移動可能な状態で下方に向けて付勢されているため、導通パッド61に対して導通ピン30を押し当てることで、電子機器2と撮像素子22とを電気的に接続することができる。さらに、距離d1~d3が上記の関係を満たすことにより、電子モジュール1と電子機器2との間における意図せぬ電気的接続の形成を抑制できる。
【0066】
また、複数の導通ピン30のうち、左右方向Xにおいて対称な位置に配置された2つの導通ピン30は、互いに同じ機能を有している。この構成によれば、電子モジュール1が電子機器2のディスプレイ方向および背面方向のどちらを向くように電子モジュール1が電子機器2に取り付けられたとしても、電子機器2から見て、各導通ピン30が有する機能は変化しない。したがって、電子モジュール1を上下方向Zを軸に180度反転させて電子機器2に取り付けるだけで、電子モジュール1の機能を有効としつつ、電子モジュールの向きを容易に反転させることができる。
【0067】
また、第1電源用ピン31A、31Bの下端および第2電源用ピン32の下端は、第1信号用ピン33A、33Bの下端および第2信号用ピン34A、34Bの下端よりも下方に位置する。この構成によれば、電子モジュール1を電子機器2に取りつける際において、電源用の接続よりも信号用の接続が先に実現することが抑制され、電子モジュール1または電子機器2において不具合が生じることが抑制される。
【0068】
また、第1電源用パッド611A、611Bの上端および第2電源用パッド612の上端は、第1信号用パッド613A、613Bの上端および第2信号用パッド614A、614Bの上端よりも下方に位置する。この構成によれば、電子モジュール1と電子機器2との間で意図しない電気的接続が形成されるのがより確実に抑制される。
【0069】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0070】
例えば、前記実施形態において、電子モジュール付き電子機器3は固定部材40および機器側固定部材80を有していたが、電子モジュール付き電子機器3は固定部材40および機器側固定部材80を有していなくてもよい。この場合においても、距離d1~d3が上述した関係を満たしていることにより、電子モジュール1と電子機器2との間で意図しない電気的接続が形成されるのが抑制される。
【0071】
また、電子モジュール付き電子機器3は、導通ピン30の本数を最小とするため、1本のみの第2電源用ピン32を有していたが、導通ピン30の構成はこれに限られない。例えば、電子モジュール付き電子機器3は、2本の第2電源用ピン32A、32Bを有していてもよい。あるいは、電子モジュール付き電子機器3は、第1信号用ピン33A、33Bおよび第2信号用ピン34A、34B以外の信号用ピンを有していてもよい。また、これらの導通ピン30の追加に伴い、導通パッド61が適宜追加されてもよい。これらの場合においても、複数の導通ピン30の構成は、上記実施形態のように、左右方向Xにおいて対称な構成となっていることが好ましい。
【0072】
また、図9A等の例においては、第1電源用ピン31Aの下端が第1信号用ピン33Aの下端よりも下方に位置するために、第1電源用ピン31Aが有する付勢部30bが、第1信号用ピン33Aが有する付勢部30bよりも、大きく形成されていた。しかしながら、第1電源用ピン31Aの下端を第1信号用ピン33Aの下端よりも下方に位置させるための構成は、これに限られない。例えば、付勢部30bの代わりに、接続部30aの大きさが適宜調整されてもよい。
【0073】
同様に、図9A等の例においては、第1電源用パッド611Aの上端が第1信号用パッド613Aの上端よりも下方に位置するために、第1電源用パッド611Aが有するヘッド部61aが、第1信号用パッド613Aが有するヘッド部61aよりも、小さく形成されていた。しかしながら、第1電源用パッド611Aの上端を第1信号用パッド613Aの上端よりも下方に位置させるための構成は、これに限られない。例えば、ベゼル52において、複数の導通ピン30と一対一に対応するように、複数のパッド保持部52eが形成され、各パッド保持部52eの上下方向Zにおける位置が適宜調整されてもよい。
【0074】
また、電子モジュール1は、電子モジュール1と電子機器2とが正常に接続された際に発光する接続状態表示装置(LED等)を有していてもよい。この場合、ユーザーは、接続状態表示装置が発光しているか否かを確認することにより、電子モジュール1と電子機器2とが正常に接続されているか否かを確認することができる。また、接続状態表示装置は、奥行方向Yにおける両面に形成されていてもよい。例えば、接続状態表示装置は、収容部11の上縁において、収容部11の全周にわたって形成されていてもよい。この場合、電子モジュール1が第1姿勢および第2姿勢のいずれの取付姿勢を取る場合においても、電子モジュール1と電子機器2との接続状態を確認しやすくなる。
【0075】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…電子モジュール 2…電子機器 3…電子モジュール付き電子機器 10…本体部 12c…装着面 30…導通ピン 31A、31B…第1電源用ピン 32…第2電源用ピン 33A、33B…第1信号用ピン 34A、34B…第2信号用ピン 50…ディスプレイ筐体 60…パッド部 61…導通パッド 611A、611B…第1電源用パッド 612…第2電源用パッド 613A、613B…第1信号用パッド 614A、614B…第2信号用パッド d1、d2、d3…距離 X…左右方向 Z…上下方向
【要約】
【課題】意図せぬ電気的接続の形成を抑制できる電子モジュール付き電子機器、電子モジュール、および電子機器を提供する。
【解決手段】電子モジュール付き電子機器は、電子機器と、前記電子機器に対して着脱可能な電子モジュールと、を備える。前記電子モジュールは、下方を向く装着面を有する本体部と、前記装着面から下方に突出し、上方に移動可能な状態で下方に向けて付勢され、左右方向に並べて配置された複数の導通ピンと、を備え、前記複数の導通ピンは、第1電源用ピンと、第2電源用ピンと、第1信号用ピンと、第2信号用ピンと、を含み、前記左右方向において、前記第1電源用ピンと前記第1信号用ピンとの間の距離をd1と称し、前記第1信号用ピンと前記第2信号用ピンとの間の距離をd2と称し、前記第2信号用ピンと前記第2電源用ピンとの間の距離をd3と称するとき、d3≧2×d1、かつ、d2≧3×d1が成立する。
【選択図】図9A
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11