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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】GLP-1組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/26 20060101AFI20220830BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220830BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220830BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
A61K38/26
A61K9/08
A61K47/02
A61K47/10
A61P3/10
A61P3/04
A61P25/28
A61P1/16
A61P9/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021544822
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2021053809
(87)【国際公開番号】W WO2021144477
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】20157963.8
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20171240.3
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21150056.6
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21151004.5
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20180645.2
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20180832.6
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21154657.7
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ドロテ・コット・イングルンド
(72)【発明者】
【氏名】セーレン・スニッカー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・マーク・ロウ
【審査官】一宮 里枝
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-528237(JP,A)
【文献】国際公開第2019/122109(WO,A1)
【文献】特表2010-528000(JP,A)
【文献】特表2016-528163(JP,A)
【文献】特表2016-522241(JP,A)
【文献】特表2016-508139(JP,A)
【文献】特表2014-520893(JP,A)
【文献】特表2008-530134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00-9/72
A61K 31/00-33/44
A61K 38/00-38/58
A61K 47/00-47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.5~10mg/mLのセマグルチド、8.2~8.9mg/mLの塩化ナトリウム、および0.1%(w/w)以下のフェノールを含み、プロピレングリコールを含まない、皮下投与用の液体医薬組成物。
【請求項2】
フェノールを含まない、請求項1に記載の液体医薬組成物。
【請求項3】
0.5~3.5mg/mLのセマグルチドを含む、請求項1または2に記載の液体医薬組成物。
【請求項4】
前記液体医薬組成物が、バッファーをさらに含み、例えば、前記バッファーが、0.01~50mMの濃度で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項5】
a)0.5~10mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.2~8.9mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成り、任意選択で6~10の、例えば7~8のpHを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項6】
前記バッファーが、リン酸バッファーである、請求項4または5に記載の液体医薬組成物。
【請求項7】
前記リン酸バッファーの濃度が、1~2mg/mLである、請求項6に記載の液体医薬組成物。
【請求項8】
前記リン酸バッファーが、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、およびリン酸ナトリウムから成る群から選択される、請求項6または7に記載の液体医薬組成物。
【請求項9】
前記液体医薬組成物が、6.0~10.0の範囲のpHを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項10】
前記液体医薬組成物が、7~8の範囲の、例えば約7.4のpHを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項11】
約7.4のpHで、0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、8.2~8.9mg/mLの塩化ナトリウム、およびリン酸バッファーを含む、またはこれらから本質的に成る、請求項1~10のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項12】
0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、8.25mg/mLの塩化ナトリウム、および1.42mg/mLのリン酸水素二ナトリウム二水和物を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の液体医薬組成物と、前記組成物を対象者に投与するための注射装置と、を含む、キット。
【請求項14】
前記注射装置が、針を含み、事前充填シリンジであるか、または事前充填シリンジではない、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
医療における使用のための、請求項1~12のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項16】
糖尿病、肥満、アルツハイマー病、NASH、および/または心血管疾患の治療および/または予防における使用のための、請求項1~12のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GLP-1ペプチドセマグルチドを含む医薬組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
GLP-1ペプチドセマグルチドを含む市販の液体医薬組成物は、防腐剤を含み、複数回使用が意図される。患者の使いやすさおよび利便性をさらに改善するために、単回使用投与のためのGLP-1ペプチドを含む組成物を開発することが望ましい。これらの組成物は、安定しており、必要とする患者に投与するのに快適であるべきである。
【0003】
特許文献1は、GIP/GLP1コアゴニストペプチドのティルゼパチドおよびプロピレングリコールまたは塩化ナトリウムのいずれかを含む、フェノールを含まない医薬組成物の皮下注射時の軽度の疼痛注射を報告する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許公開第2019/388502号
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態では、本発明は、セマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノールおよび6.4mg/mL超の塩化ナトリウムを含む液体医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で定義される医薬組成物を含むキットに関する。いくつかの実施形態では、本発明は、医療において使用するための本明細書で定義される医薬組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、セマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノールおよび6.4mg/mL超の塩化ナトリウムを含む液体医薬組成物に関する。驚いたことに、本発明者らは、かかる組成物が注射疼痛経験に関して特性を改善したことを発見した。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、0.09以下、代替的に0.08、代替的に0.07、代替的に0.06、代替的に0.05、代替的に0.04、代替的に0.03、代替的に0.02、代替的に0.01%(w/w)のフェノールを含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、フェノールを含まない。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、5.0~7.0mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、約6.4mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、6.4~7.5mg/mLの塩化ナトリウムなど、6.4~7.9mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、7.0超、代替的に7.2超、代替的に7.5超、代替的に7.7超、代替的に8超、代替的に8.2超、代替的に8.25mg/mL超の塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、6.5~12mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、7~12、代替的に7.5~12、代替的に8~12mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、7~9.5、代替的に7~9、代替的に7~8.25mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、7~10、代替的に7~9.5、代替的に8~9、代替的に8.1~8.9、代替的に8.1~8.8、代替的に8.2~8.7、代替的に8.2~8.6、代替的に8.2~8.5、代替的に8.2~8.4、代替的に8.2~8.3mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、8.25mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、
a.非経口投与用であり、
b.少なくとも60%w/wの水を含む水溶液であり、または
c.バッファーをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)0.01~3.5mg/mLのセマグルチドまたは0.5~10mg/mLのセマグルチドなどのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)等張剤、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、およびf)ヒスチジンを含む。いくつかの実施形態では、等張剤は、塩化ナトリウムである。いくつかの実施形態では、等張剤は、塩化ナトリウムである。
【0008】
いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)0.01~3.5mg/mLのセマグルチドまたは0.5~10mg/mLのセマグルチドなどのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)等張剤としての塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、およびf)ヒスチジンを含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)0.01~3.5mg/mLのセマグルチドまたは0.5~10mg/mLのセマグルチドなどのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)3~12mg/mLなど、4~12mg/Lなど、5~12mg/mLなど、6~12mg/mLなど、7~12mg/mLなど、8~12mg/mLなど、8.1~12mg/mLなど、8.2~12mg/mLの塩化ナトリウムなど、2~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、およびf)ヒスチジンを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)0.1~10mg/mLのセマグルチドまたは0.5~10mg/mLのセマグルチドなどのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)5.4または6.7mg/mLなど、5.0~5.0mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、およびf)ヒスチジンを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)0.1~10mg/mLのセマグルチドまたは0.5~10mg/mLのセマグルチドなどのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)塩化ナトリウム、d)リン酸塩、e)注射用の水、f)ヒスチジン、および任意選択でpH7.4などのpH7~8に達するためのNaOH/HClを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)0.1~10mg/mLのセマグルチドまたは0.5~10mg/mLのセマグルチドなどのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.7~12mg/mLなど、6.72~12mg/Lの塩化ナトリウムなど、約6.4mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、およびf)ヒスチジンを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~8.9mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)0.5~10mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)0.5~10mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~8.9mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)3.2mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも97%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.25mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも97%の水(97~99%など)、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、f)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸ナトリウムもしくは酢酸などの酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.5~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)7~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)7.5~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.2~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.2~9.5mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.2~9mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~8.9mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)0.5~10mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)0.5~10mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~8.9mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)3.2mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも97%の水(97~99%など)、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成り、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。いくつかの実施形態では、本発明は、a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成るか、またはそれから本質的に成る液体医薬組成物と、対象者への当該組成物の投与のための事前充填シリンジなどの針を含む注射装置とを含むキットに関し、当該組成物は任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、セマグルチドの濃度は、当該液体医薬組成物の0.5~10mg/mLまたは0.01~3.5mg/mLである。いくつかの実施形態では、セマグルチドの濃度は、0.5mg/mL、代替的に1mg/mL、代替的に1.5mg/mL、代替的に2mg/mL、代替的に2.5mg/mL、代替的に3mg/mL、代替的に3.5mg/mLである。いくつかの実施形態では、セマグルチドの濃度は、当該液体医薬組成物の3.2mg/mLである。いくつかの実施形態では、セマグルチドは、薬学的に許容可能な塩の形態である。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、少なくとも70%w/wの水または少なくとも80%w/wの水など、少なくとも60%w/wの水を含む水溶液である。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、少なくとも98%w/wの水など、少なくとも97%w/wの水を含む水溶液である。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、97~99%w/wの水を含む水溶液である。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、97~98%w/wの水を含む水溶液である。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、バッファーを含む。いくつかの実施形態では、バッファーは、当該組成物の0.01~50mMの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、バッファーは、リン酸バッファーである。いくつかの実施形態では、リン酸バッファーは、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、およびリン酸ナトリウムから成る群から選択される。いくつかの実施形態では、リン酸バッファーは、リン酸水素二ナトリウム二水和物である。いくつかの実施形態では、リン酸バッファーの濃度は、1~2mg/mL、代替的に1.1~1.9mg/mL、代替的に1.2~1.7mg/mL、代替的に1.3~1.6mg/mL、代替的に1.4~1.5mg/mLである。いくつかの実施形態では、当該リン酸バッファーの濃度は、1.42mg/mLである。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、HCl、NaOH、または酢酸ナトリウムもしくは酢酸などの酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤を含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、防腐剤を含まない。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、6.0~10.0、代替的に7~8の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、7.4のpHを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、非経口投与用である。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、皮下投与用であり。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、注射装置における使用のためのものである。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、患者への注射による投与時に軽度または非常に軽度の疼痛強度を有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、患者への注射による投与時に非常に軽度の疼痛強度を有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、患者への注射による投与時に、33未満、代替的に16未満のVASスコアを有する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、患者への注射による投与時に、20未満、代替的に15未満、代替的に10未満のVASスコアを有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、本発明は、ヒスチジンをさらに含む液体医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、ヒスチジンの濃度は、0.5~100mM、代替的に0.5~50mM、代替的に0.5~20mM、代替的に0.5~15mM、代替的に0.5~10mMである。いくつかの実施形態では、ヒスチジンの濃度は、2~100mM、代替的に2~50mM、代替的に2~20mM、代替的に2~15mM、代替的に2~10mMである。いくつかの実施形態では、ヒスチジンの濃度は、5~100mM、代替的に5~50mM、代替的に5~20mM、代替的に5~15mM、代替的に5~10mMである。いくつかの実施形態では、ヒスチジンの濃度は、10~100mM、代替的に10~50mM、代替的に10~20mM、代替的に10~15mMである。いくつかの実施形態では、本発明は、液体医薬組成物に関し、より少ない不純物が貯蔵中に生成される。いくつかの実施形態では、本発明は、液体医薬組成物に関し、より少ないHMWPが貯蔵中に生成される。いくつかの実施形態では、本発明は、液体医薬組成物に関し、より少ない疎水性不純物1が貯蔵中に生成される。いくつかの実施形態では、本発明は、液体医薬組成物に関し、より少ない疎水性不純物2が貯蔵中に生成される。いくつかの実施形態では、本発明は、液体医薬組成物に関し、組成物の改善された化学的安定性が得られる。
【0017】
いくつかの実施形態では、本発明は、0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、および1~2mg/mLのリン酸バッファーを含む液体医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、フェノールを本質的に含まない液体医薬組成物に関し、組成物は、0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、および1~2mg/mLのリン酸バッファーを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、7~9mg/mLの塩化ナトリウム、および1~2mg/mLのリン酸バッファーを含む液体医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、0.5~10mMのヒスチジン、および1~2mg/mLのリン酸バッファーを含む液体医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、フェノールを本質的に含まない液体医薬組成物に関し、組成物は、0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、0.5~10mMのヒスチジン、および1~2mg/mLのリン酸バッファーを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、7~9mg/mLの塩化ナトリウム、0.5~10mMのヒスチジン、および1~2mg/mLのリン酸バッファーを含む液体医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、7~9mg/mLの塩化ナトリウム、および1~2mg/mLのリン酸水素二ナトリウム二水和物を含む液体医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、7~9mg/mLの塩化ナトリウム、0.5~10mMのヒスチジン、および1~2mg/mLのリン酸水素二ナトリウム二水和物を含む液体医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、8.25mg/mLの塩化ナトリウム、および1.42mg/mLのリン酸水素二ナトリウム二水和物を含む液体医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、8.25mg/mLの塩化ナトリウム、0.5~10mMのヒスチジン、および1.42mg/mLのリン酸水素二ナトリウム二水和物を含む液体医薬組成物に関する。
【0018】
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明に従う液体医薬組成物および使用説明書を含むキットに関する。いくつかの実施形態では、本発明は、本発明に従う液体医薬組成物および対象者への当該組成物の投与のための注射装置を含むキットに関する。いくつかの実施形態では、注射装置は、耐久性ペンおよび事前充填ペンから成る群から選択される。いくつかの実施形態では、本発明は、本発明に従う液体医薬組成物、および対象者への当該組成物の投与のための事前充填シリンジなどの針を含む注射装置を含むキットに関する。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明は、医療において使用するための本発明の液体医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、糖尿病、肥満、NASH、アルツハイマー病、および/または心血管疾患の治療および/または予防に使用するための本発明の液体医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、糖尿病または肥満の予防または治療のための方法に関し、本発明に従う液体医薬組成物は、それを必要とする対象者に投与される。
【0020】
医薬組成物
「医薬組成物」および「組成物」という用語は、本明細書では互換的に使用され、それを必要とする対象者への投与に好適な医薬組成物を指す。
【0021】
いくつかの実施形態では、組成物は、0.01~100mg/mLのセマグルチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.5~25mg/mLまたは1~15mg/mLなど、0.1~50mg/mLのセマグルチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.5~3.5mg/mLなど、0.1~10mg/mL、または0.5~2mg/mLなど、1~2mg/mLのセマグルチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.01~3.5mg/mLなど、0.01~10mg/mLのセマグルチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、8mg/mL以下または7mg/mL以下など、9mg/mL以下のセマグルチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、5mg/mL以下または4mg/mL以下など、6mg/mL以下のセマグルチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、2mg/mL以下または1mg/mL以下など、3mg/mL以下のセマグルチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも0.02mg/mLまたは少なくとも0.05mg/mLなど、少なくとも0.01mg/mLのセマグルチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、1.34mg/mLのセマグルチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、3.2mg/mLのセマグルチドを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、pH6~10または6~9など、3~10の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、pH7.0~8.2またはpH7.0~7.8など、pH6.5~8.5の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、pHは、25℃で測定される。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、プロピレングリコールまたは塩化ナトリウムなど、等張剤を含む。いくつかの実施形態では、等張剤は、プロピレングリコールおよび/または塩化ナトリウムである。いくつかの実施形態では、等張剤は、プロピレングリコールではない。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、プロピレングリコールを含まない。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、さらなる等張剤を含まない。
【0027】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、6.5~12、代替的に7~12、代替的に7.5~12、代替的に8~12、代替的に8.2~12、代替的に8.25~12mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、6.5~9.5、代替的に7~9.5、代替的に7.5~9.5、代替的に8~9.5、代替的に8.2~9.5、代替的に8.25~9.5mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、6.5~9、代替的に7~9、代替的に7.5~9、代替的に8~9、代替的に8.2~9、代替的に8.25~9mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、6.5~8.5、代替的に7~8.5、代替的に7.5~8.5、代替的に8~8.5、代替的に8.2~8.5、代替的に8.25~8.5mg/mLの塩化ナトリウムを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、7~12mg/mLまたは7.5~12mg/mLなど、6.5~12mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、8.2~12mg/mLまたは8.25~12mg/mLなど、8~12mg/mLの塩化ナトリウムを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、7~9.5mg/mLまたは7.5~9.5mg/mLなど、6.5~9.5mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、8.2~9.5mg/mLまたは8.25~9.5mg/mLなど、8~9.5mg/mLの塩化ナトリウムを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、7~9mg/mLまたは7.5~9mg/mLなど、6.5~9mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、8.2~9mg/mLまたは8.25~9mg/mLなど、8~9mg/mLの塩化ナトリウムを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、7~8.5または7.5~8.5など、6.5~8.5mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、8.2~8.5または8.25~8.5など、8~8.5mg/mLの塩化ナトリウムを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、5.2~6.2または5.3~6.2など、5~6.2mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、5.2~6または5.3~6など、5~6mg/mLの塩化ナトリウムを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、6.6~7.9または6.7~7.9など、6.5~7.9mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、6.6~7.8または6.7~7.8など、6.5~7.8mg/mLの塩化ナトリウムを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、5.4または6.72mg/mLの塩化ナトリウムを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、リン酸バッファー、TRISなどのバッファーを含むか、またはバッファーを含まない。いくつかの実施形態では、リン酸バッファーは、リン酸水素二ナトリウムなど、リン酸ナトリウムバッファーである。
【0036】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、防腐剤を含まない。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、防腐剤を本質的に含まない。
【0037】
本発明の組成物は、液体医薬組成物の形態である。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、溶液または懸濁液である。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、水溶液など、溶液の形態である。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される「水溶液」という用語は、少なくとも60%w/wの水を含む溶液を指す。いくつかの実施形態では、水溶液は、60~99%w/wの水を含む。いくつかの実施形態では、水溶液は、少なくとも80%w/wの水または少なくとも85%w/wの水など、少なくとも75%w/wの水を含む。いくつかの実施形態では、水溶液は、少なくとも92%w/wの水または少なくとも94%w/wの水など、少なくとも90%w/wの水を含む。いくつかの実施形態では、水溶液は、少なくとも98%w/wの水など、少なくとも97%w/wの水を含む。いくつかの実施形態では、水溶液は、97~98%w/wの水を含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、凍結乾燥または噴霧乾燥粉末など、粉末を溶解することによって作製される。
【0038】
セマグルチド
GLP-1ペプチドセマグルチドは、WO2006/097537、実施例4に記載されるように調製することができる。セマグルチドはまた、N6.26-{18-[N-(17-カルボキシヘプタデカノイル)-L-γ-グルタミル]-10-オキソ-3,6,12,15-テトラオキサ-9,18-ジアザオクタデカノイル}-[8-(2-アミノ-2-プロパン酸),34-L-アルギニン]ヒトグルカゴン様ペプチド1(7~37)としても知られる(WHO Drug Information Vol.24,No.1,2010を参照されたい)。いくつかの実施形態では、セマグルチドは、その完全または部分的にイオン化された形態で組成物中に存在してもよく、例えば、1つ以上のカルボン酸基(-COOH)は、カルボキシレート基(-COO-)に脱プロトン化されてもよく、かつ/または1つ以上のアミノ基(-NH2)は、-NH3+基にプロトン化されてもよい。いくつかの実施形態では、セマグルチドは、塩の形態で組成物に添加される。いくつかの実施形態では、セマグルチドは、組換え的に生成されてもよい。いくつかの実施形態では、セマグルチドは、合成的に生成されてもよい。
【0039】
投与およびキット
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、非経口投与用である。いくつかの実施形態では、組成物は、皮下投与用である。
【0040】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、週に1回投与するためのものである。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1日1回、2日に1回、または3日に1回投与するためのものである。
【0041】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で定義される医薬組成物および使用説明書を含むキットに関する。いくつかの実施形態では、使用説明書は、薬剤の添付文書を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で定義される医薬組成物および注射装置を含むキットに関する。いくつかの実施形態では、注射装置は、耐久性ペンおよび事前充填ペンから成る群から選択される。耐久性ペンの例は、NovoPen(登録商標)4またはNovoPen(登録商標)5(両方ともNovo Nordisk A/S、Denmarkから)である。事前充填ペンの例は、FlexPen(登録商標)(Novo Nordisk A/S、Denmark)である。
【0043】
適応症
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、医療において使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、以下の医学的治療のために使用され得る:
(i)高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、非インスリン依存性糖尿病、MODY(若年発症成人型糖尿病)、妊娠糖尿病、および/またはHbA1cの低減などのすべての形態の糖尿病の予防および/または治療、
(ii)2型糖尿病の進行などの糖尿病疾患の進行の遅延または予防、耐糖能障害(IGT)からインスリンを必要とする2型糖尿病への進行の遅延、および/またはインスリンを必要としない2型糖尿病からインスリンを必要とする2型糖尿病への進行の遅延、
(iii)肥満などの摂食障害(例えば、食物摂取量の減少、体重減少、食欲の抑制(満腹感を含む))の予防および/もしくは治療、むちゃ食い障害、神経性大食症、および/もしくは抗精神病薬もしくはステロイドの投与によって誘発された肥満、胃の運動の低減、ならびに/または胃内容排出の遅延の治療または予防。
(iv)心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、血行再建、不安定狭心症のための入院、および心不全のための入院から成る群から選択される主要有害心血管イベント(MACE)の発症の遅延または低減などの心血管疾患の予防および/または治療。
(v)NASHの予防および/または治療。
(vi)アルツハイマー病の予防および/または治療。
【0044】
いくつかの実施形態では、適応症は、(i)である。いくつかの実施形態では、適応症は、(ii)である。なおさらなる特定の態様では、適応症は、(iii)である。なおさらなる特定の態様では、適応症は、(iv)である。なおさらなる特定の態様では、適応症は、(v)である。なおさらなる特定の態様では、適応症は、(vi)である。いくつかの実施形態では、適応症は、2型糖尿病および/または肥満である。
【0045】
いくつかの実施形態では、方法または使用は、本明細書で定義される1つ以上の疾患または状態の予防、治療、低減、および/または誘発を含む。いくつかの実施形態では、適応症は、(i)および(iii)である。いくつかの実施形態では、適応症は、(ii)および(iii)である。いくつかの実施形態では、本発明は、有効量のGLP-1ペプチドの投与を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、有効量のGLP-1ペプチドの投与に関する。
【0046】
一般に、肥満を患っているすべての対象者は、過体重も患っていると考えられる。いくつかの実施形態では、本発明は、肥満の治療または予防のための方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、肥満の治療または予防のための組成物の使用に関する。いくつかの実施形態では、肥満を患っている対象者は、成人のヒトまたは小児のヒト(幼児、児童、および青年を含む)などのヒトである。ボディマス指数(BMI)は、身長および体重に基づく体脂肪の指標である。計算式は、BMI=体重(キログラム)/身長(メートル)2である。肥満を患っているヒト対象者は、≧30のBMIを有することがあり、この対象者は肥満とも呼ばれる場合がある。いくつかの実施形態では、肥満を患っているヒト対象者は、≧35のBMI、または≧30~<40の範囲のBMIを有し得る。いくつかの実施形態では、肥満は、ヒト対象者が≧40のBMIを有し得る重度の肥満または病的肥満である。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明は、任意選択で少なくとも1つの体重に関連する併存疾患の存在下での過体重の治療または予防のための方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、任意選択で少なくとも1つの体重に関連する併存疾患の存在下での過体重の治療または予防のための組成物の使用に関する。いくつかの実施形態では、過体重を患っている対象者は、成人のヒトまたは小児のヒト(幼児、児童、および青年を含む)などのヒトである。いくつかの実施形態では、過体重を患っているヒト対象者は、≧27のBMIなど、≧25のBMIを有し得る。いくつかの実施形態では、過体重を患っているヒト対象者は、25~<30の範囲または27~<30の範囲のBMIを有する。いくつかの実施形態では、体重に関連する併存疾患は、高血圧、糖尿病(2型糖尿病など)、脂質異常症、高コレステロール、および閉塞性睡眠時無呼吸から成る群から選択される。
【0048】
いくつかの実施形態では、本発明は、体重の減少のための方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、体重の減少のための組成物の使用に関する。本発明に従う体重の減少を享受するヒトは、≧27のBMIまたは≧30のBMIなど、≧25のBMIを有し得る。いくつかの実施形態では、本発明に従う体重の減少を享受するヒトは、≧35のBMIまたは≧40のBMIを有し得る。「体重の減少」という用語は、肥満および/もしくは過体重の治療または予防を含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される場合、数または間隔に関連して与えられる特定の値は、特定の値として、またはおよそ特定の値(例えば、特定の値のプラスまたはマイナス10パーセント)として理解され得る。
【0050】
本発明の実施形態
以下は、本発明の非限定的な実施形態である。
【0051】
1. セマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、および6.4mg/mL超の塩化ナトリウムを含む、液体医薬組成物。
2. セマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、および6.4mg/mL超の塩化ナトリウムを含み、任意選択でヒスチジンをさらに含む、液体医薬組成物。
3. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、c)バッファー、d)少なくとも60%の水、任意選択でe)ヒスチジン、任意選択でf)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
4. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
5. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~8.9mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
6. a)0.5~10mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
7. a)0.5~10mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~8.9mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
8. a)3.2mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
9. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも97%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
10. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.25mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも97%の水(97~99%など)、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
11. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、f)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸ナトリウムもしくは酢酸などの酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
12. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
13. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
14. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~8.9mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
15. a)0.5~10mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
16. a)0.5~10mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~8.9mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
17. a)3.2mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
18. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも97%の水(97~99%など)、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
19. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
20. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
21. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~8.9mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
22. a)0.5~10mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
23. a)0.5~10mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~8.9mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
24. a)3.2mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
25. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも97%の水、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
26. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.25mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも97%の水(97~99%など)、任意選択でf)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
27. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、f)ヒスチジン、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸ナトリウムもしくは酢酸などの酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
28. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
29. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
30. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~8.9mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
31. a)0.5~10mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~12mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
32. a)0.5~10mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)8.1~8.9mg/mLの塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
33. a)3.2mg/mLのセマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
34. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも97%の水(97~99%など)、任意選択でg)HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物であって、当該組成物が、任意選択で7~8などの6~10のpHを有する、液体医薬組成物。
35. 0.09以下、代替的に0.08、代替的に0.07、代替的に0.06、代替的に0.05、代替的に0.04、代替的に0.03、代替的に0.02、代替的に0.01%(w/w)のフェノールを含む、前述の実施形態のうちのいずれか1つに従う液体医薬組成物。
36. 液体組成物がフェノールを本質的に含まない、前述の実施形態のうちのいずれか1つに従う液体医薬組成物。
37. フェノールを含まない、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
38. 7.0超、代替的に7.2超、代替的に7.5超、代替的に7.7超、代替的に8超、代替的に8.2超、代替的に8.25mg/mL超の塩化ナトリウムを含む、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
39. 7~12、代替的に7.5~12、代替的に8~12mg/mLの塩化ナトリウムを含む、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
40. 7~9.5、代替的に7~9、代替的に7~8.25mg/mLの塩化ナトリウムを含む、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
41. 7~10、代替的に7~9.5、代替的に8~9、代替的に8.1~8.9、代替的に8.1~8.8、代替的に8.2~8.7、代替的に8.2~8.6、代替的に8.2~8.5、代替的に8.2~8.4、代替的に8.2~8.3mg/mLの塩化ナトリウムを含む、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
42. 7~9.5または8~9など、7~10mg/mLの塩化ナトリウムを含む、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
43. 8.1~8.8または8.2~8.7など、8.1~8.9mg/mLの塩化ナトリウムを含む、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
44. 8.2~8.6または8.2~8.5mg/mLの塩化ナトリウムを含む、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
45. 8.2~8.4または8.2~8.3mg/mLの塩化ナトリウムを含む、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
46. 8.25mg/mLの塩化ナトリウムを含む、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
47. 当該組成物が、
a.非経口投与用であり、
b.少なくとも60%w/wの水を含む水溶液であり、または
c.バッファーをさらに含む、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
48. セマグルチドの濃度が、当該組成物の0.5~10mg/mLまたは0.01~3.5mg/mLである、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
49. セマグルチドの濃度が、0.5mg/mL、代替的に1mg/mL、代替的に1.5mg/mL、代替的に2mg/mL、代替的に2.5mg/mL、代替的に3mg/mL、代替的に3.5mg/mLである、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
50. セマグルチドの濃度が、3.2mg/mLである、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
51. 当該セマグルチドが、薬学的に許容可能な塩の形態である、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
52. 当該組成物が、少なくとも70%w/wの水または少なくとも80%w/wの水など、少なくとも60%w/wの水を含む水溶液である、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
53. 当該組成物が、少なくとも98%w/wの水など、少なくとも97%w/wの水を含む水溶液である、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
54. 当該組成物が、97~99%w/wの水を含む水溶液である、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
55. 当該液体医薬組成物が、バッファーを含む、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
56. 当該バッファーが、当該組成物の0.01~50mMの濃度で存在する、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
57. 当該バッファーが、リン酸バッファーである、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
58. 当該リン酸バッファーが、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、およびリン酸ナトリウムから成る群から選択される、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
59. 当該リン酸バッファーが、リン酸水素二ナトリウム二水和物である、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
60. 当該リン酸バッファーの濃度が、1~2mg/mL、代替的に1.1~1.9mg/mL、代替的に1.2~1.7mg/mL、代替的に1.3~1.6mg/mL、代替的に1.4~1.5mg/mLである、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
61. 当該リン酸バッファーの濃度が、1.42mg/mLである、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
62. 当該組成物が、HCl、NaOH、または酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤を含む、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
63. 当該組成物が、防腐剤を含まない、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
64. 当該組成物が、6.0~10.0、代替的に7~8の範囲のpHを有する、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
65. 当該組成物が、7.4のpHを有する、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
66. 当該組成物が、非経口投与用である、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
67. 当該組成物が、皮下投与用である、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
68.注射装置における使用のための、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
69. 当該組成物が、患者への注射による投与時に、軽度または非常に軽度の疼痛強度を有する、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
70. 当該組成物が、患者への注射による投与時に、非常に軽度の疼痛強度を有する、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
71. 当該組成物が、患者への注射による投与時に、33未満、代替的に16未満のVASスコアを有する、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
72. 当該組成物が、患者への注射による投与時に、20未満、代替的に15未満、代替的に10未満のVASスコアを有する、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
73. ヒスチジンをさらに含む、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
74. ヒスチジンの濃度が、0.5~100mM、代替的に0.5~50mM、代替的に0.5~20mM、代替的に0.5~15mM、代替的に0.5~10mMである、実施形態73に従う液体医薬組成物。0
75. より少ない不純物が貯蔵中に生成される、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
76. より少ないHMWPが貯蔵中に生成される、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
77. より少ない疎水性不純物1が貯蔵中に生成される、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
78. より少ない疎水性不純物2が貯蔵中に生成される、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
79. 組成物の改善された化学的安定性が得られる、前述の実施形態のうちのいずれかに従う液体医薬組成物。
80. 0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、7~9mg/mLの塩化ナトリウム、および1~2mg/mLのリン酸バッファーを含む、液体医薬組成物。
81. 0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、7~9mg/mLの塩化ナトリウム、0.5~10mMのヒスチジン、および1~2mg/mLのリン酸バッファーを含む、液体医薬組成物。
82. 0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、7~9mg/mLの塩化ナトリウム、および1~2mg/mLのリン酸水素二ナトリウム二水和物を含む、液体医薬組成物。
83. 0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、7~9mg/mLの塩化ナトリウム、0.5~10mMのヒスチジン、および1~2mg/mLのリン酸水素二ナトリウム二水和物を含む、液体医薬組成物。
84. 0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、8.25mg/mLの塩化ナトリウム、および1.42mg/mLのリン酸水素二ナトリウム二水和物を含む、液体医薬組成物。
85. 0.5~3.5mg/mLのセマグルチド、0.1%(w/w)以下のフェノール、8.25mg/mLの塩化ナトリウム、0.5~10mMのヒスチジン、および1.42mg/mLのリン酸水素二ナトリウム二水和物を含む、液体医薬組成物。
86. 前述の実施形態のうちのいずれか1つに従う液体医薬組成物と、使用説明書とを含む、キット。
87. 実施形態1~85のうちのいずれか1つに従う液体医薬組成物と、対象者への当該組成物の投与のための注射装置とを含む、キット。
88. 当該注射装置が、耐久性ペンおよび事前充填ペンから成る群から選択される、実施形態87に従うキット。
89. 前述の実施形態のうちのいずれか1つで定義されるような液体医薬組成物と、対象者への当該組成物の投与のための事前充填シリンジなどの針を含む注射装置とを含む、キット。
90. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から本質的に成る液体医薬組成物と、対象者への当該組成物の投与のための事前充填シリンジなどの針を含む注射装置とを含むキットであって、当該組成物が任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する、キット。
91. a)セマグルチド、任意選択でb)0.1%(w/w)以下のフェノール、c)6.4mg/mL超の塩化ナトリウム、d)バッファー、e)少なくとも60%の水、任意選択でg)HCl、NaOH、もしくは酢酸塩などのpHを調節するための1つ以上の薬剤から成る液体医薬組成物と、対象者への当該組成物の投与のための事前充填シリンジなどの針を含む注射装置とを含むキットであって、当該組成物が任意選択で、7~8などの6~10のpHを有する、キット。
92. 医療において使用するための、実施形態1~85のうちのいずれか1つに従う液体医薬組成物。
93. 糖尿病、肥満、アルツハイマー病、NASH、および/または心血管疾患の治療および/または予防に使用するための、実施形態1~85のうちのいずれか1つに従う液体医薬組成物。
94. アルツハイマー病の治療および/または予防に使用するための、実施形態1~85のうちのいずれか1つに従う液体医薬組成物。
95. アルツハイマー病、NASH、および/または心血管疾患の治療および/または予防に使用するための、実施形態1~85のうちのいずれか1つに従う液体医薬組成物。
96. 糖尿病または肥満の予防または治療のための方法であって、実施形態1~85のうちのいずれか1つに従う液体医薬組成物が、それを必要とする対象者に投与される、方法。
97. アルツハイマー病、NASH、および/または心血管疾患の予防または治療のための方法であって、実施形態1~85のうちのいずれか1つに従う液体医薬組成物が、それを必要とする対象者に投与される、方法。
【実施例
【0052】
略語リスト
SDD:単回用量装置
VAS:視覚的アナログ計量器
WFI:注射用水
q.s.:適量
【0053】
一般的な方法
臨床研究のためのセマグルチド組成物の調製:
セマグルチドの組成物を、バッファー(リン酸水素二ナトリウム二水和物)、等張剤(プロピレングリコールまたは塩化ナトリウム)、フェノール(任意選択)を水中で溶解することによって調製した。バッファー溶液のpHを、水酸化ナトリウムおよび/または塩酸の添加により7.4に調節した。セマグルチドをその中に溶解し、pHを水酸化ナトリウムおよび/または塩酸を使用して7.4に調節し、最後に、組成物を0.22μmの滅菌フィルターで濾過することによって滅菌した。セマグルチドの組成物を、事前充填シリンジまたはカートリッジに充填した。セマグルチドのすべての組成物は、保存可能期間および使用中条件下で許容可能な安定性を有する。
【0054】
臨床研究のデザイン
試験された組成物を、セクション「臨床研究のためのセマグルチド組成物の調製」に記載されるように調製した。
【0055】
両方の産物を使用して0.25mgのセマグルチドを皮下に送達したときの、指定された産物(表2および4を参照されたい)の注射部位疼痛経験を比較する、健康な男性および女性における、単一施設、クロスオーバー、無作為化、二重盲検試験を実施した。表1に示されるように、対象者を、産物および注射側の4つの順序に2×2スキームで均等に無作為化した。
【表1】
【0056】
スタッフメンバーは、視診および触診に基づく判断により、皮下脂肪の最大の厚さを有する、正中線の割り当てられた側の注射部位を選択するよう指示された。FORM C/D産物を用いた注射は、DV3396ペン型注射器の使用説明書に記載されるように、すなわち、持ち上げられた皮膚を摘まむことなく実施した。FORM B産物を用いた注射は、PDS290ペン型注射器の使用説明書およびYpsomed Clickfine AutoProtect、8mm×29G針の使用説明書に記載されているように実施した。
【0057】
対象者は、セマグルチド0.25mgを1日に2回の単回用量を受けた。2つの産物を、正中線の対向する側上の腹壁の前面に少なくとも30分間隔を空けて投与した。
【0058】
1回目の用量を以下のように投与した。研究室に存在した非盲検スタッフメンバーが、他の非盲検スタッフメンバーが注射を開始したときにタイマーを開始した。タイマーは、対象者に見えないように配置された。投与されたときに、盲検スタッフメンバーは部屋に存在しなかった。投与直後、非盲検チームは部屋を出て、盲検チームが引き継いだ。これは、「注射後1分」以内の時点であった。
【0059】
注射部位疼痛VASの強度は、対象者が治験薬の各注射の1分後に開始することによって記入され、注射の1分後に経験した疼痛強度が報告された。対象者にVAS(100mm)上に垂直線を引くように指示し、評価項目は「疼痛なし」および「耐えられない疼痛」である。VASを以下に示す。評価項目の「疼痛なし」とVAS上の垂直線との間の距離(mm)を記録した。VASは、注射部位疼痛を評価するための十分に検証されたツールである((Williamson A1,Hoggart B.“Pain:a review of three commonly used pain rating scales.”J Clin Nurs.2005 Aug;14(7):798-804.))。
【表A】
【0060】
最初の注射の少なくとも30分後、対象者から疼痛が完全になくなったと確認した後(最後の注射の評価に影響しないために)、タイマーがリセットされ、最後の注射が与えられた。各対象者において、2回のセマグルチド注射を同じスタッフメンバーによって実施した。疼痛が30分でなくならなかった場合、60分でさらなる試みを行った。その時点で疼痛が依然として存在する場合、それ以上の試みは行われなかった。
【0061】
最後の注射の後、上述のように、最初の注射の後と同じ測定を実施した。対象者は、自身の以前の評価を調べることは許可されなかった。
【0062】
合計100人の対象者を試験し、VASスコアを、取得されたVASスコアの平均として示す。実際の試験および統計量からのデータを使用して、所与のVASスコアに最も合致した疼痛カテゴリーを、以下に示されるように計算した。カテゴリー「非常に重度」ならびに83超のVASスコアは使用されておらず、特徴付けされ得ることはなかった。
【表B】
【0063】
安定性研究のためのセマグルチド組成物の調製:
別段の記載がない限り、セマグルチドの組成物を、バッファー(リン酸水素二ナトリウム二水和物)、等張剤(塩化ナトリウム)、および任意選択で安定剤(ヒスチジン)を水中で溶解することによって調製した。セマグルチドをその中に溶解した。pHを水酸化ナトリウムおよび/または塩酸を使用して7.4に調節し、最後に、組成物を0.22μmの滅菌フィルターで濾過することによって滅菌した。セマグルチドおよび任意選択でヒスチジンを含む組成物を、事前充填シリンジ(Ompi、#7600002.8506)に添加した。
【0064】
アッセイ(I):セマグルチド組成物の高分子量タンパク質(HMWP)含有量の決定
HMWP含有量の決定は、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸、およびイソプロパノールの移動相を含むWaters Insulin HMWPカラムを使用したサイズ排除クロマトグラフィ(SE-HPLC)、アイソクラティック溶出、および280nmでの検出を使用して実施した。HMWPの含有量は、HMWPおよびセマグルチドモノマーピークの合計面積に対して、セマグルチドモノマーピーク(すなわち、HMWPピーク)よりも早く溶出するクロマトグラフィーピークの合計面積として%単位で示される。
【0065】
アッセイ(II):セマグルチド組成物の疎水性不純物1および2、親水性不純物、ならびに合計不純物の決定
セマグルチド組成物の疎水性不純物1および2、親水性不純物、ならびに合計不純物の決定を、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)を使用して実施した。RP-HPLC法を、Kinetex C18カラム上で実施し、アイソクラティック溶出から開始し、その後、溶離液A(90%0.09Mリン酸バッファー、pH3.6、および10%アセトニトリル)および溶離液B(60%アセトニトリルおよび20%イソプロパノール)を使用して、約50:50から10:90、および約50:50のA:Bまで戻るように勾配溶出した。検出を210nmで実施した。
【0066】
不純物の合計は、セマグルチドおよびセマグルチド関連不純物ピークの合計面積に対する全セマグルチド関連不純物ピークの面積として計算され、パーセンテージで表される。不純物の合計は3つの群にさらに分けられる。
・親水性不純物は、セマグルチドの前に溶出される不純物ピークである。
・疎水性不純物1は、クロマトグラムにおいてセマグルチドと第2の線形勾配の開始との間で溶出されるすべてのピークである。
・疎水性不純物2は、クロマトグラムにおける第1のアイソクラティック溶出の終了と第3の線形勾配の開始との間で溶出されるすべてのピークである。
これら3つの不純物群は、全セマグルチド関連ピークの合計面積に対して個別にパーセンテージで表される。
【0067】
実施例1:承認されたOzempic(登録商標)製剤および新しいSDD製剤を比較する臨床研究
目的:新しいSDD製剤を試験し、承認されたOzempic(登録商標)製剤と比較すること。
【0068】
試験を、セクション「臨床研究のデザイン」に記載されるように実施した。以下の2つの産物を比較した。FORM B産物(製剤B(Ozempic(登録商標)、PDS290)およびFORM C産物(製剤C、DV3396)。組成物を表2に示す。セマグルチドの濃度の差に加えて、防腐剤(フェノール)は製剤Cから除去され、これは、産物が単回注射のために意図されているためである。フェノールを除去した後の製剤の等張性を調節するために、プロピレングリコールの含有量を14.0mg/mLから18.5mg/mLに調節する。組成物の変化は太字で強調表示される。
【表2】
【表3】
【0069】
表3に示されるVASスコアを得た。低いVASスコアは、疼痛の低い経験に関連する。FORM B産物について4.4mmのVASスコア(非常に軽度の疼痛強度)を得たが、FORM C産物について35.1mmのVASスコア(中等度の疼痛強度)を得た。これらの結果は、対象者が、FORM B産物と比較して、FORM C産物で増加された注射疼痛を経験することを示す。
【0070】
実施例2:承認されたOzempic(登録商標)製剤および新しい改善されたSDD製剤を比較する臨床研究
目的:新しい改善されたSDD製剤を試験し、承認されたOzempic(登録商標)製剤と比較すること。
【0071】
試験を、セクション「臨床研究のデザイン」に記載されるように実施した。以下の2つの産物を比較した。FORM B産物(製剤B(Ozempic(登録商標)、PDS290)およびFORM D産物(製剤D、DV3396)。セマグルチド単回用量の新しい製剤が開発され、許容可能な物理的および化学的安定性を示した。最適化された製剤(製剤Dと名付けられる)は、プロピレングリコールの代わりに塩化ナトリウムを含む(等張性を得るために8.25mg/mL)。組成物を表4に示す。
【表4】
【表5】
【0072】
表5に示されるVASスコアを得た。FORM B産物について5.7mmのVASスコア(非常に軽度の疼痛強度)を得、FORM D産物について8.3mmのVASスコア(非常に軽度の疼痛強度)を得た。これらの結果は、対象者が、FORM B産物と比較して、FORM D産物で類似の非常に軽度の注射疼痛を経験することを示す。これらの結果は、注射による疼痛経験は、使用される装置と無関係であるが、セマグルチドを含む異なる製剤が疼痛の経験に影響を与えることを示す。
【0073】
実施例3:安定性研究(30℃)
セマグルチドを含む組成物を、「安定性研究のためのセマグルチド組成物の調製」に記載されるように調製し、一般的な方法に記載されるようにアッセイ(I)およびアッセイ(II)を使用して試験した。試験された組成物は、表6に明記されるようにセマグルチド(0.5mg/mL)、塩化ナトリウム(8.25mg/mL)、リン酸水素二ナトリウム二水和物(1.42mg/mL)、および任意選択でヒスチジン(0.5、2、および10mM)を、水溶液中にpH7.4で含んでいた。組成物を、固定針(充填体積0.5mL)で事前充填シリンジに添加した。充填シリンジを30℃で貯蔵し、化学的安定性を経時的に追跡した。化学的安定性を、30℃で貯蔵した後に、アッセイ(I)に記載されるようにHMWPの形成を測定することによって決定し、結果を表7に提供する。セマグルチド関連不純物の形成を、30℃で貯蔵した後に、アッセイ(II)に記載されるように決定し、結果を表8~11に提供する。
【表6】
【表7】
【0074】
表7に掲示される結果は、ヒスチジンが組成物中に存在するとき、貯蔵中により少ないHMWPが形成されることを示し、ヒスチジンなしで生成されたバッチと比較して、約50%の最大HMWPの低減が、10mMヒスチジンの添加により31日後および最大150日後に観察される。より低いHMWPの濃度は、より良好な安定性に対応し、すなわち、組成物は、ヒスチジンが存在する場合に化学的により安定である。
【表8】
【0075】
表8に掲示される結果は、ヒスチジンが組成物中に存在するとき、貯蔵中により少ない疎水性不純物1が形成されることを示す。より低い疎水性不純物1の濃度は、より良好な安定性に対応し、すなわち、組成物は、ヒスチジンが存在する場合に化学的により安定である。
【表9】
【0076】
表9に掲示される結果は、ヒスチジンが組成物中に存在するとき、貯蔵中により少ない疎水性不純物2が形成されることを示し、ヒスチジンなしで生成されたバッチと比較して、約50%の最大疎水性不純物2の低減が、10mMヒスチジンの添加により31日後および最大150日後に観察される。より低い疎水性不純物2の濃度は、より良好な安定性に対応し、すなわち、組成物は、ヒスチジンが存在する場合に化学的により安定である。
【表10】
【0077】
表10に掲示される結果は、ヒスチジンが組成物中に存在するとき、親水性不純物の形成にほとんどまたは全く影響しないことが観察されることを示す。したがって、組成物は、ヒスチジンが存在する場合、同様に安定である。
【表11】
【0078】
表8~11に掲示される結果は、ヒスチジンが組成物中に存在するとき、貯蔵中に全体的により少ない不純物が形成されるにつれて、セマグルチドの化学的安定性が類似するかまたは改善されることを示す。改善された安定性プロファイル(より低い不純物レベル)は、より長い医薬品保存可能期間および/または使用期間を可能にすることができる。
【0079】
実施例4:安定性研究(5℃)
セマグルチドを含む組成物を、「安定性研究のためのセマグルチド組成物の調製」に記載されるように調製し、一般的な方法に記載されるようにアッセイ(I)およびアッセイ(II)を使用して試験した。試験された組成物は、表6に明記されるようにセマグルチド(0.5mg/mL)、塩化ナトリウム(8.25mg/mL)、リン酸水素二ナトリウム二水和物(1.42mg/mL)、および任意選択でヒスチジン(0.5、2、および10mM)を、水溶液中にpH7.4で含んでいた。組成物を、固定針(充填体積0.5mL)で事前充填シリンジに添加した。充填シリンジを5℃で貯蔵し、化学的安定性を経時的に追跡した。化学的安定性を、5℃で貯蔵した後に、アッセイ(I)に記載されるようにHMWPの形成を測定することによって決定し、結果を表12に提供する。セマグルチド関連不純物の形成を、5℃で貯蔵した後に、アッセイ(II)に記載されるように決定し、結果を表13~16に提供する。
【表12】
【0080】
表12に掲示される結果は、表7に示される30℃で得られたデータの一般的な傾向を裏付ける。
【表13】
【0081】
表13に掲示される結果は、表8に示される30℃で得られたデータの一般的な傾向を裏付ける。
【表14】
【0082】
表14に掲示される結果は、表9に示される30℃で得られたデータの一般的な傾向を裏付ける。
【表15】
【0083】
表15に掲示される結果は、表10に示される30℃で得られたデータの一般的な傾向を裏付ける。
【表16】
【0084】
表16に掲示される結果は、表11に示される30℃で得られたデータの一般的な傾向を裏付ける。
【0085】
表12~16に掲示される結果は、ヒスチジンが組成物中に存在するとき、長期貯蔵条件でのセマグルチドの化学的安定性は、30℃で得られた結果とのアライメントの改善を示すことを示す。改善された安定性プロファイル(より低い不純物レベル)は、より長い医薬品保存可能期間(典型的には少なくとも3年間)および/または使用期間を可能にすることができる。
【0086】
本発明のある特定の特徴が本明細書に例示および記載されているが、ここで、多くの修正、置換、変更、および同等物が当業者に想到されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨の範囲内にあるこうしたすべての修正および変更を網羅することを意図していることが理解されるべきである。