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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】状態判定装置及び状態判定方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20220830BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20220830BHJP
   B22D 46/00 20060101ALI20220830BHJP
   B22D 17/32 20060101ALI20220830BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20220830BHJP
【FI】
G05B23/02 302Z
B29C45/76
B22D46/00
B22D17/32 J
G06N20/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022501067
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2021036474
【審査請求日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】P 2020168773
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】堀内 淳史
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 裕泰
(72)【発明者】
【氏名】清水 顕次郎
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/143118(WO,A1)
【文献】特開2019-153018(JP,A)
【文献】特開2018-147385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 -23/02
B29C 45/76
B22D 46/00
B22D 17/32
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械の状態を判定する状態判定装置であって、
前記産業機械に係るデータを取得するデータ取得部と、
産業機械に係るデータに対する該産業機械の動作状態を学習した学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
前記データ取得部が産業機械から取得したデータに基づいて、前記学習モデル記憶部に記憶された学習モデルを用いた該産業機械の状態に係る推定値を推定する推定部と、
前記推定部が推定した複数の推定値より統計量を算出する条件として、少なくとも前記統計量の算出に係る統計関数と標本数とを含む統計条件を記憶する統計条件記憶部と、
前記統計条件記憶部に記憶した統計条件に従い統計量を算出し、算出した前記統計量を用いて前記推定部による推定値を補正した統計推定値を算出する統計データ算出部と、
前記統計推定値に基づいて、前記産業機械の状態を判定した結果を出力する判定結果出力部と、
を備え、
前記統計データ算出部は、前記産業機械に発生したイベントの前に前記推定部により推定された推定値に基づいて算出した第1の統計量及び前記イベントの後に前記推定部により推定された推定値に基づいて算出した第2の統計量を算出し、算出した前記第1の統計量及び前記第2の統計量と、予め定めた所定の補正関数を用いて、前記イベントの後に前記推定部により推定された推定値を補正した統計推定値を算出する、
状態判定装置。
【請求項2】
前記イベントは、付帯設備の交換、運転条件の変更、生産材料の変更、自動運転の開始、点検作業の終了、のうちの少なくとも1つである、
請求項1に記載の状態判定装置。
【請求項3】
前記統計関数は、加重平均、算術平均、重み付き調和平均、調和平均、刈り込み平均、二乗和平均平方根、最小値、最大値、最頻値、加重中央値、のうちのいずれかを算出するためのものである、請求項1に記載の状態判定装置。
【請求項4】
前記統計条件は、所定の除外期間を含み、
前記統計データ算出部は、前記イベントの後に前記推定部により推定された推定値から、前記所定の除外期間に含まれる推定値を除いて前記第2の統計量を算出する、
請求項1に記載の状態判定装置。
【請求項5】
前記補正関数は、前記第1の統計量から前記第2の統計量を減算し、その減算した結果を前記イベントの後に前記推定部による推定された推定値に加算するものである、
請求項1に記載の状態判定装置。
【請求項6】
前記学習モデルは、教師あり学習、教師なし学習、及び強化学習のうち少なくとも1つの学習方法で学習したものである、
請求項1に記載の状態判定装置。
【請求項7】
前記判定結果出力部が出力する判定の結果は、表示装置に対して表示出力される、
請求項1に記載の状態判定装置。
【請求項8】
前記判定結果出力部は、前記産業機械の状態が異常であると判定された場合、前記産業機械の運転を停止、減速、または前記産業機械を駆動する原動機の駆動トルクを制限する信号のうち少なくともいずれかを出力する、
請求項1に記載の状態判定装置。
【請求項9】
前記データ取得部は、有線または無線のネットワークを介して接続され複数の産業機械からデータを取得する、
請求項1に記載の状態判定装置。
【請求項10】
前記産業機械と有線又は無線のネットワークを介して接続された上位装置上に実装されている、
請求項1に記載の状態判定装置。
【請求項11】
産業機械の状態を判定する処理をコンピュータが実行する状態判定方法であって、
前記産業機械に係るデータを取得するステップと、
産業機械に係るデータに対する該産業機械の動作状態を学習した学習モデルを用いて、前記取得するステップで産業機械から取得したデータに基づいた該産業機械の状態に係る推定値を推定するステップと、
少なくとも統計量の算出に係る統計関数と標本数とを含む統計条件に従い、複数の前記推定値から統計量を算出し、算出した前記統計量を用いて前記推定値を補正した統計推定値を算出するステップと、
前記統計推定値に基づいて、前記産業機械の状態を判定した結果を出力するステップと、
コンピュータが実行する状態判定方法であって、
前記統計推定値を算出するステップでは、
前記産業機械に発生したイベントの前に前記推定するステップで推定された推定値に基づいて算出した第1の統計量と、前記イベントの後に前記推定するステップで推定された推定値に基づいて算出した第2の統計量とを算出し、また、
算出した前記第1の統計量及び前記第2の統計量と、予め定めた所定の補正関数とを用いて、前記イベントの後に前記推定するステップで推定された推定値を補正した前記統計推定値を算出する、
状態判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機械に係る状態判定装置及び状態判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機等の産業機械の保守は定期的あるいは異常発生時に行っている。産業機械を保守する際には、産業機械の動作時に記録しておいた該産業機械の動作状態を示す物理量を用いることにより、保守担当者が該産業機械の動作状態の異常有無を判定し、異常が生じた部品の交換などの保守作業を行なう。
【0003】
以下に、射出成形機の場合を例として説明する。射出成形機が備える射出シリンダの逆流防止弁の保守作業としては、定期的に射出シリンダからスクリュを抜き出して、逆流防止弁の寸法を直接測定する方法が知られている。しかしながら、この方法では生産を一旦停止して、測定作業を行わなくてはならず、生産性が低下するという問題が有った。
【0004】
この様な問題を解決するための従来技術として、射出シリンダからスクリュを抜き出す等の生産を一旦停止させるようなことをすることなく間接的に射出シリンダの逆流防止弁の摩耗量を検出して異常を診断する方法が知られていて、スクリュに加わる回転トルクを検出したり、樹脂がスクリュ後方へ逆流する現象を検出したりして、異常を診断している。
【0005】
例えば、特許文献1,2には、駆動部の負荷や樹脂圧力などを教師あり機械学習によって異常を判定することが開示されている。しかしながら、生産に必要な金型等の付帯設備や樹脂等の生産材料を交換したり、機械の運転状態や動作状態が変動したりすると、該機械より得られる測定値と機械学習時に用いた学習データとに乖離が生じ、正しく機械学習による判定ができないという問題が生じる。
【0006】
特許文献3では、機械学習して導かれる異常度推定値に関して、1つの学習モデルより算出した異常度推定値に対して、射出成形の機種や機材に関連づけられた補正係数を用いて補正した異常度補正値を導くことが開示されている。これにより、1つの学習モデルを多種多様な機種や付帯設備や生産材料に汎用的に適用できるが、予め付帯設備や生産材料に対応した補正量を用意する必要があり、これを調整する作業が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-030221号公報
【文献】特開2017-202632号公報
【文献】特開2020-044718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、生産に必要な金型等の付帯設備や、樹脂等の生産材料のバリエーションに対応するには、複数の状態判定装置や複数の学習モデルを用意する必要があった。更に、機械の運転状態や動作状態が変動した場合(例えば、生産に必要な金型等の付帯設備を交換したり、樹脂等の生産材料を交換したりした場合)、その変動に応じて、異常有無の判定基準や判定方法を変更する必要があり、作業効率が悪く、コストを要し、汎用性が低かった。
【0009】
この要因は、付帯設備(例えば、金型、金型温調機、樹脂乾燥機など)や生産材料を交換したり、運転条件(例えば、射出速度や射出圧力などのパラメータや画面設定値、プログラムなど)を変更したり、自動運転を一旦停止して再起動したり、運転状態や動作状態に変化や変更が生じると、その変化や変更の前後で学習モデルより算出した異常度に大きな差異が生じるからであり、これにより異常度の判定精度が悪化するかもしくは正しい判定を行えない事態となる。
【0010】
具体的には、運転状態や動作状態が変化した後の測定値は、学習モデル作成時の測定値(学習データ)と比較すると乖離する場合があり、正常な状態であるにも関わらず、機械学習によって推定した推定値にオフセット(ズレ)が生じる場合があり、判定精度が悪化する。
すなわち、多種多様な生産環境やオペレータの要望に対応するため、学習モデルより算出された状態判定結果を、産業機械の運転状態や動作状態等の変化に適応させる手法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による状態判定装置は、産業機械から取得される時系列データに基づいて、異常度を学習した学習モデルを用いて異常度を推定し、産業機械の運転状態や動作状態が変化するイベントが発生したタイミングにて、そのイベントの前後に得られた複数の推定値より統計量を算出し、算出した統計量に基づいて学習モデルにより推定された推定値(異常度)を補正した推定値(異常度)を導き、その補正した推定値によって異常度を判定することで、上記課題を解決する。
【0012】
そして、本発明の一態様は、産業機械の状態を判定する状態判定装置であって、前記産業機械に係るデータを取得するデータ取得部と、産業機械に係るデータに対する該産業機械の動作状態を学習した学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、前記データ取得部が産業機械から取得したデータに基づいて、前記学習モデル記憶部に記憶された学習モデルを用いた該産業機械の状態に係る推定値を推定する推定部と、前記推定部が推定した複数の推定値より統計量を算出する条件として、少なくとも前記統計量の算出に係る統計関数と標本数とを含む統計条件を記憶する統計条件記憶部と、前記統計条件記憶部に記憶した統計条件に従い統計量を算出し、算出した前記統計量を用いて前記推定部による推定値を補正した統計推定値を算出する統計データ算出部と、前記統計推定値に基づいて、前記産業機械の状態を判定した結果を出力する判定結果出力部と、を備え、前記統計データ算出部は、前記産業機械に発生したイベントの前に前記推定部により推定された推定値に基づいて算出した第1の統計量及び前記イベントの後に前記推定部により推定された推定値に基づいて算出した第2の統計量を算出し、算出した前記第1の統計量及び前記第2の統計量と、予め定めた所定の補正関数を用いて、前記イベントの後に前記推定部により推定された推定値を補正した統計推定値を算出する、状態判定装置である。
【0013】
本発明の他の態様は、産業機械の状態を判定する処理をコンピュータが実行する状態判定方法であって、前記産業機械に係るデータを取得するステップと、産業機械に係るデータに対する該産業機械の動作状態を学習した学習モデルを用いて、前記取得するステップで産業機械から取得したデータに基づいた該産業機械の状態に係る推定値を推定するステップと、少なくとも統計量の算出に係る統計関数と標本数とを含む統計条件に従い、複数の前記推定値から統計量を算出し、算出した前記統計量を用いて前記推定値を補正した統計推定値を算出するステップと、前記統計推定値に基づいて、前記産業機械の状態を判定した結果を出力するステップと、をコンピュータが実行する状態判定方法であって、前記統計推定値を算出するステップでは、前記産業機械に発生したイベントの前に前記推定するステップで推定された推定値に基づいて算出した第1の統計量と、前記イベントの後に前記推定するステップで推定された推定値に基づいて算出した第2の統計量とを算出し、また、算出した前記第1の統計量及び前記第2の統計量と、予め定めた所定の補正関数とを用いて、前記イベントの後に前記推定するステップで推定された推定値を補正した前記統計推定値を算出する、状態判定方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様により、多種多様な運転状態や動作状態の変動が生じた場合であっても、機械学習で得た1つの学習モデルによる推定値を汎用的に用いることができ、様々な状態における判定精度の向上と、ロバスト(頑健)な判定を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態による状態判定装置の概略的なハードウェア構成図である。
図2】射出成形機の概略構成図である。
図3】第1実施形態による状態判定装置の概略的な機能ブロック図である。
図4】1つの成形品を製造する成形サイクルの例を示す図である。
図5】機械学習装置が推定した射出成形機の状態に係る推定値をプロットした図である。
図6】統計条件の例を示す図である。
図7】統計条件で示された各推定値の区分を示す図である。
図8】補正された統計推定値の例を示す図である。
図9】統計条件の入力画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明の一実施形態による状態判定装置の要部を示す概略的なハードウェア構成図である。
本実施形態による状態判定装置1は、例えば、制御用プログラムに基づいて産業機械を制御する制御装置として実装することができ、また、制御用プログラムに基づいて産業機械を制御する制御装置に併設されたパソコンや、有線/無線のネットワークを介して制御装置と接続されたパソコン、セルコンピュータ、フォグコンピュータ6、クラウドサーバ7等の上位装置に実装することもできる。本実施形態では、状態判定装置1を、ネットワーク9を介して制御装置3と接続されたパソコンの上に実装した例を示す。なお、本発明の状態判定装置がその状態判定の対象とする産業機械としては、射出成形機、工作機械、鉱山機械、木工機械、農業機械、建設機械などが例示される。以下では、そのような産業機械の一例としての射出成形機について説明する。
【0017】
本実施形態による状態判定装置1が備えるCPU11は、状態判定装置1を全体的に制御するプロセッサである。CPU11は、バス22を介してROM12に格納されたシステム・プログラムを読み出し、該システム・プログラムに従って状態判定装置1全体を制御する。RAM13には一時的な計算データや表示データ、及び外部から入力された各種データ等が一時的に格納される。
【0018】
不揮発性メモリ14は、例えば図示しないバッテリでバックアップされたメモリやSSD(Solid State Drive)等で構成され、状態判定装置1の電源がオフされても記憶状態が保持される。不揮発性メモリ14には、インタフェース15を介して外部機器72から読み込まれたデータ、インタフェース18を介して入力装置71から入力されたデータ、ネットワーク9を介して射出成形機4から取得されたデータ等が記憶される。記憶されるデータには、例えば制御装置3により制御される射出成形機4に取り付けられた各種センサ5により検出された駆動部のモータ電流、電圧、トルク、位置、速度、加速度、金型内圧力、射出シリンダの温度、樹脂の流量、樹脂の流速、駆動部の振動や音等の物理量に係るデータが含まれていてよい。不揮発性メモリ14に記憶されたデータは、実行時/利用時にはRAM13に展開されてもよい。また、ROM12には、公知の解析プログラムなどの各種システム・プログラムがあらかじめ書き込まれている。
【0019】
インタフェース15は、状態判定装置1のCPU11と外部記憶装置等の外部機器72と接続するためのインタフェースである。外部機器72側からは、例えばシステム・プログラムや射出成形機4の運転に係るプログラムやパラメータ等を読み込むことができる。また、状態判定装置1側で作成・編集したデータ等は、外部機器72を介してCFカードやUSBメモリ等の外部記憶媒体(図示せず)に記憶させることができる。
【0020】
インタフェース20は、状態判定装置1のCPUと有線乃至無線のネットワーク9とを接続するためのインタフェースである。ネットワーク9は、例えばRS-485等のシリアル通信、Ethernet(登録商標)通信、光通信、無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の技術を用いて通信をするものであってよい。ネットワーク9には、射出成形機4を制御する制御装置3やフォグコンピュータ6、クラウドサーバ7等が接続され、状態判定装置1との間で相互にデータのやり取りを行っている。
【0021】
表示装置70には、メモリ上に読み込まれた各データ、プログラム等が実行された結果として得られたデータ、後述する機械学習装置2から出力されたデータ等がインタフェース17を介して出力されて表示される。また、キーボードやポインティングデバイス等から構成される入力装置71は、オペレータによる操作に基づく指令,データ等をインタフェース18を介してCPU11に渡す。
【0022】
インタフェース21は、CPU11と機械学習装置2とを接続するためのインタフェースである。機械学習装置2は、機械学習装置2全体を統御するプロセッサ201と、システム・プログラム等を記憶したROM202、機械学習に係る各処理における一時的な記憶を行うためのRAM203、及び学習モデル等の記憶に用いられる不揮発性メモリ204を備える。機械学習装置2は、インタフェース21を介して状態判定装置1で取得可能なデータ(例えば、射出成形機4に取り付けられた各種センサ5により検出された駆動部のモータ電流、電圧、トルク、位置、速度、加速度、金型内圧力、射出シリンダの温度、樹脂の流量、樹脂の流速、駆動部の振動や音等の物理量に係るデータ等)を観測することができる。また、状態判定装置1は、機械学習装置2から出力される処理結果をインタフェース21を介して取得し、取得した結果を記憶したり、表示したり、他の装置に対してネットワーク9等を介して送信したりする。
【0023】
図2は、射出成形機4の概略構成図である。
射出成形機4は、主として型締ユニット401と射出ユニット402とから構成されている。型締ユニット401には、可動プラテン416と固定プラテン414が備えられている。また、可動プラテン416には可動側金型412が、固定プラテン414には固定側金型411がそれぞれ取り付けられている。一方、射出ユニット402は、射出シリンダ426と、射出シリンダ426に供給する樹脂材料を溜めるホッパ436と、射出シリンダ426の先端に設けられたノズル440とから構成されている。1つの成形品を製造する成形サイクルでは、型締ユニット401で、可動プラテン416の移動によって型閉じ・型締めを行い、射出ユニット402で、ノズル440を固定側金型411に押し付けてから樹脂を金型内に射出する。これらの動作は制御装置3からの指令により制御される。
【0024】
また、射出成形機4の各部にはセンサ5が取り付けられており、駆動部のモータ電流、電圧、トルク、位置、速度、加速度、金型内圧力、射出シリンダ426の温度、樹脂の流量、樹脂の流速、駆動部の振動や音等の物理量が検出されて制御装置3に送られる。制御装置3では、検出された各物理量が図示しないRAMや不揮発性メモリ等に記憶され、必要に応じてネットワーク9を介して状態判定装置1へ送信される。
【0025】
図3は、本発明の第1実施形態による状態判定装置1が備える機能を概略的なブロック図として示したものである。
本実施形態による状態判定装置1が備える各機能は、図1に示した状態判定装置1が備えるCPU11及び機械学習装置2が備えるプロセッサ201がそれぞれシステム・プログラムを実行し、状態判定装置1及び機械学習装置2の各部の動作を制御することにより実現される。
【0026】
本実施形態の状態判定装置1は、データ取得部100、データ抽出部110、推定指令部120、統計データ算出部130、判定結果出力部140を備える。また、機械学習装置2は、推定部207を備える。更に、状態判定装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14には、データ取得部100が制御装置3等から取得したデータを記憶するための領域としての取得データ記憶部300と、統計データ算出部130による統計データの算出に用いる統計条件を予め記憶する統計条件記憶部310と、統計データ算出部130が算出した統計データを記憶するための領域としての統計データ記憶部320と、が予め用意されている。また、機械学習装置2のRAM203乃至不揮発性メモリ204上には、後述する学習部が作成した産業機械から取得した所定の物理量に係るデータと該産業機械に係る状態との相関性を学習した学習モデル214を記憶するための領域として学習モデル記憶部210が予め用意されている。
【0027】
データ取得部100は、図1に示した状態判定装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、インタフェース15、18又は20による入力制御処理とが行われることで実現される。データ取得部100は、射出成形機4に取り付けられたセンサ5で検出された駆動部のモータ電流、電圧、トルク、位置、速度、加速度、金型内圧力、射出シリンダ426の温度、樹脂の流量、樹脂の流速、駆動部の振動や音等の物理量に係るデータを取得する。データ取得部100が取得する物理量に係るデータは、所定周期毎の物理量の値を示す、いわゆる時系列データであってよい。また、データ取得部100は、射出成形機4で発生したイベント(例えば、構成や材料、金型の交換、射出条件の変更、メンテナンスの実行等)を取得するようにしてよいし、また、ネットワーク9を介して射出成形機4を制御する制御装置3から直接データを取得してもよいし、外部機器72や、フォグコンピュータ6、クラウドサーバ7等が取得して記憶しているデータを取得してもよいし、さらには、射出成形機4による1つの成形サイクルを構成する工程毎にそれぞれ物理量に係るデータを取得するようにしてもよい。
図4は、1つの成形品を製造する成形サイクルを例示する図である。図4において、網掛け枠の工程である型閉じ工程、型開き工程、突き出し工程は、型締ユニット401の動作で行われ、また、白抜き枠の工程である射出工程、保圧工程、計量工程、減圧工程、冷却工程は、射出ユニット402の動作で行われる。データ取得部100は、これらの工程ごとに区別できるように物理量に係るデータを取得する。
データ取得部100が取得した物理量に係るデータは、取得データ記憶部300に記憶される。
【0028】
データ抽出部110は、図1に示した状態判定装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。データ抽出部110は、データ取得部100が取得した物理量に係るデータから、機械学習装置2による推定処理等の機械学習に係る処理に用いるデータを、取得データ記憶部300を介して抽出する。機械学習に係る処理に用いるデータは、機械学習装置2で用いられる学習モデルを用いた推定処理や学習処理に必要となるデータであり、単一の物理量に係るデータであってもよいし、複数の物理量に係るデータの組み合わせであってもよい。データ抽出部110は、機械学習装置2が機械学習に係る処理に用いる学習モデルに合わせて適宜データを抽出して、推定指令部120にその抽出したデータを出力する。
【0029】
推定指令部120は、図1に示した状態判定装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、インタフェース21を用いた入出力処理とが行われることで実現される。推定指令部120は、所定の学習モデルを用いて推定処理を実行するように機械学習装置2に指令する。
【0030】
統計データ算出部130は、図1に示した状態判定装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。統計データ算出部130は、射出成形機4から所定のイベントを受信したタイミングを基準として、その前後において機械学習装置2が出力した射出成形機4の状態の推定値を用いて所定の統計量の算出を行う。そして、算出した各統計量と予め定めた所定の補正関数とを用いて、イベント発生後に機械学習装置2が出力した射出成形機4の状態の推定値を補正した統計推定値を算出する。そして、機械学習装置2が出力した射出成形機4の状態の推定値と、算出した統計値、統計推定値とをそれぞれ統計データ記憶部320に記憶する。
【0031】
図5は、金型交換のイベントが発生した前後の機械学習装置2が推定した推定値をプロットしたものである。
図5に示すように、射出成形機4において運転状態や動作状態が変更されると、その前後において機械学習装置2が推定した異常度の推定値に大きな変化が発生する。図5の例では、金型交換がされる前後では機械学習装置2が推定した異常度の推定値が約40%から約75%へと、平均して約35%程度大きくなっている。そのため、図5に示されるように、異常を警告として検出する閾値を75%に設定している場合、たとえ異常が発生していない場合であっても金型交換後は異常であると誤検出することが増えてしまう。そこで、イベントが発生する前の統計量(図5の場合、イベントが発生する前の平均値)と、イベントが発生した後の統計量(図5の場合、イベントが発生した後の平均値)とを算出し、算出した統計量に基づいてイベントが発生した後の各推定値を補正する。そして、補正後の推定値(統計推定値)に基づいて射出成形機4の状態を判定することで、誤検出する確率を減らす。図5の例では、例えばイベントが発生する前の統計量からイベントが発生した後の統計量を減算し、その減算した結果を補正後の推定値に加算する補正関数を用いて、補正後の各推定値を補正した統計推定値を用いることで、金型交換が発生した後でも、機械学習装置2の動作を変更することなく異常状態の検出を継続することができる。
【0032】
統計データ算出部130は、統計条件記憶部310に記憶された統計条件に従い所定の統計処理を行うことで、イベント発生前後の所定の統計量を算出する。所定のイベントは、例えば金型の交換信号、自動運転の開始信号、運転条件(パラメータ、プログラム)の変更などのように、射出成形機4の運転状態や動作状態が変更されたことを示すイベントであってよい。
【0033】
統計条件記憶部310に記憶された統計条件は、機械学習装置2が出力した射出成形機4の状態の複数の推定結果から統計量を算出する条件を定義する。図6は、統計条件記憶部310に記憶された統計条件の例を示している。
統計条件は、少なくとも統計量の算出に用いる統計関数(加重平均(算術平均を含む)、重み付き調和平均(調和平均を含む)、刈り込み平均、二乗和平均平方根、最小値、最大値、最頻値、加重中央値など)と推定値の標本数とを含む。なお、統計条件に定める統計関数を決定する際は、図5にプロットされる推定値の散布状態をオペレータが目視確認して統計関数を適宜選定するとよい。例えば、予め射出成形機4を試験動作させ、推定値がばらついて変化している場合には、該推定値の統計量を算出する統計関数として算術平均や調和平均等を選択するとよい。また、複数の推定値の内に、推定値の平均値から大きく外れている外れ値が含まれる場合には、外れ値の影響を受け難い最頻値や加重中央値等を統計関数として選択するとよい。
図6の例では、統計条件が射出成形機4から受信する所定のイベント(付帯設備の交換(例:金型交換)、運転条件の変更、生産材料の変更(例:樹脂ロットの変更)、自動運転の開始、点検作業の終了など)ごとに設定されている。統計条件に含まれる統計関数及び標本数(統計関数に用いる推定値の総数)は、イベントが発生する前の統計量を算出するための統計関数及び標本数と、イベントが発生した後の統計量を算出するための統計関数及び標本数をそれぞれ含んでいてよい。また、統計条件には統計量を算出するために用いない推定値の数を除外期間として含んでいてよい。この除外期間は、イベント発生直後から射出成形機4の動作が安定するまでの期間を示している。射出成形機4の運転状態や動作状態を変更すると、その直後に取得された物理量に係るデータに基づいて機械学習装置2が推定した推定値が不安定に上下することがある。そのため、イベントの発生直後に除外期間を設け、その間の機械学習装置2が推定した推定値は統計量を算出する対象から除外する。これにより、イベント発生後の統計量についても、適切な値を算出することができる。
なお、統計条件記憶部310に記憶される統計条件は、図9に例示するように、表示装置70に表示された操作画面から入力装置71を操作して手動で設定・更新できるようにしてもよい。図9に例示される操作画面は、金型交換が行われたというイベントが発生した際に、金型交換のイベントを受信する前に推定された10個の推定値から中央値を算出し、金型交換のイベントを受信した後に推定された12個の推定値を除外し、その後に推定された10個の推定値から最頻値を算出する統計条件が統計条件記憶部310に記憶されることを示す。
【0034】
図6に例示されるような統計条件が設定されている場合、統計データ算出部130は、所定のイベントが発生した場合、そのイベントが発生する前に機械学習装置2が推定した推定値に基づいて当該イベント発生前の統計量を算出する。例えば、図6の統計条件No.1に定めた金型交換が行われたというイベントが発生した場合、金型交換のイベントを受信する前に推定された10個の推定値から平均値を算出し、これをイベント発生前の統計量とする。また、統計データ算出部130は、所定のイベントが発生した後に機械学習装置2が推定した推定値の内で、除外期間の推定値を除いた推定値に基づいてイベント発生後の統計量を算出する。例えば、図6の統計条件No.1に定めた金型交換が行われたというイベントが発生した場合、金型交換のイベントを受信した後に推定された12個の推定値を除外し、その後に推定された10個の推定値から平均値を算出し、これをイベント発生後の統計量とする。
【0035】
図7は、図5に示した機械学習装置2が推定した推定値をプロットしたものであり、図6の統計条件に従いイベント前の推定値、除外期間の推定値、イベント後の推定値をそれぞれ点線で囲んで示したものである。一方、図8は、イベント前後の統計量に基づいて、イベント後の異常度の推定値を補正した統計推定値をプロットしたものである。このように、イベント前後の統計量に基づいてイベント後の推定値を補正することで、機械学習装置2の動作を変えたり、射出成形機4の運転状態や動作状態に合わせて複数の学習モデルを用意したりしなくとも、異常または正常を判定する基準(閾値)を変えることなく射出成形機4の状態の判定を継続することができる。
【0036】
判定結果出力部140は、図1に示した状態判定装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、インタフェース17,20を用いた入出力処理とが行われることで実現される。判定結果出力部140は、統計データ算出部130が算出した統計推定値に基づいて推定された射出成形機4の状態に係る情報を出力する。判定結果出力部140は、統計推定値に基づいて推定された射出成形機4の状態に係る情報を表示装置70に表示出力してもよい。例えば、統計推定値が予め定めた異常度の閾値を超える場合には、図8に例示した警告メッセージ“異常を検出しました。射出ユニットを点検してください。”を表示装置70に表示出力してもよい。更に、射出成形機の運転を停止、減速したり、射出成形機の駆動部を駆動させる原動機の駆動トルクを制限したりするようにしてもよい。これにより、成形不良が増加する前に射出成形機4の運転を停止したり、射出成形機4の破損を防止する安全な待機状態とすることができる。判定結果出力部140は、統計推定値に基づいて推定された射出成形機4の状態に係る情報を、ネットワーク9を介して射出成形機4の制御装置3やフォグコンピュータ6やクラウドサーバ7等の上位装置に対して送信出力してもよい。
【0037】
一方、機械学習装置2が備える推定部207は、図1に示した機械学習装置2が備えるプロセッサ201がROM202から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてプロセッサ201によるRAM203、不揮発性メモリ204を用いた演算処理が行われることで実現される。推定部207は、推定指令部120からの指令に基づいて、学習モデル記憶部210に記憶された学習モデル214を用いた推定処理を実行し、その推定結果を統計データ算出部130に出力する。
【0038】
学習モデル記憶部210には学習モデル214が予め記憶されている。学習モデル214は、予め作成しておいて学習モデル記憶部210に記憶させておく。学習モデル214は、所定の運転状態、所定の動作状態で射出成形機4から取得された物理量に係るデータに基づいて学習が行われたものである。射出成形機の状態判定に用いる学習モデルは、成形サイクルの工程(射出工程、保圧工程、計量工程、減圧工程、冷却工程等)毎に異なる物理量に係るデータ(射出工程では射出速度と金型内圧力、計量工程ではスクリュ回転速度、スクリュトルク、シリンダ内圧力等)を取得して学習データとし、それぞれの工程ごと(動作状況ごと)に作成した学習モデルであってよい。学習モデル214を用いて推定される推定値は、例えば、成形サイクルの工程毎の消費電力、成形品の品質に係る異常度、射出成形機4が備える射出シリンダの逆流防止弁に係る摩耗量などであってよいが、これに限定されることなく、射出成形機4の動作状態の異常有無を判定する指標であればよい。
【0039】
射出成形機4の状態判定に用いる学習モデルは、公知の教師あり学習(多層パーセプトロン、回帰結合ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク等)、教師なし学習(オートエンコーダ、k平均法、敵対的生成ネットワーク等)、強化学習(Q学習等)等の学習アルゴリズムで作成されたものであってよい。また、それぞれの学習モデルを作成する学習アルゴリズムの構成要素(学習率等のハイパーパラメータの種類、機械学習時の最適化関数の種類など)は、既知の技術に基づいて構成され得る。それぞれの学習アルゴリズムで作成された学習モデルは、学習処理及び推定処理時の計算負荷(計算時間)、推定値の精度、学習データに対するロバスト性(安定性、頑健性)に差異が生じる。そのため、状態判定の目的に合わせて、適切な学習アルゴリズムを選択するとよい。
【0040】
産業機械に係る状態判定に用いる学習モデルは、圧縮した状態で記憶させておき、演算時に解凍して使用してもよい。これにより、メモリを効率的に使用したり、少ないメモリ量で対応したりできるので、コスト削減のメリットがある。また、学習モデルを暗号化して記憶するようにしてもよい。学習モデルを暗号化して記憶しておくと、セキュリティや情報秘匿の観点で好ましい。
【0041】
上記構成を備えた本実施形態による状態判定装置1は、多種多様な運転状態や動作状態の変動が生じた場合であっても、機械学習で得た1つの学習モデルによる推定値を汎用的に用いることができ、様々な状態における判定精度の向上と、ロバスト(頑健)な判定を実現する。また、学習モデルによって算出された推定値の汎用性が高まるので、多種多様な測定値(学習データ)の取得作業や学習モデルの作成作業に係る作業時間やコストを削減でき、作業効率を改善できる。
【0042】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態の例のみに限定されることなく、適宜の変更を加えることにより様々な態様で実施することができる。
上記した実施形態では射出成形機を例に説明したが、状態判定の対象は他の産業機械であってもよい。例えば、工作機械では、主軸に組付ける切削工具、切削工具を冷却する加工液の種類や流量、ワーク材料、などに対応した複数の学習モデルより、主軸の異常度を判定してもよい。木工機械では、回転工具の種類、回転速度などに対応した複数の学習モデルより回転工具の異常度を判定してもよい。農業機械では、駆動部に掛かる駆動力、駆動部が備える機材、などに対応した複数の学習モデルより、駆動部の異常度を判定してもよい。建設機械や鉱山機械では、油圧シリンダに接続された油圧ホースの種類、原動機の出力、運転環境、などに対応した複数の学習モデルより、油圧シリンダの異常度を判定してもよい。それぞれの産業機械の運転に係る速度等の運転条件を変更したり、付帯設備を交換するイベントに応じて、それぞれの学習モデルが推定した推定値を補正した統計推定値を用いて異常度を判定することができる。
また、複数の産業機械がネットワーク9を介して相互に接続されている場合、それらの産業機械からデータを取得して其々の産業機械の状態を1つの状態判定装置1で判定してもよいし、複数の産業機械が備える其々の制御装置上に状態判定装置1を配置して、其々の産業機械の状態をそれら産業機械がそれぞれ備える状態判定装置1でもって判定してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 状態判定装置
2 機械学習装置
3 制御装置
4 射出成形機
5 センサ
6 フォグコンピュータ
7 クラウドサーバ
9 ネットワーク
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 不揮発性メモリ
15,17,18,20,21 インタフェース
22 バス
70 表示装置
71 入力装置
72 外部機器
100 データ取得部
110 データ抽出部
120 推定指令部
130 統計データ算出部
140 判定結果出力部
207 推定部
210 学習モデル記憶部
214 学習モデル
300 取得データ記憶部
310 統計条件記憶部
320 統計データ記憶部
【要約】
状態判定装置は、産業機械に係るデータを取得するデータ取得部と、取得したデータに基づいて学習モデルを用いた推定を行う推定部と、所定の統計条件に従い統計量を算出し、算出した統計量を用いて前記推定部による推定値を補正した統計推定値を算出する統計データ算出部とを備え、もって、学習モデルより算出された状態判定結果を、産業機械の運転状況などの変化に適応させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9