(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】折り畳み財布
(51)【国際特許分類】
A45C 1/02 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
A45C1/02
(21)【出願番号】P 2018026668
(22)【出願日】2018-02-19
【審査請求日】2021-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】518057505
【氏名又は名称】松成 恭博
(74)【代理人】
【識別番号】110002125
【氏名又は名称】特許業務法人アイザック国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松成恭博
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-135815(JP,U)
【文献】実公昭37-002888(JP,Y1)
【文献】米国特許第05445199(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/02~ 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
お札を収納するお札収納部と、
小銭を収納する小銭収納部と、を備えた折り畳み財布であって、
前記お札収納部は、前記お札収納部の財布折り畳み時における外面側を形成する外面部と、内面側を形成する内面部とを備え、
前記小銭収納部は、前記お札収納部の長手方向一端において、前記内面部側に袋状に形成されており、
前記外面部には、前記折り畳み財布の長手方向の中央から短手方向に沿って第1折れ線が形成され、
前記内面部には、前記折り畳み財布の長手方向の中央よりも、前記小銭収納部とは反対側に形成された第2折れ線と、前記折り畳み財布の長手方向の中央よりも、前記小銭収納部寄りに形成された第3折れ線と、前記小銭収納部の小銭取り出し開口付近に形成された第4折れ線とを備え、
前記第3折れ線から前記第4折れ線までの長さと、前記第1折れ線から前記第2折れ線までの長さとが略同じに構成されており、
前記折り畳みの財布の折り畳み時に、前記第3折れ線から、前記第4折れ線までの領域が、前記小銭取り出し開口を覆い蓋部として機能する
ことを特徴とする折り畳み財布。
【請求項2】
前記外面部と前記内面部とは、
外面部及び内面部の長辺の1辺であ
るお札収納部の底部において互いに接合されているとともに、
前記第2折れ線から前記第4折れ線までの領域においては、前記底部の接合が解除されている
ことを特徴とする請求項1に記載の折り畳み財布。
【請求項3】
前記底部の前記第2折れ線から前記第4折れ線までの接合されていない領域において補強部をさらに備える
ことを特徴とする請求項2に記載の折り畳み財布。
【請求項4】
前記小銭収納部の前記小銭取り出し開口から
、外面部及び内面部の短辺の1辺である小銭収納部の底部までの距離が20mm~90mmである
ことを特徴とする請求項2又は3のいずれか一項に記載の折り畳み財布。
【請求項5】
前記内面部、または前記外面部には、前記小銭収納部とは長手方向反対側の端部に、カード収納部が形成されてなる
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の折り畳み財布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折り畳み財布に関する。
【背景技術】
【0002】
財布の種類としては、ポケットに収納できるような小型財布、折りたたんで仕様でいる折り畳財布、お札を折らずに収納できる長財布などがある。このうち、折り畳み財布は、通常お札を収納するお札収納部、小銭を収納する小銭収納部、カード類を収納するカード収納部によって構成されている。こうした財布の例としては、例えば特許文献1のような財布の構造がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、折り畳み財布を製造するにあたって、小銭収納部を設けるには小銭が取り出し時以外には落ちないように、蓋が必要となる。しかしながら、蓋を設けようとすると蓋のために新たにパーツを用意したり、そこを縫製したりする工数が発生したりするため、部品点数が多くなってしまっていた。
【0005】
本発明は、上記課題に対するものであり、簡単な工程で蓋部を備えた小銭収納部を有する折り畳み財布を実現するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態の折り畳み財布の開放時にける斜視図である。
【
図2】実施形態の折り畳み財布の
図1とは上下反転した状態における斜視図である
。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明にかかる折り畳み財布1の実施形態について説明する。
図1に示されるように、折り畳み財布1は、財布の外面側を構成する外面部10、折り畳み時に内側に位置する内面部20とを備えている。外面部10と内面部20とによってお札収納部が構成される。外面部10と、内面部20とは互いに略同じ大きさの矩形状をしており、底部30でその一部が互いに接合されることでお札が収納可能な空間が形成されている。また、折り畳み財布1は、小銭収納部40、カード収納部50をそれぞれ備えている。小銭収納部40は、内面部20のお札収納側とは反対側の面に設けられており、マチ部41が両側面に形成されている。マチ部41によって、小銭収納部40は、小銭を収納するための好適な空間が形成されている。小銭収納部40は、内面部20の長手方向における図中右側の端部に形成されている。
【0008】
また、内面部20の小銭収納部40とは長手方向における反対側に、カード収納部50が設けられている。カード収納部50はキャッシュカードやクレジットカードを挿入して保持する。外面部10にはその長手方向中央の位置に、お札の差し入れ方向に第1折れ線11が形成されており、第1折れ線11に沿って財布は折りたたまれる。内面部20には、第2折れ線21、第3折れ線26、第4折れ線23とが形成されている。第2折れ線21、及び第4折れ線23は、それぞれ内面部20と外面部10の底部30において互いに接合されている領域のうち、互いが接合されていない領域の端にそれぞれ位置している。したがって、第2折れ線21から第3折れ線26との間の領域である第1領域25、及び第3折れ線26から第4折れ線23との間の領域である第2領域24は、自由に動くことが可能であり、財布の開閉動作に伴ってこの部分が変位する。そして、財布が閉じられた状態においては、第2領域24が小銭収納部40の小銭取り出しのための開口を覆うように変位し蓋部として機能する。なお、この内面部20と外面部10とが接合されないようにしてもよく、その場合底部30は形成されない。
【0009】
また、
図2に示されるように、第2折れ線21、及び第4折れ線23の間の底部30には、補強部31が設けられている。補強部31は本実施形態では幅1cmほどの円環状の形状をした部材である。補強部31は内面部20及び外面部10の底部30において、互いに対向する領域に対して接合されている。したがって、補強部31はお札収納部において内面部20と外面部10との間で延びていることとなるため、お札を収納する際には、お札が補強部31と当たってそれ以上下にはいかないようになる。したがって、この補強部31の大きさを調整することで、お札の保持する位置を調整することができるようになる。また、補強部は、必ずしも円環形状にする必要がなく、底部でお札を保持できる形状であればよい。例えば、内面部20と外面部10が底部30で互いに接合されていない領域の端部において、第2折れ線21と第4折れ線23に沿って内面部20と外面部10とが接合していればよい。
【0010】
本実施形態では、折り畳み財布1は、1枚の紙や革などを折りたたむことで作成される。折りたたまれる状態の前では内面部20と外面部10とは1枚の矩形状をしており、その中央に底部30となる折れ線が形成されている。なお、この1枚の素材から構成する場合は底部30は最初からつながっているため、接合の工程が省略される。一方で、第2折れ線21から第4折れ線23までの間の領域で底部30が切断されている。
【0011】
小銭収納部40は、マチ部41、基底部43とを備えている。内面部20と外面部10側に対して折りたたんだあとに、基底部43に対して、折れ線44で折った小銭収納部40のマチ部41を接合することで小銭収納部40が形成される。また、小銭収納部40の小銭取り出し開口から底部までの距離が20mm~90mm、より好ましくは25mm~45mmであるが、基底部43の長さはこれよりも少し長く形成されており、したがって蓋部となる第2領域24は小銭収納部40の開口からは少し離間した状態となる。また、小銭収納部40に対して留め具を設けるようにしてもよい。この場合、第2領域24と小銭収納部40とに対となる留め具、例えばボタンをつけるようにしてもよい。また、ファスナー式のように財布の周辺部に設けてファスナーによって開閉ができるようにしてもよい。さらには、財布の外面側にそれぞれフックやバンドルの一対を設けてそれぞれを係止して財布を閉じた状態で固定する機構を設けるようにしてもよい。
【0012】
以上に示したように、本実施形態では小銭収納部40の蓋部のために新たな部材を設けることなく、内面部20の一部の領域を折り畳み時に蓋部として機能するようにしたため、簡単な構成で折り畳み式の財布を実現することができるようになる。
【符号の説明】
【0013】
1…折り畳み財布
10 …外面部
20…内面部
40…小銭収納部