IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社今仙電機製作所の特許一覧

<>
  • 特許-シートレール装置の製造方法 図1
  • 特許-シートレール装置の製造方法 図2
  • 特許-シートレール装置の製造方法 図3
  • 特許-シートレール装置の製造方法 図4
  • 特許-シートレール装置の製造方法 図5
  • 特許-シートレール装置の製造方法 図6
  • 特許-シートレール装置の製造方法 図7
  • 特許-シートレール装置の製造方法 図8
  • 特許-シートレール装置の製造方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】シートレール装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/08 20060101AFI20220831BHJP
   B60N 2/07 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B60N2/08
B60N2/07
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018086703
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019189155
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】今村 友亮
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-188071(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161620(WO,A1)
【文献】特開2008-136552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 - B60N 2/90
A47C 7/00 - A47C 7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に固定されるロアレール及びシートに固定されるアッパーレールと、前記アッパーレールに支持されて前記ロアレールに形成された係合部に係合することで前記ロアレールと前記アッパーレールとをスライド不能にロックするロック部材とを有し、前記ロック部材によるロック解除時に前記アッパーレールに支持されるローラーが前記ロアレールに設けられる案内部に案内されることで前記アッパーレールが前記ロアレールに対してスライド可能に組み付けられるシートレール装置の製造方法であって、
前記アッパーレールは、対向するように配置される一対の第1アッパーレール及び第2アッパーレールを備えるように構成され、
前記第1アッパーレールに第1の補強用ブラケットを溶接固定した後に前記ロック部材を組み付ける工程と、
前記第2アッパーレールに第2の補強用ブラケットを溶接固定する工程と、
前記第1の補強用ブラケットが溶接固定された後に前記ロック部材が組み付けられた前記第1アッパーレールと前記第2の補強用ブラケットが溶接固定された前記第2アッパーレールとを連結部により連結する工程と、
を備えることを特徴とするシートレール装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のシートを前後にスライドさせるためのシートレール装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のシートを前後にスライドさせるためのシートレール装置として、例えば、下記特許文献1に開示されるシートレール装置が知られている。このシートレール装置は、アッパーレールを構成する第1アッパーレール及び第2アッパーレールのそれぞれに設けられるローラーがロアレールの案内部により案内されるようにして、アッパーレールがロアレールに対してスライドする。これにより、アッパーレールが固定される車両用のシートを、ロアレールが固定される車両用フロアに対して前後方向にスライド可能に支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-186984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のようなシートレール装置では、衝突時等の外力が作用する場合でもアッパーレールがロアレールから離脱(剥離)しないようにするため、アッパーレール等を補強してシートレール装置の剥離強度を向上することが求められる。この要求を満たすため、例えば、ロック部材やがたつき防止部材等が組み付けられたアッパーレールに対して補強用のブラケットを溶接固定すると、この溶接に起因する歪み等のためにロック部材やがたつき防止部材等が機能せず品質が不安定になる場合がある。また、上記要求を満たすため、例えば、アッパーレールの板厚を厚くすることでアッパーレールの剛性(強度)が向上するが、装置重量が増加してしまい、商品性に欠けてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、アッパーレールに対して補強用のブラケットを溶接固定する場合でも品質を低下させることなく剛性を向上させ得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の発明は、
車体に固定されるロアレール(20)及びシートに固定されるアッパーレール(30)と、前記アッパーレールに支持されて前記ロアレールに形成された係合部に係合することで前記ロアレールと前記アッパーレールとをスライド不能にロックするロック部材(70)とを有し、前記ロック部材によるロック解除時に前記アッパーレールに支持されるローラー(61)が前記ロアレールに設けられる案内部(22a,22b)に案内されることで前記アッパーレールが前記ロアレールに対してスライド可能に組み付けられるシートレール装置(10)の製造方法であって、
前記アッパーレールは、対向するように配置される一対の第1アッパーレール(31)及び第2アッパーレール(32)を備えるように構成され、
前記第1アッパーレールに第1の補強用ブラケット(40a,50a)を溶接固定した後に前記ロック部材を組み付ける工程と、
前記第2アッパーレールに第2の補強用ブラケット(40b,50b)を溶接固定する工程と、
前記第1の補強用ブラケットが溶接固定された後に前記ロック部材が組み付けられた前記第1アッパーレールと前記第2の補強用ブラケットが溶接固定された前記第2アッパーレールとを連結部(33,34)により連結する工程と、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項の発明では、第1アッパーレールに第1の補強用ブラケットが溶接固定された後にロック部材が組み付けられ、第2アッパーレールに第2の補強用ブラケットが溶接固定され、第1の補強用ブラケットが溶接固定された後にロック部材が組み付けられた第1アッパーレールと第2の補強用ブラケットが溶接固定された第2アッパーレールとが連結部により連結される。
【0011】
これにより、第1の補強用ブラケットの溶接や第2の補強用ブラケットの溶接がロック部材などの組み付け精度等に影響することもないので、アッパーレールに対して補強用のブラケットを溶接固定する場合でも品質を低下させることなく剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るシートスライド装置を示す説明図であり、図1(A)は、平面図を示し、図1(B)は、側面図を示す。
図2図2(A)は、図1のX1-X1断面を示す断面図であり、図2(B)は、図1のX2-X2断面を示す断面図である。
図3図1(B)からロアレールを除いた状態を示す側面図である。
図4図3に示すアッパーレール等を分解した状態を示す分解斜視図である。
図5】一対の前側ブラケットを示す斜視図である。
図6図5の前側ブラケットの詳細形状を説明する説明図であり、図6(A)は、平面図を示し、図6(B)は、側面図を示し、図6(C)は、背面図を示す。
図7】ローラーピッチとロアレール幅との関係を説明する説明図である。
図8】一対の後側ブラケットを示す斜視図である。
図9図8の後側ブラケットの詳細形状を説明する説明図であり、図9(A)は、平面図を示し、図9(B)は、側面図を示し、図9(C)は、背面図を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係るシートレール装置について図を参照して説明する。
本実施形態に係るシートレール装置10は、車両用シート(図示略)を前後スライド可能に車両フロア(図示略)に固定する装置である。このシートレール装置10は、図1図4に示すように、主に、車両フロアに固定されるロアレール20と、車両用シートに固定されるアッパーレール30と、ロアレール20とアッパーレール30とを相対移動不能に固定(ロック)可能なロック部材70と、ロック状態でのがたつきを防止するがたつき防止部材80と、をそれぞれ左右一対備えるように構成されている。また、シートレール装置10は、一対のロック部材70によるロアレール20とアッパーレール30とのロック状態とそのロック状態を解除するロック解除状態とを切り替えるために操作される操作部(図示略)を備えている。以下、シートレール装置10の長手方向を前後方向として、シートレール装置10を構成する各要素について詳述する。なお、図1では、一方のロアレール20及びアッパーレール30等を図示しており、他方のロアレール20及びアッパーレール30等は、便宜上、図示を省略している。
【0014】
ロアレール20は、長尺のレール状に形成されており、図1及び図2に示すように、車両フロアに固定される底面部21と、この底面部21の両側にそれぞれ設けられる案内部22a,22bとを有するように形成される。案内部22a,22bは、後述するローラー61及びサイドローラー62を囲うようにして案内するもので、案内部22a,22bには、対向するように配置されてローラー61が転がり接触する上面23及び底面24と、上面23及び底面24を連結する連結面25とがそれぞれ形成されている。また、案内部22a,22bには、それぞれ上面23の端部から垂下するように内面部26が連なっている。
【0015】
案内部22aに連なる内面部26には、ロック部材70のロック片71aと嵌合する複数のロック部材嵌合用孔(図示略)が長手方向に沿って形成されている。また、案内部22bに連なる内面部26には、がたつき防止部材80の押圧部81aが挿入可能な複数の押圧部材用溝(図示略)が長手方向に沿って形成されている。
【0016】
アッパーレール30は、左右一対として配置される第1アッパーレール31及び第2アッパーレール32と、第1アッパーレール31及び第2アッパーレール32に対して前後方向から組み付けられる連結部33,34とを備えるように構成されている。
【0017】
図2(A)に示すように、第1アッパーレール31は、案内部22a内に入り込む支持部31aを備え、この支持部31aには、ロアレール20との組み付け時に案内部22aの上面23及び底面24に対して転がり接触するローラー61が前側及び後側の2箇所にて回転自在に支持されている。同様に、第2アッパーレール32は、案内部22b内に入り込む支持部32aを備え、この支持部32aには、ロアレール20との組み付け時に案内部22bの上面23及び底面24に対して転がり接触するローラー61が前側及び後側の2箇所にて回転自在に支持されている。
【0018】
図4に示すように、第1アッパーレール31の前側及び後側には、それぞれ補強用の前側ブラケット40a及び後側ブラケット50aが溶接固定されている。同様に、第2アッパーレール32の前側及び後側には、それぞれ補強用の前側ブラケット40b及び後側ブラケット50bが溶接固定されている。なお、前側ブラケット40a及び後側ブラケット50aは、「第1の補強用ブラケット」の一例に相当し、前側ブラケット40b及び後側ブラケット50bは、「第2の補強用ブラケット」の一例に相当し得る。
【0019】
前側ブラケット40a及び前側ブラケット40bは、図5に示すように、対象形状であるため、前側ブラケット40aを例に、図2(B)及び図6を参照して詳細形状について説明する。
図2(B)及び図6に示すように、前側ブラケット40aは、第1アッパーレール31の前方内側に溶接固定される固定部41と先端側が案内部22a内に入り込む支持片42とが略直角に連なるように形成されている。支持片42は、その先端側に案内部22aの連結面25に転がり接触する第2ローラーとしてサイドローラー62が回転自在に支持されている。また、支持片42には、固定部41側に対して先端側を弾性変形しやすくするため、固定部41とサイドローラー62が支持される位置との間に細幅部42aが形成されている。
【0020】
前側ブラケット40bも同様に、固定部41と細幅部42aが形成される支持片42とを備え、支持片42の先端側に案内部22bの連結面25に転がり接触するサイドローラー62が回転自在に支持されるように形成されている。
【0021】
サイドローラー62は、細幅部42aを起点とする支持片42の弾性変形を利用して、連結面25に対して内側に押し込まれて転がり接触するように支持片42に組み付けられている。すなわち、図7に示すように、案内部22aの連結面25と案内部22bの連結面25との距離をロアレール幅W、転がり接触する前の前側ブラケット40aのサイドローラー62の外側面と前側ブラケット40bのサイドローラー62の外側面との距離をローラーピッチPとするとき、サイドローラー62は、ローラーピッチPがロアレール幅Wよりもわずかに長くなるように支持片42に組み付けられる。このため、サイドローラー62が連結面25に転がり接触する際、支持片42が細幅部42aを起点として図7の矢印F方向に弾性変形するため、サイドローラー62が適切な押圧力にて連結面25に対して押し付けられる。
【0022】
後側ブラケット50a及び後側ブラケット50bは、図8に示すように、対象形状であるため、後側ブラケット50aを例に、図9を参照して詳細形状について説明する。
後側ブラケット50aは、第1アッパーレール31の後方内側に溶接固定される第1固定部51と、後方外側に溶接固定される第2固定部52と、第1固定部51と第2固定部52とを連結する連結部53と、先端側が案内部22a内に入り込む支持片54とを備えるように形成されている。第2固定部52には、溶接用の開口52aが2つ形成されている。支持片54は、その先端側に案内部22aの連結面25に転がり接触する第2ローラーとしてサイドローラー62が回転自在に支持されている。この支持片54には、連結部53側に対して先端側を弾性変形しやすくするため、連結部53とサイドローラー62が支持される位置との間に細幅部54aが形成されている。
【0023】
後側ブラケット50bも同様に、第1固定部51、第2固定部52及び連結部53と、細幅部54aが形成される支持片54とを備え、支持片54の先端側に案内部22bの連結面25に転がり接触するサイドローラー62が回転自在に支持されるように形成されている。
【0024】
後側ブラケット50a及び後側ブラケット50bにおけるサイドローラー62は、細幅部54aを起点とする支持片54の弾性変形を利用して、連結面25に対して内側に押し込まれて転がり接触するように支持片54に組み付けられている。すなわち、前側ブラケット40a及び前側ブラケット40bにおけるサイドローラー62と同様に、後側ブラケット50a及び後側ブラケット50bにおけるサイドローラー62は、ローラーピッチがロアレール幅よりもわずかに長くなるように支持片54に組み付けられる。このため、サイドローラー62が連結面25に転がり接触する際、支持片54が細幅部54aを起点として上記支持片42と同様に弾性変形するため、サイドローラー62が適切な押圧力にて連結面25に対して押し付けられる。
【0025】
なお、第1アッパーレール31の支持部31aには、溶接固定された前側ブラケット40aのサイドローラー62や溶接固定された後側ブラケット50aのサイドローラー62との干渉をさけるために、2つの開口31bが形成されている。同様に、第2アッパーレール32の支持部32aには、溶接固定された前側ブラケット40bのサイドローラー62や溶接固定された後側ブラケット50bのサイドローラー62との干渉をさけるために、2つの開口32bが形成されている。
【0026】
また、第1アッパーレール31及び第2アッパーレール32には、連結部33,34を利用した組み付け時に面接触する連結片31d~31g及び連結片32d~32gがそれぞれ設けられている。
【0027】
連結部33には、車両用シートを固定するための固定部33aと、面接触した連結片31d及び連結片32dが嵌まり込む係合穴33bと、面接触した連結片31e及び連結片32eが嵌まり込む係合穴33cとが形成されている。また、連結部34には、車両用シートを固定するための固定部34aと、面接触した連結片31f及び連結片32fが嵌まり込む係合穴34bと、面接触した連結片31g及び連結片32gが嵌まり込む係合穴34cとが形成されている。
【0028】
ロック部材70は、図4に示すように、複数のロック片71aを有するロック片部材71と、このロック片部材71を可動させるための可動部材72と、第1アッパーレール31に支持されてロック片部材71及び可動部材72を回動可能に支持する固定部材73と、を備えている。このロック部材70は、操作部が操作されない状態では、各ロック片71aがそれぞれロック部材嵌合用孔に嵌合することで、ロアレール20とアッパーレール30とをスライド不能にロックするように機能する。そして、ロック部材70は、操作部の操作に応じて可動部材72が回動して各ロック片71aとロック部材嵌合用孔との嵌合が解除されることで、アッパーレール30をロアレール20に対して前後にスライド可能な状態とするように機能する。
【0029】
がたつき防止部材80は、図4に示すように、ロアレール20の押圧部材用溝の上辺に押圧してがたつきを防止する押圧部材81と、この押圧部材81の上下の位置をコントロールする回動板部材82と、この回動板部材82を第2アッパーレール32に対して回動可能に支持する軸支部材83とを、前後一対備えている。このがたつき防止部材80は、操作部が操作されない状態では、回動板部材82から押圧を受ける押圧部材81の押圧部81aが押圧部材用溝に強く押し付けられることで、ロアレール20に対するアッパーレール30のがたつきを抑制するように機能する。そして、がたつき防止部材80は、操作部の操作に応じて回動板部材82により押圧部材81が押し下げられて押圧部材用溝への押圧が解除されることで、スライド可能状態でのロアレール20に対するアッパーレール30のがたつき抑制を解除するように機能する。
【0030】
次に、シートレール装置10の製造工程について説明する。
まず、図4に示すように、第1アッパーレール31に対して前側ブラケット40a及び後側ブラケット50aを溶接固定するとともに、第2アッパーレール32に対して前側ブラケット40b及び後側ブラケット50bを溶接固定する。この溶接は、アッパーレール30の剛性を高めるためのものであり、具体的には、サイドローラー62が組み付けられた前側ブラケット40aは固定部41にて第1アッパーレール31の前方内側にスポット溶接等を利用して溶接固定され、サイドローラー62が組み付けられた前側ブラケット40bは固定部41にて第2アッパーレール32の前方内側にスポット溶接等を利用して溶接固定される。また、サイドローラー62が組み付けられた後側ブラケット50aは、第1固定部51が第1アッパーレール31の後方内側にてスポット溶接され、第2固定部52が第1アッパーレール31の後方外側にて2箇所の開口52aを利用して溶接されることで、第1アッパーレール31に溶接固定される。また、サイドローラー62が組み付けられた後側ブラケット50bは、第1固定部51が第2アッパーレール32の後方内側にてスポット溶接され、第2固定部52が第2アッパーレール32の後方外側にて2箇所の開口52aを利用して溶接されることで、第2アッパーレール32に溶接固定される。
【0031】
その後、前側ブラケット40aや後側ブラケット50aが溶接固定された第1アッパーレール31に対して、2つのローラー61とロック部材70とが組み付けられ、前側ブラケット40bや後側ブラケット50bが溶接固定された第2アッパーレール32に対して、2つのローラー61とがたつき防止部材80とが組み付けられる。
【0032】
そして、ロック部材70等を組み付けた第1アッパーレール31の連結片31d~31gと、がたつき防止部材80等が組み付けられた第2アッパーレール32の連結片32d~32gとを面接触させた状態で、連結部33及び連結部34を組み付ける。そして、係合穴33bから飛び出る連結片31d及び連結片32d、係合穴33cから飛び出る連結片31e及び連結片32e、係合穴34bから飛び出る連結片31f及び連結片32f、係合穴34cから飛び出る連結片31g及び連結片32gをそれぞれ溶着する(図3のハッチング領域参照)。
【0033】
これにより、図3に示すように、各ブラケット40a,40b,50a,50bやロック部材70及びがたつき防止部材80等が組み付けられた状態のアッパーレール30が組み立てられる。この状態で、ローラー61及びサイドローラー62をロアレール20の案内部22a,22bに案内させるように組み付けることで、ロアレール20に対するアッパーレール30の組み付けが完了する。
【0034】
このように構成されるシートレール装置10では、案内部22aの前後方向2箇所にて上面23及び底面24に対してローラー61が転がり接触し、案内部22bの前後方向2箇所にて上面23及び底面24に対してローラー61が転がり接触する。また、案内部22aの前後方向2箇所にて連結面25に対してサイドローラー62が転がり接触し、案内部22bの前後方向2箇所にて連結面25に対してサイドローラー62が転がり接触する。このような転がり接触によりスライド時の低スライド荷重を実現しつつ、スライド時のがたつきが抑制される。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係るシートレール装置10では、アッパーレール30は、対向するように配置される一対の第1アッパーレール31及び第2アッパーレール32を備え、前側ブラケット40a及び後側ブラケット50aが溶接固定された第1アッパーレール31と、前側ブラケット40b及び後側ブラケット50bが溶接固定された第2アッパーレール32とが、連結部33,34により連結されるように構成される。
【0036】
製造方法としては、第1アッパーレール31に前側ブラケット40a及び後側ブラケット50aが溶接固定された後にロック部材70が組み付けられ、第2アッパーレール32に前側ブラケット40b及び後側ブラケット50bが溶接固定され、前側ブラケット40a及び後側ブラケット50aが溶接固定された後にロック部材70が組み付けられた第1アッパーレール31と前側ブラケット40b及び後側ブラケット50bが溶接固定された第2アッパーレール32とが連結部33,34により連結される。
【0037】
これにより、前側ブラケット40a及び後側ブラケット50aの溶接や前側ブラケット40b及び後側ブラケット50bの溶接がロック部材70などの組み付け精度等に影響することもないので、アッパーレール30に対して補強用のブラケットを溶接固定する場合でも品質を低下させることなく剛性を向上させることができる。
【0038】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)前側ブラケット40a,40b及び後側ブラケット50a,50bは、サイドローラー61が支持されるように構成されることに限らず、第1アッパーレール31や第2アッパーレール32の所定の部位にサイドローラー61が支持されることを前提に、サイドローラー61を除くように構成されてもよい。
【0039】
(2)前側ブラケット40a,40bには、後側ブラケット50a,50bの第2固定部52のように、第1アッパーレール31や第2アッパーレール32の外側から溶接固定するための固定部が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10…シートレール装置
20…ロアレール
22a,22b…案内部
30…アッパーレール
31…第1アッパーレール
32…第2アッパーレール
33,34…連結部
40a…前側ブラケット(第1の補強用ブラケット)
40b…前側ブラケット(第2の補強用ブラケット)
50a…後側ブラケット(第1の補強用ブラケット)
50b…後側ブラケット(第2の補強用ブラケット)
61…ローラー
62…サイドローラー
70…ロック部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9