(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】スマートグリッド型給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/16 20220101AFI20220831BHJP
F24H 15/172 20220101ALI20220831BHJP
F24H 15/144 20220101ALI20220831BHJP
【FI】
F24H15/16
F24H15/172
F24H15/144
(21)【出願番号】P 2022074257
(22)【出願日】2022-04-28
【審査請求日】2022-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522013050
【氏名又は名称】株式会社ソーラーハート
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/163140(WO,A1)
【文献】特開2012-080679(JP,A)
【文献】特表2020-533547(JP,A)
【文献】特開2008-002702(JP,A)
【文献】特開2008-002703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/16
F24H 15/172
F24H 15/144
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自家に効率的に給湯を行うことができるスマートグリッド型給湯システムであって、
電源の後述する選択スケジュールを取得するための情報である電源スケジュール取得用情報に基づいて最適電源のスケジュール情報を取得する最適電源スケジュール情報取得部と、
取得された最適電源スケジュール情報を保持する最適電源スケジュール情報保持部と、
保持されている最適電源スケジュール情報に従って電源を選択する電源選択部と、
選択された電源の全部又は一部を利用するヒートポンプ部と、
ヒートポンプ部での熱交換によって加熱された水を貯留する貯留タンク部と、
貯留タンク部の貯留湯の状態を示す情報である貯留湯状態情報を電源スケジュール取得用情報として取得する貯留湯状態情報取得部と、
電源の選択のために利用される環境情報を電源スケジュール取得用情報として取得する環境情報取得部と、
自家のエネルギー消費状態情報を電源スケジュール取得用情報として取得する自家エネルギー消費状態情報取得部と、
電源スケジュール取得用情報に基づいて電源スケジュール修正情報を取得する電源スケジュール修正情報取得部と、
取得された電源スケジュール修正情報に基づいて保持されている最適電源スケジュール情報を修正する最適電源スケジュール情報修正部と、
電源スケジュールの実行履歴を前記自家エネルギー消費状態情報と関連付けて保持する自家スケジュール実行履歴保持部と、
を有するスマートグリッド型給湯システム。
【請求項2】
自家のエネルギーの消費の統計的情報である自家エネルギー統計情報を電源スケジュール取得用情報として取得する自家エネルギー統計情報取得部をさらに有する
請求項1に記載のスマートグリッド型給湯システム。
【請求項3】
保持されている自家スケジュール実行履歴を電源スケジュール取得用情報として取得する自家スケジュール実行履歴取得部をさらに有する
請求項1又は請求項2のいずれかに記載のスマートグリッド型給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電源を有してヒートポンプによる給湯を行う給湯システムで、最適な電源を選択して、お湯の沸き上げが行えるスマートグリッド型給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、HEMS(Home Energy Management System)を導入した住宅が広がりつつある。
HEMSとは、家庭で使うエネルギーを節約するための管理システムであり、家電や電気設備とつないで、電気やガスなどの使用量をモニター画面で見える化したり、商用電源と太陽光パネルなどの自家発電の電力との切り替えや売電量の制御をしたりなど、家庭でのエネルギー消費を最適化するものである。
【0003】
HEMS拡大の要因としては、社会的背景として、気候変動問題から、二酸化炭素の排出量が問題となっており、再生可能エネルギーである太陽光パネルや、二酸化炭素を排出せず電気で効率的に給湯を行うヒートポンプが注目を集めていることが挙げられる。
【0004】
ところで、家庭で使用するエネルギーの大半は、給湯により消費されている。
このため、再生可能エネルギーで効率的に給湯することが、二酸化炭素排出量低減には非常に重要な要素となってくる。
こうしたことから、太陽光発電装置と、ヒートポンプとを組み合わせて経済的な給湯をおこなうことを目的としたシステムとして、特許文献1にあるように、コントローラは、過去の所定期間内の各日の運転履歴に基づいて、当日における給湯開始予定時刻を推定し、太陽光発電装置の設置地域における当日の予想地域情報(予想気象情報を含む)が好天でないことを示す場合には太陽光発電される電力が少ないことからこの電力を売電するよりも自己消費することとし、日の出後に予定される給湯開始予定時刻より所定時間だけ前の時刻にヒートポンプを作動させることによって太陽光発電の電力をすべて消費して(もちろん商用電源も消費して)タンク内の水を加熱する学習制御と、予想地域情報が好天である場合にはこれに基づいて特定される日の出予定時刻より所定時間だけ前の時刻に商用電源を利用してヒートポンプを作動させることによって、タンク内の水を加熱し、日照によって太陽光発電される電力は売電に回すとする売電優先制御と、を選択的に実行可能であり、予想地域情報に含まれる当日の予想気象に基づいて、学習制御と売電優先制御とのうちのどちらを実行すべきかを切り替えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、当日の予想気象はあくまでも予想であり、時間経過に伴って予想気象の情報も更新される。従って、ある時点の予想気象を固定的に利用して学習制御と、売電優先制御の切り替えを行うことが必ずしも将来の現実の電力消費の経済性に的確であるという保証はない。
また当然のことであるが経済的に電力消費するために利用される情報は予想気象の情報のみでなく、加熱された水を貯留する貯留タンクの水の状態など多様であり、これらの情報も電力消費を経済的に実行するために重要な情報となる。
このように電源制御すべき要因となる情報の精度を常に向上し続ける正のスパイラルが効くようにシステム全体を構成することによってより効率的に二酸化炭素対策に貢献できるし、万一の自然災害の場合でも自律的なエネルギー供給に相対的に余裕を持たせることが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスマートグリッド型給湯システムは、第一の発明として、自家に効率的に給湯を行うことができるスマートグリッド型給湯システムであって、電源の後述する選択スケジュールを取得するための情報である電源スケジュール取得用情報に基づいて最適電源のスケジュール情報を取得する最適電源スケジュール情報取得部と、取得された最適電源スケジュール情報を保持する最適電源スケジュール情報保持部と、保持されている最適電源スケジュール情報に従って電源を選択する電源選択部と、選択された電源の全部又は一部を利用するヒートポンプ部と、ヒートポンプ部での熱交換によって加熱された水を貯留する貯留タンク部と、貯留タンク部の貯留湯の状態を示す情報である貯留湯状態情報を電源スケジュール取得用情報として取得する貯留湯状態情報取得部と、電源の選択のために利用される環境情報を電源スケジュール取得用情報として取得する環境情報取得部と、電源スケジュール取得用情報に基づいて電源スケジュール修正情報を取得する電源スケジュール修正情報取得部と、取得された電源スケジュール修正情報に基づいて保持されている最適電源スケジュール情報を修正する最適電源スケジュール情報修正部と、を有するスマートグリッド型給湯システムを提供する。
【0008】
また、第二の発明として、前記構成に加えて、自家のエネルギー消費状態情報を電源スケジュール取得用情報として取得する自家エネルギー消費状態情報取得部をさらに有するスマートグリッド型給湯システムを提供する。
【0009】
また、第三の発明として、前記構成に加えて、自家のエネルギーの消費の統計的情報である自家エネルギー統計情報を電源スケジュール取得用情報として取得する自家エネルギー統計情報取得部をさらに有するスマートグリッド型給湯システムを提供する。
【0010】
また、第四の発明として、前記構成に加えて、電源スケジュールの実行履歴を前記自家エネルギー消費状態情報と関連付けて保持する自家スケジュール実行履歴保持部をさらに有するスマートグリッド型給湯システムを提供する。
【0011】
また、第五の発明として、前記構成に加えて、保持されている自家スケジュール実行履歴を電源スケジュール取得用情報として取得する自家スケジュール実行履歴取得部をさらに有するスマートグリッド型給湯システムを提供する。
【0012】
また、第六の発明として、前記構成に加えて、選択可能な電源として少なくとも一以上の自家再生可能エネルギー源と、公衆電源供給網にて選択可能な各種の電源サプライヤーの電源を含むスマートグリッド型給湯システムを提供する。
【0013】
また、第七の発明として、自家に効率的に給湯を行うことができるスマートグリッド型給湯システムであって、電源の後述する選択スケジュールを取得するための情報である電源スケジュール取得用情報に基づいて最適電源のスケジュール情報を取得する最適電源スケジュール情報取得ステップと、取得された最適電源スケジュール情報を保持する最適電源スケジュール情報保持ステップと、保持されている最適電源スケジュール情報に従って電源を選択する電源選択ステップと、選択された電源の全部又は一部を利用するヒートポンプステップと、ヒートポンプ部での熱交換によって加熱された水を貯留する貯留タンクステップと、貯留タンク部の貯留湯の状態を示す情報である貯留湯状態情報を電源スケジュール取得用情報として取得する貯留湯状態情報取得ステップと、電源の選択のために利用される環境情報を電源スケジュール取得用情報として取得する環境情報取得ステップと、 電源スケジュール取得用情報に基づいて電源スケジュール修正情報を取得する電源スケジュール修正情報取得ステップと、取得された電源スケジュール修正情報に基づいて保持されている最適電源スケジュール情報を修正する最適電源スケジュール情報修正ステップと、を有するスマートグリッド型給湯システムの制御方法を提供する。
【0014】
また、第八の発明として、 自家に効率的に給湯を行うことができるスマートグリッド型給湯システムであって、電源の後述する選択スケジュールを取得するための情報である電源スケジュール取得用情報に基づいて最適電源のスケジュール情報を取得する最適電源スケジュール情報取得プログラムと、取得された最適電源スケジュール情報を保持する最適電源スケジュール情報保持プログラムと、保持されている最適電源スケジュール情報に従って電源を選択する電源選択プログラムと、選択された電源の全部又は一部を利用するヒートポンププログラムと、ヒートポンプ部での熱交換によって加熱された水を貯留する貯留タンクプログラムと、貯留タンク部の貯留湯の状態を示す情報である貯留湯状態情報を電源スケジュール取得用情報として取得する貯留湯状態情報取得プログラムと、電源の選択のために利用される環境情報を電源スケジュール取得用情報として取得する環境情報取得プログラムと、電源スケジュール取得用情報に基づいて電源スケジュール修正情報を取得する電源スケジュール修正情報取得プログラムと、取得された電源スケジュール修正情報に基づいて保持されている最適電源スケジュール情報を修正する最適電源スケジュール情報修正プログラムと、を有するスマートグリッド型給湯システムの制御プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本願発明のスマートグリッド型給湯システムによれば、一般住宅での二酸化炭素排出量が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明のスマートグリッド型給湯システムの概要を示すブロック図
【
図2】実施形態1のスマートグリッド型給湯システムの機能の構成を示すブロック図
【
図3】実施形態1のスマートグリッド型給湯システムの処理の流れを示すフローチャート
【
図4】実施形態1のスマートグリッド型給湯システムハードウェア構成を示すブロック図
【
図5】実施形態2のスマートグリッド型給湯システムの機能の構成を示すブロック図
【
図6】実施形態2のスマートグリッド型給湯システムの機能の構成を示すブロック図
【
図7】実施形態2のスマートグリッド型給湯システムの処理の流れを示すフローチャート
【
図8】実施形態3のスマートグリッド型給湯システムの機能の構成を示すブロック図
【
図9】実施形態3のスマートグリッド型給湯システムの機能の構成を示すブロック図
【
図10】実施形態3のスマートグリッド型給湯システムの処理の流れを示すフローチャート
【
図11】実施形態4のスマートグリッド型給湯システムの機能の構成を示すブロック図
【
図12】実施形態4のスマートグリッド型給湯システムの機能の構成を示すブロック図
【
図13】実施形態4のスマートグリッド型給湯システムの処理の流れを示すフローチャート
【
図14】実施形態5のスマートグリッド型給湯システムの機能の構成を示すブロック図
【
図15】実施形態5のスマートグリッド型給湯システムの機能の構成を示すブロック図
【
図16】実施形態5のスマートグリッド型給湯システムの処理の流れを示すフローチャート
【
図17】ヒートポンプのお湯沸き上げ効率と温度の関係の一例を示す図
【
図19】1日の日照時間と日射量の推移の一例を示す図
【
図20】1日のお湯沸き上げスケジュールの一例を示す図
【
図21】1日のヒートポンプによる消費電力と自家発電量の関係の一例を示す図
【0017】
<本発明を構成し得るハードウェアについて>
本件発明は、原則的に電子計算機を利用する発明であるが、ソフトウエアによって実現され、ハードウェアによっても実現され、ソフトウエアとハードウェアの協働によっても実現される。本件発明の各構成要件の全部又は一部を実現するハードウェアでは、コンピュータの基本的構成であるCPU、メモリ、バス、入出力装置、各種周辺機器、ユーザーインタフェースなどによって構成される。各種周辺機器には、記憶装置、インターネット等インタフェース、インターネット等機器、ディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカー、カメラ、ビデオ、テレビ、実験室又は工場などでの生産状態を把握するための各種センサ(流量センサ、温度センサ、重量センサ、液量センサ、赤外線センサ、出荷個数計数機、梱包個数計数機、異物検査装置、不良品計数機、放射線検査装置、表面状態検査装置、回路検査装置、人感センサ、作業者作業状況把握装置(映像、ID、PC作業量などで)等)、CD装置、DVD装置、ブルーレイ装置、USBメモリ、USBメモリインタフェース、着脱可能タイプのハードディスク、一般的なハードディスク、プロジェクタ装置、SSD、電話、ファックス、コピー機、印刷装置、ムービー編集装置、各種センサ装置、などが含まれる。 また、本システムは、必ずしも一つの筐体によって構成されている必要はなく、複数の筐体を通信で結合して構成されるものであってもよい。また、通信は、LANであってもWAN、Wifi、ブルートゥース(登録商標)、赤外線通信、超音波通信であってもよく、さらに、一部が国境を跨いで設置されていてもよい。さらに、複数の筐体のそれぞれが異なる主体によって運営されていてもよく、一の主体によって運営されていてもよい。本件発明のシステムの運用主体は、単数であるか複数であるかは問わない。また、本システムの他に第三者の利用する端末、さらに他の第三者の利用する端末を含むシステムとしても発明を構成することができる。また、これらの端末は国境を越えて設置されていてもよい。さらに、本システムや前記端末の他に第三者の関連情報や、関連人物の登録のために利用される装置、登録の内容を記録するためのデータベースに利用される装置などが用意されてもよい。これらは、本システムに備えてもよいし、本システム外に備えてこれらの情報を利用可能に本システムを構成してもよい(
図23)。
さらにヒートポンプシステムを構成するコンピュータ以外の構成として、各種電源(太陽光発電、電気自動車、ハイブリッド自動車、発電風車、地熱発電装置、波力発電装置、川の流れなどを利用する水車型発電装置、蓄電池、電力貯蔵装置(例えば大型回転ホイール等)ディーゼル発電機、石油発電機)、各種電源からの入力を切り替える電源切替スイッチ、配電線、通信線、ヒートポンプ(熱交換器等、複数台の場合もあり。)、屋内外で利用されるヒートポンプで沸き上げられたお湯の給湯器、ヒートポンプで沸き上げられたお湯の貯留タンク、ヒートポンプ・貯留タンク・給湯器の間に水を流通させるためのパイプ、パイプの開閉弁、ヒートポンプに対して水を供給する水供給源、場合によって地下から水をくみ上げるための井戸(人力型、動力型)、環境情報などを入手するための通信設備(例えば携帯電話通信設備、インターネット通信設備)なども本システムを構成するために利用されうる。
【0018】
この図にあるように、計算機は、マザーボード上に構成される、チップセット、CPU、不揮発性メモリ、メインメモリ、各種バス、BIOS、USBやHDMI(登録商標)やLANなどの各種インタフェース、リアルタイムクロック等からなる。これらはオペレーティングシステムやデバイスドライバ(USB、HDMI(登録商標)などの各種インタフェース、カメラ、マイク、スピーカー又はヘッドホン、ディスプレイなどの各種機器組込み用)、各種プログラムなどと協働して動作する。本発明を構成する各種プログラムや各種データはこれらのハードウェア資源を効率的に利用して各種の処理を実行するように構成されている。
【0019】
≪チップセット≫
「チップセット」は、計算機のマザーボードに実装され、CPUの外部バスと、メモリや周辺機器を接続する標準バスとの連絡機能、つまりブリッジ機能を集積した大規模集積回路(LSI)のセットである。2チップセット構成を採用する場合と、1チップセット構成を採用する場合とがある。CPUやメインメモリに近い側をノースブリッジ、遠い側で比較的低速な外部I/Oとのインタフェースの側にサウスブリッジが設けられる。
【0020】
(ノースブリッジ)
ノースブリッジには、CPUインタフェース、メモリコントローラ、グラフィックインタフェースが含まれる。従来のノースブリッジの機能のほとんどをCPUに担わせてもよい。ノースブリッジは、メインメモリのメモリスロットとはメモリバスを介して接続し、グラフィックカードのグラフィックカードスロットとは、ハイスピードグラフィックバス(AGP、PCI Express)で接続される。
【0021】
(サウスブリッジ)
サウスブリッジには、PCIインタフェース(PCIスロット)とはPCIバスを介して接続し、ATA(SATA)インタフェース、USBインタフェース、EthernetインタフェースなどとのI/O機能やサウンド機能を担う。高速な動作が必要でない、あるいは不可能であるようなPS/2ポート、フロッピーディスクドライブ、シリアルポート、パラレルポート、ISAバスをサポートする回路を組み込むことは、チップセット自体の高速化の足かせとなるためサウスブリッジのチップから分離させ、スーパーI/Oチップと呼ばれる別のLSIに担当させることとしてもよい。CPU(MPU)と、周辺機器や各種制御部を繋ぐためにバスが用いられる。バスはチップセットによって連結される。メインメモリとの接続に利用されるメモリバスは、高速化を図るために、これに代えてチャネル構造を採用してもよい。バスとしてはシリアルバスかパラレルバスを採用できる。パラレルバスは、シリアルバスが1ビットずつデータを転送するのに対して、元データそのものや元データから切り出した複数ビットをひとかたまりにして、同時に複数本の通信路で伝送する。クロック信号の専用線がデータ線と平行して設け、受信側でのデータ復調の同期を行う。CPU(チップセット)と外部デバイスをつなぐバスとしても用いられ、GPIB、IDE/(パラレル)ATA、SCSI、PCIなどがある。高速化に限界があるため、PCIの改良版PCI ExpressやパラレルATAの改良版シリアルATAでは、データラインはシリアルバスでもよい。
【0022】
≪CPU≫
CPUはメインメモリ上にあるプログラムと呼ばれる命令列を順に読み込んで解釈・実行することで信号からなる情報を同じくメインメモリ上に出力する。CPUは計算機内での演算を行なう中心として機能する。なお、CPUは演算の中心となるCPUコア部分と、その周辺部分とから構成され、CPU内部にレジスタ、キャッシュメモリや、キャッシュメモリとCPUコアとを接続する内部バス、DMAコントローラ、タイマー、ノースブリッジとの接続バスとのインタフェースなどが含まれる。なお、CPUコアは一つのCPU(チップ)に複数備えられていてもよい。また、CPUに加えて、グラフィックインタフェース(GPU)若しくはFPUによって、処理を行っても良い。なお、実施形態での説明は2コアタイプのものであるが、これに限定されない。またCPU内にプログラムを内蔵することもできる。
【0023】
≪不揮発性メモリ≫
(HDD)
ハードディスクドライブの基本構造は、磁気ディスク、磁気ヘッド、および磁気ヘッドを搭載するアームから構成される。外部インタフェースは、SATA(過去ではATA)を採用することができる。高機能なコントローラ、例えばSCSIを用いて、ハードディスクドライブ間の通信をサポートする。例えば、ファイルを別のハードディスクドライブにコピーする時、コントローラがセクタを読み取って別のハードディスクドライブに転送して書き込むといったことができる。この時ホストCPUのメモリにはアクセスしない。したがってCPUの負荷を増やさないで済む。
【0024】
≪メインメモリ≫
CPUが直接アクセスしてメインメモリ上の各種プログラムを実行する。メインメモリは揮発性のメモリでDRAMが用いられる。メインメモリ上のプログラムはプログラムの起動命令を受けて不揮発性メモリからメインメモリ上に展開される。その後もプログラム内で各種実行命令や、実行手順に従ってCPUがプログラムを実行する。
【0025】
≪オペレーティングシステム(OS)≫
オペレーティングシステムは計算機上の資源をアプリケーションに利用させるための管理をしたり、各種デバイスドライバを管理したり、ハードウェアである計算機自身を管理するために用いられる。小型の計算機ではオペレーティングシステムとしてファームウェアを用いることもある。
【0026】
≪BIOS≫
BIOSは、計算機のハードウェアを立ち上げてオペレーティングシステムを稼働させるための手順をCPUに実行させるもので、最も典型的には計算機の起動命令を受けるとCPUが最初に読取りに行くハードウェアである。ここには、ディスク(不揮発性メモリ)に格納されているオペレーティングシステムのアドレスが記載されており、CPUに展開されたBIOSによってオペレーティングシステムが順次メインメモリに展開されて稼働状態となる。なお、BIOSは、バスに接続されている各種デバイスの有無をチェックするチェック機能をも有している。チェックの結果はメインメモリ上に保存され、適宜オペレーティングシステムによって利用可能な状態となる。なお、外部装置などをチェックするようにBIOSを構成してもよい。以上については、すべての実施形態でも同様である。
【0027】
図に示すように、本発明は基本的に汎用計算機プログラム、各種デバイスで構成することが可能である。計算機の動作は基本的に不揮発性メモリに記録されているプログラムを主メモリにロードして、主メモリとCPUと各種デバイスとで処理を実行していく形態をとる。デバイスとの通信はバス線と繋がったインタフェースを介して行われる。インタフェースには、ディスプレイインタフェース、キーボード、通信バッファ等が考えられる。以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0028】
<本発明の自然法則の利用性の充足>
本発明は、コンピュータと通信設備とソフトウエアとの協働で機能する部分をも含むものである。従来、ヒートポンプの電源スケジュール管理は、利用者の管理にゆだねられるものであった。これをICTを介して支援したりするなど、ICTならではの処理が含まれているのでいわゆるビジネスモデル特許として成立するものである。本願発明はコンピュータなどのリソースを請求項や明細書に記載された事項と、それらの事項に関係する技術常識に基づいて判断すれば、本願発明は自然法則を利用したものであることとなる。
【0029】
<特許法で求められる自然法則の利用の意義>
特許法で求められる自然法則の利用とは、法目的に基づいて、発明が産業上利用性を有し、産業の発達に寄与するものでなければならないとの観点から、産業上有用に利用することができる発明であることを担保するために求められるものである。つまり、産業上有用であること、すなわち出願に際して宣言した発明の効果がその発明の実施によってある一定の確実性の下再現できることを求めるものである。この観点から自然法則利用性とは、発明の効果を発揮するための発明の構成である発明特定事項(発明構成要件)のそれぞれが発揮する機能が自然法則を利用して発揮されるものであればよい、と解釈される。さらに言えば、発明の効果とはその発明を利用する顧客に所定の有用性を提供できる可能性があればよいのであって、その有用性を顧客がどのように感じたり、考えたりするかという観点で見るべきではない。したがって、顧客が本システムによって得る効果が心理的な効果であったとしても、その効果自体は求められる自然法則の利用性の対象外の事象である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施形態の説明に先立ち、
図1を用いて、本発明のスマートグリッド型給湯システムの概要を説明する。
スマートグリッド型給湯システムは、最適電源スケジュール情報取得部0101と、最適電源スケジュール保持部0102と、電源選択部0103と、貯留湯状態情報取得部0106と、環境情報取得部0107と、電源スケジュール修正情報取得部0108と、最適電源スケジュール情報修正部0109で構成される破線部で示す制御ユニットと、ヒートポンプ0104と、貯留タンク0105と、を有する。
【0031】
以下、制御の流れに従って説明する。
(1)最適電源スケジュール情報取得部0101は、貯留湯状態取得部0106により取得される貯留タンクに貯留されたお湯の量や温度に係る貯留湯状態情報と、環境情報取得部0106により取得されるお湯の沸き上げに影響を与える環境情報と、で構成される電源スケジュール取得用情報を取得し、電源スケジュール取得用情報に基づいて、給湯に係る最適電源スケジュール情報を取得する。
(2)最適電源スケジュール情報保持部0102は、最適電源スケジュール情報取得部で取得した、最適電源スケジュール情報を保持する。
(3)電源選択部0103は、最適電源スケジュール情報保持部に保持された、最適電源スケジュール情報に基づいて、複数の電力供給減からお湯の沸き上げに使用する電源を選択する。
(4)電源選択部で選択された電源から供給される電力を、ヒートポンプ0104に供給する。
ヒートポンプは供給された電力でお湯の沸き上げを行う。
(5)貯留タンク0105は、ヒートポンプで沸き上げられたお湯を貯留する。貯留されたお湯の貯留量や温度は、随時貯留湯状態情報として出力する。
(6)電源スケジュール修正情報取得部0108は、環境情報及び貯留湯状態情報を少なくとも含む電源スケジュール取得用情報を常時又は間隔を開けて取得し、これに基づいて電源スケジュール修正情報を取得する。
(7)電源スケジュール情報修正部0109は、電源スケジュール修正情報が取得されたら、最適電源スケジュール情報保持部に保持された最適電源スケジュール情報を修正する。
(8)電源選択部0103は、最後に修正された最適電源スケジュール情報に基づいて電源を選択する。
以上が、本発明のスマートグリッド型給湯システムの処理の流れの概要である。
【0032】
次に、図を参照して実施形態1を説明する。
<実施形態1:(請求項1に対応)>
<実施形態1: 概要>
実施形態1のスマートグリッド型給湯システムは、複数の電源供給経路を持ち、貯留タンクに貯留された貯留湯の状態を示す情報と、環境情報取得部の環境情報の取得結果とに基づいた電源スケジュール取得用情報を用いて、最適電源スケジュールを生成し、最適電源スケジュールで沸上げを予定し、または実行する。電源スケジュール取得用情報にその後変更があった場合は、電源スケジュール修正情報を取得し、電源スケジュール修正情報に基づいて最適電源スケジュールを修正する。
【0033】
<実施形態1:構成>
図2は、実施形態1のスマートグリッド型給湯システムの機能の構成を示すブロック図である。
実施形態1のスマートグリッド型給湯システムは、最適電源スケジュール情報取得部0201と、最適電源スケジュール情報保持部0202と、電源選択部0203と、ヒートポンプ部0204と、貯留タンク部0205と、貯留湯状態情報取得部0206と、環境情報取得部0207と、電源スケジュール修正情報取得部0208と、最適電源スケジュール情報修正部0209と、を有する。
【0034】
<実施形態1:構成の説明 最適電源スケジュール情報取得部>
「最適電源スケジュール情報取得部」は、電源の後述する選択スケジュールを取得するための情報である電源スケジュール取得用情報に基づいて最適電源のスケジュール情報を取得する。
【0035】
「電源スケジュール取得用情報」は、貯留湯状態情報と環境情報とを含む情報である。電源スケジュール取得用情報に基づいて最適電源スケジュール情報を取得するための演算は最適電源スケジュール情報生成ルールによって生成されるように構成することができる。このルールは、後述する最適電源スケジュール情報の修正履歴からより効果的なルールへと更新されるように構成することが好ましく、最適電源スケジュール情報生成ルール更新部を備えることが好ましい。電源スケジュール取得用情報は、その全部又は一部が外部の電源スケジュール取得用情報サーバから携帯電話網やインターネット網を介して定期的にあるいは不定期に取得するように構成することができる。この電源スケジュール取得用情報サーバは、各種の再生エネルギー型発電装置が依存する特に環境情報をサービスするように構成されることが好ましい。例えば気象情報である。スマートグリッド型給湯システムが依存する各家庭や職場などに設置される電源は必ずしも一律の物でなく、ある家庭には風力発電装置があるが、別の家庭にはない、というばらつきが存在する。従って、各家庭に配置されたスマートグリッド型給湯システムが依存する電力源毎に前記サーバから情報が送信されるように構成されることが好ましい。また、異なる種類の電力源が増設される場合もあるので、そのような場合に備えて前記サーバから送信される情報の種類を変更可能に構成することが好ましい。例えば、本システムに情報変更通知部を設けて前記サーバに送信し、受信する情報の種類を変更したり追加することが出来るように構成することが好ましい。また、このサーバは、各家庭などの電力消費地でどのような電力消費が行われたかの経時的情報を各システムから吸い上げてマクロな電力消費情報を収集し、収集した電力消費情報に基づいて将来の電力消費予測をマクロに行うように構成することが好ましい。例えば環境情報に応じて一の電力管轄内での電力消費を予想することができ、前記サーバから各システムに対して再生可能エネルギーの利用推奨情報などを提供することもできる。この利用推奨情報も環境情報として取り扱うことができる。また再生可能エネルギーのみならず公衆電力網中の電力として、新電力を含む電力会社のいずれかを選択するという種類の推奨情報も提供するように構成することができる。新電力を含む電力会社の電気料金は時間帯や季節に応じて変化するので、トータルに電力消費の経済性を追求する場合には有力な電力源選択情報となるからである。なお、貯留湯状態情報と環境情報に関しては後で説明する。
【0036】
「最適電源スケジュール情報」は、後述するヒートポンプ部で使用する電力を、複数ある電力源のうちで、どの電力源をどのようなタイミングでどれくらいの時間長にわたって使用するかの計画である。保持されている最新の最適電源スケジュール情報に従って電源選択部が電源を選択する。従ってこの最適電源スケジュール情報は時間軸をもつ情報であり、電源選択部への命令としての役割も果たす。この他、余剰電力を売電するか否かの情報を含んでもよい。最適電源は、必ずしも一の電源に限らず、複数の電源を同時に選択するような場合も含まれる。また、最適電源として選択された電源は、その消費量を制限するように最適電源スケジュールを取得するように構成することもできる。例えば、蓄電装置や、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料を利用する自家発電などの電源に関しては、必ずしも永続的に電源を利用できるとは限らず、災害などの備えとして最低限必要な電力を蓄えておく、などの理由から消費電力量を制限することが好ましい。この情報は電源識別情報で識別される電源の属性情報を電源属性情報として保持し、各電源に関して消費電力量の最大値などを保持させておいて、最適電源スケジュールの取得に際して、電源スケジュール取得用情報としてこれらを利用するように構成することができる。なお、電源属性情報としては、電源取得用情報に応じて取得可能な電力量の経時的属性や、最大出力、最大負荷、電源の消耗度、現在の最大出力電力(蓄電量や、貯燃料量などに応じる)なども保持させることが好ましい。
【0037】
ここで言う「最適」とは、設定した目的が最適になるように使用する電源を選択することである。設定した目的とは、電気料金がもっとも経済的になるようにすることであってもよいし、二酸化炭素排出量が最も小さくなるようにすることであってもよい。
利用者が、複数用意された目的の中から選択して設定できるようにしても良い。最適化目的選択部がこの機能を担うように構成することができる。なお、ヒートポンプで沸き上げるお湯の温度も複数用意して選択できるように構成することができる。例えば、自然災害が起こって公衆電力が使用不能になった場合などには沸上げ温度を低めに設定してヒートポンプでの電力消費を低く抑えるように稼働させることも考えられる。
【0038】
図20は、1日のお湯の使用量と、お湯の沸き上げの予定の一例を示す図である。
グラフの縦軸が湯量で、単位はリットルで示している。
横軸は時間経過で1メモリ1時間を示している。
棒グラフは、図示した時間から1時間での量を示しており、例えば、横軸5に表示されている高さ50の棒グラフは、5時から6時未満(5時59分59秒)までに50リットルが(均等に)沸き上げられたことを示している。
折れ線グラフは、貯油タンクの貯湯量を示すグラフである。沸上げがヒートポンプによって実行されると貯湯量が増加し、斜線の棒グラフのように給湯などによって貯油タンクのお湯が消費されると貯湯量が減少する。沸上げは装置の性質上均等に行われる場合が多いがお湯の消費は時間帯によって均等に消費されるとは限らない。しかし、このグラフでは、お湯の消費も所定時間帯にわたって均等に消費されると仮定してグラフ化している。
時間の目盛に対する見方は、これ以降の図も同様である。
図の例では、斜線の棒グラフは時間あたりの使用湯量を示しており、朝7時ごろ30L消費し、昼に5L、夜19時以降300L使用している。
黒の棒グラフは、時間あたりのお湯の沸き上げの量をしめしており、折れ線グラフは、沸き上げたお湯を貯留している貯留量を示している。
【0039】
使用湯量は、シャワーやお風呂のお湯はりなどの使用量が多く、そのほかは食器の洗浄等で利用されていると思われる。このように利用者の生活リズムに応じて使用湯量および利用時間はだいたい決まっており、最適電源スケジュール情報では、この使用湯量が不足しないように、予想される使用量よりも多めに沸き上げておくことが望ましい。
したがって、沸き上げスケジュールとしては、朝7時からの使用に間に合うように、5時から7時までの2時間で、1時間あたり50Lのお湯を沸き上げ、夜に備えて、10時から15時までの5時間で、1時間あたり50Lずつ沸き上げるように計画している。
【0040】
図21は、最適電源スケジュールを示す図である。ヒートポンプで沸き上げに使用する予定の電力と、自家発電の予定の電力の関係を示している。
ヒートポンプでのお湯の沸き上げにかかる電力は、外気温により変化するが、外気温の変化が大きくない場合は、おおむね一定で、ここでは、1kWhの電力を使用するものとする。
【0041】
自家発電は、電力消費を想定する時間帯は好天であると予想されるので、ここでは太陽光発電を想定している。発電されるのは太陽が出ている時間だけである。したがって、最適電源スケジュールでは、自家発電でも1kWhを超える電力が安定して得られる場合には、自家発電を選択し、それ以外の時間は、商用電源からの電力を選択するように計画される。
【0042】
図の例では、5時から7時は、商用電源が選択され、10時から15時は自家発電が選択されるようになっている。これは、事前に自家発電で発電が可能であると判断できた場合であって、自家発電で発電ができない場合は、すべての湯量を深夜に沸き上げるように計画されても良い。また、風が強く、自家発電に発電用風車などがある場合には、風車によって発電される電力を利用するように計画されてもよい。その他、商用電力に代えて、電気自動車のバッテリーを利用したり、蓄電されている電力を利用する世に計画することもできる。
【0043】
<実施形態1:構成の説明 最適電源スケジュール情報保持部>
「最適電源スケジュール情報保持部」は、取得された最適電源スケジュール情報を保持する。保持される最適電源スケジュール情報は、後述する最適電源スケジュール情報修正部によって修正されて更新されるが、更新された最適電源スケジュール情報もここに保持される。修正される前の最適電源スケジュール情報も古いバージョンの情報として保持し、最適電源スケジュール情報の履歴情報が保持されるように構成されてもよい。また、最適電源スケジュール情報取得部が最適電源スケジュールを取得した際の電源スケジュール取得用情報と関連付けて最適電源スケジュール情報を保持してもよい。後に修正される場合に、電源スケジュール取得用情報のどの部分が修正されて最適電源スケジュールが修正されたのか、その原因究明に役立つからである。また、これらの原因と結果の関係を人工知能に学習させて電源スケジュール取得用情報に基づいてより効果的な最適電源スケジュール情報を最適電源スケジュール情報取得部が取得できるように構成することもできる。なお、修正される前の最適電源スケジュール情報は、その最適電源スケジュール情報が取得された時間と関連付けて保持しておくのが好ましい。時間の関数として最適電源スケジュール情報がどのように修正されたかの情報も最適電源スケジュール情報を取得するために有効な情報となるからである。
最適電源スケジュール情報保持部は、最適電源スケジュール情報取得部により取得された最適電源スケジュール情報を、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリに保持する。
【0044】
<実施形態1:構成の説明 電源選択部>
「電源選択部」は、保持されている最新の最適電源スケジュール情報に従って電源を選択する。修正されることで古くなった最適電源スケジュール情報は原則的に利用されない。
電源は、商用電源、自家発電電源、蓄電電源などが考えられ、これらのうちヒートポンプでお湯の沸き上げを行うのに最適な電源を選択する。
自家発電電源は、例えば太陽光発電が考えられる。HEMSでは、太陽光発電が自家発電として主要な構成として考えられている。
この他、風力発電や小水力発電、バイオマス発電、電気自動車、ハイブリッド自動車、地熱発電装置、波力発電装置、川の流れなどを利用する水車型発電装置、蓄電池、電力貯蔵装置(例えば大型回転ホイール等)ディーゼル発電機、石油発電機なども考えられる。
【0045】
<実施形態1:構成の説明 ヒートポンプ部>
「ヒートポンプ部」は、選択された電源の全部又は一部を利用する。
「ヒートポンプ」は、空気中の熱を集めて移動させるシステムであり、本発明では、給湯システムとして、水をお湯に沸き上げることに利用される。
仕組みは、冷媒となる気体を圧縮すると温度が上がり、膨張すると温度が下がる性質を利用し、外気から冷媒に熱を取り込み、熱交換器で熱を水に移動させることでお湯に沸き上げる。
ヒートポンプを利用することで、少ない投入エネルギーで、大きな熱エネルギーを得ることができるので、ガスや石油による燃焼方式に比べれば、エネルギー効率が高く、二酸化炭素の排出量を大幅に低減できる。
【0046】
ヒートポンプから得られる熱エネルギーは、ヒートポンプへの投入電力と空気から取得した熱エネルギーとで以下式で表される。
(水の温度上昇の熱エネルギー)+(ヒートポンプやタンクからの放熱エネルギー)
= (空気から取得した熱エネルギー)+(ヒートポンプへの投入電力)
具体的にはヒートポンプを利用した給湯装置であるエコキュート(登録商標)の効率は、給湯保温効率で表され、一般的には3~4程度の給湯保温効率が得られている。
これは、ヒートポンプに投入した電力を熱エネルギー換算して水に与えた場合の温度上昇必要熱量に対して、3~4倍相当の熱量が得られることを意味している。
給湯保温効率を式で表すと以下のようになる。
(給湯保温効率)=(給湯と保温にかかる熱量)÷(ヒートポンプへの投入電力(相当熱量))
【0047】
ヒートポンプによる給湯システムは、空気から熱を得る性質上、外気温の影響を大きく受け、外気温が高いほど効率良くお湯の沸き上げができる。
従って、深夜帯の電気料金が安い場合、夜にお湯の沸き上げを行うことが経済的といえるが、消費電力だけを考えた場合、気温が上昇した時間にお湯の沸き上げを行ったほうが、エネルギー効率は高いといえる。
【0048】
現在市販されているヒートポンプを使用した給湯機としてエコキュートがある。
エコキュートの給湯にかかるエネルギーは、タンク容量や外気温にも影響をうけるが、1日平均3から7kWhと言われている。これは、ガス給湯機と比較して30から40%のコスト低減が可能になると言われている。
【0049】
図17は、ヒートポンプでお湯を沸き上げる際の電力効率と気温の関係の一例を示す図である。
横軸が外気温で、縦軸が1KWhあたり何リットルのお湯を沸き上げることができるかを示している。
実際には、製品や水温により湯量は変化するが、おおむね外気温とは比例関係にある。
図からわかるように、この例では、外気温が5度変化すると、沸き上げ可能な湯量が20L変化する。これは、ヒートポンプが空気から熱を抽出するためである。このためヒートポンプの効率という観点でも、前述したように気温が高い日中にお湯の沸き上げを行うことが望ましいと言える。従って、夜間電力を蓄電に回し、昼間に蓄電されている電力を利用してヒートポンプで沸き上げると効率が良くなる。
【0050】
<実施形態1:構成の説明 貯留タンク部>
「貯留タンク部」は、ヒートポンプ部での熱交換によって加熱された水を貯留する。
貯留タンクは、ヒートポンプで約80℃まで沸き上げたお湯を冷めないように保温して溜めておくタンクである。
一般的な家庭では、370Lから多くて560Lのタンクが利用され、その周囲を発砲スチロールやウレタンなどの断熱素材で囲うことで、お湯が冷めにくい構造となっている。
貯留するお湯の量は、370Lから560L程度であるが80℃のお湯が蓄えられているので、通常使用するお湯の温度は一般に水道水などで薄めて40℃前後であることを考えると、貯留量以上のお湯が使用できるので、一般家庭では十分なお湯を供給できることになる。
【0051】
<実施形態1:構成の説明 貯留湯状態情報取得部>
「貯留湯状態情報取得部」は、貯留タンク部の貯留湯の状態を示す情報である貯留湯状態情報を電源スケジュール取得用情報として取得する。
「貯留湯状態情報」とは、貯留したお湯の量および温度である。
貯留湯状態情報を電源スケジュール取得用情報として取得し、沸き上げが必要な湯量の算出に使用する。
【0052】
<実施形態1:構成の説明 環境情報取得部>
「環境情報取得部」は、電源の選択のために利用される環境情報を電源スケジュール取得用情報として取得する。
「電源スケジュール取得用情報」とは、最適電源スケジュール情報を取得する際に使用する情報であり、電源選択の最適化に必要な情報である。
「環境情報」は、天気、温度、風向きおよび風力、日照時間、日射量、波の状況、川の流れの状況、地熱の温度などの状況、温泉などの蒸気や温泉水の噴出の状況などの情報のうちいずれか一以上の情報を、通信手段を使用して、外部機器又は本システムに備えられたセンサーより取得する。環境情報には、そのヒートポンプで沸き上げられたお湯の給湯器等での消費パターンに関する情報が含まれていることが好ましい。この消費パターンは、例えば毎日夕方から夜にかけてのバスタイムにお湯が大量に消費され、またその他には、食器の後片付けの時間にお湯がバスタイムと比較すると相対的に少量消費されるなどである。また例えば、床暖房などの設備を稼働する冬などでは、家族などが自宅に滞在している時間帯はそのためにお湯が消費されるなどである。その他に、壁面や天井面などにお湯を循環させて冬場のエアコンによる暖房に代えて利用するような場合にはそれも考慮することが好ましい。また、家族の行動様式に基づいたお湯の消費スケジュールが含まれていることが好ましい。家族構成として子供の登校と帰宅のタイミング、家族の職場への出勤と、帰宅のタイミングなどである。これらは自宅などに配置した人感センサ―によって人の動きを検知し、大量に蓄積して人工知能などに学習させることによって正確な環境情報として蓄積可能である。もちろん人がマニュアルで設定してもよい。また、家族などのスケジュール情報がスマートフォンやコンピュータから取得可能な場合にはそのスケジュール情報も環境情報として利用できる。さらに、環境情報には、太陽光パネルの発電可能電力、発電風車の現在の発電量又は発電可能量、電気自動車、ハイブリッド自動車、ドローンなどから流用可能な電力量、その他の再生可能エネルギー装置(地熱、水車、波力などの各発電装置)から利用可能な電力、蓄電池から利用可能な電力、蓄電設備から利用可能な電力、石油やディーゼル発電機から取得可能な電力量又は電力などの情報が含まれてもよい。また、スマートグリッド網を介して公衆電力網又は私設電力網から利用可能な電力や電力量の情報を場合によって時間軸での変化も含めた情報として含んでもよい。
例えば、LANインタフェースなどによりインターネットなどのネットワークを介して外部サーバから取得するようにしてもよいし、Bluetooth(登録商標)などの通信を利用して、スマートフォンなどの情報端末から取得するようにしても良い。
【0053】
自家発電として、太陽光発電を有する場合、天気、日照時間、日射量などの情報を用いて、発電量を推定し、最適電源スケジュールの取得に利用することが考えられる。
【0054】
また、自家発電として、風力発電を有する場合は、風向きおよび風力の情報をもちいて、発電量を推定し、最適電源スケジュールの取得に利用することが考えられる。
【0055】
また、温度は、ヒートポンプによるお湯の沸き上げの効率に大きく影響するため、ヒートポンプの稼働時間の決定や最適電源スケジュールの取得に利用できる。
【0056】
図18は、環境情報の一例である翌日の1日の気温変化予想を示す図である。
グラフの横軸が時間経過を示し、縦軸が気温を示している。
図の例では、1時間ごとの気温の変化がグラフ化されている。
このように、環境情報として翌日の気温の推移を取得することで、最適電源スケジュール情報取得部で、最適電源スケジュールを取得する際の、ヒートポンプでお湯の沸き上げを行うのに効率の良い時間帯を取得することができる。
【0057】
図19は、環境情報の一例である翌日1日の日照時間と日射量の推移予想を示す図である。
グラフの横軸が時間経過を示し、縦軸の左の軸が日照時間、縦軸の右の軸が日射量を示している。
棒グラフは、1時間あたりの日照時間を示しており、1時間ごとの推移なので、最大が1時間であり、日の出や日の入りの時間、および雲などの状況により変化する。
折れ線グラフは、日射量であり、太陽からの光エネルギーの量を示している。日射量は、太陽の高度により変化するので、その地点の緯度と、太陽の日周運動を計算することで求めることができる。
従って、スマートグリッド型給湯システムが、選択できる電源として太陽光発電を含んでいる場合、設置場所の緯度および経度と日時から日射量が求められ、翌日の日照時間の予測からおおよその太陽光発電による発電量の推移が推定できる。
この推定された太陽光発電の発電量を電源スケジュール用情報として参照して、最適電源スケジュール情報を取得することが考えられる。
また、日照時間の予測は雲の状況により変化するので、予測が修正された場合は、電源スケジュール用情報として電源スケジュール修正情報を取得するようにすればよい。
【0058】
<実施形態1:構成の説明 電源スケジュール修正情報取得部>
「電源スケジュール修正情報取得部」は、電源スケジュール取得用情報に基づいて電源スケジュール修正情報を取得する。
電源スケジュール取得用情報は、定期的に取得し、前回取得した電源スケジュール取得用情報と比較して変化があった場合は、電源スケジュール修正情報として変化した内容を取得する。
【0059】
電源スケジュール取得用情報の取得間隔は、例えば数分から1時間程度の間隔であり、天気予報などの更新間隔と合わせるようにしてもよい。
また、近年は、気候変動の影響により、ゲリラ豪雨など天気の急変も問題となってきている。このような、急激な変動が予測される場合は、取得間隔を短くすることが望ましい。
【0060】
<実施形態1:構成の説明 最適電源スケジュール情報修正部>
「最適電源スケジュール情報修正部」は、取得された電源スケジュール修正情報に基づいて保持されている最適電源スケジュール情報を修正する。
最適電源スケジュール情報修正部は、電源スケジュール修正情報取得部が取得した電源スケジュール修正情報で最適電源スケジュール情報を再度取得し、取得した最適電源スケジュール情報で、最適電源スケジュール情報保持部に保持している最適電源スケジュール情報を更新する。なお、最適電源スケジュール情報の「修正」という文言を使用しているが、最適電源スケジュール情報を新たに取得して、最新の最適電源スケジュール情報として保持させておくことも「修正」に含まれることとする。要は、「修正」とは更新と同義である。全く最適電源スケジュール情報を置き換えない場合には、例えば最適電源スケジュール情報を気象条件などの関数として保持し、関数中の気象条件の変数を新しい変数に置き換えるなどして最適電源スケジュール情報を修正するように構成することもできる。この変数は、そのシステム設置場所である各家庭や職場で利用可能となっている電源種別に応じて異なるように設計される。従って、この関数は各システム固有の関数となっているのが好ましい。また通常は使用しない要因として、大規模自然災害、例えば地震や津波、台風などによってインフラが脆弱となり、通常の最適電源スケジュール情報では対応できない場合などは、この関数自体を別の関数である災害時緊急対応関数などに修正することも考えられる。さらに、関数が複数項から構成される関数である場合には、災害や季節の変化などに応じて複数項の一部を他の項に入れ替えたり、削除したり、追加することが考えらえる。なお、この修正は、すでに何らかの電源が選択されてヒートポンプが稼働状態ある場合でも修正されてよい。つまり、現在進行中の最適電源スケジュール情報に基づくヒートポンプの稼働途中でも直ちにないしは数分から数時間後に予定されていたスケジュールを修正するように構成されてもよい。もちろん、最適電源スケジュール情報がまだ利用されていない段階で修正されて良いことはもちろんである。
【0061】
<実施形態1:ハードウェア構成>
以上が実施形態1の構成であるが、これをプログラムもしくは制御方法として実現する場合も本発明の範囲内である。具体的には、最適電源スケジュール情報取得部、最適電源スケジュール情報保持部、電源選択部の信号処理部、ヒートポンプ部の信号処理部、貯留タンク部の信号処理部、貯留湯状態情報取得部、環境情報取得部、電源スケジュール修正情報取得部、最適電源スケジュール情報修正部の全部または大部分をなす一部がプログラムとコンピュータ並びにその周辺装置で構成される。
図4は、実施形態1のスマートグリッド型給湯システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
実施形態1のスマートグリッド型給湯システムは、CPU0401と、メインメモリ0402と、不揮発性メモリ0403と、チップセット0404と、I/Oコントローラ0405と、LANコントローラ0406と、外部通信インタフェース0407と、グラフィックカード0408と、を有し、さらに、不揮発性メモリ内に制御プログラムとして、最適電源スケジュール情報取得プログラムと、最適電源スケジュール情報保持プログラムと、電源選択プログラムと、ヒートポンププログラムと、貯留タンクプログラムと、貯留湯状態情報取得プログラムと、環境情報取得プログラムと、電源スケジュール修正情報取得プログラムと、最適電源スケジュール情報修正プログラムと、を有する。
【0062】
CPUは、メインメモリから、プログラムを読み出して実行し、各種機能を実現する。メインメモリは、適宜必要なプログラムやデータがロードされ、CPUから読み出される。不揮発性メモリは、プログラムやデータを保持する。チップセットは、ブリッジであり、CPUやメインメモリなどの高速なデバイスと、不揮発性メモリや各種インタフェースなどの低速なデバイスとの間のアクセスの調停を行う。ユーザーインタフェースは、利用者のスイッチなどの操作を取得し、CPUに通知する。LANインタフェースは、インターネットなどのネットワークにアクセスし、環境情報を取得する。外部通信インタフェースは、シリアル通信などのポイント・ツー・ポイントの通信手段であり、貯留タンクから貯留湯状態情報を取得したり、ヒートポンプを制御したり、各種電源との通信を行ったりする。グラフィックカードは、本発明のスマートグリッド型給湯システムの制御パネルの表示制御を行う。
各プログラムにより実現される機能は、構成で説明した内容と同じなので、説明は省略する。
【0063】
<実施形態1:方法>
図3は、実施形態1のスマートグリッド型給湯システムの処理の流れを示すフローチャートである。
実施形態1のスマートグリッド型給湯システムの制御方法は、最適電源スケジュール情報取得ステップS0301と、最適電源スケジュール情報保持ステップS0302と、電源選択ステップS0303と、貯留湯状態情報取得ステップS0304と、環境情報取得ステップ0305と、電源スケジュール修正情報取得ステップ0306と、最適電源スケジュール情報修正ステップ0307と、を有する。
【0064】
まず、最適電源スケジュール情報取得ステップで、貯留湯状態情報と環境情報とで構成された電源スケジュール取得情報に基づいて、最適電源スケジュール情報を取得する。
次に、最適電源スケジュール保持ステップで、最適電源スケジュール情報取得部で取得された最適電源スケジュール情報を不揮発性メモリに保持する。
次に、貯留湯状態情報取得ステップで、貯留タンクに保持された貯留湯の状態を貯留湯状態情報として取得する。
次に、環境情報取得ステップで環境情報を取得する。
次に、電源スケジュール修正情報取得ステップで、電源スケジュール取得用情報に変化があった場合は、電源スケジュール修正情報を取得する。
次に、電源スケジュール修正ステップは、電源スケジュール修正情報取得ステップで取得された電源スケジュール修正情報に基づいて、不揮発性メモリに保持された最適電源スケジュール情報を修正する。
次に、お湯の沸上時間かを確認し、お湯の沸上時間である場合には電源選択ステップに移行し、お湯の沸上時間で無い場合は、電源選択ステップを実行しない。
次に、電源選択ステップで最適電源スケジュール情報により選択された電源からヒートポンプに電力を供給する。
次に、処理が終了の場合は終了するが、継続の場合は、電源選択ステップから繰り返す。
以上の処理により選択された電源の電力により、ヒートポンプでお湯を沸き上げる。
【0065】
<実施形態1:効果>
実施形態1のスマートグリッド型給湯システムによれば、環境の変化にいち早く対応し、最適な電源を選択して給湯をおこなうことができるので、天気予報などが外れた場合や天気が急変した場合などでも、最適な電源選択が行える。
【0066】
<実施形態2:(請求項2に対応)>
<実施形態2: 概要>
実施形態2のスマートグリッド型給湯システムは、自家エネルギーの消費状態を取得して、その消費状態に応じてヒートポンプに供給してお湯の沸き上げを行う電力を選択する。
【0067】
<実施形態2: 構成>
図5は、実施形態2のスマートグリッド型給湯システムの機能の構成を示すブロック図である。
実施形態2のスマートグリッド型給湯システムは、実施形態1の構成に加えて、自家エネルギー消費状態情報取得部0510と、をさらに有する。
【0068】
<実施形態2:構成の説明 自家エネルギー消費状態情報取得部>
「自家エネルギー消費状態情報取得部」は、自家のエネルギー消費状態情報を電源スケジュール取得用情報として取得する。
「自家エネルギー消費状態情報」とは、本発明のスマートグリッド型給湯システムを設置した利用者の家庭または施設で消費される電力で、ヒートポンプによるお湯の沸き上げ以外で使用される電力の状態を示す情報である。
電力の消費は、人の活動に応じて、1日のうちで大きく変化する。
また、自然エネルギーによる自家発電電力を使用する場合、時間や環境により大きく変化する。
また、商用電源も時間帯で電力価格が変動する場合がある。
このような事情から、自家エネルギー消費状態情報により、ヒートポンプでお湯を沸き上げるのに最適な電源を選択することが望ましい。
【0069】
例えば、太陽光発電の電力でヒートポンプによるお湯の沸き上げを行っていて、その余剰電力で、自家エネルギー消費を賄っている場合、自家エネルギー消費が大きくなってきて、ヒートポンプが安定的に動作できる電力の確保が難しいと見込まれる状態になったとき、ヒートポンプへの供給電力を商用電力に切り替えることが考えられる。
また、その逆に、自家エネルギー消費に供給する電力を、ヒートポンプとは別の電源で供給可能な電源に切り替えるようにしても良い。
【0070】
図22は、自家エネルギー消費状態情報の一例である、1日のヒートポンプ以外での電力消費量の推移の一例を示す図である。
横軸は、時間であり一目盛1時間を示している。
縦軸は、消費電力を示している。
従って、1時間あたりの消費電力の推移を示している。
図の例では、朝7時ごろから利用者の活動が始まるため消費電力が増えていき、12時ごろと7時ごろに高い値となっており、炊事に伴う消費電力の増加が影響しているものと思われる。また、夜間は、照明による電気使用量が増加するため、他の時間帯よりも高い値となっている。
なお、図の例では、1時間ごとの推移を示しているが、10分ごとの推移であっても良いし、それ以上細かく記録するようにしても良い。
【0071】
<実施形態2:ハードウェア構成>
以上が実施形態2の構成であるが、これをプログラムもしくは制御方法として実現する場合も本発明の範囲内である。
図7は、実施形態1と同様に実施形態2のスマートグリッド型給湯システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
実施形態2のスマートグリッド型給湯システムの制御プログラムは、実施形態1の構成に加えて、自家エネルギー消費状態情報取得プログラムと、をさらに有する。
適宜、必要なプログラムをメインメモリ上にロードし、CPUにより実行することで各種機能を実現する。
【0072】
<実施形態2:方法>
図6は、実施形態1と同様に実施形態2のスマートグリッド型給湯システムの処理の流れを示すフローチャートである。
実施形態2のスマートグリッド型給湯システムの制御方法は、実施形態1の構成に加えて、自家エネルギー消費状態情報取得ステップと、をさらに有する。
実施形態1と異なるステップについてのみ説明する。
自家エネルギー消費状態情報取得ステップは、自家エネルギーの消費状態を取得する。
その後、電源選択ステップに戻り処理を繰り返す。
自家エネルギー消費情報取得ステップは、フローチャーチに示す位置に限らず、電源選択ステップから次の電源選択ステップの間に実施されれば良い。
【0073】
<実施形態2:効果>
ヒートポンプ以外の自家エネルギーの消費状態に応じて、最適な消費電源を選択できるので、消費電力全体での最適化が行える。
【0074】
<実施形態3:(請求項3に対応)>
<実施形態3: 概要>
実施形態3のスマートグリッド型給湯システムは、自家エネルギーの消費を統計的情報として取得し、電源スケジュール取得用情報として使用することで、1日のうちの自家エネルギー消費の推移を考慮して最適電源スケジュール情報取得部で、最適電源スケジュール情報を取得する。
【0075】
<実施形態3: 構成>
図8は、実施形態3のスマートグリッド型給湯システムの機能の構成を示すブロック図である。
実施形態3のスマートグリッド型給湯システムは、実施形態1又は実施形態2の構成に加えて、自家エネルギー統計情報取得部0810と、をさらに有する。
【0076】
<実施形態3:構成の説明 自家エネルギー統計情報取得部>
「自家エネルギー統計情報取得部」は、自家のエネルギーの消費の統計的情報である自家エネルギー統計情報を電源スケジュール取得用情報として取得する。
「自家エネルギー統計情報」は、1日のうちでの自家エネルギーの消費状態の推移を示す情報で、過去の数日間の、1日の自家エネルギーの消費状態の推移を保持しておき、その保持した情報に基づいて統計的手法で求められる。
【0077】
<実施形態3:自家エネルギー統計情報取得部 自家エネルギー統計情報の一例その一>
過去1週間の、一時間ごとの消費電力を保持しておく。
ある時間帯における消費電力は、過去1週間の情報から、7つの消費電力値が求められるが、この値の平均値と標準偏差を求める。
求められた平均値が、最適電源スケジュールを取得する際の自家エネルギー状態情報として使用することが考えられる。
また、標準偏差は、大きいほど、推定値からばらつくことがあることを意味するので、標準偏差が大きい場合には、消費電力に余裕をもった最適電源スケジュールにする必要があることを意味している。
また、同じ曜日の消費電力値には重みを付けるようにすることが考えられる。
これは、例えば、同じ曜日の消費電力値を4倍にし、全部で10の消費電力値があるとして計算するようにすればよい。
こうすることで、その曜日に対応した推定値が得られる。
一般的には、仕事や学校に通うなどあれば、1週間周期で、曜日ごとに行動パターンが決まってくると考えられ、曜日に対応する推定値を用いることは、この行動パターンに対応した最適電源スケジュールが行えることになる。
【0078】
<実施形態3:自家エネルギー統計情報取得部 自家エネルギー統計情報の一例その二>
すくなくとも、過去2週間以上の、一時間ごとの消費電力の推移を保持しておく。
同じ曜日の同じ時間帯の消費電力値の平均値を求める。
この平均値を、最適電源スケジュールを取得する際の自家エネルギー状態情報として使用する。
こうすることで、その曜日に対応した精度の高い消費電力の推定値を用いて、最適電源スケジュールを取得することができる。
【0079】
<実施形態3:ハードウェア構成>
以上が実施形態3の構成であるが、これをプログラムもしくは制御方法として実現する場合も本発明の範囲内である。
図10は、実施形態1、2と同様に実施形態3のスマートグリッド型給湯システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
実施形態3のスマートグリッド型給湯システムの制御プログラムは、実施形態1から実施形態2のいずれか一の構成に加えて、自家エネルギー統計情報取得プログラムをさらに有する。
適宜、必要なプログラムをメインメモリ上にロードし、CPUにより実行することで各種機能を実現する。
【0080】
<実施形態3:方法>
図9は、実施形態1、2と同様に実施形態3の処理の流れを示すフローチャートである。
実施形態3のスマートグリッド型給湯システムの制御方法は、実施形態1から実施形態2のいずれか一の構成に加えて、自家エネルギー統計情報取得ステップS0908をさらに有する。
前述した実施形態と重複するステップの説明は省略する。
先ず、自家エネルギー統計情報取得ステップは、過去の自家エネルギー消費状態情報から統計的手法を用いて、自家エネルギー統計情報を算出し、電源スケジュール用情報として取得する。取得した電源スケジュール用情報で、最適電源スケジュールを取得する。
以降は実施形態1から実施形態2と同じである。
【0081】
<実施形態3:効果>
実施形態3のスマートグリッド型給湯システムによれば、過去の自家エネルギー消費状態を統計的に分析して利用者の行動パターンにあった最適電源スケジュールを取得できるので、より精度の高い電源選択が行える。
【0082】
<実施形態4:(請求項4に対応)>
<実施形態4: 概要>
実施形態4のスマートグリッド型給湯システムは、電源スケジュールの実行履歴を自家エネルギーの消費状態情報と関連付けて保持するので、自家エネルギーの消費状態に対応した電源スケジュールを後から参照できる。
【0083】
<実施形態4: 構成>
図11は、実施形態4のスマートグリッド型給湯システムの機能の構成を示すブロック図である。
実施形態4のスマートグリッド型給湯システムは、実施形態2または実施形態2を含む実施形態3のいずれか一の構成に加えて、自家スケジュール実行履歴保持部1111をさらに有する。
【0084】
<実施形態4:構成の説明 自家スケジュール実行履歴保持部>
「自家スケジュール実行履歴保持部」は、電源スケジュールの実行履歴を前記自家エネルギー消費状態情報と関連付けて保持する。
電源スケジュールの実行履歴および自家エネルギー消費状態は、不揮発性メモリに保持する。この時、日にちの情報を関連付けるようにしても良い。
これにより、いつの電源スケジュールかまた、自家エネルギー消費状態情報かを、後日確認することができる。
【0085】
また、保持可能な日数は、最大日数を設定するようにしても良い。
この場合、新しい電源スケジュールと自家エネルギー消費状態情報が記録する場合、最も古い電源スケジュールと自家エネルギー消費状態情報を削除してから記録するようにすれば良い。この時、自家スケジュール実行履歴保持部は、リングバッファとし記録し、保持する情報は日にち順に記録され、最新の情報が保持されている位置を別途保持するようにすれば良い。こうすることで、最新の記録が保持されている位置の次の位置が、次回最新の情報を記録する位置となり、また、最も古い情報が保持されている位置として管理できる。
【0086】
<実施形態4:ハードウェア構成>
以上が実施形態4の構成であるが、これをプログラムもしくは制御方法として実現する場合も本発明の範囲内である。
図13は、実施形態1、2、3と同様に実施形態4のスマートグリッド型給湯システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
実施形態4のスマートグリッド型給湯システムの制御プログラムは、実施形態2または実施形態2を含む実施形態3のいずれか一の構成に加えて、自家スケジュール実行履歴保持プログラムをさらに有する。
適宜、必要なプログラムをメインメモリ上にロードし、CPUにより実行することで各種機能を実現する。
【0087】
<実施形態4:方法>
図12は、実施形態1、2、3と同様に実施形態4のスマートグリッド型給湯システムの処理の流れを示すフローチャートである。
実施形態4のスマートグリッド型給湯システムの制御方法は、実施形態2から実施形態2を含む実施形態3のいずれか一の構成に加えて、自家スケジュール実行履歴保持ステップS1209をさらに有する。
【0088】
前述した実施形態と重複するステップの説明は省略する。
自家スケジュール実行履歴保持ステップは、自家エネルギー消費状態取得ステップで取得した自家エネルギー消費状態情報を、最適電源スケジュール情報に基づいて電源選択ステップで選択した電源スケジュールの実行履歴と関連付けて不揮発性メモリに保持する。
【0089】
<実施形態4:効果>
実施形態4のスマートグリッド型給湯システムは、自家エネルギー消費状態情報に関連付けて、電源スケジュールの実行履歴を保持するので、後から、自家エネルギーの消費状態に対応して電源スケジュールを修正実行したかを確認できる。
これにより、適切に電源選択制御が行われているかを評価できる。
【0090】
<実施形態5:(請求項5に対応)>
<実施形態5: 概要>
実施形態5のスマートグリッド型給湯システムは、過去の自家スケジュール実行履歴を電源スケジュール取得用情報として使用することで、利用者の利用状況により最適化された電源スケジュールとして取得する。
【0091】
<実施形態5: 構成>
図14は、実施形態5のスマートグリッド型給湯システムの機能の構成を示すブロック図である。
実施形態5のスマートグリッド型給湯システムは、実施形態4の構成に加えて、自家スケジュール実行履歴取得部1412と、をさらに有する。
【0092】
<実施形態5:構成の説明 自家スケジュール実行履歴取得部>
「自家スケジュール実行履歴取得部」は、保持されている自家スケジュール実行履歴を電源スケジュール取得用情報として取得する。
自家スケジュール実行履歴を電源スケジュール取得用情報として取得することで、最適電源スケジュール情報取得部および、電源スケジュール修正情報取得部は、過去の自家エネルギー消費状態情報と、電源スケジュールの実行履歴に基づいて、最適電源スケジュールおよび電源スケジュール修正情報の取得を最適化する。
【0093】
例えば、ディープラーニングにより最適化する方法が考えられる。
この場合、過去のエネルギー消費状態情報から、最適となる電源スケジュールを生成する。
過去のエネルギー消費状態情報を入力とし、最適な電源スケジュールを期待値として学習させフィルタを最適化する。
この最適化されたフィルタを電源スケジュール修正情報取得部に組み込んで、リアルタイムに取得されるエネルギー消費状態情報を電源スケジュール取得用情報として入力することで、最適化された電源スケジュールが取得される。
【0094】
過去の電源スケジュール実行履歴を使用した電源スケジュール取得用情報は、ディープラーニングに限定されるものではなく、その他の推定技術を用いても構わない。
例えば、AIを使用した予測技術を用いても良い。
【0095】
<実施形態5:ハードウェア構成>
以上が実施形態5の構成であるが、これをプログラムもしくは制御方法として実現する場合も本発明の範囲内である。
図16は、実施形態1から4と同様に実施形態5のスマートグリッド型給湯システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
実施形態5のスマートグリッド型給湯システムの制御プログラムは、実施形態4の構成に加えて、自家スケジュール実行履歴取得プログラムをさらに有する。
適宜、必要なプログラムをメインメモリ上にロードし、CPUにより実行することで各種機能を実現する。
【0096】
<実施形態5:方法>
図15は、実施形態1から4と同様に実施形態5のスマートグリッド型給湯システムの処理の流れを示すフローチャートである。
実施形態5のスマートグリッド型給湯システムの制御方法は、実施形態4の構成に加えて、自家スケジュール実行履歴取得ステップS1510をさらに有する。
自家スケジュール実行履歴取得ステップは、自家エネルギー消費状態取得部で取得したエネルギー消費情報と、電源スケジュールの実行履歴とが関連付けられた自家スケジュール実行履歴を電源スケジュール取得用情報として取得する。
【0097】
<実施形態6:(請求項6に対応)>
<実施形態6:概要>
実施形態6のスマートグリッド型給湯システムは、電源選択部で選択される電源のうちすくなくとも一つは自家再生エネルギー源であり、他に公衆電源として供給される電源サプライヤーからの電源を含む。
【0098】
<実施形態6:構成>
実施形態6のスマートグリッド型給湯システムは、実施形態1から実施形態5のいずれか一の構成と同じである。
【0099】
<実施形態6:構成の説明 電源選択部の特徴>
実施形態6のスマートグリッド型給湯システムは、電源選択部で選択可能な電源として少なくとも一以上の自家再生可能エネルギー源と、公衆電源供給網にて選択可能な各種の電源サプライヤーの電源を含み、最適な電源を選択する。
【0100】
自家再生可能エネルギー源としては、太陽光発電が考えられる。
その他、風力発電やバイオマス、小水力発電であっても良い。
【0101】
電源サプライヤーの電源は、通常の電力会社からの供給電力であっても良いし、それらと、再生可能エネルギーで発電された電力とを選択的に切り替え可能に構成されていても良い。
【0102】
<実施形態6:効果>
実施形態6のスマートグリッド型給湯システムによれば、利用者の好みに応じた電源の選択が可能になる。
例えば、自家再生可能エネルギー源で賄える場合はその電力を使用し、不足する場合は、電源サプライヤーから供給される再生可能エネルギーによる電源を選択するようにすることも考えられる。
この場合、自家で使用するエネルギーの二酸化炭素排出量はゼロとすることができるため、環境意識の高い利用者もニーズにも応えることができる。
【符号の説明】
【0103】
0101,0201 最適電源スケジュールを取得部
0102,0202 最適電源スケジュールを保持部
0103,0203 電源選択部
0104,0204 ヒートポンプ部
0105,0205 貯留タンク部
0106,0206 貯留湯状態情報取得部
0107,0207 環境情報取得部
0108,0208 電源スケジュール修正情報取得部
0109,0209 最適電源スケジュール情報修正部
【要約】
【課題】天気予報などの環境情報が変化しても、複数ある電源から最適な電源を選択して給湯するスマートグリッド型給湯システムを提供する。
【解決手段】自家に効率的に給湯を行うことができるスマートグリッド型給湯システムであって、最適電源のスケジュール情報を取得する最適電源スケジュール情報取得部と、最適電源スケジュール情報保持部と、最適電源スケジュール情報に従って電源を選択する電源選択部と、ヒートポンプ部と、加熱された水を貯留する貯留タンク部と、貯留湯状態情報取得部と、環境情報を電源スケジュール取得用情報として取得する環境情報取得部と、電源スケジュール修正情報取得部と、最適電源スケジュール情報を修正する最適電源スケジュール情報修正部と、を有する。
【選択図】
図1