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特許7132572リニアアクチュエータならびにアクチュエータを含む開閉システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】リニアアクチュエータならびにアクチュエータを含む開閉システム
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/14 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
F15B15/14 335Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019540654
(86)(22)【出願日】2018-02-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 IB2018050667
(87)【国際公開番号】W WO2018142338
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-01-27
(31)【優先権主張番号】102017000011597
(32)【優先日】2017-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102017000011628
(32)【優先日】2017-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】513033593
【氏名又は名称】イン&テック エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バケッティー,ルチアーノ
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09388622(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0285278(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104454756(CN,A)
【文献】特開2000-257352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの閉鎖要素(D)を移動させるためのリニアアクチュエータであって、
-軸(X)を画定する少なくとも1つのジャケット(10)と、
-休止位置と作動位置との間で前記軸(X)に沿って前記少なくとも1つのジャケット(10)と相互関係で緊密に摺動可能なエンドシリンダ(21)を有する少なくとも1つのロッド(20)とを備え、
前記エンドシリンダ(21)は、前記少なくとも1つのジャケット(10)を互いに流体的に独立した少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画(18´、18´´)に分割し、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画(18´、18´´)のうちの一方は流体的に隔離され真空状態にあり、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画(18´、18´´)のうちの他方は、外部環境と流体連通して、外部環境から空気を吸引する又は外部環境へ空気を放出し、
前記エンドシリンダ(21)が前記休止位置から前記作動位置へ移動する際に、前記少なくとも1つのロッド(20)を吸引して前記エンドシリンダ(21)を前記作動位置から前記休止位置に戻すように、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画(18´、18´´)のうちの前記一方が拡大する、リニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画(18´、18´´)のうちの前記一方の最小容積が実質的にゼロである、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画(18´、18´´)のうちの前記一方の内部圧力が実質的にゼロである、請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのジャケット(10)は、側壁(11)と一対の端部壁(14´、16)とを備え、前記休止位置にある前記エンドシリンダ(21)は、前記端部壁(14´、16)のうちの一方と実質的に接触する、請求項1、2または3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記ジャケットは、前記側壁を画定する管状要素(11)と、前記管状要素(11)と
相互に緊密に結合されたエンドキャップ(12)とを備え、前記エンドキャップ(12)は前記端部壁(14´、16)のうちの前記一方を含み、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画(18´、18´´)のうちの前記一方が実質的に真空状態にあることを確保するために、前記少なくとも1つのロッド(20)および前記管状要素(11)は、前記エンドキャップ(12)と前記管状要素(11)とが相互結合する際に、前記端部壁(14´、16)のうちの前記一方と前記エンドシリンダ(21)とが相互接触係合状態にあるように、相互に構成される、請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのロッド(20)は、前記エンドシリンダ(21)の前記休止位置と前記作動位置のうちの一方に対応する前記少なくとも一方のジャケット(10)の近位部と、前記エンドシリンダ(21)の前記休止位置と前記作動位置のうちの他方に対応する遠位部との間で前記軸(X)に沿って前記少なくとも1つのジャケット(10)に対して、外部に向けて摺動可能な前記エンドシリンダ(21)と反対側端部(22)をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記端部壁のうちの一方(16)は底壁であり、前記端部壁のうちの他方(14´)は前記少なくとも1つのロッド(20)の移動用の貫通開口部(15)を有する反対側の壁であり、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画(18´)のうちの前記一方は前記底壁(16)を含み、前記少なくとも1つのロッド(20)の前記反対側端部(22)が前記少なくとも一方のジャケット(10)の近位部に位置すると、前記エンドシリンダ(21)が前記休止位置に配置される、請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
空気流は、外部環境から/外部環境へ、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画(18´、18´´)のうちの前記他方へ/前記他方から流れる、請求項1~7のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記エンドシリンダ(21)が前記休止位置から前記作動位置に移動する際に、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画(18´、18´´)のうちの前記他方は、空気を外部環境に放出することによって後退し、前記エンドシリンダ(21)を前記作動位置から前記休止位置へ吸引する際に、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画(18´、18´´)のうちの他方は、外部環境から空気を吸引することによって拡大する、請求項8に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画(18´、18´´)のうちの前記他方から出入りする空気流を制御し、前記エンドシリンダ(21)が前記休止位置から前記作動位置へ移動するのに必要な力および/または前記作動位置から前記休止位置への吸引速度を制御する制御手段をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、移動システムの技術分野に関し、特にリニアアクチュエータに関する。
【0002】
本発明はさらに、そのようなアクチュエータを含む開口部を開閉するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
最新技術
リニアアクチュエータには、主に液圧式または空気圧式の2種類があることは公知である。
【0004】
どちらの場合も、アクチュエータは作動流体の供給ライン、すなわち油または圧縮空気に接続する必要がある。
【0005】
これは、関連する全ての問題と共に、管理するための作動流体を有するという疑う余地のない欠点を意味する。結果として、これらの種類のアクチュエータは、いくつかの非工業的用途、例えばスライドドアまたはドア扉の移動には不適切である。
【0006】
圧縮および引っ張りガススプリングもまた公知である。これらの種類のばねでは、一旦、ロッドが作動位置に押し込まれるか引っ張られると、ロッドを休止位置に戻すために、一般に窒素ガスが使用される。
【0007】
これらの種類のばねの既知の欠点は、それらが時間とともに放出する傾向があり、これらを定期的に交換しなければならないことである。さらに、ロッドが圧縮または引っ張られると、ロッドがガスに対して作用するので、ガスの圧力が増加し、その結果、ロッドを動かすのに必要な力が増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高機能性、構造の単純さ、および低コストであるという特徴を有するリニアアクチュエータを提供することによって、少なくとも部分的に上記の欠点を克服することである。
【0009】
本発明の別の目的は、ロッドの位置とは無関係に、ロッドを動かす力が常に同じであるリニアアクチュエータを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、メンテナンスが最小限であるリニアアクチュエータを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、全体寸法が限られたリニアアクチュエータを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、ドアまたはドア扉を開/閉位置から確実に自動的に閉じたり/開いたりするアクチュエータを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、リニアアクチュエータに接続されている閉鎖要素の動きを確実に制御するリニアアクチュエータを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、構成部品数が最小であるリニアアクチュエータを提供することである。
【0015】
これらの目的ならびに以下でより明らかになる他の目的は、本明細書に記載されていること、例示されていることおよび/または特許請求されていることに基づいてリニアアクチュエータによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
リニアアクチュエータは、軸を画定する少なくとも1つのジャケットと、休止位置と作動位置との間で軸に沿って、少なくとも1つのジャケットに対して相互に緊密に摺動可能なエンドシリンダを有する少なくとも1つのロッドとを含むことができる。
【0017】
エンドシリンダは、少なくとも1つのジャケットを互いに流体的に独立した少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画に分割することができ、少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの一方は隔離および真空密封することができ、少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの他方は外部環境と流体連通することができる。
【0018】
エンドシリンダが休止位置から作動位置へ移動する際に、少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの一方が拡大し、少なくとも1つのロッドを自動的に戻すことによってエンドシリンダを作動位置から休止位置へ吸引することができる。
【0019】
好ましくは、前記リニアアクチュエータにおいて、少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの一方の最小容積は、その内圧と同様に実質的にゼロであり得る。
【0020】
好ましくは、前記リニアアクチュエータにおいて、少なくとも1つのジャケットは1つの側壁と一対の端部壁とを含み、休止位置にあるエンドシリンダは端部壁の一方と実質的に接触している。
【0021】
好ましくは、前記リニアアクチュエータにおいて、ジャケットは、側壁を画定する管状要素と、当該管状要素と相互に緊密に結合されたエンドキャップとを含み、エンドキャップは端部壁の1つを含み、少なくとも1つのロッドと管状要素は、エンドキャップと管状要素の相互結合時に端部壁の1つとエンドシリンダが相互接触するように相互に構成されており、少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画の一方が実質的に真空状態にあることが確保される。
【0022】
好ましくは、前記リニアアクチュエータにおいて、少なくとも1つのロッドはエンドシリンダの反対側の端部をさらに含むことができ、当該の反対側の端部は、エンドシリンダの休止位置と作動位置のうちの一方に対応する少なくとも1つのジャケットの近位部と、エンドシリンダの休止位置と作動位置のうちの他方に対応する少なくとも1つのジャケットの遠位部との間で、軸に沿って、少なくとも1つのジャケットに対して外部に向けて摺動可能である。
【0023】
好ましくは、上記のリニアアクチュエータにおいて、一方の端部壁は底壁であり、他方の端部壁は少なくとも1つのロッドが移動するための貫通開口部を有する反対側の壁であってもよく、少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画は底壁を含むことができ、少なくとも1つのロッドの反対側端部の近位部はエンドシリンダの休止位置に対応する。
【0024】
好ましくは、前記リニアアクチュエータにおいて、空気流は、外部環境から前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの前記他方へ、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの前記他方から外部環境へ流れる。
【0025】
好ましくは、前記リニアアクチュエータにおいて、前記エンドシリンダが前記休止位置から前記作動位置に移動する際に、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの前記他方は、前記エンドシリンダを前記作動位置から前記休止位置へ吸引する際に、空気を外部環境に放出することによって後退することができ、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積のうちの他方は、外部環境から空気を吸引することによって拡大する。
【0026】
好ましくは、前記リニアアクチュエータは、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの他方から流入/流出する空気流を制御して、前記エンドシリンダが前記休止位置から前記位置へ移動するのに必要な力を制御する手段および/または作動位置から休止位置への吸引速度を制御する手段をさらに含むことができる。
【0027】
好ましくは、前記リニアアクチュエータにおいて、制御手段は、
-前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの前記他方が外部環境と流体接続するための第1および第2のラインと、
-前記第1および第2の流体接続ラインのうちの一方に選択的に作用して、前記エンドシリンダが前記休止位置から前記作動位置へ移動する際に当該ラインを開放し、逆方向に移動する際に当該ラインを閉鎖して、前記第1および第2の流体接続ラインのうちの他方を通って前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの前記他方に空気を強制的に流す弁手段とを備える。
【0028】
好ましくは、上記のリニアアクチュエータにおいて、制御手段は、前記第1および第2の流体接続ラインのうちの前記他方に作用して前記流路部分を調整する調整手段をさらに含む。
【0029】
好ましくは、前記リニアアクチュエータにおいて、前記第1および第2の流体接続ラインのうちの他方は、少なくとも1つのダクトを含み、調整手段は、オペレータが外部からアクセス可能な操作端部と、前記少なくとも1つのダクトに作用する作動端部とを有する少なくとも1つの調整グレインを含む。
【0030】
さらなる態様では、上記のリニアアクチュエータの構成にかかわらず、本明細書で説明、図示および/または特許請求されている内容に従って、作動流体用の流量制御ユニットを設けてもよい。
【0031】
作動流体の流れを制御するための制御ユニットは、軸を画定する少なくとも1つのジャケットと、休止位置と作動位置との間で軸に沿って少なくとも1つのジャケットに対して相互に緊密に摺動可能なエンドシリンダを有する少なくとも1つのロッドとを含むことができるリニアアクチュエータに連結可能であり得る。
【0032】
上記の流量制御ユニットでは、エンドシリンダは、少なくとも1つのジャケットを少なくとも1つの第1および第2の流体的に独立した可変容積区画に分割することができる。少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの一方は、外部環境と流体連通することができる。
【0033】
制御ユニットは、少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの一方を外部環境と流体接続するための第1および第2のラインと、第1および第2の流体接続ラインのうちの一方に選択的に作用して、エンドシリンダが休止位置から作動位置に移動する際に当該ラインを開放し、逆方向に移動する際に当該ラインを閉鎖する弁手段とを含む。
【0034】
このようにして、前記第1および第2の流体接続ラインのうちの他方を介して、少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの他方に空気を強制的に流すことが可能であり得る。
【0035】
好ましくは、上記の流量制御ユニットは、前記第1および第2の流体接続ラインのうちの前記他方に作用して流路部分を調整する調整手段をさらに備えることができる。
【0036】
好ましくは、前記流量制御ユニットにおいて、前記第1および第2の流体接続ラインのうちの他方は少なくとも1つのダクトを含み、前記調整手段はオペレータが外部からアクセス可能な制御端部と前記少なくとも1つのダクトに作用する作動端部とを有する調整グレインを含む。
【0037】
上記の作動流体の流れを制御するための制御ユニットを含めて、リニアアクチュエータもまた提供され得る。
【0038】
特に、本リニアアクチュエータは、
-軸を定義する少なくとも1つのジャケットと、
-休止位置と作動位置との間で、前記軸に沿って前記少なくとも1つのジャケットに対して相互に緊密に摺動可能なエンドシリンダを有する少なくとも1つのロッドと、
-前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの前記一方から出入りする空気流を制御して、前記エンドシリンダが前記休止位置から前記作動位置へ移動するのに必要な力を制御し、および/または前記作動位置から前記休止位置への吸引速度を制御する手段とを備え、
前記エンドシリンダは、前記少なくとも1つのジャケットを互いに流体的に独立した少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画に分割し、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画の一方は外部環境と流体連通し、
前記制御手段は、上記の制御ユニットを含むか、またはそれから構成される。
【0039】
好ましくは、上記の制御ユニットを含むアクチュエータにおいて、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの前記一方は、外部環境から/外部環境へ空気流を流すことができる。
【0040】
好ましくは、上記の制御ユニットを含むアクチュエータにおいて、前記エンドシリンダが前記休止位置から前記作動位置へ移動する際に、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの一方が外部環境へ空気を放出することによって後退し、前記エンドシリンダが前記作動位置から前記休止位置へ移動する際に、前記少なくとも1つの第1および第2の可変容積区画のうちの前記一方は、外部環境から空気を吸引することによって拡大することができる。
【0041】
好ましくは、上記の制御ユニットを含むアクチュエータにおいて、リニアアクチュエータは、上記の特徴のうちの1つ以上を有し得る。
【0042】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を用いて非限定的な例として示されている、リニアアクチュエータ1のいくつかの好ましいが排他的ではない実施形態の詳細な説明を考慮すると、より明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1a】ドアの閉鎖位置Dにおける、リニアアクチュエータ1の好ましい非排他的な実施形態によって移動されるスライドドアDを用いて開口部Pを閉鎖するためのシステム100の実施形態の概略図である。
図1b】ドアの閉鎖位置Dにおける、図1aのリニアアクチュエータ1の実施形態の概略図である。
図2a】開放ドアDにおける、リニアアクチュエータ1の好ましい非排他的な実施形態によって移動されるスライドドアDを用いて開口部Pを閉鎖するためのシステム100の実施形態の概略図である。
図2b】開放ドアDにおける、図2aのリニアアクチュエータ1の実施形態の概略図である。
図3図1aおよび図2aのリニアアクチュエータ1の実施形態の分解図である。
図4a】ドアの閉鎖位置Dにおける、図1aのリニアアクチュエータ1の実施形態の管状要素11の端部13´´の断面図である。
図4b】ドアの閉鎖位置Dにおける、図1bのリニアアクチュエータ1の実施形態の管状要素11の端部13´の断面図である。
図5】ドアの開放位置Dにおける、図2aおよび図2bのリニアアクチュエータ1の実施形態の管状要素11の端部13´´の断面図である。
図6】遠位部に端部22を有するリニアアクチュエータ1のさらなる実施形態の管状要素11の端部13´´の断面図である。
図7】近位部に端部22を有する図6のリニアアクチュエータ1のさらなる実施形態の管状要素11の端部13´の断面図である。
図8a図1aのシステム100の実施形態の拡大概略図であり、ドアの閉鎖位置Dにおけるリニアアクチュエータ1を示す。
図8b図2aのシステム100の実施形態の拡大概略図であり、ドアの開放位置Dにおけるリニアアクチュエータ1を示す。
図9a】ドアの閉鎖位置Dにおける、図8aに示すリニアアクチュエータ1の実施形態の断面図である。
図9b】ドアの開放位置Dにおける、図8bに示すリニアアクチュエータ1の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
言及した図面を参照して、任意の物体、機構またはシステムを直線的に動かすように適合されたリニアアクチュエータ1について説明される。リニアアクチュエータは、滑車またはリファーラル機構を用いて直接的または間接的に作用することができる。
【0045】
本発明の好ましいが排他的ではない実施形態では、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な閉鎖要素Dによって開口部Pを開閉するためのシステム100においてリニアアクチュエータ1を使用することができる。
【0046】
一般に、開口部Pは、任意の固定支持構造内に作られた任意の開口部であってよく、閉鎖要素Dは、例えばドア、ドア扉、ハッチ、トラップドアなどの任意のものであってよい。同様に、閉鎖要素Dは、摺動面に沿って直線的に、または回転軸を中心に回転して、任意の動きで動くことができる。
【0047】
例えば、図1aおよび図2aに示すように、開口部Pは壁Wに作られた通路であってもよく、閉鎖要素Dは図1aに示す閉鎖位置と図2aに示す開放位置との間で、ドア自体によって画定される平面内のスライドドアであってもよい。図1bおよび図2bはそれぞれ、図1aおよび図2aの位置に対応する位置にあるリニアアクチュエータ1を示す。
【0048】
一般に、リニアアクチュエータ1は、軸Xを画定するジャケット10と、例えば、図1bに示される後退位置と、例えば、図2bに示される伸張位置との間で、ジャケット10から移動可能なロッド20とを含むことができる。
【0049】
以下では、ジャケット10が固定ロッド20に対して可動要素として説明される場合であっても、添付の特許請求の範囲の保護範囲を超えることなく、反対のことも起こり得る、すなわちロッドが固定ジャケットに対して移動できると理解される。
【0050】
図示の実施形態において、単一のロッド20および単一のジャケット10が設けられている場合であっても、リニアアクチュエータ1は、他のアクチュエータ、例えば、既知の種類のガススプリングに結合することができるので、添付の特許請求の範囲の保護範囲を超えることなく、複数のジャケットおよび/または複数のロッドを含むことができると理解される。
【0051】
どんな場合でも、リニアアクチュエータ1の可動要素、すなわち添付の図面に示されている実施形態におけるジャケット10はスライドドアDに接続されてもよく、一方、固定要素、すなわち添付の図面に示されている実施形態におけるロッド20は壁Wに固定されてもよい。
【0052】
したがって、ジャケット10は、その開放位置と閉鎖位置との間で、ドアと一体となって摺動する。
【0053】
この目的のために、ジャケットによって画定される軸Xに実質的に平行な摺動方向dを画定する1つ以上のガイドレール120と動作可能に係合される摺動手段、例えば2つ以上のスライド110、111を設けてもよい。
【0054】
有利には、スライド110、111は、例えば、その上にスライド可能に挿入された、リニアアクチュエータ10の管状要素11に連結可能であり得る。
【0055】
このようにして、小型で実現が簡単で機能的なリニアアクチュエータが得られる。
【0056】
これらの特徴により、リニアアクチュエータ1については延長された管状体130、またはC字形に下に開いた管状体130に格納することが可能になり、管状体130についてはドアフレームまたは仮天井に挿入するか、それらと一体化することができる。
【0057】
好ましくは、リニアアクチュエータ1を有するプロファイル130を、スライドドアDの上方に配置してもよい。一方、例えば、滑車およびロープなどの適切な戻り手段を使用して、ドアDの横方向またはその下方に配置してもよい。
【0058】
システム100で使用可能なリニアアクチュエータ1は任意の種類のものでよい。好ましくは、それは空気圧式、例えば既知のタイプのガススプリングであろう。
【0059】
システム100の好ましいが排他的ではない実施形態では、アクチュエータ1は以下に説明する特徴を有することができる。
【0060】
以下の説明では、スライドドアDを移動させるためのリニアアクチュエータ1が記載されているとしても、リニアアクチュエータ1は添付の特許請求の範囲の保護範囲を超えることなく任意の利用法を有することができると理解される。
【0061】
上記の通り、本明細書では、ロッド20とジャケット10と関連部品との間の摺動の概念は相対的なものであり、絶対的なものではないと理解されなければならない。したがって、簡単のためにジャケット10に対するロッド20の摺動を引用するとしても、これらの部品間の摺動は相互的および互いに対しての摺動であると理解されなければならない。
【0062】
図1から図5に示す実施形態では、ドアの閉鎖位置Dに対応する図1bの後退位置は、リニアアクチュエータ1の休止位置、すなわちリニアアクチュエータ1自体が外部から力を受けない位置に対応する位置である。
【0063】
一方、ドアの開放位置Dに対応する図2bの伸張位置は、リニアアクチュエータ1の作動位置、すなわち、ユーザがドアを開けるためにドアに加える力によって、リニアアクチュエータ1が力を受ける位置である。この位置から、リニアアクチュエータ1は自動的にドアDを閉じるか、または、同じことであるがリニアアクチュエータ1は自動的にその休止位置に戻る。
【0064】
したがって、本実施形態では、リニアアクチュエータ1は引っ張り力で作動する。
【0065】
有利には、ロッド20はエンドシリンダ21と反対側の端部22とを備え、両者はロッド20によって軸Xに沿って互いに自然に緊密に摺動可能である。したがって、エンドシリンダ21は休止位置と作動位置との間を摺動することができる。
【0066】
エンドシリンダ21は、公知の種類のガスケット23を用いてジャケット10の内側を緊密に摺動することができる。反対側の端部22は、図1bに示す休止位置に対応するこの近位部と図2bに示す作動位置に対応するその遠位部との間で、ジャケット10の外側に摺動することができる。
【0067】
ジャケット10は、その側壁を画定する管状要素11と、管状要素11の端部13´に堅くねじ込まれたエンドキャップ12と、管状要素11の他方の端部13´´に堅くねじ込まれた閉鎖要素14を含むことができる。
【0068】
ロッド20を閉鎖要素14の壁14´を貫通する開口部15を通して挿入することができる。
【0069】
有利には、特に図4bに示す通り、ロッド20および管状要素11を、例えば図1bに示されるように端部22が近位の休止位置にあるとき、エンドキャップ12の底壁16がエンドシリンダ21に接触するように相互に構成することができる。
【0070】
エンドシリンダ21は、ジャケット10を互いに流体的に独立した第1および第2の可変容積区画18´、18´、すなわち互いに流体的に接続されておらず、流体を交換しない区画に分割することができる。
【0071】
例えば、図1bに示すように、端部22が休止位置にあるとき、可変容積区画18´は最小の容積を有するが、可変容積区画18´´は最大の容積を有し、例えば、図2bに示すように、端部22が作動位置にあるとき逆のことが起きる。
【0072】
エンドキャップ12が管状要素11に堅くねじ込まれ、エンドシリンダ21が管状要素11に堅く挿入されているので、可変容積区画18´は流体的に隔離されており、いかなる流体もそこに出入りできない。
【0073】
一方、例えば、図1bに示すように端部22が休止位置にあるとき、特に図4bに示すように、エンドキャップ12の底壁16はエンドシリンダ21と接触しており、18´は真空状態にある。したがって、この位置において、可変容積区画の最小容積に対応する可変容積区画18´の容積は、その内圧のごとく実質的にゼロである。
【0074】
この目的のために、エンドシリンダ21が既に管状要素11の端部13´にあるとき、エンドキャップ12のねじ込みを行うことができる。これは、例えば、図1bに示されるように、端部22が近位休止位置にあるときに生じる。エンドシリンダ21を端部13´´を通して挿入することによって、事実、可変容積区画18´から実質的に全ての空気を排出することが可能であり、それは次にエンドキャップ12で塞がれる。
【0075】
このようにして、可変容積区画18´は外部の真空ポンプまたは手段による支援なしに確実に真空状態下に留まる。
【0076】
しかしながら、例えば、外部ポンプまたは真空化手段に接続することによって、添付の特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく、可変容積区画18´を真空状態下に置くことが可能であり得ると理解される。
【0077】
有利には、可変容積区画18´´は外部環境と流体連通することができる。このようにして、可変容積区画18´´は大気圧、すなわち外部環境の圧力であり得る。
【0078】
上記のために、図1aに示すドアの閉鎖位置では、エンドシリンダ21はエンドプラグ12の底壁16に当接したままであり、したがって端部22はジャケット10の近位の休止位置に留まる。
【0079】
ユーザが、一旦、スライドドアDを開くと、すなわち端部22がジャケット10の近位にある休止位置から遠位にある作動位置へ移動する際に、可変容積区画18´は最大容積まで容積が増大しながら拡大し、可変容積区画18´´は最小容積まで容積が減少しながら収縮する。
【0080】
そうすることで、ユーザは可変容積区画18´内に存在する真空に逆らうように作用し、このことにより、スライドドアDを開くためには、スライドドアDの位置に関係なく、常に同じ力が必要となることが保証される。同時に、可変容積区画18´´では、その中に存在する空気が外部環境に放出される。
【0081】
ユーザがドアDを開放位置で放置すると、可変容積区画18´内に存在する真空によりロッド20が吸引され、端部22はジャケット10の近位にある休止位置に向かって自動的に戻り、エンドシリンダ21はエンドキャップ12に戻り、スライドドアDは自動的に閉じる。結果として、可変容積区画18´´は、外部環境から来る空気で満たされることになる。
【0082】
可変容積区画18´が空であると考えられるという事実により、リニアアクチュエータ1はドアDをその位置から開閉するのに必要な力が一定であることを保証する。
【0083】
リニアアクチュエータ1が非常に機能的であり、構築および組立てが簡単で経済的であることも明らかである。
【0084】
実際には、組立ては、上記の通り、ロッド20を管状要素11に挿入し、エンドキャップ12を端部13´にねじ込んで真空となった可変容積区画18´を得て、開口部15を通してロッド20の端部22に同じもの挿入した後、反対側の端部13´´に対応する閉鎖要素14をねじ込むことにより、実行される。
【0085】
次に、弾性膜24をロッド20に適合させ、それをシート部26内に挿入して、例えばシーガーリングであってもよい止め輪25によって後者の軸方向の動きを阻止することによって、組立てが完了する。
【0086】
構造部品は、往復運動の部品のように最小であるので、リニアアクチュエータの保守は最小であり、長い耐用年数を保証するであろう。
【0087】
リニアアクチュエータ1の寸法は最小であり、例えば、以下でよりよく説明するように、スライドドアまたはスライドドア扉を動かすためのあらゆる用途に適している。
【0088】
リニアアクチュエータ1の単純さにより、ドア/扉の開閉位置からの自動開閉が常に確保される。
【0089】
本発明の好ましいが排他的ではない実施形態では、閉鎖要素14は、スライドドアDを開くのに必要な力および閉鎖速度を調節するために、可変容積区画18´から流入/流出する空気流を制御する手段を含んでもよい。
【0090】
制御手段はまた、添付の特許請求の範囲の保護範囲を超えることなく、上記した機能のうちの1つのみ、特に円筒形要素21が休止位置から作動位置へ移動するのに必要な力を、または閉鎖位置に向かって円筒形要素21を吸引する速度を制御するように構成されてもよいと理解される。
【0091】
この目的のために、一般に、可変容積区画18´´と外部環境およびそれらに作用する弁手段との流体接続のための第1および第2のラインを設けてもよい。
【0092】
図1から図5に示す実施形態では、第1の流体接続ラインを貫通開口部15の一部とダクト19とによって画定することができる。
【0093】
エンドシリンダ21が休止位置から作動位置へ移動する際に、この流体接続ラインにおいて、可変容積区画18´´内に存在する空気は貫通開口部15を移動し、開口部19´´を通ってダクト19に入り、そして出口19´を通って出て行く。エンドシリンダ21が作動位置から休止位置へ吸引される際に、空気は逆方向の通路を作り、開口部19´から入って拡大する可変容積区画18´´に達することは明らかである。
【0094】
他方、第2の流体接続ラインを、開口部15によって、シート部26によって、および停止リング25とロッド20との間の環状ギャップ27によって、画定することができる。
【0095】
エンドシリンダ21が休止位置から作動位置へ移動する際のこの流体接続ラインにおいて、可変容積区画18´´内に存在する空気は、貫通部15およびシート部26を移動する際に出口27に達し、一方、エンドシリンダ21が作動位置から休止位置へ吸引される際に、空気は逆方向の通路を通り、環状ギャップ27に入って拡大している可変容積区画18´´に達する。
【0096】
弾性膜24の軸方向移動のための弁座として作用するシート部26によって弁手段を画定することができ、弾性膜24は、作動中のエンドシリンダ21の吸引時に貫通部15用のプラグとして作用し、エンドシリンダ21が休止位置から作動位置へ移動する際に止め輪25に当接し、いずれの場合でも空気の移動を可能にする。
【0097】
換言すれば、スライドドアDの開放中は、収縮している可変容積区画18´´内に存在する空気は、ダクト19と環状ギャップ27との両方を自由に移動することができるが、一方、スライドドアDの閉鎖中は、空気は独占的にダクト19を通って拡大している可変容積区画18´´に達する。
【0098】
上記の部分を適切に寸法設定することによって、スライドドアDを開くのに必要な力とその閉鎖速度の両方を制御することが可能である。特に、スライドドアDを開くのに必要な力は、エンドシリンダ21の直径によって決定することができる。
【0099】
後者を調整するために、通路部分を調整するための適切な調整手段、例えば調整グレイン30を設けてもよい。このようにして、エンドシリンダ21が作動位置から休止位置へ吸引される際に、開口部19´を通ってダクト19に入る空気の流入量を調整することができるので、スライドドアDの閉鎖位置への戻り速度を調整することができる。
【0100】
この目的のために、調整グレイン30は、オペレータが外部からアクセス可能な制御端部31´と、ダクト19内で作用する作動端部31´´とを有することができる。
【0101】
上記の制御手段は、添付の特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく、好ましくは空気圧式の任意のリニアアクチュエータに適用できると理解される。
【0102】
例えば、上記の制御手段を公知の種類のガススプリングに適用してもよく、あるいは公知の種類のガススプリングがこれらの制御手段を含んでいてもよい。
【0103】
例えば、図6および図7に示すリニアアクチュエータ1のさらなる実施形態では、端部22の休止位置は、例えば、図6に示すように、そのジャケット10から遠位部に対応してもよいし、端部22の作動位置は、例えば、図7に示すように、そのジャケット10の近位部に対応してもよい。
【0104】
この実施形態では、可変容積区画18´´は流体的に隔離され真空であることができ、一方、可変容積区画18´は外部環境と流体接続して大気圧に保つことができる。
【0105】
この目的のために、端部22が休止位置にあるとき、ロッド20のエンドシリンダ21は閉鎖要素14、特にその停止壁14´に当接することができ、端部22が作動位置にあるときは、ロッド20のエンドシリンダ21はエンドキャップ12の底壁16から間隔を空けたままでもよく、ダクト19の通路開口部19´´を使わなくてもよくすることができる。
【0106】
このようにして、端部22が休止位置にあるとき、可変容積区画18´´の容積および圧力は実質的にゼロである。
【0107】
本実施形態は、図1bから図5に示す実施形態とは反対に機能し、したがって引っ張り力ではなく圧縮力で機能するであろう。
【0108】
実際には、ユーザが伸張した休止位置から後退した作動位置に向かってロッド20を圧縮するとすぐに、同じロッドは可変容積区画18´´によって吸引され、休止位置に戻る。
【0109】
以上の説明から、本発明が所期の目的を達成することは明らかである。
【0110】
本発明は、全て添付の特許請求の範囲に記載されている発明の概念の範囲内で、数多くの修正および変形が可能である。本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく、全ての詳細は他の技術的に等価な要素によって置き換えられてもよく、材料は必要に応じて異なってもよい。
【0111】
添付の図面を特に参照して本発明を説明したが、明細書および特許請求の範囲で使用される参照番号は、本発明の知能を向上させるために使用され、特許請求の範囲を限定するものではない。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b