(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】乾燥システム及び乾燥方法
(51)【国際特許分類】
F26B 21/00 20060101AFI20220831BHJP
F26B 3/06 20060101ALI20220831BHJP
B29B 13/06 20060101ALI20220831BHJP
B29C 31/00 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
F26B21/00 Z
F26B3/06
B29B13/06
B29C31/00
(21)【出願番号】P 2018073028
(22)【出願日】2018-04-05
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000146054
【氏名又は名称】株式会社松井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】上田 亨
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-062382(JP,A)
【文献】特開2004-066529(JP,A)
【文献】特開2015-030191(JP,A)
【文献】特開2017-067324(JP,A)
【文献】特開平11-123743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 21/00
F26B 3/06
B29B 13/06
B29C 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体材料を貯留する貯留槽と、該貯留槽から輸送された粉粒体材料を貯留し乾燥する乾燥槽と、不活性ガス供給部から供給される不活性ガス
を前記乾燥槽内に導入するガス導入部と、前記乾燥槽に設けられ
余剰ガスを排気する排気口と前記貯留槽に設けられ該貯留槽内にガスを導入するガス受入口とを接
続するガス管路と、を備えて
おり、
前記貯留槽には、該貯留槽内を陽圧に保ちながら余剰ガスを漏出させる漏出機構が設けられていることを特徴とする乾燥システム。
【請求項2】
粉粒体材料を貯留する貯留槽と、該貯留槽から材料輸送管路を介して輸送された粉粒体材料を貯留し乾燥する乾燥槽と、不活性ガス供給部から供給される不活性ガスを
、前記材料輸送管路に連通される前記貯留槽の排出部に
輸送気体として供給する輸送ガス供給部と、前記乾燥槽に設けられ
余剰ガスを排気する排気口と前記貯留槽に設けられ該貯留槽内にガスを導入するガス受入口とを接
続するガス管路と、を備えて
おり、
前記貯留槽には、該貯留槽内を陽圧に保ちながら余剰ガスを漏出させる漏出機構が設けられていることを特徴とする乾燥システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記貯留槽から前記乾燥槽に粉粒体材料を輸送する材料輸送管路に連通される前記貯留槽の排出部に、不活性ガス供給部から供給される不活性ガスを輸送気体として導入する輸送ガス導入部を備えていることを特徴とする乾燥システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記乾燥槽内にガスを導入するガス導入部は、不活性ガス供給部から供給される不活性ガスの導入を伴って、該乾燥槽内の粉粒体材料層を通過したガスの一部を循環させるように取り込み、導入された不活性ガスに混合して下流側に向けて供給する混合部を備えていることを特徴とする乾燥システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記ガス受入口は、前記貯留槽の下端側部位に設けられていることを特徴とする乾燥システム。
【請求項6】
粉粒体材料を貯留する貯留槽から輸送された粉粒体材料を乾燥槽において貯留し、その貯留された粉粒体材料を、不活性ガスを該乾燥槽内に導入して乾燥しながら
、該乾燥槽から排気される余剰ガスを、ガス管路を介して前記貯留槽に向けて送気し該貯留槽内に導入
し、かつ該貯留槽に設けられた漏出機構によって該貯留槽内を陽圧に保ちながら漏出させることを特徴とする乾燥方法。
【請求項7】
粉粒体材料を貯留する貯留槽の排出部に
、輸送気体として不活性ガスを供給して材料輸送管路を介して粉粒体材料
を乾燥槽に向けて輸送しながら
、該乾燥槽から排気される余剰ガスを
、ガス管路を介して前記貯留槽に向けて送気し該貯留槽内に導入
し、かつ該貯留槽に設けられた漏出機構によって該貯留槽内を陽圧に保ちながら漏出させることを特徴とする乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体材料を乾燥する乾燥システム及び乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、成形機等の供給先に向けて供給される粉粒体材料を供給先の上流側において乾燥する乾燥システムが知られている。このような乾燥システムにおいては、粉粒体材料を貯留する材料タンクなどの貯留槽と、この貯留槽から輸送(補給)された粉粒体材料を貯留して乾燥するホッパー状の乾燥槽と、を備えたものが知られている。このような乾燥システムにおいては、乾燥槽においては加熱や除湿された乾燥用ガス等によって粉粒体材料の乾燥がなされるが、貯留槽においては、外気の侵入等によって乾燥前の粉粒体材料の水分率が上昇する懸念があった。
例えば、下記特許文献1には、粉粒体を貯留する第1貯留槽内に不活性ガスを導入する第1ガス導入部と、第1貯留槽から搬送された粉粒体を貯留し乾燥する第2貯留槽の下端に設けられた排出管内に不活性ガスを導入する第2ガス導入部と、を設けた粉粒体処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された粉粒体処理装置では、第1貯留槽及び第2貯留槽のそれぞれに不活性ガスを導入する第1ガス導入部及び第2ガス導入部を設ける必要があり、更なる改善が望まれる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、乾燥槽の上流側に配される貯留槽内における粉粒体材料の吸湿を抑制し得る乾燥システム及び乾燥方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る乾燥システムは、粉粒体材料を貯留する貯留槽と、該貯留槽から輸送された粉粒体材料を貯留し乾燥する乾燥槽と、不活性ガス供給部から供給される不活性ガスを前記乾燥槽内に導入するガス導入部と、前記乾燥槽に設けられ余剰ガスを排気する排気口と前記貯留槽に設けられ該貯留槽内にガスを導入するガス受入口とを接続するガス管路と、を備えており、前記貯留槽には、該貯留槽内を陽圧に保ちながら余剰ガスを漏出させる漏出機構が設けられていることを特徴とする。
また、前記目的を達成するために、本発明に係る乾燥システムは、粉粒体材料を貯留する貯留槽と、該貯留槽から材料輸送管路を介して輸送された粉粒体材料を貯留し乾燥する乾燥槽と、不活性ガス供給部から供給される不活性ガスを、前記材料輸送管路に連通される前記貯留槽の排出部に輸送気体として供給する輸送ガス供給部と、前記乾燥槽に設けられ余剰ガスを排気する排気口と前記貯留槽に設けられ該貯留槽内にガスを導入するガス受入口とを接続するガス管路と、を備えており、前記貯留槽には、該貯留槽内を陽圧に保ちながら余剰ガスを漏出させる漏出機構が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、前記目的を達成するために、本発明に係る乾燥方法は、粉粒体材料を貯留する貯留槽から輸送された粉粒体材料を乾燥槽において貯留し、その貯留された粉粒体材料を、不活性ガスを該乾燥槽内に導入して乾燥しながら、該乾燥槽から排気される余剰ガスを、ガス管路を介して前記貯留槽に向けて送気し該貯留槽内に導入し、かつ該貯留槽に設けられた漏出機構によって該貯留槽内を陽圧に保ちながら漏出させることを特徴とする。
また、前記目的を達成するために、本発明に係る乾燥方法は、粉粒体材料を貯留する貯留槽の排出部に、輸送気体として不活性ガスを供給して材料輸送管路を介して粉粒体材料を乾燥槽に向けて輸送しながら、該乾燥槽から排気される余剰ガスを、ガス管路を介して前記貯留槽に向けて送気し該貯留槽内に導入し、かつ該貯留槽に設けられた漏出機構によって該貯留槽内を陽圧に保ちながら漏出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る乾燥システム及び乾燥方法は、上述のような構成としたことで、乾燥槽の上流側に配される貯留槽内における粉粒体材料の吸湿を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る粉粒体材料の乾燥方法に用いられる本発明の一実施形態に係る粉粒体材料の乾燥システムの一例を模式的に示す一部破断概略システム図である。
【
図2】同乾燥システムが備えるガス導入部の一例を模式的に示す一部破断概略縦断面図である。
【
図3】(a)は、
図1におけるX部に対応させた一部破断概略縦断面図、(b)は、同乾燥システムにおいて実行される基本動作の一例を模式的に示す概略タイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、一部の図では、他図に付している符号の一部を省略している。
また、
図1及び
図2では、粉粒体材料やガス等が通過する経路となる管路(配管)の一部を、二点鎖線にて模式的に示している。
また、
図3(b)における概略タイムチャートでは、各機器の検出や開閉、ON/OFF等を模式的に示している。
【0011】
図1~
図3は、本実施形態に係る乾燥システムの一例及びこの乾燥システムを用いて実行される乾燥方法の一例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る乾燥システム1は、
図1に示すように、粉粒体材料を貯留する貯留槽10と、この貯留槽10から材料輸送管路7を介して輸送された粉粒体材料を貯留し乾燥する乾燥槽30と、を備えている。また、乾燥システム1は、不活性ガス供給部3から供給される不活性ガスを乾燥槽30内に導入するガス導入部40と、乾燥槽10に設けられ余剰ガスを排気する排気口33と貯留槽10に設けられ貯留槽10内にガスを導入するガス受入口19(
図3(a)参照)とを接続するガス管路8と、を備えている。
【0012】
上記のような構成とすれば、不活性ガスを乾燥槽30内に導入して貯留された粉粒体材料を乾燥しながら、乾燥槽30から排気される余剰ガスを、ガス管路8を介して貯留槽10に向けて送気し貯留槽10内に導入することができる。これにより、外気を乾燥槽30内に導入して粉粒体材料を乾燥するものと比べて、効率的に乾燥することができ、乾燥槽30内が不活性ガス雰囲気下となり粉粒体材料の酸化を抑制することができる。また、このように粉粒体材料の乾燥に使用された余剰ガスを乾燥槽30の供給元となる貯留槽10に導入することができる。つまり、粉粒体材料の乾燥用に乾燥槽30に導入される不活性ガスを貯留槽10にも導入させることができ、乾燥槽30及び貯留槽10のそれぞれに個別に不活性ガスを導入する導入部を設けたものと比べて、不活性ガスの必要量を低減することができる。また、これにより、貯留槽10内が不活性ガス雰囲気下となり、また、陽圧になるので、貯留槽10内への外気の流入を抑制することができ、貯留槽10内における粉粒体材料の吸湿を抑制することができる。
また、本実施形態では、ガス導入部40は、不活性ガス供給部3から供給される不活性ガスを加熱して乾燥槽30内に導入する構成とされている。つまり、本実施形態では、ガス導入部40は、加熱ガス導入部を構成する。このような構成とすれば、加熱された不活性ガスによって乾燥槽30内の粉粒体材料を効率的に乾燥することができる。また、乾燥槽30から排気された余剰ガスが外気に比べて高温となるので、貯留槽10内の粉粒体材料を予備的に昇温させることもできる。なお、粉粒体材料の種類や乾燥槽30の供給先等によっては、除湿された不活性ガスを加熱することなく乾燥槽30内に導入し、粉粒体材料を乾燥する構成としてもよい。この場合は、ガス導入部40に、後記する加熱部50を設けていない構成としてもよい。
【0013】
また、乾燥システム1は、不活性ガス供給部3から供給される不活性ガスを、材料輸送管路7に連通される貯留槽10の排出部28に輸送気体として供給する輸送ガス供給部6を備えている。つまり、本実施形態では、乾燥システム1は、供給元としての貯留槽10から乾燥槽30に粉粒体材料を気力輸送する構成とされている。このような構成とすれば、粉粒体材料を貯留する貯留槽10の排出部28に、輸送気体として不活性ガスを導入して材料輸送管路7を介して粉粒体材料を乾燥槽30に向けて輸送しながら、乾燥槽30から排気される余剰ガスを、ガス管路8を介して貯留槽10に向けて送気し貯留槽10内に導入することができる。これにより、外気を輸送気体とするものと比べて、輸送時における粉粒体材料の吸湿を抑制することができる。また、このように粉粒体材料の輸送に使用された余剰ガスを乾燥槽30の供給元となる貯留槽10に導入することができるので、上記同様、貯留槽10内における粉粒体材料の吸湿を抑制することができる。つまり、粉粒体材料の輸送に用いられた不活性ガスを貯留槽10に導入させることができ、材料輸送管路7及び貯留槽10のそれぞれに個別に不活性ガスを導入する導入部を設けたものと比べて、不活性ガスの必要量を低減することができる。つまりは、当該乾燥システム1においては、貯留槽10に直接的に不活性ガスを導入する導入部を設けることなく、貯留槽10内を不活性ガス雰囲気下にすることができる。
【0014】
また、乾燥システム1は、各部を制御し、後記する各種モードを実行させる制御部を有した制御盤66を備えている。この制御盤66は、CPU等からなる制御部と、この制御部に信号線等を介してそれぞれ接続された、各種設定などを設定、入力したり、表示したりするための表示部及び操作部を構成する表示操作部と、この表示操作部の操作により設定、入力された設定条件や入力値、後記する各動作等を実行するための制御プログラムなどの各種プログラム、予め設定された各種動作条件、各種データテーブル等が格納され、各種メモリ等から構成された記憶部と、を備えている。
【0015】
ここに、上記粉粒体材料は、粉体・粒体状の材料を指すが、微小薄片状や短繊維片状、スライバー状の材料等を含む。
また、上記材料としては、樹脂ペレットや樹脂繊維片等の合成樹脂材料、金属材料、半導体材料、木質材料、薬品材料、食品材料等どのようなものでもよい。
また、粉粒体材料としては、例えば、合成樹脂成形品を成形する場合には、ナチュラル材(バージン材)や粉砕材、マスターバッチ材、各種添加材等が挙げられる。また、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維を含んだ構成としてもよい。
【0016】
また、乾燥槽30の供給先2としては、例えば、射出成形機等の成形機としてもよい。本実施形態では、乾燥槽30を、供給先2としての成形機上に直接的に設置した例を示している。なお、供給先2としての成形機は、合成樹脂成形品を成形する射出成形機に限られず、他の材料用の射出成形機でもよく、または種々の材料用の押出成形機や圧縮成形機等の他の成形機を供給先としてもよい。また、乾燥槽30の供給先2としては、成形機に限られず、成形機上のチャージホッパーや配合装置等でもよい。また、乾燥槽30の供給先2としては、単一の供給先に限られず、複数の供給先でもよい。
【0017】
また、不活性ガス供給部3から供給される不活性ガスとしては、酸素濃度が低いガスであればよく、アルゴンガス(アルゴン富化ガス(アルゴンリッチガス))等でもよいが、窒素ガス(窒素富化ガス(窒素リッチガス))が好ましい。
このような不活性ガスを生成する不活性ガス供給部3としては、中空糸膜分離式や圧力スイング吸着式(PSA式)のガス発生装置が例示される。高濃度の窒素ガスが効率的に得られることからPSA式のガス発生装置が好ましい。なお、この不活性ガス供給部3は、当該乾燥システム1が備えたものでもよく、当該乾燥システム1とは別途に工場内等に設けられ、当該乾燥システム1に接続されるものでもよい。また、この不活性ガス供給部3から供給される不活性ガスは、除湿されたガスでもよく、比較的に高圧に圧縮された高圧不活性ガスでもよい。また、この不活性ガス供給部3は、不活性ガスと圧縮ガス(コンプレッサーエアー)とを選択的に供給可能な構成とされたものでもよい。
【0018】
また、この不活性ガス供給部3には、ガス導入部40に下流側供給管路4Aを介して不活性ガスを供給する乾燥ガス供給部5と、貯留槽10の排出部28に下流側供給管路4Bを介して不活性ガスを供給する輸送ガス供給部6と、が上流側供給管路4を介して接続されている。これら乾燥ガス供給部5及び輸送ガス供給部6には、不活性ガスを供給する状態と不活性ガスの供給を遮断する状態とに切り替えられるガス供給弁が設けられている。また、これら乾燥ガス供給部5及び輸送ガス供給部6に、圧力を調整するレギュレータや、塵埃等を捕捉するフィルター、ミスト状のオイル等を捕捉するマイクロミストセパレータ(オイルミストフィルター)等を備えた調質ユニットを設けた構成としてもよい。
【0019】
また、輸送ガス供給部6には、コンプレッサー等の圧縮ガス源から供給される圧縮ガスの供給と不活性ガス供給部3からの不活性ガスの供給とを切り替える切替弁が設けられている。つまり、本実施形態では、貯留槽10の排出部28に、輸送気体として、酸素濃度の低い不活性ガスと、酸素濃度が大気と同程度の圧縮ガスと、を選択的に供給可能な構成としている。
なお、図例では、乾燥ガス供給部5を、乾燥槽30から離間させて設けた例を示しているが、乾燥槽30または貯留槽10に付設状に設けた構成としてもよい。また、図例では、輸送ガス供給部6を、貯留槽10を保持するフレーム状の基台29に付設状に設けた例を示しているが、貯留槽10及び基台29から離間させて設けたり、乾燥槽30に付設状に設けたりした態様としてもよい。また、図例では、不活性ガス供給部3に接続された上流側供給管路4を分岐させて乾燥ガス供給部5及び輸送ガス供給部6に接続した例を示しているが、このような態様に限られない。
【0020】
乾燥槽30は、材料輸送管路7を介して気力輸送される粉粒体材料を捕集する捕集部31と、この捕集部31の下方側に設けられた乾燥本体35と、を備えている。
捕集部31は、乾燥本体35内に連通される筒状とされている。この捕集部31には、材料輸送管路7に連通される投入口32と、輸送気体から粉粒体材料を分離させる分離部34と、この分離部34において分離された輸送気体を排気する排気口33と、が設けられている。
分離部34としては、粉粒体材料と輸送気体とを分離可能なものであればどのようなものでもよいが、輸送気体に加えて粉塵を通過させる一方、原料となる粉粒体材料の通過を阻止するパンチングメタルや網状(メッシュ状)の多孔板状体等からなるものでもよい。
【0021】
投入口32は、捕集部31の天面において下方側に向けて開口するように設けられている。分離部34は、捕集部31の内周面との間に隙間が形成されるように配され、かつ投入口32を囲むように筒状とされている。排気口33は、この分離部34の外周側の捕集部31の側周壁において開口されている。本実施形態では、この排気口33が乾燥槽30の余剰ガスを排気する排気口33を構成する。つまり、この排気口33にガス管路8が連通するように接続されている。
この捕集部31において捕集された粉粒体材料は、自重によって乾燥本体35内に落下し、貯留される。なお、捕集部31としては、上記のような構成とされたものに限られない。例えば、捕集部31の側周壁において開口するように投入口32を設け、天面に沿うように分離部34を設け、天面において排気口33を開口させたような構成とされたものとしてもよい。また、上記のような分離部34を設けずに、いわゆるサイクロン式にて輸送気体から粉粒体材料を分離させる構造とされたものとしてもよい。
【0022】
乾燥本体35は、ホッパー部37と、このホッパー部37の上方開口を開閉自在に覆う蓋体36と、を備えている。また、この乾燥本体35には、材料要求信号(材料無)を出力する材料センサ67(
図3(b)参照)が設けられている。このような材料センサ67としては、例えば、粉粒体材料の貯留レベルの低下に伴い揺動されるアーム部によってON/OFFされるリミットスイッチ等を有した接触式のものでもよく、静電容量式等の非接触式のものでもよい。
【0023】
蓋体36は、ファスナー金具等の締結具によってホッパー部37に対して緊締されている。上記した捕集部31は、この蓋体36上に設置されている。蓋体36には、捕集部31の下端開口とホッパー部37とを連通させる開口が設けられている。
ホッパー部37は、筒状部の下端側に逆錐台状部を設けたホッパー状とされている。図例では、このホッパー部37を上下方向に細長状とした例を示している。このホッパー部37は、比較的に小径(例えば、内径が200mm以下)で小容量とされたものでもよい。例えば、当該乾燥システム1は、レンズ等の光学素子を成形する供給先2に粉粒体材料としての光学樹脂ペレットを乾燥して供給するものでもよい。
【0024】
また、ホッパー部37には、後記するガス導入部40において加熱された加熱ガスを導入する導入口60aと、ガス導入部40に向けてガスの一部を戻す戻し口38と、が設けられている。戻し口38は、ホッパー部37の上端側部位の側周壁において開口するように設けられている。この戻し口38は、ガス導入部40に接続された戻し管42の上流側開口とされている。
導入口60aは、ホッパー部37の下端側部位において開口するように設けられている。本実施形態では、この導入口60aを、ホッパー部37内において上下方向に延びるように設置されたガス導入管60の下端において開口させた構成としている。このガス導入管60の下端部には、下向きに拡開する形状とされた整流部が設けられている。また、この整流部の上方側には、ガス導入管60の少なくとも下端側部位の軸心がホッパー部37の軸心に一致した位置となるようにホッパー部37の内周壁に当接されて当該ガス導入管60の下端側を規制する複数の規制片部が放射状に突出するように設けられている。
【0025】
また、本実施形態では、このガス導入管60を、ホッパー部37に対して着脱自在に設けた構成としている。このような構成とすれば、上記のようにホッパー部37を小径とした場合にも、ガス導入管60を取り外すことでホッパー部37内の清掃性を向上させることができる。図例では、ホッパー部37の上端部内周壁に、ガス導入管60の上端部が引っ掛け保持される保持部を設けた例を示している。このホッパー部37の上端部内周壁には、後記するガス導入部40に接続された導入管58の下流側開口としての接続口39が開口するように設けられている。ガス導入管60の上端部は、上端部の開口がこの接続口39に接続されるようにホッパー部37の内周壁に向けて屈曲されている。また、ガス導入管60の上端部に、把持部を設けた例を示している。なお、ガス導入管60をホッパー部37に対して着脱自在とする態様としては、上記したような態様に限られず、その他、種々の変形が可能である。また、ガス導入管60をホッパー部37に対して着脱不能に固定的に設けた態様としてもよい。また、このようなガス導入管60を設けた態様に代えて、ホッパー部37の下端部やホッパー部37の下端側に設けられた投入管64の内周壁において乾燥用ガス(本実施形態では、加熱ガス)をホッパー部37内に導入する導入口60aを開口させた態様等としてもよい。
【0026】
また、図例では、乾燥本体35の下方側(排出側)に、手動で開閉される開閉弁63を介して投入管64を設けた例を示している。このような開閉弁63としては、乾燥本体35の下端側に設けられた保持部62に、投入管64の軸方向に対して略直交状にスライド可能に保持され、乾燥本体35の下端の排出口と投入管64とを連通させる開口と、排出口と投入管64とを遮断する閉鎖部と、が設けられたスライドシャッターでもよい。なお、この開閉弁63をスライド自在に保持する保持部62に、後記する貯留槽10の保持部20と同様なシール部材22,23(
図3(a)参照)を設けた構成としてもよい。また、図例では、投入管64の側周壁から突出させるように残材抜き管65を設けた例を示している。
また、図例では、ホッパー部37の外周側を囲むように覆う外周筒部61を設けた例を示している。つまり、乾燥本体35は、外周筒部61とホッパー部37とによって言わば二重筒構造とされている。この外周筒部61の内周面とホッパー部37の外周面との間に適宜の断熱材を充填したり、バンドヒーターを設けたりした構成としてもよい。また、図例では、上記した制御盤66を、外周筒部61に付設状に設けた例を示しているが、後記する貯留槽10側に設けた構成としてもよく、また、これら乾燥槽30及び貯留槽10から離間した箇所に設置されるものとしてもよい。
【0027】
ガス導入部40は、
図2に示すように、本実施形態では、不活性ガス供給部3から供給される不活性ガスの導入を伴って、乾燥槽30内の粉粒体材料層を通過したガスの一部を循環させるように取り込み、導入された不活性ガスに混合して下流側に向けて供給する混合部45を備えている。このような構成とすれば、不活性ガスを導入させれば、混合部45において乾燥槽30内の粉粒体材料層を通過したガスの一部を取り込み、導入された不活性ガスとともに乾燥槽30内に向けて供給することができる。つまり、不活性ガスを導入させることで、乾燥槽30内のガスの一部を循環させながら粉粒体材料を乾燥することができる。これにより、例えば、乾燥槽30に導入されたガスを循環させることなく排気するものと比べて、乾燥に要する不活性ガスの必要量を低減することができる。また、ブロワ等によって乾燥槽30内のガスを循環させるものと比べて、外気の侵入を抑制することができる。
【0028】
また、本実施形態では、混合部45の上流側に、集塵部41を設けた構成としている。図例では、混合部45の上方側に集塵部41を設けた例を示している。
集塵部41は、ホッパー部37の上端側部位に接続された戻し管42が側周壁に接続された筒状体43内に、フィルター部44を設けた構成とされている。フィルター部44は、筒状体43の内周面との間に隙間を設けて同軸状に設けられた筒状とされている。このフィルター部44としては、金属フィルターとしてもよい。このような構成とすれば、溶剤等を用いて容易に洗浄することができる。このような金属フィルターとしては、例えば、複数層のメッシュを焼結一体化して筒状にしたものや、金属粉末を焼結して筒状にしたものが挙げられる。また、このフィルター部44は、筒状体43に対して着脱自在に設けられている。図例では、筒状体43に、フィルター部44を出入自在とする上方開口を設け、この上方開口を開閉自在に覆う蓋体を設けた例を示している。
また、筒状体43の底側には、フィルター部44の内周側において混合部45に向けて開口する開口部が設けられている。
【0029】
混合部45は、集塵部41の筒状体43の開口部に整合される開口が天面側に設けられた筒状体46を備えている。この筒状体46には、乾燥ガス供給部5に接続された下流側供給管路4Aが接続される接続部48が設けられている。また、筒状体46内には、この接続部48に連通され、筒状に形成された混合ノズル47が設けられている。この混合ノズル47には、上流側開口が接続部48に連通され、下流側開口が後記する加熱部50に接続された接続管49に向けて開口したガス通路47aが設けられている。また、このガス通路47aの途中部位には、小径状に絞られた絞り部47bが設けられている。また、混合ノズル47には、外周側部において開口する複数のガス取込口47cと絞り部47bとを連通させる取込通路が設けられている。
【0030】
上記構成とされた混合部45においては、乾燥ガス供給部5から高圧の不活性ガスをガス通路47aに導入すれば、絞り部47bにおける流速の増大に伴う当該部位における圧力低下(負圧作用)により、混合ノズル47の外周のガス(つまりは、筒状体46内のガス)がガス取込口47cを介してガス通路47aに取り込まれ、導入された不活性ガスとともに下流側開口から接続管49に向けて吐出される。つまり、混合部45は、高圧の不活性ガスの導入に伴う絞り部47bにおける、いわゆるベンチュリー作用によって筒状体46内のガスを取り込んで下流側に向けて吐出する構成とされている。このようなベンチュリー作用によって乾燥本体35内の余剰ガスの一部が戻し管42及び集塵部41を介して混合部45に取り込まれ、不活性ガスと混合される構成とされている。なお、乾燥ガス供給部5を介して混合ノズル47に導入される不活性ガスと、混合ノズル47の下流側開口から吐出されるガス(つまりは不活性ガスに、乾燥本体35から戻されるガスを加えたガス)と、の流量比(体積流量比)は、1:1.5~1:5程度としてもよく、好ましくは、1:2~1:4程度としてもよい。
【0031】
また、本実施形態では、ガス導入部40は、混合部45において混合されたガスを加熱する加熱部50を備えている。
加熱部50は、混合部45からのガスが導入される本体ケース51を備えている。本体ケース51は、一方向(図例では、上下方向)に長尺な筒状とされ、長手方向一端側部位に接続管49及び導入管58が接続されている。接続管49は、本体ケース51の側周壁を貫通するように接続され、本体ケース51内において開口する下流側開口が本体ケース51内にガスを導入するガス導入口52を構成する。
また、本体ケース51には、当該本体ケース51の長手方向と同方向となる一方向に長尺な内筒55と、この内筒55の外周面に沿って巻回された線状ヒーター57と、この線状ヒーター57が巻回された内筒55を収容する外筒56と、が収容されている。内筒55の長手方向一端部の開口は、本体ケース51の長手方向一端部に設けられたガス導出口53に連通接続されている。また、この内筒55の長手方向他端部の開口は、本体ケース51内の長手方向他端部側において開口している。また、上記したガス導入口52は、外筒56の外周側空間において開口している。
【0032】
上記のような構成とすれば、内筒55の外周面と外筒56の内周面との間に形成されるリング状の収容空間に線状ヒーター57が配設され、その内筒55の内周側及び外筒56の外周側をガスが通過することとなるので、ガスに含まれる異物が線状ヒーター57に付着したり、堆積したりすることを抑制することができる。また、本体ケース51の長手方向一端部側部位に設けられたガス導入口52から導入され、長手方向他端部側において開口する内筒55の開口に向かうガスを、外筒56の外周側空間において予備的に加熱することができる。また、この予備的に加熱されたガスを、内筒55の内周側空間において加熱し、本体ケース51の長手方向一端部側部位に設けられたガス導出口53から導出させることができる。つまり、本体ケース51内に導入されたガスを、外筒56の外周側及び内筒55の内周側において効率的に加熱することができる。
【0033】
内筒55及び外筒56は、本実施形態では、長手方向に貫通する形状とされ、互いに略同長さ寸法とされている。これら内筒55、外筒56及び本体ケース51は、同軸状に設けられている。本体ケース51の長手方向両端部には、内筒55及び外筒56を保持する適宜の保持部が設けられている。
本実施形態では、内筒55の長手方向一端部の開口を、本体ケース51の長手方向一端部に長手方向に貫通して設けられたガス導出口53に整合させた構成としている。また、本体ケース51内の長手方向他端部側に、内筒55の長手方向他端部の開口が本体ケース51の長手方向他端部内面に向けて開口するように、内筒55の長手方向他端部との間に介在されるスペーサ部54を設けた構成としている。
【0034】
線状ヒーター57は、細長い金属パイプ内に挿入されたニクロム線などの発熱線をマグネシアなどの粉末で金属パイプと絶縁したいわゆるシーズヒーターでもよい。この線状ヒーター57は、内筒55に組み付ける前の状態で、螺旋状に巻回された状態の内径(コイル内径)が内筒55の外径よりも僅かに小とされたものでもよい。このような構成とすれば、線状ヒーター57を内筒55の外周面に効果的に接触させることができる。また、このような線状ヒーター57を加熱源とすれば、加熱源の小型化を図ることができ、また、線状ヒーター57の長さを異ならせることで、ヒーター容量を異ならせることができる。この線状ヒーター57の長さは、必要となるヒーター容量に応じて適宜の長さとしてもよいが、例えば、800mm~4000mm程度としてもよい。また、図例では、内筒55の長手方向他端側から長手方向一端側の途中部位まで線状ヒーター57を設けた例を示しているが、内筒55の長手方向の概ね全体に亘って設けた構成としてもよい。
【0035】
また、この線状ヒーター57の径(金属パイプの外径)は、当該加熱部50の小型化を図る観点等から、適宜の径としてもよく、例えば、2mm~10mm程度でもよく、好ましくは、5mm以下でもよい。また、外筒56の内径は、線状ヒーター57が巻回された内筒55を収容させた状態で、外筒56の内周面に線状ヒーター57が当接または近接するように適宜の径としてもよい。また、これら内筒55及び外筒56の厚さは、強度上の観点や伝熱性の観点等から適宜の厚さとしてもよく、例えば、0.5mm~2mm程度としてもよい。
また、本体ケース51の長手方向他端部には、線状ヒーター57のヒーター端子を保持する保持部が設けられている。
なお、内筒55、線状ヒーター57及び外筒56は、本体ケース51に対して出し入れ自在とされたものでもよい。このような構成とすれば、清掃性やメンテナンス性を向上させることができる。また、
図1において二点鎖線にて示すように、当該加熱部50を覆うカバー59を設けた構成としてもよい。
【0036】
また、内筒55の出口側となる長手方向一端部の開口近傍部位には、当該加熱部50において加熱されたガスの温度を検出する温度センサが設けられている(
図1参照)。図例では、導入管58に温度センサを設けた例を示している。この温度センサの検出温度に基いて、加熱されたガスが所定の温度となるように、発熱体(線状ヒーター57)への通電制御が上記した制御盤66の制御部によってなされる。
上記のような構成とされた乾燥槽30においては、乾燥ガス供給部5のガス供給弁を開とし、線状ヒーター57を起動(ON)すれば、上記のように不活性ガス供給部3からの不活性ガスの導入に伴って、乾燥本体35内のガスの一部が戻し管42及び集塵部41を介して混合部45において取り込まれて混合され、加熱部50に向けて送気される。そして、加熱部50において加熱されて乾燥本体35内に供給される。また、不活性ガスの導入によって乾燥本体35内において余剰となる余剰ガスは、排気口33から排気され、ガス管路8を介して貯留槽10に向けて送気される。つまり、本実施形態では、不活性ガスの導入によって乾燥本体35内の一部のガスが循環され、残余のガスが排気口33を介して排気される構成とされている。このように乾燥本体35内に不活性ガスを導入させて一部のガスを循環させながら余剰ガスを排気することで、乾燥本体35内のガスが不活性ガスに略置換される。また、排気口33を介して排気されるガスも略不活性ガスとなる。
【0037】
また、乾燥本体35は、排気口33及び下端の排出口を除いて略気密的に封止され、また、排出口は、供給先2となる成形機に接続されて実質的に封止されている。また、排気口33の下流側となるガス管路8及び貯留槽10は、後記する漏出機構11,12によってガスの漏出が規制されている。そのため、乾燥本体35内は、不活性ガスの導入によって陽圧(正圧)となる。
なお、乾燥槽30の乾燥本体35や集塵部41、混合部45及び加熱部50は、上記したような構成に限られず、適宜の構成とされたものでもよい。例えば、ブロワ等によって乾燥本体35内のガスを循環させながら加熱するヒーターボックスを設け、乾燥本体35内の適宜の箇所に不活性ガスを導入させるような態様等としてもよく、その他、種々の変形が可能である。
【0038】
乾燥槽30の供給元としての貯留槽10は、
図1に示すように、粉粒体材料を貯留する貯留本体13と、この貯留本体13の投入口15を開閉自在に覆う蓋体11と、を備えている。この貯留槽10の容量は、上記した乾燥本体35の容量よりも大とされている。この貯留槽10の容量は、乾燥本体35の容量の3倍以上としてもよく、好ましくは、5倍以上としてもよい。
また、本実施形態では、この貯留槽10を、フレーム状の基台29に保持させた構成としている。図例では、基台29に床上を走行自在とされたキャスター等の転動体を設けた例を示している。
また、本実施形態では、貯留槽10に、当該貯留槽10内を陽圧に保ちながら余剰ガスを漏出させる漏出機構11,12を設けた構成としている。このような構成とすれば、貯留槽10が大気開放されたものと比べて、貯留槽10内への外気の流入をより効果的に抑制することができ、貯留槽10内における粉粒体材料の吸湿を抑制することができる。
また、漏出機構11,12を、貯留槽10の上端側部位に設けた構成としている。このような構成とすれば、不活性ガスとしての窒素ガスは、酸素や外気よりも軽いので、貯留槽10の下端側部位に漏出機構11,12を設けたものと比べて、貯留槽10内により効果的に不活性ガスを拡散させることができる。
【0039】
貯留本体13は、材料排出側となる下方側に向かうに従い先細り状のホッパー状とされている。この貯留本体13の平面視した形状は、略方形状とされたものでもよく、略円形状とされたものでもよい。また、図例では、貯留本体13を、筒状部、逆錐台状部、筒状部及び逆錐台状部を上側から下側に向けてこの順に設けた段付ホッパー状とした例を示しているが、このような態様に限られない。
投入口15は、この貯留本体13の上端部において上方側に向けて開口するように設けられている。また、貯留本体13の上端部には、投入口15の開口周縁部を構成する蓋体載置部14が設けられている。この蓋体載置部14は、内径側(平面視における中心側)に向けて突出するように環状に全周に亘って設けられている。
【0040】
この投入口15を覆う蓋体11は、貯留本体13の上方側を覆うように上方側に配される平板状部と、貯留本体13の上端部外周側に位置するように、この平板状部の周縁部から垂れ下がるように設けられた垂下部と、を備えている。本実施形態では、この蓋体11は、ファスナー金具等の締結具によって貯留本体13に対して締結される構成とされておらず、貯留本体13の蓋体載置部14に載せ置かれる構成とされている。つまり、蓋体11は、自重によって貯留本体13の投入口15を閉鎖する構成とされている。また、この蓋体11を、貯留本体13に対して脱離可能な構成としている。なお、当該貯留槽10を保持する基台29に、脱離された蓋体11を引っ掛け保持可能な保持部を設けた構成としてもよい。また、このような態様に代えて、蓋体11と貯留本体13とを適宜の蝶番等の回転連結部材によって連結した態様等としてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、この蓋体載置部14の上面と蓋体11の平板状部の外周側端部の下面との間に、シール部材12を設けた構成としている。このシール部材12は、投入口15の開口周縁部に沿って全周に亘って環状に設けられている。また、このシール部材12は、蓋体11の自重によって圧縮変形される発泡シリコン等の発泡樹脂系材料やゴム等から形成されたものでもよい。また、このシール部材12は、蓋体11の平板状部の下面に貼着されたものでもよく、蓋体載置部14の上面に貼着されたものでもよい。
本実施形態では、上記のように自重によって閉鎖される蓋体11及びシール部材12が漏出機構として機能する。つまり、ガス管路8を介してガスが導入されて貯留槽10内の圧力が過度に上昇すれば、蓋体11の外周側端部の一部が自重に抗して浮くように上昇してシール部材12と被シール部(例えば、蓋体載置部14の上面)との間に貯留槽10内のガスを漏出させる隙間が形成される構成とされている。また、このように隙間が形成された場合にも、貯留槽10にはガス管路8を介してガスが継続的に導入されているので、蓋体11の自重及びシール部材12による他の部位のシールによって貯留槽10内は陽圧に保たれる。また、ガスの導入が停止された場合にもシール部材12を設けているので、外気の流入を低減することができる。
【0042】
なお、貯留槽10内を含む当該乾燥システム1の系内が適度な圧力となるように、蓋体11の質量やシール部材12のシール性を調整するようにしてもよい。
また、貯留槽10に設けられる漏出機構としては、上記のような態様に限られない。例えば、
図1において二点鎖線にて示すように、蓋体11に設けられた圧力調整弁12Aや貯留本体13に設けられた圧力調整弁12Bであってもよく、また、圧力調整弁12A,12Bに代えて、微量のガスを漏出させるオリフィス等を設けた構成としてもよい。このような圧力調整弁12A,12Bやオリフィスを設けた場合には、蓋体11が貯留本体13の投入口15を気密的に封止可能なように蓋体11を貯留本体13に対して締結する適宜の締結機構を設けた構成としてもよい。貯留槽10に設けられる漏出機構としては、その他、種々の構成とされたものの採用が可能である。また、貯留槽10に漏出機構を設けた態様に代えて、ガス管路8や材料輸送管路7、乾燥槽30等に漏出機構を設けた構成としてもよい。つまり、略閉ループ状に接続される貯留槽10、材料輸送管路7、乾燥槽30及びガス管路8のうちの少なくとも一箇所に余剰ガスを漏出させる漏出機構を設けた態様としてもよい。また、当該乾燥システム1の系内の圧力を測定する圧力計を適宜の箇所に設け、予め設定された監視圧力を超えれば、ランプやアラーム等によって異常を報知可能な構成としてもよい。
【0043】
ガス管路8には、管路集塵部9が設けられている。この管路集塵部9内に設けられるフィルターとしては、上記した集塵部41と同様、金属フィルターとしてもよい。
このガス管路8の末端は、貯留槽10に接続されている。本実施形態では、このガス管路8に連通するように接続されるガス受入口19を、
図3(a)に示すように、貯留槽10の下端側部位に設けた構成としている。このような構成とすれば、貯留槽10の下端側部位から導入された不活性ガスとしての窒素ガスを、貯留槽10内に効果的に拡散させることができる。
また、貯留本体13の下端側部位の逆錐台状部よりも下方側において開口するようにガス受入口19を設けた構成としている。また、本実施形態では、貯留本体13の逆錐台状部の下端から下方側に向けて突出する排出管16を受け入れる外筒18を設け、この外筒18の内周面においてガス受入口19を開口させた構成としている。このような構成とすれば、ガス受入口19が粉粒体材料によって閉塞されるようなことを抑制することができ、ガス受入口19から導入されるガスを貯留槽10内に円滑に導入させることができる。
【0044】
また、排出管16の下端面17を、ガス受入口19側の縁部よりもガス受入口19から離れた側の縁部が上方側となる傾斜面としている。また、排出管16は、ガス受入口19側の周壁下端がガス受入口19よりも下方側に位置し、ガス受入口19から離れた側の周壁下端がガス受入口19よりも上方側に位置するように設けられている。このような構成とすれば、粉粒体材料のガス受入口19側への侵入を抑制可能でありながらも、排出管16の開口面積を大きくすることができ、ガス受入口19から導入されるガスをより円滑に貯留槽10内に導入させることができる。
なお、ガス受入口19としては、上記のような構成とされたものに限られず、貯留槽10の排出管16や、逆錐台状部、筒状部等の内周面において開口されたものでもよい。また、例えば、ガス管路8の下流側部位を貯留槽10内に収容し、その末端開口をガス受入口19として貯留槽10内の上下方向途中部位や好ましくは下端側部位において開口させた構成等としてもよく、その他、種々の変形が可能である。
【0045】
また、本実施形態では、
図3(a)に示すように、外筒18と排出部28に連通された下端排出管27との間に、手動で開閉される開閉弁24を設けた構成としている。この開閉弁24は、外筒18の下方側に設けられた保持部20に、排出管16の軸方向に対して略直交状にスライド可能に保持されたスライドシャッターとされている。保持部20には、この開閉弁24をスライド可能に受け入れるスライド凹所20aと、排出管16と下端排出管27とを連通させる開口21と、が設けられている。開閉弁24には、保持部20の開口21に整合される開口25と、保持部20の開口21を閉鎖する閉鎖部26と、がスライド方向に並設されている。
【0046】
また、保持部20に、開口21の周縁近傍に沿ってシール部材22,23を設けた構成としている。このシール部材22,23は、開口21と同心状のリング状(環状)とされており、開閉弁24の上面に摺るように接するシールリング23と、このシールリング23を開閉弁24側に向けて付勢する弾性部材22と、を含んだ構成とされている。
これら弾性部材22及びシールリング23は、保持部20のスライド凹所20aの下方側に向く天壁面に、開口21を囲むようにリング状に形成された収容溝20bに収容されている。
弾性部材22は、シリコンゴム等の弾性材料から形成されており、図例では、断面略円形状で中空のリング状とされたものを示している。なお、この弾性部材22は、シールリング23を僅かに開閉弁24側に向けて付勢するものでもよく、中空円筒状とされたものに限られず、略倒V字状とされたものや、その他、種々の形状とされたものでもよい。また、ゴム等からなるものに限られず、皿ばねやスプリング等のばね部材からなるものとしてもよい。
【0047】
シールリング23は、開閉弁24の上面に摺るように接する下面が平滑な平坦面とされている。このシールリング23としては、UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)やテフロン(登録商標)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、フッ素系樹脂等の合成樹脂材料や、青銅やりん青銅等の金属材料など、耐摩耗性や摺動性に優れた材料からなるものとしてもよい。
このようなシール部材22,23を設けた構成とすれば、開閉弁24を比較的に円滑に開閉可能としながらも、この開閉弁24をスライド自在に保持する保持部20における気密性を向上させることができる。
【0048】
貯留槽10の排出部28は、輸送ガス供給部6を介して供給される圧縮ガスまたは不活性ガスによって材料輸送管路7を介して粉粒体材料を乾燥槽30の捕集部31に向けて圧送する構成とされている。この排出部28は、非輸送時には弁体によって略気密的に封止され、輸送時には、圧縮ガスまたは不活性ガスが供給されるので外気からは実質的に略密閉された状態とされている。
また、この排出部28には、詳細な図示は省略しているが、輸送ガス供給部6にそれぞれ接続された3本の下流側供給管路4B,4B,4Bが接続されている。この排出部28においては、これら下流側供給管路4B,4B,4Bのそれぞれに高圧のガス(圧縮ガスまたは不活性ガス)を切り替えて供給することで、排出部28に設けられた弁体の開閉と、排出部28側に自重落下する粉粒体材料の輸送と、弁体閉鎖後の材料輸送管路7内の粉粒体材料のパージ(送り切り)と、がなされるものでもよい。
【0049】
この排出部28から輸送気体としての圧縮ガスまたは不活性ガスとともに材料輸送管路7を介して乾燥槽30側に輸送された粉粒体材料は、捕集部31において輸送気体と分離されて捕集され、乾燥本体35内に投入される。また、捕集部31において分離された輸送気体は、排気口33から排気され、ガス管路8を介して貯留槽10に戻される。
つまり、本実施形態では、乾燥槽30に乾燥用に供給されたガスのうちの余剰ガスと、輸送用に供給されたガスの略全量と、が、ガス管路8を経て貯留槽10内に導入される。なお、上記したように貯留槽10以外の箇所に漏出機構を設けた場合には、一部が漏出機構において漏出し、残余のガスが貯留槽10内に導入されることとなる。
また、貯留槽10の下部に設けられる排出部28としては、上記したようなものに限られず、その他、種々の構成とされたものでもよい。例えば、排出部28に上記のような弁体を設けていない構成としてもよい。このようなものでも、当該乾燥システム1の系内は、上記した漏出機構11,12を除いて略密閉されて陽圧に保たれているので、外気が流入し難い構成となっている。
【0050】
上記のような構成とされた乾燥システム1においては、粉粒体材料を貯留する貯留槽10から輸送された粉粒体材料を乾燥槽30において貯留し、その貯留された粉粒体材料を、加熱した不活性ガスを乾燥槽30内に導入して乾燥しながら、この乾燥槽30から排気される余剰ガスをガス管路8を介して貯留槽10に向けて送気し貯留槽10内に導入する乾燥方法の実行が可能とされている。
また、同乾燥システム1においては、粉粒体材料を貯留する貯留槽10の排出部28に、輸送気体として不活性ガスを導入して材料輸送管路7を介して粉粒体材料を乾燥槽30に向けて輸送しながら、この乾燥槽30から排気される余剰ガスをガス管路8を介して貯留槽10に向けて送気し貯留槽10内に導入する乾燥方法の実行が可能とされている。
【0051】
このような乾燥方法は、上記した制御盤66の制御部によって当該乾燥システム1の各機器が制御されて実行される。
つまり、
図3(b)に示す基本動作のように、乾燥システム1が起動されれば、乾燥ガス供給部5のガス供給弁が開とされ、線状ヒーター57がONとされ、乾燥槽30の乾燥本体35内に加熱したガスが供給される。また、この際、乾燥本体35内に粉粒体材料が貯留されていなければ、つまり、乾燥本体35の材料センサ67から材料要求信号が出力されていれば、輸送ガス供給部6のガス供給弁を開とし、上記のように貯留槽10の排出部28に高圧のガス(図例では、圧縮ガス)を供給し、乾燥本体35に粉粒体材料を輸送する。この乾燥本体35への粉粒体材料の輸送は、所定時間が経過するまで行うようにしてもよく、乾燥本体35に設けられた上限レベル計等から満信号が出力されるまで行うようにしてもよい。なお、当該乾燥システム1を起動させる前に、貯留槽10の蓋体11を開放させて粉粒体材料を投入し、貯留槽10内に粉粒体材料を貯留させておくようにしてもよい。
【0052】
また、上記のように輸送する際には、未乾燥の粉粒体材料が供給先2に向けて供給されないように、乾燥槽30の下部の開閉弁63を閉鎖させておくようにしてもよい。
また、粉粒体材料が乾燥本体35に貯留されれば、乾燥本体35内において所定の水分率となるように粉粒体材料を乾燥する初期乾燥モードが実行される。また、このように乾燥に用いられるガスの一部の余剰ガスを上記のように貯留槽10に導入して漏出機構11,12から漏出させながら、貯留槽10を含む系内の圧力が陽圧に保たれた状態となる。
そして、乾燥本体35内の粉粒体材料の乾燥がなされれば、開閉弁63を必要に応じて開放させて、乾燥本体35内の粉粒体材料を供給先2に向けて供給する。供給先2としての成形機においては、適宜、捨て打ちや試し打ち等がなされた後、逐次、成形品を成形する定常運転モードの実行がなされる。
【0053】
このように供給先2において粉粒体材料が消費されれば、乾燥本体35内の粉粒体材料の貯留レベルが低下する。そして、材料センサ67から材料要求信号が出力されれば、輸送ガス供給部6のガス供給弁を開とし、上記のように貯留槽10の排出部28に高圧のガス(図例では、不活性ガス)を供給し、乾燥本体35に粉粒体材料を輸送する。つまり、本実施形態では、稼働初期の初期輸送モードにおいては、圧縮ガスを用いて粉粒体材料を輸送し、定常運転時の輸送モードにおいては、不活性ガスを用いて粉粒体材料を輸送する構成としている。なお、このような態様に代えて、初期輸送モードにおいても不活性ガスを用いて粉粒体材料を輸送する構成としてもよい。
また、上記した基本動作は、一例に過ぎず、その他、種々の動作の実行が可能である。
【0054】
また、上記した乾燥システム1の各部の構成も上記した例に限られず、その他、種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、不活性ガス供給部3から供給される不活性ガスを乾燥槽30内に導入するガス導入部40と、不活性ガス供給部3から供給される不活性ガスを、材料輸送管路7に連通される貯留槽10の排出部28に輸送気体として供給する輸送ガス供給部6と、を設けた例を示しているが、いずれか一方のみを設けた構成としてもよい。例えば、乾燥槽30内に不活性ガスに代えて、圧縮ガスや除湿調整されたガスを導入したり、外気を加熱して導入したりするような態様としてもよい。または、排出部28に輸送気体として圧縮ガスのみを導入可能な構成としたり、また、圧送に代えて、捕集部31に吸引路を介して吸引ブロワを接続して吸引輸送するような態様等としてもよい。更には、このように貯留槽10から乾燥槽30に粉粒体材料を気力輸送する態様に代えて、粉粒体材料の自重によって貯留槽10から乾燥槽30に向けて落下させて供給するような態様等としてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 乾燥システム
6 輸送ガス供給部
7 材料輸送管路
8 ガス管路
10 貯留槽
11 蓋体(漏出機構)
12 シール部材(漏出機構)
12A,12B 圧力調整弁(漏出機構)
18 外筒(下端側部位)
19 ガス受入口
28 排出部
30 乾燥槽
33 排気口
40 ガス導入部
45 混合部
3 不活性ガス供給部