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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】歩行支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/04 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
A61H3/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018169193
(22)【出願日】2018-09-10
(65)【公開番号】P2020039573
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】506209422
【氏名又は名称】地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100192773
【弁理士】
【氏名又は名称】土屋 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 日出子
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-300629(JP,A)
【文献】国際公開第01/21128(WO,A1)
【文献】特開2012-19831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側部フレームと、
前記一対の側部フレームをそれぞれ支持する車輪と、
前記一対の側部フレームを連結する連結フレームと、
前記側部フレームと前記連結フレームのうち少なくとも前記連結フレームを折りたたむ折りたたみ機構と、を備え、
前記側部フレームと前記連結フレームのうち少なくとも前記連結フレームは、複数の分割体に分割され、
前記折りたたみ機構は、隣り合う前記分割体を回動可能に連結する複数の回動連結部を備え、
前記側部フレームは、基部および前記基部から前記連結フレームと交差する方向に延出する延出部を備えた基体フレームを有し、
前記連結フレームは、前記一対の側部フレームの前記基部どうしを連結し、
前記連結フレームの前記分割体は、前記連結フレームが長さ方向に分割された連結フレーム分割体であり、
前記連結フレームの前記回動連結部は、隣り合う前記連結フレーム分割体を回動可能に連結し、
複数の前記連結フレーム分割体は、隣り合って並ぶ第1~第4連結フレーム分割体を含み、
前記第2連結フレーム分割体は、前記第1連結フレーム分割体に対して前記延出部の延出方向側に回動可能であり、
前記第3連結フレーム分割体は、前記第4連結フレーム分割体に対して前記延出部の延出方向側に回動可能である、
歩行支援装置。
【請求項2】
前記折りたたみ機構は、前記側部フレームを折りたたみ可能であり、
前記側部フレームの前記分割体は、前記延出部が延出方向に分割された延出部分割体であり、
前記側部フレームの前記回動連結部は、隣り合う前記延出部分割体を回動可能に連結する、請求項1記載の歩行支援装置。
【請求項3】
前記一対の側部フレームの、最も延出方向側にある前記延出部分割体は、互いに近づく方向に回動可能である、請求項2記載の歩行支援装置。
【請求項4】
前記側部フレームは、前記基体フレームから延出する上フレームと、前記上フレームを伸縮させる伸縮機構と、をさらに備え、
前記上フレームは、基体部と、前記一対の側部フレームの間に立つ使用者の上肢を支える上肢支持部を有し、
前記伸縮機構は、前記基体フレームに対して長さ方向に移動可能な伸縮ロッドを有する、請求項2に記載の歩行支援装置。
【請求項5】
前記一対の側部フレームの前記上肢支持部は、互いに近づく方向に前記基体部に対して回動可能である、請求項記載の歩行支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行支援装置は、例えば、けが、病気、加齢等により歩行が不自由な使用者の歩行訓練、歩行補助等に利用される(例えば、特許文献1,2を参照)。特許文献1に記載の装置は、一対の脚柱と、一対の脚柱を連結するX型交互伸縮筋交と、車輪とを備える。特許文献1に記載の装置は、X型交互伸縮筋交によって幅方向に折りたたみ可能である。特許文献2に記載の装置は、一対の脚体と、一対の脚柱を連結するクロスバーと、キャスターとを備える。特許文献2に記載の装置は、クロスバーによって幅方向に折りたたみ可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-223773号公報
【文献】特許第2999761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および特許文献2に記載の装置では前記折りたたみが可能であるが、近年では、収納形態においてさらなる小型化が求められていた。
【0005】
本発明の一態様は、収納形態における小型化を図ることができる歩行支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、一対の側部フレームと、前記一対の側部フレームをそれぞれ支持する車輪と、前記一対の側部フレームを連結する連結フレームと、前記側部フレームと前記連結フレームのうち少なくともいずれか一方を折りたたむ折りたたみ機構と、を備え、前記側部フレームと前記連結フレームのうち少なくともいずれか一方は、複数の分割体に分割され、前記折りたたみ機構は、隣り合う前記分割体を回動可能に連結する回動連結部を備える歩行支援装置。
【0007】
前記歩行支援装置において、前記折りたたみ機構は、前記側部フレームを折りたたみ可能であり、前記側部フレームは、基部および前記基部から前記連結フレームと交差する方向に延出する延出部を備えた基体フレームを有し、前記分割体は、前記延出部が延出方向に分割された延出部分割体であり、前記回動連結部は、隣り合う前記延出部分割体を回動可能に連結する構成であってよい。
【0008】
前記一対の側部フレームの、最も延出方向側にある前記延出部分割体は、互いに近づく方向に回動可能であることが好ましい。
【0009】
前記歩行支援装置において、前記折りたたみ機構は、前記連結フレームを折りたたみ可能であり、前記分割体は、前記連結フレームが長さ方向に分割された連結フレーム分割体であり、前記回動連結部は、隣り合う前記連結フレーム分割体を回動可能に連結する構成であってよい。
【0010】
前記連結フレームは、前記一対の側部フレームの前記基部どうしを連結し、前記複数の連結フレーム分割体は、隣り合って並ぶ第1~第4連結フレーム分割体を含み、前記第2連結フレーム分割体は、前記第1連結フレーム分割体に対して前記延出方向側に回動可能であり、前記第3連結フレーム分割体は、前記第4連結フレーム分割体に対して前記延出方向側に回動可能であることが好ましい。
【0011】
前記側部フレームは、前記基体フレームから延出する上フレームと、前記上フレームを伸縮させる伸縮機構と、をさらに備え、前記上フレームは、基体部と、前記一対の側部フレームの間に立つ使用者の上肢を支える上肢支持部を有し、前記伸縮機構は、前記基体フレームに対して長さ方向に移動可能な伸縮ロッドを有することが好ましい。
【0012】
前記一対の側部フレームの前記上肢支持部は、互いに近づく方向に前記基体部に対して回動可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様は、収納形態における小型化を図ることができる歩行支援装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る歩行支援装置を一方側から見た斜視図である。
図2図1の歩行支援装置を他方側から見た斜視図である。
図3図1の歩行支援装置の側部フレームの拡張形態の平面図である。
図4図1の歩行支援装置の側部フレームの収納形態の平面図である。
図5図1の歩行支援装置の伸縮機構の動作を示す側面図である。
図6図1の歩行支援装置の上肢支持部の動作を示す斜視図である。
図7図1の歩行支援装置の連結フレームを一方側から見た斜視図である。
図8図1の歩行支援装置の連結フレームを他方側から見た斜視図である。
図9図1の歩行支援装置の連結フレームの拡張形態の平面図である。
図10図1の歩行支援装置の連結フレームの収納形態の平面図である。
図11図1の歩行支援装置の収納形態の斜視図である。
図12図1の歩行支援装置の第1の使用例を示す斜視図である。
図13図1の歩行支援装置の第2の使用例を示す斜視図である。
図14】側部フレームの変形例の拡張形態の平面図である。
図15】前図の側部フレームの変形例の収納形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面を用いて説明する。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。また、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照する場合がある。このXYZ直交座標系において、X方向は、前後方向であり、+X方向は前方であり、-X方向は後方である。Y方向は、X方向と直交する左右方向である。Z方向は、鉛直方向であり、X方向およびY方向のそれぞれに直交する方向である。+Z方向は上方であり、-Z方向は下方である。
【0016】
図1は、実施形態に係る歩行支援装置10を一方側から見た斜視図である。図2は、歩行支援装置10を他方側から見た斜視図である。
図1および図2に示すように、歩行支援装置10は、一対の側部フレーム1,1と、車輪2,…と、連結フレーム3,3と、第1折りたたみ機構4,4と、第2折りたたみ機構5,5と、を備える。
【0017】
側部フレーム1は、基体フレーム11と、上フレーム12と、ロッド保持部13と、伸縮機構14とを備える。
基体フレーム11は、例えば、XZ平面に沿う板状とされている。基体フレーム11は、基部15と、延出部16とを備える。基部15は、前方に向かって上昇する方向に延在する基部上部15Aと、前方に向かって下降する方向に延在する基部下部15Bとを備える。延出部16は、基部15から概略、後方に延出する。
【0018】
基体フレーム11の前端(基部下部15Bの先端)には、軸受け具21が設けられている。軸受け具21は、基板22と、支持板23とを備える。基板22は、基部下部15Bの先端に設けられている。支持板23は、基板22の外端から下方に延出する。支持板23の下端部には、車軸24を介して前車輪25(車輪2)が回転自在に取り付けられている。
【0019】
基体フレーム11の後端(延出部16の後端)には、軸受け具26が設けられている。軸受け具26は、基板27と、支持板28とを備える。基板27は、延出部16の後端の下部に設けられている。支持板28は、基板27の外端から下方に延出する。支持板28の下端部には、車軸29を介して後車輪30(車輪2)が回転自在に取り付けられている。
【0020】
一対の側部フレーム1,1は、左右方向(Y方向)に間隔をおいて設けられている。図1および図2では、側部フレーム1,1の間に、使用者が入る空間が確保されている(図12および図13参照)。側部フレーム1は、例えば、金属(アルミニウム合金、スチールなど)、炭素系材料などで構成することができる。
【0021】
車輪2(前車輪25および後車輪30)は、側部フレーム1,1を支持し、歩行支援装置10を走行可能とする。前車輪25と後車輪30の外径の大小関係は特に限定されない。例えば、前車輪25の外径が後車輪30の外径より大であってもよいし、前車輪25の外径が後車輪30の外径より小であってもよいし、前車輪25の外径と後車輪30の外径とが等しくてもよい。
【0022】
図3は、側部フレーム1の拡張形態の平面図である。図4は、側部フレーム1の収納形態の平面図である。
図3に示すように、延出部16は、長さ方向(延出方向)の中間位置において2つの分割体16A,16B(延出部分割体)に分割されている。分割体16A,16Bを、それぞれ前分割体16Aおよび後分割体16Bと呼ぶ。前分割体16Aと後分割体16Bは、延出方向に隣り合っている。後分割体16Bは、2つの分割体16A,16Bのうち、最も延出部16の延出方向側(すなわち後方側)にある分割体である。
【0023】
後分割体16Bが前分割体16Aに対して折りたたまれていない延出部16の形態を拡張形態F1という。16Aa,16Baは、前分割体16Aおよび後分割体16Bの内面である。
【0024】
第1折りたたみ機構4(折りたたみ機構)は、ヒンジ部41を有する第1回動連結部42を備える。ヒンジ部41は、Z方向に沿う回動軸を有する。第1回動連結部42は、前分割体16Aの後端と、後分割体16Bの前端とをヒンジ部41において回動可能に連結する。ヒンジ部41は、前分割体16Aおよび後分割体16Bの内面側に設けられている。
【0025】
図3および図4に示すように、後分割体16Bは、内方に回動可能である。ここでいう内方とは、一対の側部フレーム1,1の後分割体16B,16Bが互いに近づく方向である。図4では、後分割体16Bは、内面16Baが前分割体16Aの内面16Aaに対面する位置にある。図4に示すように、後分割体16Bが前分割体16Aに対して折りたたまれた形態を収納形態F2という。収納形態F2において、後分割体16Bの内面16Baと、前分割体16Aの内面16Aaとの角度θは、例えば45°以下である。このように、歩行支援装置10では、後分割体16Bが内方に回動可能であることによって、収納形態F2における歩行支援装置10の左右方向(Y方向)のサイズを小さくできる。そのため、歩行支援装置10は、収納形態F2において保管および運搬に好適である。
【0026】
図1および図2に示すように、ロッド保持部13は、筒状に形成され、Z方向に沿って前分割体16Aの内面に取り付けられている。
【0027】
図5は、伸縮機構14の動作を示す側面図である。図5に示すように、伸縮機構14は、伸縮ロッド31を備える。伸縮ロッド31は、ロッド保持部13の内部形状に即した外面形状を有する。伸縮ロッド31はロッド保持部13内に挿通しており、基体フレーム11に対して、ロッド保持部13に沿う方向(伸縮ロッド31の長さ方向)に移動可能である。伸縮ロッド31は、基体フレーム11に対して移動可能であるため、基体フレーム11に対する延出長さを調整できる。伸縮機構14は、締め付け固定、凹凸嵌合などにより伸縮ロッド31をロッド保持部13に対して位置決めする固定機構(図示略)を有していてもよい。
【0028】
伸縮ロッド31は、基体フレーム11に対する延出長さを調整することによって、上フレーム12の高さ位置を調節できる。例えば、上フレーム12は、図5に実線で示す拡張形態F3と、仮想線で示す収納形態F4とを切り替えできる。拡張形態F3では、例えば、伸縮ロッド31の延出長さは最大であり、上フレーム12は最も高く位置している。収納形態F4では、伸縮ロッド31は非延出状態にあり、上フレーム12は最も低く位置している。伸縮ロッド31は延出長さを調整できるため、上フレーム12の高さ位置を任意に設定できる。
【0029】
上フレーム12は、基体フレーム11に対して延出して設けられている。上フレーム12は、基体部17と、上肢支持部18とを備える。基体部17は、伸縮ロッド31の上端から概略、前方に向けて延出する棒状に形成されている。基体部17の前部17aは、長さ方向に直交する断面が円形状とされている。前部17aは、前後方向(X方向)に沿う中心軸C1を有する。
【0030】
図6(A)および図6(B)は、上肢支持部18の動作を示す斜視図である。図6(A)に示すように、上肢支持部18は、外挿部33と、棒状の支持部本体34とを備える。外挿部33は、前後方向(X方向)に沿う中心軸C2を有する円筒形とされている。中心軸C1と中心軸C2とは一致する。外挿部33は、基体部17の前部17aに外挿される。図6(B)に示すように、外挿部33は、中心軸C1,C2の周りに回動可能である。外挿部33は、内方に回動可能である。ここでいう内方とは、一対の側部フレーム1,1の上肢支持部18,18が互いに近づく方向である(図4参照)。基体部17の前部17aおよび外挿部33は、上肢支持部18を回動させる回動機構38を構成する。
【0031】
図6(A)に示すように、支持部本体34は、外方延出部35と、主部36とを備える略L字状に形成されている。外方延出部35は、外挿部33に対して垂直な方向(図6(A)では上方)に延出する。主部36は、外方延出部35の先端から後方に向かって延出する。主部36には、軟質樹脂、ゴムなどからなる滑り止め用のカバー37が設けられていてもよい。外方延出部35が上方に向く上肢支持部18の形態を拡張形態F5という。外方延出部35が内方に向く上肢支持部18の形態を収納形態F6という。
【0032】
上肢支持部18は、側部フレーム1,1の基体フレーム11,11間に立つ使用者の上肢を支える(図12および図13参照)。上肢支持部18は、例えば、使用者が手で把持するハンドル部、使用者のひじ部を支持するひじ掛け(アームレスト)などとして機能し得る。
【0033】
図7は、連結フレーム3を一方側から見た斜視図である。図8は、連結フレーム3を他方側から見た斜視図である。図9は、連結フレーム3の拡張形態の平面図である。図10は、連結フレーム3の収納形態の平面図である。
【0034】
図7に示すように、2つの連結フレーム3は、それぞれ基部上部15Aの先端および基部下部15Bの先端に設けられている。詳しくは、一方の連結フレーム3は、一対の側部フレーム1,1の基部上部15A,15A間に設けられて基部上部15A,15Aどうしを連結している。他方の連結フレーム3は、一対の側部フレーム1,1の基部下部15B,15B間に設けられて基部下部15B,15Bどうしを連結している。
【0035】
図7図9に示すように、連結フレーム3は、長さ方向に4つの分割体3A,3B,3C,3D(連結フレーム分割体)に分割されている。分割体3A,3B,3C,3Dを、それぞれ第1分割体3A,第2分割体3B,第3分割体3C,第4分割体3Dと呼ぶ。分割体3A,3B,3C,3Dは、連結フレーム3の一端から他端にかけて、この順に隣り合って並んでいる。
【0036】
図7に示すように、連結フレーム3の一端(第1分割体3Aの一端3Aa)は、一方の側部フレーム1の基部15の内面に設けられている。連結フレーム3の他端(第4分割体3Dの他端3Db)(図8参照)は、他方の側部フレーム1の基部15(詳しくは基部上部15Aおよび基部下部15B)の内面に設けられている。そのため、連結フレーム3は、側部フレーム1,1の基部15,15どうしを連結している。連結フレーム3が折りたたまれていない形態を拡張形態F7という。
【0037】
第2折りたたみ機構5(折りたたみ機構)は、3つの第2回動連結部52,52,52を備える。第2回動連結部52は、Z方向に沿う回動軸を有するヒンジ部51を備える。3つの第2回動連結部52,52,52を、それぞれ第2回動連結部52A,52B,52Cという。
【0038】
図8に示すように、第2回動連結部52Aは、第1分割体3Aの他端3Abと、第2分割体3Bの一端3Baとをヒンジ部51において回動可能に連結する。ヒンジ部51は第1分割体3Aおよび第2分割体3Bの後面側に設けられている。図7に示すように、第2回動連結部52Bは、第2分割体3Bの他端3Bbと、第3分割体3Cの一端3Caとをヒンジ部51において回動可能に連結する。ヒンジ部51は第2分割体3Bおよび第3分割体3Cの前面側に設けられている。図8に示すように、第2回動連結部52Cは、第3分割体3Cの他端3Cbと、第4分割体3Dの一端3Daとをヒンジ部51において回動可能に連結する。ヒンジ部51は第3分割体3Cおよび第4分割体3Dの後面側に設けられている。
【0039】
図10に示すように、第2分割体3Bは、第1分割体3Aに対して後方側(延出方向側)に回動可能である。第3分割体3Cは、第4分割体3Dに対して後方側(延出方向側)に回動可能である。図10に示す連結フレーム3は、折りたたまれた形態をとっている。この形態を収納形態F8という。
【0040】
図10では、第1分割体3Aおよび第4分割体3Dは、拡張形態F7(図9参照)と変わらず左右方向(Y方向)に延在している。第2分割体3Bおよび第3分割体3Cは前後方向(X方向)に延在する。詳しくは、第2分割体3Bは一端3Baから他端3Bbにかけて後方に延出し、第3分割体3Cは他端3Cbから一端3Caにかけて後方に延出している。連結フレーム3をこのような形態とすることによって、連結フレーム3の左右方向(Y方向)のサイズを小さくするとともに、前後方向(X方向)のサイズも小さくできる。そのため、歩行支援装置10は、保管および運搬に好適な形態となる。
連結フレーム3は、例えば、金属(アルミニウム合金、スチールなど)、炭素系材料などで構成することができる。
【0041】
図11は、歩行支援装置10の収納形態の斜視図である。図11では、基体フレーム11は収納形態F2とされているため、前後方向のサイズを小さくできる。上フレーム12は収納形態F4とされているため、高さ方向のサイズを小さくできる。上肢支持部18は収納形態F6とされているため、高さ方向のサイズを小さくできる。連結フレーム3は収納形態F8とされているため、左右方向のサイズを小さくできる。
【0042】
歩行支援装置10を保管する際、車両などで運搬する際などには、歩行支援装置10は、図11に示す形態とすることができる。これにより、歩行支援装置10は左右方向(Y方向)だけでなく、前後方向(X方向)および高さ方向(Z方向)にコンパクトとなり、保管および運搬に好適となる。
【0043】
歩行支援装置10では、収納形態F2における延出部16は折りたたんだ状態にあるため、延出部16を伸長させることによって、容易に拡張形態F1(図1および図2参照)とすることができる。同様に、収納形態F8における連結フレーム3は折りたたんだ状態にあるため、連結フレーム3を伸長させることによって、容易に拡張形態F7(図1および図2参照)とすることができる。このように、歩行支援装置10は、収納形態から拡張形態に移行させる操作が容易である。歩行支援装置10は、拡張形態から収納形態に移行させる操作も容易である。
【0044】
収納形態F8であっても連結フレーム3には十分な長さ(Y方向の寸法)があり、2つの側部フレーム1,1は離間している。そのため、一方の側部フレーム1に取り付けられた車輪2と、他方の側部フレーム1に取り付けられた車輪2とは左右に十分に離れている。したがって、歩行支援装置10は、4つの車輪2によって安定的に自立可能である。
【0045】
次に、歩行支援装置10の使用方法について説明する。歩行支援装置10の使用者としては、けが、病気、加齢等により歩行が不自由な者を想定することができる。
図12は、歩行支援装置10の第1の使用例を示す斜視図である。この使用例では、使用者U(U1)は側部フレーム1,1の間に立ち、両手でそれぞれ上肢支持部18,18を把持している。この使用例では、歩行支援装置10の前後方向は使用者U(U1)の前後方向と一致している。すなわち、歩行支援装置10は、連結フレーム3を使用者U(U1)の前方に位置させた姿勢とされている。
【0046】
図13は、歩行支援装置10の第2の使用例を示す斜視図である。この使用例では、歩行支援装置10は、図12に示す第1の使用例とは逆の姿勢で使用されている。すなわち、歩行支援装置10は、連結フレーム3を使用者U(U2)の後方に位置させた姿勢とされている。この使用姿勢では、歩行支援装置10は、使用者U(U2)が前方に向かって歩行支援装置10から離れるにあたって、連結フレーム3が妨げとならない。そのため、使用者U(U2)が歩行支援装置10を離れて前方に移動するのが容易となる。この使用姿勢は、例えば、使用者U(U2)が年少者である場合に好適である。
【0047】
図12および図13に示すように、使用者U(U1,U2)は、歩行支援装置10の側部フレーム1,1の間に立ち、上フレーム12の上肢支持部18によって体を支えつつ、目的とする方向に歩行する。この際、歩行支援装置10は、車輪2によって、使用者U(U1,U2)の歩行方向に走行する。
【0048】
歩行支援装置10は、連結フレーム3を折りたたむ第2折りたたみ機構5を備えているため、連結構造がクロスパイプである場合と異なり、収納形態F8(図10参照)における連結構造(連結フレーム3)の高さ寸法は拡張形態F7(図9参照)と同じである。そのため、歩行支援装置10の高さ設定に関して設計上の制約は少ない。したがって、例えば、年少者に好適な小型の(すなわち、高さ寸法が低い)歩行支援装置10を提供することができる。
【0049】
歩行支援装置10では、第1折りたたみ機構4、第2折りたたみ機構5、伸縮機構14、回動機構38の構造が簡略であるため、製造コストを低く抑えるとともに、軽量化を図ることができる。
さらに、歩行支援装置10は、連結フレーム3を折りたたむ第2折りたたみ機構5を用いているため、拡張形態F7(図9参照)から収納形態F8(図10参照)に移行させるにあたって、使用者がフレーム等に指を挟むなどの事故が起こりにくい。よって、連結構造がクロスパイプである場合に比べて、安全性の点で優れている。
【0050】
[実施形態の変形例]
図14は、側部フレーム1の変形例の拡張形態の平面図である。図15は、側部フレーム1の変形例の拡張形態の平面図である。図14および図15に示すように、後分割体16Bは、外方に回動可能であってもよい。この構成では、ヒンジ部41は、前分割体16Aおよび後分割体16Bの外面側に設けられる。
【0051】
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等は一例に過ぎず、適宜変更が可能である。例えば、図1に示す歩行支援装置10では、連結フレーム3は4つの分割体3A,3B,3C,3Dに分割されているが、連結フレームの分割数は、2以上の任意の数であってよい。図3および図4に示すように、延出部16は2つに分割されているが、延出部の分割数は3以上の任意の数であってもよい。
【0052】
図1に示す歩行支援装置10は、側部フレーム1(延出部16)と連結フレーム3の両方に、それぞれ折りたたみ機構4,5が設けられているが、実施形態の歩行支援装置はこれに限定されない。例えば、側部フレーム1(延出部16)と連結フレーム3のうちいずれか一方のみに折りたたみ機構が設けられていてもよい。すなわち、図1に示す歩行支援装置10において、側部フレーム1(延出部16)に第1折りたたみ機構4が設けられ、連結フレーム3に第2折りたたみ機構5が設けられていない構成も可能である。また、側部フレーム1(延出部16)に第1折りたたみ機構4が設けられておらず、連結フレーム3に第2折りたたみ機構5が設けられている構成も可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…側部フレーム、2…車輪、3…連結フレーム、3A…第1分割体(第1連結フレーム分割体、分割体)、3B…第2分割体(第2連結フレーム分割体、分割体)、3C…第3分割体(第3連結フレーム分割体、分割体)、3D…第4分割体(第4連結フレーム分割体、分割体)、4…第1折りたたみ機構(折りたたみ機構)、5…第2折りたたみ機構(折りたたみ機構)、10…歩行支援装置、11…基体フレーム、12…上フレーム、14…伸縮機構、15…基部、16…延出部、16A…前分割体(延出部分割体、分割体)、16B…後分割体(延出部分割体、分割体)、17…基体部、18…上肢支持部、31…伸縮ロッド、42…第1回動連結部(回動連結部)、52…第2回動連結部回動連結部
図1
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