(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】靴ハンガー
(51)【国際特許分類】
D06F 57/00 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
D06F57/00 320
(21)【出願番号】P 2018187012
(22)【出願日】2018-10-01
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】518349008
【氏名又は名称】関口 智貴
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】関口 智貴
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-234643(JP,A)
【文献】登録実用新案第3051546(JP,U)
【文献】登録実用新案第3198054(JP,U)
【文献】実開昭57-181261(JP,U)
【文献】特開平07-000265(JP,A)
【文献】特開2002-095622(JP,A)
【文献】特開2004-202076(JP,A)
【文献】実公昭25-010051(JP,Y1)
【文献】米国特許第04702016(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 57/00
A43D 25/00
A47L 23/20
A43D 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴を干すための靴ハンガーであって、
フックと、
前記フックの下部に設けられ、靴の長さ方向に延在する延在部と、
前記延在部の一端に設けられ、靴の踵部を押さえる踵押さえ部と、
前記フックと前記延在部の接続部を挟んで前記踵
押さえ部と反対側に設けられ、靴の甲部またはつま先部を保持する保持部と、
を備え、
前記保持部は、甲部またはつま先部の大きさに合わせて調節可能に構成され、
前記踵押さえ部は、踵部を外側からつま先部方向へ付勢するように弾性を有する、
靴ハンガー。
【請求項2】
前記踵押さえ部の近傍の前記延在部に両端を回動自在に取り付けられ、靴のタンに当接するように設けられたストラップ部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の靴ハンガー。
【請求項3】
前記踵押さえ部に着脱自在に設けられる踵挟み部をさらに備え、
前記踵挟み部は、
前記踵押さえ部に取り付けられる取付部と、
前記取付部から靴の踵履き口方向に延在し、踵部から踵履き口までの高さを超える部分で湾曲する湾曲部と、
前記湾曲部から靴のインソール方向へ延在し、先端または先端近傍がインソールと踵部の内部の一方または両方に当接する当接部と、
を備え、
前記湾曲部と前記当接部の一方または両方は、踵部の内側から外側方向へ付勢するように弾性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の靴ハンガー。
【請求項4】
前記踵挟み部は、前記湾曲部に水を抜くための水抜き穴と、前記当接部の側面に先端近傍から前記水抜き穴へ水分を引き込む溝を有することを特徴とする請求項3に記載の靴ハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴を洗濯した後に干すための靴ハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、靴を洗濯した後に干すために使用するハンガーが提案されている。例えば、特許文献1は、洗濯した後の水滴や靴の内部に溜まってしまった水滴を効率よく排出して短時間で乾燥させることができる靴干しハンガーを開示する。この靴干しハンガーは、ズック、スニーカー、長靴など、形状の異なる様々な靴類を、1台の靴干しハンガーとして使用可能とするものであり、靴の甲部受け用アーム、靴の踵部受け用アーム、連結アーム、ハンガー、から構成されている。靴の甲部受け用アームと靴の踵部受け用アームの二本のアームにより、逆さ向きにした靴外側の甲部と踵部の二箇所を段違い平行棒の形態で支持することにより、靴の落下防止に適した傾斜角度や水切りに適した傾斜角度を確保するとともに、長靴や胴長靴にも使用できる構造とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
靴を洗濯した後に内部に残存する水分を早く排出して乾いた状態にすることは、靴の型崩れを防止すると共に、内部を清潔な状態に維持するために重要なことである。これは、特に、スポーツシューズなどアスリートが使用する靴では、洗濯頻度も多くなる一方アスリートの足をしっかりサポートするために型崩れを起こさないように洗濯し、乾燥させることが重要である。このように靴を乾燥させるために干す場所は、室内より室外が好ましいが、室外では風の影響を受けることがある。しかし、上記した従来技術の靴ハンガーでは、風の影響を受けて落下することがあり、その結果、靴底が地面について乾燥し難い状態になったり、履き口が地面について型崩れしてしまうことがあった。
【0005】
本発明は、かかる事情を鑑みて考案されたものであり、内部に残存する水分を早く排出すると共に、風に吹かれても落下することがないように安定性が良く、型崩れを防止する靴ハンガーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、靴を干すための靴ハンガーであって、フックと、フックの下部に設けられ、靴の長さ方向に延在する延在部と、延在部の一端に設けられ、靴の踵部を押さえる踵押さえ部と、フックと延在部の接続部を挟んで踵押さえ部と反対側に設けられ、靴の甲部またはつま先部を保持する保持部と、を備え、保持部は、甲部またはつま先部の大きさに合わせて調節可能に構成され、踵押さえ部は、踵部を外側からつま先部方向へ付勢するように弾性を有する靴ハンガーが提供される。
これによれば、靴底を上にして、保持部が靴に合わせて調節可能に保持すると共に踵押さえ部が弾性を有して踵部をつま先部方向へ押さえつけることで、内部に残存する水分を早く排出すると共に、風に吹かれても落下することがないように安定性が良く、型崩れを防止する靴ハンガーを提供することができる。
【0007】
さらに、踵押さえ部の近傍の延在部に両端を回動自在に取り付けられ、靴のタンに当接するように設けられたストラップ部をさらに備えることを特徴としてもよい。
これによれば、ストラップ部が靴のほぼ真ん中辺りにあるタンに支えることで、風に吹かれても落下することがない安定性の良い靴ハンガーを提供することができる。
【0008】
さらに、踵押さえ部に着脱自在に設けられる踵挟み部をさらに備え、踵挟み部は、踵押さえ部に取り付けられる取付部と、取付部から靴の踵履き口方向に延在し、踵部から踵履き口までの高さを超える部分で湾曲する湾曲部と、湾曲部から靴のインソール方向へ延在し、先端近傍がインソールと踵部の内部の一方または両方に当接する当接部と、を備え、湾曲部と当接部の一方または両方は、踵部の内側から外側方向へ付勢するように弾性を有することを特徴としてもよい。
これによれば、踵挟み部が弾性により踵部の内側から外側方向へ押さえつけることで、風に吹かれても落下することがない安定性の良い靴ハンガーを提供することができる。また、踵挟み部が踵部から踵履き口までの高さを超える部分で湾曲することで踵履き口の型崩れを防止することができる。また、踵挟み部の先端近傍がインソールや踵部の内部に当接することで、内部の水分を下の方にある湾曲部の方へ引き出すことができる。
【0009】
さらに、踵挟み部は、湾曲部に水を抜くための水抜き穴と、当接部の側面に先端近傍から水抜き穴へ水分を引き込む溝を有することを特徴としてもよい。
これによれば、内部に残存する水分が当接部から溝を通って水抜き穴に導かれることで、内部に残存する水分を早く排出することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、内部に残存する水分を早く排出すると共に、風に吹かれても落下することがないように安定性が良く、型崩れを防止する靴ハンガーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る第一実施例の靴ハンガーの側面図。
【
図2】本発明に係る第一実施例の靴ハンガーの底面図。
【
図3】本発明に係る第一実施例の靴ハンガーの左側面図。
【
図4】本発明に係る第一実施例の、(A)靴ハンガーの斜視図、(B)保持部の斜視図。
【
図5】本発明に係る第一実施例の靴ハンガーに靴を取り付けて干している状態を示す斜視図。
【
図6】本発明に係る第二実施例の靴ハンガーの側面図。
【
図7】本発明に係る第二実施例の靴ハンガーの底面図。
【
図8】本発明に係る第二実施例の靴ハンガーの左側面図。
【
図9】本発明に係る第二実施例の、(A)靴ハンガーの斜視図、(B)ストラップ部の斜視図。
【
図10】本発明に係る第二実施例の靴ハンガーに靴を取り付けて干している状態を示す斜視図。
【
図11】本発明に係る第三実施例の靴ハンガーの側面図。
【
図12】本発明に係る第三実施例の靴ハンガーの底面図。
【
図13】本発明に係る第三実施例の靴ハンガーの左側面図。
【
図14】本発明に係る第三実施例の、(A)靴ハンガーの斜視図、(B)踵挟み部の斜視図、(C)水抜き穴の底面視拡大図、(D)Z-Z断面における断面拡大図。
【
図15】本発明に係る第三実施例の靴ハンガーに靴を取り付けて干している状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
【0013】
<第一実施例>
図1乃至
図5を参照し、本実施例における靴ハンガー100を説明する。靴ハンガー100は、洗濯した靴SHを乾燥させるためのハンガーである。洗濯した靴SHは、内部に水分を含んだまま長い時間経過すると、靴SHの踵部HLや甲部TPの部分が型崩れし易くなり、また内部に細菌などが繁殖することもあるので、なるべく短い時間で乾燥させることが好ましい。しかし、一般家庭において靴SHの乾燥機を備えることは少ないため、靴SHを洗濯した後は風通しのよいところに干すのが一般的である。しかし、風通しのよいところで干した場合、時折強い風が吹いたりすると、靴SHは揺らされて下に落ちてしまう場合がある。また、落ちないように洗濯バサミのような物で踵履き口OPを挟んで干すと型崩れしてしまうことがある。靴ハンガー100は、このような問題を解決するためのものである。
【0014】
靴ハンガー100は、靴SHを干すためのハンガーであって、物干し竿PLなどに引っ掛けるためのフック10と、フック10の下部に設けられ、靴SHの長さ方向LNに延在する延在部20と、延在部20の一端に設けられ、靴SHの踵部HLを押さえる踵押さえ部30と、フック10と延在部20の接続部11を挟んで踵押さえ部30と反対側に設けられ、靴SHの甲部TPを保持する保持部40と、を備える。フック10の形は、本実施例では物干し竿PLに吊り下げられやすくするために一部が開口した円形をなすが、なにかに引っ掛けたり、なにかに吊り下げられたりする形状であれば特に限定されない。
【0015】
フック10の下部には、ほぼ靴SHの幅と長さに相当する幅と長さを有する延在部20が、接続部11で接続されている。延在部20は、靴SHの踵部HLでは幅が狭く、つま先部TOになるに従って徐々に幅が広くなるように形成されている。本実施例における延在部20は、
図5に示すように、靴SHの踵部HLから靴SHにおいて拇指球/小指球が当たる部分までの長さしかないが、靴SHを取り付けられる程度の長さがあれば、特に限定されない。延在部20は、その幅においても同様であり、靴SHを取り付けられる程度の幅があれば、特に限定されない。また、延在部20は、その厚さにおいても同様である。延在部20の材質も同様であり、特に限定されないが、水を吸収しない樹脂や金属などが好ましい。
【0016】
延在部20は、フック10との接続部11において、
図1に示すように、踵部HL方向の延在部20とは鈍角、つま先部TO方向の延在部20とは鋭角になるように設けられることが好ましい。このようにすると、フック10を物干し竿PLなどに引っ掛けると、重力により踵部HLの方がつま先部TOより低い位置になり、靴SHの内部の水分が踵部HLの方へ流れてきて、早く水分を内部から排出して乾燥させることができる。延在部20は、靴SHが干すために取り付けられると、靴SHの底が接する部分となるので、風通しを良くするために孔22が設けられている。
【0017】
延在部20は、最もつま先部TO寄りの孔22には、保持部40を係合させるための保持部係合部23が形成されている。また、延在部20において、フック10と延在部20の接続部11を挟んで踵押さえ部30と反対側であって、つま先部TOに近い部分の両側側面には、凹部21が設けられている。凹部21と保持部係合部23には、保持部40が取り付けられる。保持部40は後述するように柔らかい素材で構成されるので、延在部20は、別体として提供される保持部40を、保持部係合部23の下面(靴SH側の面、
図2の図視手前側の面)、延在部20の上面(フック10側の面、
図2の図視奥側の面)であって凹部21と最もつま先部TO寄りの孔22と間の面、そして延在部20の側面の両側に設けられた凹部21に当接するようにして備える。
【0018】
踵押さえ部30は、接続部11に対して延在部20の一方(たとえば
図1で言えば、延在部20における左端)に設けられている。踵押さえ部30は、延在部20に対して靴SHの方へ傾斜して設けられており、踵押さえ部30の先端が靴SHの踵部HLに当接するようになっている。踵押さえ部30は、その先端部分の両側に、踵部HLに小さい面積で当接するような爪部31が設けられている。これにより、踵押さえ部30は、爪部31が靴SHの踵部HLに引っ掛かるように当接するので、しっかり踵部HLと係合することができる。踵押さえ部30は、可撓性を有し、靴SHが靴ハンガー100に取り付けられた場合、踵部HLを外側からつま先部TO方向へ付勢するように弾性を有する。踵押さえ部30は、その材質において限定されないが、踵部HLを押さえつけられる程度の弾性を有する樹脂であることが好ましい。また、踵押さえ部30は、全体が弾性を有する必要はなく、踵押さえ部30と延在部20が結合された部分のみで弾性を有していてもよい。
【0019】
保持部40は、フック10と延在部20の接続部11を挟んで踵押さえ部30と反対側に形成された凹部21に設けられる。これにより、保持部40が靴SHのつま先部TOに近い部分に、踵押さえ部30が踵部HLに当接して、靴SH全体をバランスよく支持することができる。また、靴SHが取り付けられた場合踵押さえ部30がつま先部TO方向へ押さえつけるが、保持部40が凹部21および保持部係合部23に設けられることで、保持部40自体がつま先部TO方向へずれることを防止できる。保持部40は、靴SHの甲部TPをその大きさに合わせて調節可能に保持する。保持部40は、
図4(B)に示すように、ゴム輪のように環状で伸び縮み自在の素材であってもよいし、柔軟性/可撓性のある帯状の樹脂の端に面テープ41を備えることで、保持する部分の大きさに適合するように調節可能であること好ましい。また、本実施例では、保持部40は、靴SHの甲部TPを保持するが、靴SHのよりつま先部TO寄りの部分を保持してもよい。
【0020】
使用者は、洗った靴SHを靴ハンガー100に取り付ける際、まず、延在部20に、より詳細には、保持部係合部23と凹部21に保持部40を取り付ける。そして、使用者は、靴底を延在部20に、かつ、踵部HLを踵押さえ部30の先端に当接させるように配置する。次に使用者は、靴SH全体を少し踵押さえ部30の方へ押さえつける。そうすると、踵押さえ部30は、弾性を有するので、押さえつけた分撓る。その状態で、使用者は、保持部40を靴SHの甲部TP辺りに適度な力で巻き付けて、靴SHを靴ハンガー100に取り付ける。取り付けた後、使用者が靴SHから手を離すと、踵押さえ部30は、撓りを戻すように踵部HLをつま先部TOの方向へ付勢することになる。このようにして、靴ハンガー100は、取り付けられた靴SHをしっかりと保持することができる。そして、最後に使用者は、フック10を物干し竿PLなどに引っ掛けることで、靴SHの靴底を上にして、踵履き口OPを下にして、干すことができる。
【0021】
靴ハンガー100は、上記の構成を有することで、靴底を上にして、保持部40が靴SHに合わせて調節可能に保持すると共に踵押さえ部30が弾性を有して踵部HLをつま先部TO方向へ押さえつけることで、内部に残存する水分を早く排出すると共に、風に吹かれても落下することがないように安定性が良く、型崩れを防止することができる。
【0022】
<第二実施例>
図6乃至
図10を参照し、本実施例における靴ハンガー100Aを説明する。なお、重複記載を避けるため、上記実施例の靴ハンガー100と同じ構成要素には同じ符号を付し、説明を省略して、異なる点を中心に説明する。靴ハンガー100Aは、物干し竿PLなどに引っ掛けるためのフック10と、フック10の下部に設けられ、靴SHの長さ方向LNに延在する延在部20Aと、延在部20Aの一端に設けられ、靴SHの踵部HLを押さえる踵押さえ部30と、フック10と延在部20の接続部11を挟んで踵押さえ部30と反対側に設けられ、靴SHの甲部TPを保持する保持部40と、延在部20Aに取り付けられ靴SHのタンTNを支持するストラップ部50と、を備える。
【0023】
延在部20Aは、フック10の下部に接続部11で接続され、靴SHの踵部HLでは幅が狭く、つま先部TOになるに従って徐々に幅が広くなるように形成されている。延在部20Aは、
図10に示すように、靴SHの踵部HLから靴SHにおいて拇指球/小指球が当たる部分までの長さしかないが、靴SHを取り付けられる程度の長さがあれば、特に限定されない。延在部20Aは、その幅においても同様であり、靴SHを取り付けられる程度の幅があれば、特に限定されない。また、延在部20Aは、その厚さにおいても同様である。延在部20Aの材質も同様であり、特に限定されないが、水を吸収しない樹脂や金属などが好ましい。
【0024】
延在部20Aは、フック10との接続部11において、
図6に示すように、踵部HL方向の延在部20Aとは鈍角、つま先部TO方向の延在部20Aとは鋭角になるように設けられることが好ましい。延在部20Aは、風通しを良くするための孔22を有し、最もつま先部TO寄りの孔22には、保持部40を係合させるための保持部係合部23が形成されている。また、延在部20Aにおいて、つま先部TOに近い部分の両側側面には、保持部40が取り付けられる凹部21が設けられている。
【0025】
延在部20Aは、接続部11と踵押さえ部30と間であって両側の側面の近傍に回動支持部24を備える。回動支持部24には、ストラップ部50の両端に備えられた回動軸52(
図9(B)に示される)が差し込まれるための穴が形成されており、これにより、ストラップ部50は、踵押さえ部30の近傍の延在部20Aに両端(回動軸52)を回動自在に取り付けられる。また、ストラップ部50は、ほぼ中央部分に靴SHのタンTNに当接するための突起部51を有する。ストラップ部50は、U字型部分で靴SHのアッパー全体を支持し、さらに突起部51でタンTNや紐付近に当接することでずれることなく、靴SH全体を保持する。
【0026】
使用者は、洗った靴SHを靴ハンガー100Aに取り付ける際、まず、延在部20Aの保持部係合部23と凹部21に保持部40を取り付ける。そして、使用者は、ストラップ部50の中央部が踵押さえ部30側にあるようにしておいて、靴底を延在部20Aに、かつ、踵部HLを踵押さえ部30の先端に当接させるように配置する。次に使用者は、靴SH全体を少し踵押さえ部30の方へ押さえつける。そうすると、踵押さえ部30は、弾性を有するので、押さえつけた分撓る。その状態で、使用者は、保持部40を靴SHの甲部TP辺りに適度な力で巻き付けて、靴SHを靴ハンガー100Aに取り付ける。そしてさらに、踵押さえ部30側に回動させてあったストラップ部50を、つま先部TO側へ回動させて、突起部51が靴SHのタンTNに当接させる。このような状態で、使用者が靴SHから手を離すと、踵押さえ部30は、撓りを戻すように踵部HLをつま先部TOの方向へ付勢することになる。このようにして、靴ハンガー100Aは、取り付けられた靴SHを保持部40とストラップ部50とでしっかりと保持または支持することができる。そして、最後に使用者は、フック10を物干し竿PLなどに引っ掛けることで、靴SHの靴底を上にして、踵履き口OPを下にして、干すことができる。
【0027】
靴ハンガー100Aは、上記の構成を有することで、靴底を上にして、保持部40が靴SHに合わせて調節可能に保持すると共に踵押さえ部30が弾性を有して踵部HLをつま先部TO方向へ押さえつけ、さらにストラップ部50が靴SHのほぼ真ん中辺りにあるタンTNに支えることで、内部に残存する水分を早く排出すると共に、風に吹かれても落下することがないように安定性が良く、型崩れを防止することができる。
【0028】
<第三実施例>
図11乃至
図15を参照し、本実施例における靴ハンガー100Bを説明する。なお、重複記載を避けるため、上記実施例の靴ハンガー100と同じ構成要素には同じ符号を付し、説明を省略して、異なる点を中心に説明する。靴ハンガー100Bは、物干し竿PLなどに引っ掛けるためのフック10と、フック10の下部に設けられ、靴SHの長さ方向LNに延在する延在部20と、延在部20の一端に設けられ、靴SHの踵部HLを押さえる踵押さえ部30Bと、フック10と延在部20の接続部11を挟んで踵押さえ部30Bと反対側に設けられ、靴SHの甲部TPを保持する保持部40と、踵押さえ部30Bに取り付けられる踵挟み部60と。を備える。
【0029】
踵押さえ部30Bは、接続部11に対して延在部20の一方(たとえば
図11で言えば、延在部20における左端)に設けられている。踵押さえ部30Bは、延在部20に対して靴SHの方へ傾斜して設けられており、踵押さえ部30Bの先端が靴SHの踵部HLに当接するようになっている。踵押さえ部30Bは、上記実施例における踵押さえ部30に比し、延在部20からの高さは高く形成されている。本実施例の靴ハンガー100Bは、たとえばバスケットシューズのような踵部HLから踵履き口OPまでの高さが高い靴SHに使用されることが好ましい。
【0030】
踵押さえ部30Bは、その先端近傍の中央部分に、踵挟み部60を着脱自在に取り付けるための被嵌め込み部32Bを備える。被嵌め込み部32Bは、本実施例では上下方向に並んだ2つの穴から構成されている。踵押さえ部30Bは、可撓性を有し、靴SHが靴ハンガー100Bに取り付けられた場合、踵部HLを外側からつま先部TO方向へ付勢するように弾性を有する。踵押さえ部30Bは、その材質において限定されないが、踵部HLを押さえつけられる程度の弾性を有する樹脂であることが好ましい。また、踵押さえ部30Bは、全体が弾性を有する必要はなく、踵押さえ部30Bと延在部20が結合された部分のみで弾性を有していてもよい。なお、踵挟み部60が着脱自在に取り付けられるように構成することで、バスケットシューズのような踵履き口OPまでの高さが高い靴SHからサッカーシューズのようなその高さが低い靴SHまで、様々な種類の靴SHに使用することができる。
【0031】
踵挟み部60は、踵押さえ部30Bに取り付けられる取付部61と、取付部61から靴SHの踵履き口OP方向に延在し、踵部HLから踵履き口OPまでの高さを超える部分で湾曲する湾曲部62と、湾曲部62から靴SHのインソールIS方向へ延在し、先端64またはその近傍がインソールISと踵部HLの内部の一方または両方に当接する当接部63と、を備える。取付部61は、2つの穴から構成される被嵌め込み部32Bに適合する2つの突起から構成される嵌め込み部611を端部近傍に備える。取付部61は、踵部HLから踵履き口OPまでの高さの高い靴SHに適合するように、踵押さえ部30Bの先端からさらに下方に延在するように形成されている。
【0032】
湾曲部62は、取付部61から踵履き口OP方向に延在すると共に、踵部HLから踵履き口OPまでの高さを超える部分で湾曲するように形成されている。湾曲部62が踵部HLから踵履き口OPまでの高さを超える部分で湾曲することで、踵履き口OPの型崩れを防止することができる。湾曲部62の位置は、取り付ける靴SHの種類に応じて変化したものを取り揃えることが好ましい。たとえば、取付部61を長くし、湾曲部62の位置を踵部HLから踵履き口OPまでの高さの高くするような位置にすると、長靴にも適用可能となる。
【0033】
当接部63は、湾曲部62から靴SHのインソールIS方向へ延在し、踵履き口OPから靴SHの内部に侵入するように形成されており、湾曲部62の位置によらず、当接部63の先端64またはその近傍がインソールISか踵部HLの内部に、好ましくはその両方に当接する。当接部63の先端64またはその近傍は、インソールISと踵部HLの内部の両方に当接するため、比較的大きめの球形に形成されてもよい。踵挟み部60は、湾曲部62と当接部63のいずれかまたは両方において可撓性を有しており、靴SHを靴ハンガー100Bに取り付けた場合に踵部HLの内側から外側方向へ付勢するように弾性を有することが好ましい。これにより、
図15に示すように、踵押さえ部30Bは、踵部HLと踵履き口OPの中間部分を矢印Aのように押圧し、踵挟み部60は、踵部HLの内側から外側方向(踵押さえ部30Bの方向)へ押圧する。
【0034】
このように、踵挟み部60が弾性により踵部HLの内側から外側方向へ押さえつけることで、風に吹かれても落下することがない安定性の良い靴ハンガー100Bを提供することができる。また、踵挟み部60が踵部HLから踵履き口OPまでの高さを超える部分で湾曲することで踵履き口OPの型崩れを防止することができる。また、踵挟み部60の先端64付近がインソールISや踵部HLの内部に当接することで、靴SHの内部の水分を下の方にある湾曲部62の方へ引き出すことができる。
【0035】
また、踵挟み部60は、
図14(B)、(C)、(D)に示すように、湾曲部62に水を抜くための水抜き穴65と、当接部63の側面に先端64付近から水抜き穴65へ水分を引き込む溝66を有する。これによれば、毛細管現象を利用し、靴SHの内部に残存する水分が当接部63から溝66を通って水抜き穴65に導かれることで、内部に残存する水分を早く排出することができる。
【0036】
使用者は、洗った靴SHを靴ハンガー100Bに取り付ける際、まず、延在部20の保持部係合部23と凹部21に保持部40を取り付ける。そして、使用者は、靴底を延在部20に、かつ、踵部HLを踵押さえ部30の先端に当接させるように配置する。次いで、使用者は、踵挟み部60の当接部63を踵履き口OPから差し込むと共に、嵌め込み部611を被嵌め込み部32Bに挿入して踵挟み部60を踵押さえ部30Bに取り付ける。次に使用者は、靴SH全体を少し踵押さえ部30Bの方へ押さえつける。そうすると、踵押さえ部30Bは、弾性を有するので、押さえつけた分撓る。その状態で、使用者は、保持部40を靴SHの甲部TP辺りに適度な力で巻き付けて、靴SHを靴ハンガー100Aに取り付ける。このような状態で、使用者が靴SHから手を離すと、踵押さえ部30Bは、撓りを戻すように踵部HLをつま先部TOの方向へ付勢することになる。踵押さえ部30Bの撓りが戻ると、踵押さえ部30Bの延在部20に対する靴SHの方への傾斜が大きくなり、それに伴い、踵挟み部60の先端64は、踵部HLの内部を踵押さえ部30Bの方へ押圧する力が強くなる方向へ移動する。その結果、靴ハンガー100Bは、取り付けられた靴SHを保持部40と踵挟み部60でしっかりと保持または押圧することができる。そして、最後に使用者は、フック10を物干し竿PLなどに引っ掛けることで、靴SHの靴底を上にして、踵履き口OPを下にして、干すことができる。
【0037】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【0038】
保持部40は、上記実施例では、延在部20とは別体として構成されているが、これに限定されない。たとえば、保持部40は、凹部21に相当する箇所に固定されて設けられてもよい。
【符号の説明】
【0039】
100 靴ハンガー
10 フック
11 接続部
20 延在部
21 凹部
22 孔
23 保持部係合部
24 回動支持部
30 踵押さえ部
31 爪部
32 被嵌め込み部
40 保持部
41 面テープ
50 ストラップ部
51 突起部
52 回動軸
60 踵挟み部
61 取付部
611 嵌め込み部
62 湾曲部
63 当接部
64 先端
65 水抜き穴
66 溝
SH 靴
HL 靴の踵部
TP 靴の甲部
TO 靴のつま先部
TN 靴のタン
OP 靴の踵履き口
IS 靴のインソール
LN 靴の長さ方向
PL 物干し竿