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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】非接触給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/90 20160101AFI20220831BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20220831BHJP
   H02J 50/50 20160101ALI20220831BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/12
H02J50/50
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018568000
(86)(22)【出願日】2017-11-28
(86)【国際出願番号】 JP2017042525
(87)【国際公開番号】W WO2018150678
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2017027568
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100204032
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 浩之
(72)【発明者】
【氏名】土方 亘
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-536664(JP,A)
【文献】特開2016-197943(JP,A)
【文献】特開2011-147280(JP,A)
【文献】特開2013-243923(JP,A)
【文献】特開2012-157167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/90
H02J 50/12
H02J 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電装置から受電装置に磁界共振結合により非接触で給電する非接触給電システムであって、
前記送電装置に設けられる送電コイルと、
前記受電装置に設けられる受電コイルと、
前記送電コイルと前記受電コイルとの間に設けられる中継コイルと、
前記受電コイルに対する前記送電コイルの位置及び相対角度を調整する送電コイル位置・角度調整機構と、
前記中継コイルの鉛直方向に対する傾き角度を調整する中継コイル角度調整機構と、
前記中継コイルを前記受電コイルに追従するように移動させる中継コイル移動手段と、
前記中継コイルを介して前記受電コイルの位置情報及び鉛直方向に対する傾きを角度情報として検知する検知手段と、
前記検知手段で検知される前記位置情報及び角度情報に基づいて、前記中継コイル角度調整機構及び前記送電コイル位置・角度調整機構を介して前記受電コイルに対する前記中継コイルの相対角度を調整するとともに前記受電コイルに対する前記送電コイルの位置及び相対角度を調整して、且つ、前記中継コイル移動手段を介して前記送電コイルから前記中継コイルまでの距離を調整することによって、前記送電装置から前記受電装置への電力伝送効率が最大値となるように制御する制御部と
を備えることを特徴とする非接触給電システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記検知手段で検知した位置情報及び角度情報に基づいて、前記受電コイルの前記送電コイルからの距離、前記受電コイルの傾き角度、前記送電コイルの前記鉛直方向に対する傾き角度、前記中継コイルの前記鉛直方向に対する傾き角度、及び前記送電コイルから前記中継コイルまでの距離に基づく関係式から前記伝送効率が最大値となるように制御することを特徴とする請求項に記載の非接触給電システム。
【請求項3】
前記中継コイルは、複数設けられ、
前記制御部は、前記検知手段で検知した位置情報及び角度情報に基づいて、前記受電コイルの前記送電コイルからの距離、前記受電コイルの前記傾き角度、前記送電コイルの前記鉛直方向に対する傾き角度、前記中継コイルの前記鉛直方向に対する傾き角度、前記送電コイルから前記中継コイルまでの距離、及び前記中継コイルの個数に基づく関係式から算出される前記伝送効率が最大値となるように制御することを特徴とする請求項に記載の非接触給電システム。
【請求項4】
前記検知手段は、前記受電コイル又は前記中継コイルの少なくとも何れか一方の近傍に設けられるセンサであることを特徴とする請求項乃至の何れか1項に記載の非接触給電システム。
【請求項5】
前記検知手段として、前記受電コイル、前記送電コイル、又は前記中継コイルの少なくとも何れかを撮像可能な撮像装置が設けられることを特徴とする請求項乃至の何れか1項に記載の非接触給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電装置から受電装置に磁界共振結合により非接触で電力を供給する非接触給電システムに関する。本出願は、日本国において2017年2月17日に出願された日本特許出願番号特願2017-027568を基礎として優先権を主張するものであり、この出願を参照することにより、本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
近年、給電装置から電源ケーブルを使用せずに電子機器等の負荷に対して電力を非接触で供給する非接触給電システム(ワイヤレス給電システム)の実用化が研究されている。非接触での電力供給を可能にする技術として、電磁誘導を用いた「電磁誘導方式」、電磁界の共振現象を利用した「電磁界共振方式」、及び電力をマイクロ波やレーザー等の電磁波に変換しアンテナを介して送受信する「電波方式」がある。
【0003】
電磁誘導方式は、産業的にも最も実用化されている技術であり、数kWの電力を伝送可能であるが、伝送可能距離が数cmまでと短い上に、送電コイル・受電コイル間に位置ずれが生じると、コイル間の結合係数が低下し、伝送効率が著しく低下する。一方、電波方式による給電は、まだ依然として研究開発段階であり、数kWでの伝送が期待されているが、他方式と比較して伝送効率が低いこと、また、指向性が極めて高いため、受電側が僅かに動いた場合や、送電・受電装置間に障害物が介入した場合には、伝送不能となることが課題となっている。
【0004】
これに対して、送電側のLC回路の共振周波数と、受電側のLC回路の共振周波数を電源周波数に一致させる電磁界共振方式(磁界共振結合方式)は、伝送効率がコイル間の結合係数と、共振回路の共振の鋭さを表すQ値の積で決定され、送電距離がメートルオーダーで可能な上、多少のコイルずれによって結合係数が低下しても、Q値が高ければ伝送可能であるという利点がある。このため、磁界共振結合方式による非接触給電システムは、実用化の研究が進められ、例えば、特許文献1及び2に記載されているように、受電コイルを搭載した電気自動車への電力供給等に適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-121261号公報
【文献】特開2016-192856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁界共振結合方式に関しては、給電対象が電気自動車等のように、所定の方向に向けて規則的に移動する受電コイルに向けて、送電コイルから給電を行える場合には、電力伝送が行える。しかしながら、給電対象が人に装着された人工心臓やパワーアシストスーツ等の医療機器や、工場内の移動ロボットのように、不規則的に自在に動き回る場合には、送電コイルと受電コイルとの間の相対角度が90度に近くなることによって、双方のコイル間の結合係数がゼロに近づくことが不規則的に起こり得る。このため、送電装置と受電装置との間に伝送される電力の伝送効率が著しく低下して、安定した電力伝送が困難になる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、給電対象が不規則的に自在に変位しても、安定的に高効率な非接触給電の可能な、新規かつ改良された非接触給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、送電装置から受電装置に磁界共振結合により非接触で給電する非接触給電システムであって、前記送電装置に設けられる送電コイルと、前記送電コイルと前記受電コイルとの間に設けられる中継コイルと、前記受電コイルに対する前記送電コイルの位置及び相対角度を調整する送電コイル位置・角度調整機構と、前記中継コイルの鉛直方向に対する傾き角度を調整する中継コイル角度調整機構と、前記中継コイルを前記受電コイルに追従するように移動させる中継コイル移動手段と、前記中継コイルを介して前記受電コイルの位置情報及び鉛直方向に対する傾きを角度情報として検知する検知手段と、前記検知手段で検知される前記位置情報及び角度情報に基づいて、前記中継コイル角度調整機構及び前記送電コイル位置・角度調整機構を介して前記受電コイルに対する前記中継コイルの相対角度を調整するとともに前記受電コイルに対する前記送電コイルの位置及び相対角度を調整して、且つ、前記中継コイル移動手段を介して前記送電コイルから前記中継コイルまでの距離を調整することによって、前記送電装置から前記受電装置への電力伝送効率が最大値となるように制御する制御部とを備えることを特徴とする
【0017】
本発明の一態様によれば、受電側が不規則的に自在に変位しても、検知手段による検知結果に基づいて、送電コイルの位置や受電コイルに対する相対角度を即時に調整することによって、送電装置から受電装置への伝送効率が最大値となるように制御するので、安定的に高効率な非接触給電が可能となり、しかも、送電装置と受電装置との距離が大きい場合でも、センサによる検知結果に基づいて、中継コイルを介して、送電コイルの位置や受電コイルに対する相対角度を即時に調整することによって、送電装置から受電装置への伝送効率が最大値となるように制御できる。
【0018】
また、本発明の一態様では、前記制御部は、前記検知手段で検知した位置情報及び角度情報に基づいて、前記受電コイルの前記送電コイルからの距離、前記受電コイルの傾き角度、前記送電コイルの前記鉛直方向に対する傾き角度、前記中継コイルの前記鉛直方向に対する傾き角度、及び前記送電コイルから前記中継コイルまでの距離に基づく関係式から前記伝送効率が最大値となるように制御することとしてもよい。
【0019】
このようにすれば、送電装置と受電装置との距離が大きい場合でも、受電側が不規則的に自在に変位した際に、検知手段による検知結果に基づく関係式で算出される伝送効率が最大値となるように、送電コイルの位置や受電コイルに対する相対角度を即時に調整することによって、送電装置から受電装置への伝送効率が最大値となるように制御できる。
【0020】
また、本発明の一態様では、前記中継コイルは、複数設けられ、前記制御部は、前記検知手段で検知した位置情報及び角度情報に基づいて、前記受電コイルの前記送電コイルからの距離、前記受電コイルの前記傾き角度、前記送電コイルの前記鉛直方向に対する傾き角度、前記中継コイルの前記鉛直方向に対する傾き角度、前記送電コイルから前記中継コイルまでの距離、及び前記中継コイルの個数に基づく関係式から算出される前記伝送効率が最大値となるように制御することとしてもよい。
【0021】
このようにすれば、送電装置と受電装置との距離がより大きく離れた場合でも、検知手段による検知結果に基づいて、複数の中継コイルを介して、送電コイルの位置や受電コイルに対する相対角度を即時に調整することによって、送電装置から受電装置への伝送効率が最大値となるように制御できる。
【0022】
また、本発明の一態様では、前記検知手段は、前記受電コイル又は前記中継コイルの少なくとも何れか一方の近傍に設けられるセンサであることとしてもよい。
【0023】
このようにすれば、受電コイルの位置検出の精度が上がるので、受電側が不規則的に自在に変位しても、センサによる検知結果に基づいて、送電コイルの位置や受電コイルに対する相対角度を即時に調整することによって、送電装置から受電装置への伝送効率が最大値となるように制御できる。
【0024】
また、本発明の一態様では、前記検知手段として、前記受電コイル、前記送電コイル、又は前記中継コイルの少なくとも何れかを撮像可能な撮像装置が設けられることとしてもよい。
【0025】
このようにすれば、撮像装置によって受電コイル、送電コイル、及び中継コイルの位置関係を検知できるので、受電側が不規則的に自在に変位しても、撮像装置による検知結果に基づいて、送電コイルの位置や受電コイルに対する相対角度を即時に調整することによって、送電装置から受電装置への伝送効率が最大値となるように制御できる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明によれば、受電側が不規則的に自在に変位しても、検知手段による検知結果に基づいて、送電コイルの位置や受電コイルに対する相対角度を即時に調整することによって、送電装置から受電装置への伝送効率が最大値となるように制御するので、安定的に高効率な非接触給電が実現され、しかも、送電装置と受電装置との距離が大きい場合でも、センサによる検知結果に基づいて、中継コイルを介して、送電コイルの位置や受電コイルに対する相対角度を即時に調整することによって、送電装置から受電装置への伝送効率が最大値となるように制御できる
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの一態様の概略構成を示す説明図である。
図2】本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの回路構成の概略を示すブロック図である。
図3】送電コイルの角度制御の有無の場合における伝送効率の比較結果を示すグラフである。
図4】本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの動作制御の概略を示すフロー図である。
図5】本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの動作制御の概略を示す説明図である。
図6】本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの一変形例の回路構成の概略を示すブロック図である。
図7】本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの他の変形例の回路構成の概略を示すブロック図である。
図8】本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの他の態様の概略構成を示す説明図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの一態様の概略構成を示す説明図である。
図10】本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの回路構成の概略を示すブロック図である。
図11】本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの動作制御の概略を示すフロー図である。
図12】本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの動作制御の概略を示す説明図である。
図13】本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの一変形例の回路構成の概略を示すブロック図である。
図14】本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの他の変形例の回路構成の概略を示すブロック図である。
図15】本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの更に他の変形例の回路構成の概略を示すブロック図である。
図16】本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの更に他の変形例の回路構成の概略を示すブロック図である。
図17】本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの他の態様の概略構成を示す説明図である。
図18】本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの更に他の態様の概略構成を示す説明図である。
図19】本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの更に他の態様の概略構成を示す説明図である。
図20】本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの更に他の態様の概略構成を示す説明図である。
図21】本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの更に他の態様の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0029】
(第1の実施形態)
まず、本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの概略について、図面を使用しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの一態様の概略構成を示す説明図である。
【0030】
本発明の一実施形態に係る非接触給電システム100は、送電装置110から給電対象となる受電装置120に磁界共振結合により非接触で給電する機能を有する。本実施形態の非接触給電システム100は、商用電源に接続された電源ステーション111に送電コイル112を取り付けたものを送電装置110として、受電コイル122が装着者の背中側に設けられるパワーアシストスーツ121を受電装置120として適用している。なお、送電装置110は、商用電源に接続された電源ステーション111に限定されず、受電装置120に対する電源となるものであれば、バッテリ等の電力供給手段に送電コイル112を取り付けたものであってもよい。
【0031】
送電装置110には、受電装置120に設けられた受電コイル122に対して、磁界共振結合により非接触で電力を供給する送電コイル112が設けられている。送電コイル112は、受電コイル122に対する送電コイル112の位置及び相対角度を調整する送電コイル位置・角度調整機構となるジンバル機構115を介して電源ステーション111に取り付けられている。
【0032】
本実施形態では、給電対象となる受電装置120が人に装着されるパワーアシストスーツ121であり、図1に示すように、その受電コイル122が人の背中に設けられているため、パワーアシストスーツ121を装着した人の位置や姿勢によって、送電コイル112に対する受電コイル122の位置や角度が不規則的に変化する。前述したように、送電コイル112と受電コイル122との間の相対角度が90度になると、双方のコイル間の結合係数がゼロに近づき、送電装置120と受電装置110との間に伝送される電力の伝送効率ηが著しく低下して、安定した電力伝送が困難になる。
【0033】
このため、本実施形態では、ジンバル機構115を介して送電コイル112が不規則的に変位する受電コイル122の位置及び角度を追従しながら、送電コイル112を支持するジンバル機構115のモータ等からなる駆動部116を駆動させて、送電コイル112の位置及び相対角度を調整するようになっている。すなわち、本実施形態では、磁界共振結合による電力伝送において、受電コイル122の角度に合わせて、送電コイル112の角度を制御することによって高い伝送効率を維持できるようにしている。なお、受電コイル122の角度に合わせた送電コイル112の角度制御動作の詳細については、後述する。
【0034】
なお、本実施形態では、受電コイル122に対する送電コイル112の位置及び相対角度を調整する送電コイル位置・角度調整機構としてジンバル機構115が適用されているが、ジンバル機構115のみでなく、送電コイル112の高さを調整できるように昇降機構を設けてもよい。また、受電装置120として、給電対象となる負荷がウェアラブルデバイスであるパワーアシストスーツ121以外にも、例えば、人工心臓等の体内植え込み型人工臓器や、工場内の移動ロボット等にも適用可能である。
【0035】
次に、本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの回路構成について、図面を使用しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの回路構成の概略を示すブロック図である。
【0036】
本実施形態の非接触給電システム100は、図2に示すように、送電装置110と、駆動部116と、受電装置120と、センサ125と、及び制御部140とを備える。
【0037】
送電装置110は、図2に示すように、送電コイル112と、送電容量113と、送電側サブコイル114と、駆動部116と、変換器117と、インピーダンス整合回路118と、及び電源111と、を備える。一方、受電装置120は、図2に示すように、受電コイル122と、受電容量123と、受電側サブコイル124と、センサ125と、AC-DCコンバータ127と、及び負荷121と、を備える。
【0038】
送電装置110では、高周波電源等の商用電源やバッテリからなる電源111からの電流(電源111が商用電源の場合では、交流電流、電源111がバッテリの場合では、直流電流)をAC-ACコンバータやDC-ACインバータ等の変換器117で所望の周波数の交流電流に変換される。そして、変換器117で所望の周波数に変換された交流電流は、可変キャパシタや可変インダクタ等のインピーダンス整合回路118で送電装置110の回路全体を所望のインピーダンスに変換して、送電側サブコイル114から電磁誘導により送電コイル112と結合される。送電コイル112は、送電容量113と送電共振回路を構成して、磁界共振結合により受電装置120に向けて電力を供給する。
【0039】
一方、受電装置120では、受電コイル122と受電容量123が受電共振回路を構成して、当該受電コイル122が受電側サブコイル124と電磁誘導で結合される。そして、受電側サブコイル124との電磁誘導による結合により発生した交流電流は、AC-DCコンバータ127で直流電流に変換されて、負荷121に電力供給される。
【0040】
本実施形態の非接触給電システム100の回路構成をかかる構成とすることによって、電源111からの電流を変換器117で所望の周波数の交流電流に変換して、送電側サブコイル114を介して、送電コイル112と送電容量113により送電共振回路が構成されて、磁界共振結合状態が発生するようになる。そして、当該送電共振回路の周波数が変換器117により変換された交流電流の周波数及び受電コイル122と受電容量123により構成される受電共振回路の周波数と一致すると、共振して電力が発生して、受電側サブコイル124を介して交流をAC-DCコンバータ127で直流に変換して負荷121に電力供給されるようになっている。
【0041】
駆動部116は、前述したように、送電コイル112の方向を変更可能とするジンバル機構115(図1参照)に支持される送電コイル112の方向を変更させる際に駆動させるモータ等からなる駆動源である。
【0042】
センサ125は、受電コイル122の位置情報及び角度情報を検知する検知手段としての機能を有し、GPSセンサや、ジャイロセンサ(角速度センサ)、角度センサ、重力センサ、加速度センサ等の各種センサから構成される。本実施形態では、センサ125は、受電コイル122の位置情報として、当該受電コイル122の送電コイル112からの距離と方向を検知し、受電コイル122の角度情報として、当該受電コイル122の鉛直方向に対する傾き角度、すなわち、姿勢角情報を検知する機能を有する。
【0043】
センサ125で検知された受電コイル122の位置情報と角度情報は、無線信号で制御部140に送信されて、送電コイル112の位置と角度を調整する動作にフィードバックされる。本実施形態では、センサ125で検知された受電コイル122の位置情報と角度情報を無線信号で送信する際に、消費電力を抑えるために、ある程度の変動幅に達してから当該位置情報及び角度情報を制御部140で送信するようにしている。また、本実施形態では、センサ125から受電コイル122の位置情報と角度情報を制御部140に送信する際における無線信号の周波数帯が非接触で給電する際における無線給電の周波数帯と干渉しないようにしている。例えば、無線給電の周波数帯が数MHzの場合には、無線信号の周波数帯を数百MHzとしている。
【0044】
さらに、本実施形態では、センサ125は、受電コイル122の近傍に設けられ、受電コイル122の位置検出の精度を向上させるために、受電コイル122の内側に設けられることが好ましい。なお、本実施形態では、センサ125によって受電コイル122の位置及び角度を検知しているが、受電コイル122の位置情報及び角度情報を検知する検知手段の変形例として、カメラやモーションキャプチャを用いた画像処理によって受電コイルの位置情報と角度情報を検知できるようにしてもよい。かかる検知手段の変形例の詳細については、後述する。
【0045】
制御部140は、非接触給電システム100の各種制御を行う機能を有する。本実施形態の非接触給電システム100は、受電コイル122の近傍に設けられるセンサ125によって検知される受電コイル122の位置情報及び角度情報に基づいて、制御部140による動作制御を介して送電コイル112の位置と角度を調整する動作が制御される。
【0046】
本実施形態では、制御部140は、図2に示すように、算出部144と指令部146を有するCPU142と、記憶部148とを備える。
【0047】
CPU142は、ROM等の記憶部148に記憶されている各種プログラムに従って、非接触給電システム100に備わる各構成要素の動作を制御する機能を有する。また、CPU142は、これらの各種処理を実行する際に、必要なデータ等を一時的に記憶するRAM(図示せず)に適宜記憶させる機能を有する。
【0048】
算出部144は、センサ125による受電コイル122の位置情報及び角度情報の検知結果に基づいて、送電装置110から受電装置120への電力の伝送効率ηが最大値となるような送電コイル112の位置及び受電コイル122に対する相対角度を算出する機能を有する。本実施形態では、算出部144は、センサ125で検知した受電コイル122の送電コイル112から距離r2、受電コイル122の傾き角度θ、及び送電コイル112の鉛直方向に対する傾き角度θに基づいて、関係式から算出される伝送効率ηが最大値となるように、送電コイル112の位置及び角度の好適値を算出する。なお、算出部144における関係式から算出される伝送効率ηが最大値となるように、送電コイル112の位置及び角度の好適値の算出方法の詳細については、後述する。
【0049】
指令部146は、算出部144による算出結果に基づいて、駆動部116を動作制御するように指令する機能を有する。本実施形態では、算出部144で算出された伝送効率ηが最大値となる送電コイル112の位置及び角度の好適値となるように、ジンバル機構115で送電コイル112を支持する駆動部116を駆動させる。
【0050】
このようにして、本実施形態では、センサ125による検知結果に基づいて、送電コイル位置・角度調整機構となるジンバル機構115を介して、即時に受電コイル122に対する送電コイル112の位置及び相対角度を調整して、送電装置110から受電装置120への電力の伝送効率が最大値となるように制御される。このため、給電対象が不規則的に自在に変位しても、送電コイル112の位置や受電コイル122に対する相対角度を即時に調整することによって、送電装置110から受電装置120への伝送効率ηが最大値となるように制御されるので、安定的に高効率な非接触給電が実現される。
【0051】
すなわち、従来のように、変位する受電コイルに対して送電コイルを固定したままの場合は、図3に示すように、送電コイルと受電コイルの相対角度が0度から大きくなるにつれて、伝送効率ηが減少していき、当該相対角度が90度になると伝送効率ηが0に近づいていた。これに対して、本実施形態では、変位する受電コイル122の位置情報及び角度情報に対して送電コイル112の位置及び角度を好適値となるように移動させるので、図3に示すように、送電コイル112と受電コイル122の相対角度が0度から大きくなっても、伝送効率ηを低下させずに、上昇させることができる。
【0052】
なお、本実施形態では、制御部140は、センサ125による検知結果に基づいて、センサ125で検知した受電コイル122の送電コイル112から距離、受電コイル122の傾き角度、及び送電コイル112の鉛直方向に対する傾き角度に基づく関係式から算出される伝送効率ηが最大値となるように、即時に受電コイル122に対する送電コイル112の位置及び相対角度を調整して制御しているが、他の態様で伝送効率ηが最大値となる送電コイル112の位置及び相対角度を調整してもよい。
【0053】
例えば、制御部140は、センサ125による検知結果に基づいて、算出部144で送電コイル112から伝送される電力と、受電コイル122に伝送される電力の比を求めて、これらの比率から伝送効率ηが最大値となるように、受電コイル122に対する送電コイル112の位置及び相対角度を算出して、指令部146で当該位置及び相対角度となるように調整するよう指令してもよい。
【0054】
また、制御部140は、センサ125による検知結果に基づいて、記憶部148に記憶されたデータテーブルから、伝送効率ηが最大値となるように、算出部144で受電コイル122に対する送電コイル112の位置及び相対角度の好適値を算出して、指令部146で当該好適値に設定してもよい。すなわち、記憶部148に受電コイル122の送電コイル112から距離、受電コイル122の傾き角度、及び送電コイル112の鉛直方向に対する傾き角度の各データの場合における受電コイル122に対する送電コイル112の位置及び相対角度の好適値のデータテーブルが記憶され、センサ125による検知結果に基づいて、かかるデータテーブルを参照して、受電コイル122に対する送電コイル112の位置及び相対角度の好適値を設定してもよい。
【0055】
さらに、制御部140による送電装置110から受電装置120への伝送効率ηが最大値となるように制御する態様は、センサ125による検知結果に基づくものに限定されない。例えば、送電装置110の電源から出力した電力と、受電装置120で消費される電力を計測して、双方の電力の比に基づいて、伝送効率ηを計算してから、送電コイル112の角度を動かした際の伝送効率ηの変動結果に基づいて、送電コイル112の角度を定めてもよい。具体的には、伝送効率ηが向上したら、更に動かした側に送電コイル112を動かし、伝送効率ηが低下したら、動かした方向と別方向に送電コイル112を動かことによって,送電コイル112の角度を調整する。このとき、受電側の電力情報は、無線通信等により制御部140に送信される。
【0056】
次に、本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの動作制御について、図面を使用しながら説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの動作制御の概略を示すフロー図であり、図5は、本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの動作制御の概略を示す説明図である。
【0057】
まず、センサ125によって、受電コイル122の位置情報として送電コイル112からの距離と方向が検知され、受電コイル122の角度情報として、鉛直方向に対する傾き角度が検知される(工程S11)。例えば、センサ125がGPSセンサとジャイロセンサで構成されている場合には、GPSセンサで受電コイル122の位置情報を検知し、ジャイロセンサで受電コイル122の角度情報を検知する。
【0058】
次に、センサ125による受電コイル122の位置及び角度の検知結果に基づいて、制御部140の算出部144によって、送電装置110から受電装置120への電力の伝送効率ηが最大値となるような送電コイル112の位置及び受電コイル122に対する相対角度を算出する(工程S12)。すなわち、工程S12では、センサ125から無線信号で制御部140に送信された受電コイル122の位置情報と角度情報に基づいて、制御部140の算出部144が送電装置110から受電装置120への電力の伝送効率ηを最大値にする送電コイル112の位置及び受電コイル122に対する相対角度を算出する。
【0059】
本実施形態では、工程S12において、算出部144は、図5に示すセンサ125で検知した送電コイル112の中心O1から受電コイル122の中心O2までの距離r2、鉛直方向線L2に対する受電コイル122の傾き角度θ、及び鉛直方向線L1に対する送電コイル112の傾き角度θに基づいて、下記の関係式から算出される伝送効率ηが最大値となるように、送電コイル112の位置及び角度の好適値を算出する。
【0060】
【数1】
【0061】
また、工程S12における算出部144での演算で使用する伝送効率ηの具体的な関係式の一例を以下に示す。なお、下記の関係式において、Q、Qは、それぞれ送電コイル112、受電コイル122のQ値を表す。
【0062】
【数2】
【0063】
また、上記の関係式におけるkは、送電コイル112と受電コイル122の結合係数であり、結合係数kは、下記の式により定まる。なお、下記の式のAは、送電コイル112と受電コイル122の巻き数等の形状によって定まる定数であり、θr2は、鉛直方向線L1に対する送電コイル112の中心O1から受電コイル122の中心O2への方向ベクトルの方向の角度を示す。
【0064】
【数3】
【0065】
工程S12で送電装置110から受電装置120への電力の伝送効率ηが最大値となるような送電コイル112の位置及び受電コイル122に対する相対角度の好適値を算出したら、当該好適値になるように、送電コイル112の位置及び傾き角度を調整する(工程S13)。本実施形態では、算出部144で算出された伝送効率ηが最大値となる送電コイル112の位置及び角度の好適値となるように、指令部146がジンバル機構115で送電コイル112を支持する駆動部116に指令して、当該駆動部116を駆動させる。
【0066】
このようにして、本実施形態では、センサ125の検知結果に基づいて、即時に受電コイル122に対する送電コイル112の位置及び相対角度を調整して、送電装置110から受電装置120への電力の伝送効率が最大値となるように制御される。すなわち、センサ125で検知された受電コイル122の位置情報と角度情報が制御部140にフィードバックされて、送電コイル112の好適な位置と相対角度に調整される。このため、給電対象が人に装着された人工心臓やパワーアシストスーツ等の医療機器、工場内の移動ロボットのように、不規則的に自在に変位しても、送電コイル112の位置や受電コイル122に対する相対角度を即時に調整して、送電装置110から受電装置120への伝送効率ηが最大値となるように制御されることによって、安定的に高効率な磁界共振結合による非接触給電が実現される。
【0067】
なお、本実施形態では、受電コイル122の位置情報と角度情報を検知する検知手段として、センサ125が適用されているが、前述したように、受電コイル122の位置情報及び角度情報を検知する検知手段は、他の態様としてもよい。例えば、図6に示すように、送電コイル112の近傍に撮像装置となるカメラ119を設置し、給電対象の人やロボットに取り付けた受電装置120の位置情報と角度情報を画像処理から求めるようにしてもよい。
【0068】
すなわち、本実施形態の一変形例となる非接触給電システム101では、送電コイル112の近傍に設けたカメラ119で給電対象となる受電装置120を撮像して、当該カメラ119で得られた映像情報を画像処理演算部149で受電装置120に搭載される受電コイル122の位置情報と角度情報にデジタル変換してから、制御部140に無線信号で送信されて、画像処理による受電コイル122の位置情報と角度情報を検知するようにしてもよい。なお、画像処理演算部149は、カメラ119と制御部140の間の何れかに設けられていればよいので、カメラ119又は制御部140の何れかの内部に設置する構成としてもよい。
【0069】
本変形例では、カメラ119を送電コイル112の近傍に設けているが、カメラ119の設置箇所は、送電コイル112又は受電コイル122の少なくとも何れか一方を撮像可能な箇所であれば、他の設置箇所としてもよい。すなわち、送電コイル112に対する受電コイル122の位置や角度の関係を把握可能な場所であれば、例えば、受電コイル122の近傍や、送電コイル112と受電コイル122の双方を同時に撮像可能な監視カメラのように双方のコイル112、122から離れた他の位置に設置するようにしても良い。
【0070】
また、図7に示すように、かかる検知手段として送電コイル112の近傍にカメラ119を設置し、受電コイル122の近傍にセンサ125を設置しても良い。すなわち、本実施形態の他の変形例となる非接触給電システム102では、送電コイル112の近傍に設けたカメラ119で給電対象となる受電装置120を撮像する。そして、当該カメラ119で得られた映像情報は、画像処理演算部149で受電装置120に搭載される受電コイル122の位置情報と角度情報にデジタル変換されてから、かかる位置情報と角度情報が制御部140に無線信号で送信されて、画像処理による受電コイル122の位置情報と角度情報が検知される。当該他の変形例の非接触給電システム102では、カメラ119の画角から給電対象となる受電装置120が外れた場合でも、当該受電装置120の位置情報等をGPS等のセンサ125で追跡できるようにしている。
【0071】
さらに、本実施形態の非接触給電システム100の適用対象は、他の態様にも適用できる。例えば、図8に示すように、給電対象となる受電装置160が大型カメラ161にジンバル機構165を介して受電コイル162を取り付けた受電ドローン166として、送電装置150がジンバル機構155を介して送電コイル152を取り付けたバッテリ151を送電用ドローン158で移動可能とした送電装置150として、非接触給電システム103を構成してもよい。すなわち、不規則的に自在に変位する受電装置160に対して、送電装置150が当該受電装置160を追従可能な機能を備える構成としてもよい。
【0072】
(第2の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの概略について、図面を使用しながら説明する。図9は、本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの一態様の概略構成を示す説明図である。
【0073】
本発明の他の実施形態に係る非接触給電システム200は、送電装置210から給電対象となる受電装置220に磁界共振結合により非接触で給電する機能を有する。本実施形態では、送電コイル212と受電コイル222との距離が離れているので、その間に中継コイル232を取り付けたリピータコイル装置230を設けることによって、送受電間の伝送距離を大きくすることを特徴とする。このとき、コイル間距離を例えば1m程度にする場合には、送電コイル212と中継コイル232の直径は、500mm程度かそれ以上の大きさとして、人に装着する受電コイル222の直径は、300mm程度あることが望ましい。
【0074】
リピータコイル装置230は、中継コイル232の鉛直方向に対する傾き角度を調整する中継コイル角度調整機構となるジンバル機構235を介して、中継コイル移動手段となる自律移動ロボット237に取り付けられることによって構成されている。すなわち、本実施形態では、中継コイル232は、ジンバル機構235を介して、受電コイル232に追従するように移動させる自律移動ロボット237に取り付けられおり、モータ等の駆動部236を介してジンバル機構235に駆動可能に支持されている。
【0075】
また、本実施形態の非接触給電システム200は、第1の実施形態と同様に、商用電源に接続された電源ステーション211に送電コイル212を取り付けたものを送電装置210として、受電コイル222が装着者の背中側に設けられるパワーアシストスーツ221を受電装置220として適用している。なお、送電装置210は、商用電源に接続された電源ステーション211に限定されず、受電装置220に対する電源となるものであれば、バッテリ等の電力供給手段に送電コイル212を取り付けたものであってもよい。
【0076】
送電装置210には、受電装置220に設けられた受電コイル222に対して、磁界共振結合により非接触で電力を供給する送電コイル212が設けられている。送電コイル212は、受電コイル222に対する送電コイル212の位置及び相対角度を調整する送電コイル位置・角度調整機構となるジンバル機構215を介して電源ステーション211に取り付けられている。
【0077】
本実施形態では、給電対象となる受電装置220が人に装着されるパワーアシストスーツ221であり、図9に示すように、その受電コイル222が人の背中に設けられているため、パワーアシストスーツ221を装着した人の位置や姿勢によって、送電コイル212に対する受電コイル222の位置や角度が不規則的に変化する。前述したように、送電コイル212と受電コイル222との間の相対角度が90度になると、双方のコイル間の結合係数がゼロに近づき、送電装置220と受電装置210との間に伝送される電力の伝送効率ηが著しく低下して、安定した電力伝送が困難になる。また、本実施形態では、送電コイル210と受電コイル220との距離が磁界共振結合による給電が困難な程度に離れている。
【0078】
このため、本実施形態では、リピータコイル装置230に備わる自律移動ロボット237及びジンバル機構235を介して、中継コイル232が不規則的に変位する受電コイル222の位置及び角度を追従しながら、送電装置210に備わるジンバル機構215を介して、傾き角度が調整される送電コイル212から伝送される電力が中継される。そして、送電コイル212を支持するジンバル機構215のモータ等からなる駆動部216を駆動させて、送電コイル212の位置及び相対角度を調整するようになっている。
【0079】
すなわち、本実施形態では、磁界共振結合による電力伝送において、受電コイル222の角度に合わせて、中継コイル232を介して送電コイル212の角度を制御することによって、送電コイル212と受電コイル222との距離が離れていても、高い伝送効率を維持できるようにしている。なお、受電コイル222の角度に合わせた送電コイル212の角度制御動作の詳細については、後述する。
【0080】
次に、本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの回路構成について、図面を使用しながら説明する。図10は、本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの回路構成の概略を示すブロック図である。
【0081】
本実施形態の非接触給電システム200は、図10に示すように、送電装置210と、駆動部216と、受電装置220と、センサ225と、リピータコイル装置230と、及び制御部240とを備える。
【0082】
送電装置210は、図10に示すように、送電コイル212と、送電容量213と、送電側サブコイル214と、駆動部216と、変換器217と、インピーダンス整合回路218と、及び電源211を備える。一方、受電装置220は、図10に示すように、受電コイル222と、受電容量223と、受電側サブコイル224と、センサ225と、AC-DCコンバータ227と、及び負荷221を備える。また、リピータコイル装置230は、図10に示すように、中継コイル232と、中継容量233と、駆動部236と、自律移動部238を備える。
【0083】
リピータコイル装置230に備わる駆動部236は、中継コイル232の方向を変更可能とするジンバル機構235(図9参照)に支持される送電コイル232の方向を変更させる際に駆動させるモータ等からなる駆動源である。
【0084】
リピータコイル装置230に備わる自律移動部238は、中継コイル232の方向を変更可能とするジンバル機構235(図9参照)に支持される送電コイル232の位置を変更させる際に駆動させる自律移動ロボット237の駆動源である。
【0085】
送電装置210では、高周波電源等の商用電源やバッテリからなる電源211からの電流(電源211が商用電源の場合は、交流電流、電源211がバッテリの場合では、直流電流)をAC-ACコンバータやDC-ACインバータ等の変換器217で所望の周波数の交流電流に変換される。そして、変換器217で所望の周波数に変換された交流電流は、可変キャパシタや可変インダクタ等のインピーダンス整合回路218で送電装置210の回路全体を所望のインピーダンスに変換して、送電側サブコイル214から電磁誘導により送電コイル212と結合される。送電コイル212は、送電容量213と送電共振回路を構成して、磁界共振結合により受電装置220に向けて電力を供給する。
【0086】
一方、受電装置220では、受電コイル222と受電容量223が受電共振回路を構成して、当該受電コイル222が受電側サブコイル224と電磁誘導で結合される。そして、受電側サブコイル224との電磁誘導による結合により発生した交流電流は、AC-DCコンバータ227で直流電流に変換されて、負荷221に電力供給される。
【0087】
本実施形態の非接触給電システム200の回路構成をかかる構成とすることによって、電源211からの電流を変換器217で所望の周波数の交流電流に変換して、送電側サブコイル214を介して、送電コイル212と送電容量213により送電共振回路が構成されて、磁界共振結合状態が発生するようになる。そして、当該送電共振回路の周波数が変換器117により変換された交流電流の周波数及び中継コイル232と中継容量233により構成される中継共振回路の周波数と一致すると、共振して電力が中継され、当該中継共振回路の周波数が受電コイル222と受電容量223により構成される受電共振回路の周波数と一致すると、共振して電力が発生して、受電側サブコイル224を介して交流をAC-DCコンバータ227で直流に変換して負荷221に電力供給されるようになっている。
【0088】
送電装置210に備わる駆動部216は、前述したように、送電コイル212の方向を変更可能とするジンバル機構215(図9参照)に支持される送電コイル212の方向を変更させる際に駆動させるモータ等からなる駆動源である。
【0089】
センサ225は、受電コイル222の位置情報及び角度情報を検知する検知手段としての機能を有し、GPSセンサや、ジャイロセンサ(角速度センサ)、角度センサ、重力センサ、加速度センサ等の各種センサから構成される。本実施形態では、センサ225は、受電コイル222の位置情報として、中継コイル232を介して当該受電コイル222の送電コイル212からの距離と方向を検知し、受電コイル222の角度情報として、中継コイル232を介して当該受電コイル122の鉛直方向に対する傾き角度、すなわち、姿勢角情報を検知する機能を有する。
【0090】
センサ225で検知された受電コイル222の位置情報と角度情報は、無線信号で制御部240に送信されて、送電コイル212の位置と角度を調整する動作にフィードバックされる。本実施形態では、センサ225で検知された受電コイル222の位置情報と角度情報を無線信号で送信する際に、消費電力を抑えるために、ある程度の変動幅に達してから当該位置情報及び角度情報を制御部240で送信するようにしている。また、本実施形態では、センサ225から受電コイル222の位置情報と角度情報を制御部240に送信する際における無線信号の周波数帯が非接触で給電する際における無線給電の周波数帯と干渉しないようにしている。例えば、無線給電の周波数帯が数MHzの場合には、無線信号の周波数帯を数百MHzとしている。
【0091】
さらに、本実施形態では、センサ225は、受電コイル222の近傍に設けられ、受電コイル222の位置検出の精度を向上させるために、受電コイル222の内側に設けられることが好ましい。なお、本実施形態では、センサ225によって受電コイル222の位置及び角度を検知しているが、受電コイル222の位置情報及び角度情報を検知する検知手段の変形例として、カメラやモーションキャプチャを用いた画像処理によって受電コイルの位置情報と角度情報を検知できるようにしてもよい。かかる検知手段の変形例の詳細については、後述する。
【0092】
制御部240は、非接触給電システム200の各種制御を行う機能を有する。本実施形態の非接触給電システム200は、受電コイル222の近傍に設けられるセンサ225によって検知される受電コイル222の位置情報及び角度情報に基づいて、制御部240による動作制御を介して送電コイル212及び中継コイル232の位置と角度を調整する動作が制御される。
【0093】
本実施形態では、制御部240は、図10に示すように、算出部244と指令部246を有するCPU242と、記憶部248とを備える。
【0094】
CPU242は、ROM等の記憶部248に記憶されている各種プログラムに従って、非接触給電システム200に備わる各構成要素の動作を制御する機能を有する。また、CPU242は、これら各種処理を実行する際に、必要なデータ等を一時的に記憶するRAM(図示せず)に適宜記憶させる機能を有する。
【0095】
算出部244は、センサ225による受電コイル222の位置情報及び角度情報の検知結果に基づいて、送電装置210から受電装置220への電力の伝送効率ηが最大値となるような中継コイル232の位置、中継コイル232の傾斜角度、送電コイル212の位置、及び受電コイル222に対する相対角度を算出する機能を有する。本実施形態では、算出部244は、センサ225で検知した受電コイル222の送電コイル212から距離、受電コイル222の傾き角度、送電コイル212の鉛直方向に対する傾き角度、中継コイル232の鉛直方向に対する傾き角度、及び送電コイル212から中継コイル232までの距離に基づいて、関係式から算出される伝送効率ηが最大値となるように、送電コイル212及び中継コイル232の位置、角度の好適値を算出する。なお、算出部244における関係式から算出される伝送効率ηが最大値となるように、送電コイル212及び中継コイル232の位置、角度の好適値の算出方法の詳細については、後述する。
【0096】
指令部246は、算出部244による算出結果に基づいて、送電装置210の駆動部216、リピータコイル装置230の駆動部236及び自律移動部238を動作制御するように指令する機能を有する。本実施形態では、算出部244で算出された伝送効率ηが最大値となる送電コイル212の位置及び角度、中継コイル232の位置及び角度のそれぞれが好適値となるように、ジンバル機構215で送電コイル212を支持する駆動部216を駆動させ、ジンバル機構235で中継コイル232を支持する駆動部236を駆動させ、かつ、自律移動ロボット237の駆動源となる自律移動部238を駆動させる。
【0097】
このようにして、本実施形態では、センサ225による検知結果に基づいて、送電コイル位置・角度調整機構となるジンバル機構215を介して、即時に受電コイル222に対する送電コイル212の位置及び相対角度を調整して、送電装置210から受電装置220への電力の伝送効率ηが最大値となるように制御される。このため、給電対象が不規則的に自在に変位しても、送電コイル212の位置や受電コイル222に対する相対角度を即時に調整することによって、送電装置210から受電装置220への伝送効率ηが最大値となるように制御されるので、安定的に高効率な非接触給電が実現される。
【0098】
また、本実施形態では、送電装置210と受電装置220との距離が大きい場合でも、センサ235による検知結果に基づいて、受電コイル222をトラッキングする自律移動ロボット237に搭載された中継コイル232を介して、送電コイル212の位置や受電コイル222に対する相対角度をリアルタイムに調整することによって、送電装置210から受電装置220への伝送効率ηが最大値となるように制御できる。このため、送電装置210から離れた給電対象となる受電装置220が不規則的に自在に変位しても、ジンバル機構235を介して中継コイル232を搭載した自律移動ロボット237が受電コイル222を搭載した受電装置220を追従させながら、即時に中継コイル232を好適な位置及び角度に調整することによって、長距離、かつ常時高効率な給電が実現される。
【0099】
なお、本実施形態では、制御部240は、センサ225による検知結果に基づいて、センサ225で検知した受電コイル222の送電コイル212から距離、受電コイル222の傾き角度、送電コイル212の鉛直方向に対する傾き角度、中継コイル232の鉛直方向に対する傾き角度、及び送電コイル212から中継コイル232までの距離に基づく関係式から算出される伝送効率ηが最大値となるように、即時に受電コイル222に対する送電コイル212の位置及び相対角度を調整して制御しているが、他の態様で伝送効率ηが最大値となる送電コイル212及び中継コイル232の位置及び相対角度を調整してもよい。
【0100】
例えば、制御部240は、センサ225による検知結果に基づいて、算出部244で送電コイル212から伝送される電力と、受電コイル222に伝送される電力の比を求めて、これらの比率から伝送効率ηが最大値となるように、受電コイル222に対する送電コイル212の位置及び相対角度を算出して、指令部246で当該位置及び相対角度となるように調整するよう指令してもよい。
【0101】
また、制御部240は、センサ225による検知結果に基づいて、記憶部248に記憶されたデータテーブルから、伝送効率ηが最大値となるように、算出部244で受電コイル222に対する送電コイル212の位置及び相対角度の好適値を算出して、指令部246で当該好適値に設定してもよい。すなわち、記憶部248に受電コイル222の送電コイル212から距離、受電コイル222の傾き角度、送電コイル212の鉛直方向に対する傾き角度、中継コイル232の鉛直方向に対する傾き角度、及び送電コイル212から中継コイル232までの距離の各データの場合における受電コイル222に対する中継コイル232及び送電コイル212の位置及び相対角度の好適値のデータテーブルが記憶され、センサ225による検知結果に基づいて、かかるデータテーブルを参照して、受電コイル222に対する送電コイル212の位置及び相対角度の好適値を設定してもよい。
【0102】
さらに、制御部240による送電装置210から受電装置220への伝送効率ηが最大値となるように制御する態様は、センサ225による検知結果に基づくものに限定されない。例えば、送電装置210の電源から出力した電力と、受電装置220で消費される電力を計測して、双方の電力の比に基づいて、伝送効率ηを計算してから、送電コイル212の角度を動かした際の伝送効率ηの変動結果に基づいて、送電コイル212の角度を定めてもよい。具体的には、伝送効率ηが向上したら、更に動かした側に送電コイル212を動かし、伝送効率ηが低下したら、動かした方向と別方向に送電コイル212を動かことによって、送電コイル212の角度を調整する。このとき、受電側の電力情報は、無線通信等により制御部240に送信される。
【0103】
次に、本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの動作制御について、図面を使用しながら説明する。図11は、本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの動作制御の概略を示すフロー図であり、図12は、本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの動作制御の概略を示す説明図である。
【0104】
まず、センサ225によって、受電コイル222の位置情報として送電コイル212からの距離と方向が検知され、受電コイル222の角度情報として、鉛直方向に対する傾き角度が検知される(工程S21)。例えば、センサ225がGPSセンサとジャイロセンサで構成されている場合には、GPSセンサで受電コイル222の位置情報を検知し、ジャイロセンサで受電コイル222の角度情報を検知する。
【0105】
次に、センサ225による受電コイル222の位置及び角度の検知結果に基づいて、制御部240の算出部244によって、送電装置210から受電装置220への電力の伝送効率ηが最大値となるような中継コイル232の位置及び傾き角度と、送電コイル212の位置及び受電コイル222に対する相対角度をそれぞれ算出する(工程S22)。すなわち、工程S22では、センサ225から無線信号で制御部240に送信された受電コイル222の位置情報と角度情報に基づいて、制御部240の算出部244が送電装置210から受電装置220への電力の伝送効率ηを最大値にする送電コイル212の位置及び受電コイル222に対する相対角度を算出する。
【0106】
本実施形態では、工程S22において、算出部244は、センサ225(図10参照)で検知した送電コイル212の中心O1から受電コイル222の中心O2までの距離r2(図12参照)、鉛直方向線L2に対する受電コイル222の傾き角度θ図12参照)、鉛直方向線L1に対する送電コイル212の傾き角度θ図12参照)、中継コイル232の鉛直方向に対する傾き角度θ図12参照)、及び送電コイル212の中心O1から中継コイル232の中心O3までの距離r1(図12参照)に基づいて、下記の関係式から算出される伝送効率ηが最大値となるように、中継コイル232の位置及び傾き角度と、送電コイル212の位置及び傾き角度の好適値を算出する。
【0107】
【数4】
【0108】
工程S22で送電装置210から受電装置220への電力の伝送効率ηが最大値となるような中継コイル232の位置r1及び傾き角度θと、送電コイル212の位置r2及び傾き角度θの好適値を算出したら、当該好適値になるように、中継コイル232の位置r1及び傾き角度θと、送電コイル212の位置r2及び傾き角度θを調整する(工程S23)。本実施形態では、算出部244で算出された伝送効率ηが最大値となる中継コイル232の位置r1及び傾き角度θと、送電コイル212の位置r2及び傾き角度θの好適値となるように、指令部246が送電装置210の駆動部216と、リピータコイル装置230の駆動部236と、及びリピータコイル装置230の自律移動部238に指令して、当該駆動部216、236、及び自律移動部238を駆動させる。
【0109】
このようにして、本実施形態では、センサ225の検知結果に基づいて、中継コイル232を介して、即時に受電コイル222に対する送電コイル212の位置及び相対角度を調整して、送電装置210から受電装置220への電力の伝送効率が最大値となるように制御される。すなわち、センサ225で検知された受電コイル222の位置情報と角度情報が制御部240にフィードバックされて、送電コイル212の好適な位置と相対角度に調整される。このため、給電対象が人に装着された人工心臓やパワーアシストスーツ等の医療機器、工場内の移動ロボットのように、不規則的に自在に変位しても、送電コイル212の位置や受電コイル222に対する相対角度を即時に調整して、送電装置210から受電装置220への伝送効率ηが最大値となるように制御されることによって、安定的に高効率な磁界共振結合による非接触給電が実現される。
【0110】
また、本実施形態では、送電装置210と受電装置220との距離が大きい場合でも、センサ235による検知結果に基づいて、受電コイル222をトラッキングする自律移動ロボット237に搭載された中継コイル232を介して、送電コイル212の位置や受電コイル222に対する相対角度をリアルタイムに調整できる。このため、送電装置210から受電装置220への伝送効率ηが最大値となるように制御されるので、送電装置210から離れた給電対象となる受電装置220が不規則的に自在に変位しても、ジンバル機構235を介して中継コイル232を搭載した自律移動ロボット237が受電コイル222を搭載した受電装置220を追従させながら、即時に中継コイル232を好適な位置及び角度に調整される。これによって、送電装置210による給電範囲を拡大しながら、長距離、かつ常時高効率な給電が実現される。
【0111】
なお、本実施形態では、受電コイル222の位置情報と角度情報を検知する検知手段として、受電コイル222の近傍にセンサ225を設置しているが、図13に示すように、中継コイル232の近傍にもセンサ231を設置しても良い。例えば、受電コイル222の近傍にセンサ225として、受電コイル222の位置情報を得るGPSセンサと受電コイル222の角度情報を得るジャイロセンサを設けて、中継コイル232の近傍にセンサ231として、中継コイル232の位置情報を得るGPSセンサと中継コイル232の角度情報を得るジャイロセンサを設けてもよい。すなわち、本実施形態の一変形例となる非接触給電システム201では、これらのセンサ225、231で検知した位置情報と角度情報を無線信号で制御部240にフィードバックして、中継コイル232を介して、送電コイル212の位置や受電コイル222に対する相対角度をリアルタイムに調整できる。このため、送電装置210から受電装置220への伝送効率ηが最大値となるように制御される。
【0112】
また、本実施形態では、受電コイル222の位置情報と角度情報を検知する検知手段として、センサ225が適用されているが、前述したように、受電コイル222の位置情報及び角度情報を検知する検知手段は、他の態様としてもよい。例えば、図14に示すように、受電コイル222の位置情報及び角度情報を検知する検知手段として、中継コイル232の近傍にカメラ234とセンサ231を設置してもよい。
【0113】
すなわち、本実施形態の他の変形例となる非接触給電システム202では、中継コイル232の近傍に設けたカメラ234で給電対象となる受電装置220を撮像して、当該カメラ234で得られた映像情報を画像処理演算部234aで受電装置220に搭載される受電コイル222の位置情報と角度情報にデジタル変換してから、制御部240に無線信号で送信されて、画像処理による受電コイル222の位置情報と角度情報を検知する。そして、中継コイル232の位置情報と角度情報がセンサ231で検知されて、制御部240に無線信号で送信させる。なお、画像処理演算部234aは、カメラ234と制御部240の間の何れかに設けられていればよいので、カメラ234又は制御部240の何れかの内部に設置する構成としてもよい。
【0114】
このように、本実施形態の他の変形例となる非接触給電システム202では、カメラ234とセンサ231で検知した位置情報と角度情報を無線信号で制御部240にフィードバックして、中継コイル232を介して、送電コイル212の位置や受電コイル222に対する相対角度をリアルタイムに調整できる。このため、送電装置210から受電装置220への伝送効率ηが最大値となるように制御される。なお、本実施形態の他の変形例では、カメラ234を中継コイル232の近傍に設けているが、カメラ234の設置箇所は、送電コイル212、受電コイル222、又は中継コイル232の少なくとも何れかを撮像可能な箇所であれば、他の設置箇所としてもよい。すなわち、中継コイル232を介して送電コイル212に対する受電コイル222の位置や角度の関係を把握可能な場所であれば、例えば、受電コイル222の近傍や、送電コイル212、受電コイル222、及び中継コイル232を同時に撮像可能な監視カメラのように、何れのコイル212、222、232からも離れた他の位置に設置するようにしても良い。
【0115】
さらに、図15に示すように、受電コイル222の位置情報及び角度情報を検知する検知手段として、中継コイル232の近傍にカメラ234を設置して、当該中継コイル232の位置情報及び角度情報を検知する検知手段として、送電コイル212の近傍にカメラ219を設置してもよい。すなわち、本実施形態の更に他の変形例となる非接触給電システム203では、中継コイル232の近傍に設けたカメラ234で給電対象となる受電装置220を撮像して、当該カメラ234で得られた映像情報を画像処理演算部234aで受電装置220に搭載される受電コイル222の位置情報と角度情報にデジタル変換してから、制御部240に無線信号で送信されて、画像処理による受電コイル222の位置情報と角度情報を検知する。そして、中継コイル232の位置情報と角度情報は、送電コイル212の近傍に設置したカメラ219の映像情報を画像処理演算部219aで中継コイル232の位置情報と角度情報にデジタル変換してから、制御部240に無線信号で送信されて、画像処理による中継コイル232の位置情報と角度情報を検知する。
【0116】
このように、本実施形態の他の変形例となる非接触給電システム203では、カメラ219、234と画像処理演算部219a、234aを介して検知した位置情報と角度情報を無線信号で制御部240にフィードバックして、中継コイル232を介して、送電コイル212の位置や受電コイル222に対する相対角度をリアルタイムに調整できる。このため、送電装置210から受電装置220の距離が離れていても、送電装置210から受電装置220への伝送効率ηが最大値となるように制御される。なお、画像処理演算部219a、234aは、それぞれ送電コイル212と制御部240との間、カメラ234と制御部240の間の何れかに設けられていればよいので、送電装置210、カメラ234又は制御部240の何れかの内部に設置する構成としてもよい。
【0117】
また、図16に示すように、受電コイル222の位置情報及び角度情報を検知する検知手段として、中継コイル232の近傍に設置したカメラ234と受電コイル222の近傍に設置したセンサ225を設けて、中継コイル232の位置情報及び角度情報を検知する検知手段として、送電コイル212の近傍に設置したカメラ219と中継コイル232の近傍に設置したセンサ231を設けてもよい。すなわち、本実施形態の更に他の変形例となる非接触給電システム204では、中継コイル232の近傍に設けたカメラ234で給電対象となる受電装置220を撮像して、当該カメラ234で得られた映像情報を画像処理演算部234aで受電装置220に搭載される受電コイル222の位置情報と角度情報にデジタル変換してから、制御部240に無線信号で送信されて、画像処理による受電コイル222の位置情報と角度情報を検知する。また、当該他の変形例の非接触給電システム204では、カメラ234の画角から給電対象となる受電装置220が外れた場合でも、当該受電装置220の位置情報等をGPS等のセンサ225で追跡できるようにしている。
【0118】
そして、中継コイル232の位置情報と角度情報は、送電コイル212の近傍に設置したカメラ219の映像情報を画像処理演算部219aで中継コイル232の位置情報と角度情報にデジタル変換してから、制御部240に無線信号で送信されて、画像処理による中継コイル232の位置情報と角度情報を検知する。また、当該他の変形例の非接触給電システム204では、カメラ219の画角から給電対象となる中継コイル232が外れても、当該中継コイル232の位置情報等をGPS等のセンサ231で追跡できるようにしている。
【0119】
このように、本実施形態の更に他の変形例となる非接触給電システム204では、カメラ219、234と画像処理演算部219a、234aを介して検知した位置情報と角度情報を無線信号で制御部240にフィードバックして、中継コイル232を介して、送電コイル212の位置や受電コイル222に対する相対角度をリアルタイムに調整できる。このため、送電装置210から受電装置220の距離が離れていても、送電装置210から受電装置220への伝送効率ηが最大値となるように制御される。
【0120】
なお、本実施形態の非接触給電システム200の適用対象は、他の態様にも適用できる。例えば、非接触給電システム205として、図17に示すように、天井に取りつけた電源ステーション211aにジンバル機構215a及び駆動部216aを介して送電コイル212aを支持して構成される送電装置210aから、ドローン237aによってジンバル機構235a及び駆動部236aによって中継コイル232aを支持して構成されるリピータコイル装置230aを介して、受電装置220として給電対象となるパワーアシストスーツ221の受電コイル222に磁界共振結合による非接触給電を行う態様にも適用できる。
【0121】
また、図18に示すように、非接触給電システム206は、給電対象となる受電装置をVRゴーグルやスマートクラスのように目を覆うグラス類220bとした場合にも適用できる。例えば、非接触給電システム202は、天井に取りつけた電源ステーション211aに昇降・回転・伸縮アーム217b、ジンバル機構215a及び駆動部216aを介して送電コイル212bを支持して構成される送電装置210bから、直接、給電を行ったり、中継コイル232、ジンバル機構235、及び自律移動ロボット237から構成されるリピータコイル装置230を介して、非接触に給電を行う態様にも適用できる。
【0122】
さらに、図19に示すように、非接触給電システム207は、給電対象となる受電装置を電動車椅子220cとした場合にも適用できる。例えば、非接触給電システム203は、商用電源に接続された電源ステーション211に送電コイル212を取り付けたものを送電装置210として、自律移動ロボット237及びジンバル機構235、駆動部236によって中継コイル232を移動可能に支持するリピータコイル装置230を介して、給電対象となる電動車椅子220cに非接触給電を行う態様にも適用できる。
【0123】
また、図20に示すように、送電装置310と受電装置320との距離が大きく離れている場合には、中継コイル332a、332bを複数設けてもよい。例えば、非接触給電システム300は、地面に設置した電源ステーション311の送電コイル312を給電ワイヤ318、及びジンバル機構315を介して取り付けて、当該送電コイル312をドローン317で三次元的に自在に移動可能とした送電装置310から、給電対象となる電線上の高圧線点検ロボット320に対して、複数のリピータコイル装置330a、330bを介して、長距離での非接触給電をする態様にも適用できる。
【0124】
このとき、中継コイル332a、332bは、ドローン337a、337bとジンバル機構335a、335bを介して、移動可能になっており、高電圧線点検ロボット320に対して、電力の伝送効率が最高値になるように整列させるように、移動させるように制御することが好ましい。このように、送電装置310と受電装置320との距離がより大きく離れた場合でも、不図示のセンサによる検知結果に基づいて、複数の中継コイル332a、332bを介して、送電コイル312の位置や不図示の受電コイルに対する相対角度を即時に調整することによって、送電装置310から受電装置320への伝送効率が最大値となるように制御できる。
【0125】
さらに、図21に示すように、1つの送電装置410から複数の受電装置となる給電対象ロボット420a、420bに対して、それぞれ異なるリピータコイル装置430a、430b、430c、430dを介して、長距離の非接触給電を行う場合にも適用できる。例えば、非接触給電システム400は、地面に設置した電源ステーション410から自律移動ロボット437とジンバル機構437aによって中継コイル432aを移動可能に支持するリピータコイル装置430aを介して、給電対象ロボット420aに非接触給電を行うと同時に、ドローンによって三次元的に移動可能になっている複数のリピータコイル装置430b、430c、430dを介して、他の給電対象ロボット420bに非接触給電を行ってもよい。
【0126】
また、中継コイルを備えるリピータコイル装置が複数設けられる場合には、制御部は、センサで検知した受電コイルの送電コイルから距離、受電コイルの傾き角度、送電コイルの鉛直方向に対する傾き角度、中継コイルの鉛直方向に対する傾き角度、送電コイルから中継コイルまでの距離、及び中継コイルの個数に基づく関係式から算出される伝送効率が最大値となるように制御することが好ましい。
【0127】
以上説明したように、本発明の各実施形態によれば、給電対象が不規則的に自在に変位しても、リアルタイムで常に最高効率を維持するコイル配置を算出して、当該コイル配置に調整するので、即時に送電装置から受電装置への伝送効率が最大値となるように制御できる。このため、磁界共振結合による安定的に高効率な非接触給電が確実に実現される。
【0128】
また、本発明の各実施形態によれば、給電対象が不規則的に自在に変位しても、磁界共振結合により非接触で電力を供給できるので、植込みデバイスの電池交換手術や、皮膚貫通ケーブル給電による感染症の問題が解決される。さらに、給電対象がパワードスーツのようなウェアラブルデバイスの場合、大型バッテリの搭載が不要になる上で、ケーブル給電による動きの制約が解消する。このように、植込み・ウェアラブルデバイスの給電に関する制約を解決することで、当該デバイスの大きな普及が見込める。
【0129】
さらに、複数の送電コイルやリピータコイル装置を空間・地上中に分散し、給電対象の動きに合わせて最適に配置することで、工事現場や災害現場等の所定の空間内において、どの場所にいても給電できる状態を作り出す非接触給電のネットワークシステムへの応用展開も可能である。また、給電対象が不規則的に自在に変位しても、当該給電対象に追従するように送電装置やリピータコイル装置をドローンや自動車等の移動手段で移動可能にすることによって、給電対象への給電効率を高められることから、例えば、給電対象として電気自動車にも適用可能となるので、極めて大きな工業的価値を有する。
【0130】
なお、上記のように本発明の各実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0131】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、非接触給電システムの構成、動作も本発明の各実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0132】
100、101、102、103、200、201、202、203、204、205、206、207、300、400 非接触給電システム、110、150、210、210a、210b、310、410 送電装置、111、151、211、211a、211b、311、411 電源、112、152、212、212a、212b、312、412 送電コイル、133、213 送電容量、115、155、215、215a、215b、315 ジンバル機構(送電コイル位置・角度調整機構)、116、156、216、216a、216b 駆動部、119、219、234 カメラ(撮像装置)、219a、234a 画像処理演算部、120、160、220、220b、320、420a、420b 受電装置、121、161、221、221c 負荷、122、162、222、222c 受電コイル、123、223 受電容量、125、225、231 センサ(検知手段)、140、240 制御部、142、242 CPU、144、244 算出部、146、246 指令部、148、248 記憶部、230、230a、330a、330b、430a、430b、430c、430d リピータコイル装置、232、232a、332a、332b 中継コイル、235、235a、335a、335b ジンバル機構(中継コイル角度調整機構)236、236a 駆動部、237、237a、337a、337b 中継コイル移動手段、238 自律移動部
図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図18
図19
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図21