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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】温度調整装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/56 20110101AFI20220831BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
F24F1/56
F24F5/00 101Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021090743
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2022-02-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年5月1日に、オリオン機械株式会社が、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)のカタログを発行した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月28日に、一般財団法人省エネルギーセンターが、同法人発行の省エネルギー(3月号)にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年1月19日に、オリオン機械株式会社が、自社発行の「オリオン機械広報誌 輝 創刊100号記念」内に、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー:フリークーリングモジュールチラーFCMC55A)の紹介記事を掲載した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月5日、および令和3年2月15日に、有限会社熱産業経済新聞社が、同社発行の熱産業経済新聞にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年4月13日に、株式会社イプロスが、自社ウェブサイトのアンケート回答ページにて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年1月25日に、オリオン機械株式会社が、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)のカタログを発行し、その後、そのデジタルデータを自社ウェブサイトにて公開した。また、令和3年3月31日に、オリオン機械株式会社が、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)のカタログを発行し、その後、そのデジタルデータを自社ウェブサイトにて公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年3月30日に、北海道オリオン株式会社が、従業員名刺(書式A)において、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。また、令和3年4月16日に、北海道オリオン株式会社が、従業員名刺(書式B)において、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月3日に、株式会社空調タイムス社が、同社発行の空調タイムスにて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年1月26日に、オリオン機械株式会社が、自社発行のパンフレット「オリオンメールマガジン vol.77」において、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。また、令和3年2月9日に、オリオン機械株式会社が、自社発行のパンフレット「オリオン設備機器ワンポイントニュース vol.2 2021.02.09」において、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。また、令和3年2月16日に、オリオン機械株式会社が、自社発行のパンフレット「オリオンメールマガジン vol.78」において、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。また、令和3年3月30日に、オリオン機械株式会社が、自社発行のパンフレット「オリオンメールマガジン vol.83」において、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年1月20日に、株式会社日本経済新聞社が、同社発行の日本経済新聞(紙面および電子版掲載ページ)にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年1月20日、および令和3年4月1日に、オリオン機械株式会社が、自社のウェブサイトにて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年1月20日、および令和3年3月9日に、株式会社日刊工業新聞社が、同社発行の日刊工業新聞にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年1月30日に、須坂新聞株式会社が、同社発行の須坂新聞にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年4月4日に、石川商事株式会社が、自社発行の上記パンフレットにおいて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(フリークーリングチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年1月7日に、オリオン機械株式会社が、従業員名刺において、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年1月20日に、信濃毎日新聞株式会社が、同社発行の信濃毎日新聞にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年4月12日に、一般社団法人日本金属プレス工業協会が、同法人発行のJMSAニュースレター(4月号)にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年5月3,10,17,24,31日に、株式会社東京商工リサーチが、同社発行のTSR情報誌(長野県版)にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月5日に、公益社団法人空気調和・衛生工学会が、同法人発行の空気調和・衛生工学(2月号)にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開し、令和3年3月5日に、公益社団法人空気調和・衛生工学会が、同法人発行の空気調和・衛生工学(3月号)にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開し、かつ令和3年4月5日に、公益社団法人空気調和・衛生工学会が、同法人発行の空気調和・衛生工学(4月号)にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月20日に、株式会社日刊工業新聞社が、同社発行の工場管理(3月号)にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開すると共に、令和3年5月20日に、株式会社日刊工業新聞社が、同社発行の工場管理(6月号)にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年3月25日に、株式会社山善が、同社発行のモノづくりハンドブック セレシナ(2021 vol.9)にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月1日に、株式会社日刊工業新聞社が、同社発行の新製品情報(2月号)にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開し、令和3年3月1日に、株式会社日刊工業新聞社が、同社発行の新製品情報(3月号)にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開し、令和3年4月1日に、株式会社日刊工業新聞社が、同社発行の新製品情報(4月号)にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年6月5日に、日本工業出版株式会社が、同社発行の建築設備と配管工事(6月号)にて、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(エコハイブリッドチラー)を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月22日から3月21日まで、および令和3年5月6日から6月2日まで、株式会社イプロスが、「グーグルディスプレイネットワーク」および「ヤフーディスプレイアドネットワーク」を利用したバナー広告のウェブ掲載により、本件出願の発明者が発明した温度調整装置(フリークーリングモジュールチラー)を公開した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 鷹
(72)【発明者】
【氏名】清水 卓也
(72)【発明者】
【氏名】竹前 昭宏
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-142476(JP,A)
【文献】国際公開第2011/099629(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/024406(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/56
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒液の温度を調整する冷凍サイクル、および当該冷凍サイクルを収容可能な筐体を備え、温度を調整した前記熱媒液を供給対象に供給することによって当該供給対象の温度を調整可能に構成された温度調整装置であって、
前記筐体は、下方収容部および上方収容部を備え、
前記冷凍サイクルは、圧縮機と、空気との熱交換によって冷媒を凝縮させる第1熱交換器と、膨張弁と、前記冷媒との熱交換によって前記熱媒液を冷却する第2熱交換器と、前記第1熱交換器を通過可能に前記空気を送風する送風機とを備え、
前記下方収容部には、少なくとも前記圧縮機、前記膨張弁および前記第2熱交換器が収容され、
前記上方収容部には、前記空気を導入可能な導入口が正面および背面にそれぞれ設けられると共に当該各導入口から導入される当該空気の通過が可能に正面寄りの位置および背面寄りの位置にそれぞれ少なくとも1つの前記第1熱交換器が収容され、かつ当該各第1熱交換器を通過させられた当該空気を排気可能な排気口が上面パネルに開口されると共に前記送風機が当該上面パネルに取り付けられ、
前記上方収容部は、前記正面寄りの位置に収容されている前記第1熱交換器の側方に配設された第1パネル、前記背面寄りの位置に収容されている前記第1熱交換器の側方に配設された第2パネル、および前記第1パネルと前記第2パネルとの間に配設された第3パネルによって両側面がそれぞれ構成されると共に、前記第1パネル、前記第2パネルおよび前記上面パネルの外面側の遮熱能力が前記第3パネルの外面側の遮熱能力よりも高く、かつ当該第3パネルの当該外面側の放熱能力が当該第1パネル、当該第2パネルおよび当該上面パネルの当該外面側の放熱能力よりも高くなるように形成されている温度調整装置。
【請求項2】
前記下方収容部は、正面パネル、背面パネルおよび両側面パネルの外面側の遮熱能力が前記第3パネルの外面側の遮熱能力よりも高くなるように形成されている請求項1記載の温度調整装置。
【請求項3】
前記冷凍サイクルによって前記熱媒液としての第1熱媒液の温度を調整可能に構成されると共に、前記導入口から導入される前記空気との熱交換によって第2熱媒液を冷却する第3熱交換器と、前記第2熱媒液との熱交換によって前記第1熱媒液を冷却する第4熱交換器とを備え、
前記第3熱交換器は、前記上方収容部内に収容されて前記第1熱交換器と前記導入口との間に配置され、
前記第4熱交換器は、前記下方収容部内に収容され、
前記第1パネルおよび前記第2パネルは、前記第1熱交換器および前記第3熱交換器の側方に配設されている請求項1または2記載の温度調整装置。
【請求項4】
熱交換器、当該熱交換器を収容可能な筐体、および前記熱交換器を通過可能に空気を送風する送風機を備え、前記筐体の正面および背面にそれぞれ設けられた導入口から前記送風機による送風によって導入される空気との熱交換によって熱媒液の温度を前記熱交換器において調整すると共に、温度調整した当該熱媒液を供給対象に供給することによって当該供給対象の温度を調整可能に構成された温度調整装置であって、
前記熱交換器は、前記各導入口から導入される前記空気の通過が可能に前記筐体内の正面寄りの位置および背面寄りの位置にそれぞれ収容され、
前記送風機は、前記各熱交換器を通過させられた前記空気を前記筐体の上面パネルに開口された排気口から排気可能に当該上面パネルに取り付けられ、
前記筐体は、前記正面寄りの位置に収容されている前記熱交換器の側方に配設されたパネルA、前記背面寄りの位置に収容されている前記熱交換器の側方に配設されたパネルB、および前記パネルAと前記パネルBとの間に配設されたパネルCによって両側面がそれぞれ構成されると共に、前記パネルA、前記パネルBおよび前記上面パネルの外面側の遮熱能力が前記パネルCの外面側の遮熱能力よりも高く、かつ当該パネルCの当該外面側の放熱能力が当該パネルA、当該パネルBおよび当該上面パネルの当該外面側の放熱能力よりも高くなるように形成されている温度調整装置。
【請求項5】
前記筐体は、外表面に塗膜が形成された金属製の薄板によって前記各パネルが構成されると共に、当該塗膜を構成する塗料の相違によって遮熱能力および放熱能力が相違させられている請求項1から4のいずれかに記載の温度調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱媒液の温度を調整するための熱交換器が筐体内に収容されると共に温度調整した熱媒液を供給対象に供給することで供給対象の温度を調整可能に構成された温度調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の温度調整装置として、冷凍サイクル構成機器等が鋼鉄製の筐体内に収容されて屋外に設置可能に構成されたチリングユニット(熱交換ユニット)が下記の特許文献に開示されている。このチリングユニットでは、筐体内に機械室(下方の収容部)および熱交換室(上方の収容部)が設けられており、冷媒圧縮機等が機械室に収容されると共に、熱交換器(冷媒凝縮器)が熱交換室に収容されている。この場合、機械室は、その四隅に配置されたフレームと、両側面(同文献において正面および背面と称されている2つの面)並びに正面および背面(同文献において側面と称されている2つの面)を閉塞する4枚の端面板とを備えている。また、熱交換室は、その四隅に配置されたフレームと、対向する2つの側面(同文献において正面および背面と称されている2つの面)を閉塞する2枚の端面板とを備えると共に、正面および背面(同文献において側面と称されている2つの面)が空気吸込口として開口されて熱交換器が取り付けられ、かつ、上面に3つの空気吹出口が開口されて送風機(プロペラファン:凝縮器ファン)が取り付けられている。
【0003】
このチリングユニットでは、熱交換室内の空気が送風機によって空気吹出から吸い出されることによって熱交換室外の空気が空気吸込口から熱交換室内に吸い込まれる。また、吸い込まれた空気が熱交換器を通過させられる際に熱交換器内の冷媒と熱交換させられる。これにより、機械室に収容されている他の熱交換器(冷媒蒸発器)において熱媒液(冷却対象に供給する水等)から吸熱された熱が大気(熱交換室内の熱交換器を通過させられた空気)に放熱される。また、熱交換室内の熱交換器において温度が低下させられて凝縮させられた冷媒が膨張弁を通過させられた後に機械室内の他の熱交換器に供給されて熱媒液から吸熱することで熱媒液が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-163017号公報(第4-6頁、第1-7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献に開示のチリングユニットには、以下のような解決すべき課題が存在する。具体的には、上記のチリングユニット等の冷却装置は、一般的には、地上、或いは建屋の屋上に設置されて使用される。これは、熱交換室内の熱交換器に対して十分に温度が低い空気を供給したり、熱交換室内から吸い出される高温の空気によって室内温度が過剰に高くなるのを回避したりすることを目的とており、設置されたチリングユニットの近傍には、高背の構造物や樹木等が存在しない状態となることが多い。このため、この種の冷却装置では、稼働時および非稼働時を問わず、日照時間帯内に筐体外表面の広い範囲に太陽光が照射される状態となる。
【0006】
この場合、上記特許文献に開示のチリングユニットでは、熱交換室外から吸い込まれる空気との熱交換によって冷媒の温度を低下させる熱交換器の両側方に鋼鉄製の端面板がそれぞれ配設されると共に、熱交換器の上方にも鋼鉄製の天板が配設されている。したがって、このチリングユニットを地上や建屋の屋上に設置したときには、筐体に対して太陽光が照射された状態において両端面板や天板が外気よりも高い温度まで温度上昇させられる。このため、このチリングユニットでは、温度上昇させられた両端面板や天板からの輻射熱によって熱交換室内の熱交換器が温度上昇させられる結果、熱交換器における冷媒の冷却効率が低下してしまう。
【0007】
また、たとえ筐体に対して太陽光が照射されていない状態や照射量が少量の状態であっても、熱交換室内において熱交換器を通過させられた空気(冷媒と熱交換させられた空気)が非常に高い温度であることに起因して、この空気が熱交換室内を移動して空気吹出口から吸い出されるまでの間に筐体の温度を上昇させることとなる。このため、太陽光が照射されていない状態や照射量が少量の状態においても、温度上昇させられた両端面板からの輻射熱によって熱交換室内の熱交換器が温度上昇させられる結果、熱交換器における冷媒の冷却効率が低下してしまう。
【0008】
このように、上記のチリングユニットでは、熱交換室を構成する両端面板や天板からの輻射熱によって熱交換器における冷媒の冷却効率が低下し、これに起因して、熱媒液の冷却効率が低下しているという課題が存在する。
【0009】
本発明は、かかる解決すべき課題に鑑みてなされたものであり、筐体からの輻射熱に起因した熱交換器における冷媒の冷却効率の低下を好適に回避し得る温度調整装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の温度調整装置は、熱媒液の温度を調整する冷凍サイクル、および当該冷凍サイクルを収容可能な筐体を備え、温度を調整した前記熱媒液を供給対象に供給することによって当該供給対象の温度を調整可能に構成された温度調整装置であって、前記筐体は、下方収容部および上方収容部を備え、前記冷凍サイクルは、圧縮機と、空気との熱交換によって冷媒を凝縮させる第1熱交換器と、膨張弁と、前記冷媒との熱交換によって前記熱媒液を冷却する第2熱交換器と、前記第1熱交換器を通過可能に前記空気を送風する送風機とを備え、前記下方収容部には、少なくとも前記圧縮機、前記膨張弁および前記第2熱交換器が収容され、前記上方収容部には、前記空気を導入可能な導入口が正面および背面にそれぞれ設けられると共に当該各導入口から導入される当該空気の通過が可能に正面寄りの位置および背面寄りの位置にそれぞれ少なくとも1つの前記第1熱交換器が収容され、かつ当該各第1熱交換器を通過させられた当該空気を排気可能な排気口が上面パネルに開口されると共に前記送風機が当該上面パネルに取り付けられ、前記上方収容部は、前記正面寄りの位置に収容されている前記第1熱交換器の側方に配設された第1パネル、前記背面寄りの位置に収容されている前記第1熱交換器の側方に配設された第2パネル、および前記第1パネルと前記第2パネルとの間に配設された第3パネルによって両側面がそれぞれ構成されると共に、前記第1パネル、前記第2パネルおよび前記上面パネルの外面側の遮熱能力が前記第3パネルの外面側の遮熱能力よりも高く、かつ当該第3パネルの当該外面側の放熱能力が当該第1パネル、当該第2パネルおよび当該上面パネルの当該外面側の放熱能力よりも高くなるように形成されている。
【0011】
請求項2記載の温度調整装置は、請求項1記載の温度調整装置において、前記下方収容部は、正面パネル、背面パネルおよび両側面パネルの外面側の遮熱能力が前記第3パネルの外面側の遮熱能力よりも高くなるように形成されている。
【0012】
請求項3記載の温度調整装置は、請求項1または2記載の温度調整装置において、前記冷凍サイクルによって前記熱媒液としての第1熱媒液の温度を調整可能に構成されると共に、前記導入口から導入される前記空気との熱交換によって第2熱媒液を冷却する第3熱交換器と、前記第2熱媒液との熱交換によって前記第1熱媒液を冷却する第4熱交換器とを備え、前記第3熱交換器は、前記上方収容部内に収容されて前記第1熱交換器と前記導入口との間に配置され、前記第4熱交換器は、前記下方収容部内に収容され、前記第1パネルおよび前記第2パネルは、前記第1熱交換器および前記第3熱交換器の側方に配設されている。
【0013】
請求項4記載の温度調整装置は、熱交換器、当該熱交換器を収容可能な筐体、および前記熱交換器を通過可能に空気を送風する送風機を備え、前記筐体の正面および背面にそれぞれ設けられた導入口から前記送風機による送風によって導入される空気との熱交換によって熱媒液の温度を前記熱交換器において調整すると共に、温度調整した当該熱媒液を供給対象に供給することによって当該供給対象の温度を調整可能に構成された温度調整装置であって、前記熱交換器は、前記各導入口から導入される前記空気の通過が可能に前記筐体内の正面寄りの位置および背面寄りの位置にそれぞれ収容され、前記送風機は、前記各熱交換器を通過させられた前記空気を前記筐体の上面パネルに開口された排気口から排気可能に当該上面パネルに取り付けられ、前記筐体は、前記正面寄りの位置に収容されている前記熱交換器の側方に配設されたパネルA、前記背面寄りの位置に収容されている前記熱交換器の側方に配設されたパネルB、および前記パネルAと前記パネルBとの間に配設されたパネルCによって両側面がそれぞれ構成されると共に、前記パネルA、前記パネルBおよび前記上面パネルの外面側の遮熱能力が前記パネルCの外面側の遮熱能力よりも高く、かつ当該パネルCの当該外面側の放熱能力が当該パネルA、当該パネルBおよび当該上面パネルの当該外面側の放熱能力よりも高くなるように形成されている。
【0014】
請求項5記載の温度調整装置は、請求項1から4のいずれかに記載の温度調整装置において、前記筐体は、外表面に塗膜が形成された金属製の薄板によって前記各パネルが構成されると共に、当該塗膜を構成する塗料の相違によって遮熱能力および放熱能力が相違させられている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の温度調整装置では、正面寄りの位置に収容されている第1熱交換器の側方に配設された第1パネル、背面寄りの位置に収容されている第1熱交換器の側方に配設された第2パネル、および第1パネルと第2パネルとの間に配設された第3パネルによって両側面がそれぞれ構成されると共に、第1パネル、第2パネルおよび上面パネルの外面側の遮熱能力が第3パネルの外面側の遮熱能力よりも高く、かつ第3パネルの外面側の放熱能力が第1パネル、第2パネルおよび上面パネルの外面側の放熱能力よりも高くなるように筐体の上方収容部が形成されている。
【0016】
したがって、請求項1記載の温度調整装置によれば、第1パネル、第2パネルおよび上面パネルにおける外面側の遮熱能力が高いことで、筐体に対して太陽光が照射された状態においても、第1パネル、第2パネルおよび上面パネルが過剰に温度上昇させられることがないため、第1パネル、第2パネルおよび上面パネルからの輻射熱によって第1熱交換器が温度上昇させられて第1熱交換器における空気と冷媒との熱交換効率(すなわち、冷媒の冷却効率)が低下させられる事態を好適に回避することができる。また、第3パネルにおける外面側の放熱能力が高いことで、第1熱交換器の通過によって温度上昇した空気との接触によって第3パネルの温度が上昇したとしても、この熱が第3パネルにおける外面側から上方収容部外の空気にスムースに放熱されるため、第3パネルからの輻射熱によって第1熱交換器が温度上昇させられて第1熱交換器における空気と冷媒との熱交換効率(すなわち、冷媒の冷却効率)が低下させられる事態を好適に回避することができる。したがって、この温度調整装置によれば、供給対象に供給する熱媒液の冷却効率の低下を好適に回避することができる。
【0017】
また、請求項2記載の温度調整装置によれば、正面パネル、背面パネルおよび両側面パネルの外面側の遮熱能力が第3パネルの外面側の遮熱能力よりも高くなるように下方収容部を形成したことにより、筐体に対して太陽光が照射された状態においても、正面パネル、背面パネルおよび各側面パネルが過剰に温度上昇させられることがないため、正面パネル、背面パネルおよび各側面パネルからの輻射熱によって下方収容部内の第2熱交換器が温度上昇させられて第2熱交換器における冷媒と熱媒液との熱交換効率(すなわち、熱媒液の冷却効率)が低下させられる事態を好適に回避することができると共に、下方収容部内の制御部や電源部などが温度上昇させられて正常動作が妨げられる事態を好適に回避することができる。
【0018】
また、請求項3記載の温度調整装置によれば、空気との熱交換によって冷媒を凝縮させる第1熱交換器、および空気との熱交換によって第2熱媒液を冷却する第3熱交換器の側方に第1パネルおよび第2パネルを配設したことにより、筐体に対して太陽光が照射された状態においても、第1パネル、第2パネルおよび上面パネルからの輻射熱によって第1熱交換器および第3熱交換器が温度上昇させられて第3熱交換器における空気と第2熱媒液との熱交換効率(すなわち、第2熱媒液の冷却効率)が低下させられる事態を好適に回避することができる。したがって、この温度調整装置によれば、供給対象に供給する第1熱媒液の冷却効率の低下を一層好適に回避することができる。
【0019】
また、請求項4記載の温度調整装置では、正面寄りの位置に収容されている熱交換器の側方に配設されたパネルA、背面寄りの位置に収容されている熱交換器の側方に配設されたパネルB、およびパネルAとパネルBとの間に配設されたパネルCによって両側面がそれぞれ構成されると共に、パネルA、パネルBおよび上面パネルの外面側の遮熱能力がパネルCの外面側の遮熱能力よりも高く、かつパネルCの外面側の放熱能力がパネルA、パネルBおよび上面パネルの外面側の放熱能力よりも高くなるように筐体が形成されている。
【0020】
したがって、請求項4記載の温度調整装置によれば、パネルA、パネルBおよび上面パネルにおける外面側の遮熱能力が高いことで、筐体に対して太陽光が照射された状態においても、パネルA、パネルBおよび上面パネルが過剰に温度上昇させられることがないため、パネルA、パネルBおよび上面パネルからの輻射熱によって熱交換器が温度上昇させられて熱交換器における空気と熱媒液との熱交換効率が低下させられる事態を好適に回避することができる。また、パネルCにおける外面側の放熱能力が高いことで、熱交換器の通過によって温度上昇した空気との接触によってパネルCの温度が上昇したとしても、この熱がパネルCにおける外面側から筐体外の空気にスムースに放熱されるため、パネルCからの輻射熱によって熱交換器が温度上昇させられて熱交換器における空気と熱媒液との熱交換効率が低下させられる事態を好適に回避することができる。したがって、この温度調整装置によれば、供給対象に供給する熱媒液の冷却効率の低下を好適に回避することができる。
【0021】
また、請求項5記載の温度調整装置によれば、外表面に塗膜が形成された金属製の薄板によって筐体の各パネルを構成すると共に、塗膜を構成する塗料の相違によって遮熱能力および放熱能力を相違させたことにより、パネル自体の材質や厚み等を相違させて遮熱能力や放熱能力を相違させる構成と比較して、製造コストの高騰を招くことなく、各パネルの遮熱能力や放熱能力を確実かつ容易に相違させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】チラー1の外観斜視図である。
図2】チラー1の側面図である。
図3】チラー1の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、温度調整装置の実施の形態について説明する。
【0024】
図1~3に示すチラー1は、「温度調整装置」の一例であって、チラー1によって冷却した水を各種機械設備や空調機器などの外部装置(「供給対象」の一例)に供給することにより、外部装置自体、外部装置の加工対象物、および空調機器が設置されている室内の空気などを冷却する(温度調整する)ことができるように構成されている。具体的には、このチラー1は、図3に示すように、筐体2、フリークーリング部3、冷凍サイクル4、操作部5、表示部6、ポンプ7、制御部8および電源部9を備え、フリークーリング部3によって冷却したブライン(請求項3記載の本願発明における「第2熱媒液」の一例であり、かつ請求項4記載の本願発明における「熱媒液」の一例)によって後述の熱交換器12において外部装置に供給する水(真水:請求項1,2記載の本願発明における「熱媒液」の一例であり、かつ請求項3記載の本願発明における「第1熱媒液」の一例)を冷却したり、冷凍サイクル4によって後述の熱交換器24において外部装置に供給する水を直接冷却したりすることができるように構成されている。
【0025】
筐体2は、請求項1~3記載の本願発明における「冷凍サイクルを収容可能な筐体」の一例であり、かつ請求項4記載の本願発明における「熱交換器を収容可能な筐体」の一例であって、図1,2に示すように、「下方収容部」の一例である下方収容部2Lと、「上方収容部」の一例である上方収容部2Hとを備え、チラー1の各構成要素3~9を収容可能に構成されている。
【0026】
フリークーリング部3は、図3に示すように、熱交換器11,11(請求項3記載の本願発明における「第3熱交換器」の一例であり、かつ請求項4記載の本願発明における「熱交換器」の一例)、熱交換器12(請求項3記載の本願発明における「第4熱交換器」の一例であり、かつ請求項4記載の本願発明における「供給対象」の一例)およびポンプ13を備え、熱交換器11,11と熱交換器12との間でブラインを循環させる循環路にポンプ13が配設されている。このフリークーリング部3は、後述するように、ポンプ13によって圧送されたブラインが熱交換器11,11を通過させられる際に空気との熱交換によって冷却され、この冷却されたブラインが熱交換器12に供給されることでブラインと水との熱交換によって水が冷却される(温度調整される)ように構成されている。この場合、本例のチラー1では、熱交換器11,11が筐体2の上方収容部2Hに収容されると共に、熱交換器12およびポンプ13が筐体2の下方収容部2Lに収容されている。
【0027】
冷凍サイクル4は、「熱媒液の温度を調整する冷凍サイクル」の一例であって、圧縮機21、熱交換器22,22(請求項1~3記載の本願発明における「第1熱交換器」の一例)、膨張弁23、熱交換器24(請求項1~3記載の本願発明における「第2熱交換器」の一例)およびファン25(「送風機」の一例)を備えている。この場合、本例のチラー1では、圧縮機21、膨張弁23および熱交換器24が筐体2の下方収容部2Lに収容され、かつ熱交換器22,22が筐体2の上方収容部2Hに収容されると共に、ファン25が後述するように筐体2(上方収容部2H)の上に取り付けられている。
【0028】
操作部5は、チラー1の動作を開始/停止させる操作スイッチや、チラー1の動作条件(外部装置に供給する水の温度や供給量など)を設定するための操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部8に出力する。表示部6は、制御部8の制御に従い、チラー1の動作条件を設定する画面や、チラー1の動作状態を示す画面(いずれも図示せず)を表示する。ポンプ7は、制御部8の制御に従い、外部装置に供給する水を熱交換器12,24に圧送する。なお、本例では、「熱媒液(第1熱媒液)」としての水を圧送するポンプ7を備えた構成を例に挙げて説明するが、ポンプ7に代えて、「熱媒液(第1熱媒液)」の供給配管に配設されている既存のポンプを利用する構成(ポンプ7を備えない構成)を採用することもできる。
【0029】
制御部8は、チラー1を総括的に制御する。具体的には、制御部8は、フリークーリング部3(ポンプ13)、冷凍サイクル4(圧縮機21、膨張弁23およびファン25)を制御して、外部装置に供給する水を冷却させる。また、制御部8は、ポンプ7を制御して冷却された水を外部装置に向けて圧送(供給)させる。電源部9は、制御部8の制御に従い、チラー1の各構成要素3~8に電源を供給する。
【0030】
この場合、図1,2に示すように、本例のチラー1では、上方収容部2H内に空気を導入可能な導入口Hi(「導入口」の一例)が筐体2の正面および背面にそれぞれ設けられると共に、上方収容部2H内の空気(「第3の熱交換器(請求項4記載の本願発明における「熱交換器」)」および「各第1熱交換器」を通過させられた空気)を排気可能な排気口Ho(「排気口」の一例)が筐体2の上面に設けられている。なお、本例では、筐体2において操作部5や表示部6が配設されている面を「正面」としてチラー1の構成や動作について説明する。
【0031】
また、図2に示すように、本例のチラー1では、上方収容部2Hの正面寄りの位置および背面寄りの位置(両導入口Hiの近傍)に熱交換器11,22がそれぞれ収容されている。この場合、両熱交換器11,22は、その下端側よりも上端側の部位が迫り出すようにしてそれぞれ傾斜させられている(両熱交換器11,22がオーバーハングさせられた状態)。具体的には、本例のチラー1では、両熱交換器11,11が側面視V字状(逆ハ字状)の収容姿勢で収容された状態となっており、正面寄りの位置に収容された熱交換器11の上端部と背面寄りの位置に収容された熱交換器11の上端部との離間距離が、正面寄りの位置に収容された熱交換器11の下端部と背面寄りの位置に収容された熱交換器11の下端部との離間距離よりも大きくなっている。また、本例のチラー1では、両熱交換器22,22が側面視V字状(逆ハ字状)の収容姿勢で収容された状態となっており、正面寄りの位置に収容された熱交換器22の上端部と背面寄りの位置に収容された熱交換器22の上端部との離間距離が、正面寄りの位置に収容された熱交換器22の下端部と背面寄りの位置に収容された熱交換器22の下端部との離間距離よりも大きくなっている。
【0032】
これにより、本例のチラー1では、両熱交換器11,11や両熱交換器22,22を垂直、またはほぼ垂直の収容姿勢で収容した状態や、側面視ハ字状の収容姿勢で収容した状態と比較して、各熱交換器11,22に対して直射日光が当り難くなっており、特に、太陽高度が高く、地上に到達する太陽光量が多い時間帯に、各熱交換器11,22に対して直射日光が当たる事態が回避されている。この結果、太陽光の受光に起因する熱交換器11,22の温度上昇が好適に回避され、後述するように、両熱交換器11,11によるブラインの冷却効率や、両熱交換器22,22による冷媒の冷却効率を十分に向上させることが可能となっている。
【0033】
また、本例のチラー1では、冷凍サイクル4の熱交換器22よりもフリークーリング部3の熱交換器11の方が導入口Hi寄りの位置に配置されており、後述するように、導入口Hiから上方収容部2H内に導入される空気が、熱交換器11および熱交換器22をこの順で通過させられるように構成されている(請求項1記載の本願発明における「各導入口から導入される空気の通過が可能に正面寄りの位置および背面寄りの位置にそれぞれ少なくとも1つの第1熱交換器が収容され」との構成、および請求項3記載の本願発明における「第3熱交換器」が「第1熱交換器と導入口との間」に配置された構成の例であり、かつ請求項4記載の本願発明における「熱交換器」が「各導入口から導入される空気の通過が可能に筐体内の正面寄りの位置および背面寄りの位置にそれぞれ収容され」との構成の例)。
【0034】
なお、本例のチラー1では、一例として、上方収容部2Hの正面寄りの位置に1つの熱交換器11および1つの熱交換器22が収容されると共に、背面寄りの位置に1つの熱交換器11および1つの熱交換器22が収容されている(熱交換器11や熱交換器22が排気口Hoと同程度の大きさの1つの「熱交換器」でそれぞれ構成された例)。このような構成に代えて、上下方向、および/または左右方向に並べた複数の「第1熱交換器」を上方収容部2Hの正面寄りの位置および背面寄りの位置にそれぞれ収容したり、上下方向、および/または左右方向に並べた複数の「第3熱交換器(熱交換器)」を上方収容部2Hの正面寄りの位置および背面寄りの位置にそれぞれ収容したりすることもできる(図示せず)。
【0035】
また、図1に示すように、本例では、筐体2の上方収容部2Hにおける左側面および右側面の両側面(同図では右側面のみを図示している)が、左右両側面における正面寄りの位置に配置されて、正面寄りの両熱交換器11,22の側方に配設された側面パネル41f、左右両側面における背面寄りの位置に配設されて、背面寄りの両熱交換器11,22の側方に配設された側面パネル41r、および両側面パネル41f,41rの間に配設された側面パネル41cの3つのパネル(以下、「側面パネル41f,41r,41c」を区別しないときには「側面パネル41」ともいう)によって垂直な平面状に形成されている。なお、「○○熱交換器の側方に配設された□□パネル」とは、「○○熱交換器の側面に対向配置された□□パネル」を意図しており、詳しくは、「側面視において、○○熱交換器の全体、またはほぼ全体(少なくとも、側面視における○○熱交換器の3/4以上)と重なる大きさの□□パネルであり、かつ○○熱交換器の全体、またはほぼ全体(少なくとも、側面視における○○熱交換器の3/4以上)と重なる位置に配設されている□□パネル」を意図している。
【0036】
また、本例のチラー1では、側面パネル41fが、請求項1記載の本願発明における「正面寄りの位置に収容されている第1熱交換器の側方に配設された第1パネル」に相当すると共に、請求項4記載の本願発明における「正面寄りの位置に収容されている熱交換器の側方に配設されたパネルA」に相当する。また、本例のチラー1では、側面パネル41rが、請求項1記載の本願発明における「背面寄りの位置に収容されている第1熱交換器の側方に配設された第2パネル」に相当すると共に、請求項4記載の本願発明における「背面寄りの位置に収容されている熱交換器の側方に配設されたパネルB」に相当する。さらに、本例のチラー1では、側面パネル41cが、請求項1記載の本願発明における「第1パネルと第2パネルとの間に配設された第3パネル」に相当すると共に、請求項4記載の本願発明における「パネルAとパネルBとの間に配設されたパネルC」に相当する。
【0037】
この場合、本例のチラー1(筐体2)では、熱交換器11,22の収容姿勢(傾斜)に合わせて両側面パネル41f,41rが側面視V字状(逆ハ字状)となるように配設されると共に、側面パネル41cが側面視逆三角形状に形成されて両側面パネル41f,41rの間に配設されている。また、本例のチラー1(筐体2)では、両側面パネル41f,41rの外表面が面一、またはほぼ面一となり、かつ側面パネル41cの外表面が側面パネル41f,41rの外表面よりも内側(筐体2の幅方向における内側)に位置した状態(筐体2の側面が平面視において凹状となる状態)となるように各側面パネルが配置されている。これにより、複数台のチラー1を横並びに連設して設置する際に、隣接するチラー1,1の側面パネル41f,41f同士や側面パネル41r,41r同士を密着(または、ほぼ密着)させたとしても、隣接するチラー1,1の側面パネル41c,41c同士が密着せずに、側面パネル41c,41cの間に隙間が生じた状態となるため、後述するように、側面パネル41cから筐体2の外に効率良く放熱することが可能となる。
【0038】
さらに、上方収容部2Hの上面は、前述の排気口Hoが形成された上面パネル51によって水平な平面状に形成されている。なお、前述のファン25は、この上面パネル51に固定されている。
【0039】
また、筐体2の下方収容部2Lにおける正面は、左側に配設された正面パネル31l、右側に配設された正面パネル31r、および両正面パネル31l,31rの間に配設された正面パネル31cの3つのパネル(「正面パネル」の一例:以下、「正面パネル31l,31r,31c」を区別しないときには「正面パネル31」ともいう)で構成されている。さらに、下方収容部2Lの背面は、背面パネル32(「背面パネル」の一例)で構成されている。この場合、背面パネル32は、1枚、または、左右方向で分割された2つのパネルで構成されている。
【0040】
また、下方収容部2Lにおける左側面および右側面の両側面(図1では右側面のみを図示している)は、正面寄りの位置に配置された側面パネル33f、背面寄りの位置に配設された側面パネル33r、および両側面パネル33f,33rの間に配設された側面パネル33cの3つのパネル(以下、「側面パネル33f,33r,33c」を区別しないときには「側面パネル33」ともいう)によって垂直な平面状に形成されている。また、図示を省略するが、下方収容部2Lの上面(上方収容部2Hの底面)には、下方収容部2Lと上方収容部2Hとを仕切る水平な平面状の仕切パネルが配設されている。
【0041】
この場合、上記の正面パネル31、背面パネル32、各側面パネル33、各側面パネル41、上面パネル51および仕切パネルは、外表面に塗膜が形成された金属製の薄板でそれぞれ構成されている。また、本例のチラー1では、側面パネル41f、側面パネル41rおよび上面パネル51(図1において左下がりの斜線で塗り潰されている領域)の外面側の遮熱能力が側面パネル41c(図1において右下がりの斜線で塗り潰されている領域)の外面側の遮熱能力よりも高く、かつ側面パネル41cの外面側の放熱能力が側面パネル41f、側面パネル41rおよび上面パネル51の外面側の放熱能力よりも高くなるように形成されている。さらに、本例のチラー1では、正面パネル31、背面パネル32および側面パネル33(図1において左下がりの斜線で塗り潰されている領域)の外面側の遮熱能力が、側面パネル41f、側面パネル41rおよび上面パネル51の外面側の遮熱能力と同様で、かつ側面パネル41cの外面側の遮熱能力よりも高くなるように形成されている。
【0042】
具体的には、本例のチラー1における筐体2では、一例として、粉体焼付塗装によって各パネルの外面側に塗膜が形成され(各パネルの外表面が塗装され)ており、各パネルの外面側に付与すべき遮熱能力や放熱能力に応じて塗膜を構成する塗料が選択されている。より具体的には、本例のチラー1では、側面パネル41cの塗膜よりも側面パネル41f,41rおよび上面パネル51の塗膜の方が遮熱能力が高くなり、かつ側面パネル41f,41rおよび上面パネル51の塗膜よりも側面パネル41cの塗膜の方が放熱能力が高くなるようにそれぞれの塗料が選択されている。また、本例のチラー1では、上面パネル51の塗膜よりも各正面パネル31、背面パネル32および各側面パネル33の塗膜の方が遮熱能力が高くなるようにそれぞれの塗料が選択されている。さらに、本例のチラー1では、側面パネル41f,41rおよび上面パネル51の塗膜と各正面パネル31、背面パネル32および各側面パネル33の塗膜の双方の遮熱能力が同程度となるようにそれぞれの塗料が選択されている。
【0043】
この場合、太陽光の照射に起因して各パネルに生じる温度変化の温度域においては、暗色の塗膜よりも明色の塗膜の方がパネル外表面の遮熱能力が高くなる。したがって、本例のチラー1では、上方収容部2H内の正面寄りの位置に収容されている熱交換器11,22の側方に配設された側面パネル41f,41f、上方収容部2H内の背面寄りの位置に収容されている熱交換器11,22の側方に配設された側面パネル41r,41r、および筐体2(上方収容部2H)の上面を構成する上面パネル51や、下方収容部2Lの正面、背面および左右両側面を構成する各正面パネル31、背面パネル32および各側面パネル33については、その外表面に明色(一例として、白色)の塗膜が形成されるような塗料を選択して塗装を施すことで、各側面パネル41f,41r、上面パネル51、各正面パネル31、背面パネル32および各側面パネル33の外面側の遮熱能力を向上させている。
【0044】
また、熱交換器11,22からの放熱に起因して各パネルに生じる温度変化の温度域においては、明色の塗膜よりも暗色の塗膜の方がパネル外表面の放熱能力が高くなる。したがって、本例のチラー1では、熱交換器11,22の通過によって温度上昇した空気が接する各側面パネル41cについては、その外表面に暗色(一例として、灰色、青色および緑色など)の塗膜が形成されるような塗料を選択して塗装を施すことで、各側面パネル41cの外面側の放熱能力を向上させている。
【0045】
さらに、本例のチラー1では、各側面パネル41f,41rおよび上面パネル51と、各側面パネル41cとの間に断熱材(図示せず)が配設されている。これにより、各側面パネル41cからの伝熱に起因する各側面パネル41f,41rおよび上面パネル51の温度上昇が回避される構成となっている。
【0046】
このチラー1は、地上、或いは建屋の屋上に設置される。この場合、複数台のチラー1を連設して設置することもできるが、構成および動作に関する理解を容易とするために、1台のチラーを単独で設置したものとして説明する。また、「第1熱媒液」としての水については、一例として供給対象を冷却した(温度調整した)水をチラー1によって冷却(温度調整)して供給対象に再び供給する循環路(図示せず)内を循環させるものとする。
【0047】
このチラー1では、ポンプ7が制御部8の制御に従って水を圧送することにより、上記の循環路内の水が、熱交換器12および熱交換器24をこの順で通過して供給対象に供給される。ここで、本例のチラー1では、外気温や、供給対象において必要とされる冷却熱量に応じて、フリークーリング部3のみで水を冷却して供給する第1動作モード、冷凍サイクル4のみで水を冷却して供給する第2動作モード、およびフリークーリング部3と冷凍サイクル4とで水を冷却して供給する第3動作モードの3種類の動作モードのいずれかで動作するように構成されている。
【0048】
例えば、外気温が低い冬期において供給対象において必要とされる冷却熱量が過剰に多くないときには、第1動作モードで水の冷却が行われる。この第1動作モードでは、ポンプ13が制御部8の制御に従ってブラインを圧送することにより、熱交換器11,11と熱交換器12との間でブラインが循環させられる。また、ファン25が制御部8の制御に従って上方収容部2H内の空気を排気口Hoから排気することにより、両導入口Hiから上方収容部2H内に新たな空気が導入される。これにより、導入口Hiから導入された空気とブラインとの熱交換器11における熱交換によって空気の温度が上昇させられると共にブラインの温度が低下させられる。
【0049】
また、温度上昇させられた空気は、ファン25によって排気口Hoから排気され、温度低下させられたブラインは、ポンプ13による圧送によって熱交換器12に供給される。これにより、熱交換器11から圧送されるブラインとポンプ7によって圧送されている水との熱交換器12における熱交換によってブラインの温度が上昇させられると共に水の温度が低下させられる。また、熱交換器12において温度上昇させられたブラインは、ポンプ13によって熱交換器11,11に圧送された再び冷却され、熱交換器12において冷却された水は、熱交換器24を通過して供給対象に供給される。以上により、チラー1から供給される水によって冷却対象が冷却(温度調整)される。
【0050】
一方、外気温が高い夏季の日中においては、第2動作モードで水の冷却が行われる。この第2動作モードでは、圧縮機21が制御部8の制御に従って冷媒を圧縮することにより、熱交換器22に高温高圧の冷媒が圧送される。また、ファン25が制御部8の制御に従って上方収容部2H内の空気を排気口Hoから排気することにより、両導入口Hiから上方収容部2H内に新たな空気が導入される。これにより、導入口Hiから導入された空気と高温高圧の冷媒との熱交換器22における熱交換によって空気の温度が上昇させられると共に冷媒の温度が低下させられて凝縮させられる。
【0051】
また、温度上昇させられた空気は、ファン25によって排気口Hoから排気され、凝縮させられた冷媒は、膨張弁23を通過して熱交換器24に供給される。これにより、供給される冷媒とポンプ7の圧送によって熱交換器12を介して供給される水との熱交換器24における熱交換によって冷媒の温度が上昇させられて気化させられると共に水の温度が低下させられる。また、熱交換器24において温度上昇させられた冷媒は、圧縮機21によって圧縮されて再び熱交換器22,22に供給され、熱交換器24において冷却された水は、供給対象に供給される。以上により、チラー1から供給される水によって冷却対象が冷却(温度調整)される。
【0052】
また、外気温が過剰に高くなく、フリークーリング部3によって水を冷却可能であるものの、フリークーリング部3による冷却だけでは供給対象において必要とされる冷却熱量に達することができないときには、第3動作モードで水の冷却が行われる。この第3動作モードでは、詳細な説明を省略するが、上記の第1動作モードにおけるフリークーリング部3による水の冷却と、第2動作モードにおける冷凍サイクル4による水の冷却とが並行して実行される。この場合、省エネルギー化を目的としてフリークーリング部3を設けている本例のチラー1では、フリークーリング部3による水の冷却を前提とし、不足する冷却熱力を冷凍サイクル4による水の冷却で補うようにフリークーリング部3および冷凍サイクル4のそれぞれの動作が制御される。これにより、第1動作モードおよび第2動作モードでの動作時と同様にして、チラー1から供給される水によって冷却対象が冷却(温度調整)される。
【0053】
この場合、本例のチラー1では、各側面パネル41f,41rおよび上面パネル51の外面側の遮熱能力が向上させられている。したがって、チラー1の筐体2に対して太陽光が照射された状態においても、各熱交換器11,22の側方(近傍)に配置されている各側面パネル41f,41rおよび上面パネル51の温度上昇量が十分に小さくなっている。これにより、各側面パネル41f,41rおよび上面パネル51からの輻射熱によって各熱交換器11,22が温度上昇させられて熱交換器11におけるブラインの冷却効率や熱交換器22における冷媒の冷却効率が低下する事態が好適に回避される。このため、いずれの動作モードで動作しているかに拘わらず、筐体2に対して太陽光が照射されている状態における水の冷却効率の低下を十分に抑制することが可能となっている。
【0054】
また、本例のチラー1では、各側面パネル41cの外面側の放熱能力が向上させられている。したがって、熱交換器11の通過に伴って温度上昇した空気との接触(第1動作モードや第3動作モードでの動作時)や、熱交換器22の通過に伴って温度上昇した空気との接触(第2動作モードや第3動作モードでの動作時)に起因して各側面パネル41cが温度上昇したとしても、この熱が側面パネル41cの外面から好適に放熱される。これにより、各側面パネル41cからの輻射熱によって各熱交換器11,22が温度上昇させられて熱交換器11におけるブラインの冷却効率や熱交換器22における冷媒の冷却効率が低下する事態が好適に回避される。このため、いずれの動作モードで動作しているかに拘わらず、水の冷却効率の低下を十分に抑制することが可能となっている。
【0055】
さらに、本例のチラー1では、前述したように、各側面パネル41f,41rおよび上面パネル51と、各側面パネル41cとが断熱されている。これにより、各側面パネル41cが温度上昇したとしても、側面パネル41cからの伝熱に起因して各側面パネル41f,41rや上面パネル51が温度上昇する事態が回避される。これにより、各側面パネル41f,41rおよび上面パネル51からの輻射熱によって各熱交換器11,22が温度上昇させられて熱交換器11におけるブラインの冷却効率や熱交換器22における冷媒の冷却効率が低下する事態が好適に回避される。このため、いずれの動作モードで動作しているかに拘わらず、筐体2に対して太陽光が照射されている状態における水の冷却効率の低下を十分に抑制することが可能となっている。
【0056】
また、本例のチラー1では、各正面パネル31、背面パネル32および各側面パネル33の外面側の遮熱能力が向上させられている。したがって、チラー1の筐体2に対して太陽光が照射された状態においても、下方収容部2Lを構成する各正面パネル31、背面パネル32および各側面パネル33の温度上昇量が十分に小さくなっている。これにより、各正面パネル31、背面パネル32および各側面パネル33からの輻射熱によって下方収容部2L内が温度上昇させられて熱交換器12,24、圧縮機21、制御部8および電源部9などが温度上昇させられる事態が回避される結果、熱交換器12,24における水の冷却効率が低下する事態や、圧縮機21、制御部8および電源部9などの動作不良が生じる事態が好適に回避される。このため、いずれの動作モードで動作しているかに拘わらず、筐体2に対して太陽光が照射されている状態における水の冷却効率の低下を十分に抑制し、正常に動作し得る状態を好適に維持することが可能となっている。
【0057】
なお、図示および詳細な説明を省略するが、複数台のチラー1,1・・を横並びに連設して設置したときには、隣接する2台のチラー1,1のうちの左方のチラー1における右側面と右方のチラー1における左側面とが接した状態(或いは、極く近距離に接近させられた状態)となる。このような設置状態においても、左方の端に設置されたチラー1における左方の側面や、右方の端に設置されたチラー1における右方の側面には、太陽光が照射されることがあるため、上記のように、この側面の側面パネル41f,41rおよび上面パネル51や各側面パネル33の遮光能力を向上させ、かつ側面パネル41cの放熱能力を向上させることで、両チラー1,1による水の冷却効率の低下を抑制することが可能となっている。また、前述のように隣接するチラー1,1における側面パネル41c,41c間に隙間が生じた状態となるため、隣接するチラー1,1の側面パネル41c,41cからそれぞれ好適に放熱することが可能となっている。
【0058】
このように、このチラー1では、正面寄りの位置に収容されている熱交換器22の側方に配設された側面パネル41f、背面寄りの位置に収容されている熱交換器22の側方に配設された側面パネル41r、および側面パネル41f,41rの間に配設された側面パネル41cによって両側面がそれぞれ構成されると共に、側面パネル41f,41rおよび上面パネル51の外面側の遮熱能力が側面パネル41cの外面側の遮熱能力よりも高く、かつ側面パネル41cの外面側の放熱能力が側面パネル41f,41rおよび上面パネル51の外面側の放熱能力よりも高くなるように筐体2の上方収容部2Hが形成されている。
【0059】
したがって、このチラー1によれば、側面パネル41f,41rおよび上面パネル51における外面側の遮熱能力が高いことで、筐体2に対して太陽光が照射された状態においても、側面パネル41f,41rおよび上面パネル51が過剰に温度上昇させられることがないため、側面パネル41f,41rおよび上面パネル51からの輻射熱によって熱交換器22,22が温度上昇させられて熱交換器22における空気と冷媒との熱交換効率(すなわち、冷媒の冷却効率)が低下させられる事態を好適に回避することができる。また、側面パネル41cにおける外面側の放熱能力が高いことで、熱交換器22,22の通過によって温度上昇した空気との接触によって側面パネル41cの温度が上昇したとしても、この熱が側面パネル41cにおける外面側から上方収容部2H外の空気にスムースに放熱されるため、側面パネル41cからの輻射熱によって熱交換器22,22が温度上昇させられて熱交換器22における空気と冷媒との熱交換効率(すなわち、冷媒の冷却効率)が低下させられる事態を好適に回避することができる。したがって、このチラー1によれば、供給対象に供給する水の冷却効率の低下を好適に回避することができる。
【0060】
また、このチラー1によれば、正面パネル31l,31c,31r、背面パネル32および各側面パネル33f,33c,33rの外面側の遮熱能力が側面パネル41cの外面側の遮熱能力よりも高くなるように下方収容部2Lを形成したことにより、筐体2に対して太陽光が照射された状態においても、正面パネル31l,31c,31r、背面パネル32および各側面パネル33f,33c,33rが過剰に温度上昇させられることがないため、正面パネル31l,31c,31r、背面パネル32および各側面パネル33f,33c,33rからの輻射熱によって下方収容部2L内の熱交換器24や熱交換器12が温度上昇させられて、熱交換器24における冷媒と水との熱交換効率(すなわち、水の冷却効率)が低下させられたり、熱交換器12におけるブラインと水との熱交換効率(すなわち、水の冷却効率)が低下させられたりする事態を好適に回避することができると共に、下方収容部2L内の制御部8や電源部9などが温度上昇させられて正常動作が妨げられる事態を好適に回避することができる。
【0061】
さらに、このチラー1によれば、空気との熱交換によって冷媒を凝縮させる熱交換器22、および空気との熱交換によってブラインを冷却する熱交換器11の側方に側面パネル41f,41rを配設したことにより、筐体2に対して太陽光が照射された状態においても、側面パネル41f,41rおよび上面パネル51からの輻射熱によって熱交換器11,22が温度上昇させられて熱交換器11における空気とブラインとの熱交換効率(すなわち、ブラインの冷却効率)が低下させられる事態を好適に回避することができる。したがって、このチラー1によれば、供給対象に供給する水の冷却効率の低下を一層好適に回避することができる。
【0062】
また、このチラー1では、正面寄りの位置に収容されている熱交換器11の側方に配設された側面パネル41f、背面寄りの位置に収容されている熱交換器11の側方に配設された側面パネル41r、および側面パネル41f,41rの間に配設された側面パネル41cによって両側面がそれぞれ構成されると共に、側面パネル41f,41rおよび上面パネル51の外面側の遮熱能力が側面パネル41cの外面側の遮熱能力よりも高く、かつ側面パネル41cの外面側の放熱能力が側面パネル41f,41rおよび上面パネル51の外面側の放熱能力よりも高くなるように筐体2が形成されている。
【0063】
したがって、このチラー1によれば、側面パネル41f,41rおよび上面パネル51における外面側の遮熱能力が高いことで、筐体2に対して太陽光が照射された状態においても、側面パネル41f,41rおよび上面パネル51が過剰に温度上昇させられることがないため、側面パネル41f,41rおよび上面パネル51からの輻射熱によって熱交換器11,11が温度上昇させられて熱交換器11,11における空気とブラインとの熱交換効率が低下させられる事態を好適に回避することができる。また、側面パネル41cにおける外面側の放熱能力が高いことで、熱交換器11,11の通過によって温度上昇した空気との接触によって側面パネル41cの温度が上昇したとしても、この熱が側面パネル41cにおける外面側から筐体2外の空気にスムースに放熱されるため、側面パネル41cからの輻射熱によって熱交換器11,11が温度上昇させられて熱交換器11,11における空気とブラインとの熱交換効率が低下させられる事態を好適に回避することができる。したがって、このチラー1によれば、熱交換器12に供給するブラインの冷却効率、ひいては、供給対象に供給する水の冷却効率の低下を好適に回避することができる。
【0064】
また、このチラー1によれば、外表面に塗膜が形成された金属製の薄板によって筐体2の各パネル31,32,33,41,51を構成すると共に、塗膜を構成する塗料の相違によって遮熱能力および放熱能力を相違させたことにより、パネル自体の材質や厚み等を相違させて遮熱能力や放熱能力を相違させる構成と比較して、製造コストの高騰を招くことなく、各パネル31,32,33,41,51の遮熱能力や放熱能力を確実かつ容易に相違させることができる。
【0065】
なお、「温度調整装置」の構成は、上記のチラー1の構成の例に限定されない。
【0066】
例えば、フリークーリング部3および冷凍サイクル4を備えた構成を例に挙げて説明したが、フリークーリング部3を備えない構成(冷凍サイクル4のみで水を冷却する構成)を採用することもできる。このような構成を採用した場合においても、熱交換器22,22の側方に配設される側面パネル41f,41r、および熱交換器22,22の上方に配設される上面パネル51を上記のチラー1と同様の構成とする(遮熱能力を向上させる)ことにより、太陽光が照射される状態での冷凍サイクル4による水の冷却効率の低下を好適に回避することができ、側面パネル41cを上記のチラー1と同様の構成とする(放熱能力を向上させる)ことにより、側面パネル41cの温度上昇に起因する冷凍サイクル4による水の冷却効率の低下を好適に回避することができる。
【0067】
また、冷凍サイクル4を備えない構成(フリークーリング部3と同様の構成によってチラー1の構成におけるブラインに代えてフリークーリング部3によって水を冷却する構成)を採用することもできる。このような構成を採用した場合においても、熱交換器11,11の側方に配設される側面パネル41f,41r、および熱交換器11,11の上方に配設される上面パネル51を上記のチラー1と同様の構成とする(遮熱能力を向上させる)ことにより、太陽光が照射される状態でのフリークーリング部3による水の冷却効率の低下を好適に回避することができ、側面パネル41cを上記のチラー1と同様の構成とする(放熱能力を向上させる)ことにより、側面パネル41cの温度上昇に起因するフリークーリング部3による水の冷却効率の低下を好適に回避することができる。
【0068】
また、各パネル31,32,33,41,51の外表面に形成される塗膜を構成する塗料の相違(本例では、明色および暗色の相違)によって遮熱能力および放熱能力を相違させたチラー1の構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて(または、このような構成に加えて)、パネル表面(塗膜を形成した場合には塗膜表面)の粗さの相違によって遮熱能力や放熱能力を相違させる構成を採用することもできる。この場合、表面の粗さの度合いが小さいほど太陽光が好適に反射されることで遮熱能力が高くなり、表面の粗さの度合いが大きいほど空気との接触面積が大きくなることで放熱能力が高くなるため、遮熱能力を向上させるべきパネルについては、塗装方法や塗料の選択、または各種表面処理の実施によって表面の粗さの度合いを小さくし、放熱能力を向上させるべきパネルについては、塗装方法や塗料の選択、または各種表面処理の実施によって表面の粗さの度合いを大きくすればよい。さらに、求められる遮熱能力や放熱能力に応じて、外表面の色や表面の粗さの度合いが相違する各種のパネル形成材料で各パネル31,32,33,41,51を形成する(塗膜や表面処理の有無によらず材料の選択によって遮熱能力や放熱能力を調整する)こともできる。
【0069】
加えて、水(真水)を「熱媒液(第1熱媒液)」として使用する構成のチラー1を例に挙げて説明したが、水以外の各種の液体を「熱媒液(第1熱媒液)」として使用する構成を採用することができる。同様にして、ブラインを「第2熱媒液」として使用する構成のチラー1を例に挙げて説明したが、ブライン以外の各種の液体を「第2熱媒液」として使用する構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 チラー
2 筐体
2H 上方収容部
2L 下方収容部
3 フリークーリング部
4 冷凍サイクル
5 操作部
6 表示部
7,13 ポンプ
8 制御部
9 電源部
11,12,22,24 熱交換器
21 圧縮機
23 膨張弁
25 ファン
31l,31c,31r 正面パネル
32 背面パネル
33f,33c,33r,41f,41c,41r 側面パネル
51 上面パネル
Hi 導入口
Ho 排気口
【要約】
【課題】筐体からの輻射熱に起因した熱交換器における冷媒の冷却効率の低下を回避する。
【解決手段】筐体2の上方収容部2Hは、空気の導入口Hiが正面および背面にそれぞれ設けられると共に導入される空気の通過が可能に正面寄りおよび背面寄りの位置にそれぞれ第1熱交換器が収容され、かつ各第1熱交換器を通過させられた空気の排気口Hoが上面パネル51に開口されてファン25が取り付けられ、正面寄りの第1熱交換器の側方に配設された側面パネル41f、背面寄りの第1熱交換器の側方に配設された側面パネル41r、およびパネル41f,41rの間に配設された側面パネル41cによって両側面がそれぞれ構成されると共に、パネル41f,41r,51の外面側の遮熱能力がパネル41cの外面側の遮熱能力よりも高く、かつパネル41cの外面側の放熱能力がパネル41f,41r,51の外面側の放熱能力よりも高くなるように形成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3