(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】3次元等方性メタマテリアル、その製造方法、及びそのメタマテリアルを備えたテラヘルツ領域光学素子
(51)【国際特許分類】
H01P 1/00 20060101AFI20220831BHJP
H01Q 15/02 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
H01P1/00 Z
H01Q15/02
(21)【出願番号】P 2021508581
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2019013481
(87)【国際公開番号】W WO2020194640
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【氏名又は名称】赤羽 修一
(72)【発明者】
【氏名】金森 義明
(72)【発明者】
【氏名】羽根 一博
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/008551(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0275593(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0325348(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/00
H01Q 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明樹脂体にメタアトムを埋設してなるメタアトム埋設ブロック片の集積体が、さらに透明樹脂体中に内包されていることを特徴とする3次元等方性メタマテリアル。
【請求項2】
前記メタアトムがSRRである請求項1に記載の3次元等方性メタマテリアル。
【請求項3】
前記メタアトム埋設ブロック片が、前記メタアトム埋設ブロック片を構成する前記透明樹脂体の中央部またはその近傍に前記SRRを埋設してなるSRR埋設ブロック片である請求項2に記載の3次元等方性メタマテリアル。
【請求項4】
前記SRR埋設ブロック片のサイズが、リング幅wが1μm以上、平均半径rが1~500μm、周期(一片)aが3~3000μmである請求項
3に記載の3次元等方性メタマテリアル。
【請求項5】
前記SRRが導電体からなる請求項4に記載の3次元等方性メタマテリアル。
【請求項6】
前記導電体が、金属材料、透明導電性酸化物及び炭素材料からなる群から選択される少なくとも1種である請求項5に記載の3次元等方性メタマテリアル。
【請求項7】
前記透明樹脂体の材料が、テラヘルツ領域の光に対して透明な非導電性材料である請求項1~6のいずれかに記載の3次元等方性メタマテリアル。
【請求項8】
透明樹脂フィルム(1a)上に導電体膜を形成し、エッチングによりメタアトムブロック集合体を形成する工程(P1);前記メタアトムブロック集合体上に透明樹脂溶液をコーティングした後、透明樹脂フィルム(1b)を貼合する工程(p2);乾燥した後、前記透明樹脂フィルム(1a)を基板シート(2)に接合する工程(p3);前記メタアトムブロック集合体を所定サイズにダイシングした後メタアトムが透明樹脂体(1)中に埋設されたメタアトム埋設ブロック片として前記基板シート(2)から剥離する工程(p4);モールド(型)内で前記メタアトム埋設ブロック片を透明樹脂溶液に均一に分散した後硬化させ、硬化成形体を型から取り出す工程(p5)を含むことを特徴とする3次元等方性メタマテリアルの製造方法。
【請求項9】
前記メタアトムブロック集合体がSRRブロック集合体であり、前記メタアトム埋設ブロック片がSRR埋設ブロック片である請求項8に記載の3次元等方性メタマテリアルの製造方法。
【請求項10】
前記SRR埋設ブロック片が、リング幅wが1μm以上、平均半径rが1~500μm、周期(一片)aが3~3000μmである請求項9に記載の3次元等方性メタマテリアルの製造方法。
【請求項11】
前記
導電体膜の導電体が、金属材料、透明導電性酸化物及び炭素材料からなる群から選択される少なくとも1種である請求項8~10のいずれかに記載の3次元等方性メタマテリアルの製造方法。
【請求項12】
前記透明樹脂フィルム及び前記透明樹脂溶液の樹脂材料が、テラヘルツ領域の光に対して透明な非導電性材料である請求項8~11のいずれかに記載の3次元等方性メタマテリアルの製造方法。
【請求項13】
請求項1~7のいずれかに記載の3次元等方性メタマテリアルを備えた物品。
【請求項14】
前記物品がテラヘルツ領域光学素子である請求項13に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3次元等方性メタマテリアルに関する。さらに詳しく言えば、3次元等方性メタマテリアル、それを備えたテラヘルツ領域光学素子及び3次元等方性メタマテリアルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テラヘルツ波は、周波数が0.1~10THz程度の電磁波であり、物質固有の指紋スペクトルと高い透過性を有し、生体への影響が少ないことからセキュリティや医療面のセンシングに利用できると考えられ近年盛んに研究が行われている。例えば、封筒中の薬物をテラヘルツ波の透過スペクトルの違いから判別することに成功したとの報告がある(Optics Express,vol.11,2549~2554,2003;非特許文献1)。
【0003】
しかし、テラヘルツ領域におけるセンシング技術は未発達である。その理由はテラヘルツ帯において光学素子として使用できる低損失の材料は表1に示す程度あり、設計自由度が小さいことが挙げられる。
【0004】
【0005】
そこで、透過や屈折などの光学特性を制御できる材料として、波長より小さな微小金属で構成される人工構造体であるメタマテリアルが提案されている。テラヘルツ領域においては、ポリマーフィルム上に金属製ワイヤーのパターンを製作することにより、特定の周波数において、従来の材料の2倍以上の屈折率を得られることが示されており(Infrared Milli Terahz Waves,vol.38,1130~1139,2017;非特許文献2)、小型化で高性能なレンズやプリズム等への利用が期待される。
図1に示すスプリットリング共振器(Split Ring Resonator;以下、SRRと略記する。)はリングの一部にギャップを設けたもので、ギャップ部分をキャパシタンスとしたLC共振回路とみなすことができ、原理的に共振周波数付近で屈折率を変化させることができる(Optics Letters,vol.30,1348~1350,2005;非特許文献3)。
【0006】
非特許文献2及び3に記載のメタマテリアルはいずれも平面周期構造であり、応答は特定の入射方向に限られる。しかし、実際には全入射方向に対して同じように応答する構造が求められる。また、電磁波との相互作用距離を十分確保するためミリメートル(mm)オーダー以上の厚み構造も求められる。
この課題を解決するためには、微細構造によって等方的な光学特性を有する3次元的構造を持つメタマテリアルが必要となる。しかし、一般に用いられているリソグラフィ法では、厚みのある構造を作ることが困難であり、新たな手法が求められている。
【0007】
3次元メタマテリアルとして、これまでに樹脂壁面にSRRを製作する方法が提案されている(Adv.Mater.vol.22,5053~5057,2010;非特許文献4)。これは、基板平面外に一つの層を構築するものであり、製作可能な厚さに限界がある。また、基板上にSRRをパターニングした層を重ね合わせたメタマテリアルが報告されている(Nature Materials,vol.7,31~37,2008;非特許文献5)。非特許文献5によれば製作可能な厚さの制限はなくなるが、SRRの向きに制限があり、方向によって特性が変わるという問題がある。従って、現状では完全な等方性を持つメタマテリアルの実現に至っていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Optics Express,vol.11,2549~2554 (2003)
【文献】Infrared Milli Terahz Waves,vol.38,1130~1139(2017)
【文献】Optics Letters,vol.30,1348~1350 (2005)
【文献】Adv.Mater.,vol.22,5053~5057(2010)
【文献】Nature Materials,vol.7,31~37(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、SRRなどのメタアトム(メタマテリアル単位構造)が透明媒体(樹脂)中に3次元的に方向依存無く分散するように埋設したメタマテリアル及びその製造方法を提供すること、及び製作したメタマテリアルが所望の光学特性(等方性、屈折率制御性)を有することを検証することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、発明を実施するための形態の項(後述する。)で説明する方法により3次元等方性テラヘルツ領域用メタマテリアル構造について、3次元モデルの設計(計算と応答)、製作及び実験を行い、有限積分法(FIT)による計算でランダムな構造を持つ3次元メタマテリアルの有用性を示し、SRRがシクロオレフィンポリマー(COP)中に方向依存無く分散した3次元メタマテリアルの製作方法を確立し、製造したメタマテリアルについて光学特性(等方性、屈折率制御性)を測定して、製作した3次元メタマテリアルが平面の周期構造と比較して偏光依存性が解消されていることを検証し確認した。そして、製作した3次元メタマテリアルにより0.35THz帯で屈折率1.50~1.60、0.7THz帯で屈折率1.43~1.60が実現することを確認し本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は下記[1]~[14]の3次元等方性メタマテリアル、その製造方法及びそのメタマテリアルを備えた物品を提供する。
[1] 透明樹脂にメタアトムを埋設してなるメタアトムブロック片の集積体を透明樹脂体中に含むことを特徴とする3次元等方性メタマテリアル。
[2] メタアトムがSRRである前項1に記載の3次元等方性メタマテリアル。
[3] 透明樹脂立方体の中央部またはその近傍にSRRを埋設してなるSRRブロック片集積体を透明樹脂体中に含む前項2に記載の3次元等方性メタマテリアル。
[4] SRRブロックのサイズが、リング幅wが1μm以上、平均半径rが1~500μm、周期(一片)aが3~3000μmである前項2または3に記載の3次元等方性メタマテリアル。
[5] SRRが導電性材料(導電体)からなる前項4に記載の3次元等方性メタマテリアル。
[6] 前記導電体が、金属材料、透明導電性酸化物及び炭素材料からなる群から選択される少なくとも1種である前項5に記載の3次元等方性メタマテリアル。
[7] 透明樹脂体の材料が、テラヘルツ領域の光に対に対して透明な非導電性材料である前項1~6のいずれかに記載の3次元等方性メタマテリアル。
[8] 透明樹脂フィルム(1a)上に導電体膜を形成し、 エッチングによりメタアトムブロック集合体を形成する工程(P1);前記メタアトムブロック集合体上に透明樹脂溶液をコーティングした後、透明樹脂フィルム(1b)を貼合する工程(p2);乾燥した後、前記透明樹脂フィルム(1a)を基板シート(2)に接合する工程(p3);メタアトムブロック集合体を所定サイズにダイシングした後メタアトムが透明樹脂(1)中に埋設されたブロック片として基板シート(2)から剥離する工程(p4);モールド(型)内でメタアトム埋設ブロック片を透明樹脂溶液に均一に分散した後硬化させ、硬化成形体を型から取り出す工程(p5)を含むことを特徴とする3次元等方性メタマテリアルの製造方法。
[9] メタアトムブロックがSRRブロックである前項8に記載の3次元等方性メタマテリアルの製造方法。
[10] SRRブロックのサイズが、リング幅wが1μm以上、平均半径rが1~500μm、周期(一片)の長さaが3~3000μmである前項9に記載の3次元等方性メタマテリアルの製造方法。
[11] 前記導電体が、金属材料、透明導電性酸化物及び炭素材料からなる群から選択される少なくとも1種である前項8~10のいずれかに記載の3次元等方性メタマテリアルの製造方法。
[12] 透明樹脂フィルム及び透明樹脂溶液の樹脂材料が、テラヘルツ領域の光に対に対して透明な非導電性材料である前項8~11のいずれかに記載のテラヘルツ領域光学素子用3次元等方性メタマテリアルの製造方法。
[13] 前項1~7のいずれかに記載の3次元等方性メタマテリアルを備えた物品。
[14] 前記物品がテラヘルツ領域光学素子である前項13に記載の物品。
【発明の効果】
【0012】
本発明による3次元等方性メタマテリアル及びそれを備えたテラヘルツ領域光学素子の実現によって、物質固有の指紋スペクトル及び高い透過性を有し、生体への影響が少ないテラヘルツ波(周波数0.1~10THz)の電磁波の利用が現実的となった。3次元等方性メタマテリアルは、テラヘルツ領域光の応用分野は特に限定されないが、例えば、角度依存性のないフィルタ、薄型のレンズ、プリズムを用いた分光器などの応用が挙げられる。
さらに、テラヘルツ領域光学素子に用いられる場合には、例えば、テラヘルツ用透明マント、ステルス技術搭載製品(テラヘルツ波反射・吸収抑制技術)、電波障害解消技術搭載製品(テラヘルツ波の方向を操作)、高感度超小型アンテナ、ICタグ、高角度ビーム走査アンテナ、近接場顕微鏡装置、高効率ディテクタ、テラヘルツ波帯光導波路・光ファイバ、危険物検査装置、空港用セキュリティ検査装置、ボディースキャナー(金融・情報端末室・空港などで使用)、薬物検査装置、生体認証装置(金融・情報端末室・空港などで使用)、食品品質安全検査装置、食品品質管理装置、農作物検査装置、医薬品検査装置、バイオチップ・DNA分析装置、癌診断装置、半導体ウェハ評価装置、LSI不良検査装置、大気環境分析装置などの応用に係る物品やシステム、装置等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】SRRの動作原理図(a)及びSRRの等価回路図(b)である。
【
図4】SRRの電気的応答(1)及び磁気的応答(2)動作の説明図である。
【
図5】SRRの電気的応答(1)及び磁気的応答(2)の透過特性を示す。
【
図7】SRRの周期変化による応答周波数シフトを示す。
【
図8】SRRをy軸に関して90°回転させた2次元モデルを示す。
【
図9】SRRをx軸に関して回転させた透過特性の変化を示す。
【
図10】SRRをy軸に関して回転させた透過特性の変化を示す。
【
図11】SRRをz軸に関して回転させた透過特性の変化を示す。
【
図16】3次元モデル(3層)の屈折率特性を示す。
【
図17】SRRの密度変化による透過特性の変化を示す。
【
図18】SRRの寸法変化による透過特性の変化を示す。
【
図19】SRRの層数を変化させた場合の層数と最小透過率、最大屈折率及び最小屈折率の関係を示す。
【
図20】2次元モデルの透過率の入射角依存性を示す。
【
図21】2次元モデルの透過率の偏光依存性を示す。
【
図22】3次元モデルの透過率の入射角依存性を示す。
【
図23】3次元モデルの透過率の偏光依存性を示す。
【
図25】3次元メタマテリアル製作プロセスの1例を示す。
【
図27】ダイシングしたSRRブロックの1例を示す。
【
図29】取出したSRRブロック集合体の写真である。
【
図30】(
図3.21)研磨後のメタマテリアル例の写真である。
【
図31】表面付近(1)から(4)へと焦点位置を深くした3次元メタマテリアルの顕微鏡写真である。
【
図32】COPフィルム上に製作したSRRパターン(a=125μm)の画像である。
【
図33】2種の異なる大きさのSRRブロックにより製作した3次元メタマテリアルの写真である。
【
図34】プリズム形状の3次元メタマテリアルの写真である。
【
図35】SRRフィルムにおける偏光xの電磁場の向きを示す。
【
図36】SRRフィルムの透過特性(r=46μm)を示す。
【
図37】SRRフィルムの屈折率特性(r=46μm)を示す。
【
図38】3次元メタマテリアルにおける偏光xの電磁場の向きを示す。
【
図39】3次元メタマテリアルの透過特性(a=200μm,r=46μm)を示す。
【
図40】3次元メタマテリアルの透過特性(a=200μm,r=46μm)を示す。
【
図41】3次元メタマテリアルの透過特性(a=200μm,r=86μm)を示す。
【
図42】3次元メタマテリアルの屈折率特性(a=200μm,r=86μm)を示す。
【
図43】3次元メタマテリアルの透過特性(a=100μm,r=46μm)を示す。
【
図44】3次元メタマテリアルの屈折率特性(a=100μm,r=46μm)を示す。
【
図45】プリズムによる屈折角検証のイメージ図である。
【
図46】屈折角の周波数特性(r=86μm,a=200μm)を示す。
【
図47】屈折角の周波数特性(r=46μm,a=100μm)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の3次元等方性テラヘルツメタマテリアルの構造について、3次元モデルの設計(計算と応答)、製作及び実験結果の順に説明する。
まず、製作するメタマテリアルの応答を予測するための計算を有限積分法によって行った。初めに、1通りのSRRをxy方向に周期配列したものを2次元モデルとし、電磁波に対する基本応答としてランダム配置では入射波に対して殆どのSRRが斜めに配置されるとしてSRRを傾けた時の応答を調べた(
図2)。そして、SRRの向きを6通りとして、z方向に3層配置したものを3次元モデルとし(
図3)、ランダム構造の応答を予測した。計算方法を決めた後、垂直入射に対する基本応答を調べ、配置がランダムで周期性が無い場合に設計通りの周波数帯で応答を示すか否かをSRRの寸法、周期を変化させて調べ、最後に偏光依存、入射角依存が解消されるか否かを調べた。
【0015】
スプリットリング(SRR)の基本動作を説明する。SRRは、基本的に入射波の電場成分がギャップに沿っているか、磁場成分がリング平面に垂直で磁場がリングを貫く時に特定の周波数で応答を示す。電場応答、磁場応答を示すときの透過特性を
図4及び
図5に示す。0.7THz付近に共通の応答(1次の双極子共鳴でLC共鳴に対応する応答)が見られるが、SRR形状パラメータに依存し周期性の影響が小さいという特徴がある。この応答と他の周波数の応答について、周期(SRR同士の間隔)を変化させたとき1次の共鳴は応答周波数が殆どシフトしないことがわかる(
図6及び
図7)。
【0016】
次に、垂直入射に対してSRRが傾いているときの応答を調べた(
図8~
図11)。
図8にSRRをy軸に関して90°回転させたときの2次元モデルを示す。x軸回転の時はギャップと電場が常に並行で応答成分が失われないため応答は殆ど変化しない(
図9)。y軸(
図10)、z軸(
図11)回転については、LC共鳴を起こす成分が徐々に減少するため応答は弱まるが周波数シフトはない。以上から、電場または磁場に応答する成分が少しでもあれば、一定の周波数で応答を示すことがわかる。
【0017】
次に、製作するSRRランダム配置の3次元メタマテリアルの応答をシミュレーションにより予測した。SRRを各軸に直交するように配置した場合、
図12の(1)~(6)に示す6通りの向きが考えられる。この配置でどの入射方向についてもいずれかのSRRが応答する。この基本配置をベースに、ランダム配置構造とするために各SRRを、x軸、y軸方向にθ回転させて斜めに配置し、垂直入射に対してすべてのSRRが応答するようにし(
図13)、これを3層、同じ向きのものが重ならないよう配設したものを3次元モデルとした(
図14)。このモデルについて、回転角を変えたパターンについてシミュレーションを行い平均化することによりランダムな3次元メタマテリアル構造の特性を予測した。
【0018】
角度を変えて計算した7つの透過特性を平均化すると、0.7テラヘルツ付近で大きく透過が落ち込むことが判明した(
図15)。以上からSRRをランダムに配置しても周期構造と同じ周波数帯で応答を示すと予測できる。屈折率についても対応する周波数帯で変動が見られる(
図16)。
【0019】
次に、周期及びSRRの大きさを変化させた応答の変化をシミュレーションにより調べた。まず、周期を120μmから280μmまで変化させたところ、スペクトル形状は変わるが応答周波数帯は変化しなかった(
図17)。SRRの寸法(平均半径)を46μmから86μmに変化させると低周波側に応答がシフトした(
図18)。周期を変えても応答は変化せずSRRの平均半径を変化させると応答がシフトすることから、3次元モデルの応答は、周期性によるものでなくSRR自体の特性によるものと考えられる。
【0020】
SRR3層配置の上記の3次元モデルに対して、層数を変化させたときの応答の変化を調べた。この計算から、メタマテリアルは厚みが増すほど、透過の落ち込みが大きくなると考えられる(
図19)。
次に、偏光依存性、入射角度依存性を、平面構造と比較した(
図20及び
図21)。入射波の偏光を変化させた場合、平面構造が45°、90°と傾くごとに応答は変化するが、3次元モデルではどれも似た特性を示した。入射角度を40°まで傾けても変わらず、0.7THz付近で応答を示すこと分かった(
図22及び
図23)。以上の結果からSRRをランダムに配置することにより方向依存性は解消できると考えられる。
【0021】
以上の計算結果から、製作するメタマテリアルは周期性にかかわらず特定周波数で応答し、その応答はテラヘルツ波の入射方向に依存しないと予測した。この特性が実現できれば、従来の光学フィルタに存在する方向依存性は解消できるはずである。
【0022】
[3次元メタマテリアルの製作]
3次元メタマテリアルを製作するプロセスの概要のフロー図を、
図24に示す。シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム中にSRRが配列されたものを作り、SRRを1つ1つ分割するようカットし、ブロック状にしたものを集積して成形し、COPの塊の中にSRRブロックを3次元的に分散させるものである。
【0023】
製作プロセスの1例の詳細(工程)を(
図25)(a)~(k)に示す。
透明樹脂フィルム(COPフィルム)(1a)上に金属膜(Au膜)を形成し、フォトリソグラフィによりAu膜をエッチングし、SRRリング幅w(μm)、平均半径r(μm)、周期(一片)の長さa(μm)のSRRブロック集合体を形成し(a)、SRRブロック集合体の上に樹脂溶液(COP溶液)(1b)をコーティングした後(b)、透明樹脂フィルム(COPフィルム)(1b)を貼合する(c)。ここで樹脂フィルムの貼合に代えて、透明樹脂材をスピンコートや、スパッタやCVDなどの技術で成膜してもよい。なお、平均半径r(μm)とは、
図6において図示しているように、SRRリング幅w(μm)の中心までの半径に相当する。
次いで真空乾燥した後(d)、COPフィルム(1c)をテープ状基板(2)に接合する(e)。SRRブロック集合体を個別のSRRブロックにダイシングし(f)、SRR埋設ブロックをテープ状基板(2)から剥離し(g)、SRR埋設ブロックブロック集合体を得る。このSRR埋設ブロックの集合体をモールド(型)(3)に入れ(h)、透明樹脂(COP)(1b)溶液を注入しブロックを均一に分散した後(i)乾燥硬化させる(j)。硬化成形体として3次元メタマテリアル(4)が得られる(k)。
【0024】
スパッタリングには、サンユー電子株式会社製のQUICK COATER SC-701HMCIIを用いた。フォトリソグラフィには、SUSSアライナーを使用した。SRRブロックの設計寸法は、平均半径r=46μm、SRRリング幅w=15μm、ギャップg=10μm、周期(一片)の長さa=200μmとした。SRR同士の間隔(周期)は、ダイシングでカットする幅を考慮し225μmとした。COPフィルムには、日本ゼオン株式会社製の厚さは100μmのZeonorFilm(登録商標)ZF14を使用した。ここでブロック片に切断する方法はダイシングに限られず、刃を押し付ける切断方法、カッターのように切る方法、金型を押し付ける金型プレス加工、ワイヤーソーによる切断、バイトなどの切削工具を用いた精密マシニング加工などでもよい。
【0025】
なお、SRRパターンの描画範囲は6cm×6cmとした(フィルム1枚当たりSRR70756個に相当する。)。
図26に、製作したSRRパターンの顕微鏡写真を示す。表2に示すように、COPフィルム上に十分な精度でSRRを製作することができた。
【0026】
COP溶液の調製には、日本ゼオン株式会社製のCOPペレット(商品名;Zeonex)を使用した。キシレンに、Zeonexを入れて撹拌し完全に溶解させCOP溶液を得た。COPの溶液をスピンコートし、同じフィルムを貼り合わせた。
【0027】
【0028】
[SRRブロックの製作]
ダイシングしたSRRブロックを
図27に示す。一辺の寸法200μmのブロックが精度良く得られた。ブロック内部にSRRが含まれていることが確認できた(
図28)。ダイシング後、ダイシングテープの粘着部分を溶媒(アセトン)に溶解させてブロックを取出し、イソプロピルアルコール(IPA)で洗浄しオーブンで乾燥した。
図29)に示すように粉末状のSRRブロック集合体が得られた。拡大写真(図示せず)で、COPブロック内にSRRが内包されていることが確認できた。
【0029】
[SRRブロックの成形]
製作したSRRブロックをアルミニウム製の型に入れ、COP溶液を用いて成形した。すなわち、SRRブロックを型に入れた後にCOP溶液を注ぎ乾燥させる工程を実施した。成形後のメタマテリアルの両面をムサシノ電子株式会社製のAutomatic Lapping Polishing Machine MA-200Dを使用して研磨した。研磨後のメタマテリアルを
図30に示す。得られたメタマテリアル厚は、200μmのSRRブロック8層の集積に相当する1.6mmであった。
【0030】
[3次元メタマテリアルの製作結果]
製作した3次元メタマテリアルを顕微鏡観察した。メタマテリアル上の1か所について、焦点を合わせる深さを変え観察した写真を
図31に示す。焦点位置が表面付近の(1)から(4)と深くなると異なるSRRが観察され、SRRに方向依存が無くSRRの位置はランダムに3次元的になっており、SRRがCOP中にランダムに分散した3次元メタマテリアルであることが確認された。
図31の各画像について、SRR同士の距離を測定した平均値は226.5μmであった。この結果からCOP中のSRR密度は約86個/mm
3と見積もられた。SRRブロックは一辺200μmの立方体であり、最密充填すると1mm
3当たり125個となる。製作メタマテリアルの密度は最密充填密度に対し約3分の2であることがわかった。r=46μmの上記のSRRに代えてSRRの寸法をr=86μmと変更し3次元メタマテリアルの製作を試み、リング径を86μmでも製作に成功した。
【0031】
[ブロック寸法を変えた場合の製作]
一辺100μmのSRRブロックを製作し、同様に次元メタマテリアルの製作を行った。COPフィルム上にSRRパターンを製作した画像を
図32に示す。この100μm角ブロックを用いて製作した3次元メタマテリアルを、200μm角ブロックを用いて製作した3次元メタマテリアルと共に
図33に示す。100μm角ブロックで製作したメタマテリアルは、200μm角ブロックで製作したものよりも金色が濃く高密度であることが分かる。SRR密度は約647個/mm
3と見積もられた。
【0032】
[3次元メタマテリアルを用いたプリズムの製作]
上記の製作方法によって、プリズム形状のメタマテリアルを製作した。設計寸法はr=86μm、w=15μm、g=10μm、a=200μmとした。これは後述する測定により、r=46μmのものよりも大きな屈折率変化が得られたためである。プリズム形状の成形用型を用意し、前述のメタマテリアルと同様に成形と研磨を行った。製作したメタマテリアルを
図34に示す。
図30に示した円形の3次元メタマテリアルと同様に成形できた。プリズムの内部及び側面の顕微鏡観察でSRRがランダムに分散する様子が確認でき、SRR配置に関して方向依存性はないことが確認された。
【実験例】
【0033】
[テラヘルツ時間領域分光法(THz-TDS)]
製作した3次元メタマテリアルの光学特性をテラヘルツ時間領域分光法(Terahertz Time-Domain Spectroscopy:THz-TDS)によって測定した。なお、THz-TDSは、テラヘルツ波を照射し試料を透過した時の電磁波の波形と試料が無い時の電磁波の波形を測定し、各波形のフーリエ変換スペクトル比からテラヘルツ帯における吸収スペクトルを得る手法である(Terahertz Spectroscopy,J.Phys.Chem.,vol.106,7146~7159,2002、C.R.Acad Sci.,vol.4,983~988,2001)。
【0034】
[メタマテリアルの測定]
メタマテリアルのサンプルに対してテラヘルツ波を垂直入射したときの透過特性を調べた。比較対象として、
図25に示す製作プロセスでフィルム接合を終え乾燥させたものを使用した。SRRの寸法は先の表2に示す通り、SRRの間隔aは225μmである。SRRフィルムについて
図35に示すように、電場成分がギャップに平行な場合を偏光xとして、偏光を90°変化させたものを偏光yとして測定を行った。このときの透過特性を、製作寸法で作成した2次元モデルの計算結果と共に
図36に示す。偏光xは0.7THz付近に透過の落ち込みが見られるが、偏光yではその応答は見られない。屈折率特性についても、
図37の通り、偏光xのみに0.7THz付近での応答が見られる。このことから、SRRが2次元的に配列された周期構造であるSRRフィルムは偏光依存性があることがわかる。偏光xにおいて透過の落ち込みが見られる周波数は、計算結果とよく一致した。
【0035】
次に、3次元メタマテリアルの測定結果を示す。3次元メタマテリアルに関してはSRRの方向がそろっていないが、偏光による特性を調べるために、
図38の偏光の向きを偏光xと定義した。これに対して偏光を90°回転させたものが偏光yとなる。これらの偏光での透過率の測定結果を
図39に示す。
図39には、製作したメタマテリアルのSRRの製作寸法、密度の測定値を再現したモデルの計算結果も示した。偏光x、yともに0.7THz付近で透過率が落ち込み、製作した3次元メタマテリアルではフィルム状態と比較して偏光依存性が解消されていることがわかった。このときの屈折率特性を
図40に示す。偏光x、yともに0.7THz付近で、1.51~1.53の屈折率変化が見られた(計算結果は1.48~1.56)。SRRの平均半径rを86μmとして製作した3次元メタマテリアルの透過率の測定結果を
図41に示す。r=46の時より応答周波数が低周波側にシフトし、0.35THz付近で透過率が落ちている。偏光x、yの応答はよく一致した。さらに、このときの屈折率特性を
図42に示す。0.35THz付近において1.50~1.60(計算結果は1.41~1.72)と、より大きな屈折率変化を得ることができた。
【0036】
r=46μm、a=100μmとして製作した3次元メタマテリアルの透過率の測定結果を
図43に示す。0.7THz付近で、透過率がほぼ0まで落ち込んでいることがわかる。このときの屈折率特性を
図44に示す。0.7THz付近における屈折率変化は1.43~1.60(計算結果では1.40~1.76)となり、200μm角のブロックを用いて製作した場合よりも大きな屈折率変化が得られた。3種類の3次元メタマテリアルの測定結果から、SRRの寸法によって応答周波数帯が変化すること、及び密度によって屈折率変化の大きさが変化することが分かった。
【0037】
[プリズムによる屈折角の検証]
図34に示したものと同様にして、台形プリズム形状のメタマテリアルを製作し以下の方法で屈折角を調べた。
図45にイメージ図を示す。傾斜側面の反対側からテラヘルツ波を入射し、プリズムを透過したテラヘルツ波の強度が最大になる位置を、検出器の位置を変えながら調べることにより屈折角δを知ることができる。屈折角δは、下記の式(1)で計算できる。
【数1】
【0038】
r=86μm、a=200μmとして製作した
図34に示すメタマテリアルのプリズムを用いるとすると、α=25°であり、プリズムの屈折率n
2は、
図42のようになる。プリズムが
図45の偏光xの時の屈折率特性を持つとすると、式(1)を用いて計算を行うことで、
図46のグラフが得られ、応答周波数帯にて、δが14.45°~17.63°と変化することが予測できる。なお、COPのみで同じ形状のプリズムを製作した場合、屈折角δは14.86°となる。また、r=46μm、a=100μmとして製作した、同じ形状のメタマテリアルのプリズムでは、
図47のように、0.7THz帯においてδが12.24°~17.40°と変化し、その変化量は5.16°と予測できる。表1に示した中で、最もテラヘルツ帯における屈折率の変化が大きいテフロンで、同じ形状のプリズムを製作したとすると、δは12.49°~13.72°となり、その変化量は1.23°となる。このことから、本発明で提案するメタマテリアルで製作するプリズムでは、特定の周波数において、従来の材料よりも格段に高い分解能を実現できる。
【0039】
以上に説明した通り、本発明者らはSRRがCOP中にランダムに分散した3次元メタマテリアルについて、等方性、屈折率制御性の検証を行った。有限積分法による計算によって提案する3次元メタマテリアルは2次元構造に比べて異方性が解消され、寸法パラメータにより応答周波数や強度を制御することが可能である。また、SRR1つ埋設した立方体のブロックを集積し、成形するという方法により3次元メタマテリアルの製作を行い、製作した3次元メタマテリアルをTHz-TDSによって測定し、透過特性、屈折率特性を評価した。
【0040】
2次元モデルの計算によって、SRRのLC共鳴に当たる1次の双極子共鳴は、他のモードの共鳴と比較して、周期性の変化による周波数シフトが小さく、周期性のないランダムな構造を作る上で有用である。同じSRRを3次元モデルに拡張し、計算を行ったところ、2次元モデルの応答周波数帯に対応する0.7THz付近での応答が確認された。SRRの寸法を変えて計算したところ、SRRの平均半径が大きくなるほど、応答周波数帯が低周波側にシフトすることがわかった。また、SRRの密度を変化させ計算したところ、応答周波数帯は変化しないが高密度になるほど透過の落ち込みと屈折率の変動が大きくなることがわかった。さらに、3次元モデルでは入射角度依存性、偏光依存性が解消されることがわかった。
【0041】
THz-TDSによる測定を行ったところ、製作した3次元メタマテリアルの応答は、設計周波数と概ね一致した。平均半径r=46μm、ブロックの一辺a=200μmとして製作したメタマテリアルは0.7THz帯で透過が落ち込み、1.51~1.53の屈折率変化を示した。また、偏光を90°回転させた場合も同じような応答を示し、2次元構造と比較して偏光依存性が解消されることが確認された。r=86μm、a=200μmとして製作したメタマテリアルは、0.35THz帯で透過の落ち込みを示し、1.50~1.60の屈折率変化が得られた。また、偏光を90°回転させた時の応答とよく一致していた。r=46μm、a=100μmとして製作したメタマテリアルは、0.7THz帯で、a=200μmのものよりも大きく透過が落ち込み、1.43~1.60と最も大きな屈折率変化が得られた。
本発明で実現した屈折率1.60は、従来の光学素子として使用されている樹脂材料よりも格段に高い屈折率である。
【0042】
以上のように本発明によるメタマテリアルは、テラヘルツ領域において、天然材料では得られない屈折率を実現した。本発明のメタマテリアルによれば、屈折率を自由に設定できるため光学素子設計の自由度が増大する。本発明のメタマテリアルが応用できる具体例としては、角度依存性のないフィルタ、薄型のレンズ、プリズムを用いたテラヘルツ波の分光などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0043】
[メタアトム(メタマテリアル単位構造)]
以上、本発明の3次元等方性メタマテリアルについて、テラヘルツ領域光学素子用としてSRR埋設ブロックの態様を詳しく説明したが、本発明の3次元等方性メタマテリアルはテラヘルツ領域に限らず、またメタマテリアルに使用できるメタアトムはSRRに限られず、様々な構造のメタマテリアル単位構造(メタアトム)に適用可能である。例えば、応用物理,第86巻,897~902(2017)に開示されているペアカットワイヤ、Optic Communications,283,2547~2551(2010)に開示されているオメガ型メタマテリアル、IEEE Photonics journal,Vol.1,No.2,99~118,August(2009)に開示されているダブルスプリットリングをSRRの場合と同様に透明樹脂体に埋設した3次元等方性メタマテリアルが考えられる。
【0044】
SRRの材料は、電気を通す材料であればよく、金属材料、透明電極などに使われている透明導電性酸化物(ITO、IZO、ZnO、IGZOなど)、グラフェンなどの炭素材料が挙げられる。金属材料としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)が代表例である。
【0045】
[透明樹脂材料]
本発明においてSRRを埋設(内包)する透明樹脂体の材料は、テラヘルツ領域の光に対に対して透明な非導電性材料であればよく、特に限定されないが、例えばポリメチルペンテン、ポリエチレン、シクロオレフィンポリマー(COP)シリコン、ポリテトラテフロンフルオロエタン(テフロン;登録商標)、SiO2などが挙げられる。これらの中でもCOPが好ましい。
【0046】
[透明樹脂体に埋設するSRRのサイズ]
本発明のメタマテリアルは、周波数 0.1~10THz(波長30~3000μm)のテラヘルツ領域光学素子用途が好ましい。従って、樹透樹脂材料に埋設するSRRのサイズは、リング幅wが1μm以上、平均半径rが1~500μm、周期(一片)aが3~3000μmが好ましく、より好ましくはwが5μm以上、rが2~400μm、aが10~2000μm、更に望ましくはwが10μm以上、rが3~300μm、aが20~1000μmの範囲で用いられる。また、本発明のメタマテリアルのリング幅wは、周期の長さの制限があるので1500μm以下で用いられる。
【符号の説明】
【0047】
1 透明樹脂(COP)
1a,1c 透明樹脂(COP)フィルム
1b 透明樹脂(COP)溶液
2 テープ状基板
3 モールド(型)
4 3次元等方性メタマテリアル