(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】非アイセーフ操作モードとアイセーフ操作モードを備える加工追跡レーザーカメラ
(51)【国際特許分類】
B25J 19/06 20060101AFI20220831BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20220831BHJP
G05B 19/42 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B25J19/06
B25J13/08 A
G05B19/42 D
(21)【出願番号】P 2017108845
(22)【出願日】2017-05-31
【審査請求日】2020-05-15
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516145345
【氏名又は名称】サーボ-ロボット インク.
【氏名又は名称原語表記】SERVO-ROBOT INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100140693
【氏名又は名称】木宮 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ポール ボワロ
(72)【発明者】
【氏名】エリック ビューロー
(72)【発明者】
【氏名】ジャック-アンドレ ギャブリー
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-157510(JP,A)
【文献】特開2012-198209(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0097857(US,A1)
【文献】特開平09-076065(JP,A)
【文献】特開平11-166832(JP,A)
【文献】特開2011-255473(JP,A)
【文献】特表2011-529401(JP,A)
【文献】特開2012-247255(JP,A)
【文献】特開2013-146773(JP,A)
【文献】特開2015-131335(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0074296(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/22-19/06
G05B 19/42
B23K 26/00-26/20
G01B 9/00
G01S 17/02-17/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非アイセーフ操作モードとアイセーフ操作モードとを備える加工追跡レーザーカメラであって、
ワークピースの目標領域をカバーする視野を有する画像センサーと、
前記ワークピースの目標領域に向かって非アイセーフレーザー光を照射する第1のレーザー部と、
前記ワークピースの目標領域に向かって、前記非アイセーフレーザー光と異なる外観を有するアイセーフレーザー光を照射する第2のレーザー部と、
前記第1と第2のレーザー部をそれぞれ駆動する第1と第2のレーザードライバと、前記第1のレーザードライバに動作可能に接続され、制御信号に応じて前記第1のレーザー部の操作を無効にする遮断回路と、前記遮断回路の遮断状態に応じて前記第1と第2のレーザードライバを制御し、
前記非アイセーフ操作モードでは、前記第1のレーザー部を作動させ前記第2のレーザー部を無効にするが、
前記アイセーフ操作モードでは、前記第1のレーザー部を無効にし前記第2のレーザー部を作動させる制御回路と、を有する制御部と、
前記遮断回路に接続され、
前記非アイセーフ
操作モードと
前記アイセーフ操作モードにそれぞれ対応した切り替え装置の所定の位置設定に従って、前記遮断回路の遮断状態を制御する制御信号を提供する切り替え装置と、
を備え、
前記第1と第2のレーザー部は、互いに近接して位置し、前記ワークピースの同じ箇所に各々のレーザー光を同時に照射する共通の光学構成を有す
る、加工追跡レーザーカメラ。
【請求項2】
前記アイセーフレーザー光が緑色を有する、請求項1に記載の加工追跡レーザーカメラ。
【請求項3】
前記アイセーフレーザー光は、前記加工追跡レーザーカメラの変位方向に実質的に交差するように延びる1つまたは複数の横線を規定する形状を有し、
前記アイセーフレーザー光の形状は、さらに、実質的に前記加工追跡レーザーカメラの変位方向に延びる前記1つまたは複数の横線を横断する1つまたは複数の縦線を規定する、請求項1に記載の加工追跡レーザーカメラ。
【請求項4】
前記1つまたは複数の横線は、前記非アイセーフレーザー光の対応する横線の位置と一致する第1の横線と、前記加工追跡レーザーカメラに関連するロボット加工工具の工具中心点を越える第2の横線とを備える、請求項3に記載の加工追跡レーザーカメラ。
【請求項5】
前記制御部は、前記画像センサーに接続され、前記ワークピースにおける特徴を追跡し、前記アイセーフ操作モードではロボットプログラミングのデータを出力し、前記非アイセーフ操作モードではプログラミングされたロボット経路と修正された加工パラメーターデータを出力する加工部を有し、
前記制御部は、前記加工部に接続され、工具中心点が正しい位置に設定された後に
前記アイセーフ操作モードにある時に、ロボット加工工具のY-Z操作位置のデータを記録するメモリを有する、請求項1に記載の加工追跡レーザーカメラ。
【請求項6】
前記制御部は、前記画像センサーに接続され、前記ワークピースにおける特徴を追跡し、前記アイセーフ操作モードではロボットプログラミングのデータを出力し、前記非アイセーフ操作モードではプログラミングされたロボット経路と修正された加工パラメーターデータを出力する加工部を有し、
前記第2のレーザー部により照射されるレーザー光の一部とロボット加工工具の端部が延びる前記ワークピースの目標領域をカバーする視野を有し、前記加工部に接続される付加的な画像センサーをさらに備え、前記加工部が、前記付加的な画像センサーから得られる、遠隔監視または追跡用の画像データを出力する、請求項1に記載の加工追跡レーザーカメラ。
【請求項7】
前記ワークピースの目標領域に向かって、前記第2のレーザー部により照射される前記アイセーフレーザー光の角度とは異なる角度でアイセーフレーザー光を照射して、前記加工追跡レーザーカメラに関連するロボット加工工具の工具中心点の平面に対応して前記加工追跡レーザーカメラから離れて通過する第3のレーザー部をさらに備え、前記制御部が、前記第3のレーザー部を駆動する第3のレーザードライバを有し、前記制御回路が、前記第2と第3のレーザー部が一致する作動状態および無効状態を有するように、前記第2のレーザードライバと同様に前記第3のレーザードライバを制御する、請求項1に記載の加工追跡レーザーカメラ。
【請求項8】
前記第2と第3のレーザー部により照射される光は、互いに異なる外観を有する、請求項7に記載の加工追跡レーザーカメラ。
【請求項9】
前記制御部は、前記制御回路と前記第1のレーザードライバの間に接続され、
前記非アイセーフ操作モードが始動される時に、前記第1のレーザードライバの起動を設定時間分遅延させる遅延回路を有する、請求項1に記載の加工追跡レーザーカメラ。
【請求項10】
前記制御部は、前記レーザードライバと前記レーザー部の間に接続される保護回路を有する、請求項1に記載の加工追跡レーザーカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットレーザー視覚システムに関し、特に非アイセーフ操作モードとアイセーフ操作モードを備える加工追跡レーザーカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、継ぎ手または継ぎ目の追跡レーザーカメラは、ロボットに取り付けられた加工工具の前方の所定距離を見る三角測量レーザーとともに設計される。加工における継ぎ手またはエッジ或いは任意の形状を追跡するために、カメラは、電弧またはレーザー溶接における溶接プラズマに起因する光放射、或いは溶接ヒュームとスパッタ、或いは複雑な形状の金属継ぎ手でのレーザー反射による摂動の存在下で、良好な信号対雑音比を提供する十分な出力を有する追跡レーザーを備える。このような追跡レーザーは、通常、IEC60825-1標準によれば人間の目にとって安全ではないとされる3Bタイプの等級(またはIIIb、USA FDA 21 CFR、第1章、第1040.10節)である。高出力のレーザー溶接に対して、安全上の制限と対策を強化しなければならない。
当該技術分野において、ファイバレーザーシステムを囲む枠体を備える溶接工具を示す特許文献1(Kesslerなど)は既知である。枠体に設けられる特別なスイッチング素子は、出口スリットが1つのワークピースに止まってその位置のファイバレーザーを作動させる時に、ファイバレーザーの電源をオンにする。
【0003】
追跡レーザーカメラを備えたロボットを調整しプログラミングする場合、操作者は特別な目の保護具を着用しなければならない。作業環境において明瞭な視野の妨げとなる不快な目の保護具の使用について、不満を訴える操作者は多い。工場によっては、ロボットの操作者に加えて他の作業者も、相当の時間がかかるロボットプログラミングの間、同じ時間同じ場所にいなければならない。安全上の制限を減少し、ロボット教示の調整において視野を自由にすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2013/0341312号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一の態様によれば、ワークピースの目標領域をカバーする視野を有する画像センサーと、
前記ワークピースの目標領域に向かって非アイセーフレーザー光を照射する第1のレーザー部と、
前記ワークピースの目標領域に向かって、前記非アイセーフレーザー光と異なる外観を有するアイセーフレーザー光を照射する第2のレーザー部と、
前記第1と第2のレーザー部をそれぞれ駆動する第1と第2のレーザードライバと、前記第1のレーザードライバに動作可能に接続され、制御信号に応じて前記第1のレーザー部の操作を停止させる(無効にする)遮断回路と、前記遮断回路の遮断状態に応じて前記第1と第2のレーザードライバを制御し、非アイセーフ操作モードでは、前記第1のレーザー部を作動させ前記第2のレーザー部を停止させる(無効にする)が、アイセーフ操作モードでは、前記第1のレーザー部を停止させ(無効にする)前記第2のレーザー部を作動させる制御回路と、を有する制御部と、
前記遮断回路に接続され、非アイセーフとアイセーフ操作モードにそれぞれ対応した切り替え装置の所定の位置設定に従って、前記遮断回路の遮断状態を制御する制御信号を提供する切り替え装置と、
を備える、非アイセーフとアイセーフ操作モードを備える加工追跡レーザーカメラ。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態に係る加工追跡レーザーカメラが設けられたロボット手首に取り付けられるロボット加工工具の概略斜視図である。
【
図2】ロボット加工工具と本発明の一実施形態に係る加工追跡レーザーカメラの概略側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る加工追跡レーザーカメラのアイセーフと非アイセーフレーザー部の構成を示す部分概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る加工追跡レーザーカメラの制御部の模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る加工追跡レーザーカメラを使用するアイセーフと非アイセーフ操作モードにおける工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、好ましい実施形態について添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0008】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る非アイセーフとアイセーフ操作モードがある加工追跡レーザーカメラ2が示されている。カメラ2は、溶接トーチなどの加工工具6が設けられるロボット手首4に取付けられる。
【0009】
また、
図3を参照すると、カメラ2は例えば加工工具6から前方注視距離でワークピース12を見ることを可能にするために、ワークピース12の目標領域をカバーする視野を有する画像センサー50(三角測量センサーとも呼ばれる)を含む。カメラ2は、ワークピース12の目標領域に向かって非アイセーフレーザー光10を照射するための第1のレーザー部8を有する。第1のレーザー部8は、加工中に継ぎ手14を3Dレーザープロファイリングまたは追跡するための画像センサー50とともに用いられ、プラズマの光放射、溶接ヒュームとスパッタなどの加工環境の摂動を克服するか、表面アルベドに対処する3B等級のレーザー源を備える。3B等級のレーザー源は、操作者の目に安全ではないと思われ、加工ロボット(図示せず)をプログラミングする時、例えば眼鏡またはゴーグルのような特別な目の保護具を着用することが要求される。溶接追跡レーザーカメラに用いられるレーザー源は、通常、波長660nmの約100mWの赤色のレーザーダイオードである。幾つかの適用例では、800nmの赤外レーザーまたは405nmの青色レーザーなどの他の色と波長が使用できる。第1のレーザー部8は、高品質のレーザーダイオード光コリメータ16と高品質の線形レンズ18が設けられるようなレーザーダイオードを有しても良い。レーザー光10は、溶接継ぎ手14に中心がある追跡レーザー線を形成し得る。
【0010】
カメラ2は、ワークピース12の目標領域に向かってアイセーフレーザー光24(
図1に破線で示される)を照射する第2のレーザー部22を有する。アイセーフレーザー光24は、非アイセーフレーザー光10と異なる外観を有する。アイセーフレーザー光24の外観は、その点滅状態、色(好ましくは緑色であるが、必要に応じて他の色としてもよい)、パターンの点で、非アイセーフレーザー光10とは異ならせることができる。第2のレーザー部22の出力は、例えば、3R、IIIa、2M、2、1M、1の等級のレーザー源によって得られるような第1のレーザー部8より低い。レーザー源は、例えば、出力が5mWで波長が520nmの緑色のレーザー源であり得る。被ばく放出限界(AEL)出力が調整される場合、例えば、電流が制限されるまたはレーザー光の透過率がカメラ2における光学素子を干渉することにより制限される場合、15mWなどのより高い出力を有するレーザー源を使用してもよい。
【0011】
第1と第2のレーザー部8、22は、互いに近接して位置し、ワークピース12の同じ箇所に各々のレーザー光10、24を同時に照射するビームスプリッタ/結合器20のような共通の光学配置を有してもよい。
【0012】
図4を参照すると、カメラ2は、第1と第2のレーザー部8、22をそれぞれ駆動する第1と第2のレーザードライバ28、30と、第1のレーザードライバ28に動作可能に接続され、制御信号34に応じて第1のレーザー部8の操作を停止させる(無効にする)遮断回路32と、遮断回路32の遮断状態に応じて第1と第2のレーザードライバ28、30を制御して、非アイセーフ操作モードでは、第1のレーザー部8を作動させ第2のレーザー部22を停止させるが、アイセーフ操作モードでは、第1のレーザー部8を停止させ第2のレーザー部22を作動させる制御回路36と、を備える制御部26を有する。
【0013】
切り替え装置38は、遮断回路32に接続され、非アイセーフとアイセーフ操作モードにそれぞれ対応した切り替え装置38の所定の位置設定に従って、遮断回路32の遮断状態を制御する制御信号34を提供する。切り替え装置38は、安全連動スイッチ42と直列に接続されるキーロックスイッチ40から形成され得るが、非アイセーフ操作モードは、キーロックスイッチ40と安全連動スイッチ42が例えば閉鎖位置にある場合にのみ作動する。
【0014】
好ましくは、カメラ2は、制御部26に、場合によって制御回路36に接続され、使用中の操作モードを表示する視覚信号を提供する外部表示部44を有する。
【0015】
図1に戻り、外部表示部44は、カメラがアイセーフ操作モードにあるか否かを作業者が見やすいように、発光ダイオード46、47、または異なる色を有し使用中の操作モードに従って選択的に作動する他の表示灯の配置を含む。
【0016】
アイセーフレーザー光24は、通常継ぎ手14と同じ方向にある加工追跡レーザーカメラ2の変位方向に概ね交差するように延びる1つまたは複数の横線(図示例では2つである)を形成する形状をしている。この形状は、さらに、概ね加工追跡レーザーカメラ2の変位方向に延びて横線を横断する1つまたは複数の縦線(図示例では1つである)を形成する。その横線の1つは、生成された時に、非アイセーフレーザー光10の対応する横線の位置と一致するが、その第2の横線は、加工追跡レーザーカメラ2に連結されるロボット加工工具6の工具中心点(TCP)48を越える。
【0017】
図4に示されるように、制御部26は、画像センサー50に接続され、ワークピース12における特徴(例えば溶接継ぎ手14)を追跡し、アイセーフ操作モードではロボットプログラミングのデータ54を出力し、非アイセーフ操作モードではプログラミングされたロボット経路と修正された加工パラメーターデータ56を出力する加工部52を有する。制御部26は、加工部52に接続され、工具中心点48が正しい位置に設定された後にアイセーフ操作モードにある時、ロボット加工工具6のY-Z操作位置のデータを記録するメモリ58を有する。
【0018】
図2を参照すると、カメラ2は、第2のレーザー部22から照射されたレーザー光24の一部とロボット加工工具6の端部が延びるワークピース12の目標領域をカバーする視野61(不規則な破線で示す)を有する付加的な画像センサー60(後部センサーとも呼ばれる)が設けられる。画像センサー60から見られるレーザー光24の一部は、例えば、
図1に示す中間の横線を生成する追跡レーザー線24’を含む。ロボット加工工具6の端部は、例えば、工具中心点48を含む。画像センサー60は、2D映像センサーのタイプであってもよく、例えば、三角測量センサー50が狭い光学フィルター(図示せず)を有する場合、その三角測量センサー50(
図3に示す)がレーザー光24の色によりレーザー光24を検出できない時に、追跡レーザー線24’を位置決めするために利用され得る。
【0019】
図4に示されるように、付加的な画像センサー60は、付加的な画像センサー60から得られた遠隔監視または追跡用の画像データ62を出力する加工部52に接続される。
【0020】
図2と
図3を参照すると、カメラ2は、さらに、ワークピース12の目標領域に向かって第2のレーザー部22から照射されたアイセーフレーザー光24の角度とは異なる角度でアイセーフレーザー光66(
図2に示す)を照射して、図示例でのワークピース12の上面のような、ロボット加工工具6の工具中心点48の平面に対応してカメラ2から離れて通過する第3のレーザー部64を有する。レーザー光66の色とレーザー光24の色が異なる場合、レーザー光24、66の両方を観察すると、トーチまたは工具アセンブリがTCPの平面高さより高くなるときまたは低くなるときが示される。
【0021】
再び
図4を参照すると、制御部26は、第3のレーザー部64を駆動する第3のレーザードライバ68を有し、制御回路36は、第2と第3のレーザー部22、64が一致する作動状態および停止状態を有する(両方がオンにされるか或いは両方がオフにされる)ように、第2のレーザードライバ30と同様に第3のレーザードライバ68を制御する。第2と第3のレーザー光24、66(
図2に示す)は、異なる色、パターンなどの異なる外観を有することが好ましい。
【0022】
制御部26は外部電源(図示せず)に接続可能であり、レーザー部8、22、64を操作するためのDC電圧を生成する出力72を有するDC電源モジュール70を含む。出力72は、第1のレーザー部8のレーザードライバ28用の遮断回路32を介して、レーザードライバ28、30、68に接続される。出力72は、他のレーザードライバ30、68の操作がアイセーフであるので、それらに直接接続されてもよい。
【0023】
考えられる規制に従うために、制御部26は、制御回路36と第1のレーザードライバ28の間に接続され、非アイセーフ操作モードが始動される時に、第1のレーザードライバ28の起動を設定時間分、例えば、3秒遅延させる遅延回路74を有することがある。また、制御部26は、レーザードライバ28、30、68とレーザー部8、22、64の間に接続される保護回路76、78、80を有することがある。
【0024】
従って、継ぎ目追跡レーザーカメラ2に付加されたアイセーフ追跡レーザー部22は、製造手順の前の、操作者による加工ヘッド6の安全調整と配置とロボットプログラミングを可能にする。本発明の好ましい実施形態では、安全キーロックスイッチ40が安全位置に配置された状態で、より高出力の非アイセーフの赤線追跡レーザー部8をオフにし、安全な低出力の緑線追跡レーザー部22をオンにする。ワークピース12での追跡レーザー線24の位置は、追跡レーザー線の位置と一致するが、その外観、例えば色が異なる。正しい操作工具またはトーチの位置は、ロボットまたは機器教示において追跡レーザー部22により測定可能である。追跡レーザーの照射は、継ぎ手14に垂直であり、TCP48まで延びる継ぎ手14に平行する中心線を有してもよく有さなくてもよい1つの単線、或いは用途に応じて構成が異なる複数の線、円形または点などの種々の形状であってよい。高出力の非アイセーフの追跡レーザー部8は、自動モードでの加工または溶接に利用されるが、低出力のアイセーフレーザー部22は、操作者対応の、溶接以外のロボット位置の調整、追跡およびプログラミングに利用されて、機械化またはロボット化された部材と継ぎ手配置から継ぎ手追跡までの製造過程の自動化の完了、およびその過程の実行の完了に寄与する。
【0025】
アイセーフ操作モードでは、アイセーフレーザー部22は、特別な目の保護具を着用しない操作者による安全なロボットプログラミングを可能にする。非アイセーフ操作モードでは、非アイセーフレーザー部8は、継ぎ手追跡を可能にする。安全なプログラミングモードと加工モードの間の切り替えは、切り替え装置38の操作を介して達成される。活動操作モードは、ロボット領域にいる作業者によって、レーザー照射の色または外観、およびカメラ2が表示部44を有する場合の表示部44の活動LED46、47の色(または点滅)に基づいて容易に識別される。アイセーフレーザー部22が切り替え装置38でオンにされる時に、非アイセーフレーザー部8が自動的にオフになる。この2つのレーザー照射は、例えば追跡レーザー部8が赤色または青色になり、追跡レーザー部22が緑色になるというように、異なる色を有し、或いは、例えば追跡レーザー部8が実線になり、追跡レーザー部22が点線または破線になるというように、異なる外観を有するため、操作者はカメラの使用中の操作モードを容易に識別することができる。安全上の理由から、追跡レーザー部8を再びオンにする時には追跡レーザー部22をオフにし、追跡レーザー部22の異なる色またはアスペクトの観察がアイセーフ操作モードを明確に示す。
【0026】
再び
図3を参照すると、追跡レーザー部22は、ダイオード82と、光コリメータ84と小型線形レンズ86を有する構成から形成され得る。類似の構成は、画像センサー50と共有されるビームスプリッタ/結合器88に結合される選択アイセーフレーザー部64に利用され得る。ロボット教示のためアイセーフ操作モードになる時に、継ぎ手の位置は、追跡レーザーの波長に合わせる帯域通過範囲がある光学帯域通過濾波器(図示せず)を利用する追跡レーザー部22の三角測量により測定可能である。追跡レーザー線の位置の測定は、ロボットプログラムの検証目的の溶接を行うことなく、継ぎ手14の検出と追跡を可能にする。
【0027】
図5を参照すると、正常な非アイセーフ操作モード(レーザー追跡)に移行する前に、アイセーフ操作モードで加工ロボットをプログラミングし教示する工程の可能な手順が示される。ブロック90で示されるように、カメラ2は、最初にロボット手首4或いは溶接装置または他の装置に付けられる。そして、ロボット制御部106(
図4に示す)とカメラ2は、ブロック92で示されるように、電源が投入される。自動加工または溶接の前にロボットを教示しプログラミングするために、操作者は、ブロック94で示されるように、キーロックスイッチ40をアイセーフ操作モードにして、追跡レーザー部8がオフになるとともに追跡レーザー部22がオンになることを確実にする。操作者は、追跡レーザー部22を利用して、ロボットアームを正しい加工位置に移動し、ロボットにブロック96で示されるような加工手順の経路を教示する。追跡レーザー部22の三角測量または後部センサー60により提供された2Dビデオ画像における追跡線の位置により、ロボットは、完璧または最適な加工または継ぎ手14の溶接を実行するために、継ぎ手14と従うべき経路との精確な3D位置を取得する。ロボットを教示した後、操作者は、加工域から離れて、ブロック98で示されるように、キーロックスイッチ40を追跡モードの位置に切り替え、ロボット加工または溶接作業を始めることができる。安全キーロックスイッチ40を追跡モードの位置に切り替えることにより、追跡レーザー部22がオフになり、追跡警報LED46がオンになり、安全連動スイッチ42がロボット領域を確保する。ブロック102で示されるような追跡レーザー部8の起動のため、ブロック100に記載されるロボットの教示ペンダント(図示せず)に、或いはHMI(ヒューマンマシンインターフェース)を介してキーロック/警報エラーを確認する必要がある。実際に、キーロックスイッチ40がオフになって緑色の追跡レーザー部22を起動させ、ロボットをプログラミングする時に、ロボット制御部106は、ロボットの教示ペンダント或いはロボットの制御器、PCまたはタブレットであるHMIなどの他の任意の加工制御インターフェースに、エラー情報を発することがある。この情報は、システムの現在の状態がレーザー部8の起動または他の危険な加工を許可しないことを表示する。プログラミングの後、キーロックスイッチ40が再び正常加工(例えば、赤色のレーザーの三角測量による溶接)に切り替えられる時に、エラー(この場合は、赤色のレーザーまたは溶接が許可されない緑色のレーザーの手順)が終了かつ修正され、赤色のレーザーをオンにし、溶接または他の加工を再開または実行してよいことをシステムに知らせるべきである。用語「エラー」は、情報が部品故障または溶接領域の侵入者、例えば、連動スイッチ42でゲートを開く人などの他のエラーの原因から生じることがあるため、ここで使用される。この付加的な安全対策は、適格な操作者がほんとうに危険な加工の再開を許可したことを保証する。その後カメラ2が正常/追跡/非アイセーフ操作モードになるので、操作者は、公称眼障害距離内またはレーザーで制御される閉塞領域にいる場合、安全ゴーグルなどを着用しなければならない。そしてロボットは、ブロック104で示されるように、自動モードでシステムの正常操作を続ける。
【0028】
再び
図4を参照すると、キーロックスイッチ40および/または安全連動スイッチ42は、以下の動作があり、すなわち、閉鎖位置では、追跡レーザー部8(非アイセーフ)が作動しアイセーフ追跡レーザー部22が停止する一方、開放位置では、追跡レーザー部8が停止しアイセーフ追跡レーザー部22が作動する。1つまたは複数の安全連動スイッチ42は、自動運転セルの外周に設置でき、ある条件を満たさない場合、例えば、部屋のドアが開いた場合に、レーザー部8の操作を停止し、レーザー光10の照射を防ぐ。DC電源モジュール70は、カメラの入力パワーをレーザー回路とダイオードに電力を供給するのに適する低い電圧に変換するDC/DC変換器で形成され得る。遮断回路32は、レーザー作動入力108(キーロックスイッチ40および/または安全連動スイッチ42から制御信号34を受信する)を監視し、レーザー作動入力108に電力が供給されない時に、非アイセーフ追跡レーザードライバ28の電源を切るようになる。レーザーパワー制御回路36は、必要がある場合に、レーザー部回路線の各々用に別個の回路から形成されても良い。制御回路36は、ソフトウェア制御を使用してレーザー部8、22、64を起動させ、停止させることを許可する制御論理を含めることができ、また、システム登録を介してレーザーの出力パワーを調整するのに用いれる。遅延回路74と制御部26の関連する回路は、以下の動作を示すことがあり、すなわち、レーザー作動入力108が起動する時に、レーザーオンLED46がすぐ起動して、3秒の(または他の)遅延が引き起こされる。レーザードライバ28は、3秒の遅延が満了した後にのみ起動する。レーザードライバ28、30、68は、それぞれのレーザー部8、22、64に電力を供給するために必要な電流を駆動するようにできる。保護回路76、78、80は、過電圧と過電流保護を提供でき、受動部品により形成することで、スパイクまたはESD(静電放電)による早期被害からレーザーダイオードを適正に保護することを確実にする。
【0029】
以上、本発明の実施例を添付図面に示し説明したが、本発明から逸脱することなく変更し得ることは、当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0030】
2 カメラ
4 ロボット手首
6 ロボット加工工具
8、22、64 レーザー部
10 レーザー光
12 ワークピース
14 溶接継ぎ手
16 レーザーダイオード光コリメータ
18 線形レンズ
20 結合器
22 アイセーフレーザー部
24、66 アイセーフレーザー光
26 制御部
28、30、68 レーザードライバ
32 遮断回路
34 制御信号
36 レーザーパワー制御回路
38 装置
40 キーロックスイッチ
42 安全連動スイッチ
44 表示部
46、47 発光ダイオード
48 工具中心点
50 画像センサー
52 加工部
54 データ
56 加工パラメーターデータ
58 メモリ
60 画像センサー
61 視野
62 画像データ
70 電源モジュール
72 出力
74 遅延回路
76、78、80 保護回路
82 ダイオード
84 光コリメータ
86 小型線形レンズ
88 結合器
106 ロボット制御部
108 レーザー作動入力
TCP 工具中心点