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  • 特許-エンコーダの回り止め構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】エンコーダの回り止め構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/21 20160101AFI20220831BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
H02K11/21
G01D5/245 110X
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018027815
(22)【出願日】2018-02-20
(65)【公開番号】P2019146346
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-11-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】沈 慶春
(72)【発明者】
【氏名】西野 敏正
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-147550(JP,A)
【文献】中国実用新案第203537182(CN,U)
【文献】特開平04-087541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/00- 11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機の回転軸に取り付けられるエンコーダの固定部を、回り止めするための構造であって、
記固定部に取り付けられる突起部材と、前記回転電機側に取り付けられ、前記突起部材の長手方向において少なくとも周方向の二方を挟む形状を成す係止部材とからなり、
前記係止部材の周方向幅寸法は、前記突起部材の周方向幅寸法よりも長く、
前記係止部材に前記突起部材を軸方向に遊びがある状態で係止させることで、前記固定部を回り止めし、
前記回転電機が回転子部分にファンを備えている際に、
記係止部材は、前記回転電機のファンカバーの外側に取り付けられ、取り付けられた状態で径方向から見た形状がU字状であり、
前記エンコーダは、前記ファンカバーに設けられた挿通孔を介して当該ファンカバーの外側に突出しているエンコーダの回り止め構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機に取り付けられるエンコーダを回り止めするための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
エンコーダは、回転電機の回転数を検出するため回転軸の軸端に取り付けられる。その際に、エンコーダの固定側が回転しないように回り止めする必要がある。エンコーダを例えば回転電機のファンカバーに取り付けるとすると、従来は、例えば図9に示すように、エンコーダの固定側にある金具を、ファンカバーにねじ止めする等して固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-87541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の構造では、ファンカバーからの振動や回転軸のエンドプレーによる動きが、そのまま直接エンコーダに伝達される。そのため、エンコーダの寿命に影響を及ぼすおそれがあった。
そこで、外部からの振動等をエンコーダに伝達し難くするエンコーダの回り止め構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態のエンコーダの回り止め構造は、回転電機の回転軸に取り付けられる固定部を、回り止めするための構造であって、
記固定部に取り付けられる突起部材と、前記回転電機側に取り付けられ、前記突起部材の長手方向において少なくとも周方向の二方を挟む形状を成す係止部材とからなり、
前記係止部材の周方向幅寸法は、前記突起部材の周方向幅寸法よりも長く、
前記係止部材に前記突起部材を軸方向に遊びがある状態で係止させることで、前記固定部を回り止めする。
そして、前記回転電機が回転子部分にファンを備えている際に、
記係止部材は、前記回転電機のファンカバーの外側に取り付けられ、取り付けられた状態で径方向から見た形状がU字状であり、
前記エンコーダは、前記ファンカバーに設けられた挿通孔を介して当該ファンカバーの外側に突出している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態であり、ファンカバーに取り付けられたエンコーダを示す斜視図
図2】ファンカバーに取り付けられたエンコーダを示す正面図
図3】ファンカバーに取り付けられたエンコーダを、一部を透過して示す側面図
図4】回り止め金具の平面図
図5】回り止め金具の左側面図
図6】回転電機の全体構成を、一部を破断させた状態で示す図
図7】第2実施形態であり、回り止め金具のファンカバーに取り付けられたエンコーダを示す正面図
図8】回り止め金具の左側面図
図9】従来例であり、ファンカバーに取り付けられたエンコーダを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図1から図6を参照して説明する。図6は回転電機の全体構成を、一部を破断させた状態で示している。フレーム1の内周部には、固定子2が設けられている。固定子2は、固定子鉄心2aと、該鉄心2aに装設した固定子巻線2bとを備えている。固定子2の内部には回転子3を配設しており、この回転子3は、回転子鉄心3aと、該鉄心3aに巻装かご形の回転子巻線3bとを備えている。回転子3の中心部には、回転軸4が軸方向,図中では、上下方向に挿通されている。
【0008】
フレーム1の軸方向両端部において、それぞれブラケット5,6が複数本のボルト7,8及びナット9,10により結合されている。これらのブラケット5,6に、回転軸4の両端部4a,4bがそれぞれ軸受11,12を介して支承されている。両ブラケット5,6は、フレーム1とで固定子2及び回転子3を内包する筐体13を構成している。回転軸4の両端部4a,4bは、両ブラケット5,6から外方に突出している。一端部4aは出力軸であり、図示しない回転負荷が連結される。他端部4bには、ファン14が取付けられている。すなわち、この回転電機は全閉外扇形である。
【0009】
ファン14は、中央部に取付部14aを有し、この取付部14aを上記回転軸4の他端部4bに嵌合させている。そして取付部14aを径方向,図中の左右方向よりねじ15を液状のシール剤を介し螺挿して回転軸4に係合させることで、他端部4bにファン14が取付けられている。取付部14aから径方向の外方には、傘形円形の基盤部14bが存しており、該基盤部14bの外面側に複数の翼部14cが突設されている。
【0010】
加えて、フレーム1には、ファン14側の端部に、ファン14の全部を覆うファンカバー16が結合されている。ファンカバー16は、図1に示すように、ファン14に軸方向で面する部位に、例えば正方形状で多数の通気孔17を有している。更に、フレーム1は、フィン1aを放熱用に多数有しており、このフィン1aはいずれもフレーム1の径方向に突出して軸方向に延びている。
【0011】
図3に示すように、回転軸4の端部4bは、ファンカバー16の中心に設けられた挿通孔21を介して外部に突出しており、ファンカバー16の外部にてエンコーダ22が取り付けられている。ファンカバー16には、回り止め金具23が例えば溶接により固定されている。回り止め金具23は、背面部23B,右側壁部23R及び左側壁部23Lを有しており、図1の上方から見た形状,つまり図4に示す平面図における形状が略U字状である。また、図5に示す側壁部24L及びこれに重なる側壁部23Rは、矩形の右上角部分を斜めに切除した形状である。回り止め金具23は、係止部材に相当する。
【0012】
一方、エンコーダ22は、円筒形のトップカバー25を有しており、トップカバー25がファンカバー16に対向する面側には、ドーナツ盤状のボトムカバー26が配置されている。そして、ボトムカバー26の一部を成すように回り止め用突起27が設けられている。回り止め用突起27は、若干伸ばされた半円状をしている。カバー25及び26は固定部に相当する。回り止め用突起27は、突起部材に相当する。
【0013】
次に、本実施形態の作用について説明する。エンコーダ22をファンカバー16の外部に取り付ける際には、ファンカバー16に固定された回り止め金具23の両側壁部23L,23Rの間に、回り止め用突起27が位置するように配置する。つまり、回り止め用突起27の正面を除く3方を、回り止め金具23で囲むようにする。
【0014】
この際に、図2に示す寸法例のように、例えば、回り止め金具23の両側壁部23L,23Rの間隔を15.5mmとすると、回り止め用突起27の周方向幅寸法を15mmとする。これにより、左右方向の隙間を均等に取れば、両者間には0.25mmずつの余裕,遊びがある。また、回り止め用突起27は固定されていないので、図3に示すように、回転軸4の軸方向,図中左右方向についても余裕,遊びがある。つまり、回り止め用突起27は、回り止め金具23により固定されず、寸法的に余裕を持った状態で係止されているだけである。
【0015】
以上のように本実施形態によれば、回転電機の回転軸4に取り付けられるエンコーダ22の固定部を回り止めするため、回り止め金具23の周方向幅寸法を、回り止め用突起27の周方向幅寸法よりも長くし、ファンカバー16に回り止め金具23を固定し、エンコーダ22側の回り止め用突起27の3方を回り止め金具23で囲むようにして係止させるようにした。これにより、回転電機が駆動されて回転軸4やフレーム1が振動しても、その振動がエンコーダ22に直接伝達されることを防止できる。したがって、エンコーダ22の寿命がより長くなる。
【0016】
特に、回転電機がファン14を備えている際には、ファン14により行われる送風が通気孔17を介してフレーム1の外部に抜けるので、エンコーダ22にはその送風による振動も加えられる。したがって、エンコーダ22をファンカバー16に配置する構成に対して好適である。
【0017】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。第2実施形態は、回り止め金具の別の形状を示す。図7及び図8に示すように、第2実施形態の回り止め金具31は、回り止め金具23の背面部23Bに相当する部分の下半分を削除した形状の背面部31Bを備えている。尚、図7では、背面部31Bにハッチングを付して示している。このような形状の回り止め金具31を用いた場合も、回り止め金具23の周方向の2方を、第1実施形態と同様に両側壁部23L,23Rにより挟むことができるので、同様の効果が得られる。
【0018】
(その他の実施形態)
部材の形状や寸法は、要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して良い。例えば、側壁部23L,23Rの形状は矩形でも良い。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0020】
図面中、1はフレーム、3は回転子、14はファン、16はファンカバー、22はエンコーダ、23は回り止め金具、25はトップカバー、26はボトムカバー、27は回り止め用突起を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9