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特許7132743情報処理装置、制御装置、および不適物検出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御装置、および不適物検出システム
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/44 20060101AFI20220831BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20220831BHJP
   G01N 29/12 20060101ALI20220831BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220831BHJP
   F23G 5/50 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
F23G5/44 B
B09B5/00 L ZAB
G01N29/12
G06T7/00 300Z
F23G5/50 Q
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018087739
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019190805
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】516283603
【氏名又は名称】東京エコサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】三宅 寿英
(72)【発明者】
【氏名】加藤 睦史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亨
(72)【発明者】
【氏名】桑野 雅史
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-239340(JP,A)
【文献】特開平01-291123(JP,A)
【文献】特開2011-027349(JP,A)
【文献】特開2000-226186(JP,A)
【文献】登録実用新案第3136817(JP,U)
【文献】国際公開第2017/212891(WO,A1)
【文献】特開2004-131225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/44
B09B 5/00
B65F 5/00
G01N 23/04
F23G 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみ焼却施設に搬入され、ごみピットに投下される途中のごみを撮影したごみ画像を取得するごみ画像取得部と、
前記ごみ画像から焼却不適物を検出する検出部と、
前記ごみ画像に写るごみの種別を識別する識別部と、を備え、
前記検出部は、前記識別部による識別結果と各種別のごみの危険度とに基づいて前記焼却不適物を検出するものであって、前記識別部の識別結果が正しい可能性を示すスコアと所定の閾値とを比較することにより、前記ごみが焼却不適物であるか否かを判定する、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
記ごみを搬入した車両を撮影した車両画像を取得する車両画像取得部と、
前記車両画像から前記ごみの搬入主体を特定し、特定した搬入主体と、前記検出部の検出結果とを対応付ける対応付け部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ごみ画像取得部は、投下されたごみがごみピット内に落ちるまでの期間に前記ごみ画像を時系列で複数取得し、
複数取得された前記ごみ画像から、時系列で変化している画像領域を抽出する抽出部を備え、
前記検出部は、前記画像領域から焼却不適物を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記識別部が、前記種別がごみ袋ではないと識別したごみが所定値以上の長さを有する場合に、当該ごみを焼却不適物として検出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ごみピットの前段に設けられたごみ保持部を、ごみ焼却施設に搬入された前記ごみが当該ごみ保持部に保持される保持状態と、前記ごみが当該ごみ保持部から前記ごみピットに放出される放出状態とで切り替える保持制御部を備え、
前記保持制御部は、前記検出部が前記ごみ保持部のごみから焼却不適物を検出しなかった場合に、前記ごみ保持部を保持状態から放出状態に切り替えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ごみが、前記ごみ焼却施設に搬入された後、前記ごみピットに落ちるまでの期間に発生した音を検出する音検出部と、
前記ごみが、前記ごみ焼却施設に搬入された後、前記ごみピットに落ちるまでの期間に発生した振動を検出する振動検出部と、の少なくともいずれかを備え、
前記検出部は、前記ごみ画像の解析結果と、前記音検出部および前記振動検出部の少なくともいずれかの検出結果と、に基づいて前記焼却不適物を検出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置が前記焼却不適物を検出した場合、前記ごみピット内のごみを運搬するクレーンの動作を制御して、前記焼却不適物を、焼却可能なごみと区別できる位置に移動させる制御装置。
【請求項8】
ごみ焼却施設に搬入された、ごみピットに投下される途中のごみを撮影する撮影装置と、情報処理装置とを含む不適物検出システムであって、
前記情報処理装置は、
前記撮影装置から、前記ごみを撮影したごみ画像を取得し、
前記ごみ画像から焼却不適物を検出し、
前記焼却不適物の検出において、前記ごみ画像に写るごみの種別を識別し、識別した前記ごみの種別と各種別のごみの危険度とに基づいて前記焼却不適物を検出するものであって、ごみの種別の識別結果が正しい可能性を示すスコアと所定の閾値とを比較することにより、前記ごみが焼却不適物であるか否かを判定することを特徴とする不適物検出システム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、前記焼却不適物の検出をごみの投下時に行い、
前記情報処理装置が前記焼却不適物を検出した時点で、警報を出力する警報装置をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の不適物検出システム。
【請求項10】
前記ごみピットへごみを投下するための投下口付近に設けられ、前記撮影装置が撮影した前記ごみ画像をごみの投下時に表示する表示装置をさらに含むことを特徴とする請求項8または9に記載の不適物検出システム。
【請求項11】
ごみ焼却施設に搬入されたごみが、搬入後、ごみピットに落ちるまでの期間に発生した音を検出する音検出部と、
前記音検出部の検出結果に基づいて、前記ごみに焼却不適物が含まれていることを検出する不適物検出部と、を備え、
前記不適物検出部は、前記音検出部が、前記焼却不適物を前記ごみピットに投入した際に発生する所定のパターンの音を検出した場合に、前記ごみに当該焼却不適物が含まれていることを検出
前記ごみピットに投下される途中の前記ごみを撮影したごみ画像に写るごみの種類を識別する識別部を備え、
前記不適物検出部は、前記音検出部の検出結果および前記識別部の識別結果に基づいて前記焼却不適物が存在するか否かを判定する、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
ごみ焼却施設に搬入されたごみが、搬入後、ごみピットに落ちるまでの期間に発生した振動を検出する振動検出部と、
前記振動検出部の検出結果に基づいて、前記ごみに焼却不適物が含まれていることを検出する不適物検出部と、を備え、
前記不適物検出部は、前記振動検出部が、前記焼却不適物を前記ごみピットに投入した際に発生する所定のパターンの振動を検出した場合に、前記ごみに当該焼却不適物が含まれていることを検出
前記ごみピットに投下される途中の前記ごみを撮影したごみ画像に写るごみの種類を識別する識別部を備え、
前記不適物検出部は、前記振動検出部の検出結果および前記識別部の識別結果に基づいて前記焼却不適物が存在するか否かを判定する、ことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ焼却施設に搬入されたごみから、焼却不適物を検出する情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ごみ焼却施設への焼却不適物の違法搬入が問題となっている。焼却不適物が焼却炉に投入されることで、焼却炉における燃焼の悪化、焼却炉の灰出し設備での閉塞などが発生したり、場合によっては、焼却炉を緊急停止させたりすることもある。
【0003】
また、現状では、ごみ焼却施設の作業員が、収集したごみをランダムに選択し、選択したごみを手作業で検査している。このため、作業員の負担が大きい。
【0004】
下記特許文献1には、この問題を解決する技術として、ごみ収集車が乗り入れ可能な検査室を設け、該検査室内でごみ収集車のごみ収集部全体にわたってX線を照射することで、焼却不適物を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平08-166359号公報(1996年6月25日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来技術は、焼却不適物を検出するためにごみ焼却施設に検査室を設けなければならないため、実現が難しいという問題がある。
【0007】
本発明の一態様は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来技術と比べて、焼却不適物の検出をより簡易に実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、ごみ焼却施設に搬入され、ごみピットに投下される途中のごみを撮影したごみ画像を取得するごみ画像取得部と、前記ごみ画像から焼却不適物を検出する検出部と、を備えている構成である。
【0009】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る不適物検出システムは、ごみ焼却施設に搬入されたごみがごみピットに投下される途中で撮影する撮影装置と、情報処理装置とを含む不適物検出システムであって、前記情報処理装置は、前記撮影装置から、前記ごみを撮影したごみ画像を取得し、前記ごみ画像から焼却不適物を検出する構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、従来技術と比べて、焼却不適物の検出をより簡易に実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る不適物検出システムの要部構成の一例を示すブロック図である。
図3】ごみ焼却施設において、ごみ収集車がごみをごみピット内に投下している様子を示す図である。
図4】ごみピット内を示す図である。
図5】(a)は、図2に示すごみ撮影装置によって撮影されたごみ画像の一例を示す図であり、(b)は、図2に示す車両撮影装置によって撮影された車両画像の一例を示す図である。
図6図1に示す情報処理装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】ごみ領域の抽出処理の一具体例を示す図である。
図8】ごみ領域の抽出処理の一具体例を示す図である。
図9】危険度に応じた焼却不適物の分類例を示す図である。
図10図1に示す情報処理装置の記憶部に記憶された閾値情報の一具体例を示す図である。
図11図1に示す情報処理装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12】ごみ画像全体の探索処理の一具体例を示す図である。
図13図1に示す情報処理装置の記憶部に記憶された対応付けテーブルの一具体例を示す図である。
図14】ごみピットの前段に設けたごみ貯留部の構成例を示す図である。
図15】音や振動に基づいて焼却不適物を検出する情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態に係る情報処理装置1について図1から図10に基づいて説明する。情報処理装置1は、ごみ焼却施設に搬入されたごみから、焼却不適物を検出する機能を備えている。具体的には、情報処理装置1は、ごみピットに投下される途中のごみを撮影した画像を用いて、焼却不適物を検出する。ここで、焼却不適物とは、ごみ焼却施設に設けられた焼却炉で焼却すべきでない物体である。焼却不適物の具体例については後述する。
【0013】
〔システム構成〕
情報処理装置1を含むシステムの構成を図2に基づいて説明する。図2は、該システムの一例である不適物検出システム100の要部構成について、一例を示すブロック図である。不適物検出システム100は、情報処理装置1(制御装置)、ごみ撮影装置2(撮影装置)、車両撮影装置3、警報装置4、表示装置5、データサーバ6、印刷装置7、およびクレーン8を含んでいる。情報処理装置1は、不適物検出システム100に含まれるその他の装置と通信可能に接続され、データの送受信を行なったり、制御信号を送信したりする。なお、印刷装置7については、後述する実施形態2で詳細に説明するため、ここでの説明を省略する。
【0014】
ごみ撮影装置2は、ごみピットに投下される途中のごみを撮影し、撮影画像を情報処理装置1へ送信する。以降、この撮影画像をごみ画像と称する。車両撮影装置3は、ごみを搬入し、該ごみをごみピット内に投下する車両(いわゆる、ごみ収集車)を撮影し、撮影画像を情報処理装置1へ送信する。以降、この撮影画像を車両画像と称する。一例として、ごみ撮影装置2は、動画を撮影するハイスピードシャッターカメラであってもよい。また、車両撮影装置3は、撮影機能を備えた装置であれば特に限定されない。
【0015】
図3は、ごみ焼却施設において、ごみ収集車がごみをごみピット内に投下している様子を示す図である。図4は、ごみピット内を示す図である。図3に示すように、ごみ焼却施設には、扉300A、300Bといった複数の扉(以降、区別する必要が無い場合、扉300と総称する)が設けられている。また、図4に示すように、扉300の先にはごみピットが設けられている。つまり、扉300が開放されることで、ごみピットへごみを投下するための投下口が現れる。図3に示すように、ごみ収集車200は、投下口からごみをごみピット内に投下する。
【0016】
ごみ画像および車両画像を撮影するために、ごみ撮影装置2および車両撮影装置3は、一例として、図3および図4に示すように、扉300それぞれの取付箇所400に取り付けられればよい。具体的には、ごみ撮影装置2は、図4の領域600を撮影可能な方向、角度で、取付箇所400に取り付けられればよい。また、車両撮影装置3は、ごみ収集車200を撮影可能な方向、角度で、取付箇所400に取り付けられればよい。なお、取付箇所400は、ごみ撮影装置2および車両撮影装置3の取付箇所の一例であり、ごみ撮影装置2の取付箇所は、図4の領域600を撮影可能な箇所であれば、取付箇所400とは異なる箇所であってもよい。また、車両撮影装置3の取付箇所は、ごみ収集車200を撮影可能な箇所であれば、取付箇所400とは異なる箇所であってもよい。
【0017】
図5の(a)は、ごみ撮影装置2によって撮影されたごみ画像の一例を示す図であり、図5の(b)は、車両撮影装置3によって撮影された車両画像の一例を示す図である。上述したようにごみ撮影装置2を取り付けることにより、ごみ収集車200からごみピット内へごみが投入されると、図5の(a)に示すように、ごみピットへ落下する途中のごみが写るごみ画像が撮影される。また、上述したように車両撮影装置3を取り付けることにより、図5の(b)に示すように、ごみ収集車200のナンバープレート900が写る車両画像が撮影される。ナンバープレート900が車両画像に含まれることにより、不適物検出システム100、または、車両画像を見たごみ焼却施設の施設員が、車両画像に写るごみ収集車200を特定することができる。なお、車両画像は、ごみ収集車200を識別できる情報を含んでいれば良く、該情報は、ナンバープレート900に限定されない。該情報の一例として、車両の形状、色、並びに、車両に記載された、搬入者が所属する団体の名称(例えば、会社名)および識別番号などが挙げられる。
【0018】
ごみ撮影装置2および車両撮影装置3は、ごみ収集車200が扉300の前に来たことを検知したときに撮影を開始する機能を備えていてもよい。これにより、ごみが投下されていないときに撮影が行われることを防ぐことができる。換言すれば、焼却不適物の検出に不要な画像を減らすことができる。また、ごみ撮影装置2は、ごみ収集車200が扉300の前に来たことを検知したときに撮影を開始する機能に代えて、扉300が開いたことを検知したときに撮影を開始する機能を備えていてもよい。これにより、焼却不適物の検出に不要な画像をより減らすことができる。
【0019】
なお、一例として、ごみ収集車200が、いずれの扉300からごみをごみピット内に投下するかは、ごみ収集車200がごみ焼却施設へ入る際に、ごみ焼却施設の施設員によって決定される。そして、決定された扉300は、一例として、施設員が所定の装置を操作することにより開放される。施設員は、ごみ収集車200によってごみをごみ焼却施設に搬入する搬入者に対し、ごみ焼却施設へ入る際に、搬入主体を特定するための情報の提示を求めてもよい。なお、搬入主体とは、搬入者、または、該搬入者が所属する団体(例えば、ごみの回収を行う回収業者など)を指す。また、搬入主体を特定するための情報とは、例えば、搬入主体の名称であってもよいし、ごみ収集車200のナンバープレート900に記載されたナンバーであってもよい。
【0020】
再び図2を参照して、不適物検出システム100の要部構成の説明に戻る。警報装置4は、焼却不適物が検出された時点で、情報処理装置1の制御によって警報を出力する。なお、焼却不適物が検出されたことを搬入者に認識させることができれば、警報の種類は特に限定されない。例えば、警報の出力は、発光装置を点灯させたり、点滅させたりすることであってもよいし、所定の音声を出力させることであってもよい。警報装置4は、投下口ごとに設けられることが好ましい。一例として、図3に示すライト500が、警報装置4を兼ねていてもよい。この例の場合、警報の出力は、ライト500の点滅であってもよい。
【0021】
表示装置5は、ごみ撮影装置2によって撮影されたごみ画像を、ごみの投下時に表示させる。表示装置5は、一例として、各投下口(すなわち、扉300)の上に設けられてもよい。これにより、表示装置5は、搬入者にごみ画像を見せることができ、搬入者に「ごみの投下を見られている」との意識を持たせることができる。結果として、焼却不適物が搬入されることを抑止することができる。
【0022】
また、表示装置5は、扉300に対向するように設けられた監視室(不図示)にいる施設員が表示されたごみ画像を見て、焼却不適物が投下されているか否かを確認できる程度の大きさで、ごみ画像を表示することが好ましい。
【0023】
データサーバ6は、情報処理装置1から取得したデータを格納する。一例として、データサーバ6には、ごみ画像および車両画像が格納される。
【0024】
クレーン8は、図4に示すようにごみピット内に設けられ、情報処理装置1の制御により、ごみピット内のごみを運搬する。
【0025】
〔装置構成〕
情報処理装置1の構成を図1に基づいて説明する。図1は、情報処理装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る情報処理装置1は、ごみ撮影装置2からごみ画像を取得した時点で、該ごみ画像を用いて焼却不適物を検出する機能を備えている。つまり、本実施形態に係る情報処理装置1は、ごみ収集車200がごみをごみピットへ投下している途中、または、投下し終えた直後に焼却不適物を検出する。これにより、情報処理装置1は、焼却不適物を検出したことを、該焼却不適物をごみピットへ投下した搬入者がごみ焼却施設から去る前に、該搬入者および施設員へ報知することができる。情報処理装置1は、一例として、パーソナルコンピュータであってもよい。
【0026】
情報処理装置1は、制御部10、記憶部11、および通信部12を備えている。制御部10は、情報処理装置1の各部を統括して制御する。記憶部11は、情報処理装置1が使用する各種データを格納する。通信部12は、不適物検出システム100に含まれる各装置からデータ等を受信したり、各装置に対してデータ等を送信したりする。なお、記憶部11は、データサーバ6と同様に、情報処理装置1の外部に設けられていてもよいし、データサーバ6が、記憶部11として機能してもよい。
【0027】
制御部10には、ごみ画像取得部101、画像領域抽出部102(抽出部)、ごみ識別部103(識別部)、不適物検出部104(検出部)、警報制御部105、表示制御部106、クレーン制御部107、車両画像取得部108、および対応付け部109が含まれている。また。記憶部11には、少なくとも、閾値情報111、搬入主体特定情報112、および対応付けテーブル113が含まれている。なお、対応付け部109、搬入主体特定情報112、および対応付けテーブル113の詳細については、後述する実施形態2にて説明するため、ここでの説明を省略する。
【0028】
ごみ画像取得部101は、通信部12を介して、ごみ撮影装置2からごみ画像を取得する。ごみ画像取得部101は、取得したごみ画像を、画像領域抽出部102へ出力する。本実施形態では、ごみ画像取得部101は、ごみ撮影装置2であるハイスピードシャッターカメラが撮影した、複数のフレーム画像からなる動画を取得する。換言すれば、ごみ画像取得部101は、投下されたごみがごみピット内に落ちるまでの期間にごみ画像を時系列で複数取得する。
【0029】
なお、ごみ画像取得部101が取得するごみ画像には、撮影された日時を示す日時情報と、該ごみ画像を撮影したごみ撮影装置2が取り付けられた扉300を識別する扉識別情報とが付与されている。扉識別情報は、換言すれば、ごみ画像に写るごみが投入された投下口を識別する情報と表現することもできる。
【0030】
また、ごみ画像取得部101は、取得したごみ画像を、通信部12を介してデータサーバ6へ送信する。つまり、ごみ画像取得部101は、取得したごみ画像をデータサーバ6へ格納する。また、ごみ画像取得部101は、取得したごみ画像を表示制御部106へ出力する。
【0031】
画像領域抽出部102は、ごみ画像から特定の画像領域を抽出する。具体的には、画像領域抽出部102は、複数のごみ画像、すなわち、取得した動画の各フレーム画像から、時系列で変化している画像領域を抽出する。上述したように、ごみ画像は、ごみがごみピットに投下される途中で撮影された画像であるため、時系列で変化している画像領域はすなわち、ごみが写る領域である。つまり、画像領域抽出部102は、ごみ画像からごみが写る領域を抽出する。画像領域抽出部102は、抽出した画像領域(以下、ごみ領域と称する)を示す情報を、取得したごみ画像に付与する。そして、画像領域抽出部102は、該ごみ画像を、付与されている日時情報および扉識別情報とともに、ごみ識別部103へ出力する。なお、画像領域抽出部102による、ごみ領域の抽出処理の詳細については後述する。
【0032】
ごみ識別部103は、ごみ画像に写るごみの種別を識別する。具体的には、ごみ識別部103は、画像領域抽出部102から取得した、ごみ領域を示す情報が付与されたごみ画像に基づいて、該ごみ領域内のごみの種別を識別する。この識別機能は、画像に写る物体を認識する物体認識アルゴリズム(例えばニューラルネットワークを用いたもの等)により実現可能である。このようなアルゴリズムを用いる場合、訓練用データセットを用いて予め機械学習を行っておく。使用するアルゴリズムは特に限定されないが、判定精度等の観点から深層学習のアルゴリズム(AlexNet、GoogLeNet、ResNetなど)を使用することが好ましい。
【0033】
ごみ識別部103は、識別結果に、日時情報および扉識別情報を付与し、不適物検出部104へ出力する。
【0034】
(機械学習)
ここで、上述した機械学習の詳細を説明する。ごみ識別部103が、ごみ画像に写るごみを正しく識別することができるように、ごみ識別部103には、事前に機械学習を行わせておく。上述の訓練用データセットには、物体が写る訓練用画像が含まれている。訓練用画像それぞれには、該訓練用画像に基づく正しい判定結果を示すデータが対応付けられている。具体的には、ごみ袋が写る訓練用画像には、ごみ袋が写る領域を示すデータ、および、該領域に写る物体がごみ袋であることを示すデータが対応付けられて、訓練用データが構成されている。
【0035】
訓練用データセットは、このような訓練用データを複数含むセットである。訓練用データは、ごみの種類を識別するために設定した各クラスについて用意しておく。例えば、ごみの種類を、7つのクラスのいずれかに分類する場合、各クラスに該当する訓練用画像を、所望の判定制度が得られる程度の数(例えば、各クラス100枚)だけ用意する。7つのクラスとは、例えば、以下のとおりである。(1)血圧計、(2)体温計、(3)自動車用バッテリー、(4)物干し竿、(5)岩、(6)陶磁器、(7)透明なごみ袋。
【0036】
なお、訓練用画像は、ごみ画像に写るごみを正しく識別することができるように、ごみとして出された物体を撮影したものであることが好ましい。具体的には、訓練用画像は、変形、破損、汚染、腐食などが発生した物体が写る画像であることが好ましい。また、訓練用画像を上下左右に反転、回転、拡大、あるいは縮小等することにより、訓練用データの数を増やしてもよい。また、設定するクラスについては上記の7クラスに限定されない。
【0037】
機械学習においては、訓練用データを用いてごみ識別部103にごみの種類の識別を行わせ、その識別結果に応じて、識別に関するパラメータを更新するという処理を、各訓練用データについて行ってもよい。これにより、ごみ識別部103の識別の精度を向上させて、ごみ識別部103を実用に耐える程度の精度で識別を行うことが可能な状態とすることができる。
【0038】
再び図1を参照して、情報処理装置1の構成の説明に戻る。不適物検出部104は、ごみ画像から焼却不適物を検出する。具体的には、不適物検出部104は、ごみ識別部103から取得した識別結果と、閾値情報111とに基づいて、識別結果が示す種別のごみが焼却不適物であるか否か、換言すれば、焼却不適物が投下されたか否かを判定する。不適物検出部104は、この判定の結果(以下、検出結果と称する)に、識別結果に付与されている扉識別情報を付与し、警報制御部105、および、クレーン制御部107へ出力する。なお、閾値情報111の詳細、および、不適物検出部104による、焼却不適物の検出処理の詳細については後述する。
【0039】
車両画像取得部108は、通信部12を介して、車両撮影装置3から車両画像を取得する。車両画像取得部108は、取得した車両画像を、通信部12を介してデータサーバ6へ送信する。つまり、車両画像取得部108は、取得した車両画像をデータサーバ6へ格納する。本実施形態では、車両画像取得部108は、車両撮影装置3であるカメラが撮影した画像を取得する。該画像は、扉300(すなわち、投下口)の前に存在するごみ収集車200を撮影した画像である。車両画像の撮影タイミングは、ごみ収集車200が扉300の前に存在する期間内であれば、特に限定されない。
【0040】
なお、車両画像取得部108が取得する車両画像には、ごみ画像取得部101が取得するごみ画像と同様に、撮影された日時を示す日時情報と、該車両画像を撮影した車両撮影装置3が取り付けられた扉300を識別する扉識別情報とが付与されている。
【0041】
警報制御部105は、焼却不適物の投下が検出されたとき、警報装置4を制御して警報を出力させる。具体的には、警報制御部105は、不適物検出部104から取得した検出結果が、焼却不適物が投下されたことを示している場合、通信部12を介して、検出結果に付与された扉識別情報から特定される警報装置4へ制御信号を送信する。これにより、警報装置4は警報を出力する。
【0042】
表示制御部106は、表示装置5を制御してごみ画像を表示させる。具体的には、表示制御部106は、ごみ画像取得部101からごみ画像を取得すると、該ごみ画像と制御信号とを、通信部12を介して、ごみ画像に対応付けられた扉識別情報から特定される表示装置5へ送信する。これにより、表示装置5はごみ画像を表示する。
【0043】
クレーン制御部107は、クレーンの動作を制御する。一例として、クレーン制御部107は、焼却不適物の投下が検出されたとき、ごみピット内に落下した焼却不適物を、焼却可能なごみと区別できる位置に移動させる。具体的には、クレーン制御部107は、不適物検出部104から取得した検出結果が、焼却不適物が投下されたことを示している場合、通信部12を介して、クレーン8へ、焼却不適物を、焼却可能なごみと区別できる位置に移動させるための制御信号を送信する。なお、クレーン制御部107による、焼却不適物の移動処理の詳細については後述する。
【0044】
〔処理の流れ〕
図6に基づいて、情報処理装置1が実行する処理の流れを説明する。図6は、情報処理装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0045】
ごみ画像取得部101は、ごみ撮影装置2からごみ画像を取得する(S101)。また、車両画像取得部108は、車両撮影装置3から車両画像を取得する(S102)。そして、ごみ画像取得部101および車両画像取得部108は、取得したごみ画像および車両画像をデータサーバ6へ格納する(S103)。また、ごみ画像取得部101は、取得したごみ画像を表示制御部106へ出力する。表示制御部106は、取得したごみ画像を表示装置5に表示させる(S104)。
【0046】
また、ごみ画像取得部101は、取得したごみ画像を画像領域抽出部102へ出力する。画像領域抽出部102は、連続で取得した複数のごみ画像を比較して、ごみ画像において、時系列で変化している画像領域があるか否かを判定する(S105)。時系列で変化している画像領域があると判定した場合(S105でYES)、画像領域抽出部102は、該画像領域をごみ領域として抽出し(S106)、該ごみ領域を示す情報を取得したごみ画像に付与する。そして、画像領域抽出部102は、ごみ領域を示す情報が付与されたごみ画像をごみ識別部103へ出力する。一方、時系列で変化している画像領域がないと判定した場合(S105でNO)、図6に示す処理はステップS101へ戻る。
【0047】
(ごみ領域の抽出処理の具体例)
ここで、ステップS106のごみ領域の抽出処理の一具体例について、図7および図8を参照して説明する。図7および図8は、ごみ領域の抽出処理の一具体例を示す図である。
【0048】
図7に示すごみ画像21~23は、画像領域抽出部102が連続して取得した複数のごみ画像である。図7に示すように、ごみ画像21は時間t-Δtに撮影されたごみ画像であり、ごみ画像22は時間tに撮影されたごみ画像であり、ごみ画像23は時間t+Δtに撮影されたごみ画像である。すなわち、ごみ画像21~23は、ごみ画像21、22、23の順で撮影されている。ごみ画像21~23には、ごみ収集車200から投下された物体211が、時間が経過するごとに、投下口とごみピットとの間に設けられた経路を、ごみピットに向かって移動する(滑り落ちていく)様子が示されている。
【0049】
画像領域抽出部102は、一例として、フレーム間差分法を用いてごみ領域、すなわち、複数取得されたごみ画像から、時系列で変化している画像領域を特定する。なお、ここでは、画像22からごみ領域を抽出する例を説明する。具体的には、画像領域抽出部102は、まず、ごみ画像21とごみ画像22とをグレースケール変換する。そして、画像領域抽出部102は、グレースケール変換したごみ画像21とごみ画像22との画素ごとの差分値を算出し、差分値マトリクスを得る。画像領域抽出部102は、この差分値マトリクスに対して、各要素の値が所定の値以上であれば白色、所定の値未満であれば黒色とする処理を行う。これにより、ごみ画像21とごみ画像22との間で、変化した領域が白色であり、変化していない領域が黒色である二値化画像24が得られる。二値化画像24では、ごみ画像21における物体211に相当する領域212Aと、ごみ画像22における物体211に相当する領域211Bとが白色となっている。
【0050】
画像領域抽出部102は、同様の処理を、ごみ画像22とごみ画像23との間でも行い、二値化画像25を得る。二値化画像24では、領域212Bと、ごみ画像23における物体211に相当する領域211Cとが白色となっている。
【0051】
画像領域抽出部102は、得られた二値化画像24および25に対して、AND処理を施す。これにより、画像領域抽出部102は、図8の(a)に示すように、二値化画像24および25の両方で白色の領域のみが白色となった二値化画像26を得る。換言すれば、画像領域抽出部102は、領域211A~211Cのうち、領域211Bのみを含む二値化画像26を得る。
【0052】
画像領域抽出部102は、二値化画像26において、領域211Bなどの白色の領域それぞれを矩形で囲む。そして、該矩形の面積が所定の閾値より大きいか否かを判定する。所定の閾値より大きいと判定した場合、画像領域抽出部102は、二値化画像26に対応するごみ画像22をごみが投下された時のごみ画像であると判定する。そして、画像領域抽出部102は、領域211Bを囲った矩形と同面積の矩形221を、二値化画像26における、領域211Bを囲った矩形の位置に対応する、ごみ画像22の位置に配置する。これにより、図8の(b)に示すように、矩形221によって、物体211の大部分が囲まれたごみ画像27が得られる。画像領域抽出部102は、画像27において、矩形221に囲まれた領域をごみ領域として抽出する。画像領域抽出部102は、ごみ画像21、23、その他図示していないすべてのごみ画像に対し、上述の処理を行う。これにより、すべてのごみ画像において、ごみが投下された時のごみ画像であるか否かの判定が行われ、ごみが投下された時のごみ画像において、ごみ領域が抽出される。
【0053】
なお、複数取得されたごみ画像から、時系列で変化している画像領域を特定する方法は、フレーム間差分法に限定されない。一例として、画像領域抽出部102は、オプティカルフローを用いてもよい。
【0054】
また、図7および図8では、画像に1つの物体211が写っている例を示しているが、画像に複数の物体が写っている場合もあり得る。この場合、図7および図8を参照して説明した上述の方法に従い、複数の物体それぞれについて、矩形で囲まれた領域がごみ領域として抽出される。
【0055】
再び、図6を参照して、処理の流れの説明に戻る。ごみ識別部103は、取得したごみ画像のごみ領域から、ごみの種別を識別する(S107)。一例として、ごみ識別部103は、物体検出を行い、ごみ領域内の物体について、設定された各クラス(例えば、上述の7つのクラス)のスコアを出力する。出力されるスコアは、例えば、0から1までの範囲における小数点以下2桁の数値であり、該スコアが高いほど、各クラスの物体である可能性が高いことを示す。ごみ識別部103は、出力された7つのスコアを、識別結果として不適物検出部104へ出力する。なお、ごみ識別部103は、7つのスコアのうち、最も値が高いスコアのみを不適物検出部104へ出力してもよい。
【0056】
不適物検出部104は、識別されたごみが焼却不適物であるか否かを判定する(S108)。そして、不適物検出部104は、判定の結果(検出結果)を警報制御部105、および、クレーン制御部107へ出力する。
【0057】
(焼却不適物の検出処理の具体例)
ここで、ステップS108の焼却不適物の検出処理の一具体例について、図9および図10を参照して説明する。図9は、危険度に応じた焼却不適物の分類例を示す図である。図10は、記憶部11に記憶された閾値情報111の一具体例を示す図である。なお、ここでは、物体検出において、上述した7つのクラスが設定されている例について説明する。
【0058】
図9に示すように、焼却不適物は、一例として、高、中、低の3つの危険度のいずれかに分類することができる。危険度「高」の焼却不適物は、焼却炉全体を停止させる恐れのある焼却不適物である。図9の例では、重金属を多く含むものを、危険度「高」の焼却不適物としている。このような焼却不適物の一例としては、血圧計、体温計などの高水銀含有物、自動車のバッテリーなどの高鉛含有物などが挙げられる。危険度「中」の焼却不適物は、焼却炉の一部設備を停止させる恐れのある焼却化合物である。図9の例では、灰出し設備(コンベア)を閉塞させる恐れのあるものを、危険度「中」の焼却不適物としている。このような焼却不適物の一例としては、物干し竿などの長尺物、岩などの高重量物質などが挙げられる。危険度「低」の焼却不適物は、焼却炉の燃焼を悪化させる焼却不適物であり、低カロリーの物体(すなわち、不燃ごみ)全般が該当する。一例としては、ガラス製品や陶磁器などが挙げられる。
【0059】
つまり、上述した7つのクラスが示す物体は、(1)血圧計、(2)体温計、(3)自動車用バッテリーが、危険度「高」の焼却不適物であり、(4)物干し竿、(5)岩が、危険度「中」の焼却不適物であり、(6)陶磁器が、危険度「低」の焼却不適物である。一方、(7)透明なごみ袋は、焼却不適物ではない。
【0060】
不適物検出部104は、取得した識別結果と、閾値情報111とに基づいて、ごみ画像に写るごみが上記3つの危険度の焼却不適物のいずれかに該当するか否かを判定する。具体的には、図10に示すように、閾値情報111は、ごみ識別部103によって出力されたスコアの閾値と、危険度とを対応付けた情報である。図10に示すように、閾値情報111は、危険度が高いほど、低い閾値が対応付けられている。すなわち、閾値情報111は、危険度が高い焼却不適物の可能性があるごみについて、スコアが低くても、焼却不適物であるとして検出できるようになっている。これにより、焼却炉の停止を防ぐことができる。
【0061】
不適物検出部104は、7つのスコアのうち、(1)~(6)のクラスにおける6つのスコアを、該当する危険度の閾値と比較する。つまり、不適物検出部104は、(1)血圧計、(2)体温計、(3)自動車用バッテリーのスコアを、危険度「高」に対応付けられた閾値(図10の例では0.5)と比較する。また、不適物検出部104は、(4)物干し竿、(5)岩のスコアを、危険度「中」に対応付けられた閾値(図10の例では0.7)と比較する。また、不適物検出部104は、(6)陶磁器のスコアを、危険度「低」に対応付けられた閾値(図10の例では0.9)と比較する。比較の結果、閾値以上のスコアがあった場合、不適物検出部104は、識別されたごみが焼却不適物であると判定する。一方、閾値以上のスコアが無かった場合、不適物検出部104は、識別されたごみが焼却不適物でないと判定する。
【0062】
なお、上述した焼却不適物の検出処理は一例であり、該検出処理はこの例に限定されるものではない。例えば、ごみ識別部103は、ごみ領域に対して、YOLOなどの物体検出法を用いて物体の名称を特定し、該名称を識別結果として不適物検出部104に出力してもよい。この例の場合、不適物検出部104は、閾値情報111に代えて記憶部11に記憶されている焼却不適物の名称と、識別結果として取得した物体の名称とが一致する場合、識別されたごみが焼却不適物であると判定する。
【0063】
再び、図6を参照して、処理の流れの説明に戻る。不適物検出部104が、識別されたごみが焼却不適物であると判定した場合(S108でYES)、検出結果を取得した警報制御部105は、警報装置4を制御して警報を出力させる(S109)。また、検出結果を取得したクレーン制御部107は、クレーンを制御して焼却不適物を移動させる(S110)。一方、不適物検出部104が、識別されたごみが焼却不適物でないと判定した場合(S108でNO)、検出結果を取得した警報制御部105およびクレーン制御部107はそれぞれ、ステップS109およびS110の処理を実行しない。
【0064】
(焼却不適物の移動処理の具体例)
ここで、ステップS110の焼却不適物の移動処理の一具体例について説明する。クレーン制御部107は、上述したように、焼却不適物を、焼却可能なごみと区別できる位置に移動させるための制御信号を、クレーン8へ送信する。このとき、クレーン制御部107は、検出結果に付与された扉識別情報に基づいて、ごみピットにおける、焼却不適物が投下された領域を特定する。具体的には、情報処理装置1は、扉識別情報と、該扉識別情報が示す投下口から投下されたごみが到達するごみピットの領域を示す領域情報と、を対応付けた情報(不図示)を予め記憶部11に記憶している。クレーン制御部107は、該情報を参照して、取得した扉識別情報が対応付けられた領域情報を特定することにより、焼却不適物が投下された領域を特定する。そして、クレーン制御部107は、制御信号に、特定した領域を示す領域情報を含めて、クレーン8へ送信する。これにより、クレーン8は領域情報が示す領域のごみ、すなわち、焼却不適物を含むごみをつかみ、焼却しないごみを配置する領域として予め定められた領域に、つかんだごみを移動させる。
【0065】
再び、図6を参照して、処理の流れの説明に戻る。情報処理装置1の電源を切る操作が、情報処理装置1の操作部(不図示)に入力された場合(ステップS111でYES)、図6に示す処理は終了する。一方、情報処理装置1の電源が切られていない場合(ステップS111でNO)、図6に示す処理はステップS101へ戻る。
【0066】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態に係る情報処理装置1について図11から図13に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0067】
実施形態1では、ごみ収集車200がごみをごみピットへ投下している途中、または、投下し終えた直後に焼却不適物を検出する例を説明した。具体的には、実施形態1では、短時間で焼却不適物を検出するために、画像領域抽出部102は、ごみ画像のうちの時系列で変化している領域をごみ領域と特定し、該ごみ領域について焼却不適物であるか否かを判定していた。換言すれば、実施形態1では、ごみ画像全体の探索を行っていないため、焼却不適物を漏れなく検出できない可能性があった。
【0068】
これに対して、本実施形態では、ごみ画像全体の探索を行い、焼却不適物を検出する例を説明する。この例は、焼却不適物の検出に時間を要するため、実施形態1で説明した例のように、ごみ収集車200がごみをごみピットへ投下している途中、または、投下し終えた直後に焼却不適物を検出することは難しい。一方で、ごみ画像全体の探索を行うため、漏れなく焼却不適物を検出することができる。このため、本実施形態で説明する例は、ごみの搬入が無い夜間や休日における実行に適している。
【0069】
本実施形態では、不適物検出システム100は、焼却不適物が検出されたことを搬入主体に通知するために、検出結果に基づいて、搬入主体が搬入したごみに焼却不適物が含まれていたか否かを示す帳票を作成する。上述した実施形態1での説明を省略した対応付け部109および印刷装置7は、該帳票の作成に係る処理を実行する。
【0070】
なお、本実施形態では、不適物検出システム100は、実施形態1で説明した処理に加え、以降で説明する処理を実行するシステムであるとする。ただし、不適物検出システム100はこの例に限定されず、実施形態1で説明した処理、または、実施形態2で説明した処理のいずれかのみを実行するシステムであってもよい。
【0071】
ごみ画像取得部101は、実施形態1で説明した機能に加え、所定の期間内に撮影されたごみ画像を、データサーバ6から読み出し、画像領域抽出部102へ出力する。
【0072】
車両画像取得部108は、実施形態1で説明した機能に加え、所定の期間内に撮影された車両画像を、データサーバ6から読み出し、対応付け部109へ出力する。なお、所定の期間内に撮影されたごみ画像および車両画像は、例えば、本実施形態で説明する処理が夜間に行われる場合、その日に撮影されたごみ画像および車両画像であってもよい。
【0073】
対応付け部109は、車両画像から特定されるごみの搬入主体と、不適物検出部104から取得した検出結果とを、車両画像および検出結果に対応付けられた時刻情報および扉識別情報に基づいて対応付ける。また、対応付け部109は、この対応付けに基づき、帳票を生成する。なお、搬入主体の特定処理の詳細、および、搬入主体と検出結果との対応付け処理の詳細については後述する。
【0074】
印刷装置7は、情報処理装置1の制御によって印刷を行う。例えば、印刷装置7は、対応付け部109の制御によって上述した帳票を印刷する。
【0075】
〔処理の流れ〕
図11に基づいて、情報処理装置1が実行する処理の流れを説明する、図11は、情報処理装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0076】
ごみ画像取得部101および車両画像取得部108は、データサーバ6から、所定の期間内に撮影されたごみ画像および車両画像を読み出す(S201)。そして、ごみ画像取得部101は、読み出したごみ画像を画像領域抽出部102へ出力する。また、車両画像取得部108は、読み出した車両画像を対応付け部109へ出力する。
【0077】
画像領域抽出部102は、読み出したごみ画像から1つを選択する(S202)。例えば、画像領域抽出部102は、読み出したごみ画像のうち、日時情報が示す日時が最も古いものを選択してもよい。続いて、画像領域抽出部102は、選択したごみ画像全体を探索し(S203)、ごみ領域があるか否かを判定する(S204)。ごみ領域があると判定した場合(S204でYES)、画像領域抽出部102は、ごみ領域を示す情報をごみ画像に付与し、該ごみ画像をごみ識別部103へ出力する。そして、図11に示す処理はステップS205へ進む。一方、ごみ領域が無いと判定した場合(S204でNO)、画像領域抽出部102は、別のごみ画像を1つ選択する(S212)。そして、図11に示す処理はステップS203へ戻る。
【0078】
(ごみ画像全体の探索処理の具体例)
ここで、ステップS203のごみ画像全体の探索処理の一具体例について、図12を参照して説明する。図12は、ごみ画像全体の探索処理の一具体例を示す図である。本実施形態では、一例として、ごみ画像全体を探索するためにスライディングウィンドウ方式を採用する。既存の技術であるため詳細な説明は省略するが、スライディングウィンドウ方式とは、画像に対して、所定の面積の小領域を設定し、該小領域を所定画素ごとにずらしながら、物体候補領域を抽出する手法である。
【0079】
画像領域抽出部102は、図12に示すように、選択したごみ画像28に対して、小領域231を設定する。そして、画像領域抽出部102は、図12に示すように、小領域231を矢印の方向に所定画素ごとに移動させることでごみ領域を抽出する。なお、小領域231のサイズを可変させて探索を行ってもよい。これにより、処理に要する時間がより増大するが、焼却不適物の検出の高精度化を実現することができる。また、ごみ画像全体の探索処理は、スライディングウィンドウ方式以外の手法で行われてもよい。
【0080】
再び、図11を参照して、処理の流れの説明に戻る。ごみ識別部103は、取得したごみ画像のごみ領域から、ごみの種別を識別し(S205)、識別結果を不適物検出部104へ出力する。不適物検出部104は、識別されたごみが焼却不適物であるか否かを判定する(S206)。なお、ステップS205およびS206の処理は、実施形態1で説明した、図6のステップS107およびS108の処理と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。ステップS206が終了すると、不適物検出部104は、ステップS206の判定結果(検出結果)を、対応付け部109へ出力する。なお、検出結果が、焼却不適物を検出したことを示している場合、不適物検出部104は、検出結果とともに、検出した焼却不適物の種別を示す情報を対応付け部109へ出力してもよい。
【0081】
次に、対応付け部109は、車両画像取得部108から取得した車両画像から、搬入主体を特定する(S207)。具体的には、対応付け部109は、取得した車両画像から、付与された日時情報および扉識別情報が、取得した検出結果に付与された日時情報および扉識別情報と一致する車両画像を特定する。そして、続いて、対応付け部109は、特定した車両画像に写るごみ収集車200のナンバープレート900に対して画像認識を行うことにより、ごみ収集車200のナンバーを特定する。続いて、対応付け部109は、記憶部11に記憶された搬入主体特定情報112を参照する。搬入主体特定情報112とは、ごみ焼却施設に出入りするごみ収集車200のナンバーと、搬入主体を示す情報とを対応付けた情報である。対応付け部109は、搬入主体特定情報112を参照し、特定したナンバーに対応付けられた搬入主体を示す情報を特定する。なお、搬入主体を示す情報とは、例えば、搬入主体の名称である。
【0082】
次に、対応付け部109は、取得した焼却不適物の検出結果と、特定した搬入主体とを対応付け(S208)、記憶部11に記憶する。対応付け部109は、一例として、対応付けテーブル113に該対応付けを格納してもよい。対応付けテーブル113は、対応付け部109により対応付けられた検出結果および搬入主体を格納するテーブルであり、図13は、その一具体例を示す図である。なお、図13の例では、対応付け部109は、上記検出結果と搬入主体とに加え、ごみが搬入された日時を対応付けている。また、図13の例では、検出結果が焼却不適物を検出したことを示している場合、該焼却不適物の種別と、該焼却不適物が写るごみ画像とをさらに対応付けている。対応付ける日時としては、取得した検出結果に付与された日時情報を用いればよい。対応付けるごみ画像は、日時情報および扉識別情報に基づいて、対応付け部109がデータサーバ6から読み出してもよいし、検出結果とともに、不適物検出部104から対応付け部109に出力されてもよい。
【0083】
また、本実施形態では、1回のごみの投下において、複数のごみ画像と車両画像とが生成される。すなわち、1回のごみの投下に対し、複数の対応付けが生成される。対応付け部109は、この複数の対応付けの一部を対応付けテーブル113に格納してもよい。具体的には、対応付け部109は、検出結果が焼却不適物を検出したことを示している対応付けを対応付けテーブル113に格納してもよい。さらに、対応付け部109は、1回のごみの投下における複数の対応付けに、検出結果が焼却不適物を検出したことを示している対応付けが無い場合は、複数の対応付けのうち1つを対応付けテーブルに格納してもよい。これにより、対応付けテーブル113に格納されるデータの容量を抑えることができる。
【0084】
制御部10は、ごみ領域があるすべてのごみ画像についてステップS209における対応付けが完了するまで、ステップS203からS209までの処理を繰り返す。具体的には、対応付けが完了していない場合(S209でNO)、画像領域抽出部102が別のごみ画像を1つ選択し(S212)、図11に示す処理はステップS203へ戻る。
【0085】
一方、対応付けが完了した場合(S209でYES)、対応付け部209は、対応付けに基づき、焼却不適物の有無および搬入主体を含む帳票を生成する(S210)。本実施形態では、対応付け部109は、図13に示す対応付けテーブル113の各レコードを参照し、日時、並びに、検出結果が焼却不適物を検出したことを示している場合は該焼却不適物の種別、および、該焼却不適物が写るごみ画像をさらに含む帳票を生成する。なお、生成される帳票は、焼却不適物の有無および搬入主体を少なくとも含んでいればよく、この例に限定されるものではない。例えば、帳票は、検出結果が焼却不適物を検出したことを示している場合は、車両画像をさらに含んでもよい。これにより、帳票に示された搬入主体が、焼却不適物を投下したことを証明することができる。
【0086】
最後に、対応付け部109は、印刷装置7を制御して、生成した帳票を印刷する(S211)。以上で、図11に示す処理は終了する。
【0087】
〔実施形態3〕
不適物検出部104が焼却不適物を検出した場合、その焼却不適物が含まれるごみはごみピットに投入しないようにすることが好ましい。本実施形態では、焼却不適物が含まれるごみはごみピットに投入しないように制御する例を図14に基づいて説明する。図14は、ごみピットの前段に設けたごみ貯留部の構成例を示す図である。
【0088】
図14に示すごみ貯留部は、ごみの搬入口(図4等で扉300が設けられていた開口部。図14では扉300は図示せず。)からごみピットまでの区画である。ごみ貯留部のごみピット側の開口には扉330が設けられている。扉330は、外部からの制御により、図14の(a)に示す閉状態と、同図の(b)に示す開状態とで切り替わる。
【0089】
ごみ貯留部の底部は傾斜面となっており、搬入口から投入されたごみは、この傾斜面に沿って滑り落ちる。ごみの投入時には、扉330は閉状態としておくことにより、傾斜面に沿って滑り落ちたごみは扉330で堰き止められ、ごみ貯留部に保持される(保持状態)。そして、扉330を開状態に切り替えることにより、ごみ貯留部のごみはごみピット内に放出される(放出状態)。
【0090】
本実施形態の情報処理装置1の制御部10には、扉330の開閉を制御して、上記保持状態と上記放出状態とを切り替える保持制御部が含まれている。保持制御部は、少なくともごみ貯留部へのごみの投入が開始された後、ごみが焼却不適物であるか否かを判定する処理(図6のS108)が終わるまでは、扉330を閉状態としておく。なお、本実施形態では、搬入されたごみが一旦ごみ貯留部に留まるから、ごみ貯留部に保持されているごみを撮影した画像から焼却不適物を検出してもよい。
【0091】
そして、保持制御部は、上記判定の結果が、ごみが焼却不適物であるとの結果であった場合、扉330を閉状態で維持する。これにより、焼却不適物がごみ貯留部内に保持されるので、この保持された状態のときに焼却不適物を除き、焼却不適物がごみピットに投入されることを防ぐことができる。
【0092】
一方、保持制御部は、上記判定の結果が、ごみが焼却不適物ではないとの結果であった場合、すなわち不適物検出部104がごみ保持部のごみから焼却不適物を検出しなかった場合には、扉330を閉状態から開状態に切り替える。これにより、ごみ保持部は保持状態から放出状態に切り替わり、焼却不適物が含まれていないことが確認されたごみがごみピットに投入される。
【0093】
なお、本実施形態においては、観音開き式の扉330を開閉することによってごみ保持部の保持状態と放出状態とを切り替えているが、切り替えのための構成はこの例に限定されない。例えば、片開きの扉の開閉によって切り替えてもよいし、シャッターによって切り替えてもよい。また、例えば、ごみ貯留部自体の傾斜角度を可変に構成し、保持状態ではごみ貯留部を水平または水平に近い傾斜角度とし、放出状態ではごみ貯留部をごみピットに向かって下り勾配となるように傾斜させてもよい。
【0094】
〔実施形態4〕
本実施形態では、音や振動に基づいて焼却不適物を検出する例を図15に基づいて説明する。図15は、音や振動に基づいて焼却不適物を検出する情報処理装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の情報処理装置1は、図1に示した実施形態1の情報処理装置1と比べて、制御部10に音検出部131と振動検出部132が含まれている点で相違している。
【0095】
音検出部131は、ごみ焼却施設に搬入されたごみがごみピットに落ちるまでの期間に発生した音を検出する。音検出部131が検出する音は、例えば所定のパターンの音であってもよい。所定のパターンの音とは、焼却不適物を投入した際に発生する音である。例えば、金属製の焼却不適物が投入されたときには、投下口とごみピットとを結ぶ経路に当該焼却不適物が投入されたとき、および当該経路上(例えば、床面(傾斜面))を滑り落ちている間に金属音が発生する。また、ごみピットに当該焼却不適物が落下したときにも金属音が発生する。このため、音検出部131は、金属音を所定のパターンの音として検出してもよい。金属音のパターンは周波数解析等で検出することができる。発生する音は、例えばマイク等の音取得装置で取得して、情報処理装置1に送信すればよい。音取得装置は、ごみの投下口付近や、投下口とごみピットを結ぶ経路上、該経路の出口付近等、上記の音を取得できる任意の位置に設置すればよい。なお、音検出部131が検出対象とする音は、焼却不適物に特有の音であればよく、金属音に限られない。また、音検出部131は、複数種類の焼却不適物のそれぞれに対応する音を、それぞれ区別して検出してもよい。この場合、複数種類の焼却不適物を検出できる。また、音検出部131は、特定の音の組み合わせを検出してもよい。例えば、ガラスが割れる音と、ガラスが床面等に擦れる音との組み合わせを検出してもよい。これにより、ガラスの検出精度を高めることができる。
【0096】
振動検出部132は、ごみ焼却施設に搬入されたごみがごみピットに落ちるまでの期間に発生した振動を検出する。検出する振動は、例えば、投下口とごみピットを結ぶ経路に発生した振動であってもよい。例えば、上記経路の床面が傾斜面である場合、振動検出部132は、ごみが当該傾斜面を滑り落ちる際に、当該傾斜面に生じる振動を検出してもよい。また、例えば、上記経路の床面にコンベア等のごみの搬送装置が設けられている場合、振動検出部132は、当該搬送装置に生じる振動を検出してもよい。振動の検出方法は特に限定されないが、例えば、振動計測装置(振動計)を、投下口とごみピットを結ぶ経路上等に設置し、振動計測装置の検出値を情報処理装置1に送信する構成としてもよい。
【0097】
また、振動検出部132が検出する振動は、所定のパターンの振動であってもよい。所定のパターンの振動とは、焼却不適物を投入した際に発生する振動である。例えば、振動検出部132は、金属製の焼却不適物が投入されたときに発生する高周波振動を所定のパターンの振動として検出してもよい。高周波振動は、例えば高周波解析により検出することができる。不適物検出部104は、この検出結果に基づいて焼却不適物を検出可能である。なお、振動検出部133が検出対象とする振動は、焼却不適物に特有の振動であればよく、金属が発生させる振動に限られない。
【0098】
以上のように、音検出部131は焼却不適物をごみピットに投入した際に発生した音を検出し、振動検出部132は、焼却不適物をごみピットに投入した際に発生した振動を検出する。このため、本実施形態の不適物検出部104は、音検出部131が所定のパターンの音を検出した場合、および振動検出部132が所定のパターンの振動を検出した場合にも、前記ごみに焼却不適物が含まれていると検出する。つまり、本実施形態の不適物検出部104は、音検出部131の検出結果、振動検出部132の検出結果、およびごみ識別部103の識別結果の少なくともいずれかが、焼却不適物が存在することを示している場合には、焼却不適物が存在すると判定する。これにより、ごみ画像のみ、音のみ、あるいは振動のみからでは検出漏れとなる焼却不適物を検出することが可能になり、焼却不適物の検出確度をさらに高めることができる。
【0099】
なお、不適物検出部104は、音検出部131の検出結果、振動検出部132の検出結果、およびごみ識別部103の識別結果の少なくともいずれか2つが、焼却不適物が存在することを示している場合に焼却不適物が存在すると判定してもよい。また、不適物検出部104は、これらの結果の全てが、焼却不適物が存在することを示している場合に焼却不適物が存在すると判定してもよい。
【0100】
また、不適物検出部104は、音検出部131の検出結果、振動検出部132の検出結果、およびごみ識別部103の識別結果を総合して、焼却不適物が存在するか否かを判定してもよい。この場合、不適物検出部104は、実施形態1と同様に焼却不適物の種類(クラス)ごとのスコアに基づいて焼却不適物が存在するか否かを判定してもよい。この場合、音検出部131および振動検出部132の検出結果をスコアに反映させる。例えば、音検出部131が金属音を検出したときには、不適物検出部104は、金属である焼却不適物のクラスのスコアに所定の数値を加算してもよい。これにより、金属音である焼却不適物を画像と音の両方に基づいて検出することができる。同様に、振動検出部132が所定のパターンの振動を検出したときには、不適物検出部104は、金属である焼却不適物のクラスのスコアに所定の数値を加算してもよい。なお、加算する数値は予め定めておけばよい。
【0101】
なお、本実施形態では、音検出部131の検出結果、振動検出部132の検出結果、およびごみ識別部103の識別結果を用いて焼却不適物を検出する例を示したが、これらのいずれかの結果を用いて焼却不適物を検出してもよい。つまり、情報処理装置1は、ごみ識別部103(およびごみ画像取得部101、画像領域抽出部102)と、音検出部131と、振動検出部132の少なくともいずれかを備えていれば、焼却不適物を検出することができる。例えば、音検出部131と不適物検出部104を備えた情報処理装置1であれば、不適物検出部104は、音検出部131による音の検出結果に基づいて、ごみに焼却不適物が含まれていると検出する。また、振動検出部132と不適物検出部104を備えた情報処理装置1であれば、不適物検出部104は、振動検出部132による振動の検出結果に基づいて、ごみに焼却不適物が含まれていると検出する。
【0102】
〔変形例〕
ごみ撮影装置2は、ハイスピードシャッターカメラの他に、別のカメラを含んでいてもよい。一例として、ごみ撮影装置2は、偏光カメラを含んでいてもよい。情報処理装置1は、偏光カメラで撮影された画像の画像処理を行うことにより、透明なごみ袋を特定することができる。これにより、焼却不適物ではない透明なごみ袋を排除したうえで、焼却不適物の検出を行うことができる。一例として、実施形態1において、ごみ識別部103が上記の画像処理を行うことにより、ごみ領域のうち、透明なごみ袋が写る領域を特定し、排除してもよい。これにより、ごみの識別をより短時間で行うことができる。また、画像領域抽出部102が上記の画像処理を行うことにより、ごみ領域の候補から、透明なごみ袋が写る領域を特定し、排除してもよい。これにより、ごみ領域の抽出をより短時間で行うことができる。結果として、焼却不適物の検出に係る時間をより短時間で行うことができ、よりリアルタイム性の高い焼却不適物の検出を実現することができる。
【0103】
また、表示制御部106は、不適物検出部104が焼却不適物を検出した場合、焼却不適物が投下された投下口に対応する表示装置5を制御して、焼却不適物を検出した旨を表示させてもよい。
【0104】
実施形態2において、対応付け部109は、搬入主体に代えて、あるいは、搬入主体とともに、車両画像を検出結果と対応付けてもよい。前者の例の場合、対応付け部109は、帳票に含める搬入主体を、帳票の生成時に特定すればよい。なお、搬入主体の特定方法については、実施形態2で説明した方法を用いればよいため、ここでは説明を繰り返さない。また、実施形態2において、対応付け部109は、搬入者がごみ焼却施設に入る際に提示した、搬入主体を特定するための情報から搬入主体を特定してもよい。
【0105】
情報処理装置1は、ごみ投入時のごみ画像および車両画像のみを、データサーバ6に記憶してもよい。具体的には、ごみ画像取得部101は、ごみ画像をデータサーバ6に記憶する機能を有さない。また、画像領域抽出部102は、ごみ領域を抽出したごみ画像を、車両画像取得部108へ出力する。車両画像取得部108は、取得した車両画像のうち、付与された日時情報および扉識別情報が、画像領域抽出部102から取得したごみ画像の日時情報および扉識別情報と一致する車両画像を、取得したごみ画像とともにデータサーバ6へ格納する。これにより、データサーバ6に保存するデータの容量を抑えることができる。
【0106】
情報処理装置1は、焼却不適物のうち、長尺物の検出に特化したものであってもよい。具体的には、不適物検出部104は、ごみ識別部103が、種別がごみ袋でないと識別したごみのうち、所定値以上の長さを有するごみを焼却不適物として検出してもよい。ごみの長さが所定値以上であるか否かの判定は、例えば、画像領域抽出部102が抽出した矩形のごみ領域の少なくとも一辺が、所定値以上の長さを有するか否かを判定することにより行えばよい。なお、この例の場合、ごみ識別部103は、ごみ領域に写る物体が、ごみ袋であるか否かを識別すればよい。つまり、機械学習において、ごみ袋のみを学習させればよいので、機械学習の負担を軽減することができる。
【0107】
また、本発明の一態様に係る情報処理装置は、少なくとも、ごみ撮影装置2からごみ画像を取得する機能と、ごみ画像から焼却不適物を検出する機能とを備えていればよい。換言すれば、情報処理装置1の制御部10は、少なくとも、ごみ画像取得部101と、不適物検出部104とを備えていればよい。つまり、画像領域抽出部102、ごみ識別部103、警報制御部105、表示制御部106、クレーン制御部107、車両画像取得部108、対応付け部109に相当する機能は、情報処理装置1とは別の装置が有していてもよい。この例における情報処理装置1と該別の装置とは、情報の送受信を適宜行うことにより、実施形態1および2にて説明した情報処理装置1の機能を実現する。
【0108】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置1の制御ブロック(特に制御部10に含まれる各部)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0109】
後者の場合、情報処理装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0110】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0111】
〔付記事項〕
本発明の一態様に係る情報処理装置は、ごみ焼却施設に搬入された、ごみピットに投下される途中のごみを撮影したごみ画像を取得するごみ画像取得部と、前記ごみ画像から焼却不適物を検出する検出部と、を備えている。
【0112】
上記の構成によれば、ごみ画像から焼却不適物を検出するので、ごみ収集車のごみ収集部にX線を照射して焼却不適物を検出するなどの従来技術と比べて、焼却不適物の検出をより簡易に実現することができる。
【0113】
前記情報処理装置では、前記ごみを搬入した車両を撮影した車両画像を取得する車両画像取得部と、前記車両画像、および、当該車両画像から特定される前記ごみの搬入主体の少なくとも一方と、前記検出部の検出結果とを対応付ける対応付け部をさらに備えていてもよい。
【0114】
上記の構成によれば、車両画像および搬入主体の少なくとも一方と、検出結果とを対応付けるので、焼却不適物を投入した搬入主体を特定することができる。
【0115】
前記情報処理装置では、前記ごみ画像取得部は、投下されたごみがごみピット内に落ちるまでの期間に前記ごみ画像を時系列で複数取得し、複数取得された前記ごみ画像から、時系列で変化している画像領域を抽出する抽出部を備え、前記検出部は、前記画像領域から焼却不適物を検出してもよい。
【0116】
上記の構成によれば、時系列変化している画像領域を対象として焼却不適物の検出を行うので、検出対象の領域を絞ることができる。よって、検出速度を向上させることができる。
【0117】
前記情報処理装置では、前記ごみ画像に写るごみの種別を識別する識別部をさらに備え、前記検出部は、前記識別部による識別結果が、所定の種別であったごみを焼却不適物として検出してもよい。
【0118】
上記の構成によれば、所定の種別のごみを焼却不適物として検出することができる。
【0119】
前記情報処理装置では、前記検出部は、前記識別部が、前記種別がごみ袋ではないと識別したごみが所定値以上の長さを有する場合に、当該ごみを焼却不適物として検出してもよい。
【0120】
上記の構成によれば、燃え残ることにより灰出し設備の閉塞の原因となる長尺のごみを検出することができる。
【0121】
前記情報処理装置は、前記ごみピットの前段に設けられたごみ保持部を、ごみ焼却施設に搬入された前記ごみが当該ごみ保持部に保持される保持状態と、前記ごみが当該ごみ保持部から前記ごみピットに放出される放出状態とで切り替える保持制御部を備え、前記保持制御部は、前記検出部が前記ごみ保持部のごみから焼却不適物を検出しなかった場合に、前記ごみ保持部を保持状態から放出状態に切り替える構成であってもよい。
【0122】
上記の構成によれば、焼却不適物が検出されなかったごみがごみピットに放出されるので、ごみピットに焼却不適物が投入されることを防ぐことができる。また、焼却不適物が検出された場合には、当該焼却不適物がごみ保持部に留まるので、当該焼却不適物を容易に回収することができる。
【0123】
前記情報処理装置は、前記ごみが、前記ごみ焼却施設に搬入された後、前記ごみピットに落ちるまでの期間に発生した音を検出する音検出部と、前記ごみが、前記ごみ焼却施設に搬入された後、前記ごみピットに落ちるまでの期間に発生した振動を検出する振動検出部と、の少なくともいずれかを備え、前記検出部は、前記ごみ画像の解析結果と、前記音検出部および前記振動検出部の少なくともいずれかの検出結果と、に基づいて前記焼却不適物を検出する構成であってもよい。
【0124】
上記の構成によれば、ごみ画像の解析結果のみに基づいて焼却不適物を検出する構成と比べて、焼却不適物の検出精度を高めることができる。例えば、ごみ画像には写っていない焼却不適物を音または振動から検出することも可能となる。
【0125】
本発明の一態様に係る制御装置は、前記情報処理装置が前記焼却不適物を検出した場合、前記ごみピット内のごみを運搬するクレーンの動作を制御して、前記焼却不適物を、焼却可能なごみと区別できる位置に移動させる。
【0126】
上記の構成によれば、焼却不適物を、焼却可能なごみと区別できる位置に移動させるので、焼却不適物が焼却されることを防ぐことができる。
【0127】
本発明の一態様に係る不適物検出システムは、ごみ焼却施設に搬入され、ごみピットに投下される途中のごみを撮影する撮影装置と、情報処理装置とを含む不適物検出システムであって、前記情報処理装置は、前記撮影装置から、前記ごみを撮影したごみ画像を取得し、前記ごみ画像から焼却不適物を検出する。この不適物検出システムによれば、上記情報処理装置と同様の作用効果を奏する。
【0128】
前記不適物検出システムでは、前記情報処理装置は、前記焼却不適物の検出をごみの投下時に行い、前記情報処理装置が前記焼却不適物を検出した時点で、警報を出力する警報装置をさらに含んでもよい。
【0129】
上記の構成によれば、焼却不適物を搬入した搬入者にリアルタイムで警告することができる。また、施設の作業員に焼却不適物が投入されたことを迅速に認識させることができる。
【0130】
前記不適物検出システムでは、前記ごみピットへごみを投下するための投下口付近に設けられ、前記撮影装置が撮影した前記ごみ画像をごみの投下時に表示する表示装置をさらに含んでもよい。
【0131】
上記の構成によれば、ごみの搬入者にごみ画像を見せることができる。これにより、搬入者に「見られている」との意識を持たせ、焼却不適物の投入を防止することができる。
【0132】
本発明の一態様に係る他の情報処理装置は、ごみ焼却施設に搬入されたごみが、搬入後、ごみピットに落ちるまでの期間に発生した音を検出する音検出部と、前記音検出部の検出結果に基づいて、前記ごみに焼却不適物が含まれていることを検出する不適物検出部と、を備えている。
【0133】
上記の構成によれば、搬入されたごみがごみピットに落ちるまでの期間に発生した音に基づいて、当該ごみに焼却不適物が含まれていることを検出する。よって、ごみ収集車のごみ収集部にX線を照射して焼却不適物を検出するなどの従来技術と比べて、焼却不適物の検出をより簡易に実現することができる。
【0134】
本発明の一態様に係るさらに他の情報処理装置は、ごみ焼却施設に搬入されたごみが、搬入後、ごみピットに落ちるまでの期間に発生した振動を検出する振動検出部と、前記振動検出部の検出結果に基づいて、前記ごみに焼却不適物が含まれていることを検出する不適物検出部と、を備えている。
【0135】
上記の構成によれば、搬入されたごみがごみピットに落ちるまでの期間に発生した振動に基づいて、当該ごみに焼却不適物が含まれていることを検出する。よって、ごみ収集車のごみ収集部にX線を照射して焼却不適物を検出するなどの従来技術と比べて、焼却不適物の検出をより簡易に実現することができる。
【0136】
上述の情報処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記情報処理装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記情報処理装置をコンピュータにて実現させる情報処理プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【符号の説明】
【0137】
1 情報処理装置(制御装置)
2 ごみ撮影装置(撮影装置)
4 警報装置
5 表示装置
8 クレーン
100 不適物検出システム
101 ごみ画像取得部
102 画像領域抽出部(抽出部)
103 ごみ識別部(識別部)
104 不適物検出部(検出部)
108 車両画像取得部
109 対応付け部
131 音検出部
132 振動検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15