(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】光サブアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02208 20210101AFI20220831BHJP
H01S 5/40 20060101ALI20220831BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
H01S5/02208
H01S5/40
H01L31/02 B
(21)【出願番号】P 2018099525
(22)【出願日】2018-05-24
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】301005371
【氏名又は名称】日本ルメンタム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 崇之
(72)【発明者】
【氏名】胡 匡洋
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-270531(JP,A)
【文献】特開2016-178218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0112137(US,A1)
【文献】実開昭60-169850(JP,U)
【文献】特開2004-066543(JP,A)
【文献】特開2007-115724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
H01L 31/00 -31/02
H01L 31/0232
H01L 31/0248
H01L 31/0264
H01L 31/08
H01L 31/10
H01L 31/107-31/108
H01L 31/111
H01L 31/18
H01L 51/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸を平行にして配置される複数の半導体光素子と、
両方の主面に前記半導体光素子が搭載されたサブマウントと、
前記サブマウントを収納する筐体と、を有し、
前記筐体は、当該筐体内側の側面から突出する第1上面と、前記筐体内側の底面と前記第1上面との間に拡がる第1内側面と、を含む第1段差を有し、前記第1段差は、前記サブマウントの第1端部を支持するようになっており、
前記筐体は、前記側面から突出する第2上面と、前記底面と前記第2上面との間に拡がる第2内側面と、を含む第2段差を有し、前記第2段差は、前記サブマウントの第2端部を支持するようになっていること、
を特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の光サブアセンブリにおいて、
前記筐体は、
前記第1段差および前記第2段差の間に、前記底面に立設され、前記サブマウントの
一方の前記主面に当接される支柱を備えること、を特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光サブアセンブリにおいて、
前記サブマウントの
一方の前記主面には、複数の前記半導体光素子が前記
光軸に交差する幅方向に配列されると共に、当該複数の半導体光素子に一方端を接続される配線群が前記幅方向に並列して配置され、
前記主面における前記配線群の配置領域は、前記配線群の前記一方端側に位置し前記半導体光素子の配列幅に応じた幅を有する幅広部と、前記配線群の他方端側に位置し前記幅広部よりも幅が狭い狭窄部とを含み、
前記
第1段差および前記第2段差は、前記
第1端部および前記第2端部と共に前記光軸方向に延在し、かつ、前記幅広部に対向する部分より前記狭窄部に対向する部分にて前記幅方向の寸法が大きいこと、
を特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の光サブアセンブリにおいて、
前記半導体光素子の出力光を集光するレンズを有し、
前記サブマウントの
一方の前記主面に搭載された前記半導体光素子に対する前記レンズは前記底面に設置され、他方の前記主面に搭載された前記半導体光素子に対する前記レンズは前記
第1段差および前記第2段差により支持されること、
を特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項5】
光軸を平行にして配置される複数の半導体光素子と、
両方の主面に前記半導体光素子が搭載されたサブマウントと、
前記サブマウントを収納する筐体と、を有し、
前記筐体は、前記光軸に交差する幅方向に分離して当該筐体内側の側面又は底面に設けられた2つの凸部又は段差であって、前記サブマウントの一方の前記主面のうち前記幅方向両端の縁部に当接されるサブマウント支持台を備え、
前記筐体は、2つの前記サブマウント支持台の間に、前記底面に立設され、前記サブマウントの前記一方の主面に当接される支柱を備えること、を特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項6】
光軸を平行にして配置される複数の半導体光素子と、
両方の主面に前記半導体光素子が搭載されたサブマウントと、
前記サブマウントを収納する筐体と、を有し、
前記筐体は、前記光軸に交差する幅方向に分離して当該筐体内側の側面又は底面に設けられた2つの凸部又は段差であって、前記サブマウントの一方の前記主面のうち前記幅方向両端の縁部に当接されるサブマウント支持台を備え、
前記サブマウントの前記一方の主面には、複数の前記半導体光素子が前記幅方向に配列されると共に、当該複数の半導体光素子に一方端を接続される配線群が前記幅方向に並列して配置され、
前記主面における前記配線群の配置領域は、前記配線群の前記一方端側に位置し前記半導体光素子の配列幅に応じた幅を有する幅広部と、前記配線群の他方端側に位置し前記幅広部よりも幅が狭い狭窄部とを含み、
前記サブマウント支持台は、前記縁部と共に前記光軸方向に延在し、かつ、前記幅広部に対向する部分より前記狭窄部に対向する部分にて前記幅方向の寸法が大きいこと、
を特徴とする光サブアセンブリ。
【請求項7】
光軸を平行にして配置される複数の半導体光素子と、
両方の主面に前記半導体光素子が搭載されたサブマウントと、
前記半導体光素子の出力光を集光するレンズと、
前記サブマウントを収納する筐体と、を有し、
前記筐体は、前記光軸に交差する幅方向に分離して当該筐体内側の側面又は底面に設けられた2つの凸部又は段差であって、前記サブマウントの一方の前記主面のうち前記幅方向両端の縁部に当接されるサブマウント支持台を備え、
前記サブマウントの前記一方の主面に搭載された前記半導体光素子に対する前記レンズは前記底面に設置され、他方の前記主面に搭載された前記半導体光素子に対する前記レンズは前記サブマウント支持台により支持されること、
を特徴とする光サブアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光サブアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムにおいて、光サブアセンブリ(Optical SubAssembly:OSA)を内蔵し、光信号及び電気信号の一方から他方に、又は双方向に変換する光モジュールが用いられている。OSAは上述の光信号と電気信号との変換を行う半導体光素子、具体的にはレーザダイオード(Laser Diode:LD)などの発光デバイスやフォトダイオード(Photodiode:PD)などの受光デバイスを筐体内に収納した部品である。
【0003】
光モジュールの小型化、高機能化に対応するために、1つの筐体内に複数の半導体光素子を収納し複数チャンネルの信号の多重化に対応したOSAが知られている(下記特許文献1)。
【0004】
また、CANパッケージの4つの発光素子を、小型化のためにサイコロの4の目のように配列した構造を含む光モジュールが知られている(下記特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-178218号公報
【文献】特開2013-232514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
データ伝送のさらなる高速化を図るため4チャンネル以上、例えば8チャンネルの波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing:WDM)を行うOSAが求められている。ここで、特許文献1のOSAに示されるように、複数の発光素子をそれらの光軸に直交する方向に一列に並べる構成とすることで、発光素子が光路の障害とならないようにすることができる。しかし、当該構成ではチャンネル数の増加に伴い半導体光素子の配列幅も増加するため、OSA及びそれを用いる光モジュールの小型化が難しくなるという問題があった。また、特許文献2に示されるように、CAN型のパッケージに格納された半導体光素子を複数並べる構成も、パッケージのサイズによって光モジュールの小型化が制限されるという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、小型で、且つより多くの半導体光素子を収納したOSAを提供し、WDMのチャンネル数の増加によるデータ伝送の高速化と光モジュールの小型化を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る光サブアセンブリは、光軸を平行にして配置される複数の半導体光素子と、両方の主面に前記半導体光素子が搭載されたサブマウントと、前記サブマウントを収納する筐体と、を有し、前記筐体は、前記光軸に交差する幅方向に分離して当該筐体内側の側面又は底面に設けられた2つの凸部又は段差であって、前記サブマウントの一方の前記主面のうち前記幅方向両端の縁部に当接されるサブマウント支持台を備える。
【0009】
(2)上記(1)に記載の光サブアセンブリにおいて、前記筐体は、2つの前記サブマウント支持台の間に、前記底面に立設され、前記サブマウントの前記一方の主面に当接される支柱を備える構成とすることができる。
【0010】
(3)上記(1),(2)に記載の光サブアセンブリにおいて、前記サブマウントの前記一方の主面には、複数の前記半導体光素子が前記幅方向に配列されると共に、当該複数の半導体光素子に一方端を接続される配線群が前記幅方向に並列して配置され、前記主面における前記配線群の配置領域は、前記配線群の前記一方端側に位置し前記半導体光素子の配列幅に応じた幅を有する幅広部と、前記配線群の他方端側に位置し前記幅広部よりも幅が狭い狭窄部とを含み、前記サブマウント支持台は、前記縁部と共に前記光軸方向に延在し、かつ、前記幅広部に対向する部分より前記狭窄部に対向する部分にて前記幅方向の寸法が大きいことを特徴としてもよい。
【0011】
(4)上記(1)~(3)に記載の光サブアセンブリにおいて、前記半導体光素子の出力光を集光するレンズを有し、前記サブマウントの前記一方の主面に搭載された前記半導体光素子に対する前記レンズは前記底面に設置され、他方の前記主面に搭載された前記半導体光素子に対する前記レンズは前記サブマウント支持台により支持される構成とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小型で、且つより多くの半導体光素子を収納したOSAが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る光モジュールの外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る光モジュールが装着された光伝送装置の構成を示す模式的な上面図である。
【
図3】光サブアセンブリ、プリント基板及びフレキシブル基板を示す模式的な側面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るOSAの模式的な上面図である。
【
図5】
図4のV-V線に沿ったOSAの模式的な垂直断面図である。
【
図6】サブマウントの下面側の模式的な平面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係るOSAの外装ケースの模式的な上面図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係るOSAの模式的な垂直断面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係るOSAの外装ケースの模式的な上面図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係るOSAの外装ケースの模式的な上面図である。
【
図11】本発明の第2及び第3の実施形態の特徴を有したOSAの模式的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は本発明の実施形態に係る光モジュール10の外観を示す斜視図である。光モジュール10は送信機能及び受信機能を有する光送受信機(光トランシーバ)である。光モジュール10はケース12と、プルタブ14と、スライダ16とを含む部品で外形が構成される。
【0016】
図2は光モジュール10が装着された光伝送装置18の構成を示す模式的な上面図である。光伝送装置18に、複数の光モジュール10が、電気コネクタ20によりそれぞれ装着されている。光伝送装置18は例えば大容量のルータやスイッチである。光伝送装置18は例えば交換機の機能を有しており、基地局などに配置される。光伝送装置18は、光モジュール10より受信用のデータ(受信用の電気信号)を取得し、回路基板22に搭載されるドライバIC(集積回路)24などを用いて、どこへ何のデータを送信するかを判断し、送信用のデータ(送信用の電気信号)を生成し、該当する光モジュール10へ当該データを伝達する。
【0017】
光モジュール10は、プリント基板26と、フレキシブル基板28と、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光サブアセンブリ(OSA)30とを備えている。また、OSA30には、光信号の入出力のために光ファイバ32が接続されている。
【0018】
OSA30は具体的には、光送信機能を有する光送信サブアセンブリ(Transmitter Optical SubAssembly:TOSA)、光受信機能を有する光受信サブアセンブリ(Receiver Optical SubAssembly:ROSA)及び光送受信機能を有する双方向サブアセンブリ(Bi-directional Optical SubAssembly:BOSA)のいずれかである。例えば、光モジュール10は2つのOSA30-1,30-2を備えている。
【0019】
図3はOSA30、プリント基板26及びフレキシブル基板28の模式的な側面図である。プリント基板26は柔軟性の無いリジッド基板であり、一方、フレキシブル基板28は可撓性を有し、両端をプリント基板26とOSA30とに接続される。つまり、フレキシブル基板28に形成される配線の一方端はOSA30の端子基板34に重なって電気的に接続され、当該配線の他方端はプリント基板26の端子に重なって電気的に接続され、当該配線によりプリント基板26とOSA30との間で電気信号が伝達される。例えば、OSA30-1はTOSAであり、プリント基板26から電気信号がフレキシブル基板28を介してOSA30-1へ伝送され、一方、OSA30-2はROSAであり、OSA30-2から電気信号がフレキシブル基板28を介してプリント基板26へ伝送される。
【0020】
図4は本発明の第1の実施形態に係るOSA30の一例の模式的な上面図である。OSA30は筐体である外装ケース40内に、半導体光素子42が搭載されたサブマウント44などを収納する。ここで、
図1及び
図2に示したように、光モジュール10は細長いケース12の長手方向の一方端に電気コネクタ20を備え、他方端に光ファイバ32を接続される。これに対応して、ケース12の短手方向に関するOSA30の寸法(横幅)には比較的小さい上限が課され、基本的に外装ケース40はケース12と長手方向が同じである細長い形状とされる。そして、外装ケース40の当該長手方向の一方端に、フレキシブル基板28に接続される端子基板34が設けられ、他方端に光ファイバコネクタ48が設けられる。
【0021】
ここで、説明の便宜のため、OSA30についてXYZ直交座標系を、外装ケース40の長手方向をX軸、横幅方向をY軸、高さ方向をZ軸として右手系にて定義する。なお、端子基板34から光ファイバコネクタ48への向きをX軸の正の向きに設定する。また、XY面を水平面、Z軸を垂直方向とする。サブマウント44は基板面を水平にして外装ケース40内に格納される。
【0022】
OSA30はWDM方式の光伝送に用いられるものであり、複数の半導体光素子を内蔵する。例えば、本実施形態において、光モジュール10が送受信する信号のビットレートは400Gbit/sであり、当該信号は8波長多重化した光信号により伝送される。つまり、光モジュール10は50Gbit/sの8チャンネルの信号を送受信する。これに対応して、OSA30は8個の半導体光素子42を内蔵する。複数の半導体光素子42は光軸を平行にしてサブマウント44に配置される。本実施形態では各半導体光素子42の光軸はX軸に平行に設定されている。
【0023】
ちなみに、半導体光素子42は、光信号又は電気信号のうち一方から他方へ変換する光変換素子である。具体的には、TOSAであるOSA30-1は8チャンネルのそれぞれについて、電気信号を光信号へ変換する光変換素子として、レーザダイオードなどの発光素子を備え、ROSAであるOSA30-2は8チャンネルのそれぞれについて、光信号を電気信号へ変換する光変換素子としてフォトダイオードなどの受光素子を備える。
【0024】
また、
図4にはTOSAであるOSA30-1を例示しており、外装ケース40内にはサブマウント44の他、集光レンズ50及び光合波器52が収納されている。集光レンズ50は8個の発光素子それぞれから出力される光信号の光軸上に配置され、当該光信号をコリメート光に変換して光合波器52に入力する。光合波器52は8個の発光素子それぞれから出力される光信号を合波して、光ファイバ32により伝送される1つの光信号を生成する。光合波器52は例えば、プリズム、ミラーなどを利用して周知技術により構成される。
【0025】
複数の半導体光素子42の配置に関しては、各半導体光素子42が他の半導体光素子42から出射又は半導体光素子42に入射する光信号に対して障害物とならないことが求められる。そのためには例えば、複数の半導体光素子42を光軸に交差する方向に配列すればよい。本実施形態では、複数の半導体光素子42はサブマウント44をなす基板の両方の主面(上面及び下面)に分けて搭載され、各主面に搭載される複数の半導体光素子42がY軸方向に一列に配置される。このように半導体光素子42をサブマウント44の両面に分けて配列することで、サブマウント44の片面に全ての半導体光素子42を配列する場合よりも、OSA30の横幅を小さくすることができ、ひいては光モジュール10の横幅を小さくすることができる。
【0026】
特に、サブマウント44の一方の主面に配列する半導体光素子42の数と他方の主面に配列する半導体光素子42の数との差を小さくする、つまり両面に配置する半導体光素子42の数の均等化を図ることでOSA30の横幅を好適に縮小することができる。そこで、本実施形態ではサブマウント44の両面に同数ずつ配置する。
【0027】
図5は
図4のV-V線に沿ったOSA30の模式的な垂直断面図である。8個の半導体光素子42は上述のようにサブマウント44の上面と下面とに分けて配置され、上面に4個の半導体光素子42-1~42-4、また、下面に4個の半導体光素子42-5~42-8がそれぞれY軸方向に配列される。
【0028】
サブマウント44の上面側の平面視は
図4に示されており、また
図6がサブマウント44の下面側の平面視を示している。本実施形態ではサブマウント44の主面上でのレイアウトは上面側と下面側とで基本的に共通となっている。具体的には、半導体光素子42はサブマウント44の矩形の辺のうち集光レンズ50側の辺寄りに配置され、各半導体光素子42に対する2本の配線56が当該半導体光素子42と端子基板34側の辺との間にX方向に延在される。
【0029】
サブマウント44上の配線56と端子基板34上の配線58とは、外装ケース40の側壁を貫くフィードスルー(不図示)を介して電気的に接続される。なお、
図4に現れる端子基板34の上面には、サブマウント44にて上面側に配置される半導体光素子42に接続される配線58が示されているが、下面側の半導体光素子42に接続される配線58は端子基板34の下面に配置することができる。この場合、下面側の配線58はビアを介して端子基板34の上面側に引き出して、
図3に示すように端子基板34の上面に接続されるフレキシブル基板28の配線に電気的に接続される。また、サブマウント44にてビアを設け、サブマウント44の下面側の半導体光素子42の配線を上面側に引き出してもよく、この場合、サブマウント44の両面の半導体光素子42に対する配線58を全て端子基板34の上面に配置することもできる。
【0030】
図5に示すように、サブマウント44は、外装ケース40の内側に設けられたサブマウント支持台54によりZ軸方向の所定の位置に支持される。サブマウント支持台54は、Y軸方向に分離して外装ケース40の内側の側面又は底面に設けられた2つの凸部又は段差であり、サブマウント44の一方の主面である下面のうちY軸方向両端の縁部に当接されサブマウント44を支持する。
図5に示す例ではサブマウント支持台54は外装ケース40の内側側面に設けられた段差であり、外装ケース40の側面のうち当該段差より下の部分が当該段差より上の部分より内側に位置し、上部の側面と下部の側面とをつなぐ水平な段差面にサブマウント44の下面が当接する。なお、サブマウント支持台54が当接されるサブマウント44の下面縁部には、半導体光素子42及び配線56は配置されない。
【0031】
外装ケース40は例えば、金属などの高熱伝導率を有する材料で形成される。また、サブマウント44は高熱伝導率を有する絶縁性材料で形成され、例えば窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等のセラミック材料によって形成される。このように外装ケース40及びサブマウント44を高熱伝導率の材料で形成し、サブマウント支持台54にてそれらを接触させることで、半導体光素子42で発生する熱をOSA30の外部へ好適に放熱させることができる。なお、サブマウント44はサブマウント支持台54に接着することができ、その場合、接着部材も高熱伝導率性の材料とすることが好適である。
【0032】
なお、外装ケース40は上部に開口を有する本体と、当該開口をふさぐ蓋40uとからなる構成とすることができる。当該構成では、サブマウント44等は開口から外装ケース40の本体の凹部内に収納され、しかる後、蓋40uで本体の開口が封止される。
【0033】
サブマウント支持台54は外装ケース40の内側側面(XZ面に平行な面)から水平方向に突き出した棚のような形状とし、当該棚の水平面にサブマウント44の縁を載せる構造とすることもできる。また、サブマウント支持台54は外装ケース40の内側底面(XY面に平行な面)から上向きに突き出した柱又は壁のような形状とし、その上部に設けた水平面にサブマウント44の縁を載せる構造とすることもできる。
サブマウント支持台54によりサブマウント44は外装ケース40内に懸架され、半導体光素子42のZ軸方向の位置を例えば、外装ケース40の中央部に設定することができ、また、下面の半導体光素子42を外装ケース40の底面から離して配置することができる。
【0034】
図7は蓋40uを外した状態での外装ケース40の模式的な上面図であり、サブマウント支持台54の平面形状が示されている。
図7に示す例では、サブマウント支持台54は外装ケース40のX軸に平行な側面に沿って直線上に形成され、サブマウント支持台54の段差面の幅は基本的には一定値である。つまりX軸方向の位置が変化しても段差面のY軸方向の寸法は変化しない。
【0035】
また、サブマウント支持台54は、サブマウント44のY軸方向両端の縁部のうち、X軸方向の一部だけにて当接するように構成することもできるが、
図7のサブマウント支持台54は、
図4に示したようにX軸方向に関して当該縁部の全体に当接される。これにより、サブマウント44とサブマウント支持台54との接触面積を増やして、サブマウント44から外装ケース40への熱伝導効率を高めることができる。
【0036】
さらに、
図7のサブマウント支持台54は、
図4に示したように、集光レンズ50の位置まで延在する。例えば、集光レンズ50は、サブマウント44の上面の4つの半導体光素子42に対応するレンズと下面の4つの半導体光素子42に対応するレンズとを一体に構成したレンズアレイとすることができる。サブマウント支持台54は当該レンズアレイをなす集光レンズ50のY軸方向両端の縁部に当接され、集光レンズ50をサブマウント44に応じた高さに支持する。また、集光レンズ50は、サブマウント44の上面の4つの半導体光素子42に対応するレンズアレイと下面の4つの半導体光素子42に対応するレンズアレイとを別々に構成することもできる。この場合、上側のレンズアレイをなす集光レンズ50をサブマウント支持台54により支持し、下側のレンズアレイをなす集光レンズ50は外装ケース40の底面に設置することができる。
【0037】
上述のようにサブマウント支持台54をY軸方向に分離して配置し、サブマウント44の下面縁部でサブマウント44を支持する構造を有する外装ケース40は、下面のY軸方向央部に半導体光素子42及び配線56を配置したサブマウント44を収納することができる。つまり、外装ケース40は両面に半導体光素子42を配置したサブマウント44を収納することができ、これにより、WDMのチャンネル数の増加によるデータ伝送の高速化と、OSA30の小型化とが可能となる。
【0038】
[第2の実施形態]
一方、サブマウント44を支持する構造として、サブマウント支持台54に加えて、サブマウント44の下面の半導体光素子42や配線56のレイアウトの隙間に当接される支柱を設けることもできる。
【0039】
本発明の第2の実施形態に係るOSA30は外装ケース40Aに当該支柱を備える。
図8は第2の実施形態に係るOSA30の模式的な垂直断面図である。
図8はXY面に沿った断面を示しており、第1の実施形態の
図5と対比されるべきものである。
図8に示すように、外装ケース40Aは、2つのサブマウント支持台54の間に、底面に立設され、サブマウント44Aの下面に当接される支柱70を備える。
【0040】
図9は
図8に示す外装ケース40Aの模式的な上面図であり、
図7と同様、蓋40uを外した状態を示している。なお、
図8は
図9のVIII-VIII線での断面を示している。例えば、支柱70は外装ケース40AのY軸方向の中央に設けられ、サブマウント44Aの下面に設けられる4チャンネル分の半導体光素子42及び配線56を2チャンネルずつに2分する位置にてサブマウント44Aに当接される。具体的には,
図8及び
図9に示す例では、Y軸方向に配列される4つの半導体光素子42-5~42-8のうち中央の2つの半導体光素子42-6,42-7の間に支柱70の上端の水平面が当接される。
【0041】
支柱70はサブマウント支持台54と同様、サブマウント44Aを支持する機能と、サブマウント44Aから放熱する機能とを有する。なお、サブマウント44Aと支柱70及びサブマウント支持台54との間は、上述したサブマウント44とサブマウント支持台54との間と同様に接着することができる。
【0042】
[第3の実施形態]
第2の実施形態では支柱70を設けることで、外装ケース40Aとサブマウント44Aとの接触面積が増加して放熱効率の向上を図ることができる。この点、サブマウント支持台54とサブマウント44との接触面積を増やすことでも放熱効率の向上を図ることができる。本発明の第3の実施形態に係るOSA30の外装ケース40Bは、サブマウント支持台54Bの一部の幅方向の寸法を他の部分より大きく形成され、サブマウント支持台54Bとサブマウント44Bとの接触面積の増加を図っている。
【0043】
図10は本実施形態の外装ケース40Bの模式的な上面図であり、
図7、
図9と同様、蓋40uを外した状態を示している。Y軸方向の寸法に関して、サブマウント支持台54Bの端子基板34側の端部54wはサブマウント支持台54Bの他の部分より大きい。
【0044】
第1の実施形態で説明したように、サブマウント44Bの両主面には、複数の半導体光素子42がY軸方向に配列されると共に、当該複数の半導体光素子に一方端を接続される配線56からなる配線群がY軸方向に並列して配置される。本実施形態では、サブマウント支持台54Bの幅広の端部54wが配線56に接触しないように、サブマウント44Bの下面における配線群の配置領域の幅は端子基板34側にて狭められる。
【0045】
本実施形態の特徴的構成は、第2の実施形態の特徴的構成と併用することができ、
図11は当該構成の一例を示すOSA30の模式的な上面図である。
図11を用いて本実施形態の特徴をより具体的に説明する。なお、
図11には、外装ケース40Cとサブマウント44Cとが示され、集光レンズ50や光合波器52などの他の構成要素は図示を省略している。
【0046】
外装ケース40Cは
図10の外装ケース40Bと同様のサブマウント支持台54Bを有する。つまり、外装ケース40Cのサブマウント支持台54Bは、端子基板34側に
図10に示した外装ケース40Bと同様に、幅広の端部54wを有する。また、外装ケース40CはY軸方向の中央部に支柱70を有する。
【0047】
図11にはサブマウント44Cの上面における半導体光素子42及び配線56のレイアウトが示されているが、サブマウント44Cの下面における半導体光素子42及び配線56のレイアウトも上面と同様である。
【0048】
配線56からなる配線群の配置領域は、光ファイバコネクタ48側に位置し半導体光素子42の配列幅に応じた幅を有する幅広部74と、端子基板34側に位置し幅広部74よりも幅が狭い狭窄部72とを含む。一方、X軸方向に延在するサブマウント支持台54Bは、狭窄部72に対向して幅広の端部54wを有する。すなわち、サブマウント支持台54Bは、幅広部74に対向する部分より狭窄部72に対向する部分にて幅方向の寸法が大きい。ちなみに、配線群の狭窄部72は、配線56の幅や配置間隔を幅広部74より狭めることで形成される。
【0049】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0050】
10 光モジュール、12 ケース、14 プルタブ、16 スライダ、18 光伝送装置、20 電気コネクタ、22 回路基板、24 ドライバIC、26 プリント基板、28 フレキシブル基板、30 光サブアセンブリ(OSA)、32 光ファイバ、34 端子基板、40 外装ケース、42 半導体光素子、44 サブマウント、48 光ファイバコネクタ、50 集光レンズ、52 光合波器、54 サブマウント支持台、56,58 配線、70 支柱、72 狭窄部、74 幅広部。