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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】イオン交換された基板の個片化
(51)【国際特許分類】
   C03C 21/00 20060101AFI20220831BHJP
   C03B 33/02 20060101ALI20220831BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
C03C21/00 101
C03B33/02
B28D5/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018106563
(22)【出願日】2018-06-04
(65)【公開番号】P2019006669
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】15/629,506
(32)【優先日】2017-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】スコット・ジェイ・リム
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-069995(JP,A)
【文献】特開2013-159505(JP,A)
【文献】特開2008-007360(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102399052(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103058505(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0135195(US,A1)
【文献】特開2010-287592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 1/00-7/04
C03B 23/00-35/26
40/00-40/04
C03C 15/00-23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の応力層を基板に形成することであって、前記基板をイオン槽に配置することと、第1のイオン交換によりイオン交換された層を前記基板内に形成することとを含む、前記応力層を形成することと、
前記基板を活性領域及びダイシングレーンにパターン化することであって、前記基板の前記活性領域上にマスク材料を堆積することを含む、前記基板をパターン化することと、
前記基板をパターン化した後、前記活性領域上にマスク材料を堆積した前記基板をイオン槽に配置して、前記活性領域における前記基板の厚さに沿う応力の変化が、前記ダイシングレーンにおける前記基板の前記厚さに沿う応力の変化より大きくなるまで第2のイオン交換を継続することと、
を含み、
前記ダイシングレーンは、前記ダイシングレーンにおける応力が前記基板の厚さに沿って約50%未満で変化するように、前記基板の厚さに沿う応力プロファイルを有する、
方法。
【請求項2】
前記基板を前記ダイシングレーンに沿ってダイシングすることによって個片化された基板を形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ダイシングレーンにおける前記基板の前記厚さに沿う前記応力の変化が、実質的にゼロである、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、応力で作り出された基板を製造するためのプロセス、ならびにそのような基板を含む装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板中に貯蔵された応力は、個片化プロセスの間に解放され、それにより、基板が粉砕するため、応力で作り出された基板を個片化することは困難であり得る。概して、応力で作り出された基板は、最終寸法に予めダイシングされ、構成要素が基板上に配置される前に、応力層を基板内に生成するように処理される。しかしながら、単一の基板を個別に処理することは、より大きい基板のバッチ処理より費用がかかる。したがって、応力層が形成され、構成要素が基板上に配置された後に、基板が個片化されることを可能にする手段が必要とされる。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施形態は、個々の基板に個片化され得るガラス基板を作製する方法を対象とする。ガラス基板は、活性領域及びダイシングレーンを含むようにパターン化される。ガラス基板がパターン化された後、ガラス基板は、イオン溶液を含有する槽の中に置かれ、そこで、イオン交換がガラス基板内で行われる。イオン溶液中のイオンは、ガラス内のイオンと交換される。イオン交換は、活性領域におけるガラス基板の厚さに沿って不均一応力プロファイルを生成する。活性領域における基板を通る厚さ方向に沿う応力の変化は、ダイシングレーンにおける厚さ方向に沿う距離に応じた応力の変化より大きい。活性領域におけるガラス基板の厚さに沿う応力プロファイルは、負号(圧縮)から正号(引張)、または正号から符号に変化し得る。ダイシングレーンにおける応力プロファイルは、圧縮から引張、またはその逆への応力の変化を含まない場合があり、活性領域における応力プロファイルと比較してより均一である。
【0004】
いくつかの実施形態は、イオン交換された活性領域及びダイシングレーンのうちの一方または両方を有するガラス基板を含む部分組立品を対象とする。活性領域は、活性領域における応力が基板の厚さに沿って約30%を超えて変化するように、基板の厚さに沿う応力プロファイルを有する。ダイシングレーンは、ダイシングレーンにおける応力が基板の厚さに沿って約30%未満で変化するように、基板の厚さに沿う応力プロファイルを有する。
【0005】
いくつかの実施形態は、イオン交換された活性領域を含む個片化されたガラス基板に関する。ダイシングレーンは、ガラス基板の外周に沿って配置される。活性領域は、活性領域における応力が基板の厚さに沿って約50%を超えて変化するように、基板の厚さに沿う応力プロファイルを有する。ダイシングレーンは、ダイシングレーンにおける応力が基板の厚さに沿って約50%未満で変化するように、基板の厚さに沿う応力プロファイルを有する。電気回路がガラス基板の表面上に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】いくつかの実施形態による、基板の厚さ方向を通る応力プロファイルを有する応力で作り出されたガラス基板を形成するプロセスを説明する断面図である。
図1B】いくつかの実施形態による、基板の厚さ方向を通る応力プロファイルを有する応力で作り出されたガラス基板を形成するプロセスを説明する断面図である。
図1C】いくつかの実施形態による、基板の厚さ方向を通る応力プロファイルを有する応力で作り出されたガラス基板を形成するプロセスを説明する断面図である。
図1D】いくつかの実施形態による、基板の厚さ方向を通る応力プロファイルを有する応力で作り出されたガラス基板を形成するプロセスを説明する断面図である。
図1E】いくつかの実施形態による、基板の厚さ方向を通る応力プロファイルを有する応力で作り出されたガラス基板を形成するプロセスを説明する断面図である。
図2A】いくつかの実施形態による、応力で作り出された層を有する基板の横断面図である。
図2B】いくつかの実施形態による、厚さ方向を通る応力プロファイルを示す、図2Aの基板の一部の詳細図である。
図3A】いくつかの実施形態による、複数の活性領域及び複数のダイシングレーンを有する基板の上面図である。
図3B】いくつかの実施形態による、ダイシングレーンに沿って個片化された個々の基板の上面図である。
図4】いくつかの実施形態による、個片化されたガラス基板を作製するプロセスを説明するフローチャートである。
図5】いくつかの実施形態による、個片化されたガラス基板を作製するプロセスを説明するフローチャートである。
図6A図5のプロセスを説明する断面図である。
図6B図5のプロセスを説明する断面図である。
図7】いくつかの実施形態による、個片化されたガラス基板を作製するプロセスを説明するフローチャートである。
図8A図7のプロセスを説明する断面図である。
図8B図7のプロセスを説明する断面図である。
図9】いくつかの実施形態による、個片化されたガラス基板を作製するプロセスを説明するフローチャートである。
図10A図9のプロセスを説明する断面図である。
図10B図9のプロセスを説明する断面図である。
図10C図9のプロセスを説明する断面図である。
図10D図9のプロセスを説明する断面図である。
図11】いくつかの実施形態による、基板上に配置された構成要素を有する基板を個片化するプロセスを説明する。
【0007】
図は、縮小拡大することを必要としない。図で使用される同様の数字は、同様の構成要素を指す。しかしながら、既定の図の構成要素を指すための数字の使用は、同じ数字が付けられた別の図の構成要素を限定することを目的としないことが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
過渡システムは、一定時間後またはトリガ機構に応答して、構成要素に分かれ、分散し得る。過渡システムの一例は、応力で作り出された基板上に配置された1つ以上の構成要素、例えば、電子装置を含む。例えば、応力で作り出された基板は、第1の表面及び第2の表面を有するイオン交換されたガラス基板であり得る。イオン交換されたガラス基板は、基板内の応力が、厚さ方向に沿う距離に対して変化する(不均一となる)ように、基板の厚さ方向に沿う応力プロファイルを有する。トリガ機構に応答して、基板及びその上に配置された構成要素は、基板内の貯蔵された応力によって、粉々に粉砕する。これら等の過渡システムを製造する場合、基板が複数の別々のシステムに個片化される前に、応力で作り出された基板上に複数のシステムのための薄膜装置を形成することは、費用効率が高い。しかしながら、イオン交換されたガラスをダイシングすることは、伝播亀裂を引き起こし、それは、基板及びその上に配置された構成要素を自己破壊させるため、基板をダイシングすることは、問題となる。本明細書に開示された実施形態は、ダイシングプロセス中の亀裂を低減して、応力で作り出された基板を個片化するための手段を対象とする。
【0009】
イオン交換された基板は、圧縮応力下の1つ以上の層及び/または引張応力下の1つ以上の層のために、基板の厚さ方向に沿う不均一応力プロファイルを有する。例えば、イオン交換された基板は、基板の一方または両方の表面またはその付近に配置された1つ以上の圧縮応力層を含み得る。イオン交換された基板は、基板の中心のより近くに配置された引張応力下の1つ以上の層を含み得る。内層の引張応力は、外層の圧縮応力と平衡する。イオン交換された基板を作製する一方法は、ナトリウムガラス基板を、より大きいイオン、例えば、カリウムイオンを含む溶融塩溶液に浸すことを含む。溶液中のより大きいイオンは、ガラス表面に移動し、元々ガラス内にあるより小さいイオンと置換する。ガラスが冷却するにつれて、より大きいイオンは、頑丈な表面を形成する圧縮応力層を作成する。イオン交換基板を形成するための他の方法も可能である。
【0010】
図1Aから1Eは、基板の厚さ方向を通る不均一応力プロファイルを作成する1つ以上の応力層を有する応力で作り出された基板を形成するプロセスを説明する。図1Aから1Eに示される応力基板110は、コア基板にイオン交換テンパリング処理を供することによって製造され得、その間、様々な応力プロファイルは、溶融塩イオン交換を介してコア基板に導入され得る。図1Aは、溶融塩溶液155を含有する大桶150上にあるコア基板110-0を示す。図1Bは、溶融塩溶液155中の浸水直後のコア基板110-0を示し、図1Cは、溶融塩溶液155中の第1の浸水時間後のコア基板110-0を示し、そこで、第1の応力で作り出された層110-1が形成され、図1Dは、溶融塩溶液155中の第2の浸水時間後の構造を示し、そこで、第2の応力で作り出された層110-2が第1の応力で作り出された層110-1上に形成される。図1Eは、中心コア基板110-0ならびに応力で作り出された層110-1及び110-2を含む、完全な応力基板110を示す。
【0011】
図2A及び2Bは、基板の厚さ方向299に沿うイオン交換された基板における不均一応力プロファイルを形成する応力で作り出された層を説明する。図2Aは、引張応力層210-0及び圧縮応力層210-1を有する基板210を示す。図2Bは、図2Aの断面の一部の詳細であり、基板の一部の厚さを通る引張応力層(+応力)及び圧縮応力層(-応力)を含む、基板210における応力勾配を示す。
【0012】
本明細書に開示された実施形態は、より均一な応力プロファイルを有するダイシングレーンを形成することを含む。例えば、ダイシングレーンにける応力プロファイルは、活性領域における応力プロファイルより均一であり、いくつかの実施形態では、応力プロファイルは、実質的に均一である。ダイシングレーンにおける応力プロファイルは、基板を自己破壊させる伝播亀裂を生成するために不十分な勾配を有する。基板は、トリガ、例えば、熱または衝撃が、基板の自壊を引き起こす亀裂伝播を開始するように、不均一応力プロファイルを有する活性領域を含む。基板の自壊は、ほとんどの粒子が約900μm未満、約500μm未満、または約100μm未満の長さ、幅、及び高さ寸法を有する小片、例えば、小粒子への基板の破砕または粉末化を含み得る。活性領域における基板の応力プロファイルは、基板の厚さ方向を通る応力が、例えば、圧縮応力(負号)から引張応力(正号)に符号を変化させるようになっている。ダイシングレーンにおける基板の応力プロファイルは、基板の厚さ方向を通る応力が符号を変化させず、及び/または実質的に均一であるようになっている。活性領域における基板の厚さを通る応力は、約30%を超える、約50%を超える、または約100%をも超えて変化するが、ダイシングレーンにおける基板の厚さを通る応力は、より均一であり、約50%未満、約30%未満、または約10%未満でも変化し得る。ダイシングレーンにおける応力プロファイルは、実質的に均一であり得る。構成要素及び/または電子回路は、ガラス基板の活性領域上で形成され得る。いくつかの実施形態では、構成要素の少なくとも1つが、トリガ機構、例えば、ガラス基板の自壊を開始する加熱器を含む。
【0013】
コアガラス基板は、ダイシングレーンに沿って複数の個々の基板に個片化される。ダイシングレーンにおける基板の応力プロファイルは、ガラス基板をダイシングレーンに沿ってダイシングすることによって基板が粉砕する可能性を低下させる。例えば、ダイシングレーンにおける応力プロファイルは、実質的に均一な応力を含み得る。ダイシングレーンにおける応力は、符号を変化させない場合があり、及び/または応力値は、基板の厚さ方向に沿うわずかな量で変化し得る。
【0014】
図3Aは、ダイシングレーン312によって分離された9つの活性領域311を含む基板310を含む部分組立品の上面図である。活性領域311における基板310の厚さ方向に沿う応力は、ダイシングレーン312における基板の厚さ方向に沿う応力と比較して、より大きい量で変化する。活性領域311は、その上に形成される構成要素を支持する任意の適切な大きさであり得る。ダイシングレーン312は、基板の幅及び/または長さにわたって実質的に伸展する。各ダイシングレーン312は、約100μm、またはそれ以下の幅を有し得、それは、スクライブ割断のための適切な厚さである。ダイシングレーン312の幅は、ダイシングレーンの厚さの少なくとも約60%であり得る。例えば、ダイシングレーンの厚さが500μmの場合、ダイシング幅は、少なくとも300μmであり得る。幅が厚さの少なくとも約60%であるダイシングレーンは、例えば、ソーダイシングに適切である。
【0015】
いくつかの実施形態では、基板は、活性領域及びダイシングレーンの両方においてイオン交換されている。例えば、活性領域は、基板の厚さを通る不均一応力プロファイルを形成する異なる応力を有する層を形成するようにイオン交換され得る。ダイシングレーンは、ダイシングレーンにおける応力プロファイルが実質的に均一となるように、実質的に完全にイオン交換され得る。いくつかの実施形態では、基板は、活性領域のみにおいてイオン交換され、ダイシングレーンにおいて実質的にイオン交換されない。基板310は、ダイシングレーンにおいて薄くされ得る。例えば、ダイシングレーン312における基板310の厚さは、活性領域311における基板310の厚さの約0.75、0.5、または0.25倍であり得る。いくつかの実施形態では、薄くされたダイシングレーンは、基板310の厚さ方向に沿って十分にイオン交換され得る。
【0016】
図3Bは、基板310が個片化された後に形成された複数の個々の部分組立品320を示す。部分組立品320の各々は、活性領域311、及び部分組立品320の外縁の少なくとも一部に沿うダイシングレーン312の一部を含む。
【0017】
図4は、図3Bに示される部分組立品320を形成する方法を説明するフローチャートである。基板は、活性領域及びダイシングレーンにパターン化される410。基板がパターン化された後、応力層が形成される420。例えば、いくつかの実施形態では、応力層を形成することは、ガラス基板をイオン槽に配置することを含み、そこで、ガラス基板内のイオンは、イオン槽内のイオンと変換される。応力層は、活性領域におけるガラス基板の厚さに沿う不均一応力プロファイルを生成する430。活性領域における応力プロファイルは、圧縮応力から引張応力及び/または引張応力から圧縮応力に変化し得る。ガラス基板の厚さに沿う活性領域における応力の変化は、ダイシングレーンにおける基板の厚さ方に沿う応力の変化(応力の変化は、応力勾配とも称される)と比較してより大きい。ダイシングレーンにおける応力は、符号を圧縮応力から引張応力、またはその逆に変化させない場合がある。ダイシングレーンは、実質的に均一な応力プロファイルを有し得る。
【0018】
ダイシングレーンにおける応力は、基板の厚さを通って約50%未満、または約30%未満、または約10%未満でも変化し得る。活性領域における応力プロファイルは、基板の厚さを通って約30%以上、または約50%以上、または70%、または約100%でも変化し得る。基板の厚さを通る応力のパーセント変化は、最高応力値と最低応力値との差異を計算し、差異を最低応力値で除算し、100で乗算することによって決定され得る。
【0019】
応力層が形成された後、個片化されたガラス基板は、イオン交換されたガラス基板をダイシングレーンに沿ってダイシングすることによって作成され得る。
【0020】
いくつかの実施形態によると、例えば、イオン交換による応力層の形成によって、実質的に、活性領域における応力勾配未満であるダイシングレーンにおける応力勾配を生成することができる。例えば、ダイシングレーンにおける応力勾配は、実質的にゼロであり得る。
【0021】
図5のフローチャートならびに図6A及び6Bの断面図は、いくつかの実施形態による、個片化された基板を形成する方法を説明する。図5に示されるように、いくつかの実施形態では、基板をパターン化することは、応力層を形成するために使用される方法、例えば、イオン交換プロセスに影響されないマスク材料で、ダイシングレーンを覆うこと510を含む。図6Aは、基板610の上面610a及び下面610b上に堆積されたマスク材料620を有するガラス基板610を示す。マスク材料620は、フォトリソグラフィーによって、印刷によって、スクリーン印刷によって、及び/または他の適切なプロセスによって基板610の表面610a、610b上に堆積され得る。マスク材料620がダイシングレーン611に沿って適用された後、応力層が形成される。図5、6A、及び6Bに描かれる例では、ガラス基板は、イオン溶液635を含有する槽630の中に置かれる520。ガラス基板が槽の中にある間、イオン溶液635中のイオンは、ガラス基板610の厚さに沿う所望の応力プロファイルが作成されるまで、基板610の覆われていない活性領域611におけるイオンと交換される530。マスク620は、ダイシングレーン612におけるイオン交換を防止または著しく制限する。基板610は、イオン溶液635中に残り、イオン交換は、活性領域における厚さ方向に通る応力の変化が、ダイシングレーン612における厚さ方向に通る応力の変化より実質的に大きくなるまで、活性領域611を継続する。
【0022】
図6Bの上部は、イオン交換の後及び基板の個片化の前のガラス基板610を示す。図6Bの下部は、ガラス基板610がダイシングレーン612に沿ってダイシングされた後の4つの個片化された基板651~654を示す。この例における個片化された基板651~654の各々は、活性領域611、及び個片化された基板651~654の外縁の少なくとも一部に沿って位置するダイシングレーン612の一部を含む。
【0023】
図7のフローチャートならびに図8A及び8Bの断面図は、いくつかの実施形態による、個片化された基板を形成する方法を説明する。図7に示されるように、いくつかの実施形態では、基板をパターン化することは、ダイシングレーンにおける基板を薄くすること710を含む。例えば、ダイシングレーンを薄くすることは、成形、レーザー薄化、エッチング、研磨、及び/または基板を薄くするための任意の他の適切な方法によって達成され得る。
【0024】
図8Aは、ダイシングレーン812が薄くされた後のガラス基板810を示す。例えば、薄くされたダイシングレーン812の厚さは、基板810の活性領域811の厚さの約25%または約50%未満であり得るあり得る。ダイシングレーン812が薄くされることによってパターン化された後、基板は、イオン溶液835を含有する槽830の中に置かれ720、そこで、活性領域811及び薄くされたダイシングレーン812においてイオン交換が生じる730。イオン交換は、活性領域における基板の厚さ方向に沿う応力の変化がダイシングレーンにおける基板の厚さ方向に沿う応力の変化より大きくなるまで継続する。イオン交換は、薄くされたダイシングレーンにおける基板810の厚さの実質的に全てにおいてイオン交換が生じるまで継続され得る。図8Bの上部は、イオン交換後の基板810を示す。この例では、薄くされたダイシングレーン812の厚さの実質的に全てにおいてイオン交換が生じた。図8Bの下部は、基板810がダイシングレーンに沿ってダイシングされた後の個片化された基板851~854を示す。個片化された基板851~854の各々は、活性領域811、及び活性領域811の外縁にあるダイシングレーン812の一部を含む。
【0025】
図9のフローチャート及び図10A~10Dの断面図は、いくつかの実施形態による、個片化された基板を形成する方法を説明する。図10Aに描かれるように、基板1010は、イオン溶液1035を含有する槽1030の中に置かれ910、そこで、イオン交換が基板1010の表面で生じる。イオン交換は、基板内に応力層を形成し920、基板1010の厚さを通る不均一応力プロファイルを提供する。この状況では、基板は、覆われたり、薄くされたりせず、イオン交換は、基板表面上で生じる。
【0026】
図10Bは、最初のイオン交換後の基板1010を示す。図10Bに示される通り、最初のイオン交換は、基板1010の表面で、圧縮応力下で層1041を作成し、層1041の圧縮応力と平衡する引張応力下で層1042を作成する。
【0027】
最初のイオン交換プロセスの後、図10Cに描かれる通り、基板1010は、基板1010の活性領域1011上に堆積されたマスク材料1060でパターン化される930。パターン化の後、基板1010は、再度、イオン溶液1035の槽1030中に置かれ940、そこで、図10Cに示される通り、第2のイオン交換が生じる950。マスク材料1060は、第2のイオン槽の間、活性領域1011におけるイオン交換を防止または著しく低減させる。イオン交換は、ダイシングレーン1012における厚さ方向を通る応力の変化が、活性領域1011における厚さ方向を通る応力の変化未満になるまで、ダイシングレーンにおいて継続する。図10Dの上部は、イオン交換後の基板1010を示す。図10Dの下部は、基板1010がダイシングレーン1012に沿ってダイシングされた後の個片化された基板1051~1052を示す。各個片化された基板1051~1053は、活性領域1011を含む。ダイシングレーン1012は、個片化された基板1051~1053の外縁の少なくとも一部に沿って存在する。
【0028】
いくつかの実施形態では、構成要素は、基板が個々の基板に個片化される前に基板上に形成される。図11の上部は、図9及び10A~10Dの関係で先に述べた通り、基板1010の横断面図を示す。構成要素1110、例えば、電子構成要素1111及び相互接続トレース1112は、ダイシングレーン1012が形成された後にガラス基板の活性領域1011の表面上に形成される。構成要素1110の形成後、基板1010は、個々の基板1051~1053に個片化される。各基板1051、1052は、活性領域1011の表面上に配置された構成要素1111、1112を含む。構成要素1112の少なくとも1つは、通電時に、基板を小片に破砕することによって自己破壊させるトリガ機構の一部であり得る。
【0029】
多数の数値及び範囲は、記載される履行の様々な態様において提供される。これらの数値及び範囲は、例として扱われるのみであり、特許請求の範囲を制限することを目的としない。例えば、本開示に記載される実施形態は、開示された数値範囲を通して実行され得る。更に、多数の材料は、履行の様々な相に適切であると認識される。これらの材料は、例として扱われるものであり、特許請求の範囲を制限することを目的としない。
【0030】
様々な実施形態の前述の説明は、制限ではなく、解説及び説明の目的で提示された。開示された実施形態は、包括的となること、または可能な履行を開示された実施形態に制限することを目的としない。多くの修正及び変化は、上記の教示の範囲で可能である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11