(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 48/16 20090101AFI20220831BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20220831BHJP
【FI】
H04W48/16 131
H04W84/12
H04W48/16 110
(21)【出願番号】P 2018122647
(22)【出願日】2018-06-28
【審査請求日】2020-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】宮川 修
(72)【発明者】
【氏名】松尾 仁
(72)【発明者】
【氏名】植田 康生
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-199408(JP,A)
【文献】特開2004-297784(JP,A)
【文献】特開2014-179926(JP,A)
【文献】国際公開第2009/104336(WO,A1)
【文献】特開2013-031193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録領域と、
無線接続に用いたチャネルを特定するチャネル特定情報を、前記記録領域に書き込む書込み部と、
情報処理装置の起動時において、前記記録領域に書き込まれたチャネル特定情報を用いて、無線接続を試みる第1の接続部と、
前記情報処理装置の起動処理が完了した後に、複数のチャネルに対してスキャンする第2の接続部と
を有し、
前記記録領域は、不揮発性メモリであり、
前記書込み部は、前記情報処理装置に対して電源切断の指示が行われた場合に、現在採用しているチャネルのチャネル特定情報のみを、前記不揮発性メモリの前回の電源切断時に書き込まれたチャネル特定情報に上書きする
情報処理装置。
【請求項2】
画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部により読み取られた画像データを、前記第1の接続部により接続された無線接続を用いて、外部に送信する送信部と
をさらに有する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2の接続部は
、無線接続機能の起動処理を含む前記情報処理装置の起動処理が完了した後、複数のチャネルをスキャンして、電波強度に基づいて、採用するチャネルを選択し、
前記書込み部は、前記第2の接続部により選択されたチャネルのチャネル特定情報を、前記記録領域に書き込む
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
無線接続に用いたチャネルを特定するチャネル特定情報を、不揮発性メモリの記録領域に書き込むステップと、
情報処理装置の起動時において、前記記録領域に書き込まれたチャネル特定情報を用いて、無線接続を試みる第1の接続ステップと、
前記情報処理装置の起動処理が完了した後に、複数のチャネルに対してスキャンする第2の接続ステップと
を有し、
前記書き込むステップは、前記情報処理装置に対して電源切断の指示が行われた場合に、現在採用しているチャネルのチャネル特定情報のみを、前記不揮発性メモリの前回の電源切断時に書き込まれたチャネル特定情報に上書きする
情報処理方法。
【請求項5】
無線接続に用いたチャネルを特定するチャネル特定情報を、不揮発性メモリの記録領域に書き込むステップと、
情報処理装置の起動時において、前記記録領域に書き込まれたチャネル特定情報を用いて、無線接続を試みる第1の接続ステップと、
前記情報処理装置の起動処理が完了した後に、複数のチャネルに対してスキャンする第2の接続ステップと
をコンピュータに実行させ、
前記書き込むステップは、前記情報処理装置に対して電源切断の指示が行われた場合に、現在採用しているチャネルのチャネル特定情報のみを、前記不揮発性メモリの前回の電源切断時に書き込まれたチャネル特定情報に上書きする
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、Wi-FiダイレクトにおけるGOと子機との無線通信において、第一チャネルと第二チャネルとに関する情報を含むチャネルリストを保持し、第一チャネルを用いたハンドシェーク処理が既定回数失敗したとき、第二チャネルを用いてハンドシェーク処理を実行する通信システムが開示されている。
また、特許文献2には、無線通信に用いる周波数帯の複数のチャネルの各々の通信品質に応じた優先順位を表すチャネル選択順位情報を記憶し当該チャネル選択順位情報の示す優先順位の高い順にチャネルを選択してチャネル変更を行う相手装置と無線通信する無線通信装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/147670
【文献】特開2016-052017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装置起動を高速化した情報処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る情報処理装置は、記録領域と、無線接続に用いたチャネルを特定するチャネル特定情報を、前記記録領域に書き込む書込み部と、無線接続機能の起動時において、前記記録領域に書き込まれたチャネル特定情報のうち、直近の無線接続に用いたチャネルのチャネル特定情報を用いて、無線接続を試みる第1の接続部とを有する。
【0006】
好適には、前記記録領域は、不揮発性メモリであり、前記書込み部は、前記情報処理装置に対して電源切断の指示が行われた場合に、現在採用しているチャネルのチャネル特定情報のみを、前記不揮発性メモリに書き込む。
【0007】
好適には、画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部により読み取られた画像データを、前記第1の接続部により接続された無線接続を用いて、外部に送信する送信部とをさらに有する。
【0008】
好適には、前記第1の接続部が無線接続に失敗した時、又は、前記無線接続機能の起動処理が完了した後に、複数のチャネルに対してスキャンする第2の接続部をさらに有する。
【0009】
好適には、前記第2の接続部は、前記無線接続機能の起動処理を含む前記情報処理装置の起動処理が完了した後、複数のチャネルをスキャンして、電波強度に基づいて、採用するチャネルを選択し、前記書込み部は、前記第2の接続部により選択されたチャネルのチャネル特定情報を、前記記録領域に書き込む。
【0010】
また、本発明に係る情報処理方法は、無線接続に用いたチャネルを特定するチャネル特定情報を、不揮発性メモリに書き込むステップと、無線接続機能の起動時において、前記不揮発性メモリに書き込まれたチャネル特定情報のうち、直近の無線接続に用いたチャネルのチャネル特定情報を用いて、無線接続を試みるステップとを有する。
【0011】
また、本発明に係るプログラムは、無線接続に用いたチャネルを特定するチャネル特定情報を、不揮発性メモリに書き込むステップと、無線接続機能の起動時において、前記不揮発性メモリに書き込まれたチャネル特定情報のうち、直近の無線接続に用いたチャネルのチャネル特定情報を用いて、無線接続を試みるステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
情報処理装置の装置起動を高速化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】スキャナ共有システム1の全体構成を例示する図である。
【
図2】スキャナ装置2に内蔵される情報処理ユニット20のハードウェア構成及びソフトウェア構成を例示する図である。
【
図3】Wi-Fi制御アプリ420の機能構成を例示する図である。
【
図4】スキャナ装置2の装置起動処理(S10)を、無線接続機能を中心に説明するフローチャートである。
【
図5】スキャナ装置2の装置シャットダウン処理(S20)を、無線接続機能を中心に説明するフローチャートである。
【
図6】Wi-Fiドライバ404のチャネル更新処理(S30)を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(背景と概要)
従来、情報処理装置の起動完了とは、ハードウェアが初期化され、オペレーティングシステム等の必要なソフトウェアの読み込みが完了した時点であると考えられてきた。
しかしながら、オンライン認証やクラウド連携、シンクライアント端末等の登場により、ネットワーク接続が完了して初めて、情報処理装置が使用可能となるケースが増加してきた。特に、Wi-Fi搭載の端末である場合に、通常の無線接続シーケンスでは、全チャネルを順番にスキャンして、接続可能なSSID(Service Set IDentifier)を探索するため、電源投入から、端末が使用可能となるまでに、長時間を要する。
【0015】
そこで、本実施形態の情報処理装置は、一旦接続が成功したチャネルのチャネル特定情報を不揮発性メモリに保持しておき、電源投入時に、このチャネルを優先的にスキャンすることにより、無線接続に要する時間を短縮し、装置起動を高速化する。
特に、本実施形態の情報処理装置は、スキャナ装置2に内蔵されている情報処理ユニット20である。スキャナ装置2は、据え置きで使用されることが多く、無線接続環境が変化することが極めて少ないため、装置起動の高速化効果が期待できる。
【0016】
(実施形態)
図1は、スキャナ共有システム1の全体構成を例示する図である。
図1に例示するように、スキャナ共有システム1は、スキャナ装置2と、ファイルサーバ7とを含み、これらの構成がアクセスポイント80及びネットワーク8を介して互いに接続している。
スキャナ装置2は、画像を読み取って、画像データを生成する画像読取装置であり、読み取られた画像データを処理する情報処理ユニット20(後述)を内蔵している。本例のスキャナ装置2は、アクセスポイント80を介して、ネットワーク8にWi-Fi接続し、ネットワーク8を介して、読み取られた画像データをファイルサーバ7に送信する。なお、画像データの送信先は、ファイルサーバ7ではなく、クラウドサーバ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又は、タブレット端末等であってもよい。
例えば、複数の部屋に、それぞれアクセスポイント80及びスキャナ装置2が設置され、スキャナ装置2は、各部屋に据え置きで共用される。
【0017】
図2は、スキャナ装置2に内蔵される情報処理ユニット20のハードウェア構成及びソフトウェア構成を例示する図である。
図2に例示するように、情報処理ユニット20は、ハードウェア30として、タッチパネル300、液晶ディスプレイ302(LCD302)、RAM304、CPU306、ROM308、及び、無線LANチップ310を有している。
タッチパネル300は、ユーザのタッチ操作を検知する入力装置であり、LCD302に重畳されている。
LCD302は、液晶パネルを備えた表示装置である。
RAM304は、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
CPU306は、中央演算装置である。
ROM308は、不揮発性メモリである。
無線LANチップ310は、無線接続するためのチップであり、例えば、Wi-Fi接続を実現する。
【0018】
また、
図2に例示するように、情報処理ユニット20は、ファームウェア40として、LCD操作アプリ400、入出力ドライバ402、Wi-Fi制御アプリ420、及びWi-Fiドライバ404を有している。
LCD操作アプリ400は、入出力ドライバ402を介して、タッチパネル300及びLCD302を制御し、ユーザによる入力の受付、及び、入力結果の表示等を行う。
入出力ドライバ402は、タッチパネル300及びLCD302のドライバである。
Wi-Fi制御アプリ420は、Wi-Fiドライバ404を介して、無線LANチップ310を制御し、アクセスポイント80へのWi-Fi接続を実現する。
Wi-Fiドライバ404は、無線LANチップ310のドライバである。
【0019】
図3は、Wi-Fi制御アプリ420の機能構成を例示する図である。
図3に例示するように、Wi-Fi制御アプリ420は、書込み部422、読込み部424、第1の接続部426、第2の接続部428、及び画像送信部430を有する。
Wi-Fi制御アプリ420は、例えば、CD-ROM等の記録媒体に格納されており、この記録媒体を介して、情報処理ユニット20にインストールされる。
なお、Wi-Fi制御アプリ420の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよい。また、Wi-Fi制御アプリ420の一部又は全部は、OS(Operating System)の機能を一部借用して実現されてもよい。
【0020】
Wi-Fi制御アプリ420において、書込み部422は、無線接続に用いたチャネルを特定するチャネル特定情報を、ROM308に書き込む。より具体的には、書込み部422は、スキャナ装置2に対して電源切断の指示が行われた場合に、現在、無線接続に採用しているチャネルのチャネル特定情報のみを、ROM308に書き込む。本例の書込み部422は、無線接続の設定時において、ユーザにより設定されたSSID及びセキュリティキーをROM308に書き込み、スキャナ装置2のシャットダウン時に、無線接続に採用しているチャネルのチャネル特定情報を、ROM308に書き込む。なお、当該チャネル特定情報は、無線LANチップ310に接続された不揮発性メモリ(不図示)に書き込まれ、格納されてもよい。
【0021】
読込み部424は、無線接続機能の起動時において、ROM308から、チャネル特定情報を読み込む。本例の読込み部424は、スキャナ装置2の起動時に、ROM308から、SSID、セキュリティキー、及びチャネル特定情報を読み込む。
【0022】
第1の接続部426は、チャネル特定情報により特定される固定チャネルに対して、無線接続を試みる。例えば、第1の接続部426は、無線接続機能の起動時において、ROM308に書き込まれたチャネル特定情報のうち、直近の無線接続に用いたチャネルのチャネル特定情報を用いて、無線接続を試みる。本例の第1の接続部426は、スキャナ装置2の起動時において、読込み部424により読み込まれたSSID、セキュリティキー、及びチャネル特定情報を用いて、アクセスポイント80との無線接続を試みるよう、Wi-Fiドライバ404に指示する。
【0023】
第2の接続部428は、複数のチャネルをスキャンして、無線接続を試みる。例えば、第2の接続部428は、第1の接続部426が無線接続に失敗した場合に、複数のチャネルに対してスキャンして、接続可能なチャネルを探索する。本例の第2の接続部428は、第1の接続部426が無線接続に失敗した場合に、全チャネルを順にスキャンして、接続可能なチャネルを探索するよう、Wi-Fiドライバ404に指示する。
また、第2の接続部428は、無線接続機能の起動処理が完了した後において、既定のタイミングで、複数のチャネルに対してスキャンして、無線接続の更新を行う。本例の第2の接続部428は、スキャナ装置2の起動処理が完了し、かつ、アイドル状態にある場合に、無線接続の電波強度が閾値以下となったタイミングで、複数のチャネルに対してスキャンして、無線接続の更新を行うようWi-Fiドライバ404に指示する。
【0024】
画像送信部430は、スキャナ装置2により読み取られた画像データを、第1の接続部426により接続された無線接続を用いて、外部に送信する。本例の画像送信部430は、スキャナ装置2により読み取られた画像データを、第1の接続部426により接続された無線接続、又は、第2の接続部428により接続された無線接続を用いて、ファイルサーバ7に送信する。
【0025】
図4は、スキャナ装置2の装置起動処理(S10)を、無線接続機能を中心に説明するフローチャートである。
図4に例示するように、ステップ100(S100)において、スキャナ装置2は、ユーザから起動指示がなされるまで待機し(S100:No)、起動指示がなされると、ハードウェア30の各構成が起動処理を行い、OS(不図示)を起動させて、S105の処理に移行する。
【0026】
ステップ105(S105)において、Wi-Fi制御アプリ420(
図2)が起動する。
ステップ110(S110)において、Wi-Fi制御アプリ420の読込み部424(
図3)は、ROM308から、SSID及びセキュリティキーの読込みを試みる。
Wi-Fi制御アプリ420は、SSID及びセキュリティキーの読込みが成功した場合に、S115の処理に移行し、SSID及びセキュリティキーの読込みに失敗した場合に、S160の処理に移行する。
【0027】
ステップ115(S115)において、読込み部424は、ROM308から、チャネル特定情報の読込みを試みる。
Wi-Fi制御アプリ420は、チャネル特定情報の読込みが成功した場合に、S120の処理に移行し、チャネル特定情報の読込みが失敗した場合に、S135の処理に移行する。
【0028】
ステップ120(S120)において、第1の接続部426は、Wi-Fiドライバ404を起動させて、読込み部424により読み込まれたSSID、セキュリティキー、及びチャネル特定情報をWi-Fiドライバ404に引き渡す。
ステップ125(S125)において、Wi-Fiドライバ404は、第1の接続部426から引き渡されたSSID、セキュリティキー、及びチャネル特定情報に従って、固定チャネルでスキャンし、チャネル特定情報により特定されるチャネルのみで、アクセスポイント80をスキャンする。
ステップ130(S130)において、Wi-Fiドライバ404は、固定チャネルのスキャンによってアクセスポイント80を発見できた場合に、S150の処理に移行し、固定チャネルのスキャンによってアクセスポイント80を発見できなかった場合に、S140の処理に移行する。
【0029】
ステップ135(S135)において、第2の接続部428は、Wi-Fiドライバ404を起動させて、読込み部424により読み込まれたSSID及びセキュリティキーを、Wi-Fiドライバ404に引き渡す。
【0030】
ステップ140(S140)において、Wi-Fiドライバ404は、第2の接続部428から引き渡されたSSID及びセキュリティキーに従って、全チャネルスキャンを実施し、全チャネルを順にスキャンして、アクセスポイント80を探索する。
ステップ145(S145)において、Wi-Fiドライバ404は、全チャネルスキャンによっていずれかのチャネルでアクセスポイント80を発見できた場合に、S150の処理に移行し、いずれのチャネルでもアクセスポイント80を発見できなかった場合に、S140の処理に戻る。
【0031】
ステップ150(S150)において、Wi-Fiドライバ404は、発見したアクセスポイント800に対して、無線接続シーケンスを実施する。
ステップ155(S155)において、Wi-Fi制御アプリ420は、第1の接続部426又は第2の接続部428によるWi-Fi接続が成功した場合に、S160の処理に移行し、Wi-Fi接続が失敗した場合に、S135の処理に移行する。
ステップ160(S160)において、スキャナ装置2は、Wi-Fi制御アプリ420により確立された無線接続を介して、ファイルサーバ7にアクセスし、画像読取処理に必要な準備を完了させて、待機状態(アイドル状態)に移行する。
【0032】
このように、スキャナ装置2の起動時には、まずROM308に書き込まれたSSID、セキュリティキー、及びチャネル特定情報に従って、固定チャネルで無線接続を試み、無線接続の確立に失敗した場合に、全チャネルスキャンで無線接続を確立する。
【0033】
図5は、スキャナ装置2の装置シャットダウン処理(S20)を、無線接続機能を中心に説明するフローチャートである。
図5に例示するように、ステップ200(S200)において、スキャナ装置2は、ユーザからシャットダウン指示がなされるまで待機し(S200:No)、シャットダウン指示がなされると、S205の処理に移行する。
【0034】
ステップ205(S205)において、Wi-Fi制御アプリ420(
図2)は、装置のシャットダウンが指示されると、Wi-Fiドライバ404に対して、現在使用中のチャネル特定情報を取得するよう指示する。Wi-Fiドライバ404は、これに応じて、現在使用中のチャネル特定情報をWi-Fi制御アプリ420に返す。
ステップ210(S210)において、Wi-Fi制御アプリ420の書込み部422(
図3)は、ROM308に、Wi-Fiドライバ404から取得したチャネル特定情報を書き込む。この際に、チャネル特定情報は、前回のシャットダウン時に書き込まれたチャネル特定情報に上書きされ、その結果、直近のチャネル特定情報のみがROM308に保持されることになる。
【0035】
ステップ215(S215)において、Wi-Fi制御アプリ420は、シャットダウンし、スキャナ装置2もシャットダウンする。
このように、スキャナ装置2のシャットダウン時に、使用していたチャネルのチャネル特定情報がROM308に書き込まれる。
【0036】
図6は、Wi-Fiドライバ404のチャネル更新処理(S30)を説明するフローチャートである。
図6に例示するように、ステップ300(S300)において、Wi-Fiドライバ404は、スキャナ装置2の起動完了までは、装置起動処理(S10)に専念し(S300:No)、起動処理が完了すると、S305の処理に移行して、定期的にチャネル更新処理(S30)を開始する(S300:Yes)。
【0037】
ステップ305(S305)において、Wi-Fiドライバ404は、アクセスポイント80との無線接続で使用している電波の電波強度を確認する。
ステップ310(S310)において、Wi-Fiドライバ404は、電波強度が閾値以下である場合に、S315の処理に移行し(S310:Yes)、電波強度が閾値を超える場合に、S305の処理に戻る(S310:No)。
【0038】
ステップ315(S315)において、Wi-Fiドライバ404は、全チャネルスキャンの無線接続シーケンスを実施する。
ステップ320(S320)において、Wi-Fiドライバ404は、全チャネルをスキャンした結果に基づいて、電波強度の高いチャネルを選択する。
ステップ325(S325)において、Wi-Fiドライバ404は、選択されたチャネルで、アクセスポイント80との無線接続のためのハンドシェークを行い、Wi-Fi接続処理を実施する。
なお、全チャネルスキャンのタイミングは、無線のデータ通信が一定期間行われていないタイミングとしてもよい。また、現在使用しているアクセスポイントの電波強度よりも既定値(例えば、10dBm)以上強いアクセスポイントが発見された場合に、Wi-Fiドライバ404が無線接続を更新するようにしてもよい。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のスキャナ装置2は、前回シャットダウン時にROM308に書き込まれたチャネル特定情報を用いて、固定チャネルの無線接続を試みるため、無線接続処理の高速化が期待できる。特に、据え置きで使用される場合が多いスキャナ装置では、Wi-Fiの電波環境が変化することが少ないため、無線接続処理が高速化されるケースが多くなる。
【符号の説明】
【0040】
2 スキャナ装置
20 情報処理ユニット
308 ROM
310 無線LANチップ
404 Wi-Fiドライバ
420 Wi-Fi制御アプリ