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  • 特許-内側靴のための靴紐締結 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】内側靴のための靴紐締結
(51)【国際特許分類】
   A43C 7/08 20060101AFI20220831BHJP
   A43C 3/04 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A43C7/08
A43C3/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018554373
(86)(22)【出願日】2017-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2017058304
(87)【国際公開番号】W WO2017178337
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2020-03-31
(31)【優先権主張番号】102016106958.2
(32)【優先日】2016-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518359166
【氏名又は名称】ナイトロ スノーボードズ
【氏名又は名称原語表記】NITRO SNOWBOARDS
【住所又は居所原語表記】Schwabengasse 1a 82487 Oberammergau(DE)
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】デラゴー トマス
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04807333(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43C 7/08
A43C 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主要部(24)を有するブーツ(2)の靴(1、7)用の締結要素(22)であって、
前記主要部(24)は、
前記靴(1、7)に締結するための前記靴(1、7)側に面するベース側の面(26)と、
前記ベース側の面(26)に対向して位置するカバー側の面(28)と、
靴紐(12)のそれぞれの端部を受け入れて案内するために、前記ベース側の面(26)と前記カバー側の面(28)と間に延在する側面に成形された2つのノッチ(38)と、を含み、
前記靴(1、7)の開口方向を前記靴紐(12)の案内方向(40)とすると、前記ノッチ(38)内に案内された前記靴紐(12)の端部は、それぞれのノッチ(38)内において前記案内方向(40)に引っ張ってブーツ(2)を紐締めすることができ、
前記2つのノッチ(38)は、それぞれ外側から内側へ向かって窪む内面を有し、前記案内方向(40)に紐で締められたときに前記靴紐(12)が前記締結要素(22)に入る入口角と、前記案内方向に引っ張られたときに前記靴紐(12)が前記締結要素(22)から出る出口角を定義するように、間隔を置いて互いに角度をなし、前記入口角は前記出口角以上であり、
前記ノッチ(38)の内面には、互いに平行に整列された複数の第1歯(42)が配置され、前記第1歯は、前記ベース側の面(26)に向かう方向又は前記カバー側の面(28)に向かう方向に突出し、前記それぞれのノッチ(38)の内側に延在し、前記第1歯の延在方向(46)は、前記それぞれのノッチ(38)の内面において前記案内方向に対して鈍角であり、
前記第1歯(42)はそれぞれ、前記案内方向(40)に前記ノッチ(38)内で前記靴紐(12)を引っ張ることを可能にし、且つ前記案内方向(40)に対する前記靴紐(12)の動きを防止するために、前記案内方向(40)に傾斜した表面を有し、
前記ノッチ(38)の内面には、さらに、1つ又は複数の第2歯(44)が配置され、前記第2歯は、前記ベース側の面(26)に向かう方向又は前記カバー側の面(28)に向かう方向に突出し、前記第2歯の延在方向は、前記それぞれのノッチ(38)の内面において外側から内側に向かって延び、
前記第2歯(44)は、前記第1歯(42)よりも大きく突出し、前記靴紐(12)が前記ノッチ(38)から滑り出るのを防止し、且つ前記靴紐(12)を締結要素(22)内に保持するために、前記それぞれのノッチ(38)の内面において前記第1歯(42)より外側の外縁の近くに配置される、ことを特徴とする締結要素(22)。
【請求項2】
前記第2歯(44)のそれぞれは、前記それぞれのノッチ(38)の内面において外側の一部に延在している、ことを特徴とする請求項1に記載の締結要素(22)。
【請求項3】
前記案内方向(40)に見るときに、1つの前記ノッチ(38)において、前記第2歯(44)のそれぞれは前記第1歯(42)の後に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の締結要素(22)。
【請求項4】
前記靴(1,7)に締結するためのフランジ要素(48)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の締結要素(22)。
【請求項5】
前記入口角は前記出口角よりも大きく、その結果、前記入口角は、前記締結要素(22)に入る靴紐(12)を広げるように構成され、前記出口角は、前記締結要素(22)を出るときに靴紐(12)を一緒にするように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の締結要素(22)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効な請求項1のプリアンブルによる締結要素及び締結要素を有するウインターブーツに関する。
【背景技術】
【0002】
有効な請求項1のプリアンブルによる締結要素は、EP0848917B2から知られている。この文献の請求項1によれば、この締結要素のノッチは、クランプセクションに角度を有する状態で接続された摺動セクションを含む。この締結要素のノッチは、互いに離れて延在する案内方向に対して靴紐を保持するように設計されている。
【0003】
まず、靴紐は、両手で上方に引っ張られ、靴を紐締めするために摺動セクションに案内される。次に、靴紐の端部が回されてクランプセクションに固定されるので、両手が必要とされる。しかしながら、これは、特に、例えばスノーボード上で速やかに結び直す際に、両手で紐を引き離すのに十分なスペースが外側靴の内側にないため、内側靴に使用するときには適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、片手で靴紐を締め付けることを可能にする有効な請求項1のプリアンブルによる締結要素を提供することである。この課題は、請求項1の特徴によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0005】
本発明は、摺動セクションのクランプセクションを回して、ノッチ内に配置された靴紐の2つの端部を引っ張るだけで、片手で靴紐を固定できるという考えに基づいている。靴紐の端部をさらに回す必要がない。これは、靴やブーツを履いている人がスノーボードやローラースケートなどに立っていても、いつでも片手で靴紐を簡単に締め直すことができる理由である。
【0006】
記載された締結要素は、外側靴及び内側靴の両方に使用することができ、内側靴で使用することは、内側靴に空間がないために特に有効である。
【0007】
請求項2による締結要素は、靴紐上の摩擦を容易に増加させ、そのように保持することができる。
【0008】
請求項3による締結要素は、保持されたときに靴紐をノッチ内に引っ張るように設計されている。このようにして、靴紐が誤って元に戻され、ノッチから滑り出すことを回避することができる。
【0009】
請求項4による締結要素は、靴紐が案内方向に対して移動するとき、歯を靴紐に押し込むように設計されている。このようにして、前記締結要素の保持効果が高められる。
【0010】
請求項5による異なるサイズは、個々の歯をノッチ内の異なる機械的要求に合わせるように設計されている。
【0011】
請求項6による締結要素は、靴紐が誤ってノッチから滑り出すことを防止する。
【0012】
より大きい歯の配置は、靴紐がノッチ内に押し込まれたときの最初に最大のてこを提供する。請求項8による締結要素は、特にフランジを用いて内側靴に容易に締結することができる。
【0013】
上記の締結要素は、請求項6によるウインターブーツの内側靴に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の上述の特性、特徴及び利点、ならびにそれらが達成される方法は、図面に関連してより詳細に説明される実施形態の以下の説明に関連して、より明確になるであろう。
図1】ウインターブーツの外側靴の斜視図である。
図2】締結要素を有するウインターブーツの内側靴の斜視図である。
図3図2の締結要素の第1斜視図である。
図4図2の締結要素の第2斜視図である。
図5図2の締結要素を下方から見た図である。
図6】別の締結要素の斜視図である。
図7図6の締結要素を下方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面において、同一の技術的要素には同一の参照符号が付されており、一度しか記載されていない。図面は純粋に概略的なものであり、特に、実際の幾何学的な比率を反映していない。
【0016】
ウインターブーツ2の外側靴1の斜視図を示す図1を参照する。
【0017】
外側靴1は、ブーツソール4及びシャフト6を含み、後述の内側靴7を収容する。この内側靴7は、足(より詳細には図示せず)が開口10を介して挿入され得る足室8を含む。
【0018】
足室8内に挿入された足は、足室8内の1つ以上の紐付けゾーン(参照符号なし)を介して外側靴1に固定することができる。図1に示される外側靴1は、2つの紐付けゾーンを有し、1つの靴紐12は、1つの紐付けゾーンのみを通る。
【0019】
シャフト6上の2つの側セクション14は、舌革16によって覆われている紐付けゾーンを介して紐締めすることができる。靴紐12を案内するための、詳細に説明されるループ18は、側セクション14に締結される。本実施形態では、靴紐12は、ループ18と交差する。
【0020】
締め付けられた靴紐12は、紐締め後にクランプ要素20にクランプすることができる。このクランプ要素20はここでは重要ではないので、詳細は述べない。
【0021】
内側靴7の斜視図を示す図2を参照する。
【0022】
内側靴は、外側靴1と同一の本質的な技術的要素を有する。しかしながら、紐付けゾーンが1つしかないので、靴紐12は1つしかない。内側靴7のソール4及びシャフト6は、足室8を緊密に取り囲んでいる。簡潔にするために、ここでは、内側靴7の個々の技術的要素の詳細な説明を省略する。
【0023】
外側靴1とは異なり、クランプ要素の代わりに、内側靴7は、以下の図3~5に詳細に説明される締結要素22を有する。締結要素22は、この例ではシーム21のような任意の締結要素で内側靴7に取り付けることができる。図3は、開口10からブーツソール4に延びるウインターブーツ2の取り付け方向23の締結要素を示す。
【0024】
締結要素22は、角丸の板状の主要部24を有し、主要部24は、内側靴7側に面するベース側の面26と、ベース側の面26に対向して位置するカバー側の面28と、ベース側の面26とカバー側の面28との間に延在する側面であるケーシング側30とを有する。各々の側の面26~30は、平坦であってはならず、図示のように、開口10に面した領域内のケーシング側30は先細の凸面になっていてもよい。
【0025】
ケーシング側30は、ブーツソール4に向かって互いに接近して先端36で合流する第1ケーシング側セクション32と第2ケーシング側セクション34とを含む。しかしながら、必ずしも側が先端36で合流する必要がない。2つのケーシング側セクション32、34は、ケーシング側30の全体に亘って延びていないので、本実施形態は、少なくとも1つの更なるケーシング側セクションを有し、それ自体の参照符号はない。
【0026】
ノッチ38は、内側靴7の靴紐12を受け入れるように、第1及び第2のケーシング側セクション32、34のそれぞれの主要部24内に延びている。これらのノッチ38は、案内方向40に対して靴紐12(図3~5には図示せず)を保持するように設計され、それにより、この案内方向40に対する靴紐の動きを防止する靴紐12の端部は、締結要素22の先端36でノッチ38に入口角39で進入し、先端36と向かい合って、出口角41でノッチ38を出る。入口角39は出口角41以上であるので、EP0848917B2に反して、靴紐12の両端部は、互いに締付けるために片手で保持されるように一緒にされる。
【0027】
この目的のために、歯42、44は、個々のノッチ38内に配置され、明確にするために参照符号が付されていないノッチ38の内側に延びている。歯42、44は、互いに平行に整列され、歯の方向46にそれぞれのノッチ38において一定の角度で、特に案内方向40に対して鈍角で延在する。2つの異なるタイプの歯42、44がある。第1歯42は、第2歯44より小さく、第2歯44が後に案内方向40に配置される。さらに、第2歯44は、ノッチ38の全体に亘ることなく、歯の方向46から見てその外側にのみ、歯の方向46に延在する。
【0028】
図2に示されるように、靴紐12は、ケーシング側セクション32、34のノッチ38内に交差して挿入される。このようにして、先端36は、支点を提供し、靴紐12の端部は、それらを引っ張ることによって、2つのより大きい第2歯44の間の狭い部分を通して、その上に押し付けることができる。次に、靴紐12を案内方向40に引っ張ることによって、靴紐12を締め付けることができる。この引っ張りを可能にするために、第1歯42が案内方向40に指向され配置される。
【0029】
案内方向40に延在する第1歯42に起因する引っ張りの間に靴紐12がノッチ38から滑り出すのを防止するために、より大きい第2歯44が制限として役立つ。靴紐12が締め付けられ、例えば、ウインターブーツ2を着用した人の動きにより案内方向40に張力をかけられると、靴紐12は、第1歯42の配置により、ノッチ38の内側に歯の方向46に引き込まれる。このようにするため、より大きな第2歯44はまた、ノッチの内側への延在は中断される。締結要素22上の靴紐12の紐締めの堅固さは、靴紐12を案内方向40に引っ張ることによっていつでも調整することができる。これは、いつでも片手で行うことができる。
【0030】
締結要素22を内側靴7に容易に取り付けるために、フランジ要素48が装備される。このフランジ要素48によって、締結要素22は、縫い付け、糊付け、リベット締め、ねじ止め又は他の任意の方法で内側靴7に締結することができる。
【0031】
クランプ要素20の代わりに、締結要素22は、靴紐12を締結するために外側靴1に使用されてもよい。
【0032】
図6及び7は、マルチセクション主要部24を含む締結要素の代替の実施形態を示す。この場合、靴紐12の端部は、交差して案内されるのではなく、それぞれのノッチ38において互いからある距離をおいて延在する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7