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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】軌道生成装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220831BHJP
   B64F 1/32 20060101ALI20220831BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
G05D1/02 J
B64F1/32
G08G1/00 X
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019025402
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2020135184
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 亮暢
(72)【発明者】
【氏名】田中 稔
(72)【発明者】
【氏名】津坂 祐司
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 誠
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/230698(WO,A1)
【文献】特開2011-150443(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0039425(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/12
B64B 1/00 - 1/70
B64C 1/00 -99/00
B64D 1/00 -47/08
B64F 1/00 -5/60
B64G 1/00 -99/00
G08G 1/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1台以上の被牽引車を牽引している牽引車の、始点位置から搭降載器材までの移動のための軌道を生成する軌道生成装置であって、
環境センサの計測データに基づいて前記搭降載器材の位置および姿勢を表す搭降載器材座標系を取得する搭降載器材座標系取得部と、
前記牽引車の停車位置、および、前記停車位置における前記牽引車の姿勢である停車姿勢を表す停車位置座標系を、前記搭降載器材座標系に基づいて取得する停車位置座標系取得部と、
前記始点位置から前記停車位置まで移動する軌道の途中の位置である通過位置、および、前記通過位置における前記牽引車の姿勢である通過姿勢を表す通過位置座標系を、前記搭降載器材座標系に基づいて取得する通過位置座標系取得部と、
前記始点位置から前記通過位置を前記通過姿勢で通過して前記停車位置へ前記停車姿勢で停止可能な目標軌道を生成する軌道生成部と、
を備え、
前記停車姿勢は、前記牽引車の直後に位置している1台目の被牽引車の側面が前記搭降載器材の貨物受け入れ面と略平行になる姿勢であり、
前記停車位置は、前記1台目の被牽引車の側面の少なくとも一部が前記貨物受け入れ面と対向する位置である、軌道生成装置。
【請求項2】
前記通過位置座標系は、前記停車位置座標系との拘束条件から求められる、請求項1に記載の軌道生成装置。
【請求項3】
前記拘束条件は、前記1台目の被牽引車の側面および前記1台目の被牽引車に牽引される2台目の被牽引車の側面が、前記貨物受け入れ面と略平行になる条件である、請求項2に記載の軌道生成装置。
【請求項4】
前記始点位置と前記通過位置とを結ぶ前記目標軌道の少なくとも一部が曲線であり、
前記通過位置と前記停車位置とを結ぶ前記目標軌道の全体が直線である、請求項1~3の何れか1項に記載の軌道生成装置。
【請求項5】
前記環境センサはレーザセンサであり、
前記計測データは前記レーザセンサで計測された点群データである、請求項1~4の何れか1項に記載の軌道生成装置。
【請求項6】
前記環境センサはカメラであり、
前記計測データは、前記搭降載器材に配置されている位置および姿勢を検出可能な視覚マーカを前記カメラで撮像した画像データである、請求項1~4の何れか1項に記載の軌道生成装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の軌道生成装置を備えた牽引車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、軌道生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貨物を運ぶ無人牽引車が開発されている。特許文献1には、レールに沿って自動走行する牽引車を使って航空機への貨物の搭降載を行う空港貨物搬送システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-321699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貨物の搭降載を行うためには、搭降載器材の近傍の貨物受け渡し位置まで被牽引車を牽引する必要がある。しかし、航空機は決まった位置および姿勢で停車するとは限らないため、貨物受け渡し位置も都度異なる。そのため、レールに沿って走行する牽引車では、貨物受け渡し位置の変化に対応できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する軌道生成装置の一実施形態は、1台以上の被牽引車を牽引している牽引車の、始点位置から搭降載器材までの移動のための軌道を生成する軌道生成装置である。軌道生成装置は、環境センサの計測データに基づいて搭降載器材の位置および姿勢を表す搭降載器材座標系を取得する搭降載器材座標系取得部を備える。軌道生成装置は、牽引車の停車位置、および、停車位置における牽引車の姿勢である停車姿勢を表す停車位置座標系を、搭降載器材座標系に基づいて取得する停車位置座標系取得部を備える。軌道生成装置は、始点位置から停車位置まで移動する軌道の途中の位置である通過位置、および、通過位置における牽引車の姿勢である通過姿勢を表す通過位置座標系を、搭降載器材座標系に基づいて取得する通過位置座標系取得部を備える。軌道生成装置は、始点位置から通過位置を通過姿勢で通過して停車位置へ停車姿勢で停止可能な目標軌道を生成する軌道生成部を備える。停車姿勢は、牽引車の直後に位置している1台目の被牽引車の側面が搭降載器材の貨物受け入れ面と略平行になる姿勢である。停車位置は、1台目の被牽引車の側面の少なくとも一部が貨物受け入れ面と対向する位置である。
【0006】
環境センサの計測データに基づいて、搭降載器材の位置および姿勢を表す搭降載器材座標系を取得することができる。そして、始点位置から通過位置を通過して停車位置へ貨物を搭降載可能な停車姿勢で停止可能な目標軌道を生成することができる。これにより、搭降載器材の位置および姿勢の変化する場合においても、貨物を搭降載可能な位置に非牽引車を牽引することが可能となる。
【0007】
通過位置座標系は、停車位置座標系との拘束条件から求められてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
【0008】
拘束条件は、1台目の被牽引車の側面および1台目の被牽引車に牽引される2台目の被牽引車の側面が、貨物受け入れ面と略平行になる条件であってもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
【0009】
始点位置と通過位置とを結ぶ目標軌道の少なくとも一部が曲線であってもよい。通過位置と停車位置とを結ぶ目標軌道の全体が直線であってもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
【0010】
環境センサはレーザセンサであってもよい。計測データはレーザセンサで計測された点群データであってもよい。
【0011】
環境センサはカメラであってもよい。計測データは、搭降載器材に配置されている位置および姿勢を検出可能な視覚マーカをカメラで撮像した画像データであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】牽引車の構成を示すブロック図。
図2】軌道生成の具体例を示す図。
図3】目標軌道の生成方法を示すフローチャート。
図4】搭降載器材の位置および姿勢の計測の様子を示す上面図。
図5】搭降載器材の測定データ例。
図6】停車位置座標系CS3の取得方法の具体例を示す図。
図7】通過位置座標系CS2の取得方法の具体例を示す図。
図8】目標軌道の生成方法の具体例を示す図。
図9】目標軌道の生成方法の具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(牽引車10の構成)
以下、図面を参照して、本実施例の牽引車10について説明する。図1に示す牽引車10は、無人牽引車である。牽引車10は、車体20、演算装置30、環境センサ40を備えている。
【0014】
車体20は、操舵制御部21および駆動制御部22を備えている。操舵制御部21および駆動制御部22は、CPU等を備えたマイクロプロセッサによって構成されている。操舵制御部21は、不図示の操舵装置と通信可能に接続されており、牽引車10の進行方向を制御する。駆動制御部22は、不図示の駆動輪モータと通信可能に接続されており、牽引車10の走行速度を制御する。
【0015】
環境センサ40は、車体20に設置されている。本実施例では、環境センサ40は、2D-LiDARである。2D-LiDARは、水平方向にレーザ光を走査する測域センサである。環境センサ40は、車体20の前方に設定された設定空間内の物体と車体20との距離を計測する。これにより、牽引車10の前方の距離データを取得する。環境センサ40の高さは、搭降載器材15の側面が計測できる高さに設置する。環境センサ40で取得された距離データは、演算装置30の搭降載器材座標系算出部31に入力される。
【0016】
演算装置30は、CPU等を備えたマイクロプロセッサによって構成されている。演算装置30は、搭降載器材座標系算出部31、停車位置座標系算出部32、通過位置座標系算出部33、軌道生成部34、速度パターン生成部35、制御指令生成部36、を備える。搭降載器材座標系算出部31~制御指令生成部36の内容については後述する。
【0017】
(概略説明)
本明細書で説明する技術は、航空機1へコンテナ(貨物)を搭降載するためのガイドレス無人牽引車の軌道生成に関する技術である。具体例を図2に示す。牽引車10は、ドリー(被牽引車)11~14を牽引している。ドリー11~14の各々には、コンテナC1~C4が載置されている。航空機1の貨物室ドアの近傍には、搭降載器材(ハイリフトローダー)15が配置してある。搭降載器材15は、コンテナを航空機1に搭降載する器材である。
【0018】
牽引車10は、始点位置P1から停車位置P3まで移動する。始点位置座標系CS1は、始点位置P1における牽引車10の姿勢を表す。牽引車10の姿勢は、進行方向x1と、進行方向x1に垂直な垂直方向y1によって定められる。停車位置P3は、ドリー11が搭降載器材15のコンテナ受け入れ面15aに横付けされた状態になる位置である。具体的には、少なくともドリー11および12の側面11aおよび12aが、コンテナ受け入れ面15aと平行となる必要がある。このようにドリーを整列させた状態で停車位置P3に牽引車10を停車させるためには、特定の通過位置P2を通過することを前提として、始点位置P1から停車位置P3へ至る目標軌道TT(図2点線)を設定しなければならない。すなわち、始点位置P1から、通過位置P2を通過して停車位置P3へ至る目標軌道TTを設定しなければならない。しかし、航空機1は決まった位置および姿勢で停車するとは限らない。誤差が数十cm~1m程度発生する。すなわち、停車位置P3は、コンテナの搭降載を開始するまで正確な位置および姿勢が分からない。そのため、目標軌道TTは荷物の搭降載のたびに設定しなければならない。
【0019】
なお、図中の始点位置P1まで牽引車10を移動させる方法は、様々であってよい。例えば、手動走行、レールを使った無人走行、センサ情報と地図を組み合わせた自動走行、などでもよい。
【0020】
(目標軌道の生成方法)
図3のフローチャートを用いて、目標軌道TTの生成方法を説明する。図3のフローは、始点位置P1から停車位置P3まで牽引車10を移動させる指示が入力されたときに、開始される。
【0021】
ステップS1において、搭降載器材15の位置および姿勢を、環境センサ40(2D-LiDAR)を用いて計測する。図4に、計測の様子を示す上面図を示す。図5に、測定データ例を示す。図5は、搭降載器材15を側面から測定した結果である。分りやすさのため、図5には、搭降載器材15の側面15bを一点鎖線で記載している。図5に示すように、環境センサ40の計測データは、点群データである。
【0022】
ステップS2において、搭降載器材座標系算出部31は、環境センサ40(2D-LiDAR)の計測データに基づいて、搭降載器材座標系CS4を取得する。搭降載器材座標系CS4は、基準位置P4を基準とした、搭降載器材15の姿勢を表している。基準位置P4は任意の位置でよい。本実施例では、コンテナ受け入れ面15aの右隅部を基準位置P4としている。搭降載器材15の姿勢は、コンテナ受け入れ面15aに平行な方向x4と、方向x4に垂直な方向y4によって定められる。
【0023】
搭降載器材座標系CS4の取得方法の具体例を説明する。ステップS1で取得した測定データにおいて、一定距離内に存在する計測点群を同一物体としてクラスタリングする。図5の測定データ例では、領域R1内の点群がクラスタリングされる。クラスタリングされた点群を用いて、搭降載器材座標系CS4の原点である基準位置P4、および、搭降載器材座標系CS4の姿勢を示す方向x4および方向y4を設定する。基準位置P4は、クラスタリングされた点群の牽引車10側(図5の左側)の端点とすることができる。方向x4およびy4の設定方法を説明する。まず、クラスタリングされた点群にフィッティングする直線SLを求める。直線SLを求める方法の一例としては、RANSAC(Random Sample Consensus)法が挙げられる。そして、直線SLの法線方向を方向x4に設定し、直線SLの延びる方向を方向y4に設定する。直線SLの法線方向は、例えば図4に示すように、搭降載器材15の側面15bの計測点群G1にフィッティングする直線と、コンテナ受け入れ面15aの計測点群G2にフィッティングする直線とに基づいて求めることができる。
【0024】
ステップS3において、停車位置座標系算出部32は、牽引車10の停車位置P3および停車位置座標系CS3(図2参照)を、搭降載器材座標系CS4に基づいて取得する。停車位置座標系CS3は、停車位置P3における牽引車10の姿勢を表している。牽引車10の姿勢は、進行方向x3と、進行方向x3に垂直な垂直方向y3によって定められる。停車位置P3は、1台目のドリー11の側面11aの少なくとも一部がコンテナ受け入れ面15aと対向するように定められる。停車姿勢は、1台目のドリー11の側面11aが、搭降載器材座標系CS4の方向x4と略平行になる(すなわち、側面11aが搭降載器材のコンテナ受け入れ面15aと略平行になる)ように定められる。
【0025】
具体例を説明する。図6に示すように、搭降載器材座標系CS4からみた停車位置座標系CS3の原点(停車位置P3)のx方向位置P3xおよびy方向位置P3yは、下式(1)および(2)によって求めることができる。なお、停車位置座標系CS3の進行方向x3は、搭降載器材座標系CS4の方向x4と平行であるとする。
P3x=ltt+dtd+D+W ・・・(1)
P3y=wdh+D ・・・(2)
ここでlttは、停車位置P3から牽引車10の後端までの距離である。dtdは、牽引車10の後端からコンテナC1先端までの距離である。Dは、コンテナC1の先端から中心位置CP1までの距離である。Wは、コンテナC1が中心位置CP1を中心として90度回転した場合における、コンテナC1の中心線CL1から基準位置P4までの距離である。またwdhは、コンテナC1が中心位置CP1を中心として90度回転した場合における、コンテナC1の先端からコンテナ受け入れ面15aまでの距離である。
【0026】
ステップS4において、通過位置座標系算出部33は、通過位置P2および通過位置座標系CS2(図2参照)を、搭降載器材座標系CS4に基づいて取得する。通過位置座標系CS2は、通過位置P2における牽引車10の通過姿勢を表している。通過姿勢は、進行方向x2と、進行方向x1に垂直な垂直方向y2によって定められる。
【0027】
通過位置座標系CS2は、停車位置座標系CS3との間の拘束条件から求めることができる。本実施例における拘束条件は、1台目のドリー11の側面11aおよび2台目のドリー12の側面12aが、コンテナ受け入れ面15aと略平行になる条件である。図7の具体例を用いて説明する。図7は、ドリー11~14のうち前の2台が直線に並んでいる例である。通過位置P2と停車位置P3とを結ぶ直線LL1が、搭降載器材座標系CS4の方向x4と平行になるように設定する。通過位置P2と停車位置P3との間のx方向距離D23は、ドリー11および12が2台一列に並んだ時の長さDL以上になるように設定する。前2台のドリーがまっすぐに整列することにより、2台目のドリー12から1台目のドリー11へコンテナを移動させることが可能となる。
【0028】
ステップS5において、軌道生成部34は、目標軌道TTを生成する。図2に示すように、目標軌道TTは、始点位置P1を始点位置座標系CS1で示す姿勢で出発し、通過位置P2を通過位置座標系CS2で示す通過姿勢で通過して、停車位置P3へ停車位置座標系CS3で示す停車姿勢で停止可能な軌道である。始点位置P1と通過位置P2とを結ぶ目標軌道TTの少なくとも一部は、曲線である。通過位置P2と停車位置P3とを結ぶ目標軌道TTの全体は、直線である。これにより、上述した拘束条件を満たすことができる。
【0029】
ステップS6において、速度パターン生成部35は、目標軌道に基づいて速度パターンの設計を行う。ステップS7において、制御指令生成部36は、目標軌道と速度パターンに基づいて、停車位置P3まで牽引車10を移動するための制御指令値を算出する。生成された制御指令値は、操舵制御部21および駆動制御部22に入力され、牽引車10を停車位置P3に向かって移動させる。
【0030】
(目標軌道の生成方法)
ステップS5において、軌道生成部34が目標軌道を生成する方法は様々である。以下に一例を説明する。第1に、図8に示すように、始点位置P1、通過位置P2、停車位置P3の絶対座標系における位置を設定する。また始点位置座標系CS1の進行方向x1、通過位置座標系CS2の進行方向x2、停車位置座標系CS3の進行方向x3を設定する。なお、図8に示す始点位置P1、通過位置P2、停車位置P3の位置や方向は、一例であり、図2のものとは異なっている。
【0031】
第2に、操舵角および操舵角速度の、正負および零の切り替え計画を行う。具体的には、始点位置P1および通過位置P2の中点MPと始点位置P1とを結んだ底辺を備える二等辺三角形IT1を作成する。また、中点MPと通過位置P2を結んだ底辺を備える二等辺三角形IT2を作成する。このとき、二等辺三角形IT1の等辺ES1と二等辺三角形IT2の等辺ES2とが、互いに長さが等しく、かつ一直線となるようにする。
【0032】
第3に、曲線長と曲率の関係が線形に近い曲線軌道を生成する。具体例では下式のパラメトリック曲線を用いるが、これに限定されるものではない。パラメトリック曲線は、曲率傾きが0から始まって、漸増していく曲線であれば、いずれの曲線であってもよい。
【数1】
ここで、倍率mは相似変換のスケーリングの定数であり、tはパラメータである。
【0033】
第4に、二等辺三角形IT1およびIT2へ曲線軌道を当てはめる。具体的には、図9に示すように、上式で求めた2本の曲線軌道CT1およびCT2を線対称となるようにはめ込む。第5に、通過位置P2から停車位置P3までを結ぶ直線軌道STを生成する。これにより、目標軌道が完成する。
【0034】
(効果)
環境センサ40の計測データに基づいて、搭降載器材15の位置および姿勢を表す搭降載器材座標系CS4を取得することができる(ステップS2)。そして、始点位置P1から通過位置P2を通過して停車位置P3へ至る目標軌道TTを生成することができる。これにより、搭降載器材15の位置および姿勢が変化する場合においても、ドリーを搭降載器材15に横付けすることができ、コンテナを搭降載することが可能となる。
【0035】
以上、本明細書が開示する技術の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0036】
(変形例)
本実施例では、環境センサ40として2D-LiDARを用いたが、各種のセンサを用いてもよい。環境センサ40はカメラであってもよい。この場合、位置および姿勢を検出可能な視覚マーカ(例えばARマーカ)を、搭降載器材15に配置すればよい。カメラで視覚マーカを撮像することにより、視覚マーカの位置および姿勢を求め、搭降載器材座標系CS4を求めることができる。また例えば、環境センサ40は2D-LiDARや距離画像センサであってもよい。
【0037】
本実施例では、牽引車10が空港での貨物運搬システムで用いられる場合を説明したが、この形態に限られない。本明細書に記載の技術は、荷物を牽引し所定の場所へ貨物を搭降載するシステムであれば、何れのシステムにも適用できる。
【0038】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0039】
10:牽引車 15:搭降載器材 31:搭降載器材座標系算出部 32:停車位置座標系算出部 33:通過位置座標系算出部 34:軌道生成部 35:速度パターン生成部 36:制御指令生成部 40:環境センサ CS1:始点位置座標系 CS2:通過位置座標系 CS3:停車位置座標系 CS4:搭降載器材座標系 TT:目標軌道 P1:始点位置 P2:通過位置 P3:停車位置 P4:基準位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9