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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】ホイルカバー
(51)【国際特許分類】
   B60B 7/04 20060101AFI20220831BHJP
   B60B 7/06 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B60B7/04 C
B60B7/06 T
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019030205
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2020132033
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 堅二
(72)【発明者】
【氏名】堀越 廣一
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-294002(JP,A)
【文献】特開2001-063488(JP,A)
【文献】実開昭57-045402(JP,U)
【文献】実開昭51-020622(JP,U)
【文献】特開2016-097931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 7/04
B60B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ(15)を装着するリム(18)と車軸(13)に連結されるハブ(17)との間に、前記リム(18)と前記ハブ(17)とを連結する複数のスポーク(19)を放射状に配置してなるホイル(14)に用いられ、前記ホイル(14)を覆うホイル外側カバー(16a)及びホイル内側カバー(16b)を備えたホイルカバー(16)であって、
前記ホイル外側カバー(16a)は、
前記ホイル(14)を外側から覆い、
前記リム(18)の外側の内周面に当接する外周部(70)と、
前記ハブ(17)の外側の外周部(60)に当接する内周部(38)と、
前記スポーク(19)を収容すると共に前記スポーク(19)の外側の外周部に当接する凹状のスポーク収容部(41)と、
前記ホイル外側カバー(16a)の前記外周部(70)が前記リム(18)の外側の前記内周面に当接し、且つ、前記ホイル外側カバー(16a)の前記内周部(38)が前記ハブ(17)の外側の前記外周部(60)に当接し、且つ、前記スポーク収容部(41)が前記スポーク(19)を収容すると共に前記スポーク(19)の外側の前記外周部に当接した状態で、前記スポーク(19)より内側へ突出する平面であり前記ホイル内側カバー(16b)と合わさる合わせ面(40)と、
前記合わせ面(40)に連設された一方の螺子部材(43)と、を有し、
前記ホイル内側カバー(16b)は、
前記ホイル(14)を内側から覆う平板であり、前記ホイル外側カバー(16a)と別体とされ、
前記リム(18)の内側の内周面及び前記ハブ(17)の内側の外周部(50)に当接し、
前記一方の螺子部材(43)に他方の螺子部材(51)を締め付けることにより、前記ホイル内側カバー(16b)が前記合わせ面(40)に締結されることを特徴とするホイルカバー(16)。
【請求項2】
前記スポーク収容部(41)に周方向に連設され内側へ突出する中空の突出部(39)を備え、
前記中空の突出部(39)の突出面が前記合わせ面(40)であり、
前記一方の螺子部材(43)は、前記合わせ面(40)に連設されていることを特徴とする請求項1記載のホイルカバー(16)。
【請求項3】
前記一方の螺子部材(43)に他方の螺子部材(51)を締め付けた状態で、互いに当接する前記リム(18)の外側の前記内周面と前記ホイル外側カバー(16a)の前記外周部(70)、互いに当接する前記ハブ(17)の外側の前記外周部(60)と前記ホイル外側カバー(16a)の前記内周部(38)、互いに当接する、前記リム(18)の内側の前記内周面及び前記ハブ(17)の内側の前記外周部(50)と前記ホイル内側カバー(16b)には、それぞれ、当接している一方の部分が撓み、当接している他方の部分を押さえ付けるシメシロが設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のホイルカバー(16)。
【請求項4】
前記ホイル内側カバー(16b)は、前記リム(18)に取り付けられたエアーバルブ(30)に対向する位置に、切欠(45)を備えることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のホイルカバー(16)。
【請求項5】
前記ホイル外側カバー(16a)は、前記エアーバルブ(30)の位置に当該エアーバルブ(30)を収容する凹部(42)を備え、前記切欠(45)は、前記凹部(42)に対応する位置に設けられ、前記切欠(45)を着脱可能に塞ぐ切欠カバー(46)が設けられていることを特徴とする請求項4記載のホイルカバー(16)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイルカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤを装着するリムと、車軸に連結されるハブと、リムとハブとを連結し放射状に配置された複数のスポークと、を備えたホイルを覆うホイルカバーが知られている。
【0003】
以下の特許文献1に記載のホイルカバーは、1枚のホイルカバーでホイルの外側を覆うものであり、具体的には、ホイルカバーの内側に、略半円筒状の部分の両端に平板を連設した形状の取付部材(固定ブラケット)を配置し、当該略半円筒状の部分とホイルカバーの内側の凹面との間にスポークを挟んだ状態で、ホイルカバーの内側の面から突出し取付部材の両端の平板を貫通するボルト(螺子部材)に対し、ナット(螺子部材)を螺合し締め付けることにより、ホイルカバーをホイルに組み付けできるようになっている。
【0004】
また、以下の特許文献2に記載のホイルカバーは、2枚のホイルカバーを用い、ホイル外側カバーによりホイルの外側を覆い、ホイル内側カバーによりホイルの内側を覆うものであり、具体的には、ホイル外側カバーとホイル内側カバーとの間に間隔用管を介在させ、当該間隔用管に挿通されると共に、ホイル外側カバー及びホイル内側カバーを貫通する螺釘(螺子部材)に対してナットを螺合し締め付けることにより、ホイル外側カバー及びホイル内側カバーをホイルに組み付けできるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許3773984号公報
【文献】実公昭61-36401号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にあっては、ホイルカバーの内側の面に、取付部材の両端の平板を収容し取り付けるための凹状の取付面が必要であり、凹部に泥が付着するといった問題がある。また、特許文献2にあっては、ホイル外側カバー及びホイル内側カバーに、螺釘用の凹状の座面が必要であり、凹部に泥が付着するといった問題がある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、取付部材用の凹状の取付面や螺子部材用の凹状の座面がなく、凹部による泥の付着を防止できるホイルカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるホイルカバー(16)は、タイヤ(15)を装着するリム(18)と車軸(13)に連結されるハブ(17)との間に、リム(18)とハブ(17)とを連結する複数のスポーク(19)を放射状に配置してなるホイル(14)に用いられ、ホイル(14)を覆うホイル外側カバー(16a)及びホイル内側カバー(16b)を備えたホイルカバー(16)であって、ホイル外側カバー(16a)は、ホイル(14)を外側から覆い、リム(18)の外側の内周面に当接する外周部(70)と、ハブ(17)の外側の外周部(60)に当接する内周部(38)と、スポーク(19)を収容すると共にスポーク(19)の外側の外周部に当接する凹状のスポーク収容部(41)と、ホイル外側カバー(16a)の外周部(70)がリム(18)の外側の内周面に当接し、且つ、ホイル外側カバー(16a)の内周部(38)がハブ(17)の外側の外周部(60)に当接し、且つ、スポーク収容部(41)がスポーク(19)を収容すると共にスポーク(19)の外側の外周部に当接した状態で、スポーク(19)より内側へ突出する平面でありホイル内側カバー(16b)と合わさる合わせ面(40)と、合わせ面(40)に連設された一方の螺子部材(43)と、を有し、ホイル内側カバー(16b)は、ホイル(14)を内側から覆う平板であり、ホイル外側カバー(16a)と別体とされ、リム(18)の内側の内周面及びハブ(17)の内側の外周部(50)に当接し、一方の螺子部材(43)に他方の螺子部材(51)を締め付けることにより、ホイル内側カバー(16b)が合わせ面(40)に締結されることを特徴としている。
【0009】
このようなホイルカバー(16)によれば、ホイル外側カバー(16a)の外周部(70)がリム(18)の外側の内周面に当接しており、ホイル外側カバー(16a)の内周部(38)がハブ(17)の外側の外周部(60)に当接しており、ホイル外側カバー(16a)の凹状のスポーク収容部(41)がスポーク(19)を収容すると共にスポーク(19)の外側の外周部に当接しており、ホイル内側カバー(16b)がリム(18)の内側の内周面及びハブ(17)の内側の外周部(50)に当接しており、ホイル外側カバー(16a)のホイル内側カバー(16b)に対する合わせ面(40)に連設された一方の螺子部材(43)に他方の螺子部材(51)が締め付けられ、ホイル内側カバー(16b)がホイル外側カバー(16a)の合わせ面(40)に締結されるため、ホイル外側カバー(16a)及びホイル内側カバー(16b)をホイル(14)に組み付けることができる。特に、平板のホイル内側カバー(16b)は、ホイル外側カバー(16a)の平面である合わせ面(40)に螺子部材(43,51)により締結され、他方の螺子部材51の座面が平板の平坦面とされるため、ホイル内側カバー(16b)には、螺子部材用の凹状の座面や取付部材用の凹状の取付面がなく、凹部による泥の付着を防止できる。また、ホイル外側カバー(16a)では、一方の螺子部材(43)が、ホイル外側カバー(16a)の合わせ面(40)に連設される構成のため、螺子部材用の凹状の座面や取付部材用の凹状の取付面がなく、凹部による泥の付着を防止できる。さらに、ホイル外側カバー(16a)において、その外周部(70)がリム(18)の外側の内周面に当接すると共に、その内周部(38)がハブ(17)の外側の外周部(60)に当接するため、ホイル外側カバー(16a)から内部へ泥の侵入を抑制できる。また、ホイル内側カバー(16b)が、リム(18)の内側の内周面に当接すると共に、ハブ(17)の内側の外周部(50)に当接する場合には、ホイル内側カバー(16b)から内部へ泥の侵入を抑制できる。
【0010】
ここで、スポーク収容部(41)に周方向に連設され内側へ突出する中空の突出部(39)を備え、中空の突出部(39)の突出面が合わせ面(40)であり、一方の螺子部材(43)は、合わせ面(40)に連設されているのが好ましい。
【0011】
このような構成を採用した場合、ホイル外側カバー(16a)において、一方の螺子部材(43)が外側から覆われることになり、一方の螺子部材(43)の露出がなく泥の付着を一層防止できる。
【0012】
また、一方の螺子部材(43)に他方の螺子部材(51)を締め付けた状態で、互いに当接するリム(18)の外側の内周面とホイル外側カバー(16a)の外周部(70)、互いに当接するハブ(17)の外側の外周部(60)とホイル外側カバー(16a)の内周部(38)、互いに当接する、リム(18)の内側の内周面及びハブ(17)の内側の外周部(50)とホイル内側カバー(16b)には、それぞれ、当接している一方の部分が撓み、当接している他方の部分を押さえ付けるシメシロが設けられているのが好ましい。
【0013】
このような構成を採用した場合、ホイル外側カバー(16a)では、その外周部(70)とリム(18)の外側の内周面、及び、その内周部(38)とハブ(17)の外側の外周部(60)にシメシロがあるため、当接部同士が確実に密着し、ホイル外側カバー(16a)から内部へ泥の侵入をさらに抑制できる。また、ホイル内側カバー(16b)では、当該ホイル内側カバー(16b)と、リム(18)の内側の内周面及びハブ(17)の内側の外周部(50)とにシメシロがある場合には、当接部同士が確実に密着し、ホイル内側カバー(16b)から内部へ泥の侵入をさらに抑制できる。
【0014】
また、ホイル内側カバー(16b)は、リム(18)に取り付けられたエアーバルブ(30)に対向する位置に、切欠(45)を備えていると、切欠(45)を通してエアーバルブ(30)のメンテナンスを行うことができる。
【0015】
また、ホイル外側カバー(16a)は、エアーバルブ(30)の位置に当該エアーバルブ(30)を収容する凹部(42)を備え、切欠(45)は、凹部(42)に対応する位置に設けられ、切欠(45)を着脱可能に塞ぐ切欠カバー(46)が設けられていると、凹部(42)がエアーバルブ(30)のメンテナンス用のへこみとなり、切欠カバー(46)を取り外すことで、エアーバルブ(30)のメンテナンスを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
このように本発明によれば、螺子部材用の凹状の座面や取付部材用の凹状の取付面がなく、凹部による泥の付着を防止できるホイルカバーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るホイルカバーを適用したブームスプレーヤを上方斜め後方から見た斜視図である。
図2図1に示すブームスプレーヤの側面図であり、ホイルカバーを取り外した状態を示す図である。
図3】車輪及び車輪周りの動力伝達装置を示す正面図である。
図4図3の左側面図である。
図5図3の右側面図である。
図6図4の縦断面図であり、タイヤを取り外した図である。
図7図6の分解斜視図であり、ホイルにタイヤを装着した図である。
図8】ホイル外側カバーを外側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るホイルカバーの好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るホイルカバーを適用したブームスプレーヤを上方斜め後方から見た斜視図、図2は、ブームスプレーヤの側面図であり、ホイルカバーを取り外した状態を示す図である。本実施形態のブームスプレーヤは、例えば圃場において例えば作物に薬液散布を行う車両(作業機)である。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」は、ブームスプレーヤを基準とした方向とする。
【0019】
図1及び図2に示すように、ブームスプレーヤ100は自走式であり、機体フレーム1を有する車体2と、車体2の前部に取り付けられたセンターブーム3と、センターブーム3の両端に連結された一対のサイドブーム4と、を備えている。薬液散布を行う場合、サイドブーム4は、センターブーム3に対して一直線状となるように広げられる。サイドブーム4は、薬液散布を行わないときには折り畳まれた状態で格納される。
【0020】
車体2の前部には、作業者が着座する空間を形成し運転操作や薬液散布操作等を行うためのキャビン5が設けられている。車体2の後部には、エンジンを収容するエンジンルーム6が設けられ、キャビン5とエンジンルーム6との間には、センターブーム3及びサイドブーム4から散布される薬液を収容する薬液タンク7が設けられている。車体2は、一対の前輪8aと、一対の後輪8bと、を備えている。前輪8a、後輪8bはエンジンの駆動により回転する。本実施形態では4輪駆動のため、全輪が駆動回転する。なお、以降の説明では、前輪8a、後輪8bを総称して車輪8と呼ぶ。
【0021】
図3は、車輪及び車輪周りの動力伝達装置を示す正面図である。エンジンからの回転駆動力は、変速機やデフ等を介して、機体フレーム1側に連結された出力ケース9内に延出するデフ出力軸10に伝達される(図5も参照)。出力ケース9には、上下方向に傾斜して延びる第1のギヤケース11が連結され、第1のギヤケース11内にはキングピンが回転可能に支持されている。また、第1のギヤケース11には、上下方向に傾斜して延びる第2のギヤケース12(図2も参照)が外挿され、第1のギヤケース11に回転可能に支持されている。第2のギヤケース12には、車輪8の車軸13(図6参照)が回転可能に支持されている。従って、第1,第2のギヤケース11,12は、車体2、センターブーム3及びサイドブーム4からの荷重を受け持つ構成となっている。
【0022】
そして、デフ出力軸10に伝達されたエンジンからの回転駆動力は、第1のギヤケース11内のベベルギヤ機構を介してキングピンに伝達され、キングピンの回転駆動力は、第2のギヤケース12内のベベルギヤ機構を介して車軸13に伝達され、車軸13に固定された車輪8が回転するようになっている。なお、第2のギヤケース12は、キャビン5内の操向ハンドルの操作に応じ操舵機構を介して第1のギヤケース11回りに回転可能となっており、従って、車輪8は操向ハンドルの操作に応じ水平旋回し進行方向を変えられるようになっている。
【0023】
図4は、図3の左側面図、図5は、図3の右側面図、図6は、図4の縦断面図であり、タイヤを取り外した図、図7は、図6の分解斜視図であり、ホイルにタイヤを装着した図、図8は、ホイル外側カバーを外側から見た斜視図である。
【0024】
図4図7に示すように、車輪8は、ホイル14及びタイヤ15並びにホイルカバー16を備えている。ホイル14は、中央に配置され車軸13に連結されたハブ17と、略円筒状を成し外周にタイヤ15が装着されるリム18と、ハブ17からリム18に向かって放射状に設けられハブ17とリム18とを連結する複数のスポーク19(図7参照)と、を備えている。
【0025】
図6及び図7に示すように、ハブ17は、中央に貫通孔20を有する円板21の外周に、Rをつけて内側に突出する円環状のフランジ部22が設けられた形状を呈している。円板21の貫通孔20の周囲には、車軸13の先端のフランジ部23に固定するためのボルト挿通孔24が周方向に沿って複数設けられている。そして、図6に示すように、内側から車軸13のフランジ部23でハブ17の貫通孔20を塞いだ状態で、ボルト25を外側からボルト挿通孔24に通し、車軸13のフランジ部23に設けられた雌螺子に螺合し締め付けることにより、ハブ17が車軸13に締結されている。
【0026】
リム18は、平坦部26と、平坦部26の中央部から径方向にハブ17に向かってRをつけて凹んだ凹部27と、平坦部26の内外端部からRをつけて立設された側壁部28と、側壁部28の端部にRをつけて連設され、車軸13の軸線方向に沿って内側、外側へ延出するフランジ部29と、を備え、リム18の外周部にタイヤ15が装着される(図7参照)。図6及び図7に示すように、リム18の凹部27には、車軸13の軸線方向に向かうように突出するエアーバルブ30が取り付けられている。エアーバルブ30は、タイヤ15に空気を供給するためのものである。
【0027】
スポーク19は、円筒状に構成されて周方向に沿って6等配の位置に配設され、ハブ17のフランジ部22とリム18の凹部27とを連結している。
【0028】
ホイルカバー16は、ホイル14を覆うものであり、ホイル14を外側から覆うホイル外側カバー16aと、ホイル14を内側から覆うホイル内側カバー16bと、を備える。これらホイル外側カバー16a及びホイル内側カバー16bは、ホイル14を挟んだ状態で、ホイル外側カバー16a側の一方の螺子部材であるインサートナット43に、ホイル内側カバー16b側の他方の螺子部材であるボルト51を締め付けることにより、ホイル14に組み付けられている。
【0029】
ホイル外側カバー16aは、外側に位置する外側部31と、外側部31と一体に成形され内側に位置する内側部32と、を備え、リム18より外側に出ないように構成されている。
【0030】
図6及び図8に示すように、外側部31は、平面を傘状(凹状)に湾曲させた湾曲面を有する湾曲板形状を呈し、中央に貫通孔33を備える。図6及び図7に示すように、外側部31(ホイル外側カバー16a)の内周部38は、ハブ17の円板21の外周部(ハブ17の外側の外周部)60との当接部を構成する。
【0031】
内側部32は、外側部31の内外周部から内側に中空にして膨出する(突出する)形状を呈する。内側部32の外周部70は、リム18に倣った形状を備え、図6に示すように、外側部31の外周端に連設されリム18の外側のフランジ部29の内周面に当接する第1当接部34と、第1当接部34に連設され外側の側壁部28の内周面に当接する第2当接部35と、第2当接部35に連設され外側の平坦部26の内周面に当接する第3当接部36と、第3当接部36に連設され凹部27の外側の傾斜部49の内周面に当接すると共にそのままの傾斜で車軸13の軸線方向に向かうように延出する第4当接部37と、を備える。
【0032】
また、内側部32は、第4当接部37の端部と外側部31の内周部38とから内側に突出する突出部39を備える(図7参照)。図6及び図7に示すように、突出部39の突出面は、平面でありホイル内側カバー16bとの合わせ面40となっている。突出部39には、スポーク19を収容するための凹状で溝状を成すスポーク収容部41が周方向に沿って6個、内側から外側に向かって凹設されている。従って、突出部39は、周方向に沿って6個に分割されている。スポーク収容部41の形状は、スポーク19の外側の表面に合致した形状を有している。また、突出部39においてエアーバルブ30に対応する位置には、メンテナンス用の溝状の凹部42が内側から外側に向かって凹設されている。これにより、エアーバルブ30に対応する突出部39は、周方向に沿ってさらに2分割されている。
【0033】
また、内側部32において、平面である合わせ面40に連設され、合わせ面40の裏側へ突出するインサートナット43が周方向に沿って複数設けられている(図6参照)。このインサートナット43は、ホイル内側カバー16b及び後述の切欠カバー46を装着するためのものであり、金型の所定位置にインサートナット43を配置し、中空膨出で外側部31及び内側部32を成形することにより内側部32に植設される。なお、図6において、ホイル外側カバー16a及びホイル内側カバー16b並びに切欠カバー46は、分かりやすくするため、厚さが誇張されて描かれている。
【0034】
ホイル内側カバー16bは、平板状の円板の中央に貫通孔44を有するものであり、エアーバルブ30に対応する位置に、メンテナンス用の切欠45を備え、この切欠45によりホイル内側カバー16bはC字形状を呈している。ホイル内側カバー16bの外周部47と内周部48との間には、当該ホイル内側カバー16bをボルト51により固定するためのボルト挿通孔が周方向に沿って複数設けられている。ホイル内側カバー16bの外周部47は、リム18の凹部27の内側の傾斜部49に当接する当接部となっており、ホイル内側カバー16bの内周部48は、ハブ17のフランジ部22の内側の端面(外周部)50に当接する当接部となっている。また、ホイル内側カバー16bは、ホイル外側カバー16aの突出部39の合わせ面40に対面する部分が、合わせ面40に対する当接部となっている。
【0035】
ホイル内側カバー16bの切欠45は、略長方形状の平板である切欠カバー46により覆われる。図7に示すように、ホイル内側カバー16bの切欠45を形成する端縁の近傍には、切欠カバー46をボルト52によりホイル外側カバー16aに固定すると共にホイル内側カバー16bと共締めするためのボルト挿通孔53が端縁に沿って2個、切欠45の両側にそれぞれ設けられている。切欠カバー46においてホイル内側カバー16bのボルト挿通孔53に対応する位置には、ボルト52を挿通するためのボルト挿通孔54がそれぞれ設けられている。そして、切欠カバー46のボルト挿通孔54が形成されている側の両側端部55,55が、ホイル内側カバー16bを介して、凹部42を間に挟んだ突出部39,39に当接する当接部となっており、両側端部55,55の内周部が、ホイル内側カバー16bを介して、ハブ17のフランジ部22の内側の外周部50に当接する当接部となっていると共に、両側端部55,55の外周部が、ホイル内側カバー16bを介して、リム18の凹部27の内側の傾斜部49に当接する当接部となっている。
【0036】
次に、図6及び図7を参照しながら、ホイルカバー16をホイル14に組み付ける手順を説明する。先ず、ホイル外側カバー16aのスポーク収容部41が、ホイル14のスポーク19に合うように、ホイル14及びホイル外側カバー16aを配置し、ホイル外側カバー16aを外側からホイル14に押し付ける。
【0037】
すると、ホイル外側カバー16aの内側部32の外周部70とリム18の外側の内周面とが当接する。具体的には、ホイル外側カバー16aの第1当接部34とリム18の外側のフランジ部29の内周面とが当接し、ホイル外側カバー16aの第2当接部35とリム18の外側の側壁部28の内周面とが当接し、ホイル外側カバー16aの第3当接部36とリム18の外側の平坦部26の内周面とが当接し、ホイル外側カバー16aの第4当接部37とリム18の凹部27の外側の傾斜部49の内周面とが当接する。また、ホイル外側カバー16aの外側部31の内周部38とハブ17の円板21の外周部60とが当接する。
【0038】
この状態で、スポーク19がホイル外側カバー16aのスポーク収容部41に進入し、スポーク19の外側の外周部とスポーク収容部41とが当接した状態となる。このとき、ホイル外側カバー16aの内側部32の突出部39の合わせ面40は、スポーク19より内側に位置している(図6参照)。
【0039】
次いで、ホイル内側カバー16bを内側からホイル14及びホイル外側カバー16aに押し付ける。これにより、ホイル内側カバー16bにおいてホイル外側カバー16aの突出部39の合わせ面40に対する対向面とホイル外側カバー16aの合わせ面40とが当接する。また、ホイル内側カバー16bの外周部47とリム18の内側の内周面とが当接する。具体的には、ホイル内側カバー16bの外周部47とリム18の凹部27の内側の傾斜部49の内周面とが当接する。また、ホイル内側カバー16bの内周部48とハブ17の内側の外周部、具体的には、ハブ17のフランジ部22の内側の外周部50とが当接した状態となる。
【0040】
この状態で、複数のボルト51を、ホイル内側カバー16bの複数のボルト挿通孔にそれぞれ通し、ホイル外側カバー16aのインサートナット43に締め付けることにより、ホイル内側カバー16bがホイル外側カバー16aの平面である合わせ面40に締結され、ホイル外側カバー16a及びホイル内側カバー16bをホイル14に組みつけることができる。
【0041】
そして、切欠カバー46でホイル内側カバー16bの切欠45を覆い、複数のボルト52を、切欠カバー46の複数のボルト挿通孔54にそれぞれ通し、さらに、ホイル内側カバー16bのボルト挿通孔53にそれぞれ通し、ホイル外側カバー16aのインサートナット43に締め付けることにより、切欠カバー46及びホイル内側カバー16bの切欠側の端部が共締めされて、切欠カバー46及びホイル内側カバー16bの切欠側の端部が、ホイル外側カバー16aの合わせ面40に締結され、切欠カバー46をホイル内側カバー16bを介してホイル外側カバー16aに組みつけることができる。
【0042】
このように、本実施形態によれば、ホイル外側カバー16aの外周部70がリム18の外側の内周面に当接しており、ホイル外側カバー16aの内周部38がハブ17の外側の外周部60に当接しており、ホイル外側カバー16aの凹状のスポーク収容部41がスポーク19を収容すると共にスポーク19の外側の外周部に当接しており、ホイル内側カバー19bの外周部47がリム18の内側の内周面に当接しており、ホイル内側カバー19bの内周部48がハブ17の内側の外周部50に当接しており、ホイル外側カバー19aの平面である合わせ面40に連設されたインサートナット43にボルト51が締め付けられホイル内側カバー16bがホイル外側カバー19aの合わせ面40に締結されるため、ホイル外側カバー16a及びホイル内側カバー16bをホイル14に組み付けることができる。特に、平板のホイル内側カバー16bは、ホイル外側カバー16aの平面である合わせ面40に、インサートナット43及びボルト51により締結され、ボルト51の座面が平板の平坦面とされるため、ホイル内側カバー16bには、凹状の座面や取付部材用の凹状の取付面がなく、凹部による泥の付着を防止できる。また、ホイル外側カバー16aでは、インサートナット43が外側部31に外側から覆われることになり、インサートナット43の露出がなく泥の付着を防止できる。このように、泥の付着を防止できるため、従来のように付着していた泥が作物に落下し害を与えるということを、防止できる。さらにまた、ホイル外側カバー16aにおいて、その外周部70がリム18の外側の内周面に当接すると共に、その内周部38がハブ17の外側の外周部60に当接するため、ホイル外側カバー16aから内部へ泥の侵入を抑制できる。また、ホイル内側カバー16bにおいて、その外周部47がリム18の内側の内周面に当接すると共に、その内周部48がハブ17の内側の外周部50に当接するため、ホイル内側カバー16bから内部へ泥の侵入を抑制できる。
【0043】
ここで、本実施形態においては、インサートナット43にボルト51を締め付けた状態で、互いに当接するリム18の外側の内周面とホイル外側カバー16aの外周部70(特に側壁部28)、互いに当接するハブ17の外側の外周部60とホイル外側カバー16aの内周部38、互いに当接するリム18の内側の内周面とホイル内側カバー16bの外周部47、互いに当接するハブ17の内側の外周部50とホイル内側カバー16bの内周部48には、それぞれ、当接している一方の部分が撓み、当接している他方の部分を押さえ付けるシメシロが設けられている。このシメシロにより、ホイル外側カバー16aの外周部70が撓み、リム18の外側の内周面を押さえ付け、また、ホイル外側カバー16aの内周部38が撓み、ハブ17の外側の外周部60を押さえ付け、また、ホイル内側カバー16bの外周部47が撓み、リムの内側の内周面を押さえ付け、また、ホイル内側カバー16bの内周部48が撓み、ハブ17の内側の外周部50を押さえ付けるようになっている。従って、当接部同士が確実に密着し、ホイル外側カバー16aから内部へ泥の侵入、ホイル内側カバー16bから内部へ泥の侵入をさらに抑制できる。
【0044】
また、本実施形態においては、ホイル内側カバー16bは、リム18に取り付けられたエアーバルブ30に対向する位置に、切欠45を備えているため、切欠45を通してエアーバルブ30のメンテナンスを行うことができる。
【0045】
また、本実施形態においては、ホイル外側カバー16aは、エアーバルブ30の位置に当該エアーバルブ30を収容する凹部42を備え、切欠45は、凹部42に対応する位置に設けられ、切欠45を着脱可能に塞ぐ切欠カバー46が設けられているため、凹部42がエアーバルブ30のメンテナンス用のへこみとなり、切欠カバー46を取り外すことで、エアーバルブ30のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0046】
さらに、本実施形態によれば、以下の作用・効果も奏する。すなわち、図7に示すように、ホイル内側カバー16bを間に介して、切欠カバー46のボルト挿通孔54が形成されている側の両側端部55,55と、ホイル外側カバー16aの突出部39との間、両側端部55,55の内周部とハブ17のフランジ部22の内側の外周部50との間、両側端部55,55の外周部とリム18の凹部27の内側の傾斜部49との間には、シメシロがあるため、シメシロのある当接部同士が確実に密着し、切欠カバー46から内部へ泥の侵入を抑制できる。
【0047】
また、上記実施形態においては、螺子部材としてインサートナット43を用いているため、従来のような取付部材が不要であり、部品点数を削減できる。
【0048】
また、ホイルカバー16をリム18の内側に収めているため、例えば分草桿等の部品を、ホイルカバー16の外側に配置しやすくなっている。
【0049】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好ましいとして、ホイル外側カバー16aが、外側部31及び内側部32を備え、外側部31と内側部32との間を中空としているが、中実であっても良い。また、外側部31の内周部38以外の部分をなくし(内周部38を残し)、内周部38を内側部32に連設させた構成としても良い。この場合には、インサートナット43が外側(外部)に露出するが、インサートナット43は合わせ面40に連設されているため、凹状の座面や取付部材用の凹状の取付面がなく、凹部による泥の付着を防止できる。
【0050】
また、上記実施形態においては、特にメンテナンスを便利に行えるとして、ホイル内側カバー16bに切欠45を設け、切欠45を覆う切欠カバー46を設けているが、切欠45のないホイル内側カバーを用いることも可能である。
【0051】
また、上記実施形態においては、一方の螺子部材をインサートナット43とし、他方の螺子部材をボルト51,52としているが、一方の螺子部材をインサートボルトとして雄螺子部を内側(ホイル内側カバー16b側)へ突出させ、他方の螺子部材をナットとしても良い。このように構成しても、インサートナット43の場合と同様に、ホイル外側カバー16a、ホイル内側カバー16bの何れにも、凹状の座面や取付部材用の凹状の取付面がなく、凹部による泥の付着を防止できる。
【0052】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、ホイル内側カバー16bが、リム18の内側の内周面及びハブ17の内側の外周部50の両方に当接するようにしているが、リム18の内側の内周面又はハブ17の内側の外周部50の何れか一方に当接する構成としても、ホイル外側カバー16aとホイル内側カバー16bをホイル14に組み付けることができる。
【0053】
また、上記実施形態においては、4輪駆動に対する適用を述べているが、前輪駆動や後輪駆動に対しても適用できる。
【0054】
また、上記実施形態においては、ブームスプレーヤ100のホイルカバー16に対する適用を述べているが、例えば、乗用管理機や乗用田植機等の作業機のホイルカバーに対しても適用可能であり、さらには、車両のホイルカバー全てに適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
13…車軸、14…ホイル、15…タイヤ、16…ホイルカバー、16a…ホイル外側カバー、16b…ホイル内側カバー、17…ハブ、18…リム、19…スポーク、30…エアーバルブ、38…ホイル外側カバーの内周部、39…突出部、40…合わせ面、41…スポーク収容部、42…凹部、43…インサートナット(一方の螺子部材)、45…切欠、46…切欠カバー、50…ハブの内側の外周部、51,52…ボルト(他方の螺子部材)、60…ハブの外側の外周部、70…ホイル外側カバーの外周部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8