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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 25/20 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
B62K25/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019120404
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021004023
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2020-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509343149
【氏名又は名称】オーリンス・レイシング・エービー
【氏名又は名称原語表記】OEHLINS RACING AB
【住所又は居所原語表記】Box 722, 194 27 Upplands Vaesby, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼原 直樹
(72)【発明者】
【氏名】石坂 勇太
(72)【発明者】
【氏名】ビィルンド, ビィヨン
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-100411(JP,A)
【文献】特開2003-232396(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0017559(US,A1)
【文献】特開2009-132222(JP,A)
【文献】特開2014-069640(JP,A)
【文献】特開2016-113090(JP,A)
【文献】特開2017-166572(JP,A)
【文献】特開2020-055362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 25/10,25/20,25/26
F16F 9/00- 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪(3)を支持するスイングアーム(13)と、前記スイングアーム(13)を揺動自在に車体に支持するピボット軸(22)と、前記車体と前記スイングアーム(13)との間に掛け渡されるサスペンション(24)とを備え、前記スイングアーム(13)は、左右一対のアーム部(13L、13R)と、左右の前記アーム部(13L、13R)を左右に接続するクロス部(13a)とを備えるとともに、前記アーム部(13L、13R)の前端が前記ピボット軸(22)に支持され、前記ピボット軸(22)と前記クロス部(13a)との間に、前記サスペンション(24)が上下に通る空間(13s)が設けられ、前記サスペンション(24)は、車両側面視で前記スイングアーム(13)と重なる部位を備え、前記サスペンション(24)の上部(24a)に電子制御される制御バルブ部(24s)を備える鞍乗り型車両において、
前記制御バルブ部(24s)は、前記サスペンション(24)の前記上部(24a)の車幅方向の一側側に配置され、前記上部(24a)の側面から車幅方向外側に延出し、
前記サスペンション(24)は加圧式サスペンションであり、前記サスペンション(24)の前記上部(24a)に加圧タンク(24d)を備え、
前記加圧タンク(24)は、前記サスペンション(24)の伸縮方向と略直交する方向に延出して設けられ
前記制御バルブ部(24s)は、略円柱形状の制御バルブ(24b、24c)を備え、前記制御バルブ(24b、24c)の中心は前記サスペンション(24)の中心線(L4)よりも前方に位置し、
前記制御バルブ(24b、24c)は車両側面視で2つが前後に並んで配置され、
前側の前記制御バルブ(24c)は、後側の前記制御バルブ(24b)よりも下方に位置する
ことを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
車輪(3)を支持するスイングアーム(13)と、前記スイングアーム(13)を揺動自在に車体に支持するピボット軸(22)と、前記車体と前記スイングアーム(13)との間に掛け渡されるサスペンション(24)とを備え、前記スイングアーム(13)は、左右一対のアーム部(13L、13R)と、左右の前記アーム部(13L、13R)を左右に接続するクロス部(13a)とを備えるとともに、前記アーム部(13L、13R)の前端が前記ピボット軸(22)に支持され、前記ピボット軸(22)と前記クロス部(13a)との間に、前記サスペンション(24)が上下に通る空間(13s)が設けられ、前記サスペンション(24)は、車両側面視で前記スイングアーム(13)と重なる部位を備え、前記サスペンション(24)の上部(24a)に電子制御される制御バルブ部(24s)を備える鞍乗り型車両において、
前記制御バルブ部(24s)は、前記サスペンション(24)の前記上部(24a)の車幅方向の一側側に配置され、前記上部(24a)の側面から車幅方向外側に延出し、
前記サスペンション(24)は加圧式サスペンションであり、前記サスペンション(24)の前記上部(24a)に加圧タンク(24d)を備え、
前記加圧タンク(24)は、前記サスペンション(24)の伸縮方向と略直交する方向に延出して設けられ、
該加圧タンク(24d)は略円柱形状をなし、前記サスペンション(24)の前記上部(24a)の後側に配設され、
前記加圧タンク(24d)の中心線(L2)が、車両側面視で後上方を指向するように設けられる
ことを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項3】
車輪(3)を支持するスイングアーム(13)と、前記スイングアーム(13)を揺動自在に車体に支持するピボット軸(22)と、前記車体と前記スイングアーム(13)との間に掛け渡されるサスペンション(24)とを備え、前記スイングアーム(13)は、左右一対のアーム部(13L、13R)と、左右の前記アーム部(13L、13R)を左右に接続するクロス部(13a)とを備えるとともに、前記アーム部(13L、13R)の前端が前記ピボット軸(22)に支持され、前記ピボット軸(22)と前記クロス部(13a)との間に、前記サスペンション(24)が上下に通る空間(13s)が設けられ、前記サスペンション(24)は、車両側面視で前記スイングアーム(13)と重なる部位を備え、前記サスペンション(24)の上部(24a)に電子制御される制御バルブ部(24s)を備える鞍乗り型車両において、
前記制御バルブ部(24s)は、前記サスペンション(24)の前記上部(24a)の車幅方向の一側側に配置され、前記上部(24a)の側面から車幅方向外側に延出し、
前記サスペンション(24)は加圧式サスペンションであり、前記サスペンション(24)の前記上部(24a)に加圧タンク(24d)を備え、
前記加圧タンク(24)は、前記サスペンション(24)の伸縮方向と略直交する方向に延出して設けられ、
前記制御バルブ部(24s)は、略円柱形状の制御バルブ(24b、24c)を備え、前記制御バルブ(24b、24c)の中心は前記サスペンション(24)の中心線(L4)よりも前方に位置し、
車両側面視で、前記加圧タンク(24d)の上辺の延長線(L5)と下辺の延長線(L6)との間に2つの前記制御バルブ(24b、24c)を配置する
ことを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項4】
車両側面視で、前記ピボット軸(22)と前記クロス部(13a)との間の前記スイングアーム(13)の上辺の傾き(L1)と、前記加圧タンク(24d)の前記中心線(L2)の傾きと、2つの前記制御バルブ(24b、24c)の中心を通る直線(L3)の傾きと、は略平行であることを特徴とする請求項2または3に記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗り型車両において、車体とスイングアームの間にサスペンションユニットを設けたものが知られている。サスペンションユニットはスプリングとダンパーが一体に設けられたクッションユニットを備え、クッションユニットは車体とスイングアームの間に設けられ、スイングアームの左右一対のアームと車両側面視で重なるように配設される。スイングアームは車体に対して上下に揺動するため、スイングアームにはクッションユニットとの干渉を避けて動きを許容する空間が確保されている。
また、サスペンションの特性を電子的に制御する電子制御サスペンションユニットには、クッションユニットの上部に機能部であるリザーブタンクおよび電子制御バルブが設けられている。このため、電子制御サスペンションユニットを用いるスイングアームでは、クッションユニットの動きを許容するスペースに加え、機能部の動きを許容するスペースを確保している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-132222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スイングアームは、車輪を支持する部材であり、剛性を確保する必要がある。しかし、上記のようにサスペンションユニットのための空間を設けながらスイングアームの剛性を確保する場合には、電子制御バルブのための空間がスイングアームの内側に設けられるため、スイングアームが幅方向外側や後側に大型化する。また、スイングアームの外形の変更を抑える場合には、スイングアームの内部に補強を設ける必要があり、スイングアームの内部構造が複雑になる。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、電子制御サスペンションを備える鞍乗り型車両において、リアサスペンションに設けられる電子制御バルブがスイングアーム形状や重量に影響を与え難くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
鞍乗り型車両は、車輪(3)を支持するスイングアーム(13)と、前記スイングアーム(13)を揺動自在に車体に支持するピボット軸(22)と、前記車体と前記スイングアーム(13)との間に掛け渡されるサスペンション(24)とを備え、前記スイングアーム(13)は、左右一対のアーム部(13L、13R)と、左右の前記アーム部(13L、13R)を左右に接続するクロス部(13a)とを備えるとともに、前記アーム部(13L、13R)の前端が前記ピボット軸(22)に支持され、前記ピボット軸(22)と前記クロス部(13a)との間に、前記サスペンション(24)が上下に通る空間(13s)が設けられ、前記サスペンション(24)は、車両側面視で前記スイングアーム(13)と重なる部位を備え、前記サスペンション(24)の上部(24a)に電子制御される制御バルブ部(24s)を備える鞍乗り型車両において、前記制御バルブ部(24s)は、前記サスペンション(24)の前記上部(24a)の車幅方向の一側側に配置され、前記上部(24a)の側面から車幅方向外側に延出することを特徴とする。
【0007】
上記構成において、前記制御バルブ部(24s)は、略円柱形状の制御バルブ(24b、24c)を備え、前記制御バルブ(24b、24c)の中心は前記サスペンション(24)の中心線(L4)よりも前方に位置しても良い。
【0008】
また、上記構成において、前記制御バルブ(24b、24c)は、車両側面視で2つが前後に並んで配置され、前側の前記制御バルブ(24c)は、後側の前記制御バルブ(24b)よりも下方に位置しても良い。
【0009】
また、上記構成において、前記サスペンション(24)は、加圧タンク(24d)を備え、該加圧タンク(24d)は略円柱形状をなし、前記サスペンション(24)の前記上部(24a)の後側に配設され、前記加圧タンク(24d)の中心線(L2)が、車両側面視で後上方を指向するように、設けられても良い。
【0010】
また、上記構成において、車両側面視で、前記加圧タンク(24d)の上辺の延長線(L5)と下辺の延長線(L6)との間に2つの前記制御バルブ(24b、24c)を配置しても良い。
【0011】
また、上記構成において、車両側面視で、前記ピボット軸(22)と前記クロス部(13a)との間の前記スイングアーム(13)の上辺の傾き(L1)と、前記加圧タンク(24d)の前記中心線(L2)の傾きと、2つの前記制御バルブ(24b、24c)の中心を通る直線(L3)の傾きと、は略平行としても良い。
【発明の効果】
【0012】
鞍乗り型車両は、車輪を支持するスイングアームと、前記スイングアームを揺動自在に車体に支持するピボット軸と、前記車体と前記スイングアームとの間に掛け渡されるサスペンションとを備え、前記スイングアームは、左右一対のアーム部と、左右の前記アーム部を左右に接続するクロス部とを備えるとともに、前記アーム部の前端が前記ピボット軸に支持され、前記ピボット軸と前記クロス部との間に、前記サスペンションが上下に通る空間が設けられ、前記サスペンションは、車両側面視で前記スイングアームと重なる部位を備え、前記サスペンションの上部に電子制御される制御バルブ部を備える鞍乗り型車両において、前記制御バルブ部は、前記サスペンションの前記上部の車幅方向の一側側に配置され、前記上部の側面から車幅方向外側に延出する。
この構成によれば、サスペンションの制御バルブ部とスイングアームの間に隙間を設け、制御バルブ部をスイングアームの揺動を許容する位置に配置でき、制御バルブ部によるスイングアームの揺動量への影響を少なくできる。また、スイングアームにおいてサスペンションが通る空間の大きさに、制御バルブ部が与える影響を少なくできる。さらに、制御バルブ部を配置することによるスイングアームの大型化を回避しやすくなる。
【0013】
上記構成において、前記制御バルブ部は、略円柱形状の制御バルブを備え、制御バルブの中心は前記サスペンションの中心線よりも前方に位置しても良い。
この構成によれば、制御バルブ部は、サスペンションの前方寄りに配置され、サスペンションの後方にスペースを確保しやすくなる。また、スイングアームは後側の移動量が多いため、サスペンションの前方寄りに配置される制御バルブ部とスイングアームの上面との隙間を確保しやすくなる。
【0014】
また、上記構成において、前記制御バルブは車両側面視で前後に並んで配置され、前側の前記制御バルブは、後側の前記制御バルブよりも下方に位置しても良い。
この構成によれば、スイングアームの揺動方向に対して影響が少なくなる位置に、制御バルブを配置できる。
【0015】
また、上記構成において、前記サスペンションは加圧タンクを備え、該加圧タンクは略円柱形状をなし、前記サスペンションの前記上部の後側に配設され、前記加圧タンクの中心線が、車両側面視で後上方を指向するように、設けられても良い。
この構成によれば、スイングアームの動きに影響を与えにくい位置に、サスペンションの加圧タンクを配置できる。
【0016】
また、上記構成において、車両側面視で、前記加圧タンクの上辺の延長線と下辺の延長線との間に、2つの前記制御バルブを配置しても良い。
この構成によれば、サスペンションから突出する制御バルブ部および加圧タンクを一定の幅内に収めて配置することで、制御バルブ部および加圧タンクを含めてサスペンションをコンパクトな形状にしやすくなり、サスペンションと車体との間でスペースを確保しやすくなる。
【0017】
また、上記構成において、車両側面視で前記ピボット軸と前記クロス部との間の前記スイングアームの上辺の傾きと、前記加圧タンクの前記中心線の傾きと、2つの前記制御バルブの中心を通る直線の傾きと、は、略平行としても良い。
この構成によれば、サスペンションをスイングアームの揺動を許容する位置に配置でき、スイングアームと加圧タンクとの間、およびスイングアームと2つの制御バルブとの間に隙間を確保しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】自動二輪車の左側面図である。
図2】車体フレーム、スイングアーム、および後輪の左側面図である。
図3】スイングアーム、リアサスペンションおよび後輪の平面図である。
図4】リアサスペンションおよびスイングアームの一部破断右側面図である。
図5】リアサスペンションの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して鞍乗り型車両について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号RHは車体右方を示している。
【0020】
図1は、自動二輪車1の左側面図である。
自動二輪車1は、車体フレーム10にパワーユニットとしてのエンジン11が支持され、前輪2を支持するフロントフォーク12が車体フレーム10の前端に操舵可能に支持される。そして、後輪3を支持するスイングアーム13が車体フレーム10の後部に設けられる車両である。
自動二輪車1は、乗員がシート14に跨るようにして着座する鞍乗り型車両であり、シート14は、車体フレーム10の後部の上方に設けられる。
【0021】
図2は、車体フレーム10、スイングアーム13、および後輪3の左側面図である。
図1および図2を参照し、車体フレーム10を説明する。車体フレーム10は、車体フレーム10の前端に設けられるヘッドパイプ15と、ヘッドパイプ15から後下方に延びる左右一対のメインフレーム16とを備える。さらに、車体フレーム10は、メインフレーム16の後端から下方に延出する左右一対のピボットフレーム17と、ピボットフレーム17の上部から後上方に延出する左右一対のシートフレーム18とを備える。
メインフレーム16は、メインフレーム16の前部から下方に延出してエンジン11を支持するエンジンハンガー部16aを備える。
【0022】
フロントフォーク12は、ヘッドパイプ15によって左右に操舵自在に軸支される。フロントフォーク12の上端部には、操舵ハンドル21が設けられる。前輪2は、フロントフォーク12の下端部に設けられる車軸2aに軸支される。
スイングアーム13は、左右のピボットフレーム17に支持されるピボット軸22に軸支される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる。スイングアーム13は、前端部をピボット軸22に軸支され、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪3は、スイングアーム13の後端部に設けられる車軸3aに軸支される。
【0023】
車体とスイングアーム13との間には、リアサスペンション24が掛け渡される。リアサスペンション24の取り付け方式には、リンクがリアサスペンション24の下部に接続されるリンク方式が用いられている。これにより、車体に対するリアサスペンション24の姿勢の変動が少なくなる。
リアサスペンション24の上端は車体に連結される。リアサスペンション24の上端部24aは、クランクケース28の上後端部から後方に延出するクッション支持部70を介し、車体としてのエンジン11に連結される。なお、本実施の形態では、リアサスペンション24の上端は車体としてのエンジン11に接続されるが、これに限らず、例えば、リアサスペンション24の上端は車体としての車体フレームに接続されても良い。
リアサスペンション24の下端は、リンク部材26およびリンクロッド25を介し、スイングアーム13、および、ピボットフレーム17の下端部に連結される。
【0024】
エンジン11は、メインフレーム16の下方でピボットフレーム17の前方に配置され、車体フレーム10に固定される。
エンジン11は、車幅方向(左右方向)に水平に延びるクランク軸27を支持するクランクケース28と、クランクケース28の前部から前上方に延びるシリンダー部29とを備える。シリンダー部29には、シリンダー部29内を往復運動するピストン(不図示)が収容される。シリンダー部29のシリンダー軸線29aは鉛直に対し前傾する。
【0025】
クランクケース28の後部は、変速機(不図示)を収納する変速機ケース部である。エンジン11の出力は、上記変速機の出力軸と後輪3とを接続する駆動チェーン30を介し、後輪3に伝達される。
エアクリーナーボックス31は、シリンダー部29の後上方に配置される。エアクリーナーボックス31は、スロットルボディー(不図示)を介し、シリンダー部29の後面の吸気ポートに接続される。
エンジン11の排気管32は、シリンダー部29の前面の排気ポートから下方に引き出され、エンジン11の下方を通って後方に延びる。排気管32の後端は、後輪3の側方に配置されるマフラー33に接続される。
燃料タンク35は、メインフレーム16の上方で、シート14とエアクリーナーボックス31との間に配置される。
エンジン11のラジエーター36は、エンジン11の前方に配置される。
【0026】
自動二輪車1は、車体フレーム10およびエンジン11等の車体を覆う車体カバーとして、フロントフォーク12の上部およびヘッドパイプ15を前方から覆うフロントカウル40と、車体の前部を側方から覆うフロントサイドカバー41とを備える。さらに、車体カバーとして、エンジン11を下方から覆うアンダーカバー42と、エアクリーナーボックス31および燃料タンク35の一部を覆うタンクカバー43と、車体の後部を覆うリアカバー44とを備える。
【0027】
前輪2を上方から覆うフロントフェンダー45は、フロントフォーク12に取り付けられる。
後輪3の前部を上方から覆うインナーフェンダー46は、スイングアーム13に取り付けられる。
後輪3の後部を上方から覆うリアフェンダー47は、シートフレーム18の後端部から後下方に延びる。
シート14の乗員が足を置くステップ48は、ピボットフレーム17に支持され、ピボットフレーム17の後方に配置される。
【0028】
次に、図3から図5を用いて、スイングアーム13、リアサスペンション24、および後輪3について説明する。
図3はスイングアーム13、リアサスペンション24、および後輪3を示す平面図であり、図4はリアサスペンション24とスイングアーム13を示す一部破断右側面図であり、図5はリアサスペンション24の正面図である。
スイングアーム13は、スイングアーム13の前端部であるピボット部13bと、それぞれピボット部13bの左右後部に接続して車体後方に延出される左アーム部13Lおよび右アーム部13Rを有する。そして、左アーム部13Lと、右アーム部13Rはピボット部13bの後方でクロス部13aにより接続される。ピボット部13bは、車体左右方向に延びており、ピボット部13b内にベアリングを嵌めたピボット軸22が挿入される。これにより、スイングアーム13が車体フレーム10に上下方向に回動自在に支持される。
【0029】
左アーム部13Lおよび右アーム部13Rは、車体前後方向に延びており、左アーム部13Lおよび右アーム部13Rの前端部同士がピボット部13bにより接続される。そして、ピボット部13bの後方において、左アーム部13Lと右アーム部13Rの中途部同士がクロス部13aにより接続されている。これにより、左アーム部13Lの前部と右アーム部13Rの前部との間であって、ピボット部13bとクロス部13aとの間に、リアサスペンション24が配置される空間13sが形成される。
【0030】
左アーム部13Lおよび右アーム部13Rは、車両側面視で、上面が上に凸の円弧状であり、底面が略水平の形状となっている。クロス部13aは、左アーム部13Lおよび右アーム部13Rの車体上下方向の幅が大きい部分で、左アーム部13Lおよび右アーム部13Rに接続される。クロス部13aは、車両側面視で、その断面形状が略四角形状に構成されており、クロス部13aの車体左右方向における端部がそれぞれ、左アーム部13Lおよび右アーム部13Rに接続される。
【0031】
クロス部13aの後方には、駆動輪である後輪3が配置される。左アーム部13Lと右アーム部13Rの車体左右方向の間隔は、クロス部13aの前方よりも、クロス部13aの後方において大きくなっている。そして、後輪3は、左アーム部13Lと右アーム部13Rの後端部に、車軸3aを介して、取付けられる。また、クロス部13aの後面部は後輪3のタイヤの外形に沿った形状となっている。
【0032】
なお、スイングアーム13の上面には、クロス部13aおよびクロス部13aに接続する左アーム部13Lと右アーム部13Rの部位より後方で、後輪3の前部を覆うインナーフェンダー46が取り付けられている。
【0033】
クロス部13aの上面前部には、下方に凹んだ凹部13cが設けられ、凹部13cは車両平面視で後述するリアサスペンション24の加圧タンク24dの位置に合わせて設けられる。凹部13cの前側には、凹部13cよりも一段、下方に凹んだ凹部13dが設けられている。、凹部13dの前端には、車両側面視において前傾する壁部13eが接続され、壁部13eによりクロス部13aの前面が構成される。壁部13eの下端には、上方に凹んだ凹部13fが接続される。そして、壁部13eの後方において、クロス部13aの下面にロッド取付部13gが設けられる。
クロス部13aの前部には、凹部13c、凹部13d、および凹部13fが設けられ、壁部13eの上下方向の長さは短く構成される。そして、壁部13eは、車両平面視で、後方に凸の円弧形状に構成される。
【0034】
リアサスペンション24は、スイングアーム13に設けた空間13sに、車両側面視で、リアサスペンション24が前傾する姿勢で配置される。上述のような形状にスイングアーム13が構成されるので、リアサスペンション24とスイングアーム13との間にスペースを確保でき、スイングアーム13の揺動量を大きく取れる。
【0035】
リアサスペンション24は、筒状に形成されており、スイングアーム13の上下の揺動に伴って軸方向に圧縮され、軸方向にストロークすることで路面からの衝撃を吸収する。
リアサスペンション24は、リアサスペンション24のストロークの中心軸が鉛直線に対し前傾する姿勢で配置される。
【0036】
リアサスペンション24は、スイングアーム13の上方に配置される上端部24aと、スイングアーム13の下方に位置する下端部24hと、上端部24aと下端部24hとの間で圧縮されるスプリング72とを備える。なお、下端部24hは、その少なくとも一部がスイングアーム13よりも下方に位置していれば良く、下端部24hの上部が車両側面視でスイングアーム13に重なっていても良い。
【0037】
また、リアサスペンション24は、上端部24aから下方に延出するシリンダー部24eと、下端部24hから上方に延びてシリンダー部24eに接続されるピストンロッド24fと、ピストンロッド24fの端部に設けられてシリンダー部24e内に位置する図示しないピストンバルブとを備える。なお、ピストンロッド24fの軸線は、リアサスペンション24の中心線L4上に位置する。
シリンダー部24e内には、減衰用の作動油が充填される。下端部24hが上下にストロークすると、ピストンバルブは、下端部24hと一体に移動し、シリンダー部24e内をシリンダー部24eの中心軸方向に摺動する。
【0038】
スプリング72は、コイルスプリングである。シリンダー部24e及びピストンロッド24fは、スプリング72のコイルの内周に挿通される。すなわち、スプリング72は、シリンダー部24e及びピストンロッド24fの周囲に巻装される。
【0039】
上端部24aの下面には、スプリング72の上端を受けるスプリング受け部24kが設けられる。スプリング受け部24kは、シリンダー部24eよりも大径の環状部である。
上端部24aの上端には、クッション支持部70に連結される上部連結部24jが設けられる。上端部24aは、上部連結部24jに対し車幅方向に挿通される連結軸71によって、車体側のクッション支持部70に連結される。
【0040】
下端部24hの上部には、スプリング72の下端を受けるリング状のプリロードアジャスタ24gが設けられる。
スプリング72は、上端部24aのスプリング受け部24kと下端部24hのプリロードアジャスタ24gとの間に圧縮された状態で設けられ、下端部24hをリアサスペンション24の伸張方向に付勢する。
【0041】
リアサスペンション24の初期荷重は、リアサスペンション24の軸方向に移動可能なプリロードアジャスタ24gにより調整される。
リアサスペンション24の初期荷重は、スプリング受け部24kとプリロードアジャスタ24gとの間で圧縮されるスプリング72の反力である。初期荷重の大きさは、スプリング72の自由長からの撓み(圧縮量)に対応する。
【0042】
リアサスペンション24の下端部24hの下端には、リンク部材26に連結される下部連結部24iが設けられる。下部連結部24iは、下部連結部24iに対し車幅方向に挿通される連結軸73によって、リンク部材26に連結される。
リンク部材26は、後端部においてリアサスペンション24に接続しており、前端部において、ピボットフレーム17の取付部17bに回動自在に支持される。そして、リンク部材26は、車両側面視において、下方に突出した三角形状であり、リンク部材26の下端部の左右側面にリンクロッド25の前端部が接続されている。リンクロッド25の後端部は、スイングアーム13のロッド取付部13gに接続されている。
【0043】
リアサスペンション24は、加圧式サスペンションであり、リアサスペンション24の上端部24aに加圧タンク24dを搭載している。加圧タンク24dは、内部に加圧したガスが封入されるとともに、緩衝用の作動油が保持されており、リザーブタンクとも言える。
【0044】
加圧タンク24dは、後端を閉じた円筒状をなしており、上端部24aの後部に接続されている。加圧タンク24dの円筒の中心線L2は上端部24aとの接続部より、後上方を指向する。
【0045】
また、上端部24aには、制御バルブ部24sが設けられている。制御バルブ部24sは、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cを一体にして構成されている。第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cは略円柱形状であり、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cにより、リアサスペンション24の伸長および圧縮の特性が制御される。第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cは、油路の絞りを変更するバルブと、バルブを駆動するアクチュエータとをそれぞれ備える。第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cは、一方が伸長側の制御を行い、他方が圧縮側の制御を行うように構成されている。
【0046】
シリンダー部24e内の作動油は、上端部24a内の図示しない油路により、加圧タンク24dへの流入、および流出が可能となっている。第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cは上端部24a内の油路に繋がっている。第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cにより、この作動油の流動が調整され、リアサスペンション24の伸長および圧縮の特性が制御される。なお、加圧タンク24dが上端部24aに直接的に接続しているため、上端部24aから加圧タンク24dに繋がる油路を短くでき、応答性を向上しやすい構成となる。
【0047】
また、リアサスペンション24は、ダンパー特性を電子的に調整する電子制御サスペンションであり、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cは、自動二輪車1に搭載された図示しない制御装置に接続されている。この制御装置により、自動でリアサスペンション24のダンパー特性を調節しても良い。
【0048】
上端部24aには、前側に第1制御バルブ24bが配置され、第1制御バルブ24bの後ろに第2制御バルブ24cが配置される。第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cは、車幅方向の一方もしくは他方に延びた状態で設けられる。本実施例において、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cは上端部24aの右側部より右側に延びて設けられる。また、図5に示すように、第1制御バルブ24bの中心を通り車幅方向に延びる直線L7と、第2制御バルブ24cの中心を通り車幅方向に延びる直線L8とは平行である。そして、車両正面視で、直線L7の下方に直線L8が位置する。
第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cは、車幅の略中央に位置する上端部24aから車幅方向外側に延出して設けられており、車両平面視において、スイングアーム13の右アーム部13Rと重なる部位を有する。そして、図4に示すように、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cはスイングアーム13の上辺とクランクケース28との間に位置する。
【0049】
上述のように、加圧タンク24dは、車両側面視で上端部24aから後方に向けて斜め上方に延びており、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cは上端部24aの車幅方向の一側側に設けられ、車幅方向外側に延出されている。
本実施例においては、加圧タンク24dは上端部24aの後面側に設けられ、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cは上端部24aの右側部に設けられる。加圧タンク24d、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cはリアサスペンション24の伸縮方向と略直交する方向に延出して設けられ、スイングアーム13の揺動を許容する位置に設けられる。
【0050】
また、車両側面視で第1制御バルブ24bの中心は、リアサスペンション24の中心線L4よりも前方に位置する。リアサスペンション24の中心線L4は、ピストンロッド24fを通り、ピストンロッド24fの摺動方向に一致する。
より具体的には、車両側面視で第1制御バルブ24bの中心は、円柱形状の底面円の中心点であり、この第1制御バルブ24bの中心が、リアサスペンション24の中心線L4よりも前方に位置する。
【0051】
第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cは、前後に並んで配置されており、前側の第1制御バルブ24bは、後側の第2制御バルブ24cよりも下方に位置する。
図4に示すように、スイングアーム13の前部における上面の傾斜に一致する直線L1は、前方に向けて下がる。ここで、直線L1は、左アーム部13Lおよび右アーム部13Rの前部の上面に沿う線である。また図4には、車両側面視で第1制御バルブ24bの中心と第2制御バルブ24cの中心とを通る直線L3が示される。直線L1と加圧タンク24dの中心線L2と、直線L3とは略平行である。これにより、ピボット軸22を中心にスイングアーム13が上方に揺動されても、スイングアーム13の揺動に影響を与えにくい位置に、加圧タンク24d、第1制御バルブ24b、および第2制御バルブ24cが配置される。
また、車両側面視において、直線L3は、直線L1よりも、前方に向けてより下がる傾きとなっている。これにより、スイングアーム13が上方に大きく揺動される場合でも、スイングアーム13の上面と、制御バルブ部24sとの間に空間を確保しやすくなる。
【0052】
また、図4に示すように、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cは、車両側面視において、加圧タンク24dの幅W1内に配置される。車両側面視で加圧タンク24dの上辺の延長線L5と下辺の延長線L6との間に、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cが配置される。ここで、幅W1は車両側面視で加圧タンク24dの上辺の延長線L5と下辺の延長線L6との間の幅である。
このため、加圧タンク24dとスイングアーム13との間に空間を設けるとともに、スイングアーム13と第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cとの間を大きく取ることができる。
【0053】
リアサスペンション24の作用について説明する。
自動二輪車1の後輪3に荷重がかかると、スイングアーム13がピボット軸22を中心として、上方に揺動される。リアサスペンション24は、上部連結部24jを車体側のクッション支持部70に接続され、下部連結部24iを、リンク部材26を介して、車体側の取付部17bに接続されている。リアサスペンション24の下部連結部24iの前後位置は、リンク部材26の後端部の揺動範囲となり、リアサスペンション24の車体に対する姿勢の変化が抑えられている。そして、スイングアーム13の揺動がリンク部材26を介してリアサスペンション24に、リアサスペンション24の延出方向の動きとして伝達される。そして、スプリング72が圧縮されるとともに、ピストンロッド24fがシリンダー部24eに挿入されながら上方に移動する。
【0054】
スイングアーム13が上方に揺動されると、スイングアーム13の上面とリアサスペンション24の上端部24aとの間の距離が小さくなる。しかし、加圧タンク24dは、車体に対して後方に向けて斜め上方に延出されており、スイングアーム13が上方に揺動された場合においても、スイングアーム13と加圧タンク24dとの間に隙間が確保される。
また、制御バルブ部24sも車両側面視において、後方に向けて斜め上方に延出されており、スイングアーム13との間に隙間が確保される。
【0055】
以上説明したように、上記の実施の形態によれば、鞍乗り型車両である自動二輪車1は、車輪である後輪3を支持するスイングアーム13と、スイングアーム13を揺動自在に車体に支持するピボット軸22と、車体とスイングアーム13との間に掛け渡されるサスペンションであるリアサスペンション24とを備え、スイングアーム13は、左右一対のアーム部である左アーム部13Lおよび右アーム部13Rと、左アーム部13Lと右アーム部13Rを左右に接続するクロス部13aとを備えるとともに、左アーム部13Lおよび右アーム部13Rの前端がピボット軸22に支持され、ピボット軸22とクロス部13aとの間に、リアサスペンション24が上下に通る空間13sが設けられ、リアサスペンション24は、車両側面視でスイングアーム13と重なる部位を備え、リアサスペンション24の上部である上端部24aに電子制御される制御バルブ部24sを備え、制御バルブ部24sは、リアサスペンション24の上端部24aの車幅方向の一側側に配置され、上端部24aの側面から車幅方向外側に延出する。
この構成によれば、スイングアーム13において、リアサスペンション24の動きを許容する空間13sに、リアサスペンション24のスプリング72に内装されるピストンロッド24f、およびシリンダー部24eが、挿入される。そして、制御バルブ部24sがスイングアーム13を避けて配置され、空間13sの形状が、制御バルブ部24sの配置による影響を受けにくくなる。これにより、空間13sの大型化を回避しやすくなる。また、スイングアーム13の大型化および補強による重量の増加を回避しやすくなる。
【0056】
制御バルブ部24sは、略円柱形状の第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cを備え、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cの中心はリアサスペンション24の中心線L4よりも前方に位置する。
この構成によれば、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cがリアサスペンション24の前方寄りに配置され、リアサスペンション24の第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cと、スイングアーム13との間に空間を設け、リアサスペンション24をスイングアーム13の揺動を許容する位置に配置できる。
【0057】
第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cは車両側面視で前後に並んで配置され、前側の第2制御バルブ24cは、後側の第1制御バルブ24bよりも下方に位置する。
この構成によれば、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cを、スイングアーム13の揺動方向に対して、影響の少ない位置に配置して、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cとスイングアーム13との間に空間を設け、リアサスペンション24をスイングアーム13の揺動を許容する位置に配置できる。
【0058】
また、リアサスペンション24は加圧タンク24dを備え、加圧タンク24dは略円柱形状をなし、リアサスペンション24の上端部24aの後側に配設され、加圧タンク24dの中心線L2が、後上方を指向するように、設けられる。
この構成によれば、揺動するスイングアーム13を避けて加圧タンク24dを配置しやすくなり、スイングアーム13と加圧タンク24dとの間に隙間を確保しやすくなる。
【0059】
また、車両側面視で、加圧タンク24dの上辺の延長線L5と下辺の延長線L6との間に、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cが配置される。
この構成によれば、加圧タンク24dと共に、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cをスイングアーム13の揺動を許容する位置に配置できる。
【0060】
さらに、車両側面視で、ピボット軸22とクロス部13aとの間のスイングアーム13の上辺を通り、この上辺の傾きに一致する直線L1の傾きと、加圧タンク24dの中心線L2の傾きと、第1制御バルブ24bおよび第2制御バルブ24cの中心を通る直線L3の傾きと、は、略平行である。
この構成によれば、スイングアーム13の揺動域が、リアサスペンション24により制限され難くなる。また、スイングアーム13とリアサスペンション24との間に隙間を設けやすく、リアサスペンション24を、スイングアーム13の揺動を許容する位置に配置できる。
【0061】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形および応用が可能である。
また、上記実施の形態では鞍乗り型車両として自動二輪車1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両、および4輪以上を備えた鞍乗り型車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
3 後輪(車輪)
13 スイングアーム
13L 左アーム部(アーム部)
13R 右アーム部(アーム部)
13a クロス部
13s 空間
22 ピボット軸
24 リアサスペンション(サスペンション)
24a 上端部(上部)
24b 第1制御バルブ(制御バルブ)
24c 第2制御バルブ(制御バルブ)
24d 加圧タンク
24s 制御バルブ部
L1 直線(上辺の傾き)
L2 中心線
L3 直線
L4 中心線
L5 延長線
L6 延長線
図1
図2
図3
図4
図5