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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】動作装置
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/26 20060101AFI20220831BHJP
   A63H 17/00 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A63H33/26 A
A63H17/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019196507
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2021069502
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米田 陽亮
(72)【発明者】
【氏名】上野 公久
(72)【発明者】
【氏名】朝蔭 規文
【審査官】神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-176908(JP,A)
【文献】特表2002-507439(JP,A)
【文献】特表2004-514224(JP,A)
【文献】登録実用新案第3206586(JP,U)
【文献】実開平04-005893(JP,U)
【文献】特開2004-329770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
G09B 1/00-9/56
G09B 17/00-19/26
A63F 9/00-9/20
A63F 9/26-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子情報である情報が格納されたタグが収容された転動体と、
アンテナを介して前記情報を受信するタグリーダ、前記タグリーダで受信した前記情報に基づく出力を行う出力部と、時間を計時する計時部と、記憶部と、中央処理装置とを有する装置本体と、を備え、
前記装置本体には、前記転動体を投入するための投入口と、前記投入口から投入された前記転動体を投入順に摺接によって転動させながら所定の通路の上を搬送する螺旋送り機構と、が設けられ、
前記アンテナは、前記螺旋送り機構の前記通路の脇に配置され、前記タグリーダは、前記通路における前記アンテナに対向する箇所を通過する前記転動体の前記タグの前記情報を受信するように構成され、
前記アンテナに対向する箇所を通過する1つの前記転動体の前記タグの前記情報を複数回受信する可能性がある時間を所定時間とした場合に、
前記中央処理装置は、前記タグリーダによって前記情報を受信したときに当該情報の受信時から前記所定時間の計時を前記計時部に行わせ、当該所定時間が経過するまで前記タグリーダによる受信を不可とし、当該所定時間が経過の後に前記タグリーダによる受信を可とする、
ことを特徴とする動作装置。
【請求項2】
前記タグはパッシブ型のタグであることを特徴とする請求項1に記載の動作装置。
【請求項3】
前記中央処理装置は、先の前記転動体の前記タグの前記情報に基づく出力継続中に読み込んだ後続の前記転動体の前記タグの前記情報を受信割込みによって順番付けて前記記憶部に記憶しておき、記憶したおいた前記情報に基づく出力を前記出力継続の後から前記出力部に順次に実行させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の動作装置。
【請求項4】
前記装置本体は走行玩具における玩具本体であり、前記情報は動作モード情報であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の動作装置。
【請求項5】
前記玩具本体は、前側から後側に向けて順に煙突、運転室及び石炭庫が並んだ機関車玩具であり、前記石炭庫には前記転動体を上方から投入可能な前記投入口が形成され、前記煙突の上端部には前記転動体を後方に排出する排出口が形成され、前記螺旋送り機構は、前記石炭庫の下から前記煙突の下まで前記転動体を搬送する第1螺旋送り機構と、前記煙突の下から上まで前記転動体を上昇させる第2螺旋送り機構とから構成されていることを特徴とする請求項4に記載の動作装置。
【請求項6】
前記排出口から排出される前記転動体を前記投入口に帰還させる通路を備えることを特徴とする請求項5に記載の動作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被読取り形象物の動作モード情報を玩具本体のリーダが非接触で読み込み、玩具本体が当該動作モード情報に基づく動作をするように構成した動作装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-329770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の動作装置は、その図6に示すように読取り対象物がボールであり、例えば、ボール(転動体の1つ)が連続して投入され、しかも、例えば、投入順にボールのIDタグを読み取らなければならない場合などには、ボールのタグのアンテナとタグリーダのアンテナとが適切に対向せずに、ボールのタグを読み取れない場合が生じる。この場合には、所望の動作を動作装置に行わせることができない。
【0005】
本発明は、かかる問題に鑑みなされたもので、転動体に組み込まれたタグの情報を確実に読み取ることができる構造を持つ動作装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、
電子情報である情報が格納されたタグが収容された転動体と、
アンテナを介して前記情報を受信するタグリーダ、前記タグリーダで受信した前記情報に基づく出力を行う出力部と、時間を計時する計時部と、記憶部と、中央処理装置とを有する装置本体と、を備え、
前記装置本体には、前記転動体を投入するための投入口と、前記投入口から投入された前記転動体を投入順に摺接によって転動させながら所定の通路の上を搬送する螺旋送り機構と、が設けられ、
前記アンテナは、前記螺旋送り機構の前記通路の脇に配置され、前記タグリーダは、前記通路における前記アンテナに対向する箇所を通過する前記転動体の前記タグの前記情報を受信するように構成され、
前記アンテナに対向する箇所を通過する1つの前記転動体の前記タグの前記情報を複数回受信する可能性がある時間を所定時間とした場合に、
前記中央処理装置は、前記タグリーダによって前記情報を受信したときに当該情報の受信時から前記所定時間の計時を前記計時部に行わせ、当該所定時間が経過するまで前記タグリーダによる受信を不可とし、当該所定時間が経過の後に前記タグリーダによる受信を可とする、
ことを特徴とする。
ここで、「転動体」とは、転がり動く球体や多面体等を指す。なお、特に限定はされないが、装置本体には転動体を排出する排出口が設けられていることが好ましい。
【0007】
第2の手段は、第1の手段であって、前記タグはパッシブ型のタグであることを特徴とする。
【0009】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段であって
前記中央処理装置は、先の前記転動体の前記タグの前記情報に基づく出力継続中に読み込んだ後続の前記転動体の前記タグの前記情報を受信割込みによって順番付けて前記記憶部に記憶しておき、記憶したおいた前記情報に基づく出力を前記出力継続の後から前記出力部に順次に実行させることを特徴とする。
【0010】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかの手段であって、
前記装置本体は走行玩具における玩具本体であり、前記情報は動作モード情報であることを特徴とする。
【0011】
第5の手段は、第4の手段であって
前記玩具本体は、前側から後側に向けて順に煙突、運転室及び石炭庫が並んだ機関車玩具であり、前記石炭庫には前記転動体を上方から投入可能な前記投入口が形成され、前記煙突の上端部には前記転動体を後方に排出する排出口が形成され、前記螺旋送り機構は、前記石炭庫の下から前記煙突の下まで前記転動体を搬送する第1螺旋送り機構と、前記煙突の下から上まで前記転動体を上昇させる第2螺旋送り機構とから構成されていることを特徴とする。
【0012】
第6の手段は、第5の手段であって、前記排出口から排出される前記転動体を前記投入口に帰還させる通路を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の手段によれば、投入口から装置本体に投入された転動体は螺旋送り機構との摺接によって転動しながら所定方向に搬送されるので、搬送中にタグのアンテナの向きが変化し、タグリーダを介して確実に情報を読み取ることができる。したがって、情報を読み取るタグリーダの個数も少なくて済む。
また、情報を受信したときに当該情報に基づく出力を出力部に行わせる一方で、当該情報の受信時から所定時間の計時を計時部に行わせ、当該所定時間が経過するまで前記タグリーダによる受信を不可とするので、1つの転動体のタグを複数回読むことを防止することができる。
【0014】
第2の手段によれば、タグはパッシブ型のタグであるので、アクティブ型のタグに比べて安価である。
【0016】
第3の手段によれば、先の転動体の前記タグの情報に基づく出力を行わせつつ、その出力継続中に読み込んだ後続の転動体のタグの情報を順番付けて記憶しておき、記憶したおいた情報に基づく出力を後から出力部に順次に実行させることができる。
【0017】
第4の手段によれば、転動体に組み込まれたタグの情報を確実に読み取ることができる構造を持つ動作玩具を実現することができる。
【0018】
第5の手段によれば、石炭庫から転動体を投入することでボイラに石炭をくべている様をイメージさせるとともに、転動体を煙突から排出することで煙を排出することをイメージさせるので、面白みのある動作玩具を実現できる。
【0019】
第6の手段によれば、転動体を循環させることができるので、繰り返し動作モードを変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態の動作玩具の外観を示した斜視図である。
図2】機関車玩具の内部構造を示した斜視図である。
図3】モータ駆動装置と当該モータ駆動装置によって操作する動作部品とを示した平面図である。
図4】モータ駆動装置と螺旋送り機構との連結構造を示した斜視図である。
図5】ボールの分解斜視図である。
図6】動作玩具の制御構成を示したブロック図である。
図7】動作制御処理を示したフローチャートである。
図8】実施形態の動作玩具の変形例を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
《全体構成》
図1は、実施形態の動作装置の外観を示した斜視図である。
実施形態の動作装置は動作玩具100であり、玩具本体である機関車玩具10と、転動体であるボール70とを備えている。ボール70は多面体であってもよい。
機関車玩具10の前部には煙室11及び煙突12、中間部には運転室13、後部には石炭庫14が設けられている。石炭庫14の上面にはボール70の投入口15が形成され、煙突12の上端にはボール70の排出口16が形成されている。また、運転室13及び石炭庫14の境界部分の側面左右には動輪17が1つずつ設けられ、煙室11の側面左右には従輪18が1つずつ設けられている。また、機関車玩具10の前部下にはキャスタ19が設けられている(図2)。
ボール70にはRFタグ(RFIDタグ)71が組み込まれている。RFタグ71には、動作モード情報が電子データの形で格納されている。本実施形態では、同じ外形を持ち互いに動作モード情報が異なるボール70が複数個用意されている。
そして、この実施形態の動作玩具100は、石炭庫14の投入口15に遊戯者がボール70を投入すると、投入したボール70に応じた動作モードの動作を機関車玩具10が順次に行うように構成されている。ボール70に応じた動作は、例えば、前進、後退、左旋回、右旋回、左回転、右回転又は動作速度変化である。また、この動作には停止が含まれていてもよい。これらの動作は左右の動輪17,17の回転の有無や、回転方向又は回転速度を制御することによってなされる。
【0022】
《細部構成》
以下、動作玩具100の詳細を説明する。なお、機関車玩具10は、特に制限はされないが4本の乾電池を電源としている。図示はしないが、乾電池は車台の下方から交換可能となっている。また、車台の下には電源つまみが設けられている。また、ボール70は内部が空洞で図5に示すように半割できるように構成されており、互いに結合される2個の半球状部分70a、70bの間に、アンテナ及びICからなる平面状のRFタグ71が支持板に支持された状態で固定して設けられている。
【0023】
機関車玩具10
図2は、機関車玩具の内部構造を示した斜視図である。
機関車玩具10には石炭庫14、運転室13、煙室11及び煙突12に亘ってボール通路20が形成されている。ボール通路20は、石炭庫14に形成された第1通路20aと、石炭庫14、運転室13及び煙室11に亘って形成された第2通路20bと、煙室11及び煙突12に亘って形成された第3通路20cとから構成されている。投入口15から入ったボール70は第1通路20a、第2通路20b及び第3通路20cをこの順に通って排出口16から排出される。
【0024】
ここで、第1通路20aは、石炭庫14の鉛直方向に延在し、第1通路20aの上端には投入口15が形成されている。投入口15は、石炭庫14の縁から下方にむけて漏斗状に窄まっている。第1通路20aの投入口15下の部分は円状の縦孔21(図1)となっている。
第2通路20bは、機関車玩具10の前後方向に延在し、後部が第1通路20aの下端部に連通している。この第2通路20bは、後述の案内部材22の第1弧状部22bと、第1弧状部22bの下方に配置された後述の前方螺旋送り機構(第1螺旋送り機構)23等によって画成されている。
第3通路20cは、煙室11及び煙突12の鉛直方向に延在し、第3通路20cの上端には排出口16が形成されている。第3通路20cは略円状の縦孔24(図1)内に形成され、縦孔24には、案内部材22の第2弧状部22cが下方から差し込まれていると共に、上方螺旋送り機構(第2螺旋送り機構)25が設置されている。煙突12の上端部は後部が一部切り欠かれ、その切欠き部分からボール70が後方に向けて排出される。
【0025】
案内部材22は側面視でL字状に形成されている。すなわち、案内部材22は、前後方向に延在し下側が凹となるように湾曲した第1弧状部22bと、上下方向に延在し前側が凹となるように湾曲した第2弧状部22cとを備える。第2弧状部22cの上端には、後述の上方螺旋送り機構25の軸25aの上端を支持する軸支板22cが取り付けられている。また、第1弧状部22bには平板状のタグリーダ27のアンテナがボール70に摺接しないような位置に設けられている。タグリーダ27のアンテナは、後述の前方螺旋送り機構23の軸23aの上方に位置し、当該軸23aに対向して設けられている。このタグリーダ27は、パッシブ型のRFタグのリーダとなっており、平面状のアンテナを有している。
【0026】
前方螺旋送り機構23は、図3に示すように、直棒状の軸23aに当該軸23aに沿って延在するように螺旋状の羽根23bを付設したものである。この前方螺旋送り機構23は、投入口15に投入され第1通路20a内を落下したボール70を受け止め、軸23aの回転に追従して回転する羽根23bによって当該ボール70を前方に押して軸23aに沿って第3通路20cの下方まで搬送する。この間、ボール70は羽根23b等に摺接して軸23aの上で回転(転動)する。
【0027】
上方螺旋送り機構25は、図4に示すように、直棒状の軸25aに当該軸25aに沿って延在するように螺旋状の羽根25bを付設したものである。この上方螺旋送り機構25は、前方螺旋送り機構23からボール70を受け取り、軸25aの回転に追従して回転する羽根25bによって当該ボール70を押して第3通路20cの上方まで搬送する。上方螺旋送り機構25の軸25aの上部には押出し棒25cが付設され、この押出し棒25cによって、第3通路20cの上方でボール70を押し出して排出口16から後方に向けて排出させる。
【0028】
図3に示すように、機関車玩具10には、左側の動輪17を駆動するためのモータ駆動装置30と、右側の動輪17を駆動するためのモータ駆動装置31と、前方螺旋送り機構23及び上方螺旋送り機構25を駆動するためのモータ駆動装置32とが設けられている。
【0029】
モータ駆動装置30は、動力源であるモータ30a(図6)と、モータ30aの動力を左側の動輪17に伝達する動力伝達機構(図示せず)とを備えている。このモータ駆動装置30の出力軸は左側の動輪17の車軸を構成している。出力軸と動輪17の車軸とは、軸心が合致するように結合されていてもよいし、歯車機構によって連結されていてもよい。また、モータ30aと動力伝達機構は1つのボックス30b内に収められている。ここで、モータ30aは正逆回転可能なモータである。
【0030】
モータ駆動装置31は、動力源であるモータ31a(図6)と、モータ31aの動力を右側の動輪17に伝達する動力伝達機構(図示せず)とを備えている。このモータ駆動装置31の出力軸は右側の動輪17の車軸を構成している。出力軸と動輪17の車軸とは、軸心が合致するように結合されていてもよいし、歯車機構によって連結されていてもよい。モータ31aと動力伝達機構は1つのボックス31b内に収められている。ここで、モータ31aは正逆回転可能なモータである。
【0031】
モータ駆動装置32は、動力源であるモータ32a(図6)と、モータ30aの動力を前方螺旋送り機構23及び上方螺旋送り機構25に伝達する動力伝達機構(図示せず)とを備えている。モータ32aと当該動力伝達機構の一部が1つのボックス32b内に収められている。そして、図4に示すように、ボックス32bから直立して突出する軸32cには、上方螺旋送り機構25の軸25aが軸心を一致して取り付けられている。また、軸32cには歯車(クラウン歯車)32dが付設されている。歯車32dには、前後方向に延在する軸32eの前端に固定された歯車32fが噛合している。軸32eの後端には歯車32gが固定され、この歯車32gは、前方螺旋送り機構23の軸23aの前端の歯車32hが噛合している。なお、図4では、図面作成上の便宜から、歯車32gと歯車32hとを離して図示してある。
【0032】
(制御構成)
図6は動作玩具100の制御構成を示している。
動作玩具100は制御構成として、中央処理装置40、主記憶装置41、補助記憶装置42を備えている。
【0033】
中央処理装置40は制御装置40aと演算装置40bとを備えている。
補助記憶装置42には所定のプログラムや、各種データが格納されている。データとしては、各種プログラムの実行に必要なデータや、複数の音楽データや効果音データ等が格納されている。
中央処理装置40は、プログラムや各種データを適宜に読み出して制御及び演算を実行する。主記憶装置41はワークエリアとなる部分であり、必要に応じてプログラムや各種データを一時的に記憶する。
【0034】
また、動作玩具100は、制御構成として、タグリーダ27、計時部44、音出力部45及びモータ30a,31a,32aを備える。
タグリーダ27は、RFタグ71に電力を供給すると共に、RFタグ71から動作モード情報を含むデータを非接触で受信する。
計時部44は、中央処理装置40からの計時開始指令TMCを受けると、その時からの指定時間(T2)経過の計測を開始し、指定時間(T2)経過を検出すると、計時割込みTITを中央処理装置40へ送る。その後は、計時部44は、中央処理装置40から新たな計時開始指令TMCを受けるまで計時を行わない。この場合の所定時間(T2)は、タグリーダ27を通過する1つのボール70の動作モード情報を2度以上読むことがなく、一方で、連続して投入口15から投入されたボール70の動作モード情報を投入された順に1つずつ確実に読み込める時間に設定される。例えば、この所定時間(T2)は、前方螺旋送り機構23によって前方にボール70を1個分送る時間とする。
なお、音出力部45は、中央処理装置40の制御下で動作中に音楽や効果音を出力する。
【0035】
(制御処理)
図7に示すように、この動作玩具100では、電源を投入すると、中央処理装置40が初期設定処理を行う(ステップS1)。初期設定処理では、中央処理装置40は動作モードを初期動作モードに設定する。特に限定はされないが実施形態の動作玩具100では、初期動作モードは静止モードである。また、初期設定処理では、中央処理装置40は受信割込みの受付可状態に設定し、動作モード指定フラグFGをOFFにする。
続いて、中央処理装置40はステップS2の初期動作モード動作の制御処理を行い、初期動作モード動作を継続させるとともに、その初期動作モード動作の継続中、中央処理装置40は動作モード指定フラグFGの値を定期的にチェックする。そして、中央処理装置40は、動作モード指定フラグFGがONとならない限り初期動作モード動作を継続させ、動作モード指定フラグFGがONになったときに動作モード指定フラグFGをOFFにして次動作モード動作の制御処理(ステップ4)を実行する。
【0036】
初期動作モード動作の継続中にタグリーダ27がボール70のRFタグ71の1回分のデータを受信すると、受信割込みRITが中央処理装置40に送られる。中央処理装置40は、受信割込みRITを受けると受信割込み処理(ステップ3)を開始する。
受信割込み処理では、中央処理装置40は、受信割込みの受付不可状態に設定し(ステップ31)、RFタグ71のデータに含まれる動作モード情報を読み取る(ステップS32)。そして、中央処理装置40は、動作モード指定フラグFGをONにし(ステップS33)、計時開始指令TМCを発行し(ステップS34)、計時部44にその時からの指定時間(T2)経過の計測を開始させる。
【0037】
そして、ステップS2で動作モード指定フラグFGがONとなると、中央処理装置40はステップS32で読み取った指定動作モードを次動作モードとし、次動作モード動作の制御処理を行い(ステップS4)、この次動作モード動作を継続させる。また、その次動作モード動作の継続中、中央処理装置40は動作モード指定フラグFGの値を定期的にチェックする。そして、中央処理装置40は、動作モード指定フラグFGがONとならない限り次動作モード動作を継続させ、動作モード指定フラグFGがONになったときに動作モード指定フラグFGをOFFにして後続の次動作モード動作の制御処理を実行する。
【0038】
また、次動作モード動作の継続中に、計時部44は指定時間(T2)経過を検出すると、計時割込みTITを中央処理装置40に送る。これにより、中央処理装置40は計時割込み処理を行う(ステップS5)。この計時割込みTITを中央処理装置40が受けると、受信割込みの受付可状態に設定する(ステップS51)。その後、次動作モード動作の継続中にタグリーダ27がボール70のRFタグ71の1回分のデータを受信すると、受信割込みRITが中央処理装置40に送られる。中央処理装置40は、受信割込みRITを受け取ると受信割込み処理を開始する。この受信割込み処理ではステップS3と同じ処理が行われる。
【0039】
《変形例》
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0040】
例えば、図8に示すように、排出口16から投入口15に向けてボール70を帰還させる通路50を設けることができる。この通路50は一端が煙突12に対して差込み可能となっていて着脱可能であることが好ましいが、固定されていてもよい。このような構成とすれば、繰り返し動作モードを変化させることができる。なお、この通路40は機関車玩具10の場合には煙に見えるように側面から見て上下にうねっていることが好ましい。
【0041】
また、上記実施形態では、ボール70のRFタグ71に保持された動作モード情報をタグリーダ27が読み込むと、直ちに、読み込んだ動作モード情報に応じた動作をするようにしたが、1つの動作を一定時間継続して行わせるようにしてもよい。
この場合には、先のボール70のRFタグの動作モード情報に基づく動作を継続している間に読み込んだ他のボール70のRFタグの動作モード情報を受信割込みによって順番付けて記憶しておき、記憶したおいた動作モード情報に基づく動作を順次に実行させるようにすることができる。
また、ボール70のRFタグの動作モード情報を全て順番付けて記憶しておき、その後に、記憶したおいた動作モード情報に基づく動作を順次に実行させるようにすることもできる。
なお、これらの場合も、計時部によって一の動作モード情報を受信した時からの所定時間を計時し、計時中は受信割込みを不可としておくことが好ましい。このようにすれば、1つのボール70の動作モード情報の多重読みに基づく誤動作を防止することができる。
【0042】
また、上記実施形態では、動作玩具100の動作を走行動作としたが、走行動作に限らず、発音動作や発光動作のモードを変えたりするなど他の動作を玩具本体にさせる場合など動作変化を行う全ての動作玩具に適用できる。この場合の動作とは音出力動作、光出力動作、表示動作等の出力全般を含む。
【0043】
また、動作玩具に限らず、出力部を有する動作装置一般に適用できる。この場合、RFタグに、動作モード情報の代わりに、或いは、それと併せて物品情報を格納しておくことも可能である。例えば、転動体として、物品を収容するカプセル容器等を用い、カプセル容器又は物品にタグを付設しておくかカプセル容器内にタグを入れておき、物品に関する情報を装置本体(表示装置本体)に表示させるようにすることができる。
【0044】
さらにまた、RFタグに格納される情報は、製造業者のみならず、ユーザが所定のルールに則って任意に変更できるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 機関車玩具
11 煙室
12 煙突
13 運転室
14 石炭庫
15 投入口
16 排出口
20 ボール通路
23 前方螺旋送り機構
25 上方螺旋送り機構
27 タグリーダ
70 ボール
71 RFタグ
100 動作玩具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8