(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】ニコチンアミドリボシド及びプテロスチルベン組成物及び神経変性障害の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/706 20060101AFI20220831BHJP
A61K 31/09 20060101ALI20220831BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220831BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20220831BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220831BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20220831BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220831BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A61K31/706
A61K31/09
A61K9/20
A61K9/48
A61P25/00
A61P25/14
A61P25/28
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2019510843
(86)(22)【出願日】2017-08-22
(86)【国際出願番号】 US2017047979
(87)【国際公開番号】W WO2018039207
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-08-18
(32)【優先日】2016-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517433599
【氏名又は名称】エリジウム・ヘルス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコチュリ,エリック・アレグザンダー
(72)【発明者】
【氏名】アルミナナ,ダニエル・アントニオ
【審査官】鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/186068(WO,A1)
【文献】特表2008-501343(JP,A)
【文献】特表2014-514361(JP,A)
【文献】Neurobiology of Aging,2012年,Vol.33,No.9,pp.2062-2071
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00-9/72
A61P 25/00
A61P 25/14
A61P 25/28
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における神経変性疾患の治療又は予防に使用するための、ニコチンアミドリボシド
、プテロスチルベン
並びに薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤からなる組成物であって、該組成物が、
1日あたり500mg
~1500mgのニコチンアミドリボシド
の用量、及び
1日あたり100mg
~500mgのプテロスチルベン
の用量で、対象に毎日投与可能に製剤化されている、組成物。
【請求項2】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、ハンチントン病又はパーキンソン病である、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
対象における神経変性疾患のリスク低下、又は神経変性疾患の兆候の有病率の低減に使用するための、ニコチンアミドリボシド
、プテロスチルベン
並びに薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤からなる組成物であって、該組成物が、
1日あたり500mg
~1500mgのニコチンアミドリボシド
、及び
1日あたり100mg
~500mgのプテロスチルベン
の用量で、対象に毎日投与可能に製剤化されている、組成物。
【請求項4】
神経変性疾患の前記兆候が、振戦、安静時振戦、運動緩慢、NAD+含量、サーチュイン活性、四肢硬直、レビー小体、姿勢の不安定、すくみ足、小字症、乏しい顔の表情、制御不能な動き、異常に速い又は遅い動作、前屈姿勢、ジストニア、損なわれた細かい運動の器用さ、損なわれた運動協調性、損なわれた総合的運動協調性、弱い腕振り、アカシジア、言語障害、声のか弱さ又は不明瞭な話し方、嚥下困難、性機能障害、筋痙攣、よだれ、過剰な唾液、嗅覚喪失、便秘、REM行動障害、気分障害、起立性低血圧、睡眠障害、視覚障害、疲労、エネルギーロス、憂鬱、記憶の問題のような認知機能の問題、減退した思考力、錯乱、ドーパミン作動性ニューロンの死、低下したドーパミン濃度、プリオン発生又は認知症である、請求項3に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病又はハンチントン病である、請求項3又は4に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記組成物の投与が、組成物の1回以上の投与を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記組成物を2回以上投与する、30回以上投与する、50回以上投与する、又は100回以上投与する、請求項
6に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記用量を少なくとも7日間投与する、少なくとも30日間投与する、少なくとも60日間投与する、少なくとも90日間投与する、又は少なくとも6ヶ月間投与する、請求項
7に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記組成物をピル剤、錠剤又はカプセル剤として製剤化する、請求項1~
8のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
前記組成物を経口投与する、請求項1~
9のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記組成物を自己投与する、請求項1~
10のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
対象の神経変性疾患の治療又は予防のための医薬の製造における、ニコチンアミドリボシド
、プテロスチルベン
並びに薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤からなる組成物の使用であって、該組成物が、
1日あたり500mg
~1500mgのニコチンアミドリボシド
の用量、及び
1日あたり100mg
~500mgのプテロスチルベン
の用量で、対象に毎日投与可能に製剤化されている、使用。
【請求項13】
対象の神経変性疾患の治療、そのリスクの低下、又はその兆候の有病率の低減のための医薬の製造における、ニコチンアミドリボシド
、プテロスチルベン
並びに薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤からなる組成物の使用であって、該組成物が、
1日あたり500mg
~1500mgのニコチンアミドリボシド
の用量、及び
1日あたり100mg
~500mgのプテロスチルベン
の用量で、対象に毎日投与可能に製剤化されている、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、包括的に、神経変性障害を治療するための組成物及び方法に関する。本発明の実施形態は、神経変性障害を治療するためのニコチンアミドリボシド及びプテロスチルベン組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
神経変性障害はよく見られ、多くの場合この障害を有する人々を大きく抑制する症状を生じ得る。神経変性障害はさまざまに現れるが、しばしば振戦、悪い姿勢、認知症、記憶喪失及び言語障害のような症状を生ずる。多くの場合、神経変性障害は運動能力を低下させる。特定の障害は遺伝性であるか、又は環境要因に起因し得る。パーキンソン病のような特定の障害はプリオンに起因し得る。
【0003】
これらの神経変性障害の従来の治療では、障害を治療したり、症状を十分に緩和することはできなかった。例えば、ドーパミン作動性ニューロンの死を減少させると、満足感と共に運動機能において重要な役割を発揮するドーパミンの身体本来の産生が維持され得る。パーキンソン病のような特定の障害は、ドーパミンの前駆体であり、ヒト脳中のドーパミン濃度を上昇させるレボドパ(L-DOPA)を投与する治療に頼っている。
【0004】
幾つかの哺乳動物サーチュイン酵素のSIRT1~7は、複数の組織において代謝ホメオスタシスを維持する際に重要な役割を果たす。SIRT1~7は特有の酵素活性、組織及び細胞内局在化を発揮し、アンチエージングタンパク質として特徴づけられている。サーチュインは、栄養状態の変化を代謝的適応に翻訳することにより機能する。
【0005】
サーチュイン1(SIRT1)は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)依存性脱アセチル化酵素である。SIRT1は、p53依存性プロセス、転写調節、筋肉分化、脂肪生成、及びニューロン及びその軸索の退化からの保護を仲介する。SIRT1は、初期胚発生、神経発生及び心臓発生にも関与する。
【0006】
サーチュイン2(SIRT2)は、NAD+の切断及びタンパク質基質の脱アセチル化を固く結びつける進化的に保存されたNAD+依存性ヒストン/タンパク質脱アセチル化酵素である。
【0007】
理論に束縛されないが、サーチュイン酵素は、これらの基質タンパク質由来のアセチル基をNAD+のADPリボース部分に移すことにより作用すると考えられている。これは補酵素を切断し、ニコチンアミド及びO-アセチル-ADP-リボースを放出すると考えられている。サーチュインの作用メカニズムは、ヒストンを脱アセチル化し、ヌクレオソーム構造を変化させることによる転写の調節を伴うと見られる。非ヒストンタンパク質はサーチュインにより脱アセチル化され得るとも考えられ得る。NAD+は、代謝ホメオスタシスを調節する重要な補因子であり、サーチュイン脱アセチル化酵素に対する律速基質であると考えられる。特定の神経変性障害に対する従来の治療には薬物の投与及び手術が含まれるが、これらは幾つかの症状を減らすだけである。従来の治療は神経変性障害に対して十分有益な結果を与えることができず、神経変性障害及び/又は神経変性障害の症状に対して改善された治療が必要である。NAD+の身体ホメオスタシスレベルは通常安定しているが、我々は、NAD+前駆体によりNAD+を食事で予想される以上に補充することにより前記レベルを上昇させることができることを知見した。従って、本発明の実施形態及び特許請求の範囲は、普通食としてではなくサプリメント又は活性な医薬成分として、NAD+前駆体及び/又はサーチュインアクチベーターを提供することを意図している。身体、特定の組織又は細胞区画化中のNAD+レベルを上昇させ得る量までNAD+前駆体を添加すると、これらの構造において通常消費されるか又は位置している量よりも有益な効果が得られ得る。
【発明の概要】
【0008】
本明細書中には、式I又は式IIの化合物(例えば、ニコチンアミドリボシド)及び/又は式IIIの化合物(例えば、プテロスチルベン)を含む組成物を対象に対して投与する(例えば、対象に対して経口投与する)ことによる該対象における神経変性疾患又は障害の治療及び/又は予防、及び/又は神経変性疾患又は障害の進行の遅延に関する方法及び組成物が提供されている。神経変性疾患又は障害は、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、認知症、糖尿病、又は加齢に関連する疾患又は障害であり得る。
【0009】
特定の態様において、本明細書中に提供されている方法及び組成物は、式I又は式IIの化合物(例えば、ニコチンアミドリボシド)及び/又は式IIIの化合物(例えば、プテロスチルベン)を含む組成物を対象に対して投与する(例えば、対象に対して経口投与する)ことによる該対象におけるアルツハイマー病の治療及び/又は予防に関する。
【0010】
特定の態様において、本明細書中に提供されている方法及び組成物は、式I又は式IIの化合物(例えば、ニコチンアミドリボシド)及び/又は式IIIの化合物(例えば、プテロスチルベン)を含む組成物を対象に対して投与する(例えば、対象に経口投与する)ことによる該対象におけるハンチントン病の治療及び/又は予防に関する。
【0011】
特定の態様において、本明細書中に提供されている方法及び組成物は、式I又は式IIの化合物(例えば、ニコチンアミドリボシド)及び/又は式IIIの化合物(例えば、プテロスチルベン)を含む組成物を対象に対して投与する(例えば、対象に経口投与する)ことによる該対象におけるパーキンソン病の治療及び/又は予防に関する。
【0012】
本発明では、式I又は式IIの化合物(例えば、ニコチンアミドリボシド)及び/又は式IIIの化合物(例えば、プテロスチルベン)を含む組成物を対象に対して投与する(例えば、対象に対して経口投与する)ことにより該対象における神経変性障害を治療する、そのリスクを低下させる、及び/又はその兆候(例えば、本明細書中に開示されている兆候)の有病率を低減させる方法も提供する。神経変性疾患の兆候は、振戦、安静時振戦、運動緩慢、NAD+含量、サーチュイン活性、四肢硬直、レビー小体、姿勢の不安定、すくみ足、小字症、乏しい顔の表情、制御不能な動き、異常に速い又は遅い動作、前屈姿勢、ジストニア、損なわれた細かい運動の器用さ、損なわれた運動協調性、損なわれた総合的運動協調性、弱い腕振り、アカシジア、言語障害、声のか弱さ又は不明瞭な話し方、嚥下困難、性機能障害、筋痙攣、よだれ、過剰な唾液、嗅覚喪失、便秘、REM行動障害、気分障害、起立性低血圧、睡眠障害、視覚障害、疲労、エネルギーロス、憂鬱、記憶の問題のような認知機能の問題、減退した思考力、錯乱、ドーパミン作動性ニューロンの死、低下したドーパミン濃度、プリオン発生、又は認知症であり得る。
【0013】
本明細書中に記載されている組成物及び方法の特定の実施形態では、組成物は、式I又は式IIの化合物(例えば、ニコチンアミドリボシド)(例えば、少なくとも50mg、少なくとも75mg、少なくとも100mg、少なくとも125mg、少なくとも150mg、少なくとも175mg、少なくとも200mg、少なくとも225mg、少なくとも250mg、少なくとも275mg、少なくとも300mg、少なくとも325mg、少なくとも350mg、少なくとも375mg、少なくとも400mg、少なくとも425mg、少なくとも450mg、少なくとも475mg、少なくとも500mg、少なくとも525mg、少なくとも550mg、少なくとも575mg、少なくとも600mg、少なくとも625mg、少なくとも650mg、少なくとも675mg、少なくとも700mg、少なくとも725mg、少なくとも750mg、少なくとも775mg、少なくとも800mg、少なくとも825mg、少なくとも850mg、少なくとも875mg、少なくとも900mg、少なくとも925mg、少なくとも950mg、少なくとも975mg、少なくとも1000mg、少なくとも1050mg、少なくとも1100mg、少なくとも1150mg、少なくとも1200mg、少なくとも1250mg、少なくとも1300mg、少なくとも1350mg、少なくとも1400mg、少なくとも1450mg、又は少なくとも1500mgの式I又は式IIの化合物(例えば、ニコチンアミドリボシド))を含む。幾つかの実施形態では、組成物は、式IIIの化合物(例えば、プテロスチルベン)(例えば、少なくとも15mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも35mg、少なくとも40mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも55mg、少なくとも60mg、少なくとも65mg、少なくとも70mg、少なくとも75mg、少なくとも80mg、少なくとも85mg、少なくとも90mg、少なくとも95mg、少なくとも100mg、少なくとも125mg、少なくとも150mg、少なくとも200mg、少なくとも225mg、少なくとも250mg、少なくとも275mg、少なくとも300mg、少なくとも325mg、少なくとも350mg、少なくとも375mg、少なくとも400mg、少なくとも425mg、少なくとも450mg、少なくとも475mg、少なくとも500mg、少なくとも525mg、少なくとも550mg、少なくとも575mg、少なくとも600mg、少なくとも650mg、少なくとも675mg、少なくとも700mg、少なくとも725mg、少なくとも750mg、少なくとも775mg、少なくとも800mg、少なくとも825mg、少なくとも850mg、少なくとも875mg、少なくとも900mg、少なくとも925mg、少なくとも950mg、少なくとも975mg、又は少なくとも1000mgの式IIIの化合物(例えば、プテロスチルベン))を含む。特定の実施形態では、組成物は、式I又は式IIの化合物(例えば、ニコチンアミドリボシド)(例えば、少なくとも50mg、少なくとも75mg、少なくとも100mg、少なくとも125mg、少なくとも150mg、少なくとも175mg、少なくとも200mg、少なくとも225mg、少なくとも250mg、少なくとも275mg、少なくとも300mg、少なくとも325mg、少なくとも350mg、少なくとも375mg、少なくとも400mg、少なくとも425mg、少なくとも450mg、少なくとも475mg、少なくとも500mg、少なくとも525mg、少なくとも550mg、少なくとも575mg、少なくとも600mg、少なくとも650mg、少なくとも675mg、少なくとも700mg、少なくとも725mg、少なくとも750mg、少なくとも775mg、少なくとも800mg、少なくとも825mg、少なくとも850mg、少なくとも875mg、少なくとも900mg、少なくとも925mg、少なくとも950mg、少なくとも975mg、少なくとも1000mg、少なくとも1050mg、少なくとも1100mg、少なくとも1150mg、少なくとも1200mg、少なくとも1250mg、少なくとも1300mg、少なくとも1350mg、少なくとも1400mg、少なくとも1450mg、又は少なくとも1500mgの式I又は式IIの化合物(例えば、ニコチンアミドリボシド))、及び式IIIの化合物(例えば、プテロスチルベン)(例えば、少なくとも15mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも35mg、少なくとも40mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも55mg、少なくとも60mg、少なくとも65mg、少なくとも70mg、少なくとも75mg、少なくとも80mg、少なくとも85mg、少なくとも90mg、少なくとも95mg、少なくとも100mg、少なくとも125mg、少なくとも150mg、少なくとも200mg、少なくとも225mg、少なくとも250mg、少なくとも275mg、少なくとも300mg、少なくとも325mg、少なくとも350mg、少なくとも375mg、少なくとも400mg、少なくとも425mg、少なくとも450mg、少なくとも475mg、少なくとも500mg、少なくとも525mg、少なくとも550mg、少なくとも575mg、少なくとも600mg、少なくとも650mg、少なくとも675mg、少なくとも700mg、少なくとも725mg、少なくとも750mg、少なくとも775mg、少なくとも800mg、少なくとも825mg、少なくとも850mg、少なくとも875mg、少なくとも900mg、少なくとも925mg、少なくとも950mg、少なくとも975mg、又は少なくとも1000mgの式IIIの化合物(例えば、プテロスチルベン))を含む。
【0014】
特定の実施形態では、方法は組成物を複数回投与することを含む。幾つかの実施形態では、組成物を少なくとも7回投与する。幾つかの実施形態では、組成物を少なくとも30回投与する。幾つかの実施形態では、組成物を少なくとも60回以上投与する。幾つかの実施形態では、各用量は、少なくとも50mg、少なくとも75mg、少なくとも100mg、少なくとも125mg、少なくとも150mg、少なくとも175mg、少なくとも200mg、少なくとも225mg、少なくとも250mg、少なくとも275mg、少なくとも300mg、少なくとも325mg、少なくとも350mg、少なくとも375mg、少なくとも400mg、少なくとも425mg、少なくとも450mg、少なくとも475mg、少なくとも500mg、少なくとも525mg、少なくとも550mg、少なくとも575mg、少なくとも600mg、少なくとも650mg、少なくとも675mg、少なくとも700mg、少なくとも725mg、少なくとも750mg、少なくとも775mg、少なくとも800mg、少なくとも825mg、少なくとも850mg、少なくとも875mg、少なくとも900mg、少なくとも925mg、少なくとも950mg、少なくとも975mg、少なくとも1000mg、少なくとも1050mg、少なくとも1100mg、少なくとも1150mg、少なくとも1200mg、少なくとも1250mg、少なくとも1300mg、少なくとも1350mg、少なくとも1400mg、少なくとも1450mg、又は少なくとも1500mgの式I又は式IIの化合物(例えば、ニコチンアミドリボシド)を含む。幾つかの実施形態では、各用量は、少なくとも15mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも35mg、少なくとも40mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも55mg、少なくとも60mg、少なくとも65mg、少なくとも70mg、少なくとも75mg、少なくとも80mg、少なくとも85mg、少なくとも90mg、少なくとも95mg、少なくとも100mg、少なくとも125mg、少なくとも150mg、少なくとも200mg、少なくとも225mg、少なくとも250mg、少なくとも275mg、少なくとも300mg、少なくとも325mg、少なくとも350mg、少なくとも375mg、少なくとも400mg、少なくとも425mg、少なくとも450mg、少なくとも475mg、少なくとも500mg、少なくとも525mg、少なくとも550mg、少なくとも575mg、少なくとも600mg、少なくとも650mg、少なくとも675mg、少なくとも700mg、少なくとも725mg、少なくとも750mg、少なくとも775mg、少なくとも800mg、少なくとも825mg、少なくとも850mg、少なくとも875mg、少なくとも900mg、少なくとも925mg、少なくとも950mg、少なくとも975mg、又は少なくとも1000mgの式IIIの化合物(例えば、プテロスチルベン)を含む。
【0015】
特定の実施形態では、各用量は、少なくとも50mg、少なくとも75mg、少なくとも100mg、少なくとも125mg、少なくとも150mg、少なくとも175mg、少なくとも200mg、少なくとも225mg、少なくとも250mg、少なくとも275mg、少なくとも300mg、少なくとも325mg、少なくとも350mg、少なくとも375mg、少なくとも400mg、少なくとも425mg、少なくとも450mg、少なくとも475mg、少なくとも500mg、少なくとも525mg、少なくとも550mg、少なくとも575mg、少なくとも600mg、少なくとも650mg、少なくとも675mg、少なくとも700mg、少なくとも725mg、少なくとも750mg、少なくとも775mg、少なくとも800mg、少なくとも825mg、少なくとも850mg、少なくとも875mg、少なくとも900mg、少なくとも925mg、少なくとも950mg、少なくとも975mg、少なくとも1000mg、少なくとも1050mg、少なくとも1100mg、少なくとも1150mg、少なくとも1200mg、少なくとも1250mg、少なくとも1300mg、少なくとも1350mg、少なくとも1400mg、少なくとも1450mg、又は少なくとも1500mgの式I又は式IIの化合物(例えば、ニコチンアミドリボシド)、及び少なくとも15mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも35mg、少なくとも40mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも55mg、少なくとも60mg、少なくとも65mg、少なくとも70mg、少なくとも75mg、少なくとも80mg、少なくとも85mg、少なくとも90mg、少なくとも95mg、少なくとも100mg、少なくとも125mg、少なくとも150mg、少なくとも200mg、少なくとも225mg、少なくとも250mg、少なくとも275mg、少なくとも300mg、少なくとも325mg、少なくとも350mg、少なくとも375mg、少なくとも400mg、少なくとも425mg、少なくとも450mg、少なくとも475mg、少なくとも500mg、少なくとも525mg、少なくとも550mg、少なくとも575mg、少なくとも600mg、少なくとも650mg、少なくとも675mg、少なくとも700mg、少なくとも725mg、少なくとも750mg、少なくとも775mg、少なくとも800mg、少なくとも825mg、少なくとも850mg、少なくとも875mg、少なくとも900mg、少なくとも925mg、少なくとも950mg、少なくとも975mg、又は少なくとも1000mgの式IIIの化合物(例えば、プテロスチルベン)を含む。
【0016】
特定の実施形態では、組成物の用量をある期間にわたり定期的に投与する。幾つかの実施形態では、組成物の用量を週に少なくとも1回投与する。幾つかの実施形態では、組成物の用量を週に少なくとも2回投与する。特定の実施形態では、組成物の用量を週に少なくとも3回投与する。幾つかの実施形態では、組成物の用量を1日に少なくとも1回投与する。幾つかの実施形態では、組成物の用量を1日に少なくとも2回投与する。幾つかの実施形態では、組成物の用量を少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1ヵ月間、少なくとも2ヵ月間、少なくとも3ヵ月間、少なくとも4ヵ月間、少なくとも5ヵ月間、少なくとも6ヵ月間、又は少なくとも1年間投与する。幾つかの実施形態では、組成物の投与は、組成物の1回以上の投与を含む。幾つかの実施形態では、組成物の投与は、組成物の1回以上、5回以上、10回以上、20回以上、30回以上、40回以上、50回以上、100回以上、又は1000回以上の投与を含む。本明細書中に開示されている組成物は、患者に対して有毒となることなく、特定の患者、組成物及び投与モードにとって所望の治療応答を達成させるのに有効な任意の期間にわたり投与され得る。期間は、少なくとも1日間、少なくとも10日間、少なくとも20日間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも3か月間、少なくとも6か月間、少なくとも1年間、少なくとも3年間、少なくとも5年間、又は少なくとも10年間であり得る。用量は、必要な時に散発的に、又は定期的に投与され得る。例えば、用量を月1回、週1回、1週間おきに、2週間おきに、3週間おきに、1日1回、又は1日2回投与し得る。
【0017】
特定の実施形態では、組成物は経口デリバリー用に製剤化される。幾つかの実施形態では、組成物はピル剤、錠剤又はカプセル剤として製剤化される。幾つかの実施形態では、組成物を経口投与する。特定の実施形態では、組成物を自己投与する。
【0018】
幾つかの実施形態は、治療有効量のニコチンアミドリボシド及び治療有効量のプテロスチルベンの組合せ;及び薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を含み得、前記組合せは神経変性障害の治療のために治療有効量で存在している。
【0019】
特定の実施形態は、方法は、神経変性障害の治療を要する患者における神経変性障害の治療のための治療有効量のニコチンアミドリボシド及び治療有効量のプテロスチルベンの組合せの投与を含み得る。多くの場合、治療有効量のニコチンアミドリボシドを得るためにニコチンアミドリボシドの前駆体を使用し得る。幾つかの実施形態では、有効量のニコチンアミドリボシドを得るためにニコチンアミドリボシドの前駆体を使用し得る。
【0020】
幾つかの実施形態は、神経変性障害を治療するための経口製剤及び方法を含み得る。特定の実施形態では、組成物は、治療有効量のニコチンアミドリボシド、治療有効量のプテロスチルベン、又は両方を含有し得る。特定の実施形態では、組成物はニコチンアミドリボシド及びプテロスチルベンを含み得る。特定の実施形態では、方法は、治療有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンを投与することを含み得る。特定の実施形態では、方法は、治療有効量のニコチンアミドリボシドとプテロスチルベンの組合せを経口投与することを含み得る。特定の実施形態では、方法は、神経変性障害を治療するために治療有効量のニコチンアミドリボシドとプテロスチルベンの組合せを経口投与することを含み得る。
【0021】
特定の実施形態では、組成物は、治療有効量のニコチンアミドリボシド、治療有効量のプテロスチルベン、又は両方を含有し得る。特定の実施形態では、方法は、有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンを投与することを含み得る。
【0022】
特定の実施形態では、ニコチンアミドリボシドは約100mg~約1000mg/日の量で投与され得る。ニコチンアミドリボシドはプテロスチルベンと組み合わせて投与され得、プテロスチルベンは約25mg~約500mg/日の量で投与され得る。
【0023】
特定の実施形態では、ニコチンアミドリボシドは約200mg~約700mg/日の量で投与され得る。ニコチンアミドリボシドはプテロスチルベンと組み合わせて投与され得、プテロスチルベンは約25mg~約250mg/日の量で投与され得る。
【0024】
特定の実施形態では、ニコチンアミドリボシドは約250mg/日の量で投与され得る。ニコチンアミドリボシドはプテロスチルベンと組み合わせて投与され得、プテロスチルベンは約25mg~約250mg/日の量で投与され得る。特定の実施形態では、ニコチンアミドリボシドは約250mg/日の量で投与され得る。ニコチンアミドリボシドはプテロスチルベンと組み合わせて投与され得、プテロスチルベンは約50mg/日の量で投与され得る。
【0025】
特定の実施形態は、ヒトのサーチュイン活性を上昇さるための治療有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンの投与を含み得る。特定の実施形態は、ヒトの脳サーチュイン活性を上昇させるための治療有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンの投与を含み得る。
【0026】
特定の実施形態は、細胞NAD+濃度を増加させるための治療有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンの投与を含み得る。特定の実施形態は、筋肉NAD+濃度を増加させるための治療有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンの投与を含み得る。特定の実施形態は、脳NAD+濃度を増加させるための治療有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンの投与を含み得る。特定の実施形態は、ミトコンドリアNAD+濃度を増加させるための治療有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンの投与を含み得る。特定の実施形態は、ヒトにおけるNAD+濃度の増加を含み得る。
【0027】
特定の実施形態は、治療有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンを含み得るサーチュイン活性化組成物を含む。
【0028】
特定の実施形態は、非限定的に例示されるドーパミンのような特定の神経伝達物質の取り込みを増加させるための治療有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンの投与を含み得る。
【0029】
特定の実施形態は、正常又は健康な細胞NAD+濃度を維持するための有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンの投与を含み得る。特定の実施形態は、正常又は健康な脳NAD+濃度を維持するための有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンの投与を含み得る。特定の実施形態は、正常又は健康な脳NAD+濃度を維持するための有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンの投与を含み得る。特定の実施形態は、正常又は健康なミトコンドリアNAD+濃度を維持するための有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンの投与を含み得る。特定の実施形態は、ヒトにおけるNAD+濃度の上昇を含み得る。特定の実施形態は、ヒトにおける正常又は健康なNAD+濃度の維持を含み得る。
【0030】
特定の実施形態は、有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンを含み得、サーチュイン活性の正常又は健康レベルを維持するサーチュイン活性化組成物を含む。特定の実施形態は、ヒトにおけるサーチュイン活性の上昇を含み得る。特定の実施形態は、ヒトにおける正常又は健康なサーチュイン活性の維持を含み得る。
【0031】
特定の実施形態は、非限定的に例示されるドーパミンのような神経伝達物質の正常又は健康な取り込みを維持するための有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンの投与を含み得る。特定の実施形態は、ヒトにおける神経伝達物質の取り込みの増加を含み得る。特定の実施形態は、ヒトにおける神経伝達物質の正常又は健康な取り込みの維持を含み得る。
【0032】
特定の実施形態は、有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンを含み、前記組成物は細胞解毒の正常又は健康レベルを維持する。特定の実施形態は、ヒトにおける細胞解毒の増加を含み得る。特定の実施形態は、ヒトにおける正常又は健康な細胞解毒の維持を含み得る。
【0033】
幾つかの実施形態は、治療有効量のニコチンアミドモノヌクレオチド及び治療有効量のε-ビニフェリン;及び薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を含み得、前記組成物は神経変性障害の治療のために治療有効量で存在している。
【0034】
特定の実施形態は、神経変性障害の治療を要する患者における神経変性障害の治療のために治療有効量のニコチンアミドモノヌクレオチド及び治療有効量のε-ビニフェリンを投与することを含む方法を含み得る。
【0035】
特定の実施形態は、治療有効量のニコチンアミドモノヌクレオチド及び治療有効量のナイアシン;及び薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を含み得、前記組成物は神経変性障害のために治療有効量で存在している。
【0036】
幾つかの実施形態は、神経変性障害の治療を要する患者における神経変性障害の治療のために治療有効量のニコチンアミドモノヌクレオチド及び治療有効量のナイアシンを投与することを含む方法を含み得る。
【0037】
幾つかの実施形態は、治療有効量のニコチンアミドリボシド及び治療有効量のε-ビニフェリン;及び薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を含み得、前記組成物は神経変性障害の治療のために治療有効量で存在している。
【0038】
幾つかの実施形態は、神経変性障害の治療を要する患者における神経変性障害の治療のために治療有効量のニコチンアミドリボシド及び治療有効量のε-ビニフェリンを投与することを含む方法を含み得る。
【0039】
幾つかの実施形態は、治療有効量のニコチンアミドリボシド及び治療有効量のレスベラトロール;及び薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を含み得、前記組成物は神経変性障害の治療のために治療有効量で存在している。
【0040】
幾つかの実施形態は、神経変性障害の治療を要する患者における神経変性障害の治療のために治療有効量のニコチンアミドリボシド及び治療有効量のレスベラトロールを投与することを含む方法を含み得る。
【0041】
幾つかの実施形態は、サーチュイン脱アセチル化酵素発現を調節するために使用される本明細書中に記載されている組成物を含み得る。
【0042】
特定の実施形態は、本明細書中に記載されている神経変性障害を治療するためのニコチンアミドリボシド、プテロスチルベン又はその組み合わせを含む医薬組成物を含み得る。特定の実施形態では、組成物は治療有効量のニコチンアミドリボシドを含み得る。特定の実施形態では、組成物は治療有効量のプテロスチルベンを含み得る。特定の実施形態では、組成物を連日投与し、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも2週間、最も好ましくは少なくとも1か月間投与し得る。
【0043】
特定の実施形態は、本明細書中に記載されている神経変性障害のリスクを低下させるためのニコチンアミドリボシド、プテロスチルベン又はその組み合わせを含むダイエタリーサプリメント組成物を含み得る。特定の実施形態は、本明細書中に記載されている神経変性障害の兆候のリスクを低下させるためのニコチンアミドリボシド、プテロスチルベン又はその組み合わせを含むダイエタリーサプリメント組成物を含み得る。特定の実施形態では、組成物は有効量のニコチンアミドリボシドを含み得る。特定の実施形態では、組成物は有効量のプテロスチルベンを含み得る。特定の実施形態では、組成物を連日投与し、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも2週間、最も好ましくは少なくとも1か月間投与し得る。
【0044】
特定の実施形態では、本明細書中に記載されている組成物は診断及び/又は予測目的で使用され得る。前記実施形態では、神経変性障害を呈している患者において本明細書中に記載されている組成物を投与し、公知NAD+レベルと比較した後、血液及び/又は脳NAD+レベルの差を調べる。この差は診断及び/又は予測目的で使用される基準レベルと比較され得る。NAD+脳レベルは31P磁気共鳴分光法を用いて測定され得る。
【0045】
特定の実施形態では、医薬組成物は治療有効量のニコチンアミドリボシドとプテロスチルベンの組合せを含み得る。医薬組成物はソフトゲルカプセル剤又はハードシェルカプセル、又は錠剤のような他の固体形態であり得る。特定の実施形態では、医薬組成物は約250mgのニコチンアミドリボシド及び約50mgのプテロスチルベンを含有し得る。医薬組成物は1日1回以上投与され得る。特定の実施形態では、組成物を1日2回投与し得る。医薬組成物を1日2回投与する幾つかの実施形態では、組成物は約125mgのニコチンアミドリボシド及び約25mgのプテロスチルベンを含有し得る。特定の実施形態では、ニコチンアミドリボシド及びプテロスチルベンを含むコンパウンド、組成物又は医薬組成物は経口製剤として作製され得る。
【0046】
本発明の追加の特徴、作用効果及び実施形態は、以下の詳細説明及び特許請求の範囲に記載されており、又はこれらから明らかとなる。更に、これまでの開示及びこの後の記載は例示であり、特許請求の範囲に記載されているいずれの発明の範囲も限定することなく更なる説明を与えると意図されている。
【0047】
I.定義
用語「患者」、「対象」、「個人」又は「宿主」は、ヒト又は非ヒト動物を指す。
【0048】
用語「治療する」及び「改善させる」は、神経変性障害及び/又は神経変性障害の兆候を投与後治癒する、軽減させる、減少させる、改善させる、緩和させる、一時的に緩和させる、予防する、及び/又は逆転させることを意味する。「治療する」及び「改善させる」は、神経変性障害の兆候のリスクの低下をも意味し得る。「治療する」及び「改善させる」は、神経変性障害の兆候が発現するリスクの低下をも意味し得る。神経変性障害の兆候を治癒する、軽減させる、減少させる、改善させる、緩和させる、一時的に緩和させる、予防する、及び/又は逆転させるとは、ダイエタリーサプリメントからの所望の治療効果又は所望効果の達成と見なされ得る。神経変性障害の兆候には、安静時振戦を含む振戦、運動緩慢、非限定的に例示される細胞NAD+含量のようなNAD+含量、サーチュイン活性、四肢硬直、レビー小体、姿勢の不安定、すくみ足、小字症、乏しい顔の表情、異常に速い又は遅い動きを含む制御不能な動き、前屈姿勢、ジストニア、損なわれた細かい運動の器用さ及び運動協調性、損なわれた総合的な運動協調性、弱い腕振り、アカシジア、言語障害、声のか弱さ又は不明瞭な話し方、嚥下困難、性機能障害、筋痙攣、よだれ、過剰な唾液、嗅覚喪失、便秘、REM行動障害、気分障害、起立性低血圧、睡眠障害、視覚障害、疲労、エネルギーロス、憂鬱、記憶の問題のような認識の問題、減退した思考力、錯乱、ドーパミン作動性ニューロンの死、低いドーパミン濃度、プリオン発生及び認知症が含まれ得る。「治療する」、「治療」、「改善させる」及び「改善」は互換可能に使用され得、本明細書中で使用されているその意味は当業者に明白であろう。「治療する」及び「改善させる」は、患者に対して投与される1つ以上の他の薬物の減少又は排除をも指し得、その薬物が神経変性障害又は神経変性障害の兆候を治癒する、軽減させる、減少させる、改善させる、緩和させる、一時的に緩和させる、予防する、及び/又は逆転させることを意図している
【0049】
本明細書中で使用されている用語「治療有効な」は、所望の治療結果を生じさせるのに必要なニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベン、又はその均等物の量を指す。特定の実施形態では、ニコチンアミドリボシドに代えて、ニコチンアミドモノヌクレオチド、ナイアシンアミド、ニコチンアミド、ニコチン酸及び/又はナイアシンを使用し得る。特定の実施形態では、ニコチンアミドリボシド、ニコチンアミドモノヌクレオチド及び/又はナイアシンの組合せを使用し得る。特定の実施形態では、プテロスチルベンの代わりにε-ビニフェリン及び/又はレスベラトロールを使用し得る。特定の実施形態では、プテロスチルベン、ε-ビニフェリン及び/又はレスベラトロールの組合せを使用し得る。
【0050】
本明細書中で使用されている用語「有効な」は、所望の治療結果を生じさせるのに必要なニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベン、又はそれらの均等物の量を指し得る。特定の実施形態では、有効量は、神経変性障害の兆候の正常又は健康レベルを維持するという結果を達成する量であり得る。特定の実施形態では、有効量は、神経変性障害の兆候のリスクを減らすのに必要なニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベン、又はそれらの均等物の量を指し得る。「有効な」量は、特定組成物に応じて、「治療有効」量をも包含し得る。これらの用語の意味は、これらが使用されている特許請求の範囲及び内容を考えるときに当業者には自明であろう。
【0051】
本明細書中で使用されている用語「薬学的に許容される担体」は、任意の当該組成物又はその成分を運搬又は輸送する際に関与する薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクル、例えば液体又は固体増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又はカプセル化材を指す。
【0052】
本明細書中で使用されている用語「許容される担体」は、任意の当該組成物又はその成分を運搬又は輸送する際に関与する許容される材料、組成物又はビヒクル、例えば液体又は固体増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又はカプセル化材を指し得る。
【0053】
本明細書中で使用されている「薬学的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、又は他の問題若しくは合併症なしにヒト及び動物の組織、臓器及び/又は体液と接触させて使用するのに適しており、合理的なベネフィット/リスク比で釣り合うコンパウンド、材料、組成物及び/又は剤形を指す。
【0054】
本明細書中で使用されている「立体異性体」は、同一の分子式及び結合原子の順序(構成)を有するが、空間中の原子の三次元配向の点で異なる異性体分子を指す。立体異性体の例には、エナンチオマー及びジアステレンマーが含まれる。本明細書中で使用されている「エナンチオマー」は、光学的に活性な又はキラルな分子の2つの鏡像形態の1つを指す。ラセミ混合物は光学的に活性な又はキラルな分子の両形態を含有している。ジアステレオマー(又は、ジアステレオ異性体)は、エナンチオマーではない立体異性体(相互に重ね合わせることができない鏡像)である。キラルな分子は立体中心又はステレオジェン中心とも称されるキラル中心を含有しており、この中心は必ずしも原子を介してではないが、任意の2つの基の交換により立体異性体が生ずるような基を有する分子中のいずれかの点である。有機化合物の場合、キラル中心は典型的には炭素原子であるが、他の原子が有機及び無機化合物中の立体中心となることも可能である。分子は複数の立体中心を有し得、多くの立体異性体を生ずる。四面体ステレンジェン中心(例えば、四面体炭素)のために立体異性を有している化合物の場合、仮説的に可能な立体異性体の総数は2nを超えないであろう。ここで、nは四面体立体中心の数である。対称を有する分子は、多くの場合、最大可能数よりも少ない立体異性体を有する。エナンチオマーの混合物はラセミ混合物と称され、この混合物は典型的には50:50であるが、製造方法により異なり得る。エナンチオマー混合物は、1つのエナンチオマーが50%を超える量で存在するようにエナンチオマー的に濃縮され得る。エナンチオマー及び/又はジアステレオマーは当業界で公知の技術を用いて分割又は分離され得る。
【0055】
本明細書中で使用されている「置換されている」は、本明細書中に記載されている化合物又は官能基のすべての許容される置換基を指す。許容される置換基には、有機化合物の非環式及び環式、分枝状及び非分枝状、炭素環式及びヘテロ環式、芳香族及び非芳香族置換基が含まれ得る。例示的置換基には、ハロゲン、ヒドロキシル基、又は1~14個の炭素原子であり得る炭素原子数を含有し、任意選択的に直鎖、分枝又は環状構造形態で1個以上のヘテロ原子、例えば酸素、硫黄又は窒素基を含む他の有機基が含まれるが、これらに限定されない。代表的置換基には、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、置換アルコキシ、フェノキシ、置換フェノキシ、アロキシ、置換アロキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、フェニルチオ、置換フェニルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、シアノ、イソシアノ、置換イソシアノ、カルボニル、置換カルボニル、カルボキシル、置換カルボキシル、アミノ、置換アミノ、アミド、置換アミド、スルホニル、置換スルホニル、スルホン酸、ホスホリル、置換ホスホリル、ホスホニル、置換ホスホニル、ポリアリール、置換ポリアリール、C3-C20サイクリック、置換C3-C20サイクリック、ヘテロサイクリック、置換ヘテロサイクリック、アミノ酸、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ペプチド及びポリペプチド基が含まれる。前記したアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、置換アルコキシ、フェノキシ、置換フェノキシ、アロキシ、置換アロキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、フェニルチオ、置換フェニルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、シアノ、イソシアノ、置換イソシアノ、カルボニル、置換カルボニル、カルボキシル、置換カルボキシル、アミノ、置換アミノ、アミド、置換アミド、スルホニル、置換スルホニル、スルホン酸、ホスホリル、置換ホスホリル、ホスホニル、置換ホスホニル、ポリアリール、置換ポリアリール、C3-C20サイクリック、置換C3-C20サイクリック、ヘテロサイクリック、置換ヘテロサイクリック、アミノ酸、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ペプチド及びポリペプチド基は更に置換され得る。
【0056】
窒素のようなヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たす本明細書中に記載されている有機化合物の水素置換基及び/又は許容される任意の置換基を有し得る。「置換」又は「置換されている」には、その置換が置換される原子及び置換基の許容される原子価に従い、その置換により安定な化合物、すなわち例えば転位、環化、脱離等により変換を自然に受けない化合物を生ずるという暗黙の条件を含むと理解されたい。
【0057】
用語「アルキル」は、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換されているシクロアルキル基、及びシクロアルキル置換されているアルキル基を含む飽和脂肪族基のラジカルを指す。
【0058】
用語「製剤」は、「組成物」、「ダイエタリーサプリメント」及び/又は「活性薬剤」と互換可能に使用され得る。特定の実施形態では、製剤は、組成物及び/又は活性薬剤、及び非限定的に例示される賦形剤のような本明細書中に記載されている実施形態の他の態様の組合せを意味し得る。特定の実施形態では、製剤は、組成物及び/又はダイエタリーサプリメント、及び非限定的に例示される許容される担体のような本明細書中に記載されている実施形態の他の態様の組合せを意味し得る。これらの用語の意味は特許請求の範囲における内容及びその使用に基づいて当業者に自明であろう。
【0059】
用語「ダイエタリーサプリメント」は、非限定的に例示されるニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンのような1つ以上のダイエタリー成分を含む、食事を補うように意図されている製品を指す。ダイエタリーサプリメントは、錠剤、カプセル剤、散剤、ソフトゲル剤、ゲルキャップ剤、液剤、又は本明細書中に記載されている他の投与形態で摂取するために意図されており、既存の食品として、又は食べ物又は食事の唯一品目として表されず、ダイエタリーサプリメントとしてラベル付けされている製品に限定される。幾つかの実施形態では、ダイエタリーサプリメントは、ヒト食事に加えて存在する組成物であり得、前記組成物は本明細書中に開示されているように投与され、天然又は従来の食べ物、肉、又は食物フレバリング若しくはエキストラクト、又は医薬品ではなく、神経変性障害の兆候の改善のような所望の効果を達成する。
【0060】
幾つかの実施形態では、直鎖又は分枝鎖アルキルは、その骨格中に30個以下(例えば、直鎖の場合C1-C30、分枝鎖の場合C3-C30)、20個以下、15個以下、又は10個以下の炭素原子を有する。同様に、幾つかのシクロアルキルは、その環構造中に3~10個の炭素原子を有し、環構造中に5、6又は7個の炭素を有し得る。明細書、実施例及び特許請求の範囲を通じて使用されている用語「アルキル」(又は、「低級アルキル」)には、「未置換アルキル」及び「置換アルキル」の両方が含まれ、後者は炭化水素骨格の1個以上の炭素上の水素の代わりに1個以上の置換基を有しているアルキル部分を指す。前記置換基には、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル又はアシル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセテート又はチオホルメート)、アルコキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アルアルキル、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族部分;-NRR’、ここでR及びR’は独立して水素、アルキル又はアリールであり、窒素原子は任意選択的に4級化されている;-SR、ここでRは水素、アルキル又はアリールである;-CN;-NO2;-COOH;カルボキシレート;-COR、-COOR又は-CON(R)2、ここでRは水素、アルキル又はアリールである;アジド、アルアルキル、アルコキシル、イミノ、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、エーテル、スルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクリル、芳香族又はヘテロ芳香族部分、ハロアルキル(例えば、-CF3、-CH2-CF3、-CCl3);-CN;-NCOCOCH2CH2;-NCOCOCHCH;-NCS;及びその組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
炭素数が別段特定されていない限り、本明細書中で使用されている「低級アルキル」は、上に規定されている通りであるが、骨格構造中に1~10個の炭素又は1~6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。同様に、「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」は同じ鎖長を有する。本明細書を通じて、アルキル基は低級アルキルであり得る。幾つかの実施形態では、本明細書中でアルキルと指定されている置換基は低級アルキルである。
【0062】
適切な場合、炭化水素鎖上で置換されている部分がそれ自体置換され得ることは当業者により理解されるであろう。例えば、置換アルキルの置換基には、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、チオール、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネート及びホスフィネートを含む)、スルホニル(スルフェート、スルホンアミド、スルファモイル及びスルホネートを含む)及びシリル基、並びにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート及びエステルを含む)、-CF3、-CN等が含まれ得る。シクロアルキルは同様に置換され得る。
【0063】
用語「アルケニル」及び「アルキニル」は、長さ及び可能な置換の点で上記したアルキルに類似しているが、それぞれ少なくとも1つの二重結合又は三重結合を含む不飽和脂肪族基を指す。
【0064】
用語「置換アルケニル」は、炭化水素骨格の1個以上の炭素原子上の1個以上の水素原子の代わりに1個以上の置換基を有するアルケニル部分を指す。前記置換基には、ハロゲン、アジド、アルキル、アラアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル又はアシル)、シリル、エーテル、エステル、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセテート又はチオホルメート)、アルコキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ(又は、4級化アミノ)、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アルキルアリール、ハロアルキル、-CN、アリール、ヘテロアリール及びその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
用語「置換アルキニル」は、炭化水素骨格の1個以上の炭素原子上の1個以上の水素原子の代わりに1個以上の置換基を有するアルキニル部分を指す。前記置換基には、ハロゲン、アジド、アルキル、アラアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル又はアシル)、シリル、エーテル、エステル、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセテート又はチオホルメート)、アルコキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ(又は、4級化アミノ)、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アルキルアリール、ハロアルキル、-CN、アリール、ヘテロアリール及びその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
本明細書中で使用されている「アリール」は、C5-C26員の芳香族、縮合芳香族、縮合ヘテロ環式又は二芳香族環系を指す。本明細書中で使用されている「アリール」には、5、6、7、8、9、10、14、18及び24員の単環芳香族基、例えばベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、クリセン、ピレン、コランニュレン、コロネン等が含まれ得る。「アリール」は更に、2個以上の炭素が2つの隣接環で共通している(すなわち、「縮合環」)2つ以上の環式環を有する多環式環系を包含し、環の少なくとも1個が芳香族であり、例えば1つ以上の他の環式環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/又はヘテロ環であり得る。
【0067】
用語「置換アリール」は、1個以上の芳香族環上の1個以上の水素原子が1個以上の置換基で置換されているアリール基を指す。前記置換基には、ハロゲン、アジド、アルキル、アラアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル(例えば、ケトン、アルデヒド、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル又はアシル)、シリル、エーテル、エステル、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセテート又はチオホルメート)、アルコキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ(又は、4級化アミノ)、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、イミノ、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アルキルアリール、ハロアルキル(例えば、CF3、-CH2-CF3、-CCl3)、-CN、アリール、ヘテロアリール及びその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
「ヘテロ環」、「ヘテロ環式」及び「ヘテロシクリル」は互換可能に使用され、3~10個の環原子を含有する単環式又は二環式環の環炭素又は窒素原子を介して結合している環式ラジカルを指し、炭素、及び各々が非ペルオキシド酸素、硫黄及びN(Y)からなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を含み、任意選択的に1~3個の二重結合を含有し、任意選択的に1個以上の置換基で置換されている5~6個の環原子を有し得る。上記Yは存在しないか、又はH、O、C1-C10アルキル、フェニル又はベンジルである。ヘテロシクリルは定義によりヘテロアリールと区別される。ヘテロ環の例には、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、ピラニル、2H-ピロリル、4H-キノリジニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、6H-1,2,5-チアジアジニルが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロ環式基は、任意選択的にアルキル及びアリールに関して上に規定されている置換基の1個以上で置換され得る。
【0069】
用語「ヘテロアリール」は、1個以上の芳香族環構造上の1個以上の炭素原子がヘテロ原子で置換されているC5-C26員の芳香族、縮合芳香族、二芳香族環系又はその組合せを指す。適当なヘテロ原子には、酸素、硫黄及び窒素が含まれるが、これらに限定されない。本明細書中で使用されている広く定義される「ヘテロアリール」には、1~4個のヘテロ原子を含み得る5、6、7、8、9、10、14、18及び24員の単環芳香族基、例えばピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン及びピリミジン等が含まれる。ヘテロアリール基は「アリールヘテロ環」又は「ヘテロ芳香族」とも称され得る。「ヘテロアリール」は更に、2個以上の炭素が2つの隣接環で共通している(すなわち、「縮合環」)2つ以上の環を有する多環式環系を包含し、前記環の少なくとも1個がヘテロ芳香族であり、例えば1つ以上の他の環式環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロ環又はその組合せであり得る。ヘテロアリール環の例には、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベナゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル及びキサンテニルが含まれるが、これらに限定されない。環の1個以上は「置換ヘテロアリール」に関して以下に規定されているように置換され得る。
【0070】
用語「置換ヘテロアリール」は、1個以上のヘテロ芳香族環上の1個以上の水素原子が1個以上の置換基で置換されているヘテロアリール基を指す。前記置換基には、ハロゲン、アジド、アルキル、アラアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル(例えば、ケトン、アルデヒド、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル又はアシル)、シリル、エーテル、エステル、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセテート又はチオホルメート)、アルコキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ(又は、4級化アミノ)、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、イミノ、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アルキルアリール、ハロアルキル(例えば、CF3、-CH2-CF3、-CCl3)、-CN、アリール、ヘテロアリール及びその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
本明細書中で使用されている用語「ヘテロ原子」は、炭素又は水素以外の任意の元素の原子を意味する。ヘテロ原子の例には、窒素、酸素及び硫黄が含まれる。
【0072】
「アナログ」及び「誘導体」は互換可能に使用され得、親化合物と同一のコアを有するが、親化合物とは結合の順序、1個以上の原子及び/又は原子団の不在又は存在、及びその組合せの点で異なる化合物を指す。誘導体は親化合物とは、例えば1個以上の原子、官能基又はサブ構造を含み得るコア上に存在する1個以上の置換基の点で異なり得る。一般的には、誘導体は、少なくとも理論的には親化合物から化学的及び/又は物理的プロセスを介して形成されると考えられ得る。
【0073】
II.組成物
A.活性薬剤
特定の実施形態は活性薬剤を含み得る。活性薬剤は、当業者が理解しているように以下の1つ以上を各種組合せで含み得る。
【0074】
ニコチンアミドリボシド及びプテロスチルベンを含む活性薬剤は治療有効量で患者に対して投与され得、(非限定的に例示されるプテロスチルベンのような)NAD+依存性サーチュインアクチベーター化合物と(非限定的に例示されるニコチンアミドリボシドのような)NAD+濃度を補充し得るNAD+プレカーサーの間で相乗的なプラスの自己強化効果を達成するという予想外に優れた効果を生じる。これらの効果は代謝的・精神的健康を改善し得、よって特定の神経変性障害を減らすか又は解消し、及び/又は神経変性障害の兆候を減らし、解消し、又は緩和する。幾つかの実施形態では、組成物はニコチンアミドリボシド及びプテロスチルベンを治療有効量で含み得、この組成物はニコチンアミドリボシドとプテロスチルベンの間の細胞相乗的効果としてプラスのフィードバックループを形成するという予想外に優れた結果を達成し得、よって、非限定的に例示されるプテロスチルベンのようなSIRT1アクチベーターはNAD+産生にプラスの影響を与え、同時にSIRT1の活性化に加えてSIRT2~6を活性化し得る。本明細書中に記載されている特定の実施形態では、サーチュイン活性の最適レベルを与え、同時にNAD+欠乏を正常化することにより、予想外に優れた結果が達成され得る。
【0075】
本明細書中に記載されている組成物は、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体アルファ(PPAR-α)に対するアゴニストとして作用し得る。PPAR-αアゴニストは、非限定的に例示されるパーキンソン病のような神経変性障害の動物モデルにおいて神経保護効果を発揮し得る。プテロスチルベンは、非限定的に例示されるアルツハイマー病のような神経変性障害の動物モデルにおいて効果を立証し得る。予想外に優れた結果は、本明細書中に記載されている組成物の実施形態の投与の結果として、PPAR-α活性化と共に所定レベルのサーチュイン活性を与えることにより達成され得る。
【0076】
B.ダイエタリーサプリメント
特定の実施形態はダイエタリーサプリメントを含み得る。ダイエタリーサプリメントは、当業者が理解しているように以下の1つ以上を各種組合せで含み得る。
【0077】
ニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンを有効量で含むダイエタリーサプリメントは、NAD+濃度の正常又は健康レベルを維持し、サーチュイン活性の正常又は健康レベルを維持し得、及び/又は個人において細胞解毒の正常又は健康レベルを維持し得る。ニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンを含むダイエタリーサプリメントは有効量で個人に対して投与され得、(非限定的に例示されるプテロスチルベンのような)NAD+依存性サーチュインアクチベーター化合物と(非限定的に例示されるニコチンアミドリボシドのような)NAD+濃度を補充し得るNAD+プレカーサーの間で相乗的でプラスの自己強化効果を達成するという予想外に優れた結果を生じる。これらの効果は、特定の神経変性障害のリスクを減らし得、及び/又は神経変性障害の兆候のリスクを減らし得る。幾つかの実施形態では、組成物はニコチンアミドリボシド及びプテロスチルベンを有効量で含み得、この組成物はニコチンアミドリボシドとプテロスチルベンの間の細胞相乗的効果の結果としてプラスのフィードバックループを形成するという予想外に優れた結果を達成し得、よって、非限定的に例示されるプテロスチルベンのようなSIRT1アクチベーターはNAD+産生にプラスの影響を与え、同時にSIRT1の活性化に加えてSIRT2~6を活性化し得る。本明細書中に記載されている特定の実施形態では、サーチュイン活性の最適レベルを与え、同時にNAD+欠乏を正常化することにより、予想外に優れた結果が達成され得る。
【0078】
C.ニコチンアミドリボシド
特定の実施形態では、特定の方法及び組成物は、エネルギー生産、DNA修復、細胞解毒、炎症応答及びタンパク質フォールディングのような代謝プロセスに関与する補酵素NAD+の前駆体のニコチンアミドリボシドを含む。ニコチンアミドリボシドの化学構造を下に示す:
【0079】
【0080】
ニコチンアミドリボシドは4個の不斉中心を有し、分離された、純粋又は部分的に精製された光学異性体としての任意の光学異性体、及びラセミ混合物を含むその任意の混合物が本明細書中に記載されている実施形態において使用され得る。エナンチオマー体はエナンチオマー過剰率で、例えば本質的に純粋な形態で存在し得る。従って、幾つかの実施形態は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも96%、少なくとも98%、及びこの間の範囲のエナンチオマー過剰率を有するニコチンアミドリボシドを含む。
【0081】
ラセミ体は、公知方法により、例えばそのジアステレオマー塩を光学活性な酸を用いて分離し、塩基を用いる処理により光学活性なアミン化合物を遊離させることにより光学対掌体に分割され得る。ラセミ体を光学対掌体に分割するための別の方法は光学活性マトリックスを用いるクロマトグラフィーに基づく。本発明の実施形態の化合物は、ジアステレオマー誘導体の形成によっても分割され得る。当業者に公知の光学異性体を分割するための別の方法が使用され得る。前記方法には、J.Jacques,A.Collet and S.Wilen,“Enantiomers,Racemates,and Resolutions”,John Wiley and Sons,New York(1981)により検討されているものが含まれる。光学活性な化合物は光学活性な出発物質からも製造され得る。
【0082】
ニコチンアミドリボシドは、対イオンとイオン結合を形成し得る4級塩であり得る。対イオンの例には、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、イタコン酸、乳酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモ酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、テオフィリン酢酸、及び8-ブロモテオフィリンのような8-ハロテオフィリン等のような適当な有機酸のアニオンが含まれる。薬学的に許容される無機又は有機酸対イオンの更なる例は、参照により組み入れるJ.Pharm.Sci.,66,2(1977))にリストされている塩を含む。特定の実施形態では、活性薬剤又はダイエタリーサプリメントは、ニコチンアミドリボシドの誘導体、塩、溶媒和物又はプロドラッグである。幾つかの実施形態では、ニコチンアミドリボシド中のリボシドはβ-D-リボースである。特定の実施形態では、ニコチンアミドリボシドは、ニコチンアミドモノヌクレオチド、ナイアシンアミド、ニコチンアミド、ニコチン酸及び/又はナイアシンで置換され得、又は組み合わされ得る。
【0083】
幾つかの実施形態では、活性薬剤又はダイエタリーサプリメントは、式I:
【0084】
【化2】
に従う化学構造を有し、又はその薬学的に許容される塩又は許容される塩である。
上記式中、
Xは、O、S又はNRであり;
R
1及びR
2は、水素、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアルケニル基、置換又は未置換のアルキニル基、置換又は未置換の非芳香族ヘテ環式基、又は置換又は未置換のアリール基であり得;
R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7は、水素、置換又は未置換アルキル基、置換又は未置換アリール基、置換又は未置換の非芳香族ヘテロ環式基、ハロゲン、-OR、-CN、-CO
2R、-OCOR、-OCO
2R、-C(O)NRR’、-OC(O)NRR’、-C(O)R、-COR、-SR、-OSO
3H、-S(O)
nR、-S(O)
nOR、-S(O)
nNRR’、-NRR’、-NRC(O)OR’、-NO
2及び-NRC(O)R’からなる群から選択され得;
R
8、R
10及びR
11は、水素、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NHR、-C(O)NRR’、-S(O)
nR、-S(O)
nOR、-S(O)
nNRR’、-C(S)R、-C(S)OR及び-C(O)SRからなる群から選択され得;
R
9、R
12及びR
13は、水素、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の非芳香族ヘテロ環式基、ハロゲン、-CN、-CO
2R、-OCOR、-OCO
2R、-C(O)NRR’、-OC(O)NRR’、-C(O)R、-COR、-OSO
3H、-S(O)
nR、-S(O)
nOR、-S(O)
nNRR’、-NRR’、-NRC(O)OR’、-NO
2及び-NRC(O)R’からなる群から選択され得;
ここで、R及びR’は、水素、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、又は置換又は未置換のヘテロ環式基であり得;nは、1又は2である。式Iの化合物には、その異性体、エナンチオマー及び立体異性体が含まれ得る。
【0085】
D.プテロスチルベン
活性薬剤はプテロスチルベンを含み得る。ダイエタリーサプリメントはプテロスチルベンを含み得る。特定の実施形態では、活性薬剤はニコチンアミドリボシド及びプテロスチルベンを含み得る。特定の実施形態では、ダイエタリーサプリメントはニコチンアミドリボシド及びプテロスチルベンを含み得る。
【0086】
プテロスチルベンの化学構造を下に示す:
【0087】
【0088】
幾つかの実施形態では、活性薬剤又はダイエタリーサプリメントはプテロスチルベンの誘導体、塩、溶媒和物又はプロドラッグを含む。特定の実施形態では、プテロスチルベンはε-ビニフェリン及び/又はレスベラトロールで置換され得、及び/又は組み合わされ得る。
【0089】
特定の他の実施形態では、活性薬剤又はダイエタリーサプリメントは、式II:
【0090】
【化4】
に従う化学構造を有し、又はその薬学的に許容される塩である。
上記式中、
R’
1、R’
2及びR’
3は、水素、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NHR、-C(O)NRR’、-S(O)
nR、-S(O)
nOR、-S(O)
nNRR’、-C(S)R、-C(S)OR及び-C(O)SRであり得;
ここで、R及びR’は、水素、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、又は置換又は未置換の非芳香族ヘテロ環式基であり得;nは1又は2である。式II及び式IIIの化合物には、その異性体、エナンチオマー及び立体異性体が含まれ得る。
【0091】
E.ニコチンアミドモノヌクレオチド
特定の実施形態では、特定の方法及び組成物は、エネルギー生産、DNA修復、細胞解毒、炎症応答及びタンパク質フォールディングのような代謝プロセスに関与する補酵素NAD+の前駆体であるニコチンアミドモノヌクレオチドを含む。ニコチンアミドモノヌクレオチドの化学構造を下に示す:
【0092】
【0093】
ニコチンアミドモノヌクレオチドは4個の不斉中心を有し、分離された、純粋又は部分的に精製された光学異性体としての任意の光学異性体、及びラセミ混合物を含むその任意の混合物が本明細書中に記載されている実施形態において使用され得る。エナンチオマー体はエナンチオマー過剰率で、例えば本質的に純粋な形態で存在し得る。従って、幾つかの実施形態は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも96%、少なくとも98%、及びこの間の範囲のエナンチオマー過剰率を有するニコチンアミドリボシドを含む。
【0094】
ラセミ体は、公知方法により、例えばそのジアステレオマー塩を光学活性な酸を用いて分離し、塩基を用いる処理により光学活性なアミン化合物を遊離させることにより光学対掌体に分割され得る。ラセミ体を光学対掌体に分割するための別の方法は光学活性マトリックスを用いるクロマトグラフィーに基づく。本発明の実施形態の化合物は、ジアステレオマー誘導体の形成によっても分割され得る。当業者に公知の光学異性体を分割するための追加方法が使用され得る。前記方法には、参照により組み入れるJ.Jacques,A.Collet and S.Wilen,“Enantiomers,Racemates,and Resolutions”,John Wiley and Sons,New York(1981)により検討されているものが含まれる。光学活性な化合物は光学活性な出発物質からも製造され得る。
【0095】
ニコチンアミドモノヌクレオチドは、対イオンとイオン結合を形成し得る4級塩であり得る。対イオンの例には、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、イタコン酸、乳酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモ酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、テオフィリン酢酸、及び8-ブロモテオフィリンのような8-ハロテオフィリン等のような適当な有機酸のアニオンが含まれる。許容される無機又は有機酸対イオンの更なる例は、参照により組み入れられるJ.Pharm.Sci.,66,2(1977))にリストされている塩を含む。特定の実施形態では、活性薬剤又はダイエタリーサプリメントはニコチンアミドモノヌクレオチドの誘導体、塩、溶媒和物又はプロドラッグである。特定の実施形態では、ニコチンアミドモノヌクレオチドは、ニコチンアミドリボシド、ナイアシンアミド、ニコチンアミド、ニコチン酸及び/又はナイアシンで置換され得、又は組み合わされ得る。
【0096】
幾つかの実施形態では、活性薬剤又はダイエタリーサプリメントは、式IV:
【0097】
【化6】
に従う化学構造を有し、又はその薬学的に許容される塩である。
上記式中、
Xは、O、S又はNRであり;
R
1及びR
2は、水素、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアルケニル基、置換又は未置換のアルキニル基、置換又は未置換の非芳香族ヘテロ環式基、又は置換又は未置換のアリール基であり得;
R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7は、水素、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の非芳香族ヘテロ環式基、ハロゲン、-OR、-CN、-CO
2R、-OCOR、-OCO
2R、-C(O)NRR’、-OC(O)NRR’、-C(O)R、-COR、-SR、-OSO
3H、-S(O)
nR、-S(O)
nOR、-S(O)
nNRR’、-NRR’、-NRC(O)OR’、-NO
2及び-NRC(O)R’からなる群から選択され得;
R
8及びR
10は、水素、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NHR、-C(O)NRR’、-S(O)
nR、-S(O)
nOR、-S(O)
nNRR’、-C(S)R、-C(S)OR及び-C(O)SRからなる群から選択され得;
R11は、水素、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、-P(O)
n、-P(O)
nR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NHR、-C(O)NRR’、-S(O)
nR、-S(O)
nOR、-S(O)
nNRR’、-C(S)R、-C(S)OR及び-C(O)SRからなる群から選択され得;
R
9、R
12及びR
13は、水素、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の非芳香族ヘテロ環式基、ハロゲン、-CN、-CO
2R、-OCOR、-OCO
2R、-C(O)NRR’、-OC(O)NRR’、-C(O)R、-COR、-OSO
3H、-S(O)
nR、-S(O)
nOR、-S(O)
nNRR’、-NRR’、-NRC(O)OR’、-NO
2及び-NRC(O)R’からなる群から選択され得;
ここで、R及びR’は、水素、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、又は置換又は未置換の非芳香族ヘテロ環式基であり得;nは1又は2である。
式IVの化合物には、その異性体、エナンチオマー及び立体異性体が含まれ得る。
【0098】
F.投与ルート
幾つかの実施形態では、本明細書中に記載されているコンパウンド、組成物、ダイエタリーサプリメント及び/又は医薬組成物は、経口デリバリーのために、すなわち経口製剤のような製剤で製剤化される。経口固体剤形は、その全文を参照により組み入れるRemington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,1990(Mack Publishing Co.,Easton Pa.18042),89章に一般的に記述されている。固体剤形は、錠剤、カプセル剤、ピル剤、トローチ剤又は薬用キャンデー、カシェ剤、ペレット剤、散剤又は顆粒剤、或いは材料のポリ乳酸、ポリグリコール酸等のようなポリマー化合物の微粒子状調製物、又はリポソームへの取り込みを含む。前記組成物は、開示されているものの物理的状態、安定性、インビボ放出率及びインビボクリアランス率に影響を及ぼし得る。例えばその全文を参照により組み入れるRemington’s Pharmaceutical Sciences,第18版(1990,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.18042),p.1435-1712を参照されたい。幾つかの実施形態の組成物は液体形態で作製され得、又は乾燥粉末(例えば、凍結乾燥)形態であり得る。本明細書中に記載されている組成物を製剤化するためにリポソーム又はプロテイノイドカプセル化を使用し得る。リポソームカプセル化が使用され得、リポソームは各種ポリマーを用いて誘導され得る(例えば、参照により組み入れる米国特許第5,013,556号明細書)。参照により組み入れるMarshall,K.,Modern Pharmaceutics,G.S.Banker and C.T.Rhodes編,10章,1979も参照されたい。製剤は、ペプチド(又は、その化学的に修飾させた形態)、及び化合物を胃環境内で保護し、活性薬剤又はダイエタリーサプリメントを腸で放出させる不活性成分を含み得る。
【0099】
ニコチンアミドリボシド、ナイアシンアミド、ニコチンアミド、ニコチン酸、プテロスチルベン、ニコチンアミドモノヌクレオチド、ナイアシン、ε-ビニフェリン、レスベラトロール又はその誘導体は、化合物の実施形態の経口デリバリーが治療上有効であるか、又はダイエタリーサプリメントとして所望の結果を達成するように有効であるように化学的に修飾され得る。意図されている化学修飾は少なくとも1つの部分のその成分分子への付着であり、該部分により胃又は腸から血流に取り込まれ得、又は腸粘膜に直接取り込まれ得る。本明細書中に記載されている組成物の実施形態の全体的安定性の向上及び身体中の循環時間の延長も意図されている。特定の実施形態は医薬組成物であり得る。特定の実施形態はダイエタリーサプリメントであり得る。
【0100】
特定の実施形態は、不活性希釈剤;湿潤剤、乳化・懸濁剤のような佐剤;及び甘味料及び着香料を含む他の成分を含有し得る薬学的に許容されるエマルジョン剤、溶液剤、懸濁液剤及びシロップ剤を含む経口投与用液体剤形を提供する。特定の実施形態は、ダイエタリーサプリメント中で使用するのに適した不活性希釈剤;湿潤剤、乳化・懸濁剤のような佐剤;及び甘味料及び着香料を含む他の成分を含有し得る許容されるエマルジョン剤、溶液剤、懸濁液剤及びシロップ剤を含む経口投与用液体剤形を提供する。
【0101】
幾つかの実施形態では、制御放出性経口製剤が提供され得る。制御放出には、遅延放出及びpH依存性放出が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書中に記載されている組成物又はその誘導体は、少なくとも1つの活性薬剤の放出に影響を与える放出調節剤、例えばコーティングの使用によりマイクロカプセル、ミクロ粒子、ナノ粒子等に取り込まれ得る。特定の実施形態では、本明細書中に記載されている組成物又はその誘導体は、拡散又は浸出メカニズムにより放出できる不活性マトリックス、例えばガムに取り込まれ得る。ゆっくり変性するマトリックスも本明細書中に記載されている組成物に取り込まれ得る。
【0102】
放出調節性経口製剤が提供され得る。放出調節により特別の放出プロフィールが可能である。
【0103】
持続放出性経口製剤が提供され得る。持続放出により、活性薬剤又はダイエタリーサプリメントを所望期間放出できる。
【0104】
放出製剤の変更及び関連用語に関する追加の検討は、参照により組み入れるLesczek Krowczynski,Extended-Release Dosage Forms,1987(CRC Press,Inc.)中に見られ得る。
【0105】
特定の実施形態では、制御された、調節された又は延長された放出の経口製剤の形態は、経口投与用錠剤、カプセル剤又はマイクロビーズである。他の態様では、所望成分の適当な有効な治療量を含む制御された、調節された又は延長された放出の製剤は、ピル剤、散剤、顆粒剤、滅菌非経口溶液剤又は懸濁液剤、経口溶液剤又は懸濁液剤、油-水エマルジョン剤、並びにインプラント及びマイクロカプセル化デリバリーシステムであり得る。
【0106】
幾つかの製剤の実施形態は、制御された、調節された又は延長された放出プロフィールを与え得る。本発明の実施形態の組成物は、十分量で使用したときに放出を制御、調節又は延長するように作用し得る慣用の結合剤、賦形剤及び添加剤を含み得る。特定の実施形態は、十分量で使用したときに放出を制御、調節又は延長するように作用し得る薬用結合剤、賦形剤及び添加剤を含む。コーティング剤、例えば可塑剤を本発明の組成物の実施形態の制御された、調節された又は延長された放出を強化するために使用し得る。
【0107】
経口製剤の場合、放出の場所は胃、小腸(十二指腸、空腸又は回腸)、又は大腸であり得る。放出は、少なくとも1つの活性薬剤(又は、誘導体)を保護することにより、又は少なくとも1つの活性薬剤又はダイエタリーサプリメント(又は、誘導体)を胃環境を超えて、例えば腸内に放出させることにより、胃環境の有害作用を避けることができる。高い胃耐性を確保するために、少なくともpH5.0に対して一時的に不浸透性のコーティングが幾つかの実施形態で有用である。腸溶コーティングとして使用される幾つかの不活性成分の例は、トリメリト酸酢酸セルロース(CAT)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、ポリ酢酸ビニルフタレート(PVAP)、ポリ(メタクリル酸-コ-アクリル酸エチル)1:1、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ポリ(メタクリル酸-コ-メタクリル酸メチル)1:1、ポリ(メタクリル酸-コ-メタクリル酸メチル)1:2、及び天然シェラック樹脂である。幾つかの実施形態では、コーティングは混合フィルムとして使用され得る。
【0108】
i.ソフト又はハードゲルカプセル剤
特定の実施形態は、ニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンを含むソフトカプセル剤、又は本明細書中に記載されている組成物の実施形態の経口投与を利用する。方法の幾つかの実施形態は、有効量のニコチンアミドリボシド及び/又はプテロスチルベンを含むカプセル剤、又は本明細書中に記載されている組成物の実施形態の投与を含む。カプセル剤は、ハードカプセル剤又はソフトカプセル剤であり得る。ソフトカプセル剤は、当業界で公知の技術を用いて作製され得る。例えば、ソフトカプセル剤は、ロータリーダイカプセル化法を用いて作製され得る。活性薬剤又はダイエタリーサプリメント製剤は、重力によりカプセル化機械に供給され得る。幾つかの実施形態では、製剤は、医薬及び/又はダイエタリーサプリメント賦形剤、例えばオリーブ油、ゼラチン、グリセリン、精製水、黄蝋、サンフラワーレシチン、二酸化ケイ素、二酸化チタン、食用青色1号及び食用赤色4号、微結晶セルロース、ヒプロメロース、植物性ステアリン酸マグネシウム及び/又はシリカ含む。
【0109】
カプセルシェルは、1つ以上の可塑剤、例えばグリセリン、ソルビトール、ソルビタン、マルチトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、3~6個の炭素原子を有するポリアルコール、クエン酸、クエン酸エステル、クエン酸トリエチル及びその組合せを含み得る。幾つかの実施形態では、可塑剤はグリセリンであり得る。
【0110】
カプセルシェルは、可塑剤に加えて、他の適当なシェル添加剤、例えば乳白剤、着色剤、保湿剤、保存剤、着香料、及び緩衝塩及び酸を含み得る。
【0111】
カプセル化される活性薬剤が感光性の場合には、カプセルシェルを不透明にするために乳白剤が使用され得る。適当な乳白剤には、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム及びその組合せが含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、乳白剤は二酸化チタンであり得る。
【0112】
マーケティング、及び製品識別及び/又は区別の目的のために着色剤が使用され得る。適当な着色剤には、合成及び天然染料及びその組合せが含まれる。
【0113】
ソフトゲルの水分活性を抑えるために保湿剤が使用され得る。適当な保湿剤には、可塑剤組成物の成分であり得るグリセリン及びソルビトールが含まれるが、これらに限定されない。乾燥した適切に保存したソフトゲルの低い水分活性のために、微生物からの最大のリスクはカビ及び酵母に由来する。このために、保存剤がカプセルシェルの幾つかの実施形態に配合され得る。適当な保存剤には、メチル、エチル、プロピル、ブチル及びヘプチルのようなp-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル(まとめて、「パラベン」として公知)又はその組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0114】
特定の実施形態では、組成物は、活性薬剤又はダイエタリーサプリメントとしてニコチンアミドリボシド及びプテロスチルベンを含む。幾つかの実施形態は、微結晶セルロース、ヒプロメロース、植物性ステアリン酸マグネシウム、オリーブ油、ゼラチン、グリセリン、精製水、黄蝋、サンフラワーレシチン、二酸化ケイ素、二酸化チタン、食用青色1号及び食用赤色4号から形成されるカプセル、或いは植物材料のみから作られる植物性ハードカプセルであり得る。本明細書中に記載されている任意の実施形態は、微結晶セルロース、ヒプロメロース、植物性ステアリン酸マグネシウム及び/又はシリカを含み得る。
【0115】
開示されている製剤中に配合され得る他の賦形剤(幾つかの実施形態では、薬用賦形剤であり得る)には、アセチル-L-カルニチン、N-アセチルシステイン、α-リポ酸、ビオチン、チアミン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンK、タウリン、葉酸、レスベラトロール、ビンポセチン、ピコリン酸クロム、ビタミンC、ビタミンD3、ビタミンE、ビナリンギン(vinaringin)、クエルセチン、クルクミン、コエンザイムQ、クレアチン及びその塩が含まれる。
【0116】
ii.溶液剤及び懸濁液剤
特定の実施形態は、組成物中の活性薬剤又はダイエタリーサプリメントを溶解させた(例えば、溶液剤)又は分散させた(例えば、懸濁液剤)液体として投与される組成物を含み得る。溶液剤又は懸濁液剤は、1つ以上の許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される賦形剤を用いて作製され得る。適当な賦形剤には、界面活性剤、保湿剤、可塑剤、結晶化インヒビター、湿潤剤、バルク増量剤、可溶化剤、バイオアベイラビリティーエンハンサー、pH調節剤、着香料及び組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0117】
iii.コントロールドデリバリーポリマーマトリックス
制御放出性ポリマーデバイスは、ポリマーデバイス(ロッド、シリンダー、フィルム、ディスク)を移植、注射又は経口摂取(ミクロ粒子)した後長期間全身放出するために作製され得る。ポリマーデバイスマトリックスは、ペプチドが固体ポリマーマトリックス又はマイクロカプセル内に分散され得、コアがポリマーシェルとは異なる材料から構成され得るミクロスフェアのようなミクロ粒子の形態であり得、ペプチドは液体又は固体であり得るコア中に分散又は懸濁され得る。本明細書中で特に規定されていない限り、ミクロ粒子、ミクロスフェア及びミクロカプセルは互換可能に使用され得る。ポリマーマトリックスは、ナノロメーター~4センチメーターの範囲の薄いスラブ又はフィルムとして注型され得、粉砕又は他の標準の技術により調製される粉末、又はヒドロゲルのようなゲルであり得る。
【0118】
特定の実施形態では生分解性マトリックスが存在しているが、開示されている化合物をデリバリーするために非生分解性又は生分解性マトリックスが使用され得る。これらは天然又は合成ポリマーであり得るが、分解及び放出プロフィールの特徴づけのための特定の実施形態では合成ポリマーが使用され得る。ポリマーは、放出を所望する期間に基づいて選択され得る。幾つかの場合には直線放出が最も有用であり得るが、他の場合にはパルス放出又は「バルク放出」がより効果的な結果を与え得る。特定の実施形態では、ポリマーは(典型的には、最高約90重量%の水を吸収する)ヒドロゲルの形態で存在し得、任意選択的に多価イオン又はポリマーと架橋され得る。
【0119】
ポリマーデバイスマトリックスは、溶媒蒸発、噴霧乾燥、溶媒抽出、及び当業者に公知の方法により形成され得る。生体分解性ミクロスフェアは、例えばいずれも全文を参照により組み入れるMathiowitz and Langer,J.ControlledRelease,5:13-22(1987);Mathiowitzら,Reactive Polymers,6:275-283(1987);及びMathiowitzら,J.Appl.Polymer Sci.,35:755-774(1988)に記載されているドラッグデリバリー(ダイエタリーサプリメントのためにも使用され得る)のためのミクロスフェアを作製するために開発されている方法を用いて作製され得る。
【0120】
ポリマーデバイスは、全身の治療のための投薬量よりもかなり少ない投薬量をデリバリーし得る移植又は注射部位を治療するための局所放出、又は全身デリバリーのために製剤化され得る。これらの実施形態の幾つかは、筋肉又は脂肪に皮下に移植又は注射され得、或いは飲み込まれ得る。
【0121】
G.投薬量及び投薬レジメン
特定の治療有効量又は有効用量の実施形態の選択は、当業者に公知の幾つかの要因を考慮して(例えば、非限定的であるが、臨床トライアルにより)当業者により決定され得る。前記要因には、治療又は予防しようとする障害、神経変性障害の兆候の減少、関与する症状、対象の体重、対象の年齢、対象の免疫状態、及び当業者に公知の他の要因が含まれる。製剤中に使用しようとする正確な用量は、投与ルート及び障害関連の消耗の重症度にも依存し、当業者の判断及び各対象の事情に従って決定されるべきである。有効な用量は、インビトロ又は動物モデル試験系から誘導される用量-応答曲線から外挿され得る。
【0122】
対象、例えばヒトに対して投与しようとする活性薬剤又はダイエタリーサプリメントの用量は変更可能であり、独自の判断を受け得る。活性薬剤又はダイエタリーサプリメントの1日量を1日のいろいろな時間に投与することがしばしば実際的である。投与される活性薬剤又はダイエタリーサプリメントの量は、活性薬剤又はダイエタリーサプリメントの溶解度、使用する製剤、対象の状態(例えば、体重)、及び/又は投与ルートのような要因に依存し得る。特定の実施形態では、単独で、又はプテロスチルベン又はその均等物と組み合わせて投与されるニコチンアミドリボシド又はその均等物の用量を経口投与する。
【0123】
単独で、又はプテロスチルベン又はその均等物と組み合わせて投与されるニコチンアミドリボシド又はその均等物の有効量は、約50mg~約1500mg、約100mg~約1500mg、約100mg~約1000mg/日、約125mg~約900mg/日、約150mg~約850mg/日、約200mg~700mg/日、約200mg~約500mg/日、約250mg/日、約1000mg~約1500mg、250mg/日の量であり得る。特定の実施形態では、有効量のニコチンアミドリボシド又はその均等物は複数回投与により投与され得る。
【0124】
単独で、又はニコチンアミドリボシド又はその均等物と組み合わせて投与されるプテロスチルベン又はその均等物の有効量は、約25mg~約1000mg、約100mg~約1000mg、約25mg~約500mg/日、約25mg~約250mg/日、約30mg~約225mg/日、約40mg~約200mg/日、約45mg~約250mg/日、約50mg/日、又は約50mg/日の量であり得る。特定の実施形態では、有効量のプテロスチルベン又はその均等物は複数回投与により投与され得る。実施形態では、ニコチンアミドリボシド及びプテロスチルベンを含有するコンパウンド、組成物、ダイエタリーサプリメント又は医薬組成物は、経口製剤として作製される。
【0125】
特定の実施形態では、組成物は数日間、数週間又は数ヶ月間にわたる投薬レジメンで投与され得る。投薬は、複数回/日又は単回/日であり得る。投薬量を数日間、数週間又は数ヶ月間にわたって投与するときの各投薬量は等量であっても、なくてもよい。投薬レジメン中の投薬量は、本明細書中に開示されている量及び範囲に従って異なり得る。投薬は、単独か、又はプテロスチルベンと組み合わせてニコチンアミドリボシドを投与することを含み得る。投薬は、単独か、又はニコチンアミドリボシドと組み合わせてプテロスチルベンを投与することを含み得る。
【0126】
特定の実施形態では、本明細書中に開示されている組成物は、静脈内に、腹腔内に、皮下に、筋肉内に、髄腔内に、舌下に、口腔内に、直腸に、又はエアゾールにより投与され得る。
【0127】
III.使用方法
本明細書中に記載されている特定の組成物及び方法は、神経変性障害に関連する症状に対して優れた効果を有し得る。本明細書中に記載されている特定の組成物及び方法は、神経変性障害を治療及び/又は予防し得る。特定の組成物は、神経変性障害の兆候の正常又は健康レベルを維持し得る。特定の組成物は、神経変性障害の兆候の発現のリスクを低下させ得る。特定の組成物は、神経変性障害の兆候のリスクを低下させ得る。本明細書中に記載されている特定の組成物は、神経変性障害を治療及び/又は予防するための経口製剤を提供するための経口組成物であり得る。本明細書中に記載されている特定の組成物及び方法は、神経変性障害の審美的外観を改善及び/又は維持し得る。幾つかの実施形態では、組成物は、神経変性障害を治療及び/又は予防し得る。幾つかの実施形態は医薬成分であり得、他はダイエタリーサプリメントであり得る。
【0128】
治療され得る神経変性障害には、老化に関連する障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、認知症及び糖尿病が含まれるが、これらに限定されない。ダイエタリーサプリメントは、これらの神経変性障害の兆候の発現リスクを低下させ得る。治療される神経変性障害には、特許請求の範囲に記載されているように老化に関連する障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病及び認知症が除外され得たり、又は除外され得ない。
【0129】
幾つかの実施形態では、記載されている組成物及び方法の実施形態で治療される神経変性障害には、パーキンソン病、アルツハイマー病及びハンチントン病が含まれるが、これらに限定されない。
【0130】
特定の実施形態では、本明細書中に記載されている組成物は、ドーパミンアゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤及び/又はレボドパ等の投薬量レベルを減少させるために使用され得る。パーキンソン病患者に対して少ない投薬量のレベルで投薬され得る他の薬物は当業者に容易に確認できる。特定の実施形態では、本明細書中に記載されている組成物は、パーキンソン病を治療するために患者に対して投与され得る。特定の実施形態では、本明細書中に記載されている組成物は、パーキンソン病の兆候を治療するために患者に対して投与され得る。特定の実施形態では、本明細書中に記載されている組成物は熱ショック因子1の活性化を高めるために投与され得る。
【0131】
本発明は、以下の非限定的実施例を参照することにより更に理解されるであろう。
【実施例】
【0132】
実施例1:例示的組成物
材料:1つの組成物は、“BASIS(R)”としてElysium Healthより市販されている製品である。
【0133】
【0134】
BASIS(R)は、更に以下の賦形剤を含有し得る:微結晶セルロース、ヒプロメロース、植物性ステアリン酸マグネシウム、オリーブ油、ゼラチン、グリセリン、精製水、黄蝋、サンフラワーレシチン、二酸化ケイ素、二酸化チタン、食用青色1号及び食用赤色4号。実施形態は、微結晶セルロース、ヒプロメロース、植物性ステアリン酸マグネシウム及び/又はシリカを含み得る。
【0135】
実施例2:マウスモデル
実施形態では、パーキンソンモデルマウス(例えば、1-メチル-4-フェニルテトラヒドロピリジン(MPTP)を全身注射したマウス)を使用し、以下の治療を用いて治療する。
【0136】
試験マウスを4つのグループに分ける:
1.対照(治療せず);
2.ニコチンアミドリボシド(NR)、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)及びその組合せを用いて治療;
3.NR、NMN、プテロスチルベン及びその組合せを用いて治療;
4.プテロスチルベンを用いて治療;
5.NR、NMN及びその組合せ、及びプテロスチルベンを用いて治療したマウス。
【0137】
マウスを3週間毎日治療し、神経変性障害の兆候が改善されたかを調べるために特殊アッセイを実施する。これらのアッセイには、非限定的に例示されるチロシンヒドロキシラーゼを用いる神経化学アッセイのようなマウス感覚運動機能の試験、回転バイアスのような挙動試験、回転能力及びリーチング能力のような運動機能の試験、感覚刺激、光に対する応答等の試験が含まれるが、これらに限定されない。
【0138】
この例の場合、ドーパミン作動性ニューロンの生存性を、適切な脳切片をチロシンヒドロキラーゼ染色することにより点数付ける。
【0139】
NR及びNMNの用量は約250mg/マウスのkg体重/日である。プテロスチルベンの用量は約100mg/マウスのkg体重/日である。NR、NMN及びその組合せ、及びプテロスチルベンの用量は約250mg/マウスのkg体重/日である。NR、NMN、プテロスチルベン及びその組合せは、腹腔内(IP)注射により、又は食物若しくは水を補充することにより投与される。
【0140】
実施例3:トランスジェニックマウスモデル
実施形態では、トランスジェニックマウスモデル(例えば、α-シヌクレイントランスジェニックマウス)を使用し、以下の治療を用いて治療する。
【0141】
試験マウスを4つのグループに分ける:
1.対照(治療せず);
2.ニコチンアミドリボシド(NR)、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)及びその組合せを用いて治療;
3.NR、NMN、プテロスチルベン及びその組合せを用いて治療;
4.プテロスチルベンを用いて治療;
5.NR、NMN及びその組合せ、及びプテロスチルベンを用いて治療したマウス。
【0142】
マウスを3週間毎日治療し、神経変性障害の兆候が改善されたかを調べるために特殊アッセイを実施する。これらのアッセイには、非限定的に例示されるチロシンヒドロキシラーゼを用いる神経化学アッセイのようなマウス感覚運動機能の試験、回転バイアスのような挙動試験、回転能力及びリーチング能力のような運動機能の試験、感覚刺激、光に対する応答等の試験が含まれるが、これらに限定されない。
【0143】
これらのトランスジェニックマウスの場合、調べるエンドポイントは、未治療のトランスジェニックマウス(すなわち、Tg/Tgマウスは典型的には約6ヶ月生存する)と比較した治療トランスジェニックマウスの生存率であり、アッセイは例えばローターロッド及び/又はトレッドミルを用いて、体力及び器用さに関する試験を実施する。
【0144】
NR及びNMNの用量は約250mg/マウスのkg体重/日である。プテロスチルベンの用量は約100mg/マウスのkg体重/日である。NR、NMN及びその組合せ、及びプテロスチルベンの用量は約250mg/マウスのkg体重/日である。NR、NMN、プテロスチルベン及びその組合せは、腹腔内(IP)注射により、又は食物若しくは水を補充することにより投与される。
【0145】
実施例4:ヒト投与の結果
実施形態では、ヒト対象に約500mg/日の投薬量のNR及び/又はNMNを与える。ヒト対象に約100mg/日のプテロスチルベンも与え得る。数人の対象には、パーキンソン病の兆候を治療するために500mgのニコチンアミドリボシド及び100mgのプテロスチルベンを60日間与える。対象をパーキンソン病のような神経変性障害の特定の兆候に基づいてグループ分けする。本明細書中に記載されている症状の幾つかをモニターし、その兆候は改善するであろう。各参加者は神経変性障害の症状の兆候に関する質問を含む調査票を用いて自己報告もする。トライアルはプラセボを対照とした無作為化・盲検である。
【0146】
パーキンソン病の兆候の減少が観察される。パーキンソン病薬物L-DOPAの減量が観察される。対象は振戦の減少、精神的認識の増加、記憶の増加等の応答を見るためにも試験される。
【0147】
別段の規定がない限り、本明細書中で使用されている技術的及び科学的用語はすべて、開示されている発明が属している当業者が通常理解しているのと同一の意味を有する。本明細書中で引用されている刊行物及びこれらを引用している資料は特に参照により組み入れられる。
【0148】
当業者は、日常の実験のみを用いて本明細書中に記載されている本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、又は確認できるであろう。これらの均等物は以下の特許請求の範囲に包含されると意図される。
【0149】
これまでの記載は本発明の好ましい実施形態に向けられているが、他の変更及び修飾は当業者に自明であり、本発明の趣旨又は範囲を逸脱することなくなし得ることに留意されたい。更に、本発明の1つの実施形態に関連して記載されている要件は、たとえ先に明記されていなくても他の実施形態と共に使用され得る。