(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】臨床医にガイダンスを与えるためのユーザインターフェースキーの点灯を伴うMR環境で使用するための注入ポンプのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20220831BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20220831BHJP
G16H 40/60 20180101ALI20220831BHJP
G06F 3/02 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A61M5/142
A61B5/055 390
G16H40/60
A61B5/055 383
G06F3/02 460
(21)【出願番号】P 2019516413
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2017074912
(87)【国際公開番号】W WO2018060503
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-08-07
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】リン マーク シー‐チー
(72)【発明者】
【氏名】フォラー ジュニア ドナルド アラン
(72)【発明者】
【氏名】コンシグリオ ロナルド ポール
(72)【発明者】
【氏名】ジュディ ジョン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】オニール フランシス パトリック
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】特許第5001845(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0014249(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0076461(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01523021(EP,A1)
【文献】国際公開第2015/175183(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0245808(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/168
A61B 5/055
G16H 40/60
G06F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴環境で使用する医療デバイスであって、
キーを持つキーパッドと、
それぞれのキーを点灯するため、前記キーパッドのそれぞれのキーと一緒に配置される光源であり、前記光源は、LEDを含み、個々のLEDは、対応する個々のキーの後ろに配置される、光源と、
前記LEDにアナログDC電流を供給するための電源と、
前記LEDに供給されるアナログDC電流をフィルタリングするために接続されるローパスフィルタと、
少なくとも1つの電子プロセッサと
を有し、前記電子プロセッサが、
ユーザ入力が前記キーパッドを介して受信されるユーザインターフェース処理を実行し、
前記ユーザインターフェース処理中に、前記電源を動作させることにより、前記ユーザインターフェース処理で使用可能なキーを選択的に点灯するよう前記LEDを制御し、DC電流ランプを使用して前記LEDをオン又はオフにする、及び
前記ユーザインターフェース処理中に受信されたユーザ入力に基づき、前記医療デバイスを制御又は構成するようプログラムされる、医療デバイス。
【請求項2】
キーの点灯された組み合わせに対応する前記医療デバイスの薬物供給処理の詳細を表示するディスプレイを更に有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
各ユーザインターフェース処理に関して、前記ユーザインターフェース処理で使用可能なキーのセットの識別を記憶する非一時的ストレージを更に有し、
実行される各ユーザインターフェース処理に関して、前記少なくとも1つの電子プロセッサが、前記非一時的ストレージを読み出すことにより実行されるべき前記ユーザインターフェース処理で使用可能なキーのセットを識別し、前記識別されたキーを選択的に点灯するよう前記光源を制御するようプログラムされる、請求項1又は2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
無線周波数干渉シールドを更に有する、請求項1乃至3の任意の一項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
非磁性の電動流体ポンプをさらに有する、医療用ポンプを有する、請求項1乃至4の任意の一項に記載の
医療デバイス。
【請求項6】
磁気共鳴環境で使用する医療デバイスを点灯する方法において、
前記医療デバイスは、キーを持つキーパッドと、LEDを含む光源と、少なくとも1つのプロセッサと、ローパスフィルタと、を有し、個々のLEDは、対応する個々のキーの後ろに配置され、
前記方法は、
前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、ユーザインターフェース処理を実行するステップと、
前記前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、データストレージから、前記医療デバイスのキーパッド上の使用可能なキーを選択的に点灯するよう光源を制御するため、前記ユーザインターフェース処理に関する前記使用可能なキーのインデックス化に関連するデータを取得するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、ユーザインターフェース処理で使用可能なキーを選択的に点灯するよう前記LEDを動作させるために、前記ローパスフィルタを用いてフィルタリングされたアナログDC電流を前記LEDに供給し、DC電流ランプを使用して前記LEDをオン又はオフにすることにより、インデックス化されたキーを選択的に点灯するステップと、
前記医療デバイスのキーパッドの少なくとも1つのキーを用いて、前記ユーザが少なくとも1つの点灯されたキーを押すことによる、少なくとも1つのユーザ入力を受信するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記点灯されたキーの少なくとも1つにより受信された前記ユーザ入力に基づき、前記医療デバイスを制御又は構成するステップとを有する、方法。
【請求項7】
前記キーの点灯された組み合わせに対応する前記医療デバイスの薬物供給処理の詳細をディスプレイに表示するステップを更に有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
非一時的ストレージを用いて、ユーザインターフェース処理ごとに、前記ユーザインターフェース処理において使用可能なキーのセットの識別を格納するステップと、
前記少なくとも1つの電子プロセッサを用いて、実行される各ユーザインターフェース処理に関して、前記非一時的ストレージを読み出すことにより実行されるべき前記ユーザインターフェース処理において使用可能なキーのセットを識別し、前記識別されたキーを選択的に点灯するように前記光源を制御するステップとを更に有する、請求項6又は7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は概して、放射線学の分野、医学的注入の分野、注入ポンプの分野、及び関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
病院で一般的に使用される注入ポンプは、磁気共鳴画像法(MRI)環境で安全に使用するようには設計されていない。なぜなら、臨床医及び患者に深刻な安全上のリスクをもたらすからである。斯かる注入ポンプは典型的には、磁性材料(例えばモーター要素)を含み、MR撮像を妨害する可能性がある無線周波数(RF)放射を生成する。MR対応注入ポンプは、特に磁気共鳴(MR)検査室環境で使用するために開発された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
典型的なワークフローでは、医療従事者は、患者を汎用注入ポンプに接続した状態で、患者をガーニー上でMRI検査施設に搬送する。施設では、患者は、RFシールドMR室に移動される前にMR対応注入ポンプに切り替えられる。しかしながら、これらのMR対応注入ポンプは、臨床医が精通しているものとは異なり、これは、MR対応注入ポンプが患者に接続されるとき、不正確な流量又は他の不正確な設定などの設定エラーを招き得る。
【0004】
より一般的には、医療従事者が親密さに欠けている医療デバイスを操作することを要求されるときはいつでも困難が生じ得る。
【0005】
本書に開示される改良は、既存の注入ポンプシステム、方法などの前述の及び他の不利点に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的な一例によれば、磁気共鳴環境で使用する医療デバイスが、キーを持つキーパッドを含む。光源は、それぞれのキーを点灯するため、キーパッドのそれぞれのキーとともに配置される。少なくとも1つの電子プロセッサが、ユーザ入力が上記キーパッドを介して受信されるユーザインターフェース処理を実行し、上記ユーザインターフェース処理中に、上記ユーザインターフェース処理で使用可能なキーを選択的に点灯するよう光源を制御し、及び上記ユーザインターフェース処理中に受信されたユーザ入力に基づき、上記医療デバイスを制御又は構成するようプログラムされる。
【0007】
別の例示的な例によれば、磁気共鳴環境で使用する医療デバイスを点灯する方法が提供される。この方法は、少なくとも1つのプロセッサを用いて、ユーザインターフェース処理を実行するステップと、上記少なくとも1つのプロセッサを用いて、データストレージから、上記医療デバイスのキーパッド上の使用可能なキーを選択的に点灯するよう上記光源を制御するため、上記ユーザインターフェース処理に関する上記使用可能なキーのインデックス化に関連するデータを取得するステップと、上記少なくとも1つのプロセッサを用いて、インデックス化されたキーを選択的に点灯するステップと、上記医療デバイスのキーパッドの少なくとも1つのキーを用いて、上記ユーザが少なくとも1つの点灯されたキーを押すことによる、少なくとも1つのユーザ入力を受信するステップと、上記少なくとも1つのプロセッサを用いて、上記点灯されたキーの少なくとも1つにより受信された上記ユーザ入力に基づき、上記医療デバイスを制御又は構成するステップとを有する。医療デバイスのキーパッドの少なくとも1つのキーが用いられる。
【0008】
別の例示的な例によれば、磁気共鳴環境で使用する医療用ポンプが、非磁性の電動流体ポンプ、キーを持つキーパッド、及び発光ダイオード(LED)を含む。個々のLEDは、それぞれのキーを点灯するため、キーパッドの対応する個々のキーの後ろに配置される。ディスプレイは、点灯されたキーの組み合わせに対応する医療用ポンプの薬物供給処理の詳細を表示するよう構成される。少なくとも1つの電子プロセッサが、ユーザ入力が上記キーパッドを介して受信されるユーザインターフェース処理を実行し、上記ユーザインターフェース処理中に、上記ユーザインターフェース処理で使用可能なキーを選択的に点灯するよう光源を制御し、及び上記ユーザインターフェース処理中に受信されたユーザ入力に基づき、上記医療用ポンプを制御又は構成するようプログラムされる。
【0009】
1つの利点は、MR環境において医療デバイスにより生成されるMR干渉を減少させることにある。
【0010】
別の利点は、医療デバイスのユーザが、医療デバイスの処理に関してより迅速な決定を下すことを可能にすることにある。
【0011】
他の利点は、医療デバイスのユーザによるエラーの可能性を減らすことにある。
【0012】
別の利点は、特定のユーザインターフェース処理を実行する際のその使用に関して視覚的なガイダンスを提供するキーパッドを持つ医療デバイスを提供することにある。
【0013】
以下の詳細な説明を読み及び理解することにより、本発明の更なる利点が当業者には理解されるであろう。所与の実施形態は、これらの利点の1つ、2つ、若しくはそれ以上を提供する、又は何ら提供しない点を理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一態様による医療デバイスの上面図を概略的に示す図である。
【
図2】
図1の医療デバイスの正面図を概略的に示す図である。
【
図3】
図1の医療デバイスの電子要素を概略的に示す図である。
【
図4】
図1の医療デバイスを使用して適切に実行される医療デバイス点灯方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、様々な要素及び要素の配列の形式並びに様々なステップ及びステップの配列の形式を取ることができる。図面は、好ましい実施形態を説明するためだけにあり、本発明を限定するものとして解釈されるべきものではない。
【0016】
医療デバイスは、ますますコンピュータ化された機器となり、典型的には様々な異なるユーザインターフェース処理を実行するためのユーザインターフェースデバイスとして機能する一般的なキーパッドを持つ。これらの様々な処理を実行するための単一のキーパッドの使用は一般に、操作を単純化し、これによりユーザに利益をもたらすと考えられる。しかしながら、医学的に重大な誤りに関する可能性は、斯かる一般的なキーパッドを使用することにより実際に増加されることができることが本書において認識される。キーパッド制御デバイスは、追加のコンピュータ対応機能の利用可能性により、より高い複雑性を持つ可能性があり、ユーザが混乱し、実際には別のユーザインターフェース処理に応答しているとき、あるユーザインターフェース処理に応答しているとユーザが信じることが容易に起こる。
【0017】
例えば、過去においては、注入ポンプの流量は、流量制御器のノブを調整することにより設定されていたが、警報限界は、個々の警報デバイスに関連付けられるノブを調整することにより設定されていた。最新の注入ポンプでは、これらのユーザインターフェース処理は、すべて単一の汎用キーパッドを介して行われる。結果として、ユーザが実際に流量入力ユーザインターフェース処理に応答するとき、(例えば)不用意に上限流量警報限界値を入力することが容易になり、これにより患者にとって医学的に有害となり得る高い値に流量が設定される。
【0018】
注入ポンプなどの医療デバイスにおける電子機器の使用はまた、磁気共鳴(MR)撮像デバイスに関する無線周波数干渉(RFI)を構成し得る無線周波数(RF)放射を生成する可能性を増大させる。従って、これらの電子医療デバイスは、RF遮蔽されたMR検査室の内部で使用するには問題がある。
【0019】
本書に開示されるいくつかの例示的な実施形態では、キーパッドを介した改善されたユーザインターフェースが、点灯キーパッドを用いて提供される。そこでは、キーが連続的に点灯されず、代わりにキーが、データ入力要求に応答する際の使用に適しているときにのみ点灯される。例えば、ポンプ始動プロセスの間、ディスプレイは「流量を入力してください」という質問を表示し、次に数字キー「0」~「9」のみが点灯される。同様に、イエス/ノーの質問が出される場合、「Y」及び「N」キーのみが点灯される、などとなる。こうして、始動プログラムを実行するときどの入力が許容可能であるかに関してユーザは案内され、ユーザ入力エラーの可能性は減少する。
【0020】
MR設定又は他のRFIに敏感な医療設定は、斯かる文脈上のキーパッド点灯に対して特に困難をもたらす。MR室で使用するための医療デバイスでは、デバイスは通常、非磁性モーター(電動の場合)を使用し、MR干渉の発生を回避するため、すべての電子機器が無線周波数干渉(RFI)シールド内に配置される。しかしながら、LED表示灯により生成される光は可視的でなければならない。通常の解決策は、LEDをRFIシールドの内側に配置し、キーパッドを点灯するためにRFIシールドから光ファイバを引き出すことである。しかし、この解決策は、本発明の文脈上の点灯にとって問題がある。なぜなら、各キーの点灯は、選択的にオン/オフされなければならないからである(例えば、入力が一般的な数値を要求する場合、「8」キーが点灯され得るが、入力が、キー「1」、「2」、「3」、又は「4」の対応する1つを押すことにより、4つのオプションの1つを選択することを要求する場合、点灯されることができない。)。この場合、光ファイバを使用して斯かるユーザインターフェース処理特有の個別キー点灯を実現するため、2つのファイバが「8」キーに延ばされる必要があるだろう。1つは、数値を入力するときに点灯するLEDからであり、もう1つは、「1」~「4」の範囲内の数字を選択するときに点灯する別のLEDからである。
【0021】
この問題に対処するため、本書に開示されるいくつかの実施形態では、LEDは、キーパッドの各キーの後ろに(又はより一般的には一緒に)配置される。RFIを減らすため、LEDは、パルス幅変調(PWM)又は他のAC信号により駆動されるのではなく、むしろアナログDC電流により駆動される。更に、そうでなければMRに干渉する可能性があるより高い周波数の高調波を除去するのに、ローパスフィルタリングが使用されることができる。DC電流レベルにおけるより急激なステップ変化に関連付けられる高周波成分を減らすため、DC電流ランプ(ramp)を使用してLEDをオン又はオフにすることにより、RFIを更に低減することも考えられる。例えば、百ミリ秒又は数百ミリ秒にわたる電流ランプは、ユーザを視覚的に混乱させることはないが、DC電流遷移を構成する高周波成分の減少をもたらす可能性がある。これらの対策は、個別に又はさまざまな組み合わせで、RFI問題の可能性を減らす。コンテキスト的なキー点灯を実現するため、各LEDは、ソフトウェアの指示に基づき、電力を供給されてもされなくてもよい。例えば表示された各ユーザインターフェース(UI)ダイアログは、そのUIダイアログに関して点灯されるべきキーのインデックスを格納する関連データ構造を持つことができる。ユーザインターフェース処理が、医療デバイスコントローラにより実行されるとき、それは関連付けられるデータ構造を読み出し、そのデータ構造においてインデックス化されるLEDに電力を供給する。この手法では、特定のユーザインターフェース処理に使用可能なキーを変更する医療デバイスファームウェア更新は、単に更新された関連データ構造を含むだけである。
【0022】
ここで
図1を参照すると、医療デバイス10の概略図が示される。例示的な例では、医療デバイス10は、シリンジ注入ポンプ又は容量注入ポンプなどの医療注入ポンプである。注入ポンプ10は、従来の注入ポンプに通常含まれる特徴を含む。例えば、注入ポンプ10は、電動流体ポンプ14、電源16(又は例えば120Vの交流ビルディング電力を変換するための電力変換器)、少なくとも1つの電子プロセッサ18、例えばマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ、及びメモリチップなどの関連要素を収容するハウジング12を含む。
図1に示されるように、注入ポンプ10は上面図で示され、ハウジング12の「上部」部分が取り除かれ、その結果、その中に配置された(概略的に示される)内部要素14、16、18が見える。電動ポンプ14は、適切なチューブ(図示省略)を介して薬物又は他の治療用流体を患者に送り込むよう構成される。電動流体ポンプ14は、
図1において概略的に示されており、典型的には従来の要素を含む点を理解されたい。例えば図示省略されるが、モータ、電子制御式入口及び/又は出口弁を備えるポンプ流体チャンバ、流量計といったセンサなどを含む。電動流体ポンプ14は、電源16(例えば、電池)により動力を供給される。少なくとも1つのプロセッサ18は、以下により詳細に説明されるように、注入ポンプ10の動作を制御するようプログラムされる。
【0023】
注入ポンプ10の正面図を示す
図2を参照し、引き続き
図1を参照すると、注入ポンプ10はまた、注入ポンプ10の動作の詳細を表示するよう構成されるディスプレイ20(例えば、LCDディスプレイ、陰極線管ディスプレイ、7セグメントディスプレイ等)を含む。キーパッド22がディスプレイ20に隣接して配置される。キーパッド22は、複数のキー24を含む。キー24は、英数字、又は「オン」、「オフ」、「開始」、「停止」などのコマンドを入力するために提供されることができる。キー24は、指の押圧を検出することが可能な任意の種類のものでよい。例えば、メンブレンキー、メカニカルキー、タッチセンサー式静電容量式キーなどである。キー24は、ユーザインターフェース処理中に、例えば、注入ポンプ10の薬剤供給処理(例えば、「オン/オフ」、「供給開始」、「供給停止」、「供給速度の増加/減少」、「タイマー」など)を制御するため、情報を入力するユーザ(例えば、医師、看護師など)により押されるよう構成される。ユーザインターフェース処理はまた、処理に関する情報を表示するためにディスプレイ20を使用してもよい。更に、本書に開示されるように、キー24は、それらがそのユーザインターフェース処理に応答するための情報を入力するのに使用可能であるときにのみ、ユーザインターフェース処理の実行中に点灯されるよう構成される。例えば、注入ポンプ10の起動中に、ディスプレイ20は、質問「流量を入力してください」を表示し、次いで数字キー「0」~「9」のみが点灯される。同様に、イエス/ノーの質問が出される場合、「Y」及び「N」キーのみが点灯される、などとなる。こうして、ユーザは、注入ポンプ10の始動プログラムを実行するとき、どの入力が許容可能であるかに関して案内される。
【0024】
図3は、関連付けられる電子機器と共に、キーパッド22をより詳細に示す。複数の光源26が、それぞれのキーを点灯するため、キーパッド22のそれぞれのキー24と共に配置される。一例では、光源26は、キー24の後ろ又は下に配置されることができる。別の例では、光源26は、キー24における開口部(図示省略)内に設置されることができる。更なる例では、光源26は、キー24の内部又は内側に設置されることができる。例えばキーは、光源を封入する(即ちオーバーモールドする)成形要素とすることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、複数の光源26は、発光ダイオード(LED)28を含む。例えば、個々のLED28は、キーパッド22の対応する個々のキー24の後ろ又は下に配置されることができる。少なくとも1つのプロセッサ18は、注入ポンプ10のユーザインターフェース処理を制御するようプログラムされる。本書で使用されるとき、用語「ユーザインターフェース処理」は、ユーザがキーパッド22を介して要求された情報を入力する処理を含む。情報に関する要求は、ディスプレイ20を介して、及び/又は音声合成装置などの別の機構によりユーザに伝えられてもよい。所与のユーザインターフェース処理は、例えば流量値、警報限界値、装置動作モードの選択といった特定の情報を取得しようとする。典型的には、キー24のうちのいくつかのみが、ユーザインターフェース処理において使用可能である。例えば、ユーザインターフェース処理が数値の入力を求める場合、使用可能なキーは、キー「0」~「9」、そして場合によっては「.」である(10進値が許容される場合)。他方、ユーザインターフェース処理が「はい」又は「いいえ」の応答を求める場合、使用可能なキーは、英数字キーパッドの「Y」及び「N」キーであり得、又は使用可能なキーは、「はい」及び「いいえ」とラベル付けされた特殊キーであり得る。本書に開示されるように、光源26は、各ユーザインターフェース処理に関する使用可能なキーのみを点灯するために使用される。そうするため、少なくとも1つのプロセッサ18は、ユーザインターフェース処理において使用可能であるキー24を選択的に点灯するように光源26を制御するようプログラムされる。点灯されたキーのユーザ操作によりユーザ入力が受信されると、少なくとも1つのプロセッサ18は、ユーザインターフェース処理中に受信されたユーザ入力に基づき注入ポンプ10を制御又は構成するようプログラムされる。
【0026】
例えば、ユーザが注入ポンプ10をオンにするためにキー24の1つ(即ち、オン/オフキー)を押すとき、いくつかのキー24が、キーの点灯された組み合わせを形成するため点灯されることができる(例えば、「オン/オフ」、「供給を開始する」、「供給速度の増加/減少」、「タイマー」など)。次いで、ユーザは、1つ又は複数のキー24(例えば、「供給開始」、「供給速度の増加/減少」、「タイマー」、「供給速度の設定」など)を押して、注入ポンプの薬供給オプションを制御することができる。点灯されたキー24の組み合わせに対応するこれらの薬物供給処理はディスプレイ20上に表示されることができる。点灯されたキー24の組み合わせは、ユーザに利用可能な操作に対応するキーのみを含む点を理解されたい。例えば、注入ポンプ10が一旦オンにされると、「オン」キー24は点灯しないであろう。同様に、注入ポンプ10がオフのとき、「オン」キー24だけが点灯される。別の例では、「供給開始」キー24が押されるとき、それはもはや点灯されず、(他の可能なキーの中でも)「オフ」、「供給停止」、「供給速度の増加/減少」、及び「タイマー」キー24だけが点灯したままになる。有利には、この選択的点灯は、ユーザが(例えば、間違ったキー24を押すことにより)行う可能性のある誤りの数を減らしつつ、患者への薬物の供給に関してより迅速な決定を下すことを可能にする。
【0027】
他の実施形態では、少なくとも1つのプロセッサ18は、LED28に電力を供給するように電源16を動作させるよう構成される。例えば、一実施形態では、電源16は、LED28にアナログDC電流を供給し、LEDを作動させてユーザインターフェース処理に使用可能なキー24を選択的に点灯するよう構成される。(単一の電源16が示されるが、専用のLED直流駆動回路の形態の別個の電源があってもよいことに留意されたい)。直流電力を使用すると、点灯されたキーパッドのRFI放射が実質的に減少するが、それでも、例えばDC電源をオン又はオフにするとき、直流電力変動及び/又は過渡現象の高周波成分により、いくらかのRFIが発生する可能性がある。RFIを更に減らすため、注入ポンプ10はオプションで、LEDとその電源16との間の導電経路に接続されたローパスフィルタ30を含むこともできる。ローパスフィルタ30は、LED28に供給されるアナログDC電流をフィルタリングするよう構成される。例えば、注入ポンプ10がMR対応であるように意図される場合、ローパスフィルタのカットオフ周波数は、MR撮像デバイスの最低の磁気共鳴周波数より低いことが好ましい。追加的又は代替的手法では、LEDのDC電源オン又は電源オフ中のRFIは、電力を上昇又は下降させることにより制限されることができる。これは、ステップ関数に対するランプの高周波成分の減少を利用する。ランプは、ユーザインターフェースに悪影響を及ぼさないように十分速くなければならない。例えば、数ミリ秒から数百ミリ秒のランプ時間が好ましい。
【0028】
更なる実施形態では、注入ポンプ10は、注入ポンプ10の動作中に使用可能なキー24の識別を記憶するよう構成された非一時的ストレージ32(例えばフラッシュメモリ又は他の固体メモリ、磁気ディスクなど)を含むことができる。例えば、各ユーザインターフェース処理は、データストレージ32に格納された関連データ構造を持つことができる。各ユーザインターフェース処理に関するデータ構造は、そのユーザインターフェース処理で使用可能なキーパッド22の全てのキーのインデックス値を含む。実行される各ユーザインターフェース処理に関して、少なくとも1つのプロセッサ18は、非一時的ストレージ32を読み出すことにより実行されるべきユーザインターフェース処理において使用可能なキーの組24を識別するようプログラムされ、識別されたキーを選択的に点灯するよう光源26を制御する。
【0029】
医療デバイス10(即ち注入ポンプ10)は、MR干渉の発生を回避するため、MR環境で使用するよう構成されることを理解されたい。そのため、注入ポンプ10は、無線周波数干渉(RFI)シールド34を含む。しかしながら、RFシールド34は、キーパッド22及び光源26を取り囲まない。なぜなら、これらはユーザに露出されるからである。更に、注入ポンプ10の要素、特に電動ポンプ14は、磁気干渉を回避し、非常に強力な磁場(例えば、いくつかの市販のMRI装置では3テスラ)により磁気材料がMRボア内に引き寄せられ、かつ引き込まれる可能性を防止するため、非磁性材料から作られる。
【0030】
ここで
図4を参照すると、MR環境で使用するための医療デバイス点灯方法100が示される。ステップ102において、ユーザインターフェース処理が、少なくとも1つの電子プロセッサ18を用いて実行される。ステップ104において、医療デバイス10のキーパッド22上の使用可能なキー24を選択的に点灯するよう光源26、28を制御するため、ユーザインターフェース処理に関して使用可能なキーのインデックス化に関連するデータが、データストレージ32から取得される。ステップ106では、それらのインデックス化されたキー24に関連付けられるLED28が選択的に点灯され、これらが使用可能なキーであることをユーザに知らせる。ステップ108(一部のユーザインターフェース処理には適用されない場合がある)では、例えば「流量(ml/秒)」といった情報に関する要求などの情報要求が、ディスプレイ20に表示される。ステップ110において、少なくとも1つの点灯されたキー24をユーザが押すことにより、少なくとも1つのユーザ入力が受信される。ステップ112において、少なくとも1つのプロセッサ18を用いて、医療デバイス10は、点灯されたキー24の少なくとも1つにより受信されたユーザ入力に基づき制御又は構成される。この方法100は、様々なユーザインターフェース処理を実行するために繰り返されてもよい。
【0031】
いくつかのユーザインターフェース処理は、ディスプレイ20を使用しなくてもよい。例えば、IV流体を患者に供給する間、「流れ遮断」ユーザインターフェース処理が実行されることがある。この処理は例えば、IVフローを止めるためユーザが「停止」キーを選択することを可能にするか、又は上向き若しくは下向き矢印キーを押すことによりそれぞれ流量を上げる若しくは下げるよう調節することを選択することを可能にし得る。このユーザインターフェース処理のため、取得されたデータ構造は、「停止」、「上矢印」、及び「下矢印」キーをインデックス化し、これらは次に点灯される。しかし、ディスプレイ20は、測定された流れ情報又は他の関連情報を表示し続けるであろう。
【0032】
医療デバイス10の例示的なデータ処理又はデータインターフェース要素は、開示された処理を実行するため、電子プロセッサ(例えば、少なくとも1つの電子プロセッサ18)により実行可能な命令を記憶する非一時的記憶媒体として実現され得る点を理解されたい。非一時的記憶媒体は例えば、ハードディスクドライブ、RAID、又は他の磁気記憶媒体;ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、電子的に消去可能な読み出し専用メモリ(EEROM)又は他の電子メモリ;光ディスク又は他の光学ストレージ;それらの様々な組み合わせなどを有することができる。
【0033】
本発明が、好ましい実施形態を参照して説明されてきた。上記の詳細な説明を読み及び理解すると、第三者は、修正及び変更を思いつくことができる。それらの修正及び変更が添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内にある限り、本発明は、すべての斯かる修正及び変更を含むものとして構築されることが意図される。