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特許7132917酸化型グルタチオン・二カチオン塩の結晶及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】酸化型グルタチオン・二カチオン塩の結晶及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/037 20060101AFI20220831BHJP
   C30B 29/54 20060101ALI20220831BHJP
   A61K 8/64 20060101ALN20220831BHJP
   A61K 38/08 20190101ALN20220831BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20220831BHJP
【FI】
C07K5/037
C30B29/54
A61K8/64
A61K38/08
A61P43/00 111
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2019523948
(86)(22)【出願日】2018-06-06
(86)【国際出願番号】 JP2018021712
(87)【国際公開番号】W WO2018225790
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2017113315
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】308032666
【氏名又は名称】協和発酵バイオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】藤本 晃広
(72)【発明者】
【氏名】福本 一成
(72)【発明者】
【氏名】長野 宏
【審査官】井関 めぐみ
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101955511(CN,A)
【文献】国際公開第2016/159317(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 5/037
C30B 29/54
A61K 8/64
A61K 38/08
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化型グルタチオン(以下、GSSGという。)・二カチオン塩の結晶。
【請求項2】
GSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶である、請求項1に記載の結晶。
【請求項3】
粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、18.5±0.2°、20.7±0.2°、21.3±0.2°、23.2±0.2°及び23.6±0.2°にピークを有する、請求項2に記載の結晶。
【請求項4】
粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、18.9±0.2°、6.4±0.2°、22.5±0.2°、12.7±0.2°及び19.4±0.2°にピークを有する、請求項3に記載の結晶。
【請求項5】
粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、22.0±0.2°、19.9±0.2°、22.8±0.2°、25.6±0.2°及び24.4±0.2°にピークを有する、請求項4に記載の結晶。
【請求項6】
GSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶である、請求項1に記載の結晶。
【請求項7】
粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、23.8±0.2°、22.1±0.2°、21.6±0.2°、25.0±0.2°及び20.4±0.2°にピークを有する、請求項6に記載の結晶。
【請求項8】
粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、17.5±0.2°、25.6±0.2°、26.7±0.2°、23.3±0.2°及び18.1±0.2°にピークを有する、請求項7に記載の結晶。
【請求項9】
粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、28.5±0.2°、27.8±0.2°、19.2±0.2°、19.7±0.2°及び31.5±0.2°にピークを有する、請求項8に記載の結晶。
【請求項10】
GSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶である、請求項1に記載の結晶。
【請求項11】
粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、18.9±0.2°、19.3±0.2°、20.1±0.2°、20.5±0.2°及び23.5±0.2°にピークを有する、請求項10に記載の結晶。
【請求項12】
粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、24.6±0.2°、21.3±0.2°、20.3±0.2°、25.9±0.2°及び20.9±0.2°にピークを有する、請求項11に記載の結晶。
【請求項13】
粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、24.0±0.2°、4.6±0.2°、26.2±0.2°、26.5±0.2°及び22.2±0.2°にピークを有する、請求項12に記載の結晶。
【請求項14】
GSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶である、請求項1に記載の結晶。
【請求項15】
粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、15.8±0.2°、24.6±0.2°、24.3±0.2°、10.5±0.2°及び20.9±0.2°にピークを有する、請求項14に記載の結晶。
【請求項16】
粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、18.5±0.2°、14.7±0.2°、22.2±0.2°、5.7±0.2°及び16.7±0.2°にピークを有する、請求項15に記載の結晶。
【請求項17】
粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、19.5±0.2°、17.1±0.2°、15.2±0.2°、23.8±0.2°及び8.3±0.2°にピークを有する、請求項16に記載の結晶。
【請求項18】
GSSG・二ナトリウム塩の非結晶アモルファスを、30~50℃の温度及び60~90%の相対湿度で48時間以上静置する工程を含む、GSSG・二ナトリウム塩の結晶の製造方法。
【請求項19】
GSSG・二カリウム塩の非結晶アモルファスを、30~50℃の温度及び60~90%の相対湿度で48時間以上静置する工程を含む、GSSG・二カリウム塩の結晶の製造方法。
【請求項20】
GSSG・二リチウム塩の非結晶アモルファスを、30~50℃の温度及び60~90%の相対湿度で48時間以上静置する工程を含む、GSSG・二リチウム塩の結晶の製造方法。
【請求項21】
GSSG・二アンモニウム塩の非結晶アモルファスを、30~50℃の温度及び60~90%の相対湿度で48時間以上静置する工程を含む、GSSG・二アンモニウム塩の結晶の製造方法。
【請求項22】
カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液にアルコールを滴下又は添加をする工程、該水溶液にGSSG・二カチオン塩の結晶を種晶として添加することでGSSG・二カチオン塩の結晶を析出させる工程、及び該水溶液からGSSG・二カチオン塩の結晶を採取する工程を含む、GSSG・二カチオン塩の結晶の製造方法。
【請求項23】
滴下又は添加するアルコールが、C1~C6のアルコールからなる群より選ばれる、請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
カチオン含有化合物がナトリウム含有化合物であり、GSSG・二カチオン塩の結晶がGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶である、請求項22又は23に記載の製造方法。
【請求項25】
カチオン含有化合物がカリウム含有化合物であり、GSSG・二カチオン塩の結晶がGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶である、請求項22又は23に記載の製造方法。
【請求項26】
カチオン含有化合物がリチウム含有化合物であり、GSSG・二カチオン塩の結晶がGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶である、請求項22又は23に記載の製造方法。
【請求項27】
カチオン含有化合物がアンモニウム含有化合物であり、GSSG・二カチオン塩の結晶がGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶である、請求項22又は23に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、健康食品、医薬品、又は化粧品等の製品、原料又は中間体として有用である酸化型グルタチオン(以下、GSSGという。)・二カチオン塩の結晶及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GSSGは、2分子の還元型グルタチオン(以下、GSHという。)がジスルフィド結合によって結合した構造を有し、その分子内に2つのカルボキシル基を有する。
GSSGのフリー体の結晶として、これまでに、八水和物の結晶(非特許文献1)、一水和物の結晶(特許文献1)及び六水和物の結晶(特許文献2)が知られているが、これらの結晶はいずれも水に対する溶解度が小さいため、高濃度のGSSGの水溶液を調製することができない。
【0003】
フリー体のGSSGと比べて溶解度が改善したGSSGの結晶として、カチオンを含有する一アンモニウム塩の結晶が取得されているが、その溶解度は25℃の水に対して34.8質量%と十分とはいえない(特許文献3、表1)。また、同じくカチオンを含有する二アンモニウム塩は、固体の非結晶アモルファスとしても取得できておらず、その結晶についての知見はない(特許文献3)。さらに、二ナトリウム塩や二リチウム塩についても現在までにその結晶についての知見はなく、化合物の性質上、潮解性が非常に高いため、産業用には不向きであるとされている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2003/035674号
【文献】国際公開第2011/132724号
【文献】国際公開第2013/002317号
【非特許文献】
【0005】
【文献】Jelsch et al., "The oxidized form of glutathione", Acta Crystallographica Section C: Crystal Structure Communications, International Union of Crystallography, p1538-1540, 1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、溶解性及び保存安定性に優れるGSSG・二カチオン塩の結晶及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の(1)~(28)に関する。
(1)酸化型グルタチオン(以下、GSSGという。)・二カチオン塩の結晶。
(2)GSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶である、上記(1)に記載の結晶。
(3)粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、18.5±0.2°、20.7±0.2°、21.3±0.2°、23.2±0.2°及び23.6±0.2°にピークを有する、上記(2)に記載の結晶。
(4)粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、18.9±0.2°、6.4±0.2°、22.5±0.2°、12.7±0.2°及び19.4±0.2°にピークを有する、上記(3)に記載の結晶。
(5)粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、22.0±0.2°、19.9±0.2°、22.8±0.2°、25.6±0.2°及び24.4±0.2°にピークを有する、(4)に記載の結晶。
(6)GSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶である、上記(1)に記載の結晶。
(7)粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、23.8±0.2°、22.1±0.2°、21.6±0.2°、25.0±0.2°及び20.4±0.2°にピークを有する、上記(6)に記載の結晶。
(8)粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、17.5±0.2°、25.6±0.2°、26.7±0.2°、23.3±0.2°及び18.1±0.2°にピークを有する、上記(7)に記載の結晶。
(9)粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、28.5±0.2°、27.8±0.2°、19.2±0.2°、19.7±0.2°及び31.5±0.2°にピークを有する、上記(8)に記載の結晶。
(10)GSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶である、上記(1)に記載の結晶。
(11)粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、18.9±0.2°、19.3±0.2°、20.1±0.2°、20.5±0.2°及び23.5±0.2°にピークを有する、上記(10)に記載の結晶。
(12)粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、24.6±0.2°、21.3±0.2°、20.3±0.2°、25.9±0.2°及び20.9±0.2°にピークを有する、上記(11)に記載の結晶。
(13)粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、24.0±0.2°、4.6±0.2°、26.2±0.2°、26.5±0.2°及び22.2±0.2°にピークを有する、上記(12)に記載の結晶。
(14)GSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶である、上記(1)に記載の結晶。
(15)粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、15.8±0.2°、24.6±0.2°、24.3±0.2°、10.5±0.2°及び20.9±0.2°にピークを有する、上記(14)に記載の結晶。
(16)粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、18.5±0.2°、14.7±0.2°、22.2±0.2°、5.7±0.2°及び16.7±0.2°にピークを有する、上記(15)に記載の結晶。
(17)粉末X線回折において、回折角2θ(°)が、19.5±0.2°、17.1±0.2°、15.2±0.2°、23.8±0.2°及び8.3±0.2°にピークを有する、上記(16)に記載の結晶。
(18)GSSG・二カチオン塩の非結晶アモルファスを48時間以上静置する工程を含む、GSSG・二カチオン塩の結晶の製造方法。
(19)カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液にアルコールを滴下又は添加をする工程、該水溶液にGSSG・二カチオン塩の結晶を種晶として添加することでGSSG・二カチオン塩の結晶を析出させる工程、及び該水溶液からGSSG・二カチオン塩の結晶を採取する工程を含む、GSSG・二カチオン塩の結晶の製造方法。
(20)滴下又は添加するアルコールが、C1~C6のアルコールからなる群より選ばれる、上記(19)に記載の製造方法。
(21)GSSG・二カチオン塩の非結晶アモルファスがGSSG・二ナトリウム塩の非結晶アモルファスであり、GSSG・二カチオン塩の結晶がGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶である、上記(18)に記載の製造方法。
(22)GSSG・二カチオン塩の非結晶アモルファスがGSSG・二カリウム塩の非結晶アモルファスであり、GSSG・二カチオン塩の結晶がGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶である、上記(18)に記載の製造方法。
(23)GSSG・二カチオン塩の非結晶アモルファスがGSSG・二リチウム塩の非結晶アモルファスであり、GSSG・二カチオン塩の結晶がGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶である、上記(18)に記載の製造方法。
(24)GSSG・二カチオン塩の非結晶アモルファスがGSSG・二アンモニウム塩の非結晶アモルファスであり、GSSG・二カチオン塩の結晶がGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶である、上記(18)に記載の製造方法。
(25)カチオン含有化合物がナトリウム含有化合物であり、GSSG・二カチオン塩の結晶がGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶である、上記(19)又は(20)に記載の製造方法。
(26)カチオン含有化合物がカリウム含有化合物であり、GSSG・二カチオン塩の結晶がGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶である、上記(19)又は(20)に記載の製造方法。
(27)カチオン含有化合物がリチウム含有化合物であり、GSSG・二カチオン塩の結晶がGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶である、上記(19)又は(20)に記載の製造方法。
(28)カチオン含有化合物がアンモニウム含有化合物であり、GSSG・二カチオン塩の結晶がGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶である、上記(19)又は(20)に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、溶解性及び保存安定性に優れるGSSG・二カチオン塩の結晶及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1で得られたGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶の粉末X線回折の結果を表わす。縦軸は強度(cps)を、横軸は回折角2θ(°)を表わす。
図2図2は、実施例1で得られたGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶の赤外分光(IR)分析の結果を表わす。縦軸は光の透過率(%T)を、横軸は波数(cm-1)を表わす。
図3図3は、実施例2で得られたGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶の粉末X線回折の結果を表わす。縦軸は強度(cps)を、横軸は回折角2θ(°)を表わす。
図4図4は、実施例2で得られたGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶の赤外分光(IR)分析の結果を表わす。縦軸は光の透過率(%T)を、横軸は波数(cm-1)を表わす。
図5図5は、実施例3で得られたGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶の粉末X線回折の結果を表わす。縦軸は強度(cps)を、横軸は回折角2θ(°)を表わす。
図6図6は、実施例3で得られたGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶の赤外分光(IR)分析の結果を表わす。縦軸は光の透過率(%T)を、横軸は波数(cm-1)を表わす。
図7図7は、実施例4で得られたGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶の粉末X線回折の結果を表わす。縦軸は強度(cps)を、横軸は回折角2θ(°)を表わす。
図8図8は、実施例4で得られたGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶の赤外分光(IR)分析の結果を表わす。縦軸は光の透過率(%T)を、横軸は波数(cm-1)を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.本発明の結晶
本発明の結晶は、GSSG・二カチオン塩の結晶である。
本発明の結晶は、GSSGイオンとカチオンを1:2の割合で含有する塩の結晶であればよく、カチオンの種類には特に制限はないが、例えば、GSSGイオンとナトリウムイオンを1:2の割合で含有する塩の結晶(以下、GSSG・二ナトリウム塩の結晶という。)、GSSGイオンとカリウムイオンを1:2の割合で含有する塩の結晶(以下、GSSG・二カリウム塩の結晶という。)、GSSGイオンとリチウムイオンを1:2の割合で含有する塩の結晶(以下、GSSG・二リチウム塩の結晶という。)、GSSGイオンとアンモニウムイオンを1:2の割合で含有する塩の結晶(以下、GSSG・二アンモニウムの結晶という。)を挙げることができる。
【0011】
1-1.GSSG・二ナトリウム塩の結晶
GSSG・二ナトリウム塩の結晶がGSSGの結晶であることは、例えば、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いた分析により確認することができる。
HPLCを用いた分析における分析条件としては、例えば、以下の条件を挙げることができる。
カラム:Inertsil ODS-3(150mm×3mmID)
カラム温度:35℃
移動相:1000mLの水に、リン酸二水素カリウム6.8g、1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム2.0gを溶解させた後、リン酸を加えてpHを3.0に調整する。該容液970mLにメタノール30mLを加え、移動相として用いる。
流速:0.5mL/分
検出器:UV検出器(波長:210nm)
【0012】
結晶がGSSG・二ナトリウム塩の結晶であることは、粉末X線回折による分析によっても確認することができる。
粉末X線回折による分析は、例えば、粉末X線回折装置(XRD)UltimaIV(リガク社製)を使用し、X線源としてCuKαを用い、付属の使用説明書に従って行うことができる。
【0013】
GSSG・二ナトリウム塩の結晶は、無水和物の結晶であっても水和物の結晶であってもよいが、好ましくは水和物の結晶、より好ましくは六水和物の結晶を挙げることができる。
そのような六水和物の結晶としては、具体的には、[C203012Na]6HOの組成式で表わされるGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶を挙げることができる。
【0014】
GSSG・二ナトリウム塩の結晶が、ナトリウム塩の結晶であることは、当該結晶中に含まれるナトリウム含量を原子吸光分析又は高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析で測定することによって確認することができる。
原子吸光分析は、例えば、原子吸光光度計Z-2310(日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、付属の使用説明書に従って行うことができる。また、ICP発光分光分析は、例えば、ICP発光分光分析計ICPS-8100(島津製作所製)を用い、付属の使用説明書に従って行うことができる。
GSSG・二ナトリウム塩の結晶のナトリウム含量は、該結晶が有する水和水の数によって変わってくるが、GSSG・二ナトリウム塩の結晶が六水和物の結晶である場合、GSSG・二ナトリウム塩の結晶が二ナトリウム塩の結晶であることは、該結晶中のナトリウム含量が、無水和物に換算して、通常7.0±1.0重量%、好ましくは7.0±0.7重量%、最も好ましくは7.0±0.5重量%であることにより確認することができる。
【0015】
GSSG・二ナトリウム塩の結晶が、六水和物の結晶であることは、当該結晶中の水分含量が、通常14.1±2.0重量%、好ましくは14.1±1.5重量%、より好ましくは14.1±1.0重量%であることにより確認することができる。
水分含量は、例えば、カールフィッシャー法又は熱重量示唆熱分析により測定することができる。
カールフィッシャー法による水分含量測定は、例えば、MKA-510N/MKS-510N(京都電子工業社製)を用い、付属の使用説明書に従って行うことができる。
【0016】
GSSG・二ナトリウム塩の結晶としては、X線源としてCuKαを用いた粉末X線回折において、下記(i)に記載の回折角2θ(°)にピークを有する結晶を挙げることができ、下記(i)及び(ii)に記載の回折角2θ(°)にピークを有する結晶が好ましく、下記(i)、(ii)及び(iii)に記載の回折角2θ(°)にピークを有する結晶がより好ましい。
(i)18.5±0.2°好ましくは±0.1°、20.7±0.2°好ましくは±0.1°、21.3±0.2°好ましくは±0.1°、23.2±0.2°好ましくは±0.1°、及び23.6±0.2°好ましくは±0.1°
(ii)18.9±0.2°好ましくは±0.1°、6.4±0.2°好ましくは±0.1°、22.5±0.2°好ましくは±0.1°、12.7±0.2°好ましくは±0.1°、及び19.4±0.2°好ましくは±0.1°
(iii)22.0±0.2°好ましくは±0.1°、19.9±0.2°好ましくは±0.1°、22.8±0.2°好ましくは±0.1°、25.6±0.2°好ましくは±0.1°、及び24.4±0.2°好ましくは±0.1°
【0017】
GSSG・二ナトリウム塩の結晶として具体的には、X線源としてCuKαを用いた粉末X線回折パターンが、図1に示すパターン及び表1に示す回折角の値で規定されるGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶、又は、赤外分光(IR)分析に供した場合、図2に示す赤外吸収スペクトルを示すGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶を挙げることができる。
赤外分光(IR)分析は、例えば、FTIR-8400型(島津製作所製)を使用し、付属の使用説明書に従って行うことができる。
【0018】
1-2.GSSG・二カリウム塩の結晶
GSSG・二カリウム塩の結晶がGSSGの結晶であることは、例えば、上記1-1と同様のHPLCを用いた分析により確認することができる。
結晶がGSSG・二カリウム塩の結晶であることは、上記1-1と同様の粉末X線回折による分析によっても確認することができる。
【0019】
GSSG・二カリウム塩の結晶は、無水和物の結晶であっても、水和物の結晶であってもよいが、好ましくは水和物の結晶、より好ましくは三水和物の結晶を挙げることができる。
そのような三水和物の結晶としては、具体的には、[C203012]3HOの組成式で表わされるGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶を挙げることができる。
【0020】
GSSG・二カリウム塩の結晶が、カリウム塩の結晶であることは、当該結晶中に含まれるカリウム含量を原子吸光分析又はICP発光分光分析で測定することによって確認することができる。
GSSG・二カリウム塩の結晶のカリウム含量は、該結晶が有する水和水の数によって変わってくるが、GSSG・二カリウム塩の結晶が三水和物の結晶である場合、GSSG・二カリウム塩の結晶が二カリウム塩の結晶であることは、該結晶中のカリウム含量が、無水和物に換算して、通常11.4±2.0重量%、好ましくは11.4±1.6重量%、最も好ましくは11.4±1.2重量%であることにより確認することができる。
【0021】
GSSG・二カリウム塩の結晶が、三水和物の結晶であることは、カールフィッシャー法又は熱重量示差熱分析により、当該結晶中の水分含量が、通常7.3±1.0重量%、好ましくは7.3±0.7重量%、より好ましくは7.3±0.5重量%であることにより確認することができる。
カールフィッシャー法による水分含量測定は、上記1-1と同様の方法で行うことができる。
【0022】
GSSG・二カリウム塩の結晶としては、X線源としてCuKαを用いた粉末X線回折において、下記(iv)に記載の回折角2θ(°)にピークを有する結晶を挙げることができ、下記(iv)及び(v)に記載の回折角2θ(°)にピークを有する結晶が好ましく、下記(iv)、(v)及び(vi)に記載の回折角2θ(°)にピークを有する結晶がより好ましい。
(iv)23.8±0.2°好ましくは±0.1°、22.1±0.2°好ましくは±0.1°、21.6±0.2°好ましくは±0.1°、25.0±0.2°好ましくは±0.1°、及び20.4±0.2°好ましくは±0.1°
(v)17.5±0.2°好ましくは±0.1°、25.6±0.2°好ましくは±0.1°、26.7±0.2°好ましくは±0.1°、23.3±0.2°好ましくは±0.1°、及び18.1±0.2°好ましくは±0.1°
(vi)28.5±0.2°好ましくは±0.1°、27.8±0.2°好ましくは±0.1°、19.2±0.2°好ましくは±0.1°、19.7±0.2°好ましくは±0.1°、及び31.5±0.2°好ましくは±0.1°
【0023】
GSSG・二カリウム塩の結晶として具体的には、X線源としてCuKαを用いた粉末X線回折パターンが、図3に示すパターン及び表2に示す回折角の値で規定されるGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶、又は、赤外分光(IR)分析に供した場合、図4に示す赤外吸収スペクトルを示すGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶を挙げることができる。
赤外分光(IR)分析は、上記1-1と同様の方法で行うことができる。
【0024】
1-3.GSSG・二リチウム塩の結晶
GSSG・二リチウム塩の結晶がGSSGの結晶であることは、例えば、上記1-1と同様のHPLCを用いた分析により確認することができる。
結晶がGSSG・二リチウム塩の結晶であることは、上記1-1と同様の粉末X線回折による分析によっても確認することができる。
【0025】
GSSG・二リチウム塩の結晶は、無水和物の結晶であっても水和物の結晶であってもよいが、好ましくは水和物の結晶を挙げることができ、より好ましくは三水和物の結晶を挙げることができる。
そのような三水和物の結晶としては、具体的には、[C203012Li]3HOの組成式で表わされるGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶を挙げることができる。
【0026】
GSSG・二リチウム塩の結晶が、リチウム塩の結晶であることは、当該結晶中に含まれるリチウム含量を原子吸光分析又はICP発光分光分析で測定することによって確認することができる。
GSSG・二リチウム塩の結晶のリチウム含量は、該結晶が有する水和水の数によって変わってくるが、GSSG・二リチウム塩の結晶が三水和物の結晶である場合、GSSG・二リチウム塩の結晶が二リチウム塩の結晶であることは、該結晶中のリチウム含量が、通常2.2±1.0重量%、好ましくは2.2±0.7重量%、最も好ましくは2.2±0.5重量%であることにより確認することができる。
【0027】
GSSG・二リチウム塩の結晶が、三水和物の結晶であることは、カールフィッシャー法又は熱重量示差熱分析により、当該結晶中の水分含量が、通常8.0±1.5重量%、好ましくは8.0±1.2重量%、最も好ましくは8.0±1.0重量%であることにより確認することができる。
カールフィッシャー法による水分含量測定は、例えば、上記1-1と同様の方法で行うことができる。
【0028】
GSSG・二リチウム塩の結晶としては、X線源としてCuKαを用いた粉末X線回折において、下記(vii)に記載の回折角2θ(°)にピークを有する結晶を挙げることができ、下記(vii)及び(viii)に記載の回折角2θ(°)にピークを有する結晶が好ましく、下記(vii)、(viii)及び(ix)に記載の回折角2θ(°)にピークを有する結晶がより好ましい。
(vii)18.9±0.2°好ましくは±0.1°、19.3±0.2°好ましくは±0.1°、20.1±0.2°好ましくは±0.1°、20.5±0.2°好ましくは±0.1°、及び23.5±0.2°好ましくは±0.1°
(viii)24.6±0.2°好ましくは±0.1°、21.3±0.2°好ましくは±0.1°、20.3±0.2°好ましくは±0.1°、25.9±0.2°好ましくは±0.1°、及び20.9±0.2°好ましくは±0.1°
(ix)24.0±0.2°好ましくは±0.1°、4.6±0.2°好ましくは±0.1°、26.2±0.2°好ましくは±0.1°、26.5±0.2°好ましくは±0.1°、及び22.2±0.2°好ましくは±0.1°
【0029】
GSSG・二リチウム塩の結晶として具体的には、X線源としてCuKαを用いた粉末X線回折パターンが、図5に示すパターン及び表3に示す回折角の値で規定されるGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶、又は、赤外分光(IR)分析に供した場合、図6に示す赤外吸収スペクトルを示すGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶を挙げることができる。
赤外分光(IR)分析は、例えば、上記1-1と同様の方法で行うことができる。
【0030】
1-4.GSSG・二アンモニウム塩の結晶
GSSG・二アンモニウム塩の結晶がGSSGの結晶であることは、例えば、上記1-1と同様のHPLCを用いた分析により確認することができる。
結晶がGSSG・二アンモニウム塩の結晶であることは、上記1-1と同様の粉末X線回折による分析によっても確認することができる。
【0031】
GSSG・二アンモニウム塩の結晶は、無水和物の結晶であっても、水和物の結晶であってもよいが、好ましくは水和物の結晶を挙げることができ、より好ましくは三水和物の結晶を挙げることができる。
そのような三水和物の結晶としては、具体的には、[C203012(NH]3HOの組成式で表わされるGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶を挙げることができる。
【0032】
GSSG・二アンモニウム塩の結晶が、アンモニウム塩の結晶であることは、当該結晶中に含まれるアンモニウム含量を測定することによって確認することができる。
アンモニウム含量は、例えば、HPLCを用いた分析により確認することができる。
HPLCを用いた分析における分析条件としては、例えば、以下の条件を挙げることができる。
カラム:YMC―PACK AQ φ6.0×150mm(粒子径:5μm、細孔径:12nm)
カラム温度:40℃
移動相:4000mLの水にクエン酸ナトリウム二水和物14.7g、硫酸ナトリウム無水物7.1gを溶解させた後、濃硫酸にてpHを3.8に調整する。その後、ラウリル硫酸ナトリウム15.0g、1-プロパノール600mLを加え、水で5000mLにメスアップした溶液を移動相とする。
移動相流速:1.2mL/分
反応液:600mLの水にほう酸18.5g、水酸化ナトリウム10.0gを溶解させた後、Briji-35 4.2mLを加え、水で1000mLにメスアップする。その後、O-フタルアルデヒド0.6g、N-アセチル-L-システイン4.6gを加えて溶解させたものを反応液とする。
反応液流速:0.4mL/分
検出器:蛍光検出器(励起波長:355nm、蛍光波長:455nm)
GSSG・二アンモニウム塩の結晶のアンモニウム含量は、該結晶が有する水和水の数によって変わってくるが、GSSG・二アンモニウム塩の結晶が三水和物の結晶である場合、GSSG・二アンモニウム塩の結晶が二アンモニウム塩の結晶であることは、該結晶中のアンモニウム含量が、通常5.3±1.0重量%、好ましくは5.3±0.7重量%、最も好ましくは5.3±0.5重量%であることにより確認することができる。
【0033】
GSSG・二アンモニウム塩の結晶が、三水和物の結晶であることは、カールフィッシャー法又は熱重量示差熱分析により、当該結晶中の水分含量が、通常7.7±1.0重量%、好ましくは7.7±0.7重量%、最も好ましくは7.7±0.5重量%であることにより確認することができる。
カールフィッシャー法による水分含量測定は、例えば、上記1-1と同様の方法で行うことができる。
【0034】
GSSG・二アンモニウム塩の結晶としては、X線源としてCuKαを用いた粉末X線回折において、下記(x)に記載の回折角2θ(°)にピークを有する結晶を挙げることができ、下記(x)及び(xi)に記載の回折角2θ(°)にピークを有する結晶が好ましく、下記(x)、(xi)及び(xii)に記載の回折角2θ(°)にピークを有する結晶がより好ましい。
(x)15.8±0.2°好ましくは±0.1°、24.6±0.2°好ましくは±0.1°、24.3±0.2°好ましくは±0.1°、10.5±0.2°好ましくは±0.1°、及び20.9±0.2°好ましくは±0.1°
(xi)18.5±0.2°好ましくは±0.1°、14.7±0.2°好ましくは±0.1°、22.2±0.2°好ましくは±0.1°、5.7±0.2°好ましくは±0.1°、及び16.7±0.2°好ましくは±0.1°
(xii)19.5±0.2°好ましくは±0.1°、17.1±0.2°好ましくは±0.1°、15.2±0.2°好ましくは±0.1°、23.8±0.2°好ましくは±0.1°、及び8.3±0.2°好ましくは±0.1°
【0035】
GSSG・二アンモニウム塩の結晶として具体的には、X線源としてCuKαを用いた粉末X線回折パターンが、図7に示すパターン及び表4に示す回折角の値で規定されるGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶、又は、赤外分光(IR)分析に供した場合、図8に示す赤外吸収スペクトルを示すGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶を挙げることができる。
赤外分光(IR)分析は、例えば、上記1-1と同様の方法で行うことができる。
【0036】
2.本発明の結晶の製造方法
本発明の結晶の製造方法は、以下の2-1又は2-2に記載の製造方法である。
【0037】
2-1.本発明の結晶の製造方法1
本発明の結晶の製造方法は、GSSG・二カチオン塩の非結晶アモルファスを48時間以上静置する工程を含む、GSSG・二カチオン塩の結晶の製造方法である。
【0038】
GSSG・二カチオン塩の非結晶アモルファスは、カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液を凍結乾燥することによって取得できる。
【0039】
カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液に含有されるGSSGは、発酵法、酵素法、天然物からの抽出法、化学合成法等のいずれの製造方法によって製造されたものであってもよいが、例えば、特許文献1の方法に従って調製したGSSG・一水和物の結晶及び特許文献2の方法に従って調製したGSSG・六水和物の結晶を挙げることができる。
【0040】
カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液に結晶化の障害となる固形物が含まれている場合には、遠心分離、濾過又はセラミックフィルタ等を用いて固形物を除去することができる。
【0041】
また、カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液に結晶化の障害となる水溶性の不純物や塩が含まれている場合には、イオン交換樹脂等を充填したカラムに通塔する等により、水溶性の不純物や塩を除去することができる。
【0042】
また、カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液に結晶化の障害となる疎水性の不純物が含まれる場合には、合成吸着樹脂や活性炭等を充填したカラムに通塔する等により、疎水性の不純物を除去することができる。
【0043】
カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液中のGSSGの濃度は、5~100g/L、好ましくは10~75g/L、より好ましくは20~50g/Lとなるように調製して用いることが望ましい。
【0044】
カチオン含有化合物としては、具体的には、ナトリウム含有化合物、カリウム含有化合物、リチウム含有化合物及びアンモニウム含有化合物を挙げることができる。
【0045】
ナトリウム含有化合物としては、例えば、水酸化ナトリウムのような塩基性化合物、又はナトリウムの炭酸化物、ナトリウムの硫酸化物、ナトリウムの硝酸化物若しくはナトリウムの塩化物のような塩を挙げることができる。該塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム又は塩化ナトリウムを挙げることができる。
【0046】
ナトリウム含有化合物として塩基性化合物を用いる場合、当該塩基性化合物を使用してGSSGの水溶液のpHを調整することにより、pHが通常4.0~10.0、好ましくは4.5~9.5、最も好ましくは5.0~9.0であるナトリウム含有化合物が溶解したGSSGの水溶液を取得することができる。
【0047】
カリウム含有化合物としては、例えば、水酸化カリウムのような塩基性化合物、又はカリウムの炭酸化物、カリウムの硫酸化物、カリウムの硝酸化物若しくはカリウムの塩化物のような塩を挙げることができる。該塩としては、例えば、炭酸カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム又は塩化カリウムを挙げることができる。
【0048】
カリウム含有化合物として塩基性化合物を用いる場合、当該塩基性化合物を使用してGSSGの水溶液のpHを調整することにより、pHが通常4.0~10.0、好ましくは4.5~9.5、最も好ましくは5.0~9.0であるカリウム含有化合物が溶解したGSSGの水溶液を取得することができる。
【0049】
リチウム含有化合物としては、例えば、水酸化リチウムのような塩基性化合物、又はリチウムの炭酸化物、リチウムの硫酸化物、リチウムの硝酸化物若しくはリチウムの塩化物のような塩を挙げることができる。該塩としては、例えば、炭酸リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム又は塩化リチウムを挙げることができる。
【0050】
リチウム含有化合物として塩基性化合物を用いる場合、当該塩基性化合物を使用してGSSGの水溶液のpHを調整することにより、pHが通常4.0~10.0、好ましくは4.5~9.5、最も好ましくは5.0~9.0であるリチウム含有化合物が溶解したGSSGの水溶液を取得することができる。
【0051】
アンモニウム含有化合物としては、例えば、アンモニアのような塩基性化合物、又はアンモニアの炭酸化物、アンモニアの硫酸化物、アンモニアの硝酸化物若しくはアンモニアの塩化物のような塩を挙げることができる。該塩としては、例えば、炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム又は塩化アンモニウムを挙げることができる。
【0052】
アンモニウム含有化合物として塩基性化合物を用いる場合、当該塩基性化合物を使用してGSSGの水溶液のpHを調整することにより、pHが通常4.0~10.0、好ましくは4.5~9.5、最も好ましくは5.0~9.0であるアンモニウム含有化合物が溶解したGSSGの水溶液を取得することができる。
【0053】
2-1の方法において、カチオン含有化合物としてナトリウム含有化合物を用いた場合、得られるGSSG・二カチオン塩の非結晶アモルファスはGSSG・二ナトリウム塩の非結晶アモルファスである。
【0054】
2-1の方法において、カチオン含有化合物としてカリウム含有化合物を用いた場合、得られるGSSG・二カチオン塩の非結晶アモルファスはGSSG・二カリウム塩の非結晶アモルファスである。
【0055】
2-1の方法において、カチオン含有化合物としてリチウム含有化合物を用いた場合、得られるGSSG・二カチオン塩の非結晶アモルファスはGSSG・二リチウム塩の非結晶アモルファスである。
【0056】
2-1の方法において、カチオン含有化合物としてアンモニウム含有化合物を用いた場合、得られるGSSG・二カチオン塩の非結晶アモルファスはGSSG・二アンモニウム塩の非結晶アモルファスである。
【0057】
カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液を凍結乾燥する際の凍結乾燥に要する時間としては、通常24時間以上、好ましくは48時間以上、より好ましくは72時間以上を挙げることができる。
【0058】
上記の方法で取得したGSSG・二カチオン塩の非結晶アモルファスを48時間以上静置することで、GSSG・二カチオン塩の結晶を製造することができる。
【0059】
GSSG・二カチオン塩の非結晶アモルファスを静置する工程における、静置に要する時間としては、通常48時間以上、好ましくは60時間以上、より好ましくは72時間以上を挙げることができる。
【0060】
GSSG・二カチオン塩の非結晶アモルファスを静置する工程における、環境中の温度としては、通常10~70℃、好ましくは20~60℃、より好ましくは30~50℃を挙げることができる。
【0061】
GSSG・二カチオン塩の非結晶アモルファスを静置する工程における、環境中の相対湿度としては、通常40~100%、好ましくは50~95%、より好ましくは60~90%を挙げることができる。
【0062】
2-1の方法において、非結晶アモルファスとしてGSSG・二ナトリウム塩の非結晶アモルファスを用いた場合、得られるGSSG・二カチオン塩の結晶は、GSSG・二ナトリウム塩の結晶、より具体的にはGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶である。
【0063】
2-1の方法において、非結晶アモルファスとしてGSSG・二カリウム塩の非結晶アモルファスを用いた場合、得られるGSSG・二カチオン塩の結晶は、GSSG・二カリウム塩の結晶、より具体的にはGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶である。
【0064】
2-1の方法において、非結晶アモルファスとしてGSSG・二リチウム塩の非結晶アモルファスを用いた場合、得られるGSSG・二カチオン塩の結晶は、GSSG・二リチウム塩の結晶、より具体的にはGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶である。
【0065】
2-1の方法において、非結晶アモルファスとしてGSSG・二アンモニウム塩の非結晶アモルファスを用いた場合、得られるGSSG・二カチオン塩の結晶は、GSSG・二アンモニウム塩の結晶、より具体的にはGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶である。
【0066】
上記の方法によって取得したGSSG・二カチオン塩の結晶の純度としては、95%以上、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、最も好ましくは97.5%以上を挙げることができる。
【0067】
GSSGカチオン塩の結晶の純度は、例えば、上記1-1と同様のHPLCを用いた分析により確認することができる。
【0068】
上記の製造方法によって製造することができるGSSGカチオン塩の結晶としては、具体的には、実施例1に記載のGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶、実施例2に記載のGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶、実施例3に記載のGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶及び実施例4に記載のGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶を挙げることができる。
【0069】
2-2.本発明の結晶の製造方法2
本発明の結晶の製造方法としては、上記2-1の方法の他に、カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液にアルコールを滴下又は添加する工程、該水溶液にGSSG・二カチオン塩の結晶を種晶として添加することでGSSG・二カチオン塩の結晶を析出させる工程、及び該水溶液からGSSG・二カチオン塩の結晶を採取する工程を含む、GSSG・二カチオン塩の結晶の製造方法、を挙げることができる
【0070】
カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液に含有されるGSSGとしては、上記2-1と同様のGSSGを用いることができる。
【0071】
カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液に結晶化の障害となる固形物が含まれている場合、カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液に結晶化の障害となる水溶性の不純物や塩が含まれている場合、及びカチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液に結晶化の障害となる疎水性の不純物が含まれる場合には、それぞれ上記2-1と同様の処理をすることができる。
【0072】
カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液中のGSSGの濃度は、200g/L以上、好ましくは250g/L以上、より好ましくは300g/L以上となるように調製して用いることが好ましい。
【0073】
カチオン含有化合物としては、具体的には、ナトリウム含有化合物、カリウム含有化合物、リチウム含有化合物及びアンモニウム含有化合物を挙げることができる。
【0074】
ナトリウム含有化合物、カリウム含有化合物、リチウム含有化合物及びアンモニウム化合物としては、それぞれ上記2-1と同様の化合物を用いることができる。
【0075】
カチオン含有化合物としてそれぞれの塩基性化合物を用いる場合、上記2-1と同様に、当該塩基性化合物を使用してGSSGの水溶液のpHを調整することにより、pHが通常4.0~10.0、好ましくは4.5~9.5、最も好ましくは5.0~9.0であるカチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液を取得することができる。
【0076】
該水溶液中に添加又は滴下するアルコールとしては、好ましくはC1~C6のアルコール類を、より好ましくは、C1~C3のアルコール類を、さらに好ましくは、メタノール、エタノール、n-プロパノール及びイソプロパノールからなる群より選ばれるアルコール類を、よりさらに好ましくは、メタノール又はエタノールを、最も好ましくはメタノールを挙げることができる。
【0077】
アルコールは、複数種のアルコールの混合物又はアルコールと他の有機溶媒もしくは水の混合物であってもよい。
【0078】
アルコールがアルコールと水の混合物である場合、含水量としては、40重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、最も好ましくは5重量%以下を挙げることができる。
【0079】
該水溶液にアルコールを添加又は滴下する工程における、該水溶液の温度としては、通常0~80℃、好ましくは5~70℃、より好ましくは10~60℃、さらに好ましくは15~50℃、最も好ましくは20~40℃を挙げることができる。
【0080】
該水溶液にアルコールを添加又は滴下する工程における、滴下又は添加するアルコールの液量としては、該水溶液の1~8倍容、好ましくは1~6倍容、最も好ましくは1~5倍容を挙げることができる。
【0081】
該水溶液にアルコールを添加又は滴下する工程における、アルコールの添加又は滴下に要する時間としては、15分間~48時間、好ましくは30分間~24時間、最も好ましくは1~12時間を挙げることができる。
【0082】
2-2の方法においては、カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液にアルコールの滴下又は添加を開始する直前に、又は該水溶液にアルコールの滴下又は添加を開始した後GSSG・二カチオン塩の結晶が析出する前に、種晶を添加する。
【0083】
種晶としては、例えば、2-1又は2-2で取得したGSSG・二カチオン塩の結晶を用いることができる。
【0084】
2-2の方法において、カチオン含有化合物としてナトリウム含有化合物を、種晶としてGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶を用いた場合、得られるGSSG・二カチオン塩の結晶はGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶である。
【0085】
2-2の方法において、カチオン含有化合物としてカリウム含有化合物を、種晶としてGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶を用いた場合、得られるGSSG・二カチオン塩の結晶はGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶である。
【0086】
2-2の方法において、カチオン含有化合物としてリチウム含有化合物を、種晶としてGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶を用いた場合、得られるGSSG・二カチオン塩の結晶はGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶である。
【0087】
2-2の方法において、カチオン含有化合物としてアンモニウム含有化合物を、種晶としてGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶を用いた場合、得られるGSSG・二カチオン塩の結晶はGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶である。
【0088】
種晶は、カチオン含有化合物が溶解したGSSGの水溶液中の濃度が通常0.001~50g/L、好ましくは0.01~10g/L、より好ましくは0.1~5g/Lとなるように添加する。
【0089】
種晶は、例えば、アルコールの添加又は滴下を完了した直後に添加することができる。
【0090】
上記の方法によりGSSG・二カチオン塩の結晶を析出させた後、析出した結晶を通常1~48時間、好ましくは1~36時間、最も好ましくは1~24時間熟成させることができる。
【0091】
「結晶を熟成させる」とは、GSSG・二カチオン塩の結晶を析出させる工程を停止して、結晶を成長させることをいう。
【0092】
「結晶を成長させる」とは、析出した結晶を元にして、結晶を増大させることをいう。
【0093】
結晶の熟成は結晶を成長させることを主な目的として行うが、結晶の成長と同時に、新たな結晶の析出が起こっていてもよい。
【0094】
GSSG・二カチオン塩の結晶を析出させる工程を停止するとは、例えば、アルコールの添加又は滴下を中断することをいう。
【0095】
結晶を熟成させた後は、GSSG・二カチオン塩の結晶を析出させる工程を再開してもよい。
【0096】
GSSG・二カチオン塩の結晶を採取する工程においては、例えば、濾取、加圧濾過、吸引濾過、遠心分離等を行うことができる。さらに結晶への母液の付着を低減し、結晶の品質を向上させるために、結晶を採取した後、適宜、結晶を洗浄することができる。
【0097】
結晶洗浄に用いる液体としては、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、n-プロパノール及びイソプロパノールからなる群より選ばれる1種類又は複数種類を任意の割合で混合した液体を用いることができる。
【0098】
このようにして得られた湿晶を乾燥させることにより、本発明の結晶を取得することができる。
【0099】
乾燥条件としては、GSSG・二カチオン塩の結晶の形態を保持できるならば特に制限はなく、減圧乾燥、真空乾燥、流動層乾燥、通風乾燥等を適用することができる。
乾燥温度としては、付着水分又は溶液を除去できる範囲であればいずれでもよいが、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、最も好ましくは60℃以下を挙げることができる。
乾燥時間としては、付着水分又は溶液を除去できる範囲であればいずれでもよいが、好ましくは1~60時間、より好ましくは1~48時間を挙げることができる。
【0100】
上記の方法によって取得したGSSG・二カチオン塩の結晶の純度としては、95%以上、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、最も好ましくは97.5%以上を挙げることができる。
【0101】
GSSG・二カチオン塩の結晶の純度は、例えば、上記1-1と同様のHPLCを用いた分析により確認することができる。
【0102】
上記の製造方法によって製造することができるGSSG・二カチオン塩の結晶としては、具体的には、X線源としてCuKαを用いた粉末X線回折パターンが、図1に示すパターン及び表1に示す回折角の値で規定されるGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶、図3に示すパターン及び表3に示す回折角の値で規定されるGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶、図5に示すパターン及び表5に示す回折角の値で規定されるGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶、並びに図7に示すパターン及び表7に示す回折角の値で規定されるGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶を挙げることができる。
【0103】
上記の製造方法によって製造することができるGSSG・二カチオン塩の結晶としては、また、赤外分光(IR)分析に供した場合、図2に示す赤外吸収スペクトルを示すGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶、図4に示す赤外吸収スペクトルを示すGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶、図6に示す赤外吸収スペクトルを示すGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶、及び図8に示す赤外吸収スペクトルを示すGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶を挙げることができる。
【実施例
【0104】
以下に実施例を示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0105】
以下の実施例において特に断らない限り、各分析は以下の装置及び条件にて行った。
【0106】
粉末X線回折分析は、粉末X線回折装置(XRD)UltimaIV(リガク社製)を使用し、X線源としてCuKαを用い、付属の使用説明書に従って行った。
【0107】
GSSGを同定するためのHPLC分析は以下のとおり行った。
カラム:Inertsil ODS-3(150mm×3mmID)
カラム温度:35℃
移動相:1000mLの水に、リン酸二水素カリウム6.8g、1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム2.0gを溶解させた後、リン酸を加えてpHを3.0に調整した。該容液970mLにメタノール30mLを加え、移動相として用いた。
流速:0.5mL/分
検出器:UV検出器(波長:210nm)
保持時間:約15分
【0108】
アンモニアを定量するためのHPLC分析は以下のとおり行った。
カラム:YMC―PACK AQ φ6.0×150mm(粒子径:5μm、細孔径:12nm)
カラム温度:40℃
移動相:4000mLの水にクエン酸ナトリウム二水和物14.7g、硫酸ナトリウム無水物7.1gを溶解させた後、濃硫酸にてpHを3.8に調整した。その後、ラウリル硫酸ナトリウム15.0g、1-プロパノール600mLを加え、水で5000mLにメスアップした溶液を移動相とした。
移動相流速:1.2mL/分
反応液:600mLの水にほう酸18.5g、水酸化ナトリウム10.0gを溶解させた後、Briji-35 4.2mLを加え、水で1000mLにメスアップした。その後、O-フタルアルデヒド0.6g、N-アセチル-L-システイン4.6gを加えて溶解させたものを反応液とした。
反応液流速:0.4mL/分
検出器:蛍光検出器(励起波長:355nm、蛍光波長:455nm)
保持時間:約10分
【0109】
水分含量測定は、MKA-510N/MKS-510N(京都電子工業社製)を用い、付属の使用説明書に従って行った。
【0110】
原子吸光分析は、原子吸光光度計Z-2310(日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、付属の使用説明書に従って行った。
【0111】
IR分析は、FTIR-8400型(島津製作所製)を使用し、付属の使用説明書に従って行った。
【0112】
[実施例1]
(1)GSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶の取得-1
特許文献1の方法に従って調製したGSSG・一水和物の結晶25gを水に溶解した後、水酸化ナトリウムを用いてpH6.5に調整し、水で希釈してGSSGを30g/L含有する水溶液250mLとした。当該水溶液を0.45μmのフィルターで濾過した後に72時間凍結乾燥し、白色を帯びた透明の粉末を得た。当該粉末の粉末X線回折を測定したところX線回折ピークが確認されなかったことから、当該粉末は非結晶アモルファスであることがわかった。また、当該粉末のHPLC分析及びナトリウム含量の測定結果より、当該粉末はGSSG・二ナトリウム塩であることがわかった。以上より、当該粉末は、GSSG・二ナトリウム塩の非結晶アモルファスであることがわかった。
【0113】
取得したGSSG・二ナトリウム塩の非結晶アモルファスをシャーレに広げ、相対湿度75%、40℃の環境に曝露して3日間静置したところ、結晶が析出した。
【0114】
(2)GSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶の取得-2
特許文献2の方法に従って調製したGSSG・六水和物の結晶120gを水に溶解し、水酸化ナトリウムを用いてpH6.2に調整し、333mLとした。この水溶液に400mLのメタノールを1時間かけて添加した後、上記実施例1(1)で取得した結晶0.1gを種晶として添加したところ、結晶が析出した。その後、結晶スラリーを30℃まで冷却し、24時間撹拌して結晶を熟成させた後、当該結晶を濾取し、30℃で減圧乾燥させることにより、20gの結晶を得た。
【0115】
得られた結晶の粉末X線回折の結果、該結晶の粉末X線回折パターンは、図1に示すとおりであった。粉末X線回折の結果相対強度比(I/I)が10以上であったピークの回折角を表1に示す。表中、「2θ」は回折角2θ(°)を、「相対強度」は相対強度比(I/I)を示す。
【0116】
【表1】
【0117】
また、得られた結晶のIR分析の結果は、図2に示すとおりであった。
【0118】
HPLC分析の結果、当該結晶はGSSGの結晶であることがわかった。また、原子吸光分析により測定した当該結晶のナトリウム含量は7.1重量%(無水和物換算)であり、二ナトリウム塩の理論値(7.0重量%)とほぼ一致した。また、当該結晶の水分含量は13.3重量%であり、六水和物の理論値(14.1%)とほぼ一致した。
【0119】
以上より、当該結晶は、GSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶であることがわかった。
【0120】
当該結晶の各種物性を表2に示す。pHは、GSSG・二ナトリウム塩・六水和物として25g/Lの水溶液について測定した。融点の測定は、Melting Point M-565(BUeCHI社製)を用い、使用説明書に従って、50℃~200℃、0.5℃/分の条件で行った。
【0121】
【表2】
【0122】
また、種晶として用いた、実施例1(1)で取得した結晶についても粉末X線回折を測定した結果、得られたピークパターンは図1に示すパターンと一致したことから、当該結晶はGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶であることが確認された。
【0123】
[実施例2]
(1)GSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶の取得-1
特許文献1の方法に従って調製したGSSG・一水和物の結晶25gを水に溶解した後、水酸化カリウムを用いてpH6.5に調整し、水で希釈してGSSGを30g/L含有する水溶液250mLとした。当該水溶液を0.45μmのフィルターで濾過した後に72時間凍結乾燥し、白色を帯びた透明の粉末を得た。当該粉末の粉末X線回折を測定したところX線回折ピークが確認されなかったことから、当該粉末は非結晶アモルファスであることがわかった。また、当該粉末のHPLC分析及びカリウム含量の測定結果より、当該粉末はGSSG・二カリウム塩であることがわかった。以上より、当該粉末は、GSSG・二カリウム塩の非結晶アモルファスであることがわかった。
【0124】
取得したGSSG・二カリウム塩の非結晶アモルファスをシャーレに広げ、相対湿度75%、40℃の環境に曝露して2日間静置したところ、結晶が析出した。
【0125】
(2)GSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶の取得-2
特許文献2の方法に従って調製したGSSG・六水和物の結晶120gを水に溶解し、水酸化カリウムを用いてpH6.2に調整し、333mLとした。この水溶液に400mLのメタノールを1時間かけて添加した後、上記実施例2(1)で取得した結晶0.1gを種晶として添加したところ、結晶が析出した。その後、結晶スラリーを30℃まで冷却し、24時間撹拌して結晶を熟成させた後、当該結晶を濾取し、30℃で減圧乾燥させることにより、20gの結晶を得た。
【0126】
得られた結晶の粉末X線回折の結果、該結晶の粉末X線回折パターンは、図3に示すとおりであった。粉末X線回折の結果相対強度比(I/I)が10以上であったピークの回折角を表3に示す。表中、「2θ」は回折角2θ(°)を、「相対強度」は相対強度比(I/I)を示す。
【0127】
【表3】
【0128】
また、得られた結晶のIR分析の結果は、図4に示すとおりであった。
【0129】
HPLC分析の結果、当該結晶はGSSGの結晶であることがわかった。また、原子吸光分析により測定した当該結晶のカリウム含量は10.3重量%(無水和物換算)であり、二カリウム塩の理論値(11.4重量%)とほぼ一致した。また、当該結晶の水分含量は7.3重量%であり、三水和物の理論値(7.3%)とほぼ一致した。
【0130】
以上より、当該結晶は、GSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶であることがわかった。
【0131】
当該結晶の各種物性を表4に示す。pHは、GSSG・二カリウム塩・三水和物として25g/Lの水溶液を測定した。融点の測定は、Melting Point M-565(BUeCHI社製)を用い、使用説明書に従って、50℃~200℃、0.5℃/分の条件で行った。
【0132】
【表4】
【0133】
また、種晶として用いた、実施例2(1)で取得した結晶についても粉末X線回折を測定した結果、得られたピークパターンは図3に示すパターンと一致したことから、当該結晶はGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶であることが確認された。
【0134】
[実施例3]
(1)GSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶の取得-1
特許文献2の方法に従って調製したGSSG・六水和物の結晶25gを水に溶解した後、水酸化リチウムを用いてpH6.2に調整し、水で希釈してGSSGを30g/L含有する水溶液250mLとした。当該水溶液を0.45μmのフィルターで濾過した後に72時間凍結乾燥し、白色を帯びた透明の粉末を得た。当該粉末の粉末X線回折を測定したところX線回折ピークが確認されなかったことから、当該粉末は非結晶アモルファスであるであることがわかった。また、当該粉末のHPLC分析及びリチウム含量の測定結果より、当該粉末はGSSG・二リチウム塩であることがわかった。以上より、当該粉末は、GSSG・二リチウム塩の非結晶アモルファスであることがわかった。
【0135】
取得したGSSG・二リチウム塩の非結晶アモルファスをシャーレに広げ、相対湿度75%、40℃の環境に曝露して2日間静置したところ、結晶が析出した。
【0136】
(2)GSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶の取得-2
特許文献2の方法に従って調製したGSSG・六水和物の結晶120gを水に溶解し、水酸化リチウムを用いてpH6.2に調整し、333mLとした。この水溶液に400mLのメタノールを1時間かけて添加した後、上記実施例3(1)で取得した結晶0.1gを種晶として添加したところ、結晶が析出した。その後、結晶スラリーを30℃まで冷却し、24時間撹拌して結晶を熟成させた後、当該結晶を濾取し、30℃で減圧乾燥させることにより、20gの結晶を得た。
【0137】
得られた結晶の粉末X線回折の結果、該結晶の粉末X線回折パターンは、図5に示すとおりであった。粉末X線回折の結果相対強度比(I/I)が10以上であったピークの回折角を表5に示す。表中、「2θ」は回折角2θ(°)を、「相対強度」は相対強度比(I/I)を示す。
【0138】
【表5】
【0139】
また、得られた結晶のIR分析の結果は、図6に示すとおりであった。
【0140】
HPLC分析の結果、当該結晶はGSSGの結晶であることがわかった。また、原子吸光分析により測定した当該結晶のリチウム含量は2.2重量%(無水和物換算)であり、二リチウム塩の理論値(2.2重量%)とほぼ一致した。また、当該結晶の水分含量は8.7重量%であり、三水和物の理論値(8.0%)とほぼ一致した。
【0141】
以上より、当該結晶は、GSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶であることがわかった。
【0142】
当該結晶の各種物性を表6に示す。pHは、GSSG・二リチウム塩・三水和物として25g/Lの水溶液を測定した。融点の測定は、Melting Point M-565(BUeCHI社製)を用い、使用説明書に従って、50℃~200℃、0.5℃/分の条件で行った。
【0143】
【表6】
【0144】
また、種晶として用いた、実施例3(1)で取得した結晶についても粉末X線回折を測定した結果、得られたピークパターンは図5に示すパターンと一致したことから、当該結晶はGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶であることが確認された。
【0145】
[実施例4]
(1)GSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶の取得-1
特許文献2の方法に従って調製したGSSG・六水和物の結晶25gを水に溶解した後、アンモニア水溶液を用いてpH6.2に調整し、水で希釈してGSSGを30g/L含有する水溶液250mLとした。当該水溶液を0.45μmのフィルターで濾過した後に72時間凍結乾燥し、白色を帯びた透明の粉末を得た。当該粉末の粉末X線回折を測定したところX線回折ピークが確認されなかったことから、当該粉末は非結晶アモルファスであるであることがわかった。また、当該粉末のHPLC分析の結果より、当該粉末はGSSG・二アンモニウム塩であることがわかった。以上より、当該粉末は、GSSG・二アンモニウム塩の非結晶アモルファスであることがわかった。
【0146】
取得したGSSG・二アンモニウム塩の非結晶アモルファスをシャーレに広げ、相対湿度75%、40℃の環境に曝露して2日間静置したところ、結晶が析出した。
【0147】
(2)GSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶の取得-2
特許文献2の方法に従って調製したGSSG・六水和物の結晶120gを水に溶解し、25%アンモニア水溶液を用いてpH6.2に調整し、333mLとした。この水溶液に400mLのメタノールを1時間かけて添加した後、上記実施例4(1)で取得した結晶0.1gを種晶として添加したところ、結晶が析出した。その後、結晶スラリーを30℃まで冷却し、24時間撹拌して結晶を熟成させた後、当該結晶を濾取し、30℃で減圧乾燥させることにより、20gの結晶を得た。
【0148】
得られた結晶の粉末X線回折の結果、該結晶の粉末X線回折パターンは、図7に示すとおりであった。粉末X線回折の結果相対強度比(I/I)が10以上であったピークの回折角を表7に示す。表中、「2θ」は回折角2θ(°)を、「相対強度」は相対強度比(I/I)を示す。
【0149】
【表7】
【0150】
また、得られた結晶のIR分析の結果は、図8に示すとおりであった。
【0151】
HPLC分析の結果、当該結晶はGSSGの結晶であることがわかった。また、HPLC分析により測定した当該結晶のアンモニウム含量は5.5重量%(無水和物換算)であり、二アンモニウム塩の理論値(5.3重量%)とほぼ一致した。また、当該結晶の水分含量は7.3重量%であり、三水和物の理論値(7.7%)とほぼ一致した。
【0152】
以上より、当該結晶は、GSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶であることがわかった。
【0153】
当該結晶の各種物性を表8に示す。pHは、GSSG・二アンモニウム塩・三水和物として25g/Lの水溶液を測定した。融点の測定は、Melting Point M-565(BUeCHI社製)を用い、使用説明書に従って、50℃~200℃、0.5℃/分の条件で行った。
【0154】
【表8】
【0155】
また、種晶として用いた、実施例4(1)で取得した結晶についても粉末X線回折を測定した結果、得られたピークパターンは図7に示すパターンと一致したことから、当該結晶はGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶であることが確認された。
【0156】
[実施例5]
GSSG・二カチオン塩の結晶の溶解度
GSSG・一水和物の結晶及びGSSG・六水和物の結晶を、それぞれ25℃に調節した水に溶け残るまで添加し、十分な時間撹拌した。その後、結晶を含まない上澄み液を採取して0.45μmのフィルターで濾過し、該溶液のGSSG濃度を測定し、その値から水100mLに対する溶解度を算出した。
【0157】
実施例1~4で得られた各GSSG・二カチオン塩の結晶の溶解度は、25℃に調節した一定量の水に対して一定量の各GSSG・二カチオン塩の結晶を完全に溶解させたときに溶解した各GSSG・二カチオン塩の重量を測定し、その値から、水100mLに対する溶解度に換算することで算出した。当該方法により算出した値を溶解度の下限値とした。
結果を表9に示す。
【0158】
【表9】
【0159】
表9に示すとおり、GSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶、GSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶、GSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶、及びGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶は、既存のフリー体の結晶(GSSG・六水和物の結晶及びGSSG・一水和物の結晶)と比較して、水に対する溶解度が大きく向上していた。
【0160】
[実施例6]
GSSG・二カチオン塩の結晶の保存安定性
実施例1で取得したGSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶及びGSSG・二ナトリウム塩の非結晶アモルファス、実施例2で取得したGSSG・二カリウム塩・三水和物の結晶及びGSSG・二カリウム塩の非結晶アモルファス、実施例3で取得したGSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶及びGSSG・二リチウム塩の非結晶アモルファス、並びに実施例4で取得したGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶及びGSSG・二アンモニウム塩の非結晶アモルファス、について、40℃、相対湿度75%条件下における保存安定性を、重量増加率から比較した。
【0161】
結果を、表10~13に示す。重量増加率は、経過時間0時間目の各試料の重量を100として算出した。
【0162】
【表10】
【0163】
【表11】
【0164】
【表12】
【0165】
【表13】
【0166】
その結果、GSSG・二ナトリウム塩・六水和物の結晶、GSSGカリウム塩・三水和物の結晶、GSSG・二リチウム塩・三水和物の結晶、及びGSSG・二アンモニウム塩・三水和物の結晶は、それぞれの非結晶アモルファスと比較して重量増加率が小さかった。このことから、それぞれの結晶は非結晶アモルファスと比べて吸湿性が低く、保存安定性に優れていることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明によれば、例えば、健康食品、医薬品、化粧品等の製品、原料又は中間体として有用であるGSSG・二カチオン塩の結晶及びその製造方法が提供される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8