(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 5/00 20180101AFI20220831BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220831BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220831BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20220831BHJP
【FI】
F21V5/00 510
F21S2/00 230
F21Y115:10 500
F21Y103:10
(21)【出願番号】P 2020082620
(22)【出願日】2020-05-08
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】春田 昌也
(72)【発明者】
【氏名】上野 眞人
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-228738(JP,A)
【文献】特開2014-13744(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125215(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 5/00
F21S 2/00
F21Y 115/10
F21Y 103/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源とレンズを備えた照明装置であって、
前記レンズは、反射配光部と屈折配光部を備え、
前記反射配光部は反射配光部入射面、反射配光部反射面、及び反射配光部出射面を備えており、前記光源を発した少なくとも一部の光線である第1光線は、前記反射配光部入射面に入射し、前記反射配光部反射面で反射されて、前記反射配光部出射面を出射し、その出射された第1光線の方向は前記光源の光軸方向から90度以上の方向であり、
前記屈折配光部は屈折配光部入射面と屈折配光部出射面を備えており、前記光源を発した少なくとも一部の光線である第2光線は、前記屈折配光部入射面に入射して、前記屈折配光部出射面を出射し、その出射された第2光線の方向は前記光軸方向から90度以上の方向であり、
前記出射された第2光線の光軸に対する角度は前記出射された第1光線の前記光軸に対する角度より小さい、照明装置。
【請求項2】
前記レンズは空洞部を備え、
前記反射配光部入射面及び前記屈折配光部入射面は前記空洞部の面である、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記出射された第2の光線の方向は前記光軸方向に対し90°以上110°以下である、請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記出射された第1の光線の方向は前記光軸方向に対し110°以上130°以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
左側及び右側の前記反射配光部反射面の間に設けられた透過面の、前記反射配光部反射面の全幅に対する比は4%以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記反射配光部入射面、前記反射配光部反射面、及び前記反射配光部出射面は、それぞれ光軸に対して横方向の面、斜め方向の面、縦方向の面である、請求項1から5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記屈折配光部入射面、前記屈折配光部出射面は、それぞれ光軸に対して縦方向の面、縦やや斜め方向を向く面である、請求項1から6のいずれか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井面を照らすことのできるとともに、壁面または遠方の天井面を照らすことのできる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置としては、天井に配され下方向を照明する直接照明が一般的である。一方、天井面自体を照明することにより室内を明るくする間接照明用の照明装置もある。机面など作業環境の照度を同じにするという観点では、間接照明は直接照明に比べてエネルギー効率が良くないものの、天井面を明るくすると、室内の照度をあまり上げなくても明るさ感を上げることができるので、作業環境の照度でなく室内の明るさ感を重視する使い方では照明の省エネルギー化につながる場合がある。照度と明るさ感の違いについては、特許文献1及び特許文献1が参照する各文献に解説がある。
【0003】
特許文献2の
図8に記載の照明装置は、下方向に加えて、斜め上(上方及び側方)を照明するためのレンズを備えたものである。このレンズは第一突出部及び第二突出部を備え、第一突出部及び第二突出部の全反射部で反射され出射部から斜め上方向に出射する光が天井面を照らす。二つの突出部を設けることによりレンズの小型化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許5997718号公報
【文献】特開2019-169423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
照明装置を設置して明るさ感を上げるためには、前方を見て視界に入る場所である天井面や壁面の明るさが重要である。また、天井面の一部ではなく遠方の天井面を照らすことによっても全体としての明るさ感を得ることができる。
【0006】
本発明は、係る問題に鑑みてなされたものであり、照明装置近傍の天井面に加え壁面又は遠方の天井を照らすことにより、明るさ感を得ることのできる照明装置を提供することを課題とする。
【0007】
また、本発明は、照明装置のディスプレイへの映り込みを低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光源とレンズを備えた照明装置であって、前記レンズは、反射配光部と屈折配光部を備え、前記反射配光部は反射配光部入射面、反射配光部反射面、及び反射配光部出射面を備えており、前記光源を発した少なくとも一部の光線である第1光線は、前記反射配光部入射面に入射し、前記反射配光部反射面で反射されて、前記反射配光部出射面を出射し、その出射された第1光線の方向は前記光源の光軸方向から90度以上の方向であり、前記屈折配光部は屈折配光部入射面と屈折配光部出射面を備えており、前記光源を発した少なくとも一部の光線である第2光線は、前記屈折配光部入射面に入射して、前記屈折配光部出射面を出射し、その出射された第2光線の方向は前記光軸方向から90度以上の方向であり、前記出射された第2光線の光軸に対する角度は前記出射された第1光線の前記光軸に対する角度より小さい、照明装置である。
【0009】
本発明において、前記レンズは空洞部を備え、前記反射配光部入射面及び前記屈折配光部入射面は前記空洞部の面であることが好ましい。
【0010】
本発明において、前記第2の光線の方向は前記光軸方向に対し90°以上110°以下であることが好ましい。
【0011】
本発明において、前記第1の光線の方向は前記光軸方向に対し110°以上130°以下であることが好ましい。
【0012】
本発明において、左側及び右側の前記反射配光部反射面の間に設けられた透過面の、前記反射配光部反射面の全幅に対する比は4%以下であることが好ましい。
【0013】
本発明において、前記反射配光部入射面、前記反射配光部反射面、及び前記反射配光部出射面は、それぞれ光軸に対して横方向の面、斜め方向の面、縦方向の面であることが好ましい。
【0014】
本発明において、前記屈折配光部入射面、前記屈折配光部出射面は、それぞれ光軸に対して縦方向の面、縦やや斜め方向を向く面であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る照明装置は、照明装置近傍の天井面に加えて、壁面あるいは遠方の天井面を照明することにより、明るさ感が向上した柔らかな間接照明を行うことができる。そのため、同じ明るさ感を得るための消費エネルギーを低減した省エネルギーの照明装置とすることができる。
【0016】
また、本発明は、照明装置のディスプレイへの映り込みを低減できる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態1に係る照明装置の設置状態における外観斜視図。
【
図2】実施形態1に係る照明装置の器具本体と光源ユニットの正面断面図。
【
図3】実施形態1に係る照明装置の左側面から見た要部断面図。
【
図4】実施形態2及び比較例に係る照明装置の設置状態における照度シミュレーションの斜視図。
【
図5】実施形態3に係る照明装置の左側面から見た要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
<基本構成>
本実施形態に係る照明装置300の設置状態における外観斜視図を
図1に示す。照明装置300は天井面391に設置され、天井面391における領域391A及び壁面392における領域392Aを主に照明する。ただし壁面392がなく天井面391が続いている場合には、遠方の天井面を好適に照明することができる。照明装置300はこのように壁面または遠方の天井面を明るく照明するため、例えば廊下の壁面近傍やリビングの壁面近傍に設置して、壁面を明るく照らすとともに天井を照らすことにより柔らかな間接照明を行う照明装置として特に適している。
【0019】
照明装置300は器具本体310と光源ユニット320とに分離可能であるため、器具本体310をネジあるいは吊ボルトで天井に取り付け、そのネジまたは吊ボルトを光源ユニット320によって隠して光源ユニット320を取り付けることができる。照明装置300の幅は一例として3.2cm、長さは一例として120cmである。
【0020】
器具本体310と光源ユニット320の正面断面図を
図2に示す。器具本体310は下面が開口した箱状であり、バネ受け311及びコネクタ312を備える。
【0021】
光源ユニット320は、取付部321、基板322、表面実装型のLEDパッケージであるLED323(光源)、レンズ330、カバー324、電源325、制御部326、取付バネ327、コネクタ328を備える。カバー端面が光るため、複数の光源ユニット320をカバー端面同士が向き合うように並べて、複数の光源ユニット320全体を、連続した長い光源とすることができる。
【0022】
取付バネ327は器具本体310のバネ受け311に取り付けられ、コネクタ328は器具本体310のコネクタ312に接続され、商用電力が電源325に供給される。
【0023】
電源325は、商用交流電力を直流に変換し、直流の駆動出力をLED323に印加させ発光させる。駆動出力は、外部からの制御信号で制御できる。本実施例においては、タブレット・スマートホン・PCなどの制御装置(図示せず)から無線で発信された調光調色信号などである制御信号が制御部326に受信され、制御部326が制御信号を電源325に送り、電源325が制御される。
【0024】
<LEDとレンズ>
照明装置300の左側面から見た要部断面図を
図3に示す。LED323が実装された基板322が取付部321に配されている。取付部321にはカバー324も取り付けられている。
【0025】
LED323は光軸方向を0°として、角度θ方向の相対光量がcosθとなる、いわゆるランバーシアン配光特性を有している。なお、光軸方向を前方と呼ぶこととする。
【0026】
レンズ330がLED323の下側(光の出射側)に設けられている。レンズ330は、空洞部331のほぼ下側(光軸に近い側)に反射配光部332を備え、空洞部331のほぼ側面側(光軸から離れた側)に屈折配光部333を備える。反射配光部332と屈折配光部333の間、ここでは空洞部331側の角と側面の角を結んだ所には境界330bがある。この境界330bでレンズを「反射配光部」と「屈折配光部」に物理的に分割してもよいが、レンズ330のように一体化することによりレンズの製造及びレンズの照明装置への位置合わせ・搭載を容易にすることができるという利点がある。
【0027】
反射配光部332に入射する第1光線341は、光線341A、光線341B、光線341C及び光線341Dと分けることができる。LED323を発した光線341Aは、空洞部331の下側の反射配光部入射面332i(光軸から約92°~94°の方向、つまり光軸に対しほぼ横方向を向く面)に入射し、光線341Bとして反射配光部反射面332r(光軸に近い側で光軸から約55°、先端で光軸から約70°の向きの面、つまり光軸に対し斜め方向を向く面)で全反射され、光線341Cが反射配光部出射面332e(光軸から約17°の向きの面、つまり光軸方向に対しほぼ縦方向を向く面)から斜め上方に光線341Dとして出射し、
図1における天井面391Aを主に照射する。外部に出射する第1光線である光線341Dの光軸方向に対する角度θ
1は約120°であるが、110°以上130°以下が好適である。反射配光部332を簡単に言うと、第1光線341が横方向の面(反射配光部入射面332i)から入射し、斜め方向の面(反射配光部反射面332r)で反射され、縦方向の面(反射配光部出射面332e)から出射する形状であって、左右の反射配光部332は「バタフライの頭を下に向けた場合の前羽」に似た形状になる。
【0028】
屈折配光部333に入射する第2光線343は、光線343A、光線343B及び光線343Cと分けることができる。LED323を発した光線343Aは、空洞部331の横側の屈折配光部入射面333i(光軸から約10°の方向を向く面、つまり光軸方向に対しほぼ縦方向を向く面)に入射し、光線343Bが屈折配光部出射面333e(光軸から約-7°(LEDに近い側)から約―40°(LEDから離れた側)の方向を向く面、つまり光軸方向に対し縦やや斜め方向を向く面)から光線343Cとして横方向に出射し、
図1における壁面392Aを主に照射する。外部に出射する第2光線である光線343Cの光軸方向に対する角度θ
2は約100°であるが、90°以上110°以下が好適である。また、出射された第2光線の光軸に対する角度は出射された第1光線の光軸に対する角度より小さい。屈折配光部333は簡単に言うと、光源の横方向に置かれ、プリズムとしての働きを有するように角度をつけた2つの縦方向の面からなる形状であり、左右の屈折配光部333は「バタフライの頭を下に向けた場合の後羽」に似た形状になる。
【0029】
レンズ330において、左側及び右側の反射配光部反射面332rの間に設けられた透過面332mを狭くしている(例えば左側及び右側の反射配光部反射面332rの全幅を25mmとして、透過面332mの幅は2mm以下(全幅に対する比は4%)、好ましくは1mm以下(比は2%))。これにより、照明装置300から透過面332mを透過して床面に直接照明として届く光を少なくし、天井面に当たった間接光が優しく照明装置の下側の作業領域にあるデスクなどに落ちてくるようにしている。なお、透過面332mを少し広くすることもでき、その場合その部分から下方向を照らす直接光を得ることができる。
【0030】
カバー324は、カバー側面部324S及びカバー下面部324Fを備える。カバー側面部324Sを通過する光線341D及び光線343Cは、目に直接入らない間接照明光であるので、カバー側面部324Sは透明あるいは拡散性の少ない板(例えばヘイズ値が95以下、好ましくは80以下、さらに好ましくは70以下)とすることにより光の散乱損失を抑え効率を向上させることができる。一方、カバー下面部324Fは、主にレンズ330からの散乱光により下方を照明する。このような下方に照明された光により、室内にいる人が複数のLED323を視認することがある。これはいわゆるLEDの「粒々感」になりやや不快な場合があるため、カバー下面部324Fには拡散性を持たせ(例えばヘイズ値が70以上、好ましくは80以上、さらに好ましくは95以上)粒々感を抑制するのが好適である。しかしカバー324の部分によって拡散性を変えたくない場合には、カバー324全体としてわずかに拡散性のある部材を用いるのがよい。カバー324の部分によって材質を変えてよければ、カバー下面部324Fを不透明な板としてもよく、その場合、カバー側面部324Sから出射した光による間接照明によって天井や壁面を照らすこととなる。カバー324の材質としてはポリカーボネートやアクリルが好適であるが、これに限られない。
【0031】
<実施形態2>
本実施形態に係る照明装置300及び比較例に係る照明装置200の設置状態における照度シミュレーションの斜視図をそれぞれ
図4(a)及び
図4(b)に示す。
【0032】
照明装置300は実施形態1に用いた照明装置であるが、それぞれ2本のワイヤ380で天井面491より吊り下げ設置され、天井面491における領域491A及び壁面492における領域492Aを主に照明する。ワイヤ380は照明装置300を吊り下げるとともに、目立たないように電灯線を巻き付けてあり照明装置300に給電することができる。ワイヤ380はパイプであってもよく、その場合電灯線を内部に収容できすっきりとした外観となるので好ましい。
【0033】
一方、比較例の照明装置200は(株)遠藤照明製の「Linear32」という名称の幅32mm、長さ1200mmのものであり、照明装置300から主にレンズ330を省くなどの変更を加えたものである(その他、カバー324など異なる)。照明装置300と同様にワイヤ280で吊り下げ設置され、天井面291における領域291A、壁面292における292A及びデスク295を照明する。
【0034】
照度シミュレーションにおいて、照明装置300及び照明装置200の光束は3220lm、天井高さHcは2800mm、照明装置300及び照明装置200の吊り下げ高さHpは300mm、6台のデスク495・295の床面からの高さは750mm、幅は4800mm、奥行きは1410mmである。
【0035】
その場合、本実施形態における領域492A・領域491Aの照度は比較例における領域292A・291Aの照度より高くなる。そのため、デスクに座る人にとって視線方向にある壁面が明るくなるため「明るさ感」が向上する。一方、デスク上のディスプレイ496・296へシミュレーション範囲外に設置された別の照明装置300・200が映り込む場合があるが、照明装置300の下方向から見た輝度は比較例の照明装置200の下方向から見た輝度よりも暗い。そのため、照明装置300を用いた方がディスプレイへの映り込みが低減する。
【0036】
デスク面の照度は、デスク295が240~354lxであるのに対し、デスク395は172~307lxと暗くなる。従って、デスク面に書類を広げて読む場合には比較例の方が適している。しかしディスプレイを用いた作業を行う場合は、デスク面の照度はあまり問題にならず、ディスプレイへの映り込みが少ないことが重要になるため、照明装置300の方がコンピュータを多用する現代的な作業環境に適している。
【0037】
<実施形態3>
実施形態3における照明装置500は、実施形態1の照明装置300におけるレンズ330をレンズ530に、カバー324をカバー524に変更している。その他の部材は共通なので共通の符号で示す。
【0038】
<LEDとレンズ>
本実施形態に係る照明装置500は、照明装置300に比べ「屈折配光部」により横方向に照射される光の成分を多くしている。照明装置500の左側面から見た要部断面図を
図5に示す。LED323が実装された基板322が取付部321に配されている。取付部321にはカバー524も取り付けられている。
【0039】
LED323は光軸方向を0°として、角度θ方向の相対光量がcosθとなる、いわゆるランバーシアン配光特性を有している。
【0040】
レンズ530がLED323の下側(光の出射側)に設けられている。レンズ530は、空洞部531のほぼ下側(光軸に近い側)に反射配光部532を備え、空洞部331のほぼ側面側(光軸から離れた側)に屈折配光部533を備える。反射配光部532と屈折配光部533の間、ここでは空洞部531側の角と側面の角を結んだ所には境界530bがある。この境界530bでレンズを「反射配光部」と「屈折配光部」に物理的に分割してもよいが、レンズ530のように一体化することによりレンズの製造及びレンズの照明装置への位置合わせ・搭載を容易にすることができるという利点がある。
【0041】
反射配光部532に入射する第1光線541は、光線541A、光線541B、光線541C及び光線541Dと分けることができる。LED323を発した光線541Aは、空洞部531の下側の反射配光部入射面532i(光軸に対しほぼ横方向を向く面)に入射し、光線541Bとして反射配光部反射面532r(光軸に対し斜め方向を向く面)で全反射され、光線541Cが反射配光部出射面532e(光軸方向に対しほぼ縦方向を向く面)から斜め上方に光線541Dとして出射し、
図1における天井面の領域391Aを主に照射する。第1光線である光線541Dの光軸方向に対する角度θ
1は約115°であるが、110°以上130°以下が好適である。反射配光部532を簡単に言うと、第1光線541が横方向の面(反射配光部入射面532i)から入射し、斜め方向の面(反射配光部反射面532r)で反射され、縦方向の面(反射配光部出射面532e)から出射する形状であって、左右の反射配光部532は「バタフライの頭を下に向けた場合の前羽」に似た形状になる。
【0042】
屈折配光部533に入射する第2光線543は、光線543A、光線543B及び光線543Cと分けることができる。LED323を発した光線543Aは、空洞部531の横側の屈折配光部入射面533i(光軸方向に対しほぼ縦方向を向く面)に入射し、光線543Bが屈折配光部出射面533e(光軸方向に対し縦やや斜め方向を向く面)から光線543Cとして横方向に出射し、カバー側面部524Sを透過して
図1における壁面の領域392Aを主に照射する。屈折配光部533は簡単に言うと、光源の横方向に置かれ、プリズムとしての働きを有するように角度をつけた2つの縦方向の面からなる形状であり、左右の屈折配光部533は「バタフライの頭を下に向けた場合の後羽」に似た形状になる(
図3に比べて後羽が大きく前羽が小さいが)。第2光線である光線543Cの光軸に対する角度θ
2は約100°であるが、90°以上110°以下が好適である。また、出射された第2光線の光軸に対する角度は出射された第1光線の光軸に対する角度より小さい。なお、カバー下面部524Fは、主にレンズ530からの散乱光により下方を照明する。
【0043】
このようにレンズ530はレンズ330に比べて側面部へ向かう光線543Cの割合を多くしているので、壁や遠方の天井を照らすのに適している。
【0044】
<変形例その他>
以上、本発明に係る照明装置の実施形態を説明したが、例示した照明装置を例えば以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態で示した通りの照明装置に限られないことは勿論である。
【0045】
(1)上述の実施形態では、照明装置が長尺状のものとして説明したが、これに限らず、円盤状のものなど他の形状であってもよい。円盤状など軸対称の形状の場合は、レンズ形状も軸対称とすることが好ましい。
【0046】
(2)上述の実施形態では、照明装置において、器具本体と光源ユニットとが分離可能な例について説明したが、これに限らず、例えば一体化されたものであってもよい。
【0047】
(3)上記照明装置のLEDは1種類としたが、発光色の異なる2種類のLEDを交互に配置して、調色照明装置としてもよい。また発光色の異なる3種類以上のLEDを配置して、調色できる色度領域を広くしてもよい。
【0048】
(4)上述の照明装置におけるレンズは空洞部を備えるが、空洞部がなく「屈折配光部」と「反射配光部」を備えたレンズであってもよい。
【0049】
(5)上述の照明装置におけるレンズの側方断面は左右対称としたが、左右非対称であってもよく、一方の側だけに「屈折配光部」と「反射配光部」を備えたレンズであってもよい。
【0050】
(6)上述のレンズの面を説明するための「横方向の面」とは光軸に対し90°±30°の範囲の面であればよく、「縦方向の面」とは光軸に対し±30°の範囲の面であればよく、「斜め方向の面」とは光軸に対し45°±30°(好ましくは45°±15°)の範囲の面、「縦やや斜め方向を向く面」は光軸に対し―0°~―60°の面であればよい。なお、これらは角度の絶対値であり、向きを考慮するとマイナスとなる場合がある。また、これらの面は、光線の経路上において所定の角度を備えていればよく、光線の経路から外れた所における形状は任意である。
【0051】
(7)上述の照明装置300に比べ照明装置500は屈折配光部を反射配光部に比べて大きくしているが、屈折配光部を小さくして屈折配光部を通過する光線の割合を少なくするとともに、反射配光部を大きくして反射配光部を通過する光線の割合を大きくしてもよい。
【0052】
(8)上述の照明装置における光源はLEDとしたが、有機EL、有機LEDあるいはOLEDと呼ばれるものもLEDの一種であり、同様に用いることができる。また、レンズの空洞部の幅より小さい大きさの光源であれば、LED以外の光源であってもよい。
【0053】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0054】
200、300 照明装置
280、380 ワイヤ
291、391、491 天井面
291A、391A、491A 領域
292、392、492 壁面
292A、392A、492A 領域
295、495 デスク
296、496 ディスプレイ
310 器具本体
312 コネクタ
320 光源ユニット
321 取付部
322 基板
323 LED
324、524 カバー
324F、524F カバー下面部
324S、524S カバー側面部
325 電源
326 制御部
327 取付バネ
328 コネクタ
330、530 レンズ
331、531 空洞部
332、532 反射配光部
332i、532i 反射配光部入射面
332r、532r 反射配光部反射面
332e、532e 反射配光部出射面
332m 透過面
333、533 屈折配光部
333i、533i 屈折配光部入射面
333e、533e 屈折配光部出射面
341A、341B、341C、341D、541A、541B、541C、541D 第1光線
343A、343B、343C、543A、543B、543C 第2光線