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特許7133011農業機械のユーザー端末を動作させる方法、および農業機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】農業機械のユーザー端末を動作させる方法、および農業機械
(51)【国際特許分類】
   A01B 61/00 20060101AFI20220831BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20220831BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20220831BHJP
   A01B 75/00 20060101ALI20220831BHJP
   A01B 61/02 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A01B61/00
B60R16/03 S
H02J1/00 306B
A01B75/00
A01B61/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020505500
(86)(22)【出願日】2018-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2018070288
(87)【国際公開番号】W WO2019025278
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-05-19
(31)【優先権主張番号】17184323.8
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520034484
【氏名又は名称】クヴェルネランド グループ メカトロニクス ビー.ヴィー.
【氏名又は名称原語表記】KVERNELAND GROUP MECHATRONICS B.V.
【住所又は居所原語表記】Hoofdweg 1278 2153 LR Nieuw-Vennep,Nederland
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ストラファーズ, トーマス ジェロエン
(72)【発明者】
【氏名】イント ヴィーン, イヴァー ヤコブス ジェラルダス
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-132260(JP,A)
【文献】特開2015-043763(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0173038(US,A1)
【文献】特開平06-140174(JP,A)
【文献】特開2006-298108(JP,A)
【文献】特開2005-285895(JP,A)
【文献】米国特許第05897600(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 61/00
B60R 16/03
H02J 1/00
A01B 75/00
A01B 61/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業機械のユーザー端末(7)を動作させる方法において、
- 農業機械の制御システム(3)のユーザー端末(7)を提供することであって、前記ユーザー端末(7)は、電源(13)に接続され、かつ制御バス(6)を介して前記農業機械の機能要素(10a、10b)に制御信号を送信するように構成されている、提供することと、
- 供給ラインを介して、前記電源(13)によって提供される電圧レベルで、前記ユーザー端末(7)に供給電力を印加することであって、前記電圧レベルは、通常動作電圧レベルである、印加することと、
を含み、
前記ユーザー端末(7)を前記動作させることが、
- 前記ユーザー端末(7)のユーザー制御動作モードを有効化することと、
- 前記ユーザー端末(7)でソフトウェアアプリケーションを実行することと、
- 前記ユーザー端末(7)のディスプレイデバイスを有効化することと、
- 前記制御バス(6)を有効化し、前記有効化により、前記制御バス(6)を介した前記制御信号の送信を可能にするバス制御モードで、前記制御バス(6)を動作させることと、
を含み、
前記方法は、
- 前記農業機械の点火装置のターンオン状態と、前記供給ライン内の前記電源(13)によって提供される前記供給電力の、最低動作電圧レベルよりも低い低下電圧レベルへの低下と、の少なくとも一方を決定することであって、前記最低動作電圧レベルは、前記通常動作電圧レベル以下であり、前記供給電力の前記低下は、前記点火装置が前記ターンオン状態に切り替わることによって引き起こされる、決定することと、
- 前記決定することに応じて、前記供給ラインに接続された電圧アップスケーリングデバイスによって、昇圧された電圧レベルに、前記低下電圧レベルを昇圧することであって、前記昇圧された電圧レベルは、少なくとも前記最低動作電圧レベルに達する、昇圧することと、
- 前記点火装置が前記ターンオン状態である間、前記昇圧された電圧レベルを有する前記電源で、前記ユーザー端末(7)を動作させることと、
- 前記点火装置のターンオフ状態と、前記供給ライン内の前記電源(13)によって提供される前記供給電力の前記低下の終了と、の少なくとも一方を決定することであって、前記低下の前記終了は、前記点火装置が前記ターンオフ状態に切り替わることによって引き起こされる、決定することと、
- 前記決定することに応じて、前記低下電圧レベルを前記昇圧することを終了することと、
- 前記供給ラインを介して、前記電源(13)によって提供される前記電圧レベルで、前記ユーザー端末(7)に前記供給電力を印加することであって、前記電圧レベルは、前記通常動作電圧レベルである、印加することと、
さらに
前記ユーザー端末(7)を前記動作させることが、前記ユーザー端末(7)の待機動作モードを有効化することであって、
- 前記ユーザー端末(7)の前記ソフトウェアアプリケーションのうち1つまたはすべてを実行し続けることと、
- 前記ユーザー端末(7)の前記ディスプレイデバイスを無効化することと、
- 前記制御バス(6)を無効化し、前記無効化により、前記制御バス(6)を介した、前記ユーザー端末(7)からの、前記制御信号の送信を阻止することと、
を含む、有効化すること、を含み、
前記ユーザー端末(7)を前記動作させることが、前記ターンオフ状態を前記決定することに応じて、前記ユーザー端末(7)について、前記制御動作モードを無効化し、前記待機動作モードを有効化すること、をさらに含む、方法。
【請求項2】
前記ユーザー端末(7)を前記動作させることが、前記ユーザー制御動作モードで、前記農業機械の前記機能要素(10a、10b)のうち1つの動作を制御することであって、
- 前記ユーザー端末(7)の入力デバイスを介して、前記機能要素(10a、10b)のうち前記1つの動作を制御するためのユーザー入力を受信することと、
- 前記ユーザー入力に応じて、現在の制御信号を生成することと、
- 前記現在の制御信号を、前記制御バス(6)を介して、前記機能要素(10a、10b)のうち前記1つに割り当てられた制御ユニットに送信することと、
- 前記現在の制御信号に従って前記機能要素(10a、10b)を動作させることと、
を含む、制御すること、を含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記点火装置が前記ターンオン状態にある間、前記ユーザー端末(7)を前記動作させることが、前記ユーザー端末(7)の前記制御動作モードを再び有効化することを含む、請求項またはに記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザー端末(7)が、前記点火装置が前記ターンオン状態にある間に、ターンオフ状態に切り替わることと、リブートすることと、の少なくとも一方を阻止すること、をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザー端末(7)内に前記電圧アップスケーリングデバイスを設けることをさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記昇圧することが、2から4Vの低下電圧レベルを、10から12Vの昇圧された電圧レベルに昇圧することを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記提供することが、前記農業機械のトラクター(1)に前記ユーザー端末を設けることであって、前記トラクター(1)は、作業機(2)を牽引または搭載する、設けること、を含み、前記機能要素(10b)のうち少なくともいくつかは、前記作業機(2)に設けられる、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
農業機械であって、
- 制御システム(3)と、
- 前記制御システム(3)に提供されるユーザー端末(7)と、
- 供給ラインを介して前記ユーザー端末(7)に接続された電源(13)と、
- 前記供給ラインに接続された電圧アップスケーリングデバイスと、
- 機能要素(10a、10b)と、
- 前記制御システム(3)内に設けられ、かつ前記ユーザー端末(7)からの制御信号を前記機能要素(10a、10b)に送信するように構成されている制御バス(6)と、
を備え、前記制御システム(3)は、請求項1からのうち少なくとも1つの方法に従って、前記ユーザー端末(7)を動作させるように構成されている、農業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、農業機械のユーザー端末を動作させる方法、および農業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザー端末は、農業機械の機能要素の動作を制御するためのユーザー入力を受信するための、ユーザーインターフェースとして提供される。例えば、トラクター、およびそのトラクターによって牽引されるかまたはそのトラクターに搭載される作業機を備える農業機械では、ユーザー端末は、トラクター内に位置してもよい。ユーザー端末は、例えばタッチセンシティブディスプレイおよび追加的な入力デバイスを有する、ハードウェアコンポーネントおよびソフトウェアコンポーネントを備える。ここで、入力デバイスは、回転可能な制御ノブ、またはジョイスティックなどである。ユーザー端末は、農業機械の制御システムに接続されている。ユーザー端末を介したユーザー入力の受信に応じて、トラクターおよび/または作業機の、機能要素の動作を制御するために、制御信号が生成される。ここで、この機能要素は、制御信号を機能コンポーネントに送信するために使用される、制御バスに接続されている。ローカル制御ユニットは、機能要素のうち1つ以上に割り当てられてもよく、このローカル制御ユニットは、制御信号の送信のためにデータバスに接続されている。
【0003】
農業機械のエンジンの点火後、ユーザー端末を起動し、ユーザー端末の動作モードを有効化するための、ブートプロセスがある。ここで、この動作モードは、ユーザー入力の受信を可能にする。
【0004】
文献、米国特許第5,897,600A号明細書は、移動式の材料分配装置を制御するための、モジュール方式の制御システムを開示している。モジュール方式の制御システムは、複数の分配装置のいずれでの使用にも適応できる。その制御システムは、分配装置を制御するための制御モジュール、およびユーザーと通信するためのユーザーコンソールを備える。制御モジュールおよびユーザーコンソールは、データリンクを介して連結されている。
【0005】
文献、米国特許出願公開第2014/0278022A1号明細書は、バッテリーから供給される電力でエンジンを始動することができる車両に搭載される、電源デバイスを開示している。電源は、バッテリーから供給される電圧を昇圧するように構成された昇圧器、エンジンの始動を検知するように構成された検知ユニット、検知ユニットに基づいてエンジンの始動カウントをカウントするように構成された計数ユニット、および昇圧器を制御するように構成された制御ユニットを備える。制御ユニットは、タイマーの期間内に計数ユニットによりカウントされるエンジンの始動カウントが、許容できる回数を超えない場合に、エンジンの始動に応じて、昇圧器が電圧を昇圧することを許す制御信号を出力する。
【0006】
文献、米国特許出願公開第2012/0173038A1号明細書は、車両の点火スイッチによって制御される、構成可能な挙動を有する車両搭載コンピューターを開示している。ユーザーは、点火スイッチが押下され、または点火スイッチの位置が調整されることに応じて、アクションを実行し、モードを切り替え、またはソフトウェアアプリケーションを実行するように、コンピューターを構成することができる。例えば、コンピューターは、待機モードもしくはハイバネーションモードに切り替え、シャットダウンし、ユーザーにアクションの選択を促し、または点火スイッチがオフの位置にあることに応じて何もしないように、構成されることができる。点火スイッチは、コンピューターのオペレーティングシステム、または別のアプリケーションが、点火スイッチのステータスをモニターできるように、コンピューターの入力に、電気的に連結されることができる。オペレーティングシステムまたはアプリケーションは、点火スイッチの位置の変化、または点火スイッチの作動を検知したときに、構成された応答をコンピューターに実行させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、現場作業におけるそれぞれ異なる使用シナリオに応じた、ユーザー端末の改善された動作を可能にする、農業機械のユーザー端末を動作させる方法、および農業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題を解決するために、農業機械のユーザー端末を動作させる方法、および農業機械であって、それぞれ独立請求項1および12に記載のものが、提供される。さらなる実施形態は、従属請求項の主題である。
【0009】
1つの態様によれば、農業機械のユーザー端末を動作させる方法が、提供される。方法は、農業機械の制御システムのユーザー端末を提供することであって、前記ユーザー端末は、電源に接続され、かつ制御バスを介して前記農業機械の機能要素に制御信号を送信するように構成されている、提供することと、供給ラインを介して、前記電源によって提供される電圧レベルで、前記ユーザー端末に供給電力を印加することであって、前記電圧レベルは、通常動作電圧レベルである、印加することと、前記農業機械の点火装置のターンオン状態と、前記供給ライン内の前記電源によって提供される前記供給電力の、最低動作電圧レベルよりも低い低下電圧レベルへの低下と、の少なくとも一方を決定することであって、前記最低動作電圧レベルは、前記通常動作電圧レベル以下であり、前記供給電力の前記低下は、前記点火装置が前記ターンオン状態に切り替わることによって引き起こされる、決定することと、前記決定することに応じて、前記供給ラインに接続された電圧アップスケーリングデバイスによって、昇圧された電圧レベルに、前記低下電圧レベルを昇圧することであって、前記昇圧された電圧レベルは、少なくとも前記最低動作電圧レベルに達する、昇圧することと、前記点火装置が前記ターンオン状態である間、前記昇圧された電圧レベルを有する前記電源で、前記ユーザー端末を動作させることと、前記点火装置のターンオフ状態と、前記供給ライン内の前記電源によって提供される前記供給電力の前記低下の終了と、の少なくとも一方を決定することであって、前記低下の前記終了は、前記点火装置が前記ターンオフ状態に切り替わることによって引き起こされる、決定することと、前記決定することに応じて、前記低下電圧レベルを前記昇圧することを終了することと、前記供給ラインを介して、前記電源によって提供される前記電圧レベルで、前記ユーザー端末に前記供給電力を印加することであって、前記電圧レベルは、前記通常動作電圧レベルである、印加することと、を含む。
【0010】
さらなる態様によれば、農業機械であって、制御システムと、前記制御システムに提供されるユーザー端末と、供給ラインを介して前記ユーザー端末に接続された電源と、前記供給ラインに接続された電圧アップスケーリングデバイスと、機能制御要素と、前記制御システム内に設けられ、かつ前記ユーザー端末からの制御信号を前記機能要素に送信するように構成されている制御バスと、を備える農業機械が、提供される。前記ユーザー制御システムは、上記の方法に従って、前記ユーザー端末を動作させるように構成されている。
【0011】
前記ユーザー端末を前記動作させることは、前記ユーザー端末のユーザー制御動作モードを有効化することと、前記ユーザー端末でソフトウェアアプリケーションを実行することと、前記ユーザー端末のディスプレイデバイスを有効化することと、前記制御バスを有効化し、前記有効化により、前記制御バスを介した前記制御信号の送信を可能にするバス制御モードで、前記制御バスを動作させることと、を含んでもよい。前記ユーザー制御動作モードを前記有効化することは、前記点火装置が前記ターンオン状態にある間であって、前記低下電圧レベルが前記昇圧された電圧レベルに昇圧されている間に、適用されてもよい。また、前記ユーザー制御モードを前記有効化することは、前記点火装置が前記ターンオフ状態にある間に適用されてもよく、供給される前記電圧レベルは、前記通常動作電圧レベルである。
【0012】
前記ユーザー端末を前記動作させることは、前記ユーザー制御動作モードで、前記農業機械の前記機能要素のうち1つの動作を制御することを含んでもよい。前記制御することは、前記ユーザー端末の入力デバイスを介して、前記機能要素のうち前記1つの動作を制御するためのユーザー入力を受信することと、前記ユーザー入力に応じて、現在の制御信号を生成することと、前記現在の制御信号を、前記制御バスを介して、前記機能要素のうち前記1つに割り当てられた制御ユニットに送信することと、前記現在の制御信号に従って前記機能要素を動作させることと、を含んでもよい。
【0013】
前記ユーザー端末を前記動作させることは、前記ユーザー端末の待機動作モードを有効化することを含んでもよい。前記有効化することは、前記ユーザー端末の前記ソフトウェアアプリケーションのうち1つまたはすべてを実行し続けることと、前記ユーザー端末の前記ディスプレイデバイスを無効化することと、前記制御バスを無効化し、前記無効化により、前記制御バスを介した、前記ユーザー端末からの、前記制御信号の送信を阻止することと、を含んでもよい。前記待機動作モードを前記有効化することは、前記点火装置が前記ターンオンにあり、かつ前記低下電圧レベルが前記昇圧された電圧レベルに昇圧されている間に、適用されてもよい。また、前記待機動作モードを前記有効化することは、前記点火装置が前記ターンオフ状態にある間に、適用されてもよい。
【0014】
前記ユーザー端末を前記動作させることは、前記ターンオフ状態を前記決定することに応じて、前記ユーザー端末について、前記制御動作モードを無効化し、前記待機動作モードを有効化することを含んでもよい。
【0015】
前記点火装置が前記ターンオン状態にある間、前記ユーザー端末を前記動作させることは、前記ユーザー端末の前記制御動作モードを再び有効化することを含んでもよい。
【0016】
前記方法は、前記ユーザー端末が、前記点火装置が前記ターンオン状態にある間に、ターンオフ状態に切り替わることと、リブートすることと、の少なくとも一方を阻止することをさらに含んでもよい。
【0017】
さらに、前記方法は、前記ユーザー端末内に前記電圧アップスケーリングデバイスを設けることを含んでもよい。
【0018】
前記方法において、前記昇圧することは、約2から4Vの低下電圧レベルを、約10から12Vの昇圧された電圧レベルに昇圧することを含んでもよい。一般に、異なる実施形態では、DC電圧は、アップスケールされてもよい。
【0019】
前記提供することは、前記農業機械のトラクターに前記ユーザー端末を設けることであって、前記トラクターは、作業機を牽引または搭載する、設けること、を含んでもよく、前記機能要素のうち少なくともいくつかは、前記作業機に設けられる。
【0020】
代替実施形態では、農業機械のユーザー端末を動作させる方法が、提供されてもよい。前記方法は、農業機械の制御システムにユーザー端末を提供することであって、前記ユーザー端末は、電源に、および制御信号を送信するように構成された制御バスを介して前記農業機械の前記機能要素に、接続されている、提供することと、前記ユーザー端末が先にターンオフにされた期間の後、前記ユーザー端末の動作を有効化することと、を含む。前記ユーザー端末の前記動作を前記有効化することは、以下を含んでいる。前記ユーザー端末のユーザー制御動作モードを有効化することと、前記ユーザー端末でソフトウェアアプリケーションを実行することと、前記ユーザー端末のディスプレイデバイスを有効化することと、前記制御バスを有効化し、前記有効化により、前記制御バスを介した前記制御信号の送信を可能にするバス制御モードで、前記制御バスを動作させること。前記農業機械の前記機能要素のうち1つの動作は、前記ユーザー制御動作モードで制御され、前記制御は、以下を含む。前記ユーザー端末の入力デバイスを介して、前記機能要素のうち前記1つの動作を制御するためのユーザー入力を受信することと、前記ユーザー入力に応じて、現在の制御信号を生成することと、前記現在の制御信号を、前記制御バスを介して、前記機能要素のうち前記1つに割り当てられた制御ユニットに送信することと、前記現在の制御信号に従って前記機能要素を動作させること。前記ユーザー制御動作モードが無効化されて、前記ユーザー端末の待機動作モードが有効化され、そのような有効化は、前記ユーザー端末の前記ソフトウェアアプリケーションのうち1つまたはすべてを実行し続けることと、前記ユーザー端末の前記ディスプレイデバイスを無効化することと、前記制御バスを無効化し、前記無効化により、前記制御バスを介した、前記ユーザー端末からの、前記制御信号の送信を阻止することと、を含む。続いて、前記制御動作モードは、前記ユーザー端末で再び有効化される。
【0021】
さらなる態様によれば、農業機械であって、制御システムと、前記制御システムに提供され、かつ電源に接続されたユーザー端末と、機能制御要素と、前記制御システム内に設けられ、かつ前記ユーザー端末からの制御信号を前記機能要素に送信するように構成されている制御バスと、を備え、前記ユーザー制御システムは、上記の方法に従って前記ユーザー端末を動作させるように構成されている、農業機械が、提供される。
【0022】
ユーザー端末に種々の動作モードを実装することにより、特にユーザー端末に関して、農業機械の制御システムの改善された動作が、可能となるであろう。現在の作業シナリオに応じて、農業機械の点火装置が、ターンオンまたはターンオフされてもよい。圃場での農業機械の動作中に、点火装置のターンオン状態とターンオフ状態との間の切り替えがあってもよい。点火装置のターンオフ状態を決定する場合、ユーザー端末の待機動作モードが有効化され、待機動作モードは、制御動作モードと比較して、縮小され、または制限された機能を提供する。しかし、待機モード中に依然として実行されている、ユーザー端末の1つ以上のソフトウェアアプリケーションがある。これにより、制御動作モードに戻るために、ユーザー端末の追加的な機能であって待機モードで停止されるものを、より簡単に再びアクティブ化することが、可能となるであろう。
【0023】
農業機械の現在の使用シナリオに応じて、制御動作モードと待機動作モードとの間の切り替えがある。
【0024】
方法は、制御システム内の農業機械の点火装置のターンオン状態を決定することと、ターンオン状態を決定した後、起動時間内にユーザー端末の動作を有効化することと、農業機械の点火装置のターンオフ状態を決定することと、ターンオフ状態の決定に応じて、ユーザー端末の制御動作モードを無効化して待機動作モードを有効化することと、をさらに含んでもよい。
【0025】
動作を有効化することには、ターンオン状態を決定した後、起動期間内に、ユーザー端末の動作を有効化することが含まれてもよく、制御動作モードを再び有効化することには、点火装置の再ターンオン状態を決定した後、再起動期間内に、ユーザー端末の制御動作モードを再び有効化することが含まれてもよい。ここで、その再起動期間は、その起動期間よりも短い。
【0026】
再起動期間は、起動期間よりも少なくとも70%、短くてもよい。代替実施形態では、再起動期間は、起動期間よりも少なくとも約80%、短くてもよい。
【0027】
ユーザー端末の待機動作モードを有効化することには、ユーザー端末の入力デバイスを無効化することが含まれてもよい。例えば、ユーザー端末のディスプレイに設けられたタッチセンシティブ入力デバイスと、外部入力デバイスと、の少なくとも一方が、無効化され、それにより、ユーザー入力を阻止してもよい。
【0028】
制御バスを無効化することには、制御バスのOSI(Open System Interconnection、開放型システム相互接続)層モデル内で、制御信号またはメッセージのデータリンク層から物理層への送信を無効化することが、含まれてもよい。制御バスは、CANバス(Controller Area Network protocol、コントローラエリアネットワークプロトコル)として提供されてもよい。1つの実施形態では、制御バスは、OSIモデルに従って、物理層、データリンク層、およびアプリケーション層で実装されてもよい。物理層は、CANバスネットワーク、すなわちISO11898の電気的仕様のような、制御バスネットワークに必要とされる基本的なハードウェアを提供してもよい。データリンク層は、ノードからのメッセージ/信号をネットワークに(誤りなく)送信する責任を負ってもよい。アプリケーション層は、OSI層モデルの、上位レベルの通信機能を提供してもよい。一般に、他の層はソフトウェアおよび/またはハードウェアによって実装されてもよいが、物理層は、ハードウェアによって実装される。ユーザー端末の待機動作モードでは、無効化により、ユーザー端末から機能要素のうち1つへの制御信号の送信が、阻止される。具体的には、ユーザーは、制御入力を阻止される。制御バスを介した機能要素間の信号の送信は、依然として有効化されていてもよい。そのような代替実施形態では、ユーザー端末以外の、制御バスに接続された制御システムのノードに、制御バスの信号送信機能が提供されてもよい。
【0029】
ディスプレイを無効化することには、ユーザー端末のディスプレイデバイス上に待機画面を出力することと、ユーザー端末のディスプレイデバイスのバックライト照明をターンオフすることと、の一方が含まれてもよい。待機画面は、ディスプレイデバイスに表示される黒い画像であってもよい。ディスプレイデバイスには、液晶ディスプレイが、設けられてもよい。待機動作モードでは、ディスプレイデバイスに表示されるコンテンツのあらゆる(さらなる)更新が、阻止されてもよい。
【0030】
待機動作モードでは、方法は、制御システムの待機時間を決定することと、待機時間が待機時間制限を超えていると決定することと、その決定に応じて、ユーザー端末をターンオフすることと、をさらに含んでもよい。ここで、この待機時間は、ユーザー端末の待機動作モードを有効化した後に経過した期間を示す。例えば、待機時間制限は、約12時間であってもよい。
【0031】
前記提供することは、前記農業機械のトラクターに前記ユーザー端末を設けることであって、前記トラクターは、作業機を牽引または搭載する、設けること、を含んでもよく、前記機能要素のうち少なくともいくつかは、前記作業機に設けられる。作業機は、例えば、以下の群から選択されてもよい。ローダーワゴン、噴霧機、ベーラー、レーキ、および芝刈り機。
【0032】
農業機械に関して、動作させる方法について上記で説明した代替実施形態は、必要な変更を加えて適用されてもよい。
【0033】
それぞれの機能要素には、制御信号などの電子信号を受信(および/または送信)するためのデータバスまたは制御バスに接続された、電子制御ユニットが割り当てられてもよい。単一の電子制御ユニットが、複数の機能要素に割り当てられてもよい。電子制御ユニットは、それぞれ、制御バスに接続されたノードを提供してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
続いて、さらなる実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図では、
図1】トラクター、およびそのトラクターによって牽引されるかもしくはそのトラクターに搭載される作業機を備える、農業機械または農業システムの制御システムの概略図である。
図2】制御システムにおけるユーザー端末の動作の概略図である。
図3】ユーザー端末の機能要素の概略図である。
図4】制御システムに設けられた制御バスの、要素の概略図である。
図5】ユーザー端末の動作の時間経過の概略図である。
図6】トラクター、およびそのトラクターによって牽引されるかもしくはそのトラクターに搭載される作業機を備える、農業機械または農業システムの制御システムの概略図であり、電源には、電圧アップスケーリングのための機能デバイスが設けられている。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、トラクター1、およびトラクター1によって牽引されるかもしくはトラクター1に搭載される作業機2を有する、農業機械または農業システムの概略図を示す。
【0036】
農業機械制御ネットワーク3は、農業機械または農業システムの、電子制御システムを提供する。農業機械制御ネットワーク3は、トラクター制御ネットワーク4および作業機制御ネットワーク5を備える。農業機械制御ネットワーク3は、図示の実施形態によれば、ユーザー制御端末7、タスクコントローラ8、および複数の電子制御ユニット9が接続された、データまたは制御バス6を有している。それぞれの電子制御ユニット9は、トラクター1および作業機2にそれぞれ設けられた機能要素10a、10bに割り当てられる。代替実施形態では、データバス6を介してユーザー制御端末7に接続された電子制御ユニット9は、作業機2の機能要素10bのみに適用され、トラクター1の機能要素10aに適用されなくてもよい。
【0037】
作業機2に関して、機能要素10bは、作業ユニットとも呼ばれる場合がある。制御信号などの電子データは、データバス6に接続された、コンポーネント、ユニット、モジュール、または要素の間で、データバス6を介して、送信されてもよい。農業機械制御ネットワーク3の電子制御システムは、ISO11783規格、好ましくはISO11783-11規格を実装してもよい。
【0038】
データバス6は、ノードとしても知られる電子制御ユニット(Electronic Control Unit、ECU)を接続するためのマルチマスターシリアルバス規格である、コントローラエリアネットワーク(Controller Area Network、CANバス)で実装されてもよい。各ECUは、機能要素10a、10bの少なくとも一方に割り当てられる。通信するには、CANネットワーク上に2つ以上のノードが必要とされる。ノードの複雑さは、単純なI/Oデバイスから、CANインターフェースと高度なソフトウェアを備える組み込みコンピューターにまで及ぶことができる。このノードはまた、標準的なコンピューターが、USBまたはイーサネットポートを介して、CANネットワーク上のデバイスに通信することを可能にする、ゲートウェイであってもよい。すべてのノードは、二線式バスを介して相互に接続されていてもよい。電線は、公称120Ωツイストペアであってもよい。ISO11898-2は、高速CANとも呼ばれ、各端部が120Ωの抵抗で終端されたリニアバスを使用する。
【0039】
データバス6には、トラクター制御ネットワーク4と作業機制御ネットワーク5とを接続するプラグコネクタ11が、設けられている。
【0040】
ユーザーまたはオペレータ制御端末7には、端末ディスプレイ12が設けられている。この端末ディスプレイ12は、タッチセンシティブディスプレイを備えてもよく、ユーザー制御およびユーザーディスプレイを提供する。さらに、ユーザー制御端末7には、プロセッサおよびそのプロセッサに接続されたメモリ素子を備える、プロセッサユニットが設けられている。ユーザー制御端末7に実装された複数のソフトウェアアプリケーションが、同時に実行されていてもよい。
【0041】
ユーザー制御端末7を介して、農業機械または農業システムの機能要素10a、10bを制御するために、ユーザー入力が受信されてもよい。また、端末ディスプレイ12を介して、動作情報が、ユーザーに対して表示されてもよい。
【0042】
バッテリー13は、例えばユーザー制御端末7への、電力供給のために設けられている。一般に、バッテリーおよび/またはその他の何らかの電力供給源によって提供される電力は、いわゆる中央電子ユニット(central electronic unit、CEU)として知られているものによる動作中に何らかの電源を必要とする、農業機械のコンポーネントに、供給され得る。
【0043】
図2は、ユーザー制御端末7を動作させることについての概略図を示す。ユーザー制御端末7の動作モードは、農業機械の点火装置、具体的にはトラクター1の点火装置の、状態に依存するであろう。点火装置の状態、具体的にはターンオン状態とターンオフ状態は、農業機械制御ネットワーク3によって決定されるであろう。
【0044】
ユーザー制御端末7は、ハードウェアコンポーネントおよびソフトウェアコンポーネントを備える。ここで、それぞれのハードウェアコンポーネントおよびソフトウェアコンポーネントには、ハードウェアスタートアップ20およびソフトウェアスタートアップ21が、それぞれ割り当てられる。農業機械の点火装置がターンオン状態であると決定される場合(ステップ30)、ブートプロセスの一部として、ハードウェアスタートアップ20が始動され、今度はこのハードウェアスタートアップ20が、ステップ31でソフトウェアスタートアップ21を開始する。それにより、最終的に、制御動作モード(アイドル状態またはモード22)が、ユーザー制御端末7のために実行される(ステップ32)。
【0045】
点火装置のターンオンとユーザー制御端末7の制御動作モードの有効化との間の期間は、点火装置のターンオン状態の決定後の起動時間と呼ばれる場合がある。制御動作モードでは、1つ以上のソフトウェアアプリケーションが、ユーザー制御端末7で実行されている。また、データバス6が有効化され、それにより、データバス6を介して農業機械の機能要素10a、10bに制御信号を送信することを可能にする、バス制御モードで、データバス6を動作させる。ユーザー制御端末7の端末要素を駆動するように構成された駆動回路には、通常動作の電力が供給される。
【0046】
ステップ33で点火装置のターンオフ状態が検知された場合、ユーザー制御端末7の待機動作モード23が実行される。ここで、待機動作モード23は、ユーザー制御端末7が先にアイドル状態またはプロセス22(制御モード)になった後に実行される。待機動作モード23では、ユーザー制御端末7には、制限され、または縮小された機能が提供される。1つの実施形態では、待機動作モード23では、ユーザー制御端末7の端末ディスプレイ12の照明は、ターンオフされる。例えば、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)デバイスのバックライト照明が、ターンオフされてもよい。ユーザー端末7の待機動作モードを有効化することには、ユーザー端末の入力デバイスを無効化することが含まれてもよい。例えば、ユーザー端末7の端末ディスプレイ12に設けられたタッチセンシティブ入力デバイスと、外部入力デバイスと、の少なくとも一方が、無効化され、それにより、ユーザー入力を阻止してもよい。
【0047】
また、データバス6は、無効化され、それにより、データバス6を介した機能要素10a、10bへの制御信号の送信を阻止する。図3を参照すると、制御バス6を無効化することには、制御バス6のOSI(Open System Interconnection、開放型システム相互接続)層モデル40内で、物理層41とデータリンク層42との間の、制御信号またはメッセージの送信を無効化することが、含まれてもよい。制御バス6は、CANバス(コントローラエリアネットワークプロトコル)として提供されてもよい。示されている例示的な実施形態では、制御バス6は、OSIモデル40に従って、物理層41、データリンク層42、およびアプリケーション層43で実装されてもよい。物理層41は、CANバスネットワーク、すなわちISO11898の電気的仕様のような、制御バスネットワークに必要とされる基本的なハードウェアを提供してもよい。データリンク層42は、ノードからのメッセージ/信号をネットワークに(誤りなく)送信する責任を負ってもよい。そのようなノードは、例えば、ユーザー制御端末7と、機能要素10a、10bの少なくとも一方に割り当てられたECUと、を備える。アプリケーション層43は、OSI層モデル40の、上位レベルの通信機能を提供してもよい。一般に、データリンク層42およびアプリケーション層43などの他の層はソフトウェアおよび/またはハードウェアによって実装されてもよいが、物理層41は、ハードウェアによって実装される。
【0048】
ユーザー制御端末7の待機動作モードでは、無効化により、ユーザー制御端末7から機能要素10a、10bのうち1つへの制御信号の送信が、阻止される。具体的には、ユーザーは、制御入力を阻止される。データバス6を介した機能要素10a、10bの間の信号の送信は、依然として有効化されていてもよい。そのような代替実施形態では、ユーザー制御端末7以外の、データバス6に接続された制御システム3のノードに、データバス6の信号送信機能が提供されてもよい。
【0049】
図3を参照すると、物理層41、データリンク層42、およびアプリケーション層43は、CANバスモデル(ISO11898)の物理層50およびオブジェクト/転送層51と比較される。
【0050】
CANバスネットワークのノードを提供するユーザー制御端末7では、ソフトウェアアプリケーション60、61、62が実装され、そのようなソフトウェアアプリケーション60、61、62は、socket CAN63(ソフトウェアで実装される仮想CANバス)に機能的に接続されている。socket CAN63は、接続65を介して、CANバスハードウェア64に接続されている。そのような接続65は、ユーザー制御端末7の待機動作モード中は無効化されている。無効化するために、例えば、ハードウェアドライバによって提供されるソフトウェアスイッチが、スイッチオフされてもよい。
【0051】
待機動作モード23では、ユーザー制御端末7に実装されたソフトウェアアプリケーション60、61、62のうち1つまたはすべてが、実行され続けてもよい。例えば、ソフトウェアアプリケーションの1つとして実装されたタスクコントローラ(例えば、ISO11783-14)は、待機動作モード中に実行が維持されてもよい。加えて、または代替として、ユニバーサル端末(例えば、ISO11783-6)とも呼ばれる仮想端末は、待機モード中にユーザー制御端末7のソフトウェアアプリケーションとして実行され続けてもよい。
【0052】
ステップ34で点火装置がターンオンされていると決定される場合、ユーザー制御端末7は、制御動作モードに戻り、それにより、アイドル状態またはプロセス22(制御動作モード)を有効化する。
【0053】
ユーザー制御端末7が、例えば約12時間に設定されてもよい待機時間制限よりも長く、待機動作モード23で動作されていると決定される場合、再起動のためのリセット25(ステップ36)を必要とするであろうシャットダウン24(ステップ35)がある。
【0054】
故障検知の場合、リセット25は、アイドル状態22または待機状態24の形式で開始されてもよい(ステップ37)。
【0055】
表1は、ユーザー制御端末7の動作に関する、概略の情報を与える。ユーザー制御端末7のそれぞれ異なる要素のステータスが、動作の状態に応じて示されている。具体的には、端末ディスプレイ12の画面、ユーザー入力要素「ボタン」、およびバックライト照明「LED」が参照される。
【0056】
【表1】
【0057】
制御モードおよび待機モードでそれぞれ印加される電圧電力レベルは、それぞれ異なる。
【0058】
図4は、点火装置の状態に応じたユーザー制御端末7の動作モードに関する概略図を示す。例えば、「0」は、点火装置がターンオフされているという点火状態を示す。逆に、「1」は、点火装置がターンオンされていることを示す。12時間の待機時間制限が経過した後、ユーザー制御端末7は、ターンオフされる。それにより、ユーザー制御端末7は、ターンオフされた状態に戻り、その状態から、ユーザー制御端末7は、図3の概略図に従って起動される。
【0059】
農業機械制御ネットワーク3の動作に関して、それぞれ異なる動作モードでのユーザー制御端末7の動作の代替として、またはそのような動作に加えて、電圧または電力の制御機構が適用されてもよい。エンジンを始動するために農業機械の点火装置がターンオンされる場合、電力レベルは、低下するであろう。ここで、電力は、その電力レベルでバッテリー13によって供給される。例えば、通常の電力レベルまたは電圧レベルで約12Vが供給される場合、その電力レベルまたは電圧レベルは、点火装置を作動させることによってエンジンを始動する時、約2から3Vに低下し得る。
【0060】
図5に示されている実施形態によれば、電力レベルを通常の電圧レベルにアップスケールまたは昇圧する機能回路70が、設けられる。そのようなアップスケーリングは、点火装置が作動される期間に制限されるであろう。具体的には、アップスケールされた電圧(その電圧は、およそ通常の電圧レベルである)が、ユーザー制御端末7に提供されるであろう。それにより、ユーザー制御端末7に印加される電力レベルまたは電圧レベルが低下してユーザー制御端末7のリブートを引き起こすレベルよりも低くなることを、阻止する。電圧レベルをアップスケールまたは昇圧するように構成された機能回路デバイスは、種々のハードウェア/ソフトウェア設計で、そのようなものとして知られている。昇圧された電圧により、例えば、ユーザー制御端末7の待機動作モードが維持され得、それにより、ブートによるユーザー制御端末7の完全な再起動が阻止される。むしろ、ユーザー制御端末7は、点火装置の作動による電圧の低下によってリブートが引き起こされることなく、待機動作モードから制御動作モードに(直接)切り替わることができる。
【0061】
図6は、電圧の昇圧またはアップスケーリングのための機能回路70を使用する電源の動作の例の、概略図を示す。機能回路70の電圧出力は、示されている実施形態によれば、ユーザー制御端末7に印加されるが、追加的にまたは代替としてまた、農業機械の他のコンポーネントに印加されてもよい。
【0062】
バッテリー13によって提供される電力レベルが、必要とされる通常動作のレベルよりも高い場合に、機能回路は、それでもなお、必要とされる通常動作のレベルを有する電圧を出力するように、構成されてもよい。
【0063】
1つの実施形態では、機能回路70は、図6において破線で概略的に示されているユーザー制御端末7内に、設けられてもよい。
【0064】
本明細書、図面および/または特許請求の範囲で開示される特徴は、単独で、またはそれらの特徴の様々な組み合わせで利用される、様々な実施形態の実現のための材料であってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6