(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】血管から閉塞性血餅を除去するための血餅回収デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20220831BHJP
A61B 17/22 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A61B17/3207
A61B17/22
(21)【出願番号】P 2021040947
(22)【出願日】2021-03-15
(62)【分割の表示】P 2017527557の分割
【原出願日】2015-11-25
【審査請求日】2021-03-15
(32)【優先日】2014-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515248931
【氏名又は名称】ニューラヴィ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ベイル,デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ケーシー,ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】ギルヴァリー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】オゴールマン,ジャクリーン
(72)【発明者】
【氏名】マカードル,ケヴィン
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-535352(JP,A)
【文献】特表2011-509117(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0224177(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22 - A61B 17/221
A61B 17/3205 - A61B 17/3207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管(756)から閉塞性血餅(757)を除去するための血餅回収デバイス(700,750)であって、
拘束送達構成を有し、小径の血管において拡張配備構成を有し、前記小径の血管から前記小径の血管の近位側の大径の血管に後退させられたときに追加自由拡張構成を有する血餅係合要素を備え、
前記血餅係合要素が、第1側方レール(701)と、第2側方レール(702)と、前記第1側方レール(701)と前記第2側方レール(702)との間を延在する血餅係合区間とを有し、
(i)前記拡張配備構成では、縁部が長手方向に延在する起伏状であり、前記第1側方レール(701)および前記第2側方レール(702)が横方向に離間され、前記血餅係合区間が前記第1側方レール(701)および前記第2側方レール(702)の間を延在し、前記血餅係合区間の少なくとも一部
分が、血餅と係合及び血餅を握持するように構成され且つ長手方向に延在する第1の起伏状の波パターンを有し、
(ii)前記追加自由拡張構成では、前記縁部が長手方向に延在する起伏状であり、前記第1側方レール(701)および前記第2側方レール(702)が横方向に離間され、前記血餅係合区間が前記第1側方レール(701)および前記第2側方レール(702)の間を延在し、前記血餅係合区間の少なくとも一部
分が、血餅と係合及び血餅を握持するように構成され、前記デバイスが拡大した脈管(758)の直径を通って後退されるときに、血餅と血管壁との間の付着状態を維持し、前記拡張配備構成の前記デバイスの有効直径を超えて、前記デバイスの有効直径を増加させるために、前記血餅係合区間、前記第1側方レール(701)および前記第2側方レール(702)は、互いに重ね合わされる少なくとも2つの波パターンを有し、前記少なくとも2つの波パターンは、1つの波長および1つの振幅を有する前記第1の起伏状の波パターンと、前記第1の起伏状の波パターンの波長および振幅より大きい1つの波長および1つの振幅とを有する第2の波パターンを有する、
血餅回収デバイス。
【請求項2】
前記血餅係合要素が1つまたは複数の血餅握持特徴部分(705)を備える、請求項1に記載の血餅回収デバイス(700,750)。
【請求項3】
前記血餅係合要素が概略反対方向を向く2つの表面を有し、一方または両方の表面が前記拡張配備構成で血餅に係合可能である、請求項1または2に記載の血餅回収デバイス(700,750)。
【請求項4】
遠位側血餅断片保護区間(751)を備える、請求項1から
3までのいずれか一項に記載の血餅回収デバイス(700,750)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血管から急性(acute)妨害物を除去することを対象としたデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
急性妨害物には、血餅、誤って配置されたデバイス、移動したデバイス、および、大きい塞栓などが含まれ得る。血栓の一部またはすべてが血管壁から分離する場合に血栓塞栓症が発症する。次いでこの血餅(ここでは塞栓と呼ばれる)が血流の方向に運ばれる。血餅が脳血管系内に留まる場合には虚血性脳卒中につながる可能性がある。血餅が静脈系または心臓の右側を発生源として肺動脈内にまたはその分枝内に留まる場合には肺塞栓症につながる可能性がある。また、血餅が、塞栓の形態で放出されることなく、大きくなって血管を局部的に詰まらせる可能性がある-このメカニズムは冠動脈妨害物の形成では一般的である。本発明は、急性虚血性脳卒中(AIS:acute ischemic stroke)を患う患者の大脳動脈から血餅を除去すること、心筋梗塞(MI:myocardial infarction)を患う患者の冠動脈の生まれつきの脈管または移植管から血餅を除去すること、および、肺塞栓症(PE:pulmonary embolism)を患う患者の肺動脈から血餅を除去すること、ならびに、血餅により閉塞が生じているところの他の末梢性の動脈血管および静脈血管から血餅を除去することに特に適する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明によると、血管から閉塞性血餅を除去するための血餅回収デバイスが提供され、これが、拘束送達構成および拡張配備構成を有する血餅係合要素を備え、ここでは、デバイスの少なくとも一部分が長手方向に延在する起伏状縁部を有する。
【0004】
一事例では、血餅係合要素が、第1の周囲部分と、第2の周囲部分と、第1の周囲部分と第2の周囲部分との間を延在する血餅係合区間とを有し、拡張構成では、これらの周囲部分が横方向に離間され、血餅係合区間がこれらの周囲部分の間を延在する。
【0005】
一実施形態では、起伏状縁部が波状の形態を有する。起伏状縁部が正弦波の形態を有することができる。
一事例では、デバイスが少なくとも2つの波パターンを有する。これらの波パターンが互いに重ね合わされ得る。一事例では、第1のパターンが1つの波長および1つの振幅を有し、第2のパターンが、第1のパターンの波長および振幅より大きい1つの波長および1つの振幅を有する。
【0006】
一実施形態では、血餅回収デバイスが、波形状を修正するためのアクチベータ(activator)を備える。アクチベータが少なくとも1つのプッシュワイヤおよび/または少なくとも1つのプルワイヤを備えることができる。
【0007】
一事例では、血餅係合要素が1つまたは複数の血餅握持特徴部分を備える。
一実施形態では、拘束構成で、血餅係合区間が実質的に平坦である。
拡張構成で、血餅係合区間が曲線状であってよい。
【0008】
拡張構成で、血餅係合区間が実質的に平坦であってよい。
一実施形態では、拘束構成および拡張構成で、血餅係合区間が実質的に曲線状である。
一事例では、拡張構成で、血餅係合区間が螺旋形態または渦巻き形態である。
【0009】
拡張構成で、血餅係合区間が概略s形であってよい。
一実施形態では、血餅係合要素が概略反対方向を向く2つの表面を有し、一方または両方の表面が拡張配備構成で血餅に係合可能である。
【0010】
一実施形態では、デバイスが、デバイスが拡張配備構成にあるときに血液の流れのための流れチャンネルを画定する部分を備える。
一事例では、デバイスが、近位側区間と、遠位側区間と、近位側区間と遠位側区間との間にある血餅係合区間とを備え、ここでは、近位側区間が血餅係合区間を基準として摺動可能に移動可能である。近位側区間が、カラーなどの摺動可能要素と、カラーから延在する近位側ストラットとを備えることができ、血餅係合区間が近位側シャフトを備え、カラーが近位側シャフトを基準として摺動可能に移動可能である。近位側区間のストラットのうちの少なくともいくつかのストラットが、近位側シャフトを基準としてカラーが近位方向に移動するときに血餅係合区間と近位側ストラットとの間で血餅を少なくとも部分的に捕捉するために遠位方向に延在してよい。
【0011】
一実施形態では、波パターンが2.0mmから6.0mmの振幅を有する。波パターンが3.0mmから8.0mmのピッチを有することができる。
一実施形態では、血餅係合区間が、ストラットおよびクラウンによって画定される複数のセルを備え、ストラットおよび/またはクラウンの少なくとも一部が波状の形態に位置合わせされ、それにより血餅の埋め込みが改善される。
【0012】
一事例では、デバイスの血餅係合区間が平坦区間および曲線状区間の両方を有する横断面を有する。
一実施形態では、拡張構成で、デバイスの血餅係合区間の少なくとも一部分が長手方向軸を中心とした概略渦巻きまたは螺旋構成である。血餅係合区間が遠位側管状区間をさらに備えることができる。血餅分断部分(clot fragment portion)が管状区間の遠位端のところに設けられ得る。
【0013】
一実施形態では、血餅係合区間が、セル要素から形成される一対の側方レールを備え、この一対の側方レールに対して複数の血餅係合ストラット要素が接続され、セル要素が、側方レールによって画定される平面の両側から突出する。
【0014】
別の実施形態では、血餅係合区間が複数のセグメントを備え、隣接するセグメントが互いに約90°のところで位置合わせされる。セグメントのうちの少なくともいくつかのセグメントが横断面において平坦形状であってよい。
【0015】
すべての実施形態で、血餅回収デバイスが遠位側血餅断片保護区間を備えることができる。
本発明は血管から閉塞性血餅を除去するための方法をさらに提供し、この方法が、
長手方向に延在する起伏状形態を有する血餅係合区間を有する血餅回収デバイスを提供するステップであって、このデバイスが拘束送達構成および拡張配備構成を有する、ステップと、
閉塞性血餅の方に向かうように且つ閉塞性血餅を横切るようにマイクロカテーテルを前進させるステップと、
マイクロカテーテルの中にデバイスを装填してデバイスをマイクロカテーテルの遠位側部分まで前進させるステップと、
血餅を埋め込ませるためにデバイスを配備するステップと、
デバイスの少なくとも一部分および捕捉された血餅を回収カテーテルの中に回収する
ステップと、
を含む。
【0016】
一実施形態では、この方法が血餅の中にデバイスを配備することを含む。
いくつかの事例では、この方法が、血餅と血餅を囲む血管壁の一部分との間にデバイスの一部分を配備することを含む。
【0017】
一実施形態では、この方法が、血餅の中にデバイスを配備した後でデバイスを近位側に引っ張ることを含む。
この方法が、デバイスおよび血餅を近位側に引っ張る前に血餅内にさらに埋め込ませるために、配備後にデバイスを近位側に引っ張るのを遅延させることを含むことができる。
【0018】
一実施形態では、この方法が、回収カテーテルの中に回収する前にデバイスをより大きい脈管の中へと近位側に引っ張ることを含む。
いくつかの事例では、この方法が血餅の中にデバイスを埋め込むためにデバイスを捻じることを含む。
【0019】
本発明によると、血管から閉塞性血餅を除去するための血餅回収デバイスが提供され、このデバイスが、拘束送達構成および拡張配備構成を有する血餅係合要素を備え、血餅係合要素が、第1の周囲部分と、第2の周囲部分と、第1の周囲部分と第2の周囲部分との間を延在する血餅係合区間とを有し、拡張構成では、これらの周囲部分が横方向に離間され、血餅係合区間がこれらの周囲部分の間を延在する。
【0020】
一実施形態では、拘束構成で、血餅係合区間が実質的に平坦である。
一事例では、拡張構成で、血餅係合区間が曲線状である。
別の事例では、拡張構成で、血餅係合区間が実質的に平坦である。
【0021】
一実施形態では、拘束構成および拡張構成で、血餅係合区間が実質的に曲線状である。
一事例では、拡張構成で、血餅係合区間が螺旋形態または渦巻き形態である。
別の事例では、拡張構成で、血餅係合区間が概略s形である。
【0022】
一実施形態では、血餅係合要素が概略反対方向を向く2つの表面を有し、いずれかの面が拡張配備構成で血餅に係合可能である。
一事例では、デバイスが、デバイスが拡張配備構成にあるときに血液の流れのための流れチャンネルを画定する部分を備える。
【0023】
一実施形態では、デバイスの少なくとも一部分が起伏状縁部を備える。起伏状縁部が正弦波の形態または他の波状の形態を有することができる。
一事例では、デバイスが、重ね合わされ得る少なくとも2つの波パターンを有する。第1のパターンが1つの波長および1つの振幅を有し、第2のパターンが、第1のパターンの波長および振幅より大きい1つの波長および1つの振幅を有する。
【0024】
一実施形態では、デバイスが波形状を修正するためのアクチベータを備える。アクチベータが少なくとも1つのプッシュワイヤ/プルワイヤを備える。
一事例では、血餅係合要素が1つまたは複数の血餅握持特徴部分を備える。
【0025】
デバイスが遠位側捕捉部分を備えることができる。
一事例では、デバイスが、Nitinolなどの形状記憶材料の平坦シートから形成される。
【0026】
本発明は、血管から閉塞性血餅を除去するための方法をさらに提供し、この方法が、
本発明の血餅回収デバイスを提供することと、
マイクロカテーテルの中にデバイスを装填することであって、ここでは、デバイスが拘束送達構成である、ことと、
マイクロカテーテルを閉塞性血餅まで前進させることと、
血餅を捕捉するためにデバイスを配備することと、
捕捉された血餅と共にデバイスを回収カテーテルの中に回収することと
を含む。
【0027】
デバイスが、デバイスと血管壁との間で血餅を動かないようにするために血餅の中に配備され得る。別法として、デバイスが血餅と血餅を囲む血管壁の一部分との間に配備される。
【0028】
添付図面を参照する単に例として与えられる本発明のいくつかの実施形態の以下の説明から本発明がより明瞭に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1a】
図1aは、本発明の血餅回収デバイスを示す図である。
【
図1b】
図1bは、遠位側断片保護部分を有する別の血餅回収デバイスを示す図である。
【
図2a】
図2aは、脈管内の血餅の領域にあるマイクロカテーテル内にある
図1aのデバイスを示す断面図である。
【
図2c】
図2cは、直線の向きの巻かれた構成の、
図2aのデバイスを備えるマイクロカテーテルを示す断面図である。
【
図2d】
図2dは、円形の向きの巻かれた構成の、
図2aのデバイスを備えるマイクロカテーテルを示す断面図である。
【
図3a】
図3aは、脈管内に配備された血餅回収デバイスを示す等角図である。
【
図3b】
図3bは、脈管内に配備された血餅回収デバイスを示す側面図である。
【
図4】多様な異なるセル形状および切断パターンを有する血餅回収デバイスを示す図である。
【
図5】多様な異なるセル形状および切断パターンを有する血餅回収デバイスを示す図である。
【
図6】多様な異なるセル形状および切断パターンを有する血餅回収デバイスを示す図である。
【
図7】デバイスを通る流れルーメンを有する血餅回収デバイスを示す等角図である。
【
図8a】
図8aは、円形またはu形のチャンネルを有する平坦パターンの血餅回収デバイスを示す図である。
【
図8b】
図8bは、円形またはu形のチャンネルを有する平坦パターンの血餅回収デバイスを示す図である。
【
図9】流れチャンネルを有する別の血餅回収デバイスを示す図である。
【
図10】流れチャンネルを有する別の血餅回収デバイスを示す図である。
【
図11a】
図11aは、平坦構成の一部分を有する別の血餅回収デバイスを示す図である。
【
図11b】
図11bは、平坦構成の一部分を有する別の血餅回収デバイスを示す図である。
【
図11c】
図11cは、平坦構成の一部分を有する別の血餅回収デバイスを示す図である。
【
図11d】
図11dは、平坦構成の一部分を有する別の血餅回収デバイスを示す図である。
【
図12】螺旋形状である血餅回収デバイスを示す図である。
【
図13】螺旋形状である血餅回収デバイスを示す図である。
【
図14a】
図14aは、遠位側保護部分を備える別の螺旋状デバイスを示す図である。
【
図14b】
図14bは、遠位側保護部分を備える別の螺旋状デバイスを示す図である。
【
図15】遠位側保護部分を備える別の螺旋状デバイスを示す図である。
【
図16】デバイスの長手方向に沿って捻じられた別の血餅回収デバイスを示す図である。
【
図17a】
図17aは、本発明の別の血餅回収デバイスを示す等角図である。
【
図18a】
図18aは、セルパターンおよびストラットの詳細を省略した、流れチャンネルを備える別の血餅回収デバイスを示す図である。
【
図18b】
図18bは、セルパターンおよびストラットの詳細を省略した、流れチャンネルを備える別の血餅回収デバイスを示す図である。
【
図19a】
図19aは、管状のs形またはu形の中央区間と組み合わされた波状縁部を備える血餅回収デバイスを示す図である。
【
図19b】
図19bは、管状のs形またはu形の中央区間と組み合わされた波状縁部を備える血餅回収デバイスを示す図である。
【
図19c】
図19cは、管状のs形またはu形の中央区間と組み合わされた波状縁部を備える血餅回収デバイスを示す図である。
【
図20】デバイスの長手方向に沿って渦巻き状となる、s形断面を備える血餅回収デバイスを示す図である。
【
図21a】平坦な中間区間を備える別の血餅回収デバイスを示す図である。
【
図21b】平坦な中間区間を備える別の血餅回収デバイスを示す図である。
【
図21c】平坦な中間区間を備える別の血餅回収デバイスを示す図である。
【
図22a】
図22aは、本発明による別のデバイスの血餅係合部分を示す等角図である。
【
図22b】
図22bは、本発明による別のデバイスの血餅係合部分を示す平面図である。
【
図22c】
図22cは、本発明による別のデバイスの血餅係合部分を示す側面図である。
【
図26a】本発明の血餅回収デバイスの使用方法を示す図である。
【
図26b】本発明の血餅回収デバイスの使用方法を示す図である。
【
図26c】本発明の血餅回収デバイスの使用方法を示す図である。
【
図26d】本発明の血餅回収デバイスの使用方法を示す図である。
【
図29a】
図29aは、本発明の別の血餅回収デバイスを示す平面図である。
【
図29b】
図29bは、本発明の別の血餅回収デバイスを示す断面図である。
【
図30a】本発明の別の血餅回収デバイスの使用方法を示す図である。
【
図30b】本発明の別の血餅回収デバイスの使用方法を示す図である。
【
図30c】本発明の別の血餅回収デバイスの使用方法を示す図である。
【
図30d】本発明の別の血餅回収デバイスの使用方法を示す図である。
【
図30e】本発明の別の血餅回収デバイスの使用方法を示す図である。
【
図30f】本発明の別の血餅回収デバイスの使用方法を示す図である。
【
図31】別の血餅回収デバイスを示す等角図である。
【
図32a】
図32aは、本発明の別の血餅回収デバイスを示す等角図である。
【
図32b】
図32bは、本発明の別の血餅回収デバイスを示す端面図である。
【
図33a】
図33aは、本発明の別の血餅回収デバイスを示す等角図である。
【
図33b】
図33bは、本発明の別の血餅回収デバイスを示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、同一の参照符号が同一の要素または機能的に類似する要素を示している図を参照しながら本発明の特定の実施形態を詳細に説明する。「遠位側」または「近位側」という用語は、以下の説明では、治療を行っている医師を基準とした位置または方向に関連して使用される。「遠位側」または「遠位側に」は医師から離れた位置または医師から離れる方向である。「近位側」または「近位側に」または「近接」は医師に近い位置または医師の方に向かう方向である。
【0031】
脳血管、環状血管および肺静脈にアクセスすることには、多数の市販の製品および従来の手技ステップを使用することが伴われる。ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、血管造影用カテーテルおよびマイクロカテーテルなどのアクセス製品は良く知られているものであり、カテーテル検査手技(catheter laboratory procedure)で通常使用されるものである。以下の説明では、これらの製品および方法が本発明のデバイスおよび方法と併せて採用されるが、詳細には説明されない。
【0032】
以下の詳細な説明は本質的に単に例示であり、本発明または本発明の用途および使用を限定することを意図されない。本発明の説明は多くの事例において頭蓋内動脈の治療の文脈にあるが、本発明は他の身体内通路(body passageway)でも使用され得る。
【0033】
開示されるデバイスの拡張可能部材は、望ましくは、大きく変形させられた送達構成から解放されると自動でその形状に戻ることができる材料から作られる。Nitinolまたは同様の特性を有する合金などの超弾性材料が特に適する。材料は、ワイヤまたはストリップまたはシートまたはチューブなどの多くの形態であってよい。特に適する製造プロセスは、Nitinolのチューブをレーザ切断して得られた構造をヒートセットおよび電解研磨してストラットおよび接続要素のフレームワークを作ることである。このフレームワークは本明細書で開示される広範囲の形状のうちのいずれかであってよく、合金化元素(例えば、白金など)を加えることにより、または、様々な他の被覆物もしくはマーカーバンドにより、蛍光透視下で可視とされ得る。
【0034】
参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる我々のWO2012/120490Aで説明されるように、血餅を圧縮することで血餅の特性を変化させる可能性があり、血餅がより固くおよび「より粘着質になる」ことで血餅が回収しにくくなる可能性がある。本発明のデバイスは、血餅の一部またはすべてを脈管から薄い層に裂くことと、大きい表面積にわたって血餅に係合されることと、血餅の圧縮を最小にしてこれを行うこととにより、血餅と血管壁との間で拡張することにより血餅の回収を容易にすることを意図される。拡張して血餅に係合されるときにデバイスが血餅を大きく変位させる必要がないことから、血餅の圧縮が最小となる。代わりに、デバイスは、その拡張を誘導するために血餅自体および血管壁を拘束することを利用し、この接触面領域内で拡張する。
【0035】
その最も単純な形態では、デバイスの拘束されていない血餅係合部分が概略反対方向を向く2つの表面を有する。血餅係合部分は、閉塞箇所内に配備されるときに血餅および血管壁によって拘束されることから、拡張するためには曲線形状を採用しなければならない。この曲線形状は、内側面(血餅に接触する)および外側面(血管壁に接触する)を有するものとみなされ得る。マイクロカテーテルを通して標的部位まで送達されるとき、デバイスの向きは使用者に知られなくてよく、また、使用者の管理の範囲外であってよい。このデザインの利点は、デバイスのいずれの表面も内側表面または外側表面になることができることであり、それによりデバイスが効果的に両面用となる。
【0036】
この平坦なデバイスが、血餅を跨る血液連通チャンネルを形成するために血餅の一領域を圧縮する部分を備えることができる。このようなチャンネルは次の2つの重要な目的を果たす:1)血餅に跨る圧力勾配を低減し、それにより、血餅を後退させるために打ち勝たなければならない力のうちの1つの力を低減し、2)含酸素の栄養運搬血液を血餅の遠位側の虚血領域に到達させるための流れ経路を提供する。この部分は、
図7、9、10に示されるような管形状もしくは円筒形状を有することができるか、または、
図19に示されるような部分的に円筒形の形状もしくは「U」形を有することができるか、または、血餅の近位端から遠位端まで血餅を有さないチャンネルを作るために血餅の個別の部分を変位させるようにするための他の形状を有することができる。
【0037】
本明細書で説明されるデバイスはすべて、
図1、9、12および14に示されるような遠位側断片捕捉部分をさらに備えることができる。この部分が、回収中に解放される可能性があるいかなる血餅断片も遠位側へ移動させるのを防止するために、理想的には血餅の遠位側に配備される。
【0038】
図1aが、その近位端のところでシャフト102に接続されてその遠位端のところで断片保護部分113に接続される血餅係合ボディ101を備える、本発明の血餅回収システム100を示す。血餅係合ボディが、軸方向ストラット105および横断ストラット107のフレームワークを備え、横断ストラットが近位側接続点108および遠位側クラウン106を備える。他の実施形態では、
図3から10に示されるような代替的デザインの血餅係合ボディが採用され得る。この事例の断片保護部分113がストラットフレームワーク103および繊維マトリックス104を備える。自由拡張構成の血餅係合ボディ101の形状は主として平坦である。デバイスが脈管内に配備されるときに内側および外側を有し、内側112が血餅に接触し、外側111が血餅から離れる方を向く。デバイスの配備の向きが、いずれの側が血餅に接触していずれの側が離れる方向を向くかを決定する。デバイスの両側は同様のものであり、したがって、デバイスの性能に影響することなくいずれの側も血餅に接触するように配備され得る。血餅係合ボディの材料はNitinolまたは同様の超弾性合金もしくは擬弾性合金であってよく、あるいは、マイクロカテーテルから配備されるときに戻るのを可能にするような十分な弾性歪みを有するようなステンレス鋼または他の材料であってよい。この材料は材料の平坦シートからレーザ切断され得る
かまたはチューブからレーザ切断され得てその後で平坦になるように加工されてもよい。
【0039】
図2aが、マイクロカテーテル109が通過した脈管125内の閉塞性クロット110を通る断面図を示す。血栓摘出デバイス100がその折り畳み送達構成でマイクロカテーテル109内に示される。このデバイスを導入するために、標準的な介入手技のように、最初に、血栓または血の塊110がガイドワイヤおよびマイクロカテーテル109によって横切られる。次いで、標準的な手技のように、ガイドワイヤが取り外され、デバイスが導入される。このデバイスが平坦形状であることにより、
図2bに示されるように、脈管の円周に沿うように血餅と血管壁との間で拡張することが可能となり、配備後に「U」形を形成するデバイスが得られ、ここでは、血餅係合ボディの内側112が血餅の方を向いて血餅に係合され、血餅係合ボディの外側111が血管壁の方を向く。血餅と血管壁との間にデバイスを配置することにより血餅と血管壁との間の接触面積が低減され、それにより血餅と血管壁との間の係合が軽減されてさらにそれにより脈管から血餅を取り除くのに必要となる力が低減される。したがって、デバイスを後退させることにより、血餅が取り除かれて、近位側に配置されるカテーテルまたはシースへと回収され得、必要である場合にこれが吸引によって補助される。別法として、マイクロカテーテルまたは中間カテーテルがデバイスを部分的に再装填するように前に進められ得、それによりデバイス100のセルパターンが閉じてストラットの間に血餅を挟み、それによりデバイスと血餅との間での握持が改善される。また、再装填中に「U」形の腕部が血餅の方に屈曲することができ、それにより血餅に対してのデバイスの握持が改善され、また除去が容易になる。デバイスおよび血餅が中間カテーテルを介する形で再装填されて完全に除去され得るか、または、部分的に再装填されたデバイスおよび血餅が中間カテーテルを用いて近位側に配置されるガイドカテーテルもしくはシースまで後退させられ得る。これは吸引の補助ありでもなしでも行われ得る。
【0040】
図1bに示されるように、血餅係合ボディの遠位端が断片保護部分113に接続され得るかまたはそれと一体であってよい。断片保護部分は、自由拡張構成では、平坦形状、管状形状、円錐形状、または、不規則な形状であってよく、実質的に平面的であってよいか、または、
図21dに示されるメッシュ構造などの「3D」フィルタリングボディ(filtering body)を形成するように一定の容積を占有してもよい。脈管内での配備構成では、この部分が、塞栓性の断片を血流(bloodstream)の中に放出するのを防止するような、塞栓性の断片を捕捉する手法を提供する。断片保護部分はデバイスのストラットから構成され得、これは、血流を部分的にのみ制限しながら塞栓性デブリを捕らえるための、糸を通される(threaded)か、編み込まれるか、または、網状の、繊維、重合体フィルムまたは他の材料である。
【0041】
図1aに示される実施形態では、血餅係合ボディ101がデバイスの長手方向に沿う繰り返しのセルパターン107で形成され、自由拡張構成において平坦である。切断パターンが多様なセル形状および接続されないクラウンを有することができる。
【0042】
図2cおよび2dが、
図2aのマイクロカテーテルおよび巻かれたデバイスの詳細断面図を示す。デバイスが折り畳み構成である場合、血餅結合ボディが
図2dに示されるように円形の向き127で巻かれ得るか、または、デバイスが
図2cに示されるように直線の向き126でストラットを位置合わせするようにラップダウンする(wrap down)ことができる。この折り畳みの線形の向きはデバイスが直線状に拡張するのを促進することができ、それにより血餅と血管壁との間でデバイスが拡張することが容易になる。
【0043】
図3aが、脈管内に配備される場合でも平坦形状を維持するデバイスの実施形態を示す(等角図)。この図は、脈管151内に配備されて閉塞性の血の塊152の下に配置された平坦なデバイス150を示す。デバイスの平坦区間154が近位側シャフト153に接
続され、それによりデバイスを導入および回収することが容易になる。平坦区間154が、血餅に係合されて血餅の中に埋め込まれるストラット158とセル159とのパターンで構成される。平坦なデバイスを使用することにより、血餅の長手方向に沿って径方向の力を作用させる管状デバイスとは異なり血餅がデバイスによって大きく圧縮されないことから、脈管から血餅を握持および除去することの性能を向上させることができる。
【0044】
図3bが
図3aに示されるデバイスおよび血餅の側面図を示す。この図では、平坦なデバイス156のストラット155が血餅152の中に埋め込まれて示される。このように埋め込むことにより血餅のいくつかの部分157がデバイスセルを通って突出するようになり、それにより血餅に対してのデバイスの握持が改善される。この図は、血餅に対してのデバイスの良好な握持を達成するのに血餅を大きく圧縮することをいかにして必要ないものとするかを示す。
【0045】
ストラットの埋め込みおよびデバイスセルの中への血餅の突出のレベルが、血餅に対してデバイスが作用させることができる握持のレベルに影響する。ストラットの幅、長さ、セル形状およびサイズなどの、デバイスの切断パターン、クラウンの内径、フローティングクラウンのデザインが、すべて、血餅内でのストラットの埋め込みのレベルに影響する。
図4、5および6が、多様なセル形状および切断パターンを有する種々の実施形態を示す。
図4が、多数の接続されないフローティングクラウン178を備える平坦なデバイス175を示す。
図5が、「バックボーン」ストラット208により中央クラウンが一体に接続されることを除いて、同様の平坦なデバイス200を示す。
図6が、平坦なデバイス225の長手方向に沿って接続される複数のセル229を備える平坦なデバイスの別の反復を示す。
【0046】
図7に示される別の実施形態では、平坦パターンが管状中間区間252に組み合わされ、血餅内に最初に配備されるときにデバイスを通る流れルーメンを提供する。この流れルーメン252は一体のまたは分離した管状構成要素によって形成され得る。配備時、流れルーメンの各側でデバイスの平坦区間が血餅と血管壁との間でさらに拡張する。
図8aおよび8bが、デバイス内に円形チャンネルまたはU形チャンネル288を形成するようにヒートセットされ得る代替の平坦パターン275を示す。これは、熱処理の前に
図8bに示されるような固定具285内でデバイスをクランプすることによって達成され得る。示されるセルパターン208は、配備時に血餅が中央チャンネル内の流れを妨害するリスクを最小にするために、および、デバイスの柔軟性を向上させるために、外側の平坦区間281および中央のU形チャンネル279で異なるセルサイズおよび形状を有する。
【0047】
図9が
図7のデバイス250のデザインに非常に類似するデバイス300を示すが、遠位側のメッシュ構成要素301をさらに備える。この遠位側のメッシュ構成要素が、管状中間区間302の遠位端に取り付けられ得るか、または、管状部材を通って延びて近位側の細長いシャフト304に接続される接続部材303に取り付けられ得る。この遠位側のメッシュ構成要素301は、モノフィラメントまたはマルチフィラメントであり得る1つまたは複数のフィラメントまたは繊維から形成され、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE:Ultra-High Molecular Weight Polyethylene)、液晶高分子(LCP:Liquid Crystal Polymer)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、もしくは、アラミドなど、の高強度重合材料または金属材料であり得る。金属材料である場合、繊維またはフィラメントが好適には、Nitinolなどの、形状記憶材料または超弾性材料から形成され、その結果、マイクロカテーテル内での圧縮構成から、デバイスを配備しているところの脈管の直径とほぼ等しい直径の密集したメッシュを形成するように戻ることができるようになり、それにより血餅断片が遠位側に移動することが防止される。
【0048】
図10に示される実施形態では、デバイスが流れルーメンを提供する中央管状構成要素321で構成され、これがデバイスの長手方向に沿って放射状アーム327と組み合わされる。これらの放射状アーム327が接続部材325を通して近位側シャフト324に接続され、また、接続点322のところで繊維またはワイヤ323に接続され、配備時に血餅と血管壁との間で拡張し、それにより血餅と血管壁との間の摩擦を低減する。後退中、繊維が血餅にさらに係合され、血餅を握持して血餅を脈管から取り除くのを補助し、血餅を近位側カテーテルまたはシースに回収する。この図はまた、デバイス上にある近位側シャフト324および遠位側X線不透過性先端部328を示す。
【0049】
図11a~bに示されるようなデバイスの別の実施形態では、デバイス355の平坦区間が、管状デバイスの一部分をヒートセットして平坦構成(
図11b)にすることにより、形成される。ヒートセットされて平坦構成となるデバイスの区間はデバイスの管状区間もしくは円錐区間に隣接してよいかまたは2つの管状区間の間にあってよく、あるいは、デバイスの全長にあってもよい。この形成手法は、2層のストラットおよびクラウン370および371を含む平坦区間を作ることができる。平坦化する前のデバイス354の切断パターンは、平坦構成となるように形状を変えた後で両方の層が同じストラットパターンを有して上側と下側でストラットおよびクラウンが位置合わせされることになるように、構成され得る。別法として、ストラットパターンは、ストラットが位置合わせされないが、ストラット372の間に血餅を埋め込むためのスペースを残すことになるように、設計されてもよい。これにより、デバイスが後退させられるか、または、中間カテーテル、ガイドカテーテルもしくはマイクロカテーテルの中に部分的に再装填されるときにストラットが血餅を挟むことが可能となる(
図11c)。ストラットにより血餅を挟むことにより、血餅に対するデバイスの握持が強化され、困難な血餅を取り除くためのデバイスの能力が向上する。この構成手法は、平坦区間355を管状356のおよび円錐形状358の遠位側断片保護区間と組み合わせるのを容易にする。
【0050】
図12および13に示されるデバイスの別の実施形態では、デバイス400が螺旋形状で形成され、ここでは、デバイスのボディが、デバイスの全長に沿って大部分が血管壁に接触することになるように脈管内で適合する。この場合、デバイスの中心線も螺旋経路を形成する。このデバイスは、チューブから必要なストラットパターン409をレーザ切断することにより、または、平坦シートを切断してヒートセットの前に平坦部分をシリンダ408の周りで巻くことにより、形成され得る。したがって、デバイスはシリンダの周りに幅広のリボンを巻く場合と同様の形状を有する。
【0051】
脈管の軸に沿って見ると、このデバイスは脈管ルーメンの中に大きく入り込まない。血餅と血管壁との間にデバイスを配置することにより、血管壁に接触する血餅の領域が縮小され、それにより血餅と脈管との間の摩擦が最小となり、取り除くときの力が低減される。このデバイスはまた、血餅がデバイスのルーメン内部にあるときに血餅を圧縮しないという利点を有し、それにより血餅を取り除くことが容易になる。標準的なステントリーバーのデバイスが血餅に係合され、その結果、血餅の大部分がデバイスの外側半径方向表面上に配置されることになり、ここでは血餅がストラットの間の切断パターンの開いたセルの中に部分的に突出することになる。本発明のデバイスは、ストラットおよびクラウンにより血餅を圧縮することなく血餅の全体をデバイスのルーメン内に配置するのを容易にする。シリンジまたは真空ポンプを用いての吸引中、標準的なステントリーバーに対してデバイス上の血餅が係合されることで、血餅とデバイスのストラットとの間の係合を理由として吸引カテーテルまたは中間カテーテルの中へ血餅が流れることが阻害される可能性がある。この実施形態のデバイスは、血餅が完全にデバイスのルーメンの中にあることおよびストラットが吸引カテーテルの中への血餅の流れ経路を妨げないことを理由として、吸引を促進する。
【0052】
図14aが、
図12および13に示されるデバイス400に類似する本発明の螺旋状デバイスの別の実施形態425を示す。このデバイスが、細長い概略平面のフレームワーク429を備え、これが、ワイヤから、または、相互接続されるストラット要素から作られ得る。フレームワーク429は渦巻き形状または螺旋形状として構成され、その近位端428のところで細長いシャフト427に接続され、その遠位端430のところで断片保護区間426に接続され、断片保護区間246自体は遠位側先端部431のところで終端する。
【0053】
図14bが
図14aのデバイスの端面図を示しており、血餅の取り除きおよび回収中に閉塞性物質が失われるリスクを最小にすることを意図される断片保護区間426を明瞭に示している。
【0054】
螺旋形状の構成要素は、血餅に係合されて血餅を除去するための外側ケージとして使用され得るか、または、上記のように、
図15に示されるように、血餅内に配備されるときに流れを回復させるための流れチャンネルを提供する、外側ケージ453内にある内側構成要素451としても使用され得る。
【0055】
図16に示される追加の実施形態が、デバイスの長手方向に沿って捻じられた平坦なデバイス485を示す。デバイスがストラットのフレームワーク482を備える。非拘束構成では、デバイスの中心線が直線であり、デバイスの側部481がこの軸の周りで捻じれたはしごまたはリボンと同様の二重螺旋形状となるように捻じられる。本明細書で説明されるすべてのデザインと同様に、この構成要素は取り除きおよび回収のために血餅に係合されるのに使用され得るか、または、組立体の一部であってもよく、配備時に流れを迅速に回復するための流れチャンネルを提供する内側構成要素として機能してもよい。流れチャンネルとして機能する場合、この構成要素は、血餅に大部分が係合される外側ケージの内部に配置される。
【0056】
図17a~eに示されるデバイス500がボディ区間501および遠位側断片保護区間502を有する。脈管の軸に沿って見ると、
図17b~eに示されるようにボディ区間の断面が「S」形を有する。非拘束構成では、「S」形の外側の腕部509が曲線形状であり、中間区間510が直径を形成する。このデバイスの直径は長さが多様であってよく、通常は0.5mmから10mmの範囲にある。このデバイスは、血餅515内に配備されるときに血餅がデバイスの外側部分上のセルパターンに係合されることになるように、また、デバイスの腕部と直径区間との間で開口部511の中に突出することができるように、またそれにより可能性として「S」形の一方側を埋めることになるように、設計される。「S」形のもう一方側が、デバイスの配備時に血流を回復するための保護される流れルーメン512を提供する。「S」形の両側は等しく、
図17dおよび17eに示されるようにいずれの側も血餅に接触するように配備され得る。血餅に接触するデバイスの側は配備の向きによって決定される。血餅を取り除くために、デバイスが、吸引下で、近位側に配置される、バルーン式の閉塞物誘導カテーテル(balloon occlusion
guide catheter)、標準的なガイドカテーテルまたはシースに戻るように後退させられる。別法として、中間カテーテルまたは遠位側アクセスカテーテルが遠位側の吸引を適用するのに使用され得、デバイスがカテーテルの中に完全にまたは部分的に再装填され得る。再装填中、「S」プロフィールの一方側の中に突出する血餅がS形の腕部によって挟まれて握持され得、それにより血餅に対してのデバイスの握持が改善される。血餅を挟むことは、マイクロカテーテルの中にデバイスを部分的に再装填することによっても達成され得る。
【0057】
「S」形の腕部509の縁部505は、血餅の係合を改善してデバイスの一方側の中へ
血餅をより突出させるような特殊な形状を有することができるか、またはそのために曲線状であってよい。
【0058】
図18aおよび18bがデバイスの別の実施形態を示しており、ここでは、流れチャンネル601および「C」形の外側ケージ602が直線構成(
図18a)および螺旋構成(
図18b)として示される。これらのイメージは単に両方の構成要素の概形を示しており、本明細書で説明されるおよび/または示されるもののうちの任意のものであってよいセルパターンまたはストラットの詳細を示してはいない。
【0059】
図19a~cに示されるデザインの代替的実施形態では、デバイス610の平坦部分が正弦波状または波状の縁部611を有し、これが、
図19bおよび19cの断面図に示されるような管状の「S」形または「U」形の中央区間612と組み合わされる。平坦部分までの波状の縁部611が、血管系内の蛇行湾曲部の辺りで配備されるかまたは後退させられるときのデバイスの柔軟性を向上させることができる。「S」形の断面形状615は、向きに関係なく、血餅内に配備されるときに血流を回復させるためのデバイスを通る流れルーメンを常に提供することができるという利点を有する。デバイスのいずれの側が血餅に接触するように配備されるかに関係なく、デバイスを通る血流を可能にする保護されるチャンネルが存在する。「S」形は血餅とデバイスとの間での血餅接触面積を増大させ、それにより血餅に係合されて血餅を取り除くためのデバイスの能力が向上する。「S」形の断面形状は
図20に示されるようにデバイスの長手方向にそって渦巻き状であってもよい。また、「S」形は、「S」形の腕部内の血餅がストラットと中間カテーテルの先端部との間で挟まることを理由として、中間カテーテルによってデバイスを部分的にまたは完全に再装填するときに追加的に血餅を握持することを可能にする。
【0060】
図21a~cがデバイス650の別の実施形態を示しており、ここでは、中間区間651が、脈管の軸に対して垂直の側方から見ると、正弦波形状または波形状652を有するように、形成される(
図21b)。デバイスが上記のように2つの側で構成され、一方の側が血餅の中の方を向くかまたは血餅に接触し、もう一方側が概して血餅から離れる方を向く。デバイスが逆にされると、上記で血餅の中の方を向いていた側が血餅から離れる方を向くことになる。
【0061】
波形状のデバイスを形成することで、血餅とデバイスとの間の接触圧力がデバイスの長手方向に沿って変化することになり、それにより場所によっては、デバイスによる血餅の圧縮が低減される。デバイスはまた、血管系から血餅を取り除くときなどのように張力下にある場合に伸長することができる。これにより血餅の直線方向の圧縮が最小となり、取り除くときに血餅を伸長することができ、それにより血餅と血管壁との間の摩擦を低減し、またそれにより、血餅を除去するためにデバイスで必要となる取り除くときの力が低減される。
【0062】
図21cに示されるデバイスの別の実施形態では、デバイスが、脈管の軸に沿って見る場合に曲線状の縁部655を有する。これには、血管壁に接触するデバイスの面積を増大させてそれによりデバイスにより壁に加えられる接触圧力を低減することができる、という利点がある。脈管の軸に沿って見ると、曲線状の縁部655が湾曲部分657に接していてよく、湾曲部分657が平坦区間656または連続する湾曲部分の一部分に接しており、したがって断面形状は平坦化された「S」形の断面形状となる。この断面形状は、折り畳み構成で巻かれるときのプロフィールを改善することができるという利点を有する。これはまた、中間カテーテル、ガイドカテーテル、シースまたはマイクロカテーテルの中に部分的にまたは完全に再装填するときにデバイスの曲線状区間が血餅を挟むのを容易にする。
【0063】
図21dが、レーザ切断されたNitinolのストラット660で形成される断片保護円錐部分653の図を示しており、これが、断片保護メッシュの密集度を上げるための重合体繊維をさらに含むことができる。この円錐部は、平坦シートをレーザ切断して円錐形状となるように巻くことにより、形成され得る。次いで、シート材料が例えばレーザ溶接により継ぎ目662のところで一体に接合され得る。別法として、継ぎ目が接続されないままで残されてもよく、それにより、デバイスを再使用する必要がある場合に手技中に掃除することが容易になる。蛍光透視下での視認性を向上させるために、X線不透過性コイル661または先端部が円錐部分にさらに追加されてもよい。
【0064】
中間区間651の一部分が
図21eに示される。この図は、中間区間の残りの部分との平面から出るように形成されるフローティングクラウンまたは接続されないクラウン665および667を示す。これらのクラウンが配備時に血餅に接触し、それにより血餅を取り除くためのデバイスの能力を向上させる。加えて、デバイスが湾曲部の辺りで後退させられるときに、これらのクラウンが血餅に接触した状態を維持し、それにより、湾曲部および分枝を通過して血餅を回収することにおける大きな利点を提供する。
【0065】
図22a~cが、それぞれ、本発明の別のデバイスの血餅係合部分700の等角図、平面図および側面図を示す。
デバイス700が、近位側細長部材(図示せず)に接続され得る近位側ストラット706および707を備える。これらの近位側ストラットが遠位側においてストラットの要素のネットワークに接続され、このネットワークが、側方レール701および702と、フローティングセル705と、接続アーム703とを備える。
【0066】
デバイス700などの本発明の種々のデバイスは2つの重ね合わされる波パターンを有することができ、相対的に短い波長および振幅の第1のパターンが、相対的に長い波長および振幅の第2のパターンに重ね合わされる。デバイスのストラット要素が、マイクロカテーテル内でのその比較的直線である送達構成から血管内の血餅の中に配備されるときの起伏状の構成または正弦波構成へと第1の波パターンを戻すために第1の波パターンに比較的大きい復元力を加えるように、構成される。これにより、デバイスが血餅に係合されて、最初に取り除くために確実ではあるが優しく血餅を握持することが可能となる。血餅を回収するために、近位側においてデバイスおよび血餅をより大きい脈管の直径の中に後退させることが必要となり得、しかる後にデバイスおよび血餅を大きいレシービングカテーテル(receiving catheter)の中に安全に引っ込めることができるようになる。第2の波パターンがこの後退中に捕捉された血餅を制御する状態をデバイスが維持するのを補助する。この大きい振幅パターンは、脈管のサイズが増大するときにデバイスがそのサイズを脈管に合わせるのを効果的に可能にし、それにより、より大きいより近位側の脈管の直径の中で血餅と接触した状態をデバイスが維持することが可能となり、ここでは、そうでない場合には血餅がデバイスから取り除かれる可能性がある。
【0067】
これらの2つの異なる波パターンは
図22cの側面図で最も明瞭に見ることができ、ここでは、血餅係合部分の全体の有効な中心線が大きい振幅の湾曲部分723に従い、デバイスの2つの側方レール701および702がより短いピッチの正弦波パターン721および722にそれぞれ従う。
【0068】
図23aが、脈管セグメント756内で血餅757に係合されるデバイス705の概略図を示す。デバイス750はデバイス700に類似するが、追加の断片保護部分751を有し、これがその遠位端に付け加えられる遠位側先端部752を備える。デバイス750が、近位端753のところで細長いシャフト(図示せず)に接続され得るボディ区間754を備える。ボディ区間754は、
図23aに示されるように配備されるときに、いくぶんか正弦波である起伏状の波のパターンとなるように拡張するように構成される。この波
パターンが頂点761を備え、これらの頂点761が、前記頂点に隣接する示される領域760などの個別の領域において血餅を局部的に圧縮するが、血餅の集まりの大部分に対する全体の圧縮を最小にする。したがって、血餅の全体の特性は配備時のデバイスの作用によってもあまり変化しないが、個別の領域760がデバイスによって圧縮されて握持される。このように圧縮することにより、血餅が局部的にいくらか脱水され、それによりその摩擦係数が増大し、さらにそれによりその握持およびデバイスとの係合が強化される。しかし、血餅の大部分がデバイスによって圧縮されない状態を維持することから、血餅と脈管との摩擦係合が大きくは強化されない。
【0069】
図23bが、より大きい直径のより近位側の脈管セグメント758の中に後退させられるときの
図23aのシステムを示す。この大きい直径の脈管では、ボディ区間754が、中心線759によって概略的に説明される第2の波パターンを採用する。これは、その自由拡張状態において
図23bに示されるような形状に適合するようにデバイスを構成することにより達成され得、これが例えばNitinolのデバイスをこの形状でヒートセットすることによって行われ得る。したがって、デバイスは、送達されるためにマイクロカテーテル内で折り畳まれる場合に、一定の大きさの蓄積エネルギーを有する。血餅の中に配備されるとき、このエネルギーの有意な一部が解放され、それによりデバイスが
図23aの短い波長パターンを採用することが可能となる。より大きい直径の脈管の中にデバイスが後退させられるときに、残りの蓄積エネルギーが作用し、それによりデバイスが
図23bに示されるような重ね合わせの長い波長パターンを採用することが可能となり、これが、デバイスの有効直径を増大させて血餅および血管壁との付着状態を維持することにより、捕捉される血餅に対してのデバイスの握持を維持するのを補助する。
【0070】
デバイスのこの実施形態および他の実施形態が、
図22bの平面図内の側方レール701および702の屈曲部分などの追加の波パターンの特徴部分、ならびに、
図21bおよび21cでより明瞭に示されるフローティングクラウン705などの「平面から出る」突出部の特徴部分を有することができる。
【0071】
図24aに示されるデバイス800は本発明の別の実施形態である。このデバイスが中間区間801で構成され、中間区間801が、一実施形態では、平坦シートから形成され、平坦な断面または特殊な形状の断面を有する一連の波形状として固まる。この区間は切断されたチューブを平坦化することによっても形成され得るか、または、脈管の軸に沿って見る場合に長円もしくは楕円の断面形状のチューブを使用しても形成され得る。示される実施形態では、中間区間801が断片保護特徴部分802および近位側区間803と組み合わされる。近位側区間は別個の構成要素であってよく、管状形状または円錐形状として形成され得る。この区間は、デバイスのシャフト806上に配置されるカラー805に接続される1つまたは複数の近位側ストラット804によってデバイスに接続される。
【0072】
カラー805がシャフト806に固定され得るか、または、自由に移動することが可能でありシャフトに沿って摺動することが可能であってもよい。
図24bが、中間区間801を基準として近位側位置にある近位側区間803を備えるデバイスの平面図を示す。これは、血の塊または閉塞箇所内に最初に配備されるときのデバイスの一般的な向きである。血餅を取り除くためにデバイス800が後退させられるとき、最初は構成要素と血管壁との間の摩擦により近位側区間803が静止した状態を維持する。デバイスの後退時、中間区間801および血餅が区間803を基準として近位側に移動し、それにより近位側区間のストラットの下方で血餅を部分的に後退させることが可能となる。これが血餅を握持するのを補助し、また、より大きい直径の脈管の中へとデバイスが後退させられるときに血餅との接触が失われるのを防止するのを補助する。継続してデバイスを後退させることにより、中間区間801の近位側接合箇所に接触するシャフト806上のカラー805により近位側区間803の移動が制限されることを理由としてすべての区間が単一ユニット
として近位側に移動する。次いで、血管系からの除去のために、デバイスおよび血餅が近位側カテーテルまで後退させられ得る。
【0073】
図25aが本発明の別の実施形態の等角図を示す。このデバイス850では、ボディ区間851が、
図22で説明されるものと同様の長手方向の波形状を有するように形成される。ボディ区間851が1つまたは複数の接続点855のところで2つ以上のプルワイヤ853および854にさらに接続される。これらのプルワイヤ853、854が近位側ハンドル(図示せず)まで延在し、ここでは、使用者または医師がワイヤに張力を加えることができる。これらのワイヤに張力を加えることにより、ボディ区間851の波プロフィールが修正され得、頂点859と860との間のピッチ間隔が短くされ得る。これにより、波形状の谷区間856内で血餅を挟むことが強化され得る。
図25bが脈管(図示せず)内に配備されて血の塊857に係合されるデバイス850を示す。マイクロカテーテル858を通るようにプルワイヤ853を作動させることにより、血餅857がデバイスの谷区間856内で握持されて圧縮される。
【0074】
図25cが、別の反復のデバイスの、脈管の軸に沿う端面図を示す。このデザインでは、使用者がプルワイヤ861および862に張力を加えることにより、「S」形の側方翼部分863および864が「S」の直径部分865の方に向かって移動する。このデバイスが血の塊(図示せず)に接触するように配備されると、側方翼部分863および864の作用により血餅が挟まれ、それにより血餅に対してのデバイスの握持が改善される。別法としてワイヤ862および861を押すことにより、使用者が、完全に拡張してより大きい面積にわたって血餅に係合されるためのデバイスの能力を向上させることができる。
【0075】
図26a~26dが本発明のデバイスの使用方法を示す。従来の既知のテクニックを使用して、ガイドワイヤ904およびマイクロカテーテル902が血管系900内に挿入され、閉塞性血餅901を横断するように前進させられる。マイクロカテーテル902が閉塞性血餅901の遠位側に配置されると、ガイドワイヤ904が血管系900から取り外され、それにより血餅回収デバイス910をマイクロカテーテル902を通して前進させることが可能となる。デバイス910は、デバイスの遠位側先端部がマイクロカテーテル902の遠位端に到達するまで、折り畳み構成で前進させられる。好適にはデバイス910の遠位端が血餅901の遠位側に配置されるような形で血餅901を横断するように血餅回収デバイスを配備するために、デバイス910の位置を維持しながら、マイクロカテーテル902が後退させられる。デバイス910は、細長い近位側シャフト部分911に接続される血餅係合部分912で構成される。デバイス910が拡張して波パターンで閉塞性血餅に係合され、それによりデバイスの頂点に隣接する個別の領域において血餅が局部的に圧縮されるようになり、血餅の集まりの大部分に対する全体の圧縮が最小となる。デバイス910が、所望される場合に血餅901内で一定時間だけ定温放置することが可能となり得る。標準的なテクニックと同様にガイドカテーテル上でバルーン915を膨らませることにより、脈管内の流れを止めることが利用され得る。デバイス910を後退させることにより血餅が動脈内でのその位置から取り除かれ、デバイスをさらに引っ込めることにより血餅901が回収され、これは、血餅がガイドカテーテル903またはイントロデューサシースの中に回収され得るまで続く。
図26dが、ガイドカテーテル903の中に回収されるときのデバイスに係合される血餅を示す。この血餅回収プロセスでは、流れの閉塞、吸引、および、他の標準的なテクニックが使用され得る。デバイス910は、挿入ツールの中に再び装填される前に、食塩水ですすぎ洗いされ得、緩やかに掃除され得る。デバイス910は、必要である場合に、閉塞性血餅の追加のセグメントの中に再配備されるようにマイクロカテーテルの中に再導入され得る。
【0076】
図27a~27dが
図26a~26dに示されるデバイスの概略の詳細を示し、
図23に示されるデバイスの一実施形態を示す。
図27aが、血餅係合部分930および近位側
シャフト931を含むデバイスの側面図を示す。
図27bがデバイスの平面図を示し、対して、
図27dが同じデバイスの等角図を示す。
図27cが
図27aで詳説されるA-Aの断面図を示す。デバイスが平坦シートから形成され得、平坦な断面を維持しながら一連の波形状としてヒートセットされ得る。別の実施形態では、デバイスが曲線状の断面もしくは特殊な形状の断面を有することができるか、または、切断されたチューブを平坦化することによっても形成され得るか、または、脈管の軸に沿って見る場合に長円もしくは楕円の断面形状チューブを使用しても形成され得る。示されるすべての実施形態と同様に、このデバイスは、例えば
図23aおよび23bで示されるような、断片保護特徴部分を組み込むことができる。
【0077】
一実施形態では、自由拡張状態での波パターンの振幅が、回収されるべき閉塞性血餅が位置するところの脈管の直径の0.5倍から3.0倍の間である。好適な実施形態では、自由拡張状態での波パターンの振幅が、回収されるべき閉塞性血餅が位置するところの脈管の直径の0.5倍から2.0倍の間である。最も好適な実施形態では、自由拡張状態での波パターンの振幅が、回収されるべき閉塞性血餅が位置するところの脈管の直径の0.5倍から1.5倍の間である。自由拡張状態での波パターンのピッチが、回収されるべき閉塞性血餅が位置するところの脈管の直径の好適には1.0倍から4.0倍の間である。自由拡張状態での波パターンのピッチが、波パターンの振幅の好適には0.5倍から2.0倍の間である。人間の中大脳動脈内で使用される好適な実施形態では、波パターンの振幅が2.0mmから6.0mmの間であり、波パターンのピッチが3.0mmから8.0mmの間である。
【0078】
デバイスの別の実施形態が
図28a~28cに示される。デバイスの等角図が
図28aに示され、対して、
図28bが側面図を示し、
図28cが同じデバイスの平面図を示す。デバイス952が、細長いシャフト951に接続される血餅係合区間950で構成される。区間950は、平坦シートの中にセルパターンをレーザ切断して、血餅に係合させるために部分的な波パターンまたは完全な波パターンとなるようにヒートセットすることにより、形成され得、それにより、血餅の全体の圧縮を最小にするが良好な取り除きのための握持を実現する。このデバイスは、本明細書の他の場所で開示されるセルパターンのうちの任意のセルパターンを有することができ、
図26a~dに関連して説明されるように血餅を回収するのに使用され得る。デバイスの波状形状がデバイスの長手方向に沿って血餅とデバイスとの間の接触圧力を変化させ、デバイスにより血餅に対して比較的大きい圧縮力を作用させるところの頂点953と、デバイスにより血餅に対してまったくといってよいくらいに圧縮力を作用させないところの谷954とを形成する。頂点953の間の谷954が受けスペースとして機能し、頂点953のところで血餅が圧縮されるときに血餅がこの受けスペースの中に自由に流れ込むことができる。大きく圧縮される領域によりデバイスのストラットを血餅の中に埋め込むことが可能となり、それにより微視的レベル(ストラット)および巨視的レベル(デバイスの波パターン)との両方で機械的な握持が実現される。デバイスはまた、血管系から血餅を取り除くときなどのように張力下にある場合に伸長することができる。これにより血餅の直線方向の圧縮が最小となり、取り除くときに血餅を伸長することができ、それにより血餅と血管壁との間の摩擦を低減し、またそれにより、血餅を除去するためにデバイスで必要となる取り除くときの力が低減される。
【0079】
図29aが、長手方向または横方向の波状形状となるように形成され得る異なる平坦なデバイスのパターンの実施例を示す。切断パターンは、血餅の埋め込みおよび握持を最大にするためにクラウンまたは横断ストラットなどの特定のセル特徴部分を波パターンの頂点および谷に位置合わせするように、最適化され得る。例えば、セルの列973が波長に位置合わせされ得、その結果、クラウン974がデバイスの波の頂点または谷(最大または最小の波の振幅)のところに配置される。同様に、横断ストラット975が波の頂点もしくは谷のところに配置され得るか、または、波高の中間の中心線のところに配置され得
る。デバイスの外側縁部971が曲線状であってよく、それにより脈管の接触圧力が最小となる。
【0080】
図29aに示されるデバイスが脈管の軸に沿って見る場合に平坦な断面、曲線状の断面または特殊な形状の断面を有することができ、例えば
図29bがこの実施形態の断面図(B-B)を示す。この断面図は、波パターンを作るための形成プロセスの前にまたはその一部として、デバイスとなるようにヒートセットされ得る曲線状プロフィールを示す。デバイスの断面形状は
図29bに示されるような平坦区間と曲線状区間との組み合わせであってよく、ここでは、デバイスが中間区間980内で平坦であり、各側981の曲線区間および追加の直線区間982と組み合わされる。
【0081】
図30a~30fが本発明の別のデバイス1006の使用方法を示し、ここでは、デバイスが自由拡張状態で
図12に示されるものと同様に概略渦巻きまたは螺旋構成を採用する。このデバイスは、チューブから必要なストラットパターンをレーザ切断することにより形成され得るか、または、平坦シートを切断してヒートセットの前にマンドレルの周りで平坦部分を巻くことにより形成され得る。
図30a~30fが本発明のデバイスの使用方法を示す。
図30aが、分岐点を有する動脈1001と、分岐点のところに配置される閉塞性血餅1002との図を示す。従来の既知のテクニックを使用して、マイクロカテーテル1003が動脈1001内に挿入され、閉塞性血餅1002を横断するように前進させられる。次いで、血餅回収デバイス1006がマイクロカテーテル1003を通して標的ロケーションまで前進させられ得る。血餅を横断するように血餅回収デバイスを配備するために、デバイス1006の位置が維持される間にマイクロカテーテルが後退させられ、その結果、デバイス1011の断片保護区間が好適には血餅1002の遠位側に配置される。
【0082】
デバイス1006は、細長い近位側シャフト部分および遠位側断片保護区間1011に接続される血餅係合部分1010で構成される。デバイスの血餅係合部分1010が拡張して螺旋構成となり、それによりデバイスにより血餅を部分的にまたは完全に包み込むことが可能となる。これにより、血餅の集まりの全体の圧縮を最小にしながらデバイスが血餅を握持して取り除くことが可能となり、それにより血餅がより容易に除去されるようになる。最初に取り除くとき、血餅は部分的にデバイスの外側にあってよいかまたはデバイスの近位側にあってよく、ガイドカテーテルまたはシースへ後退させられるときにデバイスの中心に向かって移動することができる。ガイドカテーテル1005および中間カテーテル1004が
図30b~30fに示される。
図30dに示される使用方法では、中間カテーテル1004が血餅1002の表面まで前に進められ、ガイドカテーテル1005の中へのデバイスおよび血餅の回収の前に局部的な吸引が適用される。このデバイスはまた、流れの閉塞、吸引、および、血餅回収プロセス中に通常使用される他の標準的なテクニックと共に使用され得る。
図30e~30fが、デバイス1011の断片保護部分が、取り除き中におよびガイドカテーテルまたはシース1005の中への回収中に千切れる可能性があるかまたは解放される可能性がある閉塞性血餅1002の断片1012をいかにして捕捉することができるかを示している。
【0083】
図31がデバイスの別の実施形態1030を示しており、ここでは、デバイスの近位側部分が概略渦巻きまたは螺旋形状1031となるように構成され(
図30のデバイス1006と同様)、放射状部分または管状部分1033に接続される。螺旋部分が近位側シャフト1034またはデバイスの追加の部分に接続され得る。遠位側管状部分が断片保護区間1035を含み、非外傷性の遠位側X線不透過性先端部1032に接続される。示される螺旋区間1031は概略的な図であり、通常はレーザ切断されるセルパターンで構成される。デバイス1031の螺旋部分は線維素を多く含む(fibrin rich)粘着質の血餅を取り除くための性能を向上させることを意図され、対して、管状区間1030
がガイドカテーテルまたはシースへの回収中に血餅を良好に後退させるのを実現する。示されるすべての実施形態と同様に、デバイスは挿入ツールの中に再び装填される前にすすぎ洗いされて緩やかに掃除され得る。デバイスは、必要である場合に、閉塞性血餅の追加のセグメントの中に再配備されるようにマイクロカテーテルの中に再導入され得る。
【0084】
図32aが、近位側において細長いシャフト1051に取り付けられて遠位側において任意選択の遠位側先端部1055に取り付けられる血餅係合部分1050を備える本発明の別の血餅回収デバイスの等角図を示す。血餅係合部分1050がセル要素1052から形成される一対の側方レールを備え、これに対して、複数の血餅係合ストラット要素1053および1054が接続される。ストラット要素1053および1054が、端面図である
図32bで示されるように、側方レールによって画定される平面の両側に突出する。このデザインは上で開示した波状のデバイスと同様の原理で動作することを意図され、ここでは、横断ストラット1053および1054のところで局部的な領域に血餅への大きい埋め込みの力を提供し、隣接する領域にはまったくといってよいくらいに埋め込みの力または径方向の力を提供しない、ことを意図される。横断ストラットのところの大きい埋め込みの力により血餅とデバイスとの間へと機械的に干渉し、それによりデバイスが血餅を確実に握持することが可能となるが、このような埋め込みおよびそれにより得られる血餅の圧縮が十分に分離され限定された領域に適用されることを理由として、血餅の集まりの全体の特性に対する影響が最小となる。これは非常に重要な利点である。というのは、発明者らが、血餅を圧縮することが血餅をより固くしてその摩擦係数を上げる可能性があり、その両方が回収をより困難なものとする可能性があること、を発見したからである。
【0085】
図33aが、近位側において細長いシャフト1081に取り付けられて遠位側において任意選択の遠位側バスケット1082に取り付けられる血餅係合部分1080を備える、本発明の別の血餅回収デバイスの等角図を示す。血餅係合部分1080が、互いに対してほぼ直角となるように位置合わせされる複数の隣接するセグメント1083および1084を備える。各セグメント1083または1084は形状が概して平坦であってよいが、得られる全体の構造1080が
図33bに示される端面図で見ることができるような三次元構造を有する。これらの交互のセグメントが、血餅内に、上で示した波状のデザインと同様の、強い圧縮領域と弱い圧縮領域とのパターンを形成し、これが最小の力で血餅を握持して回収するという点で同様の利点を有する。
【0086】
本発明の特定の実施形態を示して説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく多様な修正形態が作られ得ることが、上記の説明から明らかであろう。例えば、本明細書で説明される実施形態が特定の特徴を参照するが、本発明は、特徴の多様な組み合わせを有する実施形態を含む。また、本発明は、説明される具体的な特徴のすべてを有するわけではない実施形態も含む。
【0087】
本発明は本明細書において上で説明した実施形態のみに限定されず、これらの実施形態は構成および細部が変更され得る。