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  • 特許-キャビティを備えるセンサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】キャビティを備えるセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/30 20060101AFI20220831BHJP
   B81B 1/00 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
G01D11/30 S
B81B1/00
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021066297
(22)【出願日】2021-04-09
(65)【公開番号】P2021167813
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-05-19
(31)【優先権主張番号】109112039
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】521554893
【氏名又は名称】アイノス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ainos, Inc.
【住所又は居所原語表記】8880 Rio San Diego Drive, Suite 800, San Diego, CA 92108 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】曽 ▲ゆう▼芬
(72)【発明者】
【氏名】黄 家彬
(72)【発明者】
【氏名】廖 育萱
(72)【発明者】
【氏名】蔡 群賢
(72)【発明者】
【氏名】李 庭鵑
(72)【発明者】
【氏名】蔡 群榮
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第5921090(JP,B2)
【文献】特許第6179587(JP,B2)
【文献】特開2006-344903(JP,A)
【文献】特許第6777759(JP,B2)
【文献】特許第6868861(JP,B2)
【文献】国際公開第2018/042640(WO,A1)
【文献】米国特許第9804046(US,B2)
【文献】特開平7-43215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられ、且つ壁部と、前記壁部内に形成される内部空間とを備えるチャンバーと、
前記壁部に設けられる検知素子と、
前記基板と前記チャンバーとの間に設けられる多孔質ゲル材料であって、前記多孔質ゲル材料が80%以上の気孔率を有するため、前記チャンバーの前記内部空間と外部のガスがつながる前記多孔質ゲル材料とを含み、
前記多孔質ゲル材料はシリコン化合物と、前記シリコン化合物と混合される添加物とを含み、前記添加物は単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、多層グラフェン及びその組み合わせからなる群から選ばれるキャビティを備えるセンサ。
【請求項2】
前記壁部は側壁と、前記側壁に設けられる上壁とを含む請求項1に記載のキャビティを備えるセンサ。
【請求項3】
前記基板と前記多孔質ゲル材料との間に設けられる第1接着層と、前記多孔質ゲル材料と前記側壁との間に設けられる第2接着層とをさらに含む請求項2に記載のキャビティを備えるセンサ。
【請求項4】
前記多孔質ゲル材料は前記チャンバーの前記側壁の下端から他端に延伸するレイヤー状に成形される請求項2に記載のキャビティを備えるセンサ。
【請求項5】
前記多孔質ゲル材料は前記チャンバーの前記側壁に対応するリング状に成形される請求項2に記載のキャビティを備えるセンサ。
【請求項6】
基板と、
前記基板に設けられ、且つ壁部と、前記壁部内に形成される内部空間とを備えるチャンバーと、
前記チャンバーの上壁に設けられる検知素子と、
前記基板と前記チャンバーとの間に設けられる多孔質ゲル材料であって、少なくとも部分的に前記内部空間内に設けられ、前記壁部によって覆われて外部に露出していない第1面と、前記壁部によって覆われず外部に露出している第2面とを備え、前記多孔質ゲル材料が80%以上の気孔率を有するため、前記チャンバーの前記内部空間は前記第2面を介して外部のガスとつながる前記多孔質ゲル材料とを含み、
前記多孔質ゲル材料はシリコン化合物と、前記シリコン化合物と混合される添加物とを含み、前記添加物は単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、多層グラフェン及びその組み合わせからなる群から選ばれるキャビティを備えるセンサ。
【請求項7】
前記基板と前記多孔質ゲル材料との間に設けられる第1接着層をさらに含む請求項6に記載のキャビティを備えるセンサ。
【請求項8】
前記多孔質ゲル材料と前記壁部の側壁との間に設けられる第2接着層をさらに含む請求項6に記載のキャビティを備えるセンサ。
【請求項9】
前記多孔質ゲル材料は500m/g~1200m/gの比表面積及び0.01g/cm~0.2g/cmの密度を有する請求項1又は6に記載のキャビティを備えるセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサに関し、特に、多孔質ゲル材料が設けられ且つキャビティを備えるセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
センサとは一般に物性、化学的性質又は環境の変化に基づいて信号を出力する素子をいう。例えば、抵抗型センサ、圧電型センサ、焦電型センサ、電気化学型センサ、マイクロ波型センサなどである。これらのセンサの中で、検知原理によって、一部のセンサにキャビティ構造を形成させることが必要である。
【0003】
特許文献1は圧力センサを開示し、成形材で形成されたキャビティ、当該キャビティ内に設けられるコントロールチップと、当該コントロールチップに設けられる圧力センサチップとを含み、ワイヤーボンドによって当該コントロールチップと当該圧力センサチップが互いに接続され、ディスペンサーから提供されたバイダーで当該複数のチップなどの素子がキャリア基板に粘着される。特許文献2は、超音波トランスデューサと、進入孔とを含む超音波装置を開示し、当該超音波トランスデューサはベースと、フィルムとを含み、当該ベースと当該フィルムは間に密封キャビティが形成されるように設置され、当該進入孔は当該フィルムを貫通し、且つ当該密封キャビティに入る通路として構成される。
【0004】
上記のようなキャビティ構造を備えるセンサでは、後続のパッケージに備えて、バイダーでキャビティ構造をキャリア基板に固定させるのが一般的である。実務上、バイダーとしては一般にダイボンディング接着剤が用いられる。しかし、バイダーを用いて固定させる場合に、バイダースポットが多いためキャビティ構造が密閉されること、そして操作中にセンサが損傷されることも多い。一方、バイダースポットが少ないと、接合インタフェースの脱落が問題になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国登録特許第US9804046号
【文献】米国出願公開特許第US2019/0336099A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来のキャビティを備えるセンサでは、バイダーの使用でセンサの損傷又は脱落が多いという問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の目的を達成するために、基板と、チャンバーと、検知素子と、多孔質ゲル材料とを含み、キャビティを備えるセンサを提供する。当該チャンバーは当該基板に設けられ、且つ壁部と、当該壁部内に形成される内部空間とを備え、当該検知素子は当該壁部に設けられ、且つ当該多孔質ゲル材料は当該基板と当該チャンバーとの間に設けられ、当該多孔質ゲル材料が80%以上の気孔率を有するため、当該チャンバーの当該内部空間と外部のガスがつながる。
【0008】
さらに本発明は上記の目的を達成するために、基板と、チャンバーと、検知素子と、多孔質ゲル材料とを含み、キャビティを備えるセンサを提供する。当該チャンバーは当該基板に設けられ、且つ壁部と、当該壁部内に形成される内部空間とを備え、当該検知素子は当該チャンバーの上壁に設けられ、且つ当該多孔質ゲル材料は少なくとも部分的に当該内部空間内に設けられる。また、当該多孔質ゲル材料は当該壁部によって覆われて外部に露出していない第1面と、当該壁部によって覆われず外部に露出している第2面とを備え、当該多孔質ゲル材料が80%以上の気孔率を有するため、当該チャンバーの当該内部空間は当該第2面を介して外部のガスとつながる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では多孔質ゲル材料がセンサに組み入れられ、外部とのガス通路として機能することで、ガスが内部空間と外部の間を行き交い、内部空間と外部とで気圧のバランスがとれるため、バイダースポットが充分に設置され、接着強度を損うことなく完全な検知功能が保たれる。また、多孔質ゲル材料がチャンバーを満たすことで、チャンバーに支持性能が付与され損傷されにくくなり、内部空間の熱放散が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明の第1実施例の第1形態の構造の断面概略図である。
図2図2は本発明の第1実施例の第2形態の構造の断面概略図である。
図3図3は本発明の第1実施例の第3形態の構造の断面概略図である。
図4図4は本発明の第2実施例の第1形態の構造の断面概略図である。
図5図5は本発明の第2実施例の第2形態の構造の断面概略図である。
図6図6は本発明の第2実施例の第3形態の構造の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明の内容を詳細に説明する。
図1が参照されるとおり、本発明は、基板10と、チャンバー20と、検知素子30と、多孔質ゲル材料40と、接着層50とを含み、キャビティを備えるセンサを提供する。本発明では、当該キャビティを備えるセンサは任意のキャビティ構造を備えるセンサであってもよく、使用上のニーズに応じて、当該キャビティを備えるセンサは温度センサ、ガスセンサ、圧力センサ、タイヤゲージ、マイクロフォンなどであってもよい。本発明では、基板10の材料は金属、ガラス、セラミック、ポリマー又はこれらの複合材料であってもよく、例えば、基板10としてはシリコンウェハー、プラスチック、プリント回路基板(PCB)、ガラス繊維板、シリカ、フォトレジスタなどが用いられてもよい。
【0012】
チャンバー20は基板10に設けられ、チャンバー20は壁部21と、内部空間22とを含み、内部空間22は壁部21内に形成され、壁部21は側壁211と、側壁211に設けられる上壁212とを含み、検知素子30は上壁212に設けられ、本実施例で、側壁211にはシリコン材料が用いられ、上壁212には絶縁材料が用いられる。多孔質ゲル材料40は基板10とチャンバー20との間に設けられ、多孔質ゲル材料40は500m/g~1200m/gの比表面積、80%より大きい気孔率を有する。一実施例では、当該気孔率は88%~99.8%であり、多孔質ゲル材料40は0.01g/cm~0.2g/cmの密度、及び0.035W/m・K未満の熱伝導率を有する。多孔質ゲル材料40はシリコン材料又は疎水性材料であってもよく、当該シリコン材料はシロキサン化合物、ケイ酸ナトリウムなどのシリコン化合物からなる群から選ばれ、例えば、多孔質ゲル材料40はシリコン化合物と、当該シリコン化合物と混合される添加物とを含み、当該添加物は単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、多層グラフェン及びその組み合わせからなる群から選ばれる。多孔質ゲル材料40の多孔質の特性により、ガスがチャンバー20の内部空間22を通って、内部空間22と外部60との間を行き交うことで、当該キャビティを備えるセンサの内部の気圧にバランスがとれる。
【0013】
接着層50は第1接着層51と、第2接着層52とを含み、第1接着層51は多孔質ゲル材料40と基板10との間に接着され、第2接着層52はチャンバー20と多孔質ゲル材料40との間に接着され、且つ多孔質ゲル材料40及び接着層50はそれぞれレイヤー状又はリング状などの様々な構造形態であってもよい。接着層50はボンディングテープ、ボンディングフィルム、ウェハーアタッチフィルム、チップアタッチフィルム(Die Attach Film)、フィンガープリントオンディスプレイ(Fingerprint On Display、略称FOD)フィルム、フィルムオーバーワイヤ(Film Over Wire、略称FOW)フィルム、ダイボンディング接着剤、他の粘着材から選ばれる。
【0014】
図1から図3は本発明の第1実施例の異なる形態で、図4から図6は本発明の第2実施例の異なる形態である。
【0015】
図1に示すように、本発明の第1実施例の第1形態で、多孔質ゲル材料40はレイヤー状又はシート状に成形され、当該レイヤー状はチャンバー20の側壁211の側端から他方の側端に延伸し、第1接着層51もレイヤー状又はシート状に成形され、当該レイヤー状はチャンバー20の側壁211の側端から他方の側端に延伸し、言い換えれば、多孔質ゲル材料40は第1接着層51のXY平面における2次元の幾何学的形状に対応し、第2接着層52は多孔質ゲル材料40と側壁211との間に設けられ且つ側壁211に対応してリング状に成形され、第2接着層52は側壁211のXY平面における2次元の幾何学的形状に対応する。ガスは図1の矢印のようにチャンバー20に入り、又はチャンバー20から離れることができる。図2に示すように、本発明の第1実施例の第2形態では、多孔質ゲル材料40、第1接着層51はいずれもレイヤー状又はシート状に成形され且つ基板10のXY平面における2次元の幾何学的形状に対応し、第2接着層52は多孔質ゲル材料40と側壁211との間に設けられ且つ側壁211に対応してリング状に成形され、第2接着層52は側壁211のXY平面における2次元の幾何学的形状に対応する。ガスは図2の矢印のようにチャンバー20に入り、又はチャンバー20から離れることができる。図3に示すように、本発明の第1実施例の第3形態では、多孔質ゲル材料40、第1接着層51、第2接着層52はいずれもリング状に成形され且つ側壁211のXY平面における2次元の幾何学的形状に対応する。ガスは図3の矢印のようにチャンバー20に入り、又はチャンバー20から離れることができる。
【0016】
図4に示すように、本発明の第2実施例の第1形態では、多孔質ゲル材料40は第1部41と、第2部42とを含み、第1部41は内部空間22に設けられ、第2部42は基板10とチャンバー20との間に設けられ、第1部41は第1面411を備え、第2部42は第2面421を備え、第1面411は覆われて外部60に露出しておらず、第2面421は覆われず外部60に露出している。本実施例では、多孔質ゲル材料40の第2部42はレイヤー状又はシート状に成形され、当該レイヤー状はチャンバー20の側壁211の側端から他方の側端に延伸し、第1接着層51もレイヤー状又はシート状に成形され、当該レイヤー状はチャンバー20の側壁211の側端から他方の側端に延伸し、言い換えれば、多孔質ゲル材料40の第2部42は第1接着層51のXY平面における2次元の幾何学的形状に対応し、第2接着層52は多孔質ゲル材料40の第2部42と側壁211との間に設けられ且つ側壁211に対応してリング状に成形され、第2接着層52は側壁211のXY平面における2次元の幾何学的形状に対応する。本実施例で、第1部41の第1面411が側壁211、上壁212、第2接着層52及び第2部42によって覆われて外部60とは直接的につながらず、第2部42の第2面421(外面)は覆われず、第1部41と第2部42がつながってガスは図4の矢印のようにチャンバー20に入り、又はチャンバー20から離れることができる。図5に示すように、本発明の第2実施例の第2形態では、多孔質ゲル材料40の第2部42、第1接着層51はいずれもレイヤー状又はシート状に成形され且つ基板10のXY平面における2次元の幾何学的形状に対応し、第2接着層52は多孔質ゲル材料40の第1部41と側壁211との間に設けられ且つ側壁211に対応してリング状が成形され、第1接着層51は側壁211のXY平面における2次元の幾何学的形状に対応する。ガスは図5の矢印のように、チャンバー20に入り、又はチャンバー20から離れることができる。図6に示すように、本発明の第2実施例の第3形態では、多孔質ゲル材料40は内部空間22に設けられ、多孔質ゲル材料40の高さh1が側壁211の高さh2を上回るため、多孔質ゲル材料40には覆われて外部60に露出していない第1面411と、覆われず外部60に露出している第2面421とが形成され、接着層50は多孔質ゲル材料40と基板10との間に設けられて多孔質ゲル材料40を固定させる。ガスは図6の矢印のように、チャンバー20に入り、又はチャンバー20から離れることができる。
【0017】
本発明では、多孔質ゲル材料がセンサに組み入れられ、ガスが内部空間と外部の間を行き交い、内部空間と外部とで気圧のバランスがとれるため、バイダースポットが充分に設置され、接着強度を損うことなく完全な検知功能が保たれる。また、多孔質ゲル材料がチャンバーを満たすことで、チャンバーに支持性能が付与され損傷されにくくなり、内部空間の熱放散が低減される。
【符号の説明】
【0018】
10 基板
20 チャンバー
21 壁部
211 側壁
212 上壁
22 内部空間
30 検知素子
40 多孔質ゲル材料
41 第1部
411 第1面
42 第2部
421 第2面
50 接着層
51 第1接着層
52 第2接着層
60 外部
図1
図2
図3
図4
図5
図6