(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】軌道玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 19/30 20060101AFI20220831BHJP
A63H 18/02 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A63H19/30 A
A63H18/02 B
(21)【出願番号】P 2021107833
(22)【出願日】2021-06-29
【審査請求日】2022-03-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 峰人
(72)【発明者】
【氏名】西山 智士
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 三郎
【審査官】大隈 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-184894(JP,U)
【文献】実開昭54-124697(JP,U)
【文献】登録実用新案第3151368(JP,U)
【文献】ジョージ石原,「プラレール きかんしゃトーマス ぐらぐらつり橋セットのぐらぐらつり橋をモーター改造したアルファエックスで駆け抜けてみたw」,YouTube [online] [video],2020年07月11日,<https://www.youtube.com/watch?v=sySs93vtW04>,特に3:41-6:16[2022年4月13日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00~37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走式の走行玩具の左右の車輪を受容する左右のガイド溝を有し平面視でカーブする軌道を有する軌道玩具において、前記左右のガイド溝のうちカーブ内側に位置する前記ガイド溝の底面
だけに、前記走行玩具の走行方向に、前記車輪の乗り降りによって前記走行玩具を振動させるための振動用凸部が散発的に形成され
、
前記軌道の幅方向で、カーブ内側に位置する前記ガイド溝の底面の高さよりも、カーブ外側に位置する前記ガイド溝の底面の高さが低くなるように設定されていることを特徴とする軌道玩具。
【請求項2】
カーブ外側に位置するガイド溝の底面には、前記走行玩具の走行方向に沿って鋸歯状の刻み目が設けられていることを特徴とする
請求項1に記載の軌道玩具。
【請求項3】
前記軌道は坂軌道であることを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載の軌道玩具。
【請求項4】
前記軌道は登坂軌道であり、前記左右のガイド溝が形成された左右のガイド部と、前記左右のガイド部の間に前記走行玩具の走行方向に所定の間隔で配置された枕木状の複数の平板部とを備え、前記複数の平板部のうちの一部の平板部は前記左右のガイド部を互いに繋いでおり、残りの平板部は前記左右のガイド部を互いに繋ぐべき部分の一部が欠落していることを特徴とする
請求項3に記載の軌道玩具。
【請求項5】
自走式の走行玩具の前後方向の車輪が異なる振動用凸部に同時に乗らない間隔で設けられていることを特徴とする請求項1~
請求項4のいずれか一項に記載の軌道玩具。
【請求項6】
前記走行玩具は鉄道車両玩具であることを特徴とする請求項1~
請求項5のいずれか一項に記載の軌道玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行玩具に対して振動を与える軌道玩具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この軌道玩具は、軌道の両側に相互に位相をずらしてゆるやかな曲面を有する隆起部を形成し、且つ、軌道の外側縁に全長にわたってフランジ部を形成し、あたかも悪路を走行するような外観を与えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の軌道玩具は、平地な直線軌道において走行玩具を大きく揺らしながら走行させるのには有効である。
しかしながら、カーブする軌道において、軌道の両側に相互に位相をずらしてゆるやかな曲面を有する隆起部を形成するのは適切でない。カーブ軌道においては外側の車輪を路面に対してしっかり食いつかせて走行することが必要となるが、両側に相互に位相をずらしてゆるやかな曲面を有する隆起部があると、走行玩具が交互に外側と内側とに傾くことになる。そして、走行玩具が内側に傾くときには、内側の車輪が路面に対してしっかり食いこむことになるが、外側の車輪の食いつきが弱くなる。そのため、走行玩具はまっすぐに進もうとするため、曲がりにくくなるという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、カーブする軌道で走行玩具を効果的に揺らしながら走行させることができる軌道玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
自走式の走行玩具の左右の車輪を受容する左右のガイド溝を有し平面視でカーブする軌道を有する軌道玩具において、前記左右のガイド溝のうちカーブ内側に位置する前記ガイド溝の底面だけに、前記走行玩具の走行方向に、前記車輪の乗り降りによって前記走行玩具を振動させるための振動用凸部が散発的に形成され、
前記軌道の幅方向で、カーブ内側に位置する前記ガイド溝の底面の高さよりも、カーブ外側に位置する前記ガイド溝の底面の高さが低くなるように設定されていることを特徴とする。
【0007】
第2の手段は、第1の手段において、
カーブ外側に位置するガイド溝の底面には、前記走行玩具の走行方向に沿って鋸歯状の刻み目が設けられていることを特徴とする。
【0008】
第3の手段は、第1又は第2の手段のいずれかにおいて、
前記軌道は坂軌道であることを特徴とする。
【0009】
第4の手段は、第3の手段において、
前記左右のガイド溝が形成された左右のガイド部と、前記左右のガイド部の間に前記走行玩具の走行方向に所定の間隔で配置された枕木状の複数の平板部とを備え、前記複数の平板部のうちの一部の平板部は前記左右のガイド部を互いに繋いでおり、残りの平板部は前記左右のガイド部を互いに繋ぐべき部分の一部が欠落していることを特徴とする。
【0010】
第5の手段は、第1~第4の手段のいずれかにおいて、
自走式の走行玩具の前後方向の車輪が異なる振動用凸部に同時に乗らない間隔で設けられていることを特徴とする。
【0011】
第6の手段は、第1~第5の手段のいずれかにおいて、
前記走行玩具は鉄道車両玩具であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の手段によれば、カーブする軌道で走行玩具を効果的に揺らしながら走行させることができる。
すなわち、カーブする軌道を走行玩具が走行する場合、内輪差故、カーブ外側の車輪が路面に食いついて転動し、カーブ内側の車輪がスリップを伴いながら転動する。このように、カーブ内側の車輪は曲がる場合、補助的な役割を果たすに過ぎない。この場合、外側の車輪が転動する外側のガイド溝の底面に振動用凸部を設けると、外側の車輪のグリップ力が弱まる恐れがある。一方、内側の車輪が転動する内側のガイド溝の底面に振動用凸部を設けても、内側の車輪のグリップ力が弱まるが、内側の車輪はカーブ走行の補助的役割を持つに過ぎないので走行に及ぼす影響が少ない。
また、カーブ内側に位置するガイド溝の底面の高さよりも、カーブ外側に位置するガイド溝の底面の高さが低いので、車両が外側に傾き、外側の車輪のグリップ力を強めることができる。
【0014】
第2の手段によれば、カーブ外側に位置するガイド溝の底面に鋸歯状の刻み目が設けられているので、登坂の際、この鋸歯状の刻み目が走行玩具の鋸歯状の刻み目に噛み合い、グリップ力が増し、登坂能力を向上させることができる。
【0015】
第3の手段によれば、特に顕著な効果が得られる。
すなわち、カーブする坂軌道を走行玩具が走行する場合、内輪差故に、カーブ外側の車輪の転動によって登坂し、カーブ内側の車輪がスリップを伴いながら転動する。この場合、カーブ内側の車輪は坂の場合も補助的な役割を果たすに過ぎない。この場合、外側の車輪が転動する外側のガイド溝の底面に振動用凸部を設けると、登坂軌道の場合には、外側の車輪が振動用凸部を乗り越える力が足りずにずり落ちて、登坂に支障を来す恐れがある。また、降坂軌道の場合には、しっかりと転動しなければならない外側の車輪が浮いてしまい、走行が不安定となる。一方、内側の車輪が転動する内側のガイド溝の底面に振動用凸部を設けても、内側の車輪のグリップ力が弱まるが、内側の車輪は坂走行の補助的役割を持つに過ぎないので登坂に及ぼす影響が少ない。
【0016】
第4の手段によれば、枕木状の複数の平板部のうちの一部の平板部は前記左右のガイド部を互いに繋いでおり、残りの平板部は前記左右のガイド部を互いに繋ぐべき部分の一部が欠落しているので、軌道の不安定さや脆さが醸し出され、興味性の高い軌道玩具が実現できる。
【0017】
第5の手段によれば、振動用凸部は、前後方向の車輪が異なる振動用凸部に同時に乗らない間隔で設けられているので、振動用凸部毎に車両を揺らすことができる。
【0018】
第6の手段によれば、全長が大きく、複数の車両が揺れるので、より効果が高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】鉄道車両玩具の1両目の車両を示す側面図である。
【
図4】平地軌道の一部を構成する1つの直線状の軌道片の斜視図である。
【
図6】坂軌道の一部を構成する軌道片を示す斜視図である。
【
図7】
図6の軌道片を車両が走行している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0021】
図1は、軌道玩具100を示す斜視図である。軌道玩具100は、走行玩具の一例である自走式の鉄道車両玩具10が走行する軌道50を構成するものである。この軌道50は、平地軌道51及び坂軌道52を含み、全体として、ループ状をなしている。
【0022】
(鉄道車両玩具10)
図2は、鉄道車両玩具10の一例を示す斜視図、
図3は、鉄道車両玩具10の1両目の車両を示す側面図である。なお、鉄道車両玩具10の説明において、前後及び左右は鉄道車両玩具10の走行方向で見た方向を言うものとする。
鉄道車両玩具10は、3両編成の電車となっている。1両目の車両10aは動力車、2両目の車両10bと3両目の車両10cとは共に被牽引車となっている。
動力車である車両10aの後部左右には車輪(動輪)11が設けられ、前部左右には車輪(従輪)12が設けられている。このうち、車輪11の外周には、細かな鋸歯状の刻み目11aが全周に亘って設けられている。
また、車両10aの内部には、図示はしないが、電源となる電池と、電池によって作動され動力源となるモータと、モータ動力を左右の車輪11に伝達する歯車機構が設けられている。そして、鉄道車両玩具10、スイッチSWをONにすることによってモータが作動され、鉄道車両玩具10が自走するようになっている。
一方、被牽引車である車両10b,10cには前部及び後部の左右に車輪(従輪)13が設けられている。しかし、車両10b,10cの内部には、電池、モータ及び歯車機構は設けられていない。
【0023】
(軌道片53)
図4は、平地軌道51の一部を構成する1つの直線状の軌道片53(軌道片を総称する場合「軌道片53」という。)の斜視図である。
実施形態の鉄道車両玩具10は
図1の矢印Aで示す方向に走行する。この軌道50は種類の異なる軌道片53を多数連結させて構成されているが、この種類の異なる軌道片53は概ね共通の構成を有している。これについて、平地軌道51で使用されている直線状の1つの軌道片53を例に説明する。なお、軌道50の説明において、前後及び左右は鉄道車両玩具10の走行方向で見た方向を言うものとする。
軌道片53には、ガイド溝55Lが形成されたガイド部54Lが左に、ガイド溝55Rが形成されたガイド部54Rが右に形成されている。ガイド溝55L,55Rは鉄道車両玩具10の対応する左右の車輪11~13を受容するもので、ガイド溝55L,55Rの底面で鉄道車両玩具10の車輪11~13が転動され、ガイド溝55L,55Rの側壁で車輪11~13が所定方向に誘導される。左右のガイド部54L、54Rの間には互いを連結する連結部56が設けられている。
さらに、軌道片53の長手方向の両端には、当該軌道片53を隣設される軌道片53と連結するための係合部57,58が形成されている。係合部57,58の形や構造は軌道片53の種類により適宜に変更されている。また、軌道片53によっては、係合部57,58の有無も異なっている。
【0024】
(軌道片53の種類)
実施形態で使用されている軌道片53は平地用と坂用とに分類される。
また、平地用の軌道片53は、直線状の軌道片と曲線状の軌道片とに分類され、一方、坂用の軌道片53も、直線状の軌道片と、曲線状の軌道片とに分類される。
これら種類の異なる軌道片53を連結することで、坂軌道52を含むループ状の軌道50(
図1)が構成されている。その際、山に見立てた坂軌道支持台70が使用され、これに坂軌道52を構成する軌道片53が組み付けられている。
【0025】
(坂用の軌道片53)
図5は、坂軌道52を示す斜視図である。
坂用の軌道片53は軌道片531~538で構成されている。
【0026】
このうち軌道片531~536は曲線状に形成され、この順に連結され、螺旋状にカーブした登坂軌道を構成している。これら軌道片531~536には、螺旋中心から遠く離れた側(以下「外側」と言う。)のガイド溝55Rの底面に細かな鋸歯状の刻み目59Rが形成されている。一方、軌道片531~536のガイド溝55Lの底面には上記刻み目59Rと同様の刻み目が形成されておらず、底面が平坦となっている。
これによって、螺旋状の登坂軌道を鉄道車両玩具10が登る際に、外側(右)の車輪11の刻み目11aと軌道片531~536の刻み目59Rとが噛み合い、内側(左)の車輪11がスリップすることで鉄道車両玩具10を効果的に登らせることができる。
【0027】
図6は、登坂軌道の一部を構成する2つの軌道片533,534を示す斜視図、
図7は、軌道片533,534を登る鉄道車両玩具10を示した図である。
軌道片533,534は、外側のガイド溝55Rの底面が、内側のガイド溝55Lの底面よりも低くなるように設定されている。例えば、外側のガイド溝55Rの底面が、内側のガイド溝55Lの底面よりも低くなるようにガイド溝55Rの方がガイド溝55Lよりも深くなっている。これによって、鉄道車両玩具10が外側に傾いて重心が軌道片533,534の外側に移動するので、外側(右)の車輪11~13のグリップ力が増し、鉄道車両玩具10を効果的に登らせることができる。
なお、登坂軌道を構成する残りの軌道片531,532,535,536も同様にガイド溝55Rの底面が、ガイド溝55L(内側)の底面の高さよりも低くなるように設定されていてもよい。
【0028】
また、軌道片533,534の内側のガイド溝55Lの底面には、
図6及び
図8に示すように、走行中の鉄道車両玩具10の内側(左)の車輪11~13が乗り降りし車両10a,10b,10cを振動させる振動用凸部60が所定間隔で設けられている。この振動用凸部60は、横木状にガイド溝55Lの幅方向に亘って設けられ、幅方向に長尺で、高さと走行方向の長さとは各々ガイド溝55Lの側壁の半分程度以下となっている。断面の形は、走行方向前側の面が傾斜面、後側面が起立面となる台形状となっている。傾斜面はなく断面が正方形又は長方形となっていてもよい。また、振動用凸部60は、各車両の前後の車輪が同時に振動用凸部60に乗らない程度の間隔で設けられている。このように振動用凸部60に対して車輪11~13を乗り降りさせることで車両10a,10b,10cを揺らすことができる。この場合、車両の前後の車輪が同時に振動用凸部60に乗らない程度の間隔で設けられているので、振動用凸部60毎に車両10a,10b,10cを揺らすことができる。
なお、登坂軌道を構成する残りの軌道片531,532,535,536にも同様にガイド溝55Rの底面に走行中に鉄道車両玩具10の車輪11~13が乗り降りし車両10a,10b,10cを振動させる振動用凸部60が所定間隔で設けられていてもよい。なお、振動用凸部60を設けることによって、ずり落ちが問題となる場合には、軌道片533,534の内側のガイド溝55Lの底面に、上記刻み目59Rと同様ではあるが、それよりも間隔が大きい刻み目を設けてもよい。なお、刻み目は細かいので、車両10a~10cをほとんど揺らさない。
【0029】
また、軌道片533,534の左右のガイド部54L、54Rを連結する連結部56の少なくとも一部は、
図6に示すように、枕木を模した複数の平板部56aで構成され、平板部56aが走行方向に沿って所定間隔で複数設けられている。そして、複数の平板部56aのうちの一部の平板部56aは左右のガイド部54L,54Rを互いに繋いでおり、残りの平板部56aは左右のガイド部54L,54Rを互いに繋ぐべき部分の一部が欠落している。これにより、連結部56に隙間ができ、軌道片533,534の不安定さを醸し出すことができ、どきどき感を醸し出すことができる。特に、左右のガイド部54L,54Rを互いに繋ぐべき部分の一部が欠落する平板部56aは枕木が朽ちている感を醸し出すのでなおさらである。
なお、残りの軌道片531,532,535,536も連結部56の少なくとも一部が、枕木を模した平板部56aで構成され、平板部56aが走行方向に沿って所定間隔で複数設けられていてもよい。
【0030】
軌道片537,538は、この順に連結され、平面視で直線状の降坂軌道を構成している。このうち軌道片537は跳上げ式の可動橋となっている。以下、軌道片537を可動橋537として説明する。
【0031】
図9は、可動橋537及びその周辺を示す斜視図である。
可動橋537と軌道片538とには、ガイド溝55Lの底面に細かな鋸歯状の刻み目59Lが、ガイド溝55Rの底面に刻み目59Lと同様の刻み目59Rが形成されている。この左右の刻み目59L,59Rが鉄道車両玩具10の左右の車輪11に噛み合うので、鉄道車両玩具10がスリップすることなく降坂軌道を下ることができる。
【0032】
可動橋537は、
図10に示すように一葉跳開橋となっていて、袂部分62と、跳開部分63とを備える。袂部分62は固定部となっていて、軌道片536に連結されている。袂部分62はほとんど勾配を有しない。跳開部分63は、
図9に示すように、基端部が袂部分62の端部に軸(図示せず)を介して回動自在に取り付けられているとともに、そして、当該軸に巻回されたトーションばね(図示せず)によって跳ね上がる方向に付勢されている。跳開部分63は、上へ弓形に反った形に形成されている。
そして、跳開部分63が跳ね上がった状態では、軌道片536と軌道片538とが断絶され、跳開部分63が下りた状態では軌道片536と軌道片538とが可動橋537を介して繋がるようになっている。跳開部分63が下りた状態となるのは、鉄道車両玩具10が跳開部分63に乗ったときである。
【0033】
跳開部分63の基端部に近くには、城に見立てた逆U字状のゲート65が設けられている。このゲート65の開口の側縁上端部には跳ね上げ式の可動板66が軸支されている。可動板66は平板状に構成され、可動橋537の基端側の上方に位置している。
可動板66の自由端部の左側面にはリンク棒67Lの上端が軸支され、可動板66の自由端部の右側面にはリンク棒67Rの上端が軸支されている。また、リンク棒67Lの下端は跳開部分63の中間部の左側面に軸支され、同様に、リンク棒67Rの下端は跳開部分63の中間部の左側面に軸支されている。
そして、これらは、跳開部分63と、可動板66とを梃子とする両梃子機構を構成し、跳開部分63が跳ね上げられると、可動板66も上方に動作し、跳開部分63が下がると、可動板66も下方に動作する。両梃子機構は平行運動機構であってもよい。
この両梃子機構によって次のような効果を得ることができる。
鉄道車両玩具10の1両目の車両10aと2両目の車両10bが跳開部分63の半部を過ぎると、勾配が大きくなる。そのため、2両目の車両10bと連結される3両目の車両10cには、連結部分を介して下向きの力が作用する。この場合、3両目の車両10cは車輪13の駆動装置が搭載されていないため軽量且つ長いので、3両目の車両10cの前部が軌道に押し付けられる結果、
図11の2点鎖線で示すように当該車両10cの後部が大きく浮き上がり、当該車両10cが脱線等したりするおそれがある。
これに対して、可動板66がある場合には、鉄道車両玩具10が跳開部分63の上にある間は、跳開部分63が下がり可動板66が下方にあるので、
図11の実線でしめすように可動板66により車両10cの浮き上がりが抑えられる。
なお、可動橋537がない場合でも、急坂に移行する軌道では、同じように鉄道車両玩具の車両の浮き上がりによる脱線等の問題が生じるが、この場合には移行部分にトンネルを設けたりして、固定の抑えを設ければ足りる。
【0034】
(坂軌道支持台70)
坂軌道支持台70は、2枚の大きな厚手の支持板71a,71bと、橋ブロック72とを備えている。
支持板71aと支持板71bとは相欠き継ぎによって、平面視で十字形に組まれている。この支持板71a,71bには軌道片531~536が着脱可能に組み付けられている。また、橋ブロック72には可動橋537が予め取り付けられている。この橋ブロック72は支持板70の表面側に着脱可能に凹凸篏合されている。そして、支持板70の上には可動板66が予め取り付けられたゲート65が凹凸嵌合されている。そして、リンク棒67L,67Rの下端の軸孔は切り欠き付きの孔となっていて、ゲート65を支持板71aに取り付けた後に、跳開部分63の側面の軸63L,63R(軸63Rは図示せず)に係合される。
【0035】
以上のように構成された軌道玩具100によれば次のような効果を得ることができる。
【0036】
カーブの内側のガイド溝55Lの底面だけに振動用凸部60を設けているため、登坂に支障を来すことなく、鉄道車両玩具10を揺らすことができる。
【0037】
また、カーブ内側に位置するガイド溝55Lの底面の高さよりも、カーブ外側に位置するガイド溝55Rの底面の高さが低いので、車両10aが外側に傾き、外側の車輪11のグリップ力を強めることができる。
【0038】
また、カーブ外側に位置するガイド溝55Rの底面に刻み目59Rが設けられているので、登坂の際、この刻み目59Rが鉄道車両玩具10の車輪11の刻み目11aに噛み合い、グリップ力が増し、登坂能力を向上させることができる。
【0039】
さらに、複数の平板部56aのうちの一部の平板部56aが左右のガイド部54L,54Rを互いに繋いでおり、残りの平板部56aにおける左右のガイド部54L,54Rを互いに繋ぐべき部分の一部が欠落しているので、軌道の不安定さや脆さが醸し出され、興味性の高い軌道玩具が実現できる。
【0040】
また、複数の凸部60は、各車両10aの複数の車輪が別の振動用凸部60に同時に乗らない間隔で設けられているので、振動用凸部60毎に車両10a~10cを揺らすことができる。
【0041】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
【0042】
例えば、上記実施形態では、走行玩具の一例として鉄道車両玩具10を説明したが、軌道を走行する自動車玩具その他の走行玩具に適用できる。また、振動用凸部60は降坂軌道の場合にも平地軌道にも設けることができる。さらに、S字カーブの場合にはカーブそれぞれの内側に設けることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 鉄道車両玩具
10a 車両
11~13 車輪
11a 刻み目
50 軌道
51 平地軌道
52 坂軌道
53 軌道片
55L,55R ガイド溝
56 連結部
56a 平板部
57,58 係合部
59 坂軌道支持台
59L,59R 刻み目
60 振動用凸部
62 袂部分
63 跳開部分
65 ゲート
66 可動板
100 軌道玩具
531~538 軌道片
537 可動橋
【要約】
【課題】カーブする軌道で走行玩具を効果的に揺らしながら走行させることができる軌道玩具を提供すること。
【手段】自走式の走行玩具の左右の車輪を受容する左右のガイド溝を有しカーブする軌道を有する軌道玩具において、前記左右のガイド溝のうちカーブ内側に位置する前記ガイド溝の底面に、前記走行玩具の走行方向に、前記走行玩具が差し掛かった際にカーブ内側に位置する車輪の乗り降りによって前記走行玩具を振動させるための複数の振動用凸部が形成されている。
【選択図】
図6